2009 第9号(通巻19号)
ISSN 1348-8015
特 集
特 集
長岡大学地域研究センター年報
2008年度シンポジウム・
なぜ長岡の市民所得は低いのか
∼豊かな地域社会の構築に向けて∼
目次
2009
第
9
号
CONTENTS
特集 なぜ長岡の市民所得は低いのか
∼豊かな地域社会の構築に向けて∼ ………… 1 基調報告①『長岡市の市民所得分析』報告 ……… 長岡大学教授 鯉 江 康 正 2 基調報告②『長岡地域企業の成長・発展に関する基礎調査』報告 ………長岡大学准教授 石 川 英 樹 18 パネルディスカッション 長岡の市民所得向上の方策とは ―豊かな地域社会の構築に向けて― ……… 矢島善信、尾島 進、樋口栄治、石川英樹、鯉江康正 28 論稿 長岡市産業連関表からみた長岡市の産業構造と産業連関 ……… 鯉 江 康 正 43 長岡地域企業の成長・発展に向けて ∼不況脱出と環境対応を中心に∼(2009年アンケート調査結果の報告) ……… 石 川 英 樹 95 政府研究開発と競争的研究資金制度 ―政府研究開発における競争的研究資金制度の位置・制度分類およびプログラムオフィサー配置の課題―… 広 田 秀 樹 109 産業集積の規模は何に依存するのか −長岡と浜松の比較を通した長岡市と産業界への提言− ……… 權 五 景 125 クラウドコンピューティングがもたらす情報革命 ― クラウドコンピューティングの現状と課題 ―……… 村 山 光 博 141 研究ノート 環境規制と経済成長の関係性に関するノート ……… 井 本 亨 149 農業会計における複式簿記の基礎(1) −農業会計の財産計算と損益計算について−……… 田 邉 正 157 資料紹介 岸宇吉と松方正義・渋沢栄一に関する資料 ……… 松 本 和 明 167 センター日誌 ……… 173 長岡大学地域研究センターご案内 ……… 174 長岡大学地域研究センター規程 ……… 180 編集後記 ……… 182地域間格差が様々に議論されていま す。その指標としては人口1人当たり の所得格差が最も一般的に使われま す。長岡市は人口規模で県内第2です が、1人当たり市民所得は県内市町村 中 10 位、雇用者1人当たり雇用者報 酬で見ても8位と、1人当たり所得が かなり低いということになります(平 成 16 年度の統計による)。この低さの 要因を明らかにし、市民所得を高めて より豊かな地域社会を構築するために は何が必要なのか。その解明を目的に 本シンポジウムは開催されました。 前半の基調報告では、地域研究セン ターの鯉江運営副委員長より長岡市の 市民所得についての分析結果が報告さ れました。長岡市の市民所得の低さは産業構成や就業者構造(就業率、就住比)などの要因では説明がつかず、 全般的な生産性の低さに起因している面が大きいことが説明されました。続いて、地域研究センターが8月以降 実施した『長岡地域企業の成長・発展に関する基礎調査』の結果について、石川運営委員長が報告いたしました。 生産性向上に向けた長岡地域企業の取組状況などが解説されました。 後半のパネルディスカッションでは、長岡地域企業についての専門家を交えた論議が行なわれました。より豊かな 地域づくりに向け、企業が生産性を向上するための具体的な取組についてディスカッションが展開されました。 終了後の来場者アンケートで 90%から良かったと回答いただくなど、非常に充実したシンポジウムとなりまし た。以下ではその内容を紹介させていただきます。
特
集
長岡大学地域研究センター 2008年度シンポジウム
なぜ長岡の市民所得は低いのか∼豊かな地域社会の構築に向けて∼
2008年11月14日開催
