ポスター (日本語)
5月20日(水)
20 日
㈬ ポ ス タ ー
︵ 日 本語 P-001-1
伏見AF レジストリにおける脳卒中イベントの解析(1年データ)
1国立病院機構 京都医療センター 神経内科,2国立病院機構 京都医療センター 脳神経外科,3国立病院機構 京都医療センター 循環器内科
○安田 謙1,中村道三1,齊ノ内信1,後藤昌広1,河原崎知2,川端康弘2, 村瀬永子1,大谷 良1,青木友和2,福田俊一2,塚原徹也2,赤尾昌治3
目的】心房細動は脳梗塞の重大なリスクファクターである.伏見AFレジストリ は,伏見区を中心とした京都南部地域における心房細動患者を全例登録し,患者 背景や治療の実態調査,予後追跡を行う前向き観察研究で,心原性脳塞栓患者を できる限り減らすことを最終目標とする.【方法】伏見区は,総人口283,000人を 擁する京都市内最大の行政区であり,我が国の典型的な都市型人口構成を有する.
選択基準は心房細動が,12誘導心電図・ホルター心電図で一度でも同定された患 者とし,除外基準は設けなかった.参加施設は77施設で,その内訳は循環器セン ター施設が2施設,400床以下の中小規模病院が10施設,診療所が65施設であった.
今回2011年3月から2012年10月末までに登録された患者3,282例(伏見区総人口の約 1.3%)のうち,1年フォローを完了した2,914例(フォロー率88.8 %)を解析対象と した.【結果】平均年齢 73.9±10.8歳,男性 1,739人(59.7 %),女性 1,175 人(40.3 %),
平均CHADS2スコア 2.07±1.34であった.登録から1年間の観察の結果,脳卒中を 起こした患者は2,914例中,75例(2.57 %)で,虚血性脳卒中は66例(2.26%),出血性 脳卒中は9例(0.31%)であった.その内訳は,脳梗塞65例,一過性脳虚血発作1例,
脳出血8例,クモ膜下出血1例であった.【結論】伏見AFレジストリでの平均年齢 がRELYやARISTOTLEなどの新規経口抗凝固薬の第Ⅲ相試験と比較し高い傾向 にあったことは,臨床研究と観察研究での母集団の違いによるものと考えられ,
本研究はより臨床の現場での患者層に近いものと考えられた.今回は1年のフォ ローを完了した症例での中間解析であるが,今後さらに症例が集積しフォロー期 間が長くなるとともにより詳細な解析を予定している.
P-001-2
佐賀県西部における急性期脳梗塞の年代別病型分類 -BADとESUSを含めて-
1伊万里有田共立病院 神経内科,2伊万里有田共立病院 脳神経外科
○後藤公文1,田中達也2,内山 拓2,桃崎宣明2
目的】当院で加療した急性期脳梗塞の年代別病型分類を行い,各病型の病態と年 代ごとの特徴を検討する.【対象と方法】対象は2012年3月から2014年2月までに,
発症5日以内に当院に入院した脳梗塞症例連続314例 (男 163例;平均年齢 72.5歳,
女 151例;80.8歳).症例を64歳以下 (A群),65歳以上74歳以下 (B群),75歳以上84 歳以下 (C群),85歳以上 (D群),65歳以上全て (E群)とし,脳梗塞の病型をTOAST 分類に準じてLarge-artery atherosclerosis (L),Cardioembolism (C),Small-artery occlusion (S),Other determined etiology (O),Undetermined etiology (U)に分類し た.Branch atheromatous diseaseと診断された症例はTOAST分類から独立して BAD (Ba)とした.上記分類の他にEmbolic strokes of undetermined sourceに合致 する症例をESUS (Es)とした.【結果】χ2検定にて有意差を示した群は以下であっ た.1.全体:LではC,D,E群がA群に比し低値.CではC群がB群に,D群がA,
B群に比し高値.SではD群がA,B,C群に比し低値.OではC,D群がB群に比し 低値.BaではD群がB群に比し高値.Esでは年代毎に頻度が上昇しD群がA群に 比し高値.2.男性:LではC群がA群に比し低値.CではD群がB群に比し高値.
SではD群がB群に比し低値.BaではD群がA群に比し高値.3.女性:LではD群 がC群に比し低値.CではC,D,E群がA群に比し高値.SではD群がC群に比し低 値.【考察・結論】Cは高年代で頻度が高く,女性にその傾向が目立つ.動脈硬化 が主因と考えられるLとSは高年代で頻度が低下する.Baは高年代での頻度が高 くL,Sと異なる傾向を示した.Baには動脈硬化の他の因子も関与している可能 性があると思われた.Esは全体では高年代ほど頻度が上昇しCと類似していた.
佐賀県西部における脳梗塞再発予防は高年代ほど抗凝固療法が重要になると考え た.
P-001-3
脳卒中地域連携パスからみた急性期脳卒中患者の日常生活動作と認知機能の変動 について
愛知医科大学 神経内科・脳卒中センター
○泉 雅之,桑原千秋,湯淺知子,安本明弘,中島康自,安藤宏明,
田口宗太郎,比嘉智子,角田由華,藤掛彰史,福岡敬晃,徳井啓介,
丹羽淳一,中尾直樹,道勇 学
目的】当院では,2008年10月より脳卒中地域連携パスを運用している.今回,パスを運用 した急性期脳卒中患者の日常生活動作(ADL)と認知機能の変動を検討した.
【方法】2008年10月から2014年9月までの過去6年間に,当院に入院して脳卒中連携パスを運 用し,連携している回復期リハビリテーション病院(リハ病院)退院時までの経過報告書 を回収できた症例のうち,パス離脱例やADLと認知機能の評価に必要な項目の記載不備例 を除いた142例(男性79例,女性63例,年齢45〜95歳,平均74.4±10.7歳)を対象とした.評 価には,modified Rankin Scale(mRS),機能的自立度評価法(FIM),改訂長谷川式簡易知 能評価スケール(HDS-R)を用いた.そして,当院からリハ病院に転院時と退院時のmRS,
FIM,HDS-Rの変動を検討した.さらに,リハ病院の転帰(自宅,施設,転院)との関連 性についても解析を加えた.
【結果】脳卒中の内訳は,脳梗塞101例(アテローム血栓性65例,心原性26例,ラクナ8例,
その他2例),脳出血41例であった.リハ病院に転院時と退院時のmRSの平均は,各々3.5±
1.0,3.0±1.0,FIMの平均は,各々73.8±28.3,89.6±30.8,HDS-Rの平均は,各々19.1±7.7,
21.1±7.8と改善を認めた.また,転帰は自宅96例,施設37例,転院9例であったが,転帰が 自宅の退院時mRSは,施設や転院よりも有意に低値(p<0.01)であり,FIMとHDS-Rは有 意に高値(p<0.01)であった.なお,リハ病院退院時のmRSを,転院時より1以上改善した 群(69例),不変群(54例),1以上悪化した群(19例)の3群に分けると,改善群の退院時 FIMとHDS-Rは不変群や悪化群よりも有意に高値(p<0.01)であった.
【結論】当院の脳卒中地域連携パスを運用して,急性期脳卒中患者をリハ病院に連携するこ とにより,日常生活動作と認知機能の改善が期待されることが確認された.
P-001-4
自由行動下血圧および糖尿病は地域住民の認知機能低下に関係する 山形大学医学部 第三内科
○猪狩龍佑,和田 学,山口佳剛,高橋賛美,佐藤裕康,丹治治子,
小山信吾,荒若繁樹,川並 透,加藤丈夫
目的】生活習慣病と地域住民の認知機能低下との関係について,自由行動下血圧 測定(ABPM),糖負荷試験および脳MRIによる詳細な縦断研究はなされていない.
【方法】山形県S市の70-72歳の住民210名を対象に,血液・生化学検査,糖負荷試 験,ABPM,脳MRI,頸部血管超音波検査,MMSEを行い,その4年後に脳MRIと MMSEを再検した.2回目のMMSEで3点以上の低下を認知機能低下と定義した.
