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出所:高橋宏『日本(JST)に最適なPO制度を求めて』(2006年3月14日東京曾舘でのプログラムオフィサー国内セミ ナーの資料)等より作成

おわりに

 本稿で言及した諸点以外にも競争的研究資金制度分析のテーマは多数ある。例えば、競争的研究資金制度におけ る研究領域選定・プログラム設計・研究課題採択・審査方法・中間評価・事後評価・追跡評価・研究開発評価の論

理と手法・研究資金使途・金額・支給時期・支出管理・繰越・延長・研究費と会計年度等のテーマがある。元来科 学技術の発展とは「未知への挑戦」であり、それを振興する科学技術政策、そのフィールドの一つである競争的研 究資金制度の設計・展開も未知への挑戦と言える。今後も制度設計・制度構築・制度運営上の改革・改善を一歩一 歩進めることが重要であると考える。

(1)米国では第1層のOSTP等が科学技術政策の国家最高意志決定機関であるが、その他にもNASという国家最高の 科学者団体が大統領府の科学技術戦略等への有効な助言をする。また競争的研究資金制度改革推進機関である FDPも存在する。

(2)米国の大学は研究大学と教育中心大学に明確にセパレートされている。競争的研究資金を莫大に獲得する研究 大学は3%程である。97%程が人材育成に特化する教育中心大学である。それぞれに強いミッションへの意識が 存在する。

(3)米国でもエネルギー省は本省自体がFAの役割を担っている。

(4)実際は国庫資金使用委託費の中にも補助金適正化法の対象になるものもある。

(5)JSTの高橋宏博士は国庫資金によって執行される委託費を「国家委託費」、独立行政法人によって執行される 委託費を「独法委託費」と呼ぶことを提唱している。

(6)Competitive  Awards―Competitive  Research  Grants・Competitive  Awards(CA)・Competitive  Research  Grants(CRG)はNSF資料の中で明確に使用されている表現である。

(7)基本的に米国のContractは日本の委託研究より、目的達成指向が強く研究推進のシステムもrigidであり、基礎 研究指向の日本の委託研究とは質的に異なる部分が強い。

(8)日本では2004年9月にPOセミナーが開催され米国NSFから3人、英国Research  Councilから1人、POを招いて 講演してもらっている。JSTの高橋博士のPO就任が2004年、PD就任は2006年である。

(9)一般的に米国では多様性を保証する制度構築が常識になっている。特に資源配分に連動する制度では重要に なってくる。FAのPO制度においても同様である。例えば、NSFではPOの40%は女性で、20%はマイノリティ であるというルールが存在する。

主要参考文献

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1.  はじめに(問題提起と先行研究のサーベイ)

1.1 問題提起

 産業集積の競争力は不変的なものではなく、可変的なものである。歴史の流れの中にその地域を構成する要素(情 勢などの環境変化を含む)が変化することで、産業集積の競争力や規模に差がつくようになる。本稿では、その 要素とは何かを探るために、新潟県長岡市と静岡県浜松市の比較研究を通じて明らかにしようとするものである。

ここでは、産業集積の規模と競争力を同じ意味で使っている。なぜなら、産業集積の規模が小さいほど過疎化の 進行度合いも急だからである。したがって、ʻ産業集積の規模は何に依存するのかʼ という問いは ʻ産業集積間の競 争力は何によって決定づけられるのかʼ にかえてもいい。ただ、この研究は事例研究であるため、競争力の決定要 因を全部サーベイすることはできず、両地域に限定したものしか決定要因としてとりあげることができないとい う問題点はある。だが、先行研究が少なかった地域(特に、長岡市)を対象とする点と、分析にとどまらず政策 提言を行なう点ではユニークである。

 長岡市は、新潟県内屈指の産業集積である。長岡市の産業集積は、日本経済の成長軌跡とほぼ同じ形で高度経済 成長期と安定成長期に飛躍的に発展を遂げてきたものの、その後は太平洋側の産業集積と比べさまざまな面におい て差が開いてきた。それで本稿では、前述したように産業集積としての長岡市が太平洋側の産業集積のパフォーマ ンスに大きな差が開いてきたのはなぜなのかという難問を、そして、これからこれ以上の差が開かないようにする ためにはどうしたらいいのかという難題を設定することから始めた。

1.2 長岡地域を対象とした産業集積の先行研究のサーベイ

 産業集積論の観点から長岡地域を対象とした先行研究は限られていた。そのなかで、代表的なものとして、鈴 木(2005)があげられる。鈴木(2005)は、イタリアの工作機械の集積地であるミラノと企業間関係、製品市場、

生産基盤、製品開発の方向性、企業経営の5つの項目について比較している。<表1>はそのまとめであるが、

共通点と相違点が確認できる。フルセット型の生産基盤を有している面では同じであるが、それ以外では差異が目立つ。

鈴木(2005)は工作機械の集積地でありながら共通点や相違点が存在する理由として、産業社会の特性と地域の歴史 を指摘している。

論稿

産業集積の規模は何に依存するのか *

−長岡と浜松の比較を通した長岡市と産業界への提言−

長岡大学環境経済学科准教授  

權  五 景

*  本稿は「学生による地域活性化提案プログラム―政策対応型専門人材の育成―」(2008年度)の一つとして、權五景ゼミ ナール(稲川智香、水瀬友絵、吉田真実、陳方、羽田征司、李萌)の成果物である『浜松にあって長岡にないもの』を修正 したものである。

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