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偏心軸引張力を作用させた両引き試験による劣化 RC 梁の付着評価

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Academic year: 2022

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偏心軸引張力を作用させた両引き試験による劣化 RC 梁の付着評価

(国研)土木研究所 正会員 ○水田 真紀

(国研)土木研究所 正会員 野々村佳哲・嶋田 久俊・島多 昭典

1.はじめに

壁高欄に車両が衝突する場合,衝突力作用時の破壊 機構は静的力作用時とさほど変わらず,衝突時間が長 いソフトな衝突に分類される1).問題となるのは,損傷 範囲やコンクリート片の飛散の有無であり,車両乗員 の傷害や第三者への被害を最小限に止めることが求め られる.一方,北海道には,凍害と凍結防止剤散布に よる塩害を受けて劣化した壁高欄が多く存在し,車両 衝突時の性能を評価する方法が求められている.そこ で本研究では,損傷範囲や変形,破壊形式にも影響す る付着に着目し,劣化した壁高欄の付着を評価できる 試験方法を検討した.

2.壁高欄の劣化状況

凍害と塩害の複合劣化を受ける環境下で約40年間供 用された壁高欄を研究対象とした.壁高欄の概要を図

-1,外観上の劣化状況を図-2 に示す.車道側と車道反

対側の両面が表面被覆で補修されており,目視と打音 調査から車道側に浮き,さび汁,ひび割れを確認した が,車道反対側に変状は観察されなかった.

付着試験に使用しなかった箇所からコンクリートコ ア(φ50×100mm)を採取し,圧縮試験(16 体)と引 張試験(12体)を実施した結果,圧縮強度f ’c=36.9N/mm2, 静弾性係数Ec=27.8kN/mm2,引張強度ft=3.00N/mm2であ った.建設当時の材料データは残されていなかったが,

設計基準強度 f’cd=24N/mm2であることから,コンクリ ートの劣化程度は小さいと推察される.さらに,付着 試験終了後,横方向鉄筋の質量減少率(=腐食前の質量 に対する腐食後の減少量の割合(%))も測定した.その

結果,車両側,車両反対側ともに2%程度だった.

3.付着試験方法の検討

できる限り付着長が長い状態で付着を把握したかっ たことから,横方向鉄筋を対象とした両引き付着試験 を行うことにした.また,変状が車道側に集中してい たことから,車道側の横方向鉄筋を試験対象にした.

まず,壁高欄から車道側の横方向鉄筋に沿った梁型 試験体を切り出した.この際,鉄筋位置が図-1 と異な っていたため,実測値から図-3 に示すように断面幅を 決定した.切断後,鉄筋の両端部を露出させ,一方に は鋼板(t=9mm)を溶接した.他方は鋼管(内径25mm,

長さ 200mm)に挿入し,隙間に膨張材を添加したセメ

ントペーストを流し込み,一体化させた.最終的に,

試験体全長は1500mmとなった.

試験方法を図-4 に示す.引張側,固定端側の載荷治 具はコンクリート床にアンカーで固定し,試験体は載

キーワード 付着,壁高欄,両引き付着試験,付着応力分布

連絡先 〒062-8602 北海道札幌市豊平区平岸1条3-1-34 (国研)土木研究所 寒地土木研究所 TEL011-841-1719 図-2 外観上の劣化状況(車道側)

200 2000

120

920 800

車道側 車道反対側 200

60 80 60

60205200 200

設計上の配筋

D13(縦方向)

D16(横方向)

重ね継手

(車道反対側)

浮き

さび汁 図-1 壁高欄の概要

対象試験体

対象試験体

2c

c

実測値 c(mm)

c

図-3 断面幅の決定

固定端側治具 端部固定プレート

(鉄筋に溶接)

引張側治具 接続・引張ロッド 鉄筋定着用鋼管

丸鋼 コンパネ アンカー固定

ジャッキ 球座 ロードセル

アンカー固定 CL 鉄筋

ひずみゲージ 軸方向左から1~7

200

図-4 両引き付着試験方法

cc

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

‑901‑

Ⅴ‑451

(2)

荷方向の伸びを拘束しないよう丸鋼を並べた上に設置 した.そして,鋼管にロッドをつなぎ,球座を介して 手動ポンプで載荷した.この載荷条件では,試験体全 長にわたり,同じ引張力と曲げモーメントが断面に作 用する.