【結果】縦断研究において188名のデータ解析が可能であった.認知機能低下群に おいては,収縮期血圧値(日中および24時間平均血圧)が高値であり,また,糖尿病 の頻度が高かった.ロジスティック回帰分析では24時間収縮期血圧(平均値)は交 絡因子で補正しても,認知機能低下の有意な危険因子であった.また,初回MRI 施行時にすでに小血管病変を認めた157名では糖尿病および日中収縮期血圧(平 均値)が認知機能低下の独立した危険因子であった.
【結論】今回の研究から,すでに小血管病変が存在する地域の高齢者において,糖 尿病および日中収縮期血圧(平均値)が認知機能低下の独立した危険因子と考え られた.近年,糖尿病患者における臓器障害や死亡に関係して,血圧変動など自 由行動下血圧による血圧管理の重要性が指摘されている.小血管病変を認める地 域の高齢者においても,高血圧および糖尿病が将来の認知機能低下に密接に関係 しているものと考えられ,生活習慣病による臓器障害を知る上で,脳MRIと同様 にABPMによる血圧評価が重要であると考えられた.
P-001-5
住所不定患者における脳卒中の特徴
1東京都済生会中央病院 総合診療内科,2東京都済生会中央病院 神経内科
○荒川千晶1,関根真悠1,足立智英1,杉村勇輔2,山田 哲2,此枝史恵2, 星野晴彦2,高木 誠2
目的】当院は東京都より住所不定者の医療を委託されており,脳卒中に罹患した住所不定 者を診療する機会が多い.住所不定者は病院受診歴も少なく,動脈硬化危険因子を放置し ていることも多い.また,脳卒中を発症してから受診するまでに時間がかかることも多く,
急性期治療を受けられないことも少なくない.住所不定者の脳卒中の特徴を検討すること が目的である.【方法】2012年1月より2013年12月までに当院N棟(住所不定者対象病棟)
に入院した脳卒中連続20症例を後ろ向きに検討した.対照として2013年1月から2013年12 月に一般病棟に脳卒中で入院した連続271例も検討した.【結果】平均年齢は69.5歳,全例 男性であった.来院前の居住場所は路上8例,アパート4例,簡易宿泊所3例,寮3例であっ た.来院方法は救急車11例,独歩3例,当院もしくは他院に他疾患で入院中の発症5例であっ た.入院中発症を除いた15例で,発症から1日以内に来院した症例は1例のみであった.脳 卒中の内訳は脳梗塞17例,脳出血3例であり,脳梗塞の病型はアテローム血栓性梗塞7例,
心原性脳塞栓症3例,ラクナ梗塞3例であった.高血圧,糖尿病,脂質異常症を有していて も未治療の症例が多く,喫煙は10例で認められた.アテローム血栓性梗塞7例において,責 任血管は中大脳動脈4例,頭蓋内内頚動脈1例,頭蓋外内頚動脈2例であった.退院時mRS は0-2が8例,3-6が12例であった.退院先として回復期リハビリテーション病院に転院した のは5例のみであり,そのうち4例は山梨県の病院であった.【結論】住所不定者の脳卒中は 脳梗塞が多く,脳梗塞の病型としてアテローム血栓性梗塞が多かった.一般病棟入院患者 と比して狭窄血管は中大脳動脈狭窄が多かった.動脈硬化危険因子は未治療であることが 多く,喫煙も高率に認められた.退院に際し回復期リハビリテーション病院への転院は困 難であり,転院可能となった場合にも都外の病院になることが多かった.
P-002-1 取り下げ演題
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P-002-2
脳梗塞患者における尿酸値の検討(第二報)
1平塚共済病院 神経内科,2横浜市大 神経内科
○山本良央1,土橋裕一1,菅原恵梨子1,桃尾隆之1,田中章景2 目的】昨年の本会で脳梗塞患者375例で,心房細動(af)のある患者では有意に尿酸値が高い と報告したが,尿酸高値(HUA)がafの独立した危険因子かどうかは未検討であった.HUA は心血管イベントやaf発症の危険因子と考えられているが,一方で尿酸値には性差がある ことが知られている.このことから,性差に注目し,これらの関係は男性に認めず,女性 にのみ認めたとする報告もある.今回はHUAがafの独立した危険因子かどうか,性差がど う関わるかを検討することを目的とした.
【方法】2012年7月から2014年6月までに入院した脳梗塞患者499例のうち,尿酸値が測定さ れていない14例を除いた,485(男278)例を対象とし,入院時の尿酸値と,入院時Dダイマー,
入院時NIHSS,退院時mRS,入院時Cre値,af有無との関連について,全体・男性群・女性 群の3グループで各々検討を行った.また,af有無(有137例)に影響する因子の検討として,
年齢,Cre値,尿酸値,既往(HT/HL/DM)を用いて,全体・男性群・女性群の3グループで 各々多変量解析を行った.
【結果】女性と比して,有意に男性で尿酸値が高かった.尿酸値とDダイマー,NIHSS,
mRSはいずれも相関を認めなかった.尿酸値とCreは全体と女性においては有意な正の相 関を示した.afの有無で検討すると,全体および男性では年齢と尿酸値がafあり群で有意 に高値であった.一方女性においては,afあり群で有意に年齢とCre値が高値であった.
多変量解析で全体および男性では,年齢と尿酸値が独立してaf有無に影響していたが,女 性では年齢のみが影響していた.
【結論】脳梗塞患者において,尿酸値は重症度や予後には関連しない.脳梗塞発症患者の後 ろ向きの検討ではあるが,尿酸値は男性においてafの独立した危険因子であり,女性では その関係は認めず,既報とは異なっていた.既報通り女性のHUAがaf発症の危険因子であ るならば,HUAはafを発症しても脳梗塞を起こしにくいのかもしれない.
P-002-3
心アミロイドーシスにおける虚血性脳血管障害の危険因子についての検討
1信州大学医学部 脳神経内科,リウマチ・膠原病内科,2長野市民病院 神経内 科,3諏訪赤十字病院 神経内科,4信州大学 バイオメディカル研究所
○道傳 整1,中川道隆2,中村勝哉1,安出卓司3,東城加奈1,関島良樹1,4, 池田修一1,4
背景】家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)や老人性全身性アミロイドーシ ス(SSA)による心アミロイドーシスでは,伝導障害や左室拡張障害に起因する心不 全を伴う.【目的】心アミロイドーシスに着目し,FAPおよびSSAにおける脳梗塞の 危険因子を明らかにする.【方法】FAP患者の診療録を調査し,脳梗塞および一過性 脳虚血発作(TIA)を認めた脳卒中合併群(S群)と,対照群として2013年6月〜2014 年6月に当科入院歴があり,かつ虚血性脳血管障害を認めなかった脳卒中非合併群(N 群)を抽出した.SSAにおいては当科で診断確定した20例を虚血性脳血管障害の有無 でS群とN群に分類した.FAP,SSAそれぞれ両群間で年齢,罹病期間,脳卒中病型,
心電図・心エコー所見,99mTc-ピロリン酸心筋シンチグラフィでの集積の有無,心房 細動の合併率,ペースメーカー植え込み率,血漿BNP値を比較した.【結果】FAPはS 群5例(心原性脳塞栓症 3例,TIA 1例,ラクナ梗塞 1例)とN群41例,SSAはS群5例
(心原性脳塞栓症 3例,TIA 1例,病型不明の脳梗塞 1例)とN群15例が対象となった.
FAPにおいて年齢,左房径,BNP,ペースメーカー植え込み率は有意にS群で高く,左 室駆出率(EF)はS群で有意に低かった(p<0.05).SSAにおいて年齢,左房径は有意 にS群で高く,EFはS群で有意に低かった(p<0.05).SSAでのBNPはS群,N群とも同 程度に高値であった(257±135pg/ml vs. 282±223pg/ml).また,FAPとSSAを比較 するとSSAはFAPより高齢で心房細動合併率が高く,強い左室拡張障害を伴う心機能 低下を認めた(p<0.05).【結語】高齢で左房径拡大,EF低下を認める心アミロイドー シス患者は脳塞栓症の高リスク群である.SSAは高齢発症で心不全や心原性脳塞栓 症を契機に初診となる可能性があるため,注意が必要である.
