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原価配分と評価

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Academic year: 2021

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(1)原. 価. 配. 分. と. 評. ー. 毛. 利. 価 敏. 彦. 原価配分は 近代会計を特徴づける 重要な会計手続の一つといわれる。 事 実, それは, 近代の主要な会計思考である動的論の出発点ともなった。 周知の如く, 近代会計は期間損益計算を根本課題としている。それ故. 例 えば固定資産原価配分はその目的, 償却方法効果などが, 会計利益との関わ りにおいて論じられてきたのであるし. また. 棚卸資産原価配分についても 諸方法が利益との関わりで考えられてきたのである。そして, 原価配分には 価格変動下における配分の問題が加えられ. いっそう理論は精緻化された。 このようにみてくると, 原価配分の研究は期間損益計算上の位置づけという 当初の課題を既に終えて. 会計上論ずべき問題はなにもないように思えてく る。しかし, 原価配分にはなお検討を要する不明な点が少なくない。 ところで. 会計手続としての配分は, 評価にしばしば対置される。近代会 計以前においては固定資産にしても棚卸資産にしても売却価値による財産評 価が基礎になって. 費用が導かれていたのに対し, 近代会計では配分そのも のによって費用を決定する。かくて, 原価配分は評価に代る, 近代会計理論 を支える重要な会計手続きとして出現するのである。それ故に評価から配分 への移行は近代会計への発展に照応するものと理解される。ここに, 配分と いう会計手続きが評価に対置される理由があるのである。配分と評価におけ る会計手続上の違いは歴然としている。. -187 (417)-.

(2) しかし, 固定資産の減価償却についてなに故に評価に代えて配分という手 続きがとられたのだろうか。もちろん, その理由は期間損益計算に帰せられ るかもしれない。しかし, 期間損益計算を目的とすると. 何故に配分という 会計手続きをとるのだろうか。より根本的には, もともと, 配分とは会計上 どのような意味を有したかが問われねばなるまい。 また, 配分によって示される会計数値, 例えば固定資産の減価償却は. 何 がどうなることなのか。減価償却は不確な会計数値である。しかし. そもそ も配分という会計手続が. どのような会計事実をとらえ, 会計数値に反映す るのか明確でないのである。 したがって, 配分による会計数値が意味不明で ある以上, 正しい損益計算といっても内容に乏しいものとなる。従来, 配分 の形式的側面は明らかにされたが, このような配分そのもののもつ実質的な 意味は看過されてきたように思われる。 さらに, 配分にはいくつかの方法が存在し, 自由な選択に委ねられるので あるが, どれを選択しても会計上, 同質として認められる。 その共通性は何 か。 原価配分が恣意性の大きいことに思い倒れば, これは取り組むに価する 重要な問題といわねばならないであろう。 以上の論点について, 本稿では次のような観点から原価配分を考えてみた い。 繰返し述べるように, 原価配分は近代会計に よってその位置が確立さ れ, 期間損益計算の観点から論じられてきた。 この観点は配分思考の発展の 由来からして, 不動のもののように見える。 しかし, 我々はここに動的論に 照応する意味における財産概念を見直してみたい (1) 。財産概念を抜きにして は以上の問題への適切な理解は得られないと考える。動的論においても, 限 (1) 動的論の下においても独自の財産概念が成立しうることを論証した人としてリオ ン (Lion, M.) がある。 原価配分に対する考えは, そうした財産概念の観点から解 釈したものとして注目に価する。 リオンの見解について谷端長稿「動的貸借対照表 の三前提」企業会計12巻1号に負うている。 Lion, M., Wahre Bilanzen, Berlin 1927, Lion, M., Die dynamische Bilanz und die Grundlagen der Bilanzlehre. ZfB 1928, S. 480ff. Lion, M., Der Reichsfinanzhof und das Bilanzsteuerrecht. -188 (418)-.