付着応力は,任意の断面間の鉄筋応力の差が鉄筋に 沿うせん断応力,すなわち付着応力によって生じるも のとして計算される.本試験では,鉄筋軸方向のコン クリートひずみから,鉄筋のひずみを推定し,鉄筋応 力を算出することにした.具体的には,鉄筋中心から 距離c(図-4)下側にひずみゲージを貼付し,その値は 鉄筋ひずみに等しいと仮定した.そして,ひずみを安 定して測定するために車道反対側の横方向鉄筋を残し,

試験体断面を長方形とした.これは,ひび割れが全断 面を貫通するのを防ぐためである.

さらに,偏心軸引張力を作用させる載荷条件から,

試験体は上側に凸に変形すると予想され,試験体の曲 率を把握するために高さ方向にもひずみゲージを貼付 した.使用したひずみゲージ長は90mmである.

4.付着試験結果および考察

図-1,図-2に示す対象試験体の結果を図-5~図-8に 示す.鉄筋が降伏する直前まで載荷を続け,約60kNで 試験を終了した.図-5 より,ひび割れは断面を貫通せ ず,試験体高さの途中,車道反対側の鉄筋付近まで進 展し,予想どおりであることを確認した.

試験体高さ方向のひずみ分布を図-6 に示す.これよ り,車道反対側の横方向鉄筋を境に,上側が引張域,

下側が圧縮域となった.荷重が増加しても,ひずみが0

となる位置はほとんど変化しなかったことから,車道 反対側の横方向鉄筋とコンクリートの付着が変形を拘 束したと考えられる.

図-7 に各荷重作用時の軸方向のひずみ分布を示す.

荷重の増加に伴うひずみの増加や,ひび割れが発生し た部分のひずみの急激な増加が見られた.また,浮き が発生していた部分(ゲージ6)のひずみの増加は小さ く,付着力の低下を示唆していた.

図-7 の結果を受け,コンクリートひずみは付着の良 否を反映していると判断し,鉄筋のひずみに置き換え て次式で付着応力τbを算出した.

( )

s con

s s

b l u

A E

= ε2−ε1 τ

ここで,(ε2-ε1)は隣り合うゲージのひずみ差,EsAs,usは鉄筋の弾性係数,断面積,周長,lconはゲージ 間隔(=90mm)である.その結果,図-8に示す付着応 力分布が得られた.これより,付着の良否を確認でき ることから,付着劣化が進行している範囲の推定に活 用できると考えられる.

5.まとめ

本研究では,劣化したRC梁の付着を評価する両引き 試験方法を検討し,付着の良否を判断できることを確 認した.今後さらにデータを蓄積し,壁高欄の健全性 評価に繋げていきたい.

参考文献

1) 例えば,藤井学,宮本文穂:衝撃荷重下におけるコ ンクリート構造物の挙動,コンクリート工学,Vol.21,

No.9,pp.25-36,1983.

道路側

道路反対側

CL

1 2 3 4 5 6 7 ゲージNo.

載荷前ひび割れ 載荷後ひび割れ

縦方向鉄筋の腐食

図-5 ひび割れ状況図

0 50 100 150 200

-300 -200 -100 0 100 200 10kN

20kN 30kN 40kN 50kN

-10 -5 0 5 10

0 2 4 6 8

10kN 20kN 30kN

40kN 50kN

ひずみ(μ)

ひずみ(μ)

高さ(mm)

図-6 高さ方向のひずみ分布

ゲージNo.

ゲージNo.

付着応力(N/mm2 )

図-7 軸方向のひずみ分布

図-8 軸方向の付着応力分布 鉄筋位置

車道反対側 車道側

0 200 400 600 800 1000

0 2 4 6 8

10kN 20kN 30kN

40kN 50kN

土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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