P-002-4
佐渡島における脳血管障害の危険因子についての検討−PROST研究から−
1新潟大学医歯学総合病院 神経内科,2新潟大学医歯学系臓器連関研究セン ター,3新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター分子神経疾患資源解析 学,4新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野
○赤岩靖久1,横関明男2,小野寺理3,西澤正豊4
目的】近年の超高齢化社会に伴い脳血管障害は増加しており,死亡率こそ低下はしてきているが,肺 炎などの併発による入院治療,日常生活動作(ADL)の低下や認知症に対する介護などで,社会的な損 失は大きい.全国平均よりもさらに高齢化が進んでいる新潟県佐渡市をフィールドとした疫学研究を もとに,脳血管障害の危険因子について検討する.
【方法】佐渡島における「寝たきりゼロを目指した多面的オミックス疫学研究:Project in Sado for Total Health (PROST)」に2008年6月から2014年11月までに登録された2395例(男性1277名,登録時平 均年齢68.7歳)を対象とした.臨床項目として,年齢・性,身長・体重・血圧,高血圧・糖尿病・脂質 異常症・心血管障害・腎機能障害の既往と治療歴,血糖・血中脂質・クレアチニン・ヘマトクリット 値などの血液検査,喫煙・飲酒歴・食事運動内容,頭部MRI画像での白質病変の容積などを検討した.
【結果】平均観察期間は939.9日であった.死亡は104例で,脳血管障害が直接死因であったものは6例 であった.観察期間内の心脳血管イベントは39例に認められ,脳梗塞17例,脳出血9例,くも膜下出血 3例,心疾患12例であった.死亡した群では,心筋梗塞の既往(p<0.001),骨折の既往(p=0.007),心イベ ントの発症(p<0.001),脳血管障害の発症(p<0.001)が有意に多かった.また,脳血管障害を発症した 群では,脳血管障害の既往(p=0.035),高血圧の既往(p=0.047)が有意に多かった.
【結論】今回の我々の検討では,脳血管障害が直接の死因にはならないものの,その発症が死亡に強く 結びついていることが改めて確認できた.また,骨折などのADLの低下も重要な因子であることが認 められた.脳血管障害は,再発も多く更なるADLの低下と死亡につながるため,高血圧治療を含めた 発症予防が重要である.脳血管障害予防のための治療戦略の確立に向けた今後の検討が必要であると 考えられた.
P-002-5
脳梗塞/TIA症例における総ホモシステインの検討 豊見城中央病院 神経内科
○長谷川樹里,西平 靖,遠藤一博
目的】 高ホモシステイン血症は,脳梗塞の独立した危険因子で全ての病型での 関連性が報告されている.また,他の動脈硬化性疾患の危険因子とも言われてい る.本報告は脳梗塞/TIA症例における高ホモシステイン血症と他の動脈硬化性 疾患の合併との関連を明らかにすることを目的とした.
【方法】 対象は,平成23年4月1日から平成26年11月までに脳梗塞/TIAで入院し当 科で関与した466例のうち,総ホモシステインを測定した444例とした.研究デザ インは後ろ向き観察研究とし,(1)患者背景に関する項目:年齢,性別,脳梗塞の 病型,高血圧・脂質異常症・糖尿病・CKD・喫煙歴・飲酒歴の有無,(2)合併症に 関する項目:頚動脈エコー検査でのプラークスコア(以下PS)(0〜5,または5.1以上),
閉塞性動脈硬化症(以下PAD)(ABI≦0.9またはABI>0.9)の有無,虚血性心疾患 (CAGで有意狭窄75%以上,運動・薬剤負荷心筋シンチのいずれか陽性,または過 去の冠動脈疾患治療歴)の有無,脳MRIのT2*強調像における微小出血の有無 (0〜4個,または5個以上)を診療録より調査した.統計学的分析は,総ホモシステ イン低値群(≦13.5 nmol/mL)と高値群(>13.5 nmol/mL)の2 群に分類し,カイ二乗 検定を用いて比較した.
【結果】 総ホモシステイン低値群は303例(男性176例,女性127例),高値群は141例 (男性89例,女性52例)であった.総ホモシステイン低値群と比較して高値群は,
PSが高値の割合(47.9% vs 62.7%,p=0.0047)が高く,PADの合併の割合(9.9% vs 23.1%,p=0.0003)が高く,虚血性心疾患の割合(12.7% vs 24.8%,p=0.0014)も高 かった.脳の微小出血の有無に差は認められなかった.
【結論】 脳梗塞/TIAにおける高ホモシステイン血症が,頸動脈の中等度以上の動 脈硬化,PAD,虚血性心疾患の合併に有意に関連があると考えられた.
P-003-1
高感度CRPと無症候性脳病変,認知機能との関連
1島根大学 神経内科,2島根大学 臨床検査医学
○三瀧真悟1,中川知憲1,高吉宏幸1,小黒浩明1,長井 篤2,山口修平1 目的
血管内皮での炎症反応は動脈硬化の進展に深く関わっていると考えられており,特に冠動脈疾患と炎症との 関連に関しては,多くの報告がある.脳血管障害においては,頸動脈病変など大血管病変と炎症反応との関 連性は示唆されているものの,小血管病変や白質障害との関連性はいまだに確立していない.そこで今回 我々は,高感度CRPと無症候性脳病変 (無症候性梗塞および微小出血),深部白質障害との関連性を検討した.
方法
2007年1月から2014年3月にヘルスサイエンスセンター島根で脳ドックを受診した健康成人のうち,データが 確認可能な519人(女性235人,男性284人,平均年齢63.5±10.3歳)を対象とした.高感度CRPは値により,3 群 (<0.03, 0.04-0.07, >0.08)に分類した.脳室周囲高信号および深部白質障害はMRIのFLAIR画像を用い,
Fazekasの基準をもとに分類した.脳梗塞は3㎜以上のT2高信号およびT1低信号病変とし,微小出血はT2*
画像を用いて評価した.認知機能は岡部式およびFrontal assessment battery (FAB)で評価し,やる気スコア およびself-rating depression scale (SDS)を用いて,アパシーおよびうつ状態を評価した.
結果
単変量解析では,高感度CRP値が高い群では収縮期,拡張期とも血圧が高く (p=0.004およびp=0.01),喫煙 者の頻度が高かった (p<.0001).また高感度CRP値が高い群では,無症候性梗塞 (p=0.02)および微小出血(p=
0.03)の数は有意に多く,深部白質障害 (p=0.04)および脳出周囲高信号 (p=0.04)の程度は有意に高度であった.
認知機能および情動機能に関しては有意差はなかった.ロジスティック解析では,高感度CRPは無症候性脳 梗塞に対して独立して関連する因子であり,3群のうち最も低値群を基準とした場合,最も高値群のオッズ比 は3.5 (p=0.01)であった.
結論
高感度CRPと無症候性脳梗塞との関連性が示唆された.
P-003-2
高感度CRPが急性期脳梗塞患者の予後に与える影響-Fukuoka Stroke Registry-
1九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学,2九州大学大学院医学研究院病態 機能内科学
○松尾 龍1,鴨打正浩1,脇坂義信2,黒田淳哉2,吾郷哲朗2,北園孝成2 背景と目的】高感度CRP(high-sensitive C-reactive protein: hsCRP)は心血管病 のリスクとされているが,急性期脳梗塞患者に及ぼす影響については不明である.
本研究において,hsCRPが急性期脳梗塞患者の予後に及ぼす影響について検討し た.
