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歴史的築石構造物の現況調査と変形挙動の再現解析に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)I‑039. 土木学会西部支部研究発表会 (2016.3). 歴史的築石構造物の現況調査と変形挙動の再現解析に関する研究 長崎大学工学部. 学生会員. 長崎大学大学院. 正会員. ○松元香奈子 大嶺. 聖. 長崎大学大学院. フェロー会員. 長崎大学大学院. 正会員. 蒋. 宇静. 杉本. 知史. 1.はじめに 石橋アーチ橋は紀元前から建設されており、橋梁の中では 長い歴史を有する。わが国に存在している築石構造の歴史も とても古く,その多くは九州に存在している。築石構造物は 現在も道路や水路として,文化財,また地域の観光資源とし ても重要な機能を果たしている.現在でも補修や保全といっ た維持管理が行われているが,石橋・石垣に関しては工学的 観点からの力学的安全性の評価が困難なため,経験的手法に より補修が行われている.そのため現在の形態や機能を正確 に後世に伝えていくために,石垣・石橋の維持管理の手法を. 図-1 調査対象の位置. 確立させる必要がある. 本研究は,佐世保市内に現存する石橋の分布を自治体等の 資料 1)2)により把握し,昨年度の長崎市内所在の石橋現況調 3). 査. に準じた佐世保市内所在の石橋の現況調査を実施する. と共に,個別要素法に基づく計算プログラムにより,石材表 面の剛性や石材の一部欠損,基礎部の沈下や側方流動が生じ た場合の変形の特徴を明らかにすることを目的とする. 2.調査の概要と変状傾向. 図-2 解析モデル(単位:m). 佐世保市の石橋に関して現況調 査を行った.佐世保市の石橋アーチ. 表-1. 石橋調査結果における主な変状例. 橋は,吉井町,世知原町に集中して いる.調査対象は図-1 に示した位置 である.吉井町で 18 つ,世知原町 で 10 つ, 計 28 つの石橋を調査した. 昨年度に長崎市の石橋調査が行わ れたが,その結果と比べると,大き な損傷はあまり見られなかった.輪. 左岸下流側輪石に約 2cm のずれ. 輪石間に約 4cm の開き. 輪石に約 15cm 亀裂. 左岸基礎部に約 15cm の浮き. 石間の開き,輪石のずれ,基礎部の 浮きが多くみられた.また一部の石 橋では輪石の亀裂も確認された.調 査結果を表-1 示す. 3.数値解析の概要 個別要素法に基づくプログラム を「UDEC」用いて,図-2 のような モデルを作成し,実際に見られる石. 橋の損傷を再現して 2 次元解析を行った.本解析では石橋の安定性の要であるアーチ部分のみに着目したモデ ルを用いることとした.また,佐世保市の石橋調査の結果を基に,多く見られた変状である輪石間の開きを再. ‑77‑.

(2) I‑039. 土木学会西部支部研究発表会 (2016.3). 現し解析を行った.開きを再現する方法としては,図-3 の ようにアーチブロックのジョイント部分から角度 0~1°ま で 0.05°ずつ,計 20 本の境界面を追加し,それによりでき た小さなブロック 1 つずつ消去する,というものである.開 きを挿入する場所は, 8 番目と 9 番目のブロックの間とした. ここで,8 番目のブロック block8 とは右側の基礎部分の輪石 を 1 番として, そこから反時計回りに数えて 8 番目のブロッ クのことである.この部分を選択した理由は,水平線より仰 角 45°にあたる部分であり,現況調査で多く変状が確認さ れたことによる.本解析では表-2 に示した物性値を入力し. 図-3. た.開きを挿入する前に集中荷重を作用させ,その後は橋の. 開きを再現したモデル 表-2. 入力物性値. 自重のみで解析を行った.また,小ブロックを 1 つずつ消去. 密度 ρ(kg/m3). 2000. していく過程で残りの小ブロックの動きが解析に影響しな. せん断抵抗角 φ(°). 35. いよう,その範囲のみに境界条件として,粘着力を. 作用させた集中荷重(N). 1.0×104. 1.0×10 MPa/m,引張強度を 1.0×10 MPa/m を設定した.アー. 境界面の垂直剛性(MPa/m). 1.0×109. チの肩部にあたる block9,基礎部にあたる block3 の水平変. 境界面のせん断剛性(MPa/m). 1.0×109. 10. 10. 位,鉛直下向き変位,垂直応力,せん断応力を記録した.変 位に関しては要石にあたる block17 も記録した.. 25. 4.解析結果と考察. 20. 図-4 は横軸がブロックの厚さ B に対する開き幅 t の割合, 変位の割合である. 要石と肩部では開きが大きくなるにつれ て変位も大きくなり,その推移は一様な傾向を示すことが分 かった。なお基礎部はほとんど変位が見られなかった.図-5. 15. dx/B dy/B (%). 縦軸がブロックの厚さ B に対する水平・鉛直下向き方向の. 10 5. は横軸が開き幅,縦軸が垂直・せん断応力である。垂直応力. 0. に関して肩部・基礎部共に,開き幅約 10cm までは応力が低. -5. 下し,その後緩やかに増加する傾向が見られた.理由として. b17-水平変位 b17-鉛直変位 b9-水平変位 b9-鉛直変位 b3-水平変位 b3-鉛直変位. 0. 図-4. 5. 10. t/B (%). 15. 20. 開き幅と各ブロックの変位の関係. は,開きを設けることで力のつり合いが不安定となり,開き. 1500. 界面へ作用する直応力の現象は輪石のかみ合いを緩くし橋 の不安定化につながるものと考えられる. 5.おわりに 本研究ではアーチ部分のみに着目した再現解析によって, 計算を簡略化し,損傷による石橋の変状と力の伝わり方を定 量的に把握することが出来た. しかし石材の挙動がそれぞれ 異なり複雑なため, 今後はアーチ全体に関する検討やブロッ. 垂直応力とせん断応力(KPa). のないアーチ左側に力が多く伝わったためと考えられる.境. b9-垂直応力 b9-せん断応力 b3-垂直応力 b3-せん断応力. 1000 500 0 -500 0. 5. 10 15 20 25 30 35 開き幅t(cm). クの境界面での応力分布を調べていく必要がある. 図-5 開き幅と各ブロックの応力の関係 6.参考文献 1)佐世保市:世知原・吉井地区 アーチ石橋の調査について(案),pp2-4,2016 2)末永暢雄:佐々川流域の石橋群ガイドブック,pp3,pp9-16,2012 3)平山朋樹:石造アーチ橋の現況調査と変状特性の基礎的検討:pp79-80,土木学会西部支部研究発表会講演 概要集,2015 ‑78‑.

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