(3) 定された意味における財産, つまり, 損益計算を意図する財産概念を認めて いたといわれる。 それにも拘らず動的論において財産は切り捨てられ. 損益 計算との関わりにおける財産を論じることは没し去られたのである。 以下で は. この観点から損益計算をとらえて, 原価配分を考えてみようと思う。. Il 我々は配分を既に自明のものとしているが. 本論に入る前に, まず, 配分 とはいかなる会計手続をいうものであったかという根本問縣から出発するこ とにしよう。 特徴の第 1 は.. それが 支出を基点とした 前後の期間に 関わる会計手続で. あることである。 シュマ ー レンバッハ(Schmalenbach, E.) は 原価 配分 (Kostenverteilung) を明確に二つの種類に区分する。 その一つは.. 支出を. それ以後の多期間に分割していく方法. つまり後配分(Nachverteilung) で あり, その二は, 支出をそれ以前の期間に予め配分する方法, つまり前配分 (Vorverteilung)である (2) 。 前者は減価償却 であり. 後者は引当金である。 このように原価配分はもともと, 支出をそれ以後ないし以前の期間に割当て ることを意味し, 今日のように必ずしも減価償却 の如く, 支出をそれ以後の 期間に割当てることのみを意味しはしなかった。 それ故に, 原価配分が支出 の期間割当を意味するとしても, それを基点とした時間の前後は配分と全く Steuer und Wirtschaft 1928, S. 1033ff. Lion, M., Abschreibungen von Zeit­ wert. in: Verbandstagsvortrage des Verbandes deutscher Bucherrevisoren. Leipzig 1928, S. 33ff. Lion, M., Die Bewertung der Waren und Vorrate in der Bilanz. ZeitgemaBe Steuer-und Finanzfragen. 1928, S. 25ff. Lion, M., Bilanzreform. ZeitgemaBe Steuer-und Finanzfragen 1928, S. 122ff. などを参 照。 (2) Schmalenhach, E., Steuereinkommen und Bilanzeinkommen. ZfhF 1915/16,. s. 334.. -189 (419)-.

(4) 関係がないのである。そして, むしろここで大事なことは, 原価配分が単に. . . . . . . .. 支出を当該期間費用と末費用に分割するという意味をも つ のでなく, 多期問 に予め割当てると いう会計手続として 理解されて いることである。 それ故 に, 今日商品の消費価額の計算は棚卸資産原価配分の問題とされるが, それ はもともとは原価配分とは考えられていないのである。今日減価償却 や引当 金の計上根拠は発生原則に求められるが, むしろ, なんらかの会計事実の発 生ということが つ かめぬが故に, 配分という方法に依存していると考えるの が正しいと思われる。 原価配分の第二の特徴は, それが評価という会計手続に対比されることで ある。 シュマ ー レンバッハは言う。「商人の貸借対照表の中に 財産表示がみ てとられる。それは実際には経営利益の決定のための手段であるのに, 貸借 対照表では設備の価値をできるだけ正しく決定するのが問題ではなく, 設備 の減耗を使用年度に給付に応じて 配分するのが問題である。」 (3) ここでは会 計目的として財産表示と利益の決定が対置され, 前者の会計手続として価 置 つ まり評価が,. そして後者には配分が示されている。要するに, 減価償却 費. は設備の価値の期間の差額から導かれるのではなく, 支出額の使用期間への 配分からもたらされるということである。それでは, 配分にとって代らねば ならぬとして否認される価値とは何か。これは当時の財産概念からして, 財 産を処分する ことによって 得られる売却 価 値で あることは疑いない。 つま り, 設備評価額の期間的差額による減価償却 の否認の意味するところは, た かだか, 売却 価 値を採ることのみにすぎないのである。もとより, 売却 価値 は清算を仮定する以上, 継続的な企業活動の上に成り立 つ 会計計算に合致し 得ず, そのため否認されることはいうまでもない。しかし, 売却 価値の期間 的差額による減価償却 が否認されたからといって, それはその他の評価によ る設備の期間的差額を減価償却 とする方法を必ずしも否認することを意味し (3) Schmalenbach, E Die Verbuchung von Reparaturen. ZfhF 1907/108, S. 5. 473.. -190 (420)-.