【対象と方法】2007年6月から2014年5月までに脳卒中多施設共同登録研究である Fukuoka Stroke Registryに登録された脳卒中患者のうち,発症24時間以内来院,
発 症 前 自 立,入 院 時 hsCRP を 測 定 し え た 脳 梗 塞 患 者 3653 名 を 対 象 と し た.
hsCRP4分位(Q1≦0.50, 0.51<Q2≦1.25, 1.25<Q3≦4.7, Q4>4.7)にしたがい患者 を4群に分類した.入院中の神経症状改善(退院時NIHSS0またはNIHSS4以上改 善),神経症状増悪(退院時NIHSS2以上増加),予後不良(3カ月後mRS≧3)を目的 変数として,ロジスティック回帰分析を用いて感染症などの交絡因子を調整した.
【結果】hsCRPが高値になるにつれて,年齢は高く,NIHSSは高値であった.Q1 群と比べQ4群では,神経症状改善の頻度は減るのに対し(多変量調整OR 0.77, 95%CI 0.63-0.95),神経症状増悪リスク(多変量調整OR 1.70, 95%CI 1.28-2.26),お よび予後不良リスクは増加した(多変量調整OR 2.05, 95%CI 1.55-2.70).
【結語】発症時のhsCRP値高値は,発症後の神経症状の改善が乏しく,予後不良リ スクとなる可能性が示唆された.
20 日
㈬ ポ ス タ ー
︵ 日 本語 P-003-3
当院での脳梗塞病型診断におけるDダイマー・BNPの有用性に関する検討 亀田総合病院 神経内科
○藤澤恵津子,徳本健太郎,山本雄貴,矢野 祖,田島和江,三戸部扶美,
片多史明,佐藤 進,柴山秀博,福武敏夫
目的】脳梗塞患者の病型診断においてDダイマー,BNPなどのバイオマーカーの 有用性が示されている.Dダイマーは心原性塞栓と悪性腫瘍によるCryptogenic strokeで上昇しやすいとされている.また,BNPは心原性脳塞栓において他の病 型と比較して高値となることが報告されている.当院でも同様の結果となるかを 調べた.【方法】2013年1月1日-2013年12月31日の期間に入院した脳梗塞患者を対 象に,Dダイマー値およびBNP値を後ろ向きに調査した.Dダイマー値および BNP値は入院時に測定したものを使用した.【結果】脳梗塞入院患者は324例で,
入院時にDダイマー値およびBNP値の両方が測定されていた症例を抽出した.両 方を測定していた症例は185例(男性 111例,女性 74例,平均年齢 76.4歳)であ り検討の対象とした.心原性脳塞栓 85例,アテローム血栓性脳梗塞 56例,ラ クナ梗塞 21例,BAD 14例,トルソー症候群 5例となった.Dダイマーの平 均値はそれぞれ3.57μg/ml,1.20μg/ml,0.95μg/ml,0.31μg/ml,15.84μg/mlと なった.BNPの平均値はそれぞれ280.0pg/ml,107.3 pg/ml,91.9 pg/ml,95.6 pg/ml,133.7 pg/mlとなった.心原性脳塞栓ではDダイマー,BNP高値を認めた.
またトルソー症候群でDダイマー高値を認めた.【結論】解析の結果は既報告と 同様であり,Dダイマー・BNPは脳梗塞病型分類のバイオマーカーとして有用で あると考えられた.
P-003-4
脳脊髄液タウ,Aβ42に対する脳梗塞の影響 金沢大学大学院脳老化・神経病態学(神経内科学)
○島 啓介,篠原もえ子,小野賢二郎,中野博人,山田正仁
目的】我々は,進行性の認知機能障害を来し髄液総タウが高値のため,当初クロ イツフェルトヤコブ病を疑ったが,両側視床梗塞を認め,その後の経過が良好で あったため血管性認知症と診断した症例を経験した.プリオン病において脳脊髄 液(CSF)中のNSE(neuron specific enolase),14-3-3蛋白,タウ蛋白が高値を示すの は,神経細胞の破壊により神経細胞からCSF中に遊離することを反映しているが,
同様に細胞破壊がおこる脳血管障害におけるCSFマーカーについての報告は少な い.CSFマーカーが脳血管障害の影響をどの程度反映しているかを検討した.
【方法】2001年から2014年まで当科受診の虚血性脳血管障害で,CSF検査を施行し た症例に対し,頭部MRI画像とCSF検査の結果を後ろ向きに検討した.CSFは総 タウ,リン酸化タウ,Aβ42を測定した.
【結果】脳梗塞を発症した例で,CSF検査を施行した例は9例あり,その理由は認 知症状の原因の鑑別,炎症性疾患,髄膜炎の経過の評価するためであった.CSF 総タウを測定した9例中7例でが高値であった.脳梗塞患者で頭部MRI DWI画像 を施行したのは8例あり,そのうち高信号病変を呈した5例全例でCSF総タウが高 値を示し,DWI高信号病変のない2例は正常範囲内であった.高度の深部白質病 変を認めた2例についてはCSF総タウが軽度の高値であった.CSFAβ42,リン酸 化タウには特記すべき特徴を見いだせなかった.
【結論】脳梗塞発症後比較的早期の症例はCSF総タウが高値である傾向があった.
DWIで高信号病変がなくなった時期にCSF検査をすることで,脳梗塞の影響を除 外できる可能性がある.
P-003-5
頸部血管エコーを用いた簡便な椎骨・脳底動脈の血管径予測
1熊本赤十字病院,2熊本大学大学院生命科学研究部 神経内科学分野
○長尾洋一郎1,2,中島 誠2,三浦正智2,藤本彰子2,植田明彦2,渡邉聖樹2, 安東由喜雄2
目的】頭蓋内の椎骨・脳底動脈血管径の拡張は,心・血管イベントの予後に関連 することが指摘されている.しかし頭蓋内血管径の測定にはCT angiographyや MR angiography,血管造影検査などが必要である.より安価で簡便な頸部血管 エコー検査の所見を用いることにより,頭蓋内椎骨・脳底動脈の血管径をどの程 度正確に予測し得るかを検討した.
【方法】2013年4月から2014年8月までに入院した発症7日以内の急性期脳梗塞患者 を対象とし,脳梗塞データベースを用いて診療録を用いて性,年齢,患者背景,
臨床病型を含むデータを収集した.頸部血管エコーで測定した頸部椎骨動脈径 と,MRAのMIP画像を用いて測定した頭蓋内椎骨動脈V4部分および脳底動脈の 最大径の間の相関関係を検討した.
【結果】MRAと頸部血管エコーは46症例 (男性 31例,年齢 69 ± 14歳) で得られた.
MRAにおける脳底動脈径は3.52 ± 0.51 mm,頭蓋内椎骨動脈径は2.38 ± 0.56 mmであり,頸部血管エコーでの椎骨動脈径は3.62 ± 0.53 mmであった.頸部椎 骨動脈径と同側頭蓋内椎骨動脈径との間には相関関係が認められた (右: ρ = 0.56, p< 0.001,左: ρ = 0.50, p = 0.001).また頸部椎骨動脈径の左右平均値と脳 底動脈径との間には弱い相関が認められたが(ρ = 0.37, p = 0.016),脳底動脈径 と頸部椎骨動脈優位側の血管径(ρ = 0.31)や平均血流速度(ρ = 0.05)との間 には有意な相関は認められなかった.
【結論】頸部血管エコーで椎骨動脈血管径を測定することにより,頭蓋内椎骨動脈 血管径をある程度予測することができたが,脳底動脈血管径の予測は困難であっ た.
