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分析的数学問題についての一考察

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Academic year: 2021

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(1)

分析的数学問題についての一考察

水 田 善 次 郎

研 究 目 的

Witkin, H. A.(3)のいうように,知覚研究の弘化の一つとして,知覚を通しての思考 問題の研究が漸くその緒につこうとしている。 このことの研究の一一端はすでに,素膚の

「分析思考と綜合思考一知覚を通しての研究一」に発表されている。㈲この知覚を通し ての分析思考と綜合思考の研究を利用して,数学問題の分析思考を基本的に解決できる問・1 題と綜合思考を基本的に解決できる問題とに分けることはできないであろうかということ を考察しようとするものである。そして,次のような構想のもとに研究を進めているもの である。

 1.数学における分析問題あるいは綜合問題についての発達曲線はどのようになってい るのか0

 2.数学における分析問題,綜合問題の両方に優秀なもの,両方に劣弱なもの,あるい は一方のみに優秀なものを分類することによって,児童生徒の頭脳構造の一端をうかがう ことはできないものか。

 3.児童生徒の物の考え方の方向をさぐる一助にならないものか。

 ところで,分析思考,綜合思考については次のように考えているものである。

 1952年,Pemberton, C・は完結の柔軟性(flexibility of closure)と完結の速さ(spee(上 of closure)について,2つの機能は異った機能であることを見出し,それぞれC2因子,

C1因子であるということを指摘している。(Dそして,前者は分析思考と後者は綜合思考 と密接に関係していることを見出した。またThurstone, L・:L・が1944年に得た因子Aは Pembertonのいう完結の柔軟性と深い関係があり,因子Fは完結の速さと関係が深いよ うである。(2)PembertonもThurstoneも完結の柔軟性を測定するための刺激図形とし てはGottschald七の用いた図形が最も適当であると考えている。

     Fig I

 Fig.1に示すように, Gottschaldt Figureは左二 の小さい一つの図形を頭に保持しながら,右の大 きい図形を破壊して,頭に保持し続けた一つの小 さい図形を大きい図形の中に見出すことである。

すなわち,分析思考とは与えられた全体を部分に 分割する能力のことである。

 一方,完結の速さすなわちPembert・nの因子C・は組織化されない場で完結をたやす くする因子である。従って,綜合思考とは複雑な組織されない場を一様化して,一つの纒1 りを容易に形成させる能力のことである。

 本研究は分析問題に関する考察と綜合問題に関する考察との両面を同時に取り扱う時間、

的余裕がなかったので,今回は分析問題についてのみ考察を試みることにする。

(2)

1.

2.

(1)

被験者 作業課題 数学問題

研 究 方 法

被験者は長崎大学教育学部附属中学校3年生89名。

被験者全員に対して,次のような課題を実施した。

中学校の数学担当の教師に依頼して,中学1年生終了時の水準に合う 代:数問題23問と幾何問題21問の合計44問を作成した。

 (2)沢一Gottschaldt分析思考検査  沢一Got七schaltd分析思考検査とは,沢氏が Gottschald七Figureを改善して団体検査にしたもので,しかも10ng fomである。そ       :Fig π

1 2 3

4

5

6

7 8 9 10

の一部を示せば:Fig・垣の通りである。

 (3)沢式綜合思考検査  沢式綜合思考検査とは,完結の速さを測定するために代表的 な検査としてPemetrtonがGestalt completioロやHidden Pictureをあげ, Thurstone がGestalt completionやDark adaptationをあげているので,沢氏がStreet, R. T.の Ges亡alt Completion Testを団体検査に改善したものである。その一部を示せばFig』

の通りである。

      Fig 皿

 あいまいな絵が並べてあります何の絵にみえるかその絵の名前を下の()の中に書い て下さい。

      問     題

    1       2       3       4一

  論  =醐   曙・

13

糊置

,陣■勝1■園齢

虚」

 、   :

      ρ

謬Lψ陶

) (

(3)

結果並びに考察

 1.分析問題の抽出

数学の44問題の中から,沢一Gottschaldt分析思考検査と は相関が高く,沢式綜合思考検査とは相関の低い代数問題5問 と幾何問題5問との合計10問を抽出した。これら抽出された10 問について,各被験者ごとの合計点を算出し,その合計点と沢

Table I

分析テスト

綜合テスト

.676

.380

一Gottschaldt分析思考検査及び沢式綜合思考検査との間の相関を求めるとTable Iの 通りである。

 2.Centroid法による因子分析

 抽出された数学の10問について内部相関を求め,Centroid法による因子分析を行ったσ Table皿は10問の内部相関を示したものである。

Table∬

問釧 2

3

4

5 6 7 8 9 10

1 2 3

4

5 6 7 8 9 10

410 295

182

078 292 238 284 376 398

452 359

198 189 193 190

3ig 294

182

257 297 216 284 345 306

117

110  159

135    256    150 101     182     305

171    076    286 136    210    384

475 414  552

275     304     375

Table唖,Table Wはそれぞれ因子負荷量,斜交廻転後の因子負荷量を示したものであるぴ Table皿

Fac七〇r

Table IV

1 2 3

4

5 6 7 8 9 10

1 H

h2

564 582 567

317

340 486 538

615 659

586

 120  343

207  196

 096  110

−329

−414

−303  116

332 456 364

139 125

248 398 550 526

357

1 2 3

4

5 6

7・

8 9 10

Fac七〇r

1 n

41 61

49 34 27

36 03 00 12

421

20

02 12 00 10 16

56

68 60 21

Table皿,Table IVが示すように,数学の分析問題10問は2つの因子に分かれる。因子・

1は代数問題と因子亜は幾何問題と関係があるように思われる。

(4)