̶̶̶ 次 第 ̶̶̶ (総合司会 本学准教授・地域研究センター運営委員 村山 光博) 1 名 称 なぜ長岡の市民所得は低いのか∼豊かな地域社会の構築に向けて∼ 2 日 時 平成20年11月14日㈮ 14:00∼17:00 3 会 場 アトリウム長岡(新潟県長岡市弓町1−5−1) 4 次 第 ・基調報告①:「長岡市の市民所得分析」報告 長岡大学教授・地域研究センター運営副委員長 鯉 江 康 正 ・基調報告②:「長岡地域企業の成長・発展に関する基礎調査」報告 長岡大学准教授・地域研究センター運営委員長 石 川 英 樹 ・パネルディスカッション テーマ:長岡の市民所得向上の方策とは∼豊かな地域社会の構築に向けて∼ パネリスト 株式会社ホクギン経済研究所代表取締役専務 矢 島 善 信 氏 財団法人新潟経済社会リサーチセンター 研究部長・主管研究員 尾 島 進 氏 長岡商工会議所専務理事 樋 口 栄 治 氏 長岡大学准教授・地域研究センター運営委員長 石 川 英 樹 コーディネーター 長岡大学教授・地域研究センター運営副委員長 鯉 江 康 正 5 主 催 長岡大学地域研究センター 6 後 援 長岡市、長岡商工会議所、㈶にいがた産業創造機構、長岡産業活性化協議会長岡大学の鯉江でございます。本日は、長岡市より昨年度委託を受けて行った調査を元にまとめた、「長岡市の 人口1人当たりの市民所得分析」結果を報告させていただきます。
1.市町村民所得の構成要素
図表1をご覧ください。市町村民所得の構成要素は3つあります。雇用者報酬(いわゆる賃金・給与と雇い主の 社会負担を含む)と財産所得(非企業部門:地代、株等による収入を含む)と企業所得でして、企業所得の大小が 市町村民所得の大きさを決めている部分があります。 企業所得の中には、民間法人企業、公的企業、個人企業がありまして、いくつかの地域では、この企業所得が影 響して、非常に高い人口1人当たりの市町村民所得を形成しているところが見られます。 もう少し定義を明確にしておきますと、市町村民所得というのは、生産活動によって生み出された付加価値(追 加的につくられたもの、中間生産要素を除いたもの)です。その生産活動に労働・資本等の生産要素を提供した市 町村内の居住者(法人も含む)にどのように分配されるのかを把握したものです。 ですから、「域内総生産」という場合には、地域内でつくられるものなのですが、市町村民所得の場合、そこに 居住している人が対象となるということで、この点も若干違いがあることを念頭に置いていただきたいと思いま す。基 調 報 告 ①
『長岡市の市民所得分析』報告
長岡大学教授鯉江 康正
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2.新潟県内市町村の市町村民所得(平成16年度)
図表2は、新潟県内市町村の市町村民所得の大きさを見たものです。 県全体では、平成16年度に6兆5,891億円です。その内訳ですが、新潟市が35.4%、長岡市が12.0%、上越市が9.5% を占めています。確かに大きさだけで言えば、長岡は県内第2の都市であることがわかるかと思います。 このデータが平成16年度ということで、たまたま中越地震があった年ですが、その前後も見てみたのですが、そ れほど大きな違いはありませんでした。ですから、本質的なところはこの16年度のデータから捉えることができる と考えております。3.人口1人当たりの市町村民所得(平成16年度)
図表3をご覧ください。次は人口1人当たりの市町村民所得で、新潟県は2,692千円となっています。上位10市町 村は、第1位が湯沢町、第2位が聖籠町、第3位が刈羽村で、ここまでは、そうだろうなと思われる方も多いかと 思います。第4位が粟島浦村で、3,142千円もあるわけです。この理由は後ほど説明させていただきます。第5位が 上越市、第6位が燕市、第7位が柏崎市、第8位が新潟市、第9位が妙高市、第10位が長岡市という順になってい て、長岡は県内で第10位だということです。 この市町村区分ですが、村上市の合併を除く県内35市町村の合併時点の数字でまとめてあります。䠄䠀᩺₪┬හᕰ⏣ᮟ䛴