P-004-1
スタチン服用脳梗塞患者群のLDL変化率と血中Hcy値,葉酸,VitB12との関係に ついて
東邦大学医療センター大橋病院 神経内科
○杉本英樹,小林茉莉,萩原 渉,布施彰久,佐々木美幸,井上雅史,
今村友美,北薗久雄,村田眞由美,紺野晋吾,中空浩志,藤岡俊樹 目的】高コレステロール血症は脳梗塞の危険因子であり,LDL-Cが高値になるほ ど血小板が活性化され,血栓傾向が高まることが知られている.一方,独立した 動脈硬化促進因子であるホモシステイン(Hcy)は早期より動脈硬化の進展度を反 映するマーカーである.前回,ピタバスタチン(Pit)が早期より血小板活性化マー カーを改善することを報告し,動脈硬化の進展度に関係なく薬剤効果があること を報告した.今回,Pit服用によるLDL変化率により高値群・低値群に分け,各群 の血中Hcy値,葉酸,VitB12との関係について検討をした.
【方法】Pit服用の高コレステロール血症合併脳梗塞症25名(男性14 名,平均年齢 64.8 歳)を対象に,Pit投与前後の血清脂質を測定してLDL変化率を算定した.
LDL変化率の高値群・低値群に分け,血中Hcy値,葉酸,VitB12との関係ついて検 討を行った.
【結果】血清脂質(TC, HDL-C, TG, LDL-C, non HDL-C)はPit投与前後において有意 な改善作用を示した.LDL変化率(中央値-35.78)の低値群,すなわちLDL改善効果 が良かった群では有意にHcy値が高く(p<0.05),逆に葉酸は低い傾向がみられた.
VitB12は差がなかった.
【結論】Hcy値はスタチン投与に影響されない独立した動脈硬化因子である.今 回,脳梗塞再発リスクのより高いと考えられるHcy高値群において,葉酸が低い 傾向がみられた.このことは,Hcy高値群においては,スタチン投与とともに葉 酸を多く摂取するように指導することがHcy値を抑制して脳梗塞の再発を抑制す る方向に導く可能性が考えられた.
P-004-2
脳卒中急性期の入院時血清Cペプチド値と入院中死亡との相関について
1新潟大学医歯学総合病院 神経内科,2新潟大学医歯学総合病院高次救命災害医 療センター,3新潟大学脳研究所神経内科
○二宮 格1,赤岩靖久1,上村昌寛2,下畑享良3,西澤正豊3
目的】Cペプチドはプロインスリンから生成される代謝産物であり長らく生理活 性をもたないと考えられてきたが,近年種々の免疫応答への作用や動脈硬化に対 する作用が明らかにされつつある.入院時の血清Cペプチド値と脳卒中急性期患 者の予後に関して検討した報告は今までにない.今回,我々は脳卒中急性期患者 における,入院時血清Cペプチド値と予後との関連を検討した.
【方法】2012年1月1日から2014年3月31日に当科に入院した急性期脳卒中患者181 名(虚血性脳卒中 133名,出血性脳卒中48名,男性103名,平均年齢71歳)を対象 とした.入院時血清Cペプチド値が3.7 ng/dl以上を高値群,3.7 ng/dl 未満を通常 群として,それぞれ,NIHSS,mRS,血液検査所見などについて検討した.
【結果】高値群は63名(男性37名,平均年齢70歳),通常群は118名(男性66名,平 均年齢72歳)であった.高値群は,通常群に比べて,入院時平均血糖値(高値群 155 mg/dl vs 通常群 126 mg/dl, P<0.01)と入院時平均血清クレアチニン値(高値 群 1.82 mg/dl vs 通常群 0.76 mg/dl, P<0.01)が有意に高く,推算糸球体濾過量(高 値群 54.4 ml/min/1.73m2vs 通常群76.3 ml/min/1.73m2, P<0.01)が有意に低かっ た.また,高値群においては退院時(mRS6)(高値群 12名(19%) vs 低値群 9名(8%), P=0.029)の割合が有意に高かった.
【結論】脳卒中急性期において,血清Cペプチド値が3.7 ng/dl以上であることは入 院中死亡の新たな危険因子である可能性が示唆された.血清Cペプチド値を是正 することが脳卒中の予後の改善につながるかどうか,今後さらなる臨床研究が期 待される.
P-004-3
発症前糖尿病治療と脳梗塞急性期の予後について
1順天堂大学医学部 脳神経内科,2順天堂大学医学部附属浦安病院脳神経内科
○栗田尚英1,田中亮太1,山城一雄1,上野祐司1,島田佳明1,黒木卓馬1, 平健一郎1,卜部貴夫2,服部信孝1
目的】糖尿病や入院時の高血糖は脳梗塞急性期予後の不良因子である.発症前 糖尿病治療の有無や治療内容が急性期予後に与える影響について明らかにする.
【方法】2011年3月〜9月まで順天堂医院に入院加療を受けた急性期脳梗塞,TIA症 例124例について検討.脳動脈解離7例,活動性悪性腫瘍合併6例,膠原病合併1例,
その他3例を除いた107例を解析.入院時NIHSS,退院時mRS,神経症候悪化 (END),入院中の再発 (RS)を検討した.【結果】糖尿病合併例(DM群36例),非合 併例(non-DM群71例)を比較した.DM群はnon-DM群に比しHbA1c (7.2±1.2 vs 5.8±0.37, p<0.0001),入院時血糖値 (160.6±51.5 vs 111.5±24.5, p<0.001)が有意 に高値示した.入院時NIHSS,退院時mRSは両群間で差は認めなかったが,END はDM群で有意に多く (16.7% vs 1.4%,p=0.003),入院中の再発もDM群で多かっ た (11.1% vs 4.2%,p=0.17).次にDM群36例を発症前糖尿病治療別に急性期予後 を比較した.インスリン治療群 (I群;8例),非インスリン治療群 (non-I群;22例), DPP-4阻害剤 or Pioglitazone治療群 (DP群;8例),未治療群 (M群;5例)に分けて解 析した.HbA1c,入院値血糖値はM群が最も高値を示したが,ENDやRSは各群 間での差は認めなかった.【考察】急性期脳梗塞 or TIAでは糖尿病の合併が急性 期予後不良因子であった.一方で発症前糖尿病治療は急性期予後に影響していな かった.今後症例を増やし詳細な検討を行う.
20 日
㈬ ポ ス タ ー
︵ 日 本語
P-004-4
急性期脳卒中患者における基礎代謝エネルギー量の検討 愛知医科大学病院 神経内科
○藤掛彰史,丹羽淳一,泉 雅之,道勇 学
目的】急性期脳卒中患者における,基礎代謝エネルギー量(BEE)が脳梗塞の重 症度により,どのように変化するのか検討した.
【方法】新規発症脳卒中患者28例について,呼気ガス分析装置(FIT-2000)を用い て BEE を 実 測 し た.同 じ 症 例 に つ い て,ハ リ ス -ベ ネ デ ィ ク ト の 式(Harris- Benedict Equation,HBE)を用いたBEEの予測値も算出し,その比を検討した(%
Pred).脳卒中の重症度をNIHSS,mRSで評価した.MCA領域の梗塞について は,ASPECTS-DWI(AD)11点法での評価も行った.それらの指標と,BEE,%
Pred,JCSとの相関について検討を行った.【結果】以前の検討通り,%Predと mRSについてSpearmanの順位相関を用い検討した所,負の相関を認めた.内訳 をみると,mRS1〜3の患者では,%Predが高値である例(109〜136±12.2%)が多 く,mRS4〜5の患者では差が少ない傾向(69〜112±16.2%)であった.症例数は 11例ではあるが,%PredとADにおいてもr=0.559,p=0.08と相関を認めた.%
PredとJCSついても検討を行ったがr=-0.159,p=0.42と相関を認めなかった.【結 論】脳卒中の重症度が低いほど%Predが高値になる(必要カロリーが増える)よ る傾向を認めた.またADとの相関を認めた事から,重症度が高い症例では,脳 活動の低下がBEEを低下させている可能性を考え,JCSとの相関を検討したが相 関は認めなかった.この事は患者の離床状況やリハビリ強度が一日の必要カロ リーに大きな影響を与えていることを示唆していると考えた.