(5) ないのである。会計手続としてみた時, 減価償却を評価額の期間的差額とし て決定する仕方と配分とでは相違する。けれども, 考えを深めていくと前者 の場合も配分といえぬこともない。ただ違いは, 前者が各期間ごとに独立に 減価償却を決定していくのに対し, 後者が全体期間の配分の総額をあらかじ め決めて各期間の配分を決定していることにあるといえる。それ故. やはり いずれも結果としてみれば配分額なのであって, 後者の仕方を近代会計理論 は採択したともいえるわけである。ここで大事なことは. 評価でなくあらか じめ費用の大きさを決定する配分の仕方が何故に重視されたかということな のである。 さて, 配分の第三の特徴的な点は, それが期間末の一時点に割当てられる 費用である ことである。 これは. 全く 自明の ことのように思われるであろ う。しかし, 私見では, 配分の幾つかの特徴の中で最も重要な点のように思 われる。この意味をより具体的に述ぺてみよう。例えば商品の場合. ー会計 期間中の払出が記録され. その都度にしろ. 月別にしろまた期間を単位とし ても. 期間中の払出が商品の売上原価(費用)の計算の基礎となる。 それは つまり, 期間中に生じた商品の受入. 払出という一 つ一つの取引の記録から 費用が導かれてくるのである。けれども, 配分による費用計上の意味すると ころはこれとは異なる。それは. 期間中の設備の稼働状況は考慮することな <. 単に, 各期間末に費用を割当てるにすぎない。 だからして,「配分され るべき費用は.. . …••使用年数によって決定される。」 (4) ということに なるの. である。減価償却は, ただ, 設備の総原価のうちから残存価額が見積られ. その差額が 見積られた耐用年数に 配分されるべきことを 意味するだけであ る。 このように, 配分は. 期間中に生じるであろう会計事実を全く把握しな いのである。例えば設備の損耗は, 年度末にのみ生じるのでなく, 設備の稼 働中, また使用に際して, あるいは休止中においても絶えず生じているはず (4) Schmalenbach, E., Uber den Zweck der Bilanz. ZfhF 1910/11, S. 386. -191 (421)-.

(6) である。それ故, 真に設備の損耗に対応する費用を計上しようと思えば, 期 間末のみならず, 期間の途上においても各時点でとらえねばならぬだろう。 しかるに, 原価配分としての減価償却は, 期間中の設備の損耗の変化という ことを全く切捨てているのである。このように, 原価配分は, 期間始と期間 末のみが問題であり, その中間が無視されるところに特徴がある (5) 。このこ とは商品の場合のように, 払出価額をある時点で記録する仕方と比較すると 違いは明らかである。もちろん, 以上のことは, 減価償却を配分としてでは なく, 評価額の差としてとらえる時にも同じことがいえるかもしれない。し かし, 評価額の差として減価償却を把握しようとする時には, ひんぱんな設 備の評価が実践上困難というだけで, 理論的には不可能なことではない。そ れ故, 配分による仕方はやはり期首と期末にのみ関係し, 期中の状況が全く 反映されぬところに特徴があるといいうるのである。. m 以上によって, 他の会計手続とは区別される原価配分の特質が浮彫にされ た。そこで次に, 原価配分による会計数値が, どのような会計事実を反映す るかを考えることにしよう。 設備の原価配分によって. 当該期間の減価償却費が計上されるが, それは また設備の帳簿価額を明らかにする。我々は, 通常, 動的論に従い費用の決 定を第一義的とし, 貸借対照表価額の決定を第二義的とすることを 自明とし てきた。その結果, 費用の研究が重視され, 設備の貸借対照表価額のもつ意 味が看過されてきたのである。しかし, 我々はここで, 減価償却がいかにと らえられるかを根本的に考えるために. 設備の貸借対照表価額の会計上の意 義を見直すことにしたい。そこで, 動的論におけるビランツ, シェ ー マをこ. (5) Vgl., Lion, M., Abschreibungen vom Zeitwert. a.a.O., S. 60.. -192 (422)-.

(7) こに示すことから始めることにしたい。設備の取 得価額(支出) は, 期間末 に到って減価償却(期間費用)と設備の簿価(支出未費用)に分解される (6). 損益計算書. 当期費用. 以前の支出. 支出. 支出の分解の仕方 は,. 貸借対照表. 原価配分によって 減価償却(当期費用, 以前の支. 出) を先ず決定し, しかる後に残 額として設備の簿価(支出, 末費用)を決 めるというものである。原価配分としての減価償却が先験的計算であるので あれば, 既に計上される費用の大きさ が決まっているのであるから, これは 当然の事のようにも思える。しかし, ここで原価配分の立場 をひとたびはな れ, 見方 を逆にして, 支出. ・. 末費用としての設備の価額を決定した後, 減価. 償却が計上されるとすればどうであろうか。すると, 設備の取 得のための支 出が, 今度は, 先ず, 期末の設備の貸借対照表価額を決定し, ついで減価償 却を決定するように分解される。そこで問題は, 期末の貸借対照表価額をど う決めるかということになる。この場 合, 我々は前述のビランツ. ・. シェ ー マ. における設備の解釈に注目したい。 リオン (Lion, M)が言うように, 動的 論では機械の取 得において, 取 得された資産(機械) を見ることなく, 提供 (6). これは Schrnalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. ZfhF 1919,. s. 18ff. から推定しうる。 (7) Lion, M., Die dynamische Bilanz und die Grundlagen der Bilanzlehre. a.a.O., s. 497.. -193 (423)-.