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実際に給料をもらっているのは人口ではなく働いている人なので、そういう意味で就業者1人当たりの雇用者報 酬を見てみます。図表4をご覧ください。そうしますと、新潟県の就業者1人当たりの雇用者報酬は3,639千円で、 上位の市町村を見ると、第1位が柏崎市、第2位が刈羽村、第3位が上越市、第4位が新潟市、第5位が妙高市、 第6位が長岡市ということで、長岡市は第6位まで上がってきます。したがって、一人ひとりがもらっている給料 でいえば第6位だということがわかります。 それにしても上越と新潟より低いところが若干問題かと認識しております。5.人口1人当たりの所得の要因分解
人口1人当たりの所得を分析するにあたって、その要因分解をしてみました。図表5をご覧ください。 最初に式を見ていただきたいのですが、(YD/NN)=(NW/NN)×(EE/NW)×(YY/EE)×(YD/YY)と なっていて、これを見ればわかるように、分子・分母が共通になっていますので、これは(YD/NN)=(YD/NN) という恒等式になります。NNは人口、YDは市町村民所得ですので、人口1人当たりの所得ということになります。 (NW/NN)は、(就業者/人口)つまり、長岡を例に取ると、長岡に住んでいてどこかで働いている人の割合で す。長岡ないし他の市町村で働いている人、いわゆる就業率と言われるものです。 (EE/NW)は、(従業者/就業者)です。従業者というのは長岡で働いている人です。例えば見附市にお住ま いで、長岡で働いている人は、従業者としては長岡になる。就業者としては見附市になる。これを一般的に「就従 比」と呼ぶのですが、どれだけ余計に通勤で他市町村から入っているかがわかる指標です。 ெཾ䠃ெᙔ䛥䜐䛴ᕰ⏣ᮟẰᡜᚋ䛴Ẓ㍉䟺ᖲᠺ16ᖳᗐ䟻 2,692 2,872 2,762 2,976 2,522 2,873 2,495 2,451 2,247 2,260 2,280 2,366 2,902 2,553 2,800 2,172 2,391 2,312 2,280 2,448 2,572 3,437 2,553 2,285 1,894 2,107 1,869 3,520 2,257 3,335 2,153 2,676 2,183 2,039 1,964 3,142 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 㻃┬ ゛ ᩺₪ᕰ 㛏ᒱᕰ ୕㉲ᕰ ᮪ᕰ ᓧᕰ 㻃᩺Ⓠ⏛ᕰ 㻃ᑚ༐ㆺᕰ ຊⱩᕰ 㻃༎⏣ᕰ ず㜻ᕰ ᮟ୕ᕰ ⇡ᕰ 㻃⣊㨮ᕖᕰ ዼ㧏ᕰ ἠᕰ 㻃㜷㈙㔕ᕰ ఫῳᕰ 㨮ᕰ 㻃༞㨮ᕰ ⫶හᕰ ⪯⡪⏣ ᘲᙢᮟ ⏛୕⏣ 㜷㈙⏣ 㻃ฝ㞴ᓧ⏣ ᕖཾ⏣ …Ἁ⏣ ༞⏣ ศ⩒ᮟ 㛭ᕖᮟ Ⲡᕖ⏣ ♼ᯐᮟ ᭽ᮟ ᒜ⏣ 㻃⢎ᓞᮟ 䟺༟న䠌༐ළ䠁ெ䟻䠅䠀ெཾ䠃ெᙔ䛥䜐䛴
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6.各要因の市町村民所得格差(所得水準)への影響