P-004-5
心原性脳塞栓症の急性期再発に関する検討 東京慈恵会医科大学病院 神経内科
○作田健一,小松鉄平,三村秀毅,豊田千純子,河野 優,井口保之 目的】非ビタミンK阻害経口抗凝固薬の登場により,心原性脳塞栓症の二次予防 は大きく変化してきている.しかし脳卒中急性期における投与開始時期は,従来 の抗凝固薬(AC)を含め不明な点が多く,施設ごとに異なる.今回我々は,当院 における心原性脳塞栓症の臨床的特徴とその急性期再発について検討した.【方 法】2012年1月から2014年7月までに当院に入院した急性期虚血性脳卒中患者の連 続例のうち,心房細動の既往があるか,もしくは退院までに心房細動を指摘しえ た症例について後方視的に検討した.転帰良好は3か月後のmRSが0または1であ ることと定義し,3か月後mRSが不明の場合は退院時のmRSを用いた.無症候性 再発も含めた再発を再発群と定義し,再発群と非再発群に分けて検討した.【結 果】72例(男性53例,年齢74±10.8歳)が抽出された.入院時NIHSS中央値は4(1-14) で,12例(17%)は入院後に心房細動が初めて指摘された.入院前にACを投与され ていたのは28例(39%)であった.無症候性も含めた再発は9例(13%),うち症候性 再発は7例(10%)であった.再発群では,入院時にCKDがある割合が有意に多く (33% vs 7%, =0.016),入院後に非ビタミンK阻害経口抗凝固薬を開始した割合 が低い傾向にあった(33% vs 67%, =0.073).転帰良好例は非再発群に有意に多 かった(11% vs 52%, =0.021)【結論】当院に入院する心原性脳塞栓症は比較的軽 症が多かった.また,入院前にACが投与されていない症例が多かった.ACを投 与している心原性脳塞栓症の再発率は年間1-9%程度とする報告が多く,当院で の再発率は比較的高いことが示された.ACの開始方法,開始時期にさらなる検 討が必要であると考えられた.
P-005-1
深部皮質下白質病変は初期アルツハイマー病の認知機能低下に影響しない 川崎医科大学 神経内科学
○久徳弓子,片山禎夫,砂田芳秀
目的】初期アルツハイマー病における深部皮質下白質病変の存在が,認知機能低 下に影響するか,検討する.
【方法】2001年から2014年に当院もの忘れ外来を受診した65歳以上85歳以下の教 育歴9年以上の患者で,神経心理検査(MMSE, TYM-J),血液検査(HbA1c; NGSP値),
頭部MRI撮影をすべて行い,MMSE 20/30以上得点したアルツハイマー病患者83 人を対象とした.糖尿病の有無,頭部MRIによる画像評価(深部皮質下白質病変;
DSWMH)と神経心理学検査の結果との統計学的検討を行った.
【結果】HbA1c 6.5%( NGSP値)をカットオフとした場合,TYM-JやMMSE総スコ ア,下位項目ともに有意な影響を及ぼさなかった.DSWMHについても,TYM-J やMMSE総スコア,下位項目ともに有意な影響を及ぼさなかった.70代の患者の み抽出して同様の解析を行ったところ,TYM-JやMMSE総スコアに有意な影響 を及ぼさなかったが,糖尿病群ではTYM-Jの語流暢課題でのみ,有意に低得点で あった.また,DSWMHグレードが高くなると,TYM-JやMMSE総スコアに有意 な影響を及ぼさなかったが,TYM-Jの見当識,MMSEの命令課題においてのみ,
有意に低得点であった.
【結論】すべての皮質下病変が画一的に認知機能に影響するのではない.
P-005-2
MRI上の無症候性微小出血はアルツハイマー病患者における頭蓋内出血のリスク か
1梶川病院 脳神経内科,2梶川病院 脳神経外科,3広島国際大学 総合リハビリ テーション学部 リハビリテーション学科,4広島大学大学院 脳神経内科
○大下智彦1,石川賢一1,櫛谷聡美1,中森正博1,今村栄次1,若林伸一2, 三森康世3,松本昌泰4
目的:近年シロスタゾールがアルツハイマー病(AD)患者における認知機能の進行抑制作用 を有することが報告され,抗認知症薬としての抗血栓薬の可能性について関心が高まって いる.一方,AD患者は脳血管アミロイドアンギオパチーの発症率が高く,疫学研究にお いても脳出血発症率が高いという報告もあり,抗血栓薬の使用により脳出血イベントが助 長されうる懸念もある.その点において,AD患者のうち頭蓋内出血リスクの高い群を抽 出することは重要と考える.今回,AD患者におけるMRI T2*強調画像での無症候性微小 出血 (microbleeds; MB)と頭蓋内出血の関連について検討した.対象:2006年10月〜2011 年5月の期間にMRIを撮像し,2年間経過観察を行ったAD患者80例(平均年齢76.9歳,女性 57例).認知症発症前に症候性脳血管障害の既往を有する例は除外した.方法:MRI T2*画 像において3個以上のMBを認める"MBあり群"と0個の"MBなし"の2群に分類した.1) MRI 撮像時のリスクファクター(年齢・性・高血圧・糖尿病・脂質異常・抗血栓薬内服歴)および MRI所見(無症候性ラクナ梗塞,白質病変のFazekas分類スコア,脳主幹動脈狭窄)を2群間 で比較した.2) 2年以内の頭蓋内出血,脳梗塞の発症に関する2群の差異について後方視的 に検討した.結果:MBあり群が16例(平均79.8歳),MBなし群が64例(平均76.2歳)であった.
MBあり群は,高血圧有病率・画像上のラクナ梗塞(3個以上)の頻度・白質病変のFazekasス コアが有意に高かった.2年以内のイベント(MBあり群,MBなし群):頭蓋内出血 (0例,3 例),脳梗塞(3例,4例)であった.多重ロジスティック回帰分析ではMBは頭蓋内出血・脳 梗塞のいずれの発症にも影響していなかった.結論:脳血管障害の既往のないAD患者に おいてMBは2年以内の頭蓋内出血発症のリスクでないと推察される.
P-005-3
微小出血と皮質微小梗塞は相加的に前頭葉機能を低下させる
1三重大学大学院医学系研究科認知症医療学,2三重大学病院リハビリテーション 部,3三重大学大学院医学系研究科神経病態内科学,4三重大学大学院医学系研究 科放射線医学
○田部井賢一1,上田有紀人2,佐藤正之1,木田博隆1,伊井裕一郎3, 前田正幸4,冨本秀和1,3
目的】高齢者のアミロイド血管症の指標である脳葉型微小出血 (MBs) と皮質微 小梗塞 (CMI) が前頭葉機能に与える影響を調べる.
【方法】平成23年10月から平成25年6月までに当院物忘れ外来と入院精査をうけた 患者120名のうち,認知症の基準を満たさない11名を除く109名を検討の対象とし,
3T-MRI の Susceptibility-Weighted Imaging (SWI) で MBs,Double Inversion Recovery (DIR) で CMI を 検 出 し 個 数 を 調 べ た.な お MBs は Microbleed Anatomical Rating Scale (MARS) をもとに,個数(なし,1-9個,10個以上)と部 位(Lobar,Deep,Mixed (Lobar+Deep),Infratentorial)を同定した.神経心理 検査は知的機能としてMMSE (Mini-Mental State Examination),前頭葉機能とし てTrail Making Test-A/B (TMT-A/B),語想起(動物・語頭音)を網羅的に行っ た.
【結果】MBsの個数別では,なし41名,1-9個47名,10個以上21名であった.MBsの 部位別では,Lobar 28名,Deep 8名,Mixed 31名,Infratentorial 1名であった.
CMI陽性はMBsなしの5名,Lobar MBsの2名,Deep MBsの1名,Mixed MBsの9名 で認められた.MBsあり群は,なし群に比し語想起 (動物名・語頭音) ( = 0.01) が有意に低下していた.またMixed MBs+CMIあり群は,Mixed MBs+CMIなし 群に比しMMSE ( = 0.01),TMT-A ( = 0.01),語想起 (動物名・語頭音) ( = 0.01) が有意に低下していた.
