キーワード 超多点注入工法,線路下横断工事,注水試験
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(a)2 重管ダブルパッカー工法 注入速度:8〜10L/min 注入量 :約 500L/hr (1 機当り)
(b)超多点注入工法 注入速度:1〜5L/min 注入量 :約 5,000L/hr (32 基分)
(a) (b)
図-1 超多点注入工法
1点ずつ注入 最大 32 点を同時注入
注入範囲
860 14479 860
図-2 工事概要
3967 3967
2379 2379
F.L R.L=T.P+79.426
T.P+78.169
T.P+75.587
T.P+71.620
注入範囲
JES 函体
860
R.L=T.P+79.426
(下り線)
注入範囲:10780
7509
【到達立坑】 【発進立坑】
HEP&JES 工法 [断面図]
[側面図]
盛土
シルト層
注水試験位置
玉石混じり砂礫土 最浅部
中間部 最深部
注入範囲
注入範囲
ゲルタイム:60 分以上 注入率:30.0%
注入範囲 :60.3m3
線路下横断工事における超多点注入工法の施工
東日本旅客鉄道㈱ 正会員 ○内藤 圭祐 東日本旅客鉄道㈱ 正会員 桑原 清 東日本旅客鉄道㈱ 正会員 有光 武
1.はじめに
線路下横断工事は,掘削による線路直下の地山崩壊や路盤沈下を防止するために,補助工法として薬液注入工を 併用する場合が多い。しかし,薬液を注入する際に地盤への注入形態が割裂注入となる場合に,地盤の変位に影響 が生じやすくなるため,慎重に施工を行わなければならない。また,都市部においては,施工中の列車運行の安全 を確保するために終列車から初列車までの夜間に薬液注入を行うことが多く,注入作業に多くの工期を必要とする。
そこで,このような問題を解決するべく「超多点注入工法」を線路下横断工事に適用したので,その事例について 報告する。
2.工法概要
超多点注入工法は,地盤にケーシングを建て込み後,削孔した孔に束にした内径6mmの注入パイプを挿入し,
32基のポンプで32 箇所に同時に薬液を注入する。
従 来の二 重 管ダ ブ ルパ ッカ ー工法の 注入 速度は 8L/min程度 2)であるのに対して,この工法は 1ノ ズル当たり最大5L/minの低速で注入を行うため,
割裂注入となる可能性が低くなる。また,最大 32 点を同時に注入することで一度に多量の注入が可 能となり,鉄道工事のように作業時間が制約される ような施工条件で適用した場合,注入工期が短くな るという利点がある(図-1)。
3.工事概要及び注入計画
上記で述べた超多点注入工法 は,JR 中央線立 川・日野間日野こ道橋新設工事において適用した。
対象工事は 1 層 3 径間のボックスカルバートを HEP&JES工法により構築する。当該箇所の土層構
成はF.L.から約5m付近までは盛土であり,函体側
壁の中間部以深からは玉石混じりの砂礫層を主体 とした構成になっている。エレメント推進時の切羽 の自立を助成することを目的として,多点注入工法 を計画した。超多点注入工法は,改良範囲の地盤に 薬液を均質に浸透させることで効果を発揮する。そ こで,施工時の注入において割裂注入とならないよ う,事前に注水試験を実施し,浸透注入形態の注入 速度(吐出量)とそれに対する注入圧の確認を行っ た。本現場では,最浅部,中間部,最深部の3箇所 について注水試験を実施し,吐出量は 0.5L/min〜
土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)
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注水試験結果
0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00
流 量 ( L/min )
実圧力(Mpa)
3.5㍑
浸透注入領域 割裂注入領域
図-3 注水試験結果(中間層 3-D-1 ノズル)
ホッパー 32連多点
ポンプ 注入量・圧力
検知装置
注入孔へ PC
注入量、注入圧 (ポンプ毎に印刷) グラウト濃度
測定装置
グラウト濃度
A材の流量を 配合から逆算 (注入日報に整理)
主材 固化材
ミキサー ミキサー 水ガラス用
積算流量計
流量(チャート紙(協会認定)に記録)
図-5 超多点注入工法の管理方法 ポンプ
自記記録計
注入孔へ 主材
ミキサー グラウト濃度
測定装置
注入量、注入圧 (チャート紙(協会認定)に記録)
グラウト濃度 水ガラス用
積算流量計 流量
固化材
図-4 2 重管ダブルパッカーなどの管理方法
図-6 現場状況
プラント設備
注入パイプ 設置状況
5.0L/minまでの 0.5L/min ずつ吐出量を変化させることとした (図-2)。なお,注入圧力は注水試験により測定した全圧力の結果 から管内の抵抗分を差し引いて算出した。
以上の試験条件から実施した注水試験結果の一例を(図-3)に 示す。注水試験の結果,最浅部では吐出量が4.5L/minのときに 吐出量と圧力の比例関係が成立しなくなる傾向がみられ,中間 部,最深部では3.5L/minにおいて同様な傾向が確認された。こ のことから,本現場における注入速度は3.5L/min以下を標準と した。
4.施工管理
JR 東日本の土木工事標準仕様書における薬液注入工の品 質管理は,主に注入材(水ガラス)の比重,液温測定やグラ ウト濃度の測定などを規定しており,また,数量管理につい ては水ガラスタンクからミキサーまでの間に水ガラス用積 算流量計(協会認定)の設置,ポンプから注入孔までは自記記 録計(チャート紙)の設置を義務付けている。しかし,超多点 注入工法は32基のポンプの注入量・注入圧を一括して管理 する必要があるため,数量管理方法を次のように変更した (図-4,図-5)。
(1)検知装置は事前に監督員立会いのもと,キャリブレーシ ョンを行う。
(2)水ガラス用積算流量計の値を自記記録計でチャート紙(協 会認定)に記録する。
(3)ポンプ毎の注入量の結果をまとめ,これらの合計値と配 合設計から主剤の使用量を算出する。算出した使用量と水ガ ラス用の積算流量計の流入量とを比較する。
また,本現場における薬液注入の注入速度は,注水試験の
結果から3.5L/min 以下,注入圧はこれまでの経験から初期
圧+0.5MPa以下とした。なお,32基の注入ポンプのうち,ポンプ の故障などのリスクを考慮して30基のポンプを使用した。
5.施工結果
上記の施工管理方法で施工を行った結果,注入量,注入圧は管理 基準値以内で施工を完了することができた。また,注入期間中,軌 道に変状を与えることなく,線路直下及び近接範囲に薬液注入を実 施することができた。なお,施工後の注入状況の確認として,側壁 のエレメント推進時に掘削土砂にpH指示薬を散布した結果,良好
な注入状況を確認することができた。また,超多点注入工法により施工を行った結果,当初計画していた2重管ダ ブルパッカーの作業日数が24日間であったのに対して,8日間に短縮することができた。
6.おわりに
線路下横断工における薬液注入工法の施工事例を報告した。本稿が他の現場の参考になれば幸いである。
参考文献
1)(社)日本薬液注入協会編:正しい薬液注入工法,H14.1
土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)
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