図表6をご覧ください。これは、各要因の市町村民所得格差(所得水準)への影響を見たものです。市町村民所 得格差の縦軸は、すべて所得水準で共通です。1に等しいときに新潟県の平均と同じで、それより上にあれば新潟 県の平均よりも高い。下にあれば平均よりも低いということになります。 ⑵の就業率格差と所得水準を示したプロット図は、35市町村の平成8年から16年の各水準をプロットしたもので す。 縦軸の所得水準をみると、この9年間で最高値は、平成14年度の湯沢町で1.678倍になっています。つまり新潟県 の所得の約1.7倍です。平均よりも人口1人当たりの所得が1.7倍高い。最低値が川口町の平成16年度値で、0.694倍に なっています。ただ、川口町はこの年に地震があったためにデータを見ても異常な数字が並んでいますので、参考 として見ていただければと思います。 就業率格差と所得水準の関係を見ると、粟島浦村の就業率が非常に高くなっております。それ以外はほとんど垂 直に並んでいて、就業率が高いか低いかでそれほど大きな要因にはなっていなさそうです。グラフですから尺度を 変えれば右上がりの傾向が見られると思うのですが、それほど決定的な要因ではない。ただし粟島浦村は、皆さん の印象からいけば所得が高くないと思われているかもしれませんが、先ほどお話しした通り人口1人当たりの所得 は高い。しかし就業者1人当たりの雇用者報酬で見ると150万円しかない。だから一人ひとりの給料は低いけれど、 多くの人が働いている。人口のうちほとんどが働いている。他の市町村はほぼ50%弱の就業率ですが、それに対し て粟島浦村は90%もの就業率がある。つまり子どもが居ないわけです。農業や漁業中心になるために、定年になっ ても働き続けているので、人口1人当たりで見ると高くなっているということがわかるかと思います。䠈䠀こᅄ䛴ᕰ⏣ᮟẰᡜᚋᕣ䟺ᡜᚋỀ‵䟻䛾䛴ᙫ㡢
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7.各要因の人口1人当たり所得への影響(平成16年度)
次は各要因の人口1人当たり所得への影響ということで見ていきます。図表7をご覧ください。長岡について は、人口1人当たりの所得は県平均並で、新潟市、長岡市、上越市で残念ながら第3位ですが、就業率は1位、就 従比も1位、生産性は4位、域内分配率が3位となっております。 図表5にあります式を4地域のデータで9年間、つまり36サンプルを元に要因分解をするために回帰分析をして みました。その結果が図表7の⑵の通りです。この式は元々恒等式ですので、決定係数は0.999で実質1、自由度修 正済み決定係数も1になります。t値も高く、決定要因としては4要因とも有意であることがわかります。 人口1人当たりの所得への貢献度の計算方法は、各説明変数について、まず新潟県の値との差分を計算します。 その格差分に各説明変数の係数、例えば就業率であれば54.9965をかけます。そうすると人口1人当たりの所得への 貢献度が計算できます。それをグラフにしてみました。䛙䛴୦⩽䛴㛣䛱䛵ㇿ䛴┞㛭䛒ず䜏䜒䜑䚯
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グラフの元になっているデータと計算結果を示したものが、以下の表です。 人口1人当たり所得の対新潟県格差の要因分解結果で、1人当たり所得は、新潟県平均よりも新潟市が年間18万 円ほど高い。長岡市が7万円ほど高い。上越市が28万円強高いわけです。長岡市について、その要因を見ていく と、就業率が2万1,000円プラスに働いて、就従比が11万2,000円プラスに働いて、生産性が16万2,000円マイナスに働 いて、域内分配率が9万7,000円ほどプラスとなっております。統計分析ですので誤差がありまして、2,000円ほどの 誤差が出ているという結果になっております。 統計的分析から見る限りにおいては、人口1人当たりの所得が長岡はあまり高くないということについては、生 産性が圧倒的に影響していることが結論づけられます。
8.各要因の個別検討