【結論】MBsとCMIは前頭葉機能に相加的に影響を与えることが示唆された.
P-005-4
アルツハイマー型認知症(AD)における無症候性白質病変(WML)の臨床的意義 大分大学医学部 神経内科
○花岡拓哉,藤岡秀康,佐々木雄基,片山徹二,天野優子,石橋正人,
木村有希,竹丸 誠,麻生泰弘,木村成志,松原悦朗
目的】ADにおけるWMLが臨床経過および脳血流変化に及ぼす影響を明らかに する.
【方法】2006年〜2012年に当科を受診した軽度〜中等度のAD患者で(1)2年以上の 経過観察,(2)初診時にMRIを施行,(3)経時的に脳血流SPECT検査を施行した38例 (男16例/女22例,平均年齢77.8歳)を対象とした.大脳白質病変は,Fazekas scale で評価し,Grade0を白質病変なし(WML-),Grade1,2を白質病変あり(WML+)
とした.脳血流SPECT画像は,SPM8およびFineSRTにより解析した.WML-群 とWML+群でMMSEおよび脳血流量の経時的変化をWilcoxonの順位和検定で比 較した.
【結果】38例中24例(63%)にWMLを認めた.MMSEと全体の脳血流量は,WML+
群で有意に低下した.SPM8解析では,両群とも前頭葉内側部と側頭葉の脳血流 が低下したが,WML+群で高度であった.FineSRTでは,WML+群で前部帯状 回,海馬傍回,左中前頭回,左帯状回の脳血流が有意に低下した.
【結語】これまで我々は,ADにおけるWMLが前頭葉の脳血流と認知知能障害の 進行に影響することを報告した.今回の検討では,WMLは脳血流(前頭葉と側 頭葉内側部)の経時的変化にも影響することが明らかとなった.
20 日
㈬ ポ ス タ ー
︵ 日 本語 P-005-5
Flow Mediated Dilation(FMD)からみた認知症患者の血管内皮機能 神戸大学大学院医学研究科神経内科学
○立花久嗣,鷲田和夫,上田健博,久我 敦,関口兼司,古和久朋,
苅田典生,戸田達史
目的:アルツハイマー型認知症(AD)でも血管性認知症(VaD)と同様に生活習 慣病に関わる高血圧,糖尿病,脂質異常,肥満,喫煙,飲酒歴などの動脈硬化性 要因が発症リスクになる事が知られている.Flow Mediated Dilation(FMD)は,
非侵襲的に血管内皮機能を評価できる検査であり,可逆性の早期動脈硬化性変化 である血管内皮機能障害を検出する指標として有用とされている.そこで今回 我々はFMDを用いてAD,VaDといった認知症と血管内皮機能障害の関係を評価 し,またADの病前ステージとされるamnestic mild cognitive impairment(aMCI) を加えたADの病期とFMDの関係について調べた.
方法:当施設の認知症外来を受診した60歳以上のAD21例,VaD16例,aMCI17例 及びcontrol(NC)22例の4群を対象に各群のFMD値の比較及びADの病前段階と して想定されるaMCI群,AD群,NC群の3群でのFMD値の比較を一元配置分散分 析を用いて解析した.
結果:各群のFMD値の平均±標準偏差は,AD 4.33±2.93%,aMCI 4.60±
3.02%,NC 5.85±2.47%,VaD 3.00±2.44%であり,多重比較でVaD群とNC群 間のみに有意差(p=0.012)を認めた.AD群,aMCI群,NC群の認知障害の病期に おける比較ではFMDに差はみられなかった.
結論:FMDを用いた今回の検討ではVaD群とNC群に有意差を認めVaDにおける 血管内皮障害が示された.またADの病期におけるFMD値における検討では有意 差は認めず,ADの病期と血管内皮障害の程度には相関がない事が示唆された.
P-006-1
地域在住の認知機能正常高齢者における運動習慣と脳灰白質萎縮の検討
1鳥取大学病院 脳神経内科,2岩手医科大学医歯薬総合研究所高磁場MRI診断・
病態研究部門
○山本幹枝1,和田健二1,田中健一郎1,山下典生2,中島健二1 目的】身体活動は高血圧,脂質異常や2型糖尿病などの生活習慣病のみならず,認知機能低下に 対しても有益に作用するという報告がある.運動習慣が高齢者の認知機能や脳萎縮に与える影 響を調べるため,65歳以上を対象とした地域疫学研究において,運動習慣と認知機能,精神機 能,頭部MRIによる大脳白質病変,voxel based morphometry(VBM)手法を用いて算出した脳灰 白質容積との関連について検討した.
【方法】2009年10月1日時点でA町に在住する65歳以上で,神経変性疾患や精神疾患がなく,認知 機能検査,神経内科医診察により非認知症者,非MCI者と診断した者のうち,2010年に1.5T頭部 MRIを撮影でき,画像アーチファクトや脳血管障害などの頭蓋内疾患を除外した284名を対象と した.運動習慣の定義は週2回以上かつ1回30分以上の運動を1年以上続けている場合とした.
運動習慣の有無でMMSEによる認知機能,GDSによる精神機能,Fazekasスコアによる大脳白質 病変の重症度を比較し,VBMを用いて運動習慣による脳灰白質容積の差異について検討した.
【結果】運動習慣がある者(あり群)は93名(32.7%),運動習慣がない者(なし群)は191名で,
あり群はなし群に比較して有意に年齢が低く,GDSスコア低値で,Fazekasスコア低値であった.
VBMによる検討では,なし群はあり群と比較して性別,年齢を調整した上で左海馬,左海馬傍 回の灰白質容積が減少していた.縦断評価では,なし群は3年間でのMMSEスコアが28.3±1.3点 から27.7±2.7点に低下し,GDSスコアが2.9±2.6から3.3±2.8に上昇したが,あり群はMMSEスコ アが28.3±1.4点から28.3±1.5点,GDSスコアが2.0±2.4から2.1±2.4と不変であった.
【結論】健常高齢者において,運動習慣は認知,精神機能および脳白質変化,灰白質萎縮といっ た機能的,器質的両者の側面で保護的に作用する可能性があり,早期から運動を習慣づける取 り組みの必要性が考えられる.
P-006-2
高血圧症はアルツハイマー型認知症のタウ蓄積に寄与するか?〜PET画像を用い た検討〜
1放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター分子神経イメージング研 究プログラム,2京都府立医科大学附属北部医療センター神経内科
○丹羽文俊1,2,島田 斉1,篠遠 仁1,遠藤浩信1,北村聡一郎1,平野成樹1, 古川彰吾1,樋口真人1,須原哲也1
目的】高血圧症(Hypertension:HT)はアルツハイマー型認知症(Alzheimerʼs disease:AD)
の危険因子として知られるがその病理学的背景は十分明らかではない.高血圧がタウ蓄積を含 めたAD病理にどのように寄与するか,PET・MRI画像を用いて検討する.【方法】対象は50歳 以上80歳未満の男女で,AD,軽度認知機能障害(Mild cognitive impairment due to AD:MCI),
健常者(Healthy control:HC)の計55名(他の認知症患者は除外)とした.臨床情報からHTの 有無で2群に分けた.両群の年齢に有意差はなかった.神経心理検査に加え,頭部画像検査とし てMRI,アミロイドPET(11C-PIB),タウPET(11C-PBB3)を施行した.MRIでは磁化率強調画 像で検出されるMicrobleeds(MB)をカウントしその数で群別化した.PETでは小脳皮質を参 照領域として後期Standardized uptake value ratioの画像を作成した.PIB PETではアミロイド 集積の有無を視覚的に判定し,PBB3 PETでは大脳皮質集積平均値をタウ集積の指標とした.
