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鉄筋の腐食膨張圧のモデル化に関する研究 名古屋大学大学院

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Academic year: 2022

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(1)5-117. 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月). 鉄筋の腐食膨張圧のモデル化に関する研究 名古屋大学大学院. 学生会員. ○河村. 名古屋大学大学院. 正会員. 中村. 圭亮 光,国枝. 稔,上田. 尚史. 1.はじめに コンクリート構造物の早期劣化の要因の 1 つに鉄筋腐食が挙げられる. 鉄筋腐食による構造物の劣化過程のうち, 潜伏期・進展期に比べ,表面にひび割れが生じた後の加速期・劣化期についての研究はあまり行われていない.し かし,劣化した構造物の補修計画を立てる際には,鉄筋腐食によりひび割れがどのように進展していくかを予測す ることが望まれている.そこで,本研究では腐食ひび割れ進展解析への適用 を目的として,構造解析における腐食膨張圧のモデル化方法を提案し,その 妥当性についての検証を行った. 2.解析手法 解析手法にはひび割れの発生・進展挙動を直接表現可能な 3 次元剛体バネ. 評価点. 図−1 3 次元剛体バネモデル. モデルを用いた.各要素は 6 自由度を持つ剛体と仮定し,図−1 に示すよう. 150. に要素境界面に複数の評価点を設けた.各評価点には,圧縮・引張挙動を表. 150. 現する垂直バネ,およびせん断すべり挙動を表現するせん断バネを配置した.. 上面 100. φ26 かぶり. また,要素分割にはひび割れの発生・進展挙動の要素形状依存性を低減する ために Voronoi 多角形分割を用いた.. 400. コンクリートの材料特性は,圧縮領域では圧縮強度まで 2 次曲線を用い,. 鉄筋. 引張領域では,引張強度まで線形で,その後は軟化曲線に 1/4 モデルを用い た.また,せん断伝達機構のモデル化にはモール・クーロン型の破壊基準を 用いた 1). 3.解析モデル. 200. 断面図. 100. (単位mm). 下面 全体図. 図−2 仮定した供試体 軸方向ひび割れ. 側面方向の ひび割れ. 本研究では図−2 に示すようなかぶり 10mm および 30mm の角柱供試体 を解析対象とした.コンクリートの材料諸元は,弾性係数を 23.6GPa,引張 強度を 2.1MPa,圧縮強度を 21.4MPa,引張破壊エネルギーを 0.07N/mm とした.なお,解析モデルは荒木らにより行われた弾性体を用いた腐食膨張 圧の模擬実験 2)で用いられた供試体と同様の寸法である.荒木らの実験で観 察された破壊形態は,図−3 に示すように,かぶり 10mm のときは剥離破壊, かぶり 30mm のときは押し抜き破壊であったと報告されている. 4.腐食膨張圧のモデル化. 剥離ひび割れ. 断面方向の ひび割れ. (a)かぶり 10mm (b)かぶり 30mm. 腐食膨張圧は既往の研究の多くは,鉄筋周囲に一. 図−3 実験でのひび割れ性状. 様な膨張圧を与えるようにモデル化されている.そ こで,鉄筋部分を空洞とし,内側から一様な膨張変 位を作用させる解析を行った.図−4 にかぶり 10mm のときのひび割れ性状を示すが,かぶり表 面に軸方向のひび割れのみが生じ,実験とは異なる 結果となった.これは変位制御による解析では膨張 変位が常に等しいため,ひび割れ発生後にかぶり. キーワード 連絡先. 図−4 ひび割れ性状. 図−5 腐食層のモデル. 鉄筋腐食,膨張圧,剛体バネモデル,ひび割れ進展 〒464‑8603. 愛知県名古屋市千種区不老町. 工学部 9 号館 526 号室. -233-. TEL052‑789‑4484.

(2) 5-117. 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月). 軸方向 ひび割れ. 剥離ひび割れ. 1000μ. 5000μ 8000μ (正面方向から見た図) (a)かぶり 10mm(倍率 50 倍). E=20MPa. E=50MPa E=200MPa (a)かぶり 10mm. 軸方向ひび割れ 側面方向の ひび割れ. 400μ. 45000μ 56000μ (側面方向から見た図) (b)かぶり 30mm(倍率 15 倍) 図−6 表面ひずみと変形図. E=20MPa. E=50MPa E=200MPa (b)かぶり 30mm 図−7 腐食層のヤング係数の影響. 面側の変形が卓越する挙動を表すことができないためである.したがって一様な膨張変位を与えるモデル化は必ず しも妥当なものではないと考えられる. そこで,図−5 に示すように,鉄筋とコンクリートの間に腐食層をモデル化し,鉄筋と腐食層の要素境界面上に 配置されている垂直バネに一様な漸増する膨張ひずみを初期ひずみとして作用させることで腐食膨張圧のモデル化 を行った.実際の腐食層のヤング係数は,未だ明確になっていないが,次章に示す検討結果より,本解析では 20MPa と仮定した.図−6 に,高さ中央位置におけるかぶり表面のひずみの値(表面ひずみ)に対応する変形図を示す. かぶり 10mm のときは,かぶり表面に軸方向ひび割れが生じた後,剥離ひび割れが生じ,かぶり面が剥れる挙動を 示した.かぶり 30mm のときは,かぶり表面に軸方向ひび割れが生じ,拡大していく挙動を示した.また,側面方 向にもひび割れが生じた.これらはいずれも弾性体を用いた実験と同様の挙動を示しており,本モデル化手法の妥 当性が示されたと考えられる. 5.ひび割れ挙動に及ぼす腐食層のヤング係数の影響 腐食生成物のヤング係数は,既往の研究 3)では様々な値が報告されている.そこで,ヤング係数がひび割れ性状 に及ぼす影響について検討するために,腐食層のヤング係数を 20,50,200MPa と仮定して解析を行った.図−7 に膨張ひずみの等しい時点における変形図を示す.かぶり 30mm の解析ではいずれの場合も同様のひび割れ性状と なった.一方,かぶり 10mm の解析では,ヤング係数を 50,200MPa とする場合には剥離挙動を示さず,軸方向 ひび割れが卓越するひび割れ性状となった.腐食時の破壊形態が腐食生成物のヤング係数に大きく依存することか ら,腐食ひび割れ解析においては腐食層のヤング係数を適切に評価する必要があると考えられる. 6.まとめ 本研究では,鉄筋とコンクリートの間に腐食層をモデル化し一様な膨張ひずみを作用させる腐食膨張モデルの提 案を行った.その結果,かぶり厚の違いによりひび割れ性状が変化する挙動を概ね妥当に評価することができた. なお,ひび割れ性状は腐食層のヤング係数に依存することが示され,腐食層のモデル化についてより詳細な検討が 必要であると考えられる. 参考文献. 1) Saito, S.: Fracture analyses of structural concrete using spring network with random geometry, Doctoral. thesis,Kyushu University,1999. 2)荒木弘祐ほか:コンクリート中の鉄筋腐食膨張圧モデル化と実験・解析手法,コンクリー. ト構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集,第 4 巻,pp25-32,2004 3)日本コンクリート工学協会:コンクリート構 造物の耐久性力学,pp132,2007. -234-.

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