8.1 就業率要因 ここからは各要因を個別に検討したいということで整理しました。 図表8.1の⑴をご覧ください。就業率要因について見てみますと、一般に男性の方が所得が高いので、地域間で男 女別就業率の違いがある場合には、影響を受ける可能性があります。それを見るために、元々のデータは市町村民 所得統計というものを使っているのですが、残念ながら年齢階層別、男女別の人口及び就業者というのは市町村民 所得統計からは得られませんので、ここでは統計の違いを無視する形で、国勢調査から就業者数を出しました。 賃金構造基本調査によれば、平成16年度の男女別平均年間所得は、男性が459万円、女性318万円です。男女別就 業者数×男女別平均年間所得で、男女別の総所得を求めます。その男女計の総所得を総人口で割ることによって、 人口1人当たりの年間所得を計算することができます。 そうしますと、地域別の人口1人当たりの年間所得は、新潟県を100とした指数で見ますと長岡が101.6で、男女間 の就業率の違いを加味しても地域間格差はほとんど見られないということが分かりました。 ᖲᠺᖳᗐࠈ㛭㏻ࢸ࣭ࢰୌぬ 㸦ெᙔࡒࡽ ᡜᚋ ᑯᴏ⋙ ᑯᚉẒ ⏍⏐ᛮ ᇡහฦ㒼⋙ 㸝༐ළ㸞 㸝㸚㸞 㸝ಶ㸞 㸝༐ළ㸞 㸝㸚㸞YD/NN NW/NN EE/NW YY/EE YD/YY ᩺₪┬ . 50.5 0 7,430.5 7. ᩺₪ᕰ 2,872.0 50.4 4 7,320.2 7.8 㛏ᒱᕰ 2.2 50. 4 7,023.5 74.2 ୕㉲ᕰ .0 50.0 5 7,0 77.3 ᑊ᩺₪┬࡛ࡡᕣ㸝㒌ᕰ㸢᩺₪┬㸞 㸦ெᙔࡒࡽ ᡜᚋ ᑯᴏ⋙ ᑯᚉẒ ⏍⏐ᛮ ᇡහฦ㒼⋙ 㸝༐ළ㸞 㸝㸚㸞 㸝ಶ㸞 㸝༐ළ㸞 㸝㸚㸞 ᩺₪ᕰ 0.4 -0.4 0.5 -3 5.43 㛏ᒱᕰ 70. 0.383 0.0404 -407.0 2.577 ୕㉲ᕰ 284.4 -0.45 -0.8 5 5.23
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図表8.1⑵をご覧ください。4地域の人口1人当たりの所得、就業者1人当たりの所得、就業率の比較ということ で、15歳以上69歳以下の人を対象に、年齢階層別に見ました。なぜ69歳以下にしたのかというと、65歳以上の人の 年齢階層の所得が高かったのですが、現実には70歳や80歳で働いている方がいるので、その人達の所得がそんなに 平均的に高いとは思えないことから、69歳までの人を対象に計算しました。 ここでの仮説は、年齢階層が高ければ、所得は高くなる傾向があるため、地域間で年齢階層を考慮した人口1人 当たりの所得を計算し、その違いが年間給与水準そのものによる違いか、就業率による違いかを検討しようという ことです。 各地域の年齢5歳階級別男女別就業者数に新潟県の年齢5歳階級別男女別平均年間所得をかけると、各地域の年 齢5歳階級別男女別年間総所得が得られます。これを年齢階層で足し上げれば、各地域の年間総所得が得られま す。 それぞれの地域に対して、年間総所得÷人口で、人口1人当たりの所得が計算できます。まら、年間総所得÷就 業者数で就業者1人当たりの所得も計算でき、就業者数÷人口で就業率が計算できます。 それを比較してみると、図のようになっています。まず、人口1人当たりの所得を見ると、新潟県を100としたと き、新潟市は94.8という結果になりました。これはデータが国勢調査と賃金構造基本統計調査ですので、市町村民所 得とは違う結果になっております。 次に、就業者1人当たりの所得を見てみると、地域間格差はほとんど見られませんでした。このことから、新潟 市の人口1人当たりの所得の格差を生んでいる要因は、就業率の違いによるものということがわかります。新潟市 では確かに若年層の就業率が非常に低いということがあります。新潟市はやはり県庁所在地ですので、大学や高校 が沢山あるわけで、その就業率の低さがこういうところに表れているのではないかという結果が得られました。 長岡については全くそういう要因はありませんでした。