【結果】HT群は24名(AD11名,MCI6名,HC7名),非HT群は31名(AD6名,MCI9名,HC16名)
であった.この2群でPIB集積陽性はそれぞれ15名(62.5%),14名(45.2%)であり両群に有意差 はなかった.HT群では非HT群に比べ,Mini-Mental State Examinationなどの神経心理検査で 有意に認知機能低下が認められ(p=0.025),またMBは多発する例が多く(p=0.042)PBB3集積 は高値(p=0.043)であった.さらに全体でみても,PIB集積陽性群では陰性群に比べMB多発例 が多かった(p=0.007).しかしPIB集積陽性の29名に限ってみると,HT群・非HT群にこれらの 有意差は認められなかった.【結論】HTはMB増加やタウ蓄積につながりADの危険要因となり 得るが,アミロイド蓄積ほど強力な寄与因子とはならない.HTはアミロイド蓄積とは独立して 修飾することで血管病変やタウ病理を加速し認知機能低下に寄与する可能性があると考えた.
P-006-3
軽度認知障害における18F-AV45(Florbetapir)-PETによるアミロイド蓄積評価
1日本医科大学武蔵小杉病院 神経内科,2東邦大学医療センター大森病院 放射 線科,3日本医科大学付属病院 精神神経科,4日本医科大学大学院医学研究科 神経内科学分野
○石渡明子1,水村 直2,舘野 周3,大久保善朗3,木村和美4 目的】NIA/AAによりアルツハイマー病(AD)の診断基準が改訂され,ADはアミロイ ド蛋白の脳内の蓄積から始まり,さらにタウタンパクを介した神経障害,そして脳萎 縮を経て最終的にこれら神経細胞の障害とその結果としての認知症に至る病気とし て定義し直され,病態仮説に基づいたADの治療戦略の道筋が明確となった.今回 我々は脳内に沈着したアミロイドの描出を[18F]-AV45(Florbetapir)を用いて評価し,
軽度認知障害(MCI),健常高齢群(HC)に対して検討を行い,神経心理検査,海馬体積 との比較を行った.【方法】amnestic MCIと診断された8例およびHC 13例を対象とし,
頭部MRI(VSRAD advanceにより海馬体積測定),神経心理検査(MMSE,ADAS J-cog,
Moca-J),[18F]-AV45-PETを施行した.リガンド静注後50-60分の関心領域のSUV値 およびSUV対小脳比(SUVR)を算出しアミロイド蓄積の指標とした.【結果】AV45陽 性例は,HCの23%,MCIの50%であった.MCIではSUVRがHCと比較して有意に増 加していた.関心領域の検討では,前頭葉,後部帯状回,楔前部,側頭頭頂葉で有意 な増加を認めた.海馬体積,MMSE,ADAS,MOCA-J合計スコアおよび下位項目(遅 延再生および見当識)はMCIとHCで有意差を認めたが,[18F]-AV45集積と,海馬体 積および神経心理スコアによる認知症重症度には有意な相関は認められなかった.
【結論】アミロイドの蓄積には局在性がないと言われているが,視覚的評価で局所的 な低下が認められる症例もあり,今回選択的な部位における蓄積が見られたことで,
今後SUVRだけでなく関心領域法での評価も考慮する必要があると考えられた.アミ ロイドの蓄積と認知機能の低下に相関がなかったことは,アミロイドの蓄積が臨床症 状に先行しておきていることとの関連が示唆された.
P-006-4
頸部動脈超音波wave intensity (WI) 解析による頭蓋内血流動態評価
1恵心会 京都武田病院 脳神経科学診療科,2恵心会 京都武田病院 放射線科,3京都 府立医科大学 大学院医学研究科 神経内科学,4京都府立医科大学附属北部医療セ ンター
○塩貝敏之1,山本真佑実1,有馬有香1,小山真理1,前島 亨2,笠井高士3, 水野敏樹3,中川正法4
背景と目的】頸部動脈での超音波Doppler法による血流速波形とエコートラッキング法に よる血圧波形を加えたwave intensity (WI) 解析は,心臓からの前進波と末梢からの反射波 の影響を評価でき,総頸動脈(CCA)での解析が,心疾患などへ応用されている.頭蓋内血 流動態解析への応用は,脳のvasomotor tone評価の可能性が示唆されているが,詳細は不 明である.CCAに加え椎骨動脈(VA)のWI解析を,正常例と脳疾患例で行い,頭蓋内血流 動態解析への応用の可能性と,その意義を明らかにすることを目的とする.
【方法】健常成人10例(23-61歳,平均41歳)と脳血管障害を主体とした脳疾患10例(65-91 歳,平均79歳)を対象とした.WI解析は,日立アロカProsound F75のUST5415探触子を用 い,両側CCAとVAで,WI解析を試みた.評価は,1)両動脈でWI解析の可能性と問題点,
2)末梢からの反射波の成分を表すとされるnegative area (NA)を,健常群と疾患群におい て,CCAとVAで比較した.
【結果】a)WI解析:正常例では全例CCAとVAで評価可能であった.症例では,CCAで全例 可能も,VAでは患者の協力性とも関連した探触子保持や血管壁同定の問題から3例のみ評 価可能であった.b)NA: 1) 正常例:血圧波形の再現性でデータがバラツイたが,CCANA 74±90 mmHg/S2,VANA 31±21 mmHg/S2と,CCANAが有意に高値であった.2) 疾患 群: CCANA, VANA共に疾患群で低い傾向があった.Dural AVFとPaf例で低い例がみら れた.
【結論】超音波を用いた頸部動脈WI解析は,脳疾患症例の頭蓋内血流動態の非侵襲的かつ 簡便な新しい解析方法となる可能性がある.
P-006-5
皮質脳表ヘモジデリン沈着と脳微小出血:3T-MRIによる検討
1三重大学大学院医学系研究科 神経病態内科学,2三重大学大学院医学系研究科 放射線医学
○伊井裕一郎1,前田正幸2,伊藤 愛1,谷口 彰1,冨本秀和1 目的】皮質脳表ヘモジデリン沈着(cSS)は,脳アミロイド血管症(CAA)関連病変の一 つとして認識されつつある.また,多発性の脳葉限局型の脳微小出血(CMB)もCAA関連 と考えられているが,深部型と脳葉型の両者を伴う混合型における脳葉型CMBは,高血圧 性脳小血管病とともにCAAも関与している可能性が指摘されている.今回,cSSと脳葉型 CMBとの関係について3T-MRI装置を用いて検討した.【方法】認知機能障害を有し,3T- MRI装置のsusceptibility-weighted images (SWI)で複数の脳葉型CMBを認めた85例(脳葉 限局型41例,混合型44例)の患者を対象とし,cSSの頻度,部位,重症度とともに,CMBの 分布や量との関係について検討した.cSSの重症度は,3脳溝以下を限局性,4脳溝以上を 散在性とした.CMBの分布はMicrobleed Anatomical Rating Scale (MARS)を用いて評価 した.【結果】85例中14例(16.5%)の計35の脳葉にcSSを認め,この14例中の11例(78.6%)
が脳葉限局型であった.各群においてcSSを認める頻度は,脳葉限局型が41例中11例
(26.8%)と,混合型の44例中3例(6.8%)に比べて有意に高かった( =0.013).cSSを認め た混合型の3例全てで,脳葉型CMB量が深部型CMB量よりも多かった.cSSは頭頂葉に最 も多く認められ,次いで前頭葉と側頭葉に多かった.散在性cSSの頻度は,脳葉限局型で 11例中10例(91%),混合型で3例中1例(33.3%)であった.1例あたりのcSSを認める平均 脳葉数は,脳葉限局型で2.7,混合型で1.7であった( =0.065).cSS陽性群は陰性群に比べ て全脳葉型CMB量が有意に多く( =0.023),特に頭頂葉と後頭葉で有意差を認めた( = 0.006, =0.008).cSSを認める脳葉内の脳葉型CMBの平均量は,脳葉限局型で6.3±8.4,混 合型で33.0±16.7であった( =0.022).【結論】脳葉型優位の混合型CMBにcSSを伴う症例 では,脳葉限局型CMBにcSSを伴う症例と同様に,その背景病理にCAAが関与している可 能性がある.