 更に,Table Wより,10問のうち1因子丑因子のいずれの因子に属するのかはっきりし ない1,5,6,10の4問題を除いた。すなわち,分析問題として純粋度の高いと思われ る6問題について,分析問題としての共通因子がどのような割合になっているかを確かめ るために,Bart法による群因子分析を行った。その結果はTable Vの通りである。

 Tpble IV, Table V,が示すように,問題2,3,4    Table V 7,8,9の6個の問題は一応純粋度の高い分析問題と

一考えられる。更に,この純粋度の高い分析問題は因子1 と因子∬にはっきりと分かれている。すなわち,数の操 作を中心とする代数問題と空間を取扱う幾何問題とは同

じく分析問題でありながら別個のものである。そこで数 学における分析問題を検討する場合は分析問題の下位検 一査構成として代数と幾何の両方をとり入れる必要がある

ように思れる。

2 3

4

7 8 9

Factor

G 1

514

630 183 390

578

671

一146

−127  060 512 492

341

484

211

503  115

−069  018

総 括

 (1>中学3年生89名を対象に,数学問題44問,沢一Gottschaldt分析思考検査及び沢 式綜合思考検査を実施し,数学問題における分析思考について検討した。

 (2)沢一Gottschaldt分析思考とは相関が高く,沢式綜合思考とは相関が低い数学問 題:,すなわち,数学における分析問題を抽出し,それらの問題について因子分析を行っ た。その結果2つの因子が抽出され,1つの因子は代数問題と他の因子は幾何問題と関連

している。数を取扱う代数問題と空間を取扱う幾何問題とは同じ分析問題でありながら別 個のものである。そこで,数学における分析問題を検討する場合は分析問題の下位検査構 成として,代数と幾何の両方をとり入れる必要があるように思われる。

     し

 (3)今回は全部の数学問題を同時に取扱うと煩雑になるので,沢一Go七tschal砒分析 思考とは相関が高く,沢式綜合思考とは相関が低い数学問題を抽出し検討を加えてみた。

その結果Fig・IVのように,数学問題が分析問題と綜合問題に,さらに分析問題が代数問 題と幾何問題にわかれ,Burtのいう体統構造をなしているように考えられる。今後は数

学問題44問と沢一Go七tschaldt分析思考及び法式綜合思考の内部相関を求め, Bart法       FigW        による群因子分析を導入し,数:学問題,分析問題,

ll数

『l

ll

1

・i

J

分  間 析  題

 綜  聞

i合題

代数問題

1幾何問副

代数問題

幾何問題

綜合問題としてのそれぞれの共通性を検討し,真に 純粋度の高い分析問題,綜合問題を抽出することに

する。

 更に,思考が発達しはじめる小学校高学年から中 学生・高校生までの一貫した問題を作成し,分析思 考綜合思考の発達曲線へと研究を進めたい。

 抽出された数学の6題を参考までに以下に記す。

本研究をとまとめるにあたり,終始ご指導を賜りました沢教授に深く感謝いたします。

(5)

(問題2) 29秒

 平均点より10点多い点数を+10,5点少ない点数を一5点というように表わすとき,平 均点が70点であれば,100点,90点,70点,55点はそれぞれどのように表わされるか。

(問題3) 50秒

252本の鉛筆をA・B・Cの3人で6:7:8の比に分配するとき,それぞれ何本つつ

もらえるか。

(問題4) 30秒

 ある村の新聞の購読の様子を調べたら,下の図のように なった。AはA新聞をとっている家庭を示し, BはB 新聞をとっている家庭を示している。尚,A・B以外の新 聞を購読している家庭はない。図で斜線をひいてある部分

・は,どのような家庭を示しているか。

A B

(問題7)52秒

 下の二つの図の中から次の間にあてはまるものをすべて選べ。

澗 合同な図形はどれか。

A D

a

d

E F

e

9

B

(:コ=

C    G  b    f    C

は平行線を織)

く問題8) 30秒

下図は直方体をななめに切った立方体の見取図である。

 AEと平行な辺をすべてあげよ。

D A

E

B H

C

G F

〈問題g)28秒

 問題8の図において,BFと垂直な辺をすべてあげよ。

(6)

(1) Pembeτton C.:The closure faotors selated to other cognitive Processes

(2) Thurstone, L. L:Afactorial study of:Percep七io皿

(3)Witkin, E A.嘘The na七ure and importance of individual diffeτences in perceptlon

(4)沢

       参  考  文  献

   ,      .Psychsm−

      etτika, 1952, 17, 267〜288

      .University of Chicago Press.

      1944

      ,       J.PersollaL 1949, 18, 145〜170

英久:分析思考と綜合思考(知覚を通しての研究)長崎大学.教育学部教育科学研:究報

     告  1966, 13, 1〜16

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