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8.2
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(2)
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(3)
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8.3
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(2)
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とりまとめ
いまお話ししたものをまとめたますと、以下の6点に要約できます。 1. 平成16年度の新潟県の市町村民所得の合計は6,589十億円であり、市町村民所得が最も多いのは新潟市の 2,332十億円(35.4%)で、長岡市の788十億円(12.0%)、上越市の627十億円(9.5%)が続いている。 2. 平成16年度の新潟県の人口1人当たりの所得は2,692千円である。これに対して、長岡市は2,762千円で県平 均を70.6千円上回っているものの県内35市町村中10位である。新潟市は2,872千円で8位、上越市は2,976千円で 5位である。 3. 人口1人当たりの所得は、就業率、就従比、生産性、域内分配率の積で表すことができる。要因分解の結 果、新潟県の人口1人当たり所得に対して、長岡市は、就業率要因+21.1千円、就従比要因+112.4千円、生産 性要因−161.8千円、域内分配率要因+96.6千円、誤差+2.3千円であった。 4. 就業率に関しては、男女構成、年齢構成共に、長岡市では大きな影響は無いことが明らかとなった。 5. 通勤による所得の移動を考慮すると、長岡市の場合、通勤流入超過による企業所得への貢献は、人口1人当 たりに換算すると、31.9千円であった。一方、居住地に持ち帰る雇用者報酬の流出分は73.7千円であった。長 岡市の人口1人当たりの所得は2,762千円であり、それほど大きな所得の流出が起きているわけではない。 6. 長岡市の場合、生産性の低さが人口1人当たりの所得の低さを決定づけていると思われる。産業構成を考慮 した標準化生産性を計算した結果、産業構成に不利な面は見られなかった。産業別生産性を見ると、ほとんど の産業で県平均並みか、それを下回っており、すべての産業で生産性を上げていくことが課題である。 以上で、私からの報告は終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。(4)
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1.回答企業の概要と業績
1.1 回答企業のプロフィール まずどういった企業にお答えいただいたかという企業のプロフィールを簡単にお話しさせていただきます。 創業後の年数については昨年度の調査と同様の回答結果でした。おおむね変化は無く「30 年以上」が8割程度で、 業歴の長い企業中心にお答えいただいていることが確認できます。 業種構成を見ていただきますと、食料品、繊維・衣服、金属製品、一般機械の構成比が高い。この4業種が柱になっ ています。それを経済産業省の工業統計調査の 2006 年 12 月時点調査における事業所数構成比と比較したものが〔図 表1〕ですが、若干、「金属製品」、「一般機械」、「その他」で多少のかい離はありますが、まあ同じような分布になっ ている。