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Japan Advanced Institute of Science and Technology

JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title Cyber Physical Systemの人材問題への応用に関する若

干の検討

Author(s) 椿, 光之助

Citation 年次学術大会講演要旨集, 35: 467‑468

Issue Date 2020‑10‑31 Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/17423

Rights

本著作物は研究・イノベーション学会の許可のもとに 掲載するものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Research Policy and Innovation Management.

Description 一般講演要旨

(2)

1

2C08

Cyber Physical Systemの人材問題への応用に関する若干の検討

○ 椿 光之助 (玄奘大學)

tsubaki20@hcu.edu.tw

1

1.. ははじじめめにに

私は、文部科学省科学技術・学術政策研究所第 1調査研究グループ研究員として在職しており ました2016年7月〜2019年9月までの間、業務の一 貫で博士人材のキャリアパスに関する調査研究 に従事しておりました。当時認識されていた様々 な問題の一つに、女性の人材のキャリアパスの問 題がありました。例えば、椿(2019)では、学校 基本調査のデータの内、平成元年度から平成30年 度までの30年分のデータを基に時系列データを 構成し、様々な指標の30年間の動向を観察しまし た。その結果、男女別、分野別、国公私立別に区 切った博士課程への入学者の集団は、それぞれ異 なる規模や変動パターンを示していることが分 かりました。当時、女性の博士人材の活躍を妨げ る要因の一つとして、「ロール・モデルの不在」が 認識されていました。従来、男性が圧倒的に多か った職場環境に女性が進出すると、お手本となる ロール・モデルの存在がいないために、どのよう に振舞って良いのかわからず、思うような活躍が できないという問題です。当時は、JGRADのプロジ ェクトに参画して頂いていた大学等の協力を得 て、ロール・モデルの選択肢となりうる人材の情 報を収集すること等が議論されていました。

本稿では、ロール・モデルの選択肢を提示する 手段として、現在、日本においても社会実装が進 みつつある「Cyber Physical System(CPS)」を活 用できるのではないか、という着想について、若 干の検討を行いたいと思います。

2

2.. CCaassee SSttuuddyy Episode 1:

JSTさくらサイエンスプランの「中国政府に よる⽇本の若⼿科学技術関係者招聘プログラ ム」で宿泊した鄭州市のホテルの店員の⽅は、

⽇本のアニメのコスプレイヤーで、中国国内で

⽇本のアニメーションが⼈気であることを教 えてくれた。

Episode 2:

臺灣の⾼校や⼤学で⽇本語を学ぶ学⽣には、

⽇本のアニメーションやアニメ・ソングから多 くの⽇本語を学んだと話していた⼈が多い。

Episode 3:

臺灣で活動しているあるコスプレイヤーの 方は、「初音ミクを好きかどうかわからない。初 音ミクの魂が私の中に入ってきて、私が初音ミ クのように振る舞うようになった」とおっしゃ った。

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3.. 考考察察

科学技術イノベーション政策の人材政策の枠 組みで、ロール・モデルの形成を促す情報を配信 することを考えるときは、どうしても政策的な効 果を期待して、その情報の内容を検討することに なります。そのため、人材の側から見れば、政府 の価値観に沿って「望ましい」という評価を受け た人材像に基づくロール・モデルの情報が提供さ

2C08

―467―

(3)

2 れることになります。よって、それらの情報は、

必ずしも、その人材が「なりたいイメージ」と重 なるわけではない人材像である可能性もありま す。そうすると、ロール・モデルの情報を作成す るために予算を支出したにもかかわらず、人材側 からの評価が期待するほど高くない可能性も十 分にあり得ることになるでしょう。

考えてみれば、例えば、憧れる対象を選ぶとき、

もちろん、きっかけが誰かの紹介であることもあ るかもしれないのですが、それに「憧れる」とい う心の動きは、おそらく無意識的で、多分に偶然 の産物であるような気がします。Episode 3のコ スプレイヤーの方も、初めて初音ミクを見てから、

9年くらいは、初音ミクを初めて見た時のことを 忘れていたそうです。しかし、初音ミクのコスプ レイヤーをするようになり、あちこちでパフォー マスをするようになった後のある日、「アルビノ」

のライブ映像の最後の方で、初音ミクに翼が生え る映像を見た瞬間、かつて落ち込んでいた自分が この翼の映像を見て勇気づけられたことを思い 出した、と言っていました。彼女の言葉を借りる と、初音ミクの翼を見たときに初音ミクの魂が自 分に入り込み、9年間の間に彼女を初音ミクのよ うに変化させてきたわけです。

本来、ロール・モデルとは、他者に宣言して説 明しなければならないものではなく、社会的地位 が高かったり大きな功績のある人物であったり しなくても良いはずです。上述のEpisode 3の方 のように、初音ミクのことをロール・モデルと意 識しているわけでも、覚えているわけでもないの に、結果的に初音ミクがロール・モデルとして機 能しているらしき状況すらあり得るわけです。

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4.. 結結論論

最後に、上の小さな考察をもとに、ロール・モ デル問題の解決に貢献するCyber Physical Syst emについて、少しだけ踏み込んで考えてみたいと 思います。おそらく、ある対象がロール・モデル

になるためには、その対象が、必ずしも同時代に 生きる人や、生身の人間である必要はなく、初音 ミクのように、人工的に形成されたモデルであっ ても良さそうです。そうであれば、古くは、小説、

伝記などの文字媒体や、漫画などの二次元の画像 情報が、紙に印刷されて配信されていたものに、

ラジオの音声情報や、映画、テレビなどの画像情 報が加わり、それとともに、ロール・モデルの形 成のされ方も多様化しつつ変化してきたと考え られます。そして、最近普及しつつあるような、

先端的なCyber Physical Systemを使えば、Cyber 空間内の対象とInteractiveな関係を構築するこ とができるようになります。そうなると、Cyberな ものを、パートナーや友達などの客体として認識 するだけでなく、その性質に憧れ近づきたいと思 う対象としてのロール・モデルとして認識するこ とも可能ですし、既に、そのようなことが、起こ りつつあるわけです。おそらく、Cyber Physical SystemというScience & Technologyの要素が拡 張したArtの世界において、もっと自由に多様な 表現が実現されていけば、きっと、女性の博士人 材が見てもロール・モデルにしたいと思える対象 が、作り出されていくのではないでしょうか。最 先端の科学技術イノベーションの発展を牽引す るのは、実は、Artなのかもしれない。ふと、その ような結論に思い至ったのです。

参考考文文献

妹尾堅一郎(2019)「『つくる』だけでなく『活かす』発想を:産 業パラダイム転換の時代における経営基盤のあり方」『日立評論

』2019,Vol.101,No.2

椿光之助(2019)「理系分野の博士人材の多様化の計測」NISTEP D ISCUSSION PAPER No.173

「Hatsune Miku Albino (アルビノ) Live」<https://www.yout ube.com/watch?v=bsTVXKpJqRM>(Access: 2020/09/29)

謝辞

情報提供に協力してくださった玄奘大學應用日語學系の学生の 皆さんにお礼を申し上げます。

―468―

参照

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