高等学校コンピュータ教室における表示装置の視認性に関する研究
学校教育専攻 総合学習開発コース 坂 本 経 男
1 .問題の所在
教育の情報化などにより,インターネットを はじめとした情幸防車信ネットワークの整備が進 み,テレビ会議システムを利用した学習にみら れるようにコンピュータを活用した授業の研 究・実践が多くなされるようになってきたD し かし,コンビュータ教室の機器については,従 来と同様に無造作に設置されていて,一つ一つ の機器の利用についての研究がなされていると は言い難い。また,高等学校においては,新学 習指導要領の実施に伴い,各教科・科目におい て,コンビュータ教室を利用した授業が実施さ れる機会がさらに多くなってくると予想される。
そこで,現状のコンビュータ教室の機器に目 を向け,特に,設置されている表示装置につい ての視認性(見やすさ)について調査・研究す ることとした。
2.研究の目的と方法 ( 1 )研究の目的
コンビュータ操作中心の指導と,授業中に資 料の提示や映像を視聴する場合など,教科・科 目での内容が異なる場合において,コンビュー タ教室に設置されている表示装置をどのように 利用すれば効果的で、あるのかlこついて視認性を 通して明らかにする。
(2)研究の方法
・表示装置を使った授業を通して,授業内容が 異なる場合における表示装置についての視認性
指導教官 藤 村 裕 一
を,生徒への質問紙から明らかlこする。
・座席の位置と質問紙の回答から,表示画面に 関して生徒が 見ゃれず'と感じるしきし値(境
目)を明らかにする。
3.質問紙による視認性調査の結果と考察 (1 )表示装置の視認性の違い
コンビュータ操作中心の指導のように細かい 動きを説明する場合および映像の視聴や資料を 提示する場合とも,一箇所の大きな画面に表示 できる機器より,生徒の近く(手もと)に表示 できる機器を利用する方が,見やすく,集中し て説明を聞くことができ,近く(手もと)に表 示できる
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鍛号の方が,視認性は高いことがわか ったO(2)表示装置ごとの視認性
近く(手もと)に表示できる機器においては,
授業内容の違いや,座席の位置の違いによる視 認性の差はみられなしL しかし,一箇所に表示 する機まにおいては,操作中心の授業よりも映 像視聴や資料提示の授業の方が見やすし1と感じ ている。また,授業内容に関わらず,回答に偏 りがあり,座席の位置で視認性の差がみられたD 4.表示画面の見かけ上の大きさ,歪みなどと
座席の位置との関連
(1 )コンピュータ教室の測定方法
一箇所に表示した場合は,授業内容に関わら ず,回答に偏りがあることから,測定を実施し た。視認性とコントラスト,解像度,文字フオ
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ントなどとのかかわりは,先行研究で明らかと なっている。そこで,画面の見かけ上の大きさ (画面の見える大きさ)という点から,座席の 位置から表示画面に対する,画面の左側および 右側における視線の上下の角度(高さ),視線の 左右の角度(横),表示画面までの視線移動の角 度,画面までの距離を測定した。
(2)表示画面に対する視認性のしきし可直 高校生に対する質問紙の中で肯定的な回答の あった座席をもとに区分けした結果と,測定結 果から表示画面に対する視認性のしきしイ直を示 す。
①画面に対する左右および上下の視線の角度 と歪みのしきい値
測定した結果から,画面の左側および右側に おける視線の上下の角度(高さ)から平均を求 めた。高さの平均と,視線の左右の角度(掛 から,積の値(面積に相当する)を求め画面の 見かけ上の大きさとして示した。また,歪みに ついては,画面の左側および右側における視線 の上下の角度(高さ)から,角度の大きい方と 小さい方の比率から,歪み率として示した。
画面の見かけ上の大きさから有意差がみられ た最も小さし可直は,高校生は66,大学生は 70 である。また,歪み率で,有意差がみられた最 も大きしイ直は,高校生は 20%,大学生は 15%
である。
②画面までの視線移動の角度のしきし1値 表示画面まで、の視線移動の角度については,
高校生においては,教室配置の関係から座席の 3分の 2以上が 900 以上の視線の移動が必要 であるため,有意差はみられなかったO
しかし,教室の正面を向いた状態からの表示 画面までの視線移動の角度では,3ぴ 以 下 に お いて,肯定的な回答が最も多くみられる。
また,大学生においては,最も大きな角度と して, 3ぴでの有意差がみられた。
5.表示装置の設置について (1)表示装置の視認性から
表示装置としては,機器操作,資料提示,一 斉視聴のいずれの場合においても,近く(手も と)に表示できる装置の方が見ゃれ1と感じて いる。利用した座席の位置との関連では,生徒 の回答に偏りはみられない。このことから,コ ンピュータ教室に設置する表示装置としては,
大きな画面を一箇所に表示する機器よりも,近 く(手もと)に表示できる機器の方が良いこと が明らかとなったO
(2)表示装置の境界値から
一箇所に表示した場合における表示装置の視 認性については,校種の違いをはじめ,設置さ れている表示装置,教室規模,コンビュータの 配置など様々な違し、から,明確な結果を得るこ とができなかったO しかし,設置する際の指標 として,距離ではなく,画面の見かけ上の大き さから画面に対して 見やすし,"と感じる境界 値を示したのが次の図である。
~ 歪み率15%"‑'20%以下
10度以上
図画面の見かけ上の大きさ,歪み率,
視線の角度の境界値
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