ということで、回答数は少ないのですが、概ね偏っていないと判断できます。 〔図表1〕業種の構成 12.7% 8.9% 5.1% 2.5% 2.5% 2.5% 1.3% 0.0% 1.3% 0.0% 25.3% 15.2% 3.8% 2.5% 2.5% 13.9% 14.1% 13.6% 6.7% 1.8% 4.2% 1.2% 1.7% 1.9% 3.3% 0.8% 14.5% 20.0% 9.4% 1.1% 1.9% 3.8% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 㣏ᩩဗ࣬ࡒࡣࡆ࣬㣣ᩩ➴ ⦼⥌࣬⾨᭱➴ ᮄᮞ࣬ᮄဗ➴ ࣂࣜࣈ࣬⣤ဗ ฝ∟࣬༰ใ Ꮥ࣬▴ἔဗ ࣈࣚࢪࢷࢴࢠဗ ❌ᴏ࣬ᅰ▴ဗ 㕪㗨ᴏ 㟸㕪㔘ᒌ 㔘ᒌဗ ୌ⯙ᶭ 㞹Ẵ࣬ሒ㏳ಘᶭჹ࣬㞹Ꮔ㒂ဗ➴ ㍲㏞⏕ᶭჹ ⢥ᐠᶭ ࡐࡡ ᅂㄢᰕ ᕝᴏ⤣゛基 調 報 告 ②
『長岡地域企業の成長・発展に関する基礎調査』報告
長岡大学准教授・地域研究センター運営委員長石川 英樹
続いて業態です。完成品をお作りなのか、完成品でも最終消費財か産業財か、それから半製品・部品という中間 財かという分類です。また部品加工も加えて4つに分けましてお答えいただいた結果なのですが、これも昨年とほ とんど同じです。完成品の産業財、中間財、部品加工といった企業間同士の B to B の取引をやってらっしゃる企業 が大半だという結果になっております。 続いて従業員数については、29 人以下を合計すると 54.4%と過半数になります。中小零細が中心になっているこ とが確認いただけます。また売上高についてもお答えいただいたのですが、5億円未満の企業が昨年同様高く、半 分を超えている状況でした。 1.2 業績等の1年前からの変化 以上のプロフィールを前提に、業績等が昨年と比べてどうなったかお答えいただいております。また売上高、従 業員数、利益、業績全般に対する評価についてもお聞きしております。 この業績等の変化を考える上では、どうしてもマクロ環境が大きな要因になるので、そこを見ておく必要がある わけです。昨年度調査の報告でもご紹介したのですが、日銀が発表している業況判断 DI が、すでに昨年時点でマイ ナスになってきていました。それがさらに落ち込んでいるのが確認できます(〔図表2〕参照)。そういった景況の 環境下における今回のアンケート調査ですので、やはり業績の変化についてのお答えも相当厳しい状態になってい るのではないかということが事前に予想されたわけです。 〔図表2〕日銀短観の業況判断DIの推移(新潟県) -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 2 000 /3 6 9 12 2 001 /3 6 9 12 2 002 /3 6 9 12 2 003 /3 6 9 12 2 004 /3 6 9 12 2 005 /3 6 9 12 2 006 /3 6 9 12 2 007 /3 6 9 12 2 008 /3 6 9 12 䟺㈠ᩩ䟻ᮇ㖗⾔᩺₪ᨥᗉ䚸௺ᴏ▯⤊ῥびῼㄢ䚹䜎䜐షᠺ䚭䚭䟺Ἰ䟻㻕㻓㻓㻛ᖳ㻔㻕᭮䛵ず㏳䛝䝋䞀䝃 ᩺₪┬㏸ᴏ ධᅗ㏸ᴏ 䟺᭮䟻 ただし、この調査をやったのは9月の終わりで、リーマンブラザーズの破綻等が9月中旬でした。その後一層激 しい金融上の変化が起きております。その直前に実施した調査であることをお含み置きいただければと思います。 まず売上高の変化についてお答えいただいたのですが、「減少した」が 30 社、38.0%で非常に高い比率になってし まっております(〔図表3〕参照)。同じような設問を昨年度の調査でも実施しております。昨年度の調査では「5 年前と比べてどう変わりましたか」という聞き方をしておりますので、ちょっと期間が違うということで単純に比 較するわけにはいかないのですが、一応比較してみました。これを見ますと、売上高の増加傾向が大きく鈍化して いることがはっきり見てとれるかと思います。 〔図表3〕売上高の変化 0.0% 6.3% 24.1% 29.1% 38.0% 2.5% 2.1% 22.1% 47.4% 11.6% 15.8% 1.1% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 㟸ᖏ࡞ቌຊࡊࡒ ࠾ࡽቌຊࡊࡒ ࡷࡷቌຊࡊࡒ ࠵ࡱࡽን࠷ ΅ᑛࡊࡒ ↋ᅂ➽ ᅂㄢᰕ ๑ᖳㄢᰕ 䟺Ἰ䟻๑ᖳㄢᰕ䛭䛵䚸㟸ᖏ䛱ቌຊ䛝䛥䚹䛒䚸ಶ௧୕䛱ቌ䛎䛥䚹䛭䛈䛩䛥
さらに売上高の変化を業種別に見ました。サンプル数が多くない点に注意する必要があるのですが、食料品・煙草・ 飼料等についてはどちらかというと「あまり変化がない」、「減少した」とお答えの傾向が強い。金属製品は「やや増 加した」が5に対して「減少した」も5で、明暗が分かれている。一般機械についてはどちらかというと「増加した」 企業の比率が高い結果になりました。 次は従業員数です(〔図表4〕参照)。やはり従業員数は年々そんなに大きく変動するものではないため、「あまり変化な い」、「やや増加した」という回答が多い結果になりました。これも昨年の調査と比べておりますが、注目すべきは「増加 した」の比率が減っている。昨年の調査では5年前と比較した変化を回答いただきましたので、変化している可能性が高かっ た。しかも増加傾向の企業が多かったのですが、今回は上向きの動きはあまり見られなかったということになります。 〔図表4〕従業員数の変化 0.0% 3.8% 21.5% 54.4% 19.0% 1.3% 0.0% 14.7% 33.7% 32.6% 17.9% 1.1% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 㟸ᖏ࡞ቌຊࡊࡒ ࠾ࡽቌຊࡊࡒ ࡷࡷቌຊࡊࡒ ࠵ࡱࡽን࠷ ΅ᑛࡊࡒ ↋ᅂ➽ ᅂㄢᰕ ᫎᖳㄢᰕ 䟺Ἰ䟻ᫎᖳㄢᰕ䛭䛵䚸㟸ᖏ䛱ቌຊ䛝䛥䚹䛒䚸ಶ௧୕䛱ቌ䛎䛥䚹䛭䛈䛩䛥 続きまして、経常利益についてうかがいましたが、「減少した」とお答えの企業が 39 社で、過半数でした(〔図表5〕 参照)。これも昨年の調査と比べましたが、やはり減少した比率が大きくなり、業績が非常に悪化している様子が見 られます。逆に「増加した」の回答比率は減っています。 〔図表5〕経常利益の変化 0.0% 3.8% 24.1% 20.3% 49.4% 2.5% 4.2% 11.6% 49.5% 14.7% 18.9% 1.1% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 㟸ᖏ࡞ቌຊࡊࡒ ࠾ࡽቌຊࡊࡒ ࡷࡷቌຊࡊࡒ ࠵ࡱࡽን࠷ ΅ᑛࡊࡒ ↋ᅂ➽ ᅂㄢᰕ ᫎᖳㄢᰕ 䟺Ἰ䟻ᫎᖳㄢᰕ䛭䛵䚸㟸ᖏ䛱ቌຊ䛝䛥䚹䛒䚸ಶ௧୕䛱ቌ䛎䛥䚹䛭䛈䛩䛥 以上の業績全般に対する評価について満足度をおうかがいしました(〔図表6〕参照)。「大いに満足」という企業 は1社もなく、あとは大体均等で、それぞれが同じ比率になっております。昨年も同じように最近の業績の変化に対 する満足度をうかがっております。それと比べますと、やはり満足度が下がっていることが一目瞭然の結果です。「大 いに不満」の比率が非常に高い。 〔図表6〕業績等全般に対する評価 0.0% 31.6% 32.9% 32.9% 2.5% 7.4% 47.4% 26.3% 17.9% 1.1% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% ኬ࠷࡞㊂ ࡱ࠵ࡱ࠵㊂ ࡷࡷ ኬ࠷࡞ ↋ᅂ➽ ᅂㄢᰕ ᫎᖳㄢᰕ