(8) された価格(支出)を見る (7) 。 そして, このことは, 推し進めれば設備の期 末評価についても適用することができる。つまり, 期末の設備は, それを一 期間後に取得(支出)した場合の価額で評価することができよう。 支出によ る評価 は取得時から, 一期間後に拡張できるのである。 このように設備の貸 借対照表価額を減価償却控除後の残額としてみずに, それ自体を見すえ るこ とによって, 支出, 未費用というビランツ とになる。 リオンは言う。 「この考え方は,. ・. シェ また,. ー. マ は新たな解釈を得るこ 機械の取得の際の支出面. のみならず, 支出によって取得されたものにも注目することにある。 という のは, 支出はなく記帳されていない。 現在, 支出によって取得された資産の みが存在する。 それが設備財で,. あるいは力で,. あるいは積極的財産部分. で, あるいはその場で計算されようとも。 故に, 支出未費用は, 以前に取得 された, 現存する貯蔵に他ならない。 そして, この貯蔵は先ず支出の額で評 価 される。 」 (8) このように考えてくると, 減価償却額は次のようなことになろ う。 設備の取得価額(支出)と取得年度末の取得価額(支出による評価額) の差額が減価償却。 以後は年度始の取得価額(支出による評価額)と年度末 の取得価額(支出による評価額)の差額が減価償却。 ここ では, 減価償却というのは期末と期首における設備の取得価額(支出 による評価額)の差額のことである。 これは, 減価償却が財産評価としても 成り立つことを意味するといってよい。 ところで, 動的論における減価償却に関する以上のような見解は, 何故に 可能であろうか。 前述のように, 動的論においても, 財産概念は否定さるべ きものではなく, 限定された意味における財産の存在は認められていたので ある。 そして, この意味における財産概念は, 損益勘定と結びつき, またそ れとの関係において理解されねばならなかったのである (9) 。 財産として認め られるものには, 売却(収入)に価するものとしての財産と取得(支出)に. (8) ebenda.. -194 (424)-.

(9) 価するものとしての財産があり, 動的論は前者を否認し, 後者を採択したと いいうるであろう。しかし, 実は, 動的論の財産概念は, 意義が認められる ことなく, 損益計算が力説された結果埋没した。 このような 状況下にあっ て, 財産概念を顕在化し, 損益勘定との関わりで論じたのが, 上記の考え方 にほかならない。 またこれは, 貸借対照表と損益計算書の関係からもいえることである。 リ オンによれば貸借対照表は財産それ自体を計算し, その増減によって損益を 計算する。それは資本の差額によって決定される一方, 損益計算書は, 資本 の差額の由来を明細に示す。 つ まり, 損益計算書は, 財産変動の理由を示す のであり, 故に, それは資本勘定の部分であり, また貸借対照表の部分であ る ClO) 。 かく考えてくれば, 会計理論上, その優位がたとえ損益計算書にあ ることを認めたとしても, 財産を示す貸借対照表は軽視すべきでないであろ う。 財産変化の 理由を示す以前に,. 財産そのものの 記録がなくてはならな. い。この意味において, 支出• 未費用としての設備の性格を明らかにし, し かる後に. 財産の変動理由である期末と期首の設備に対する取得(支出)額 の差としての減価償却が明らかになるとする上記の考えも決して不当でない ことが了解されるであろう。 さて, 以上のことを念頭において, 原価配分と財産評価の観点からの減価 償却との 関係をリオンの 数値例で 示してみる。 機械を取得し, 取得 価額. 10, 000マ)レク, 耐用年数 10年とする。原価配分によると, 年に10バーセント (1000) を減価償却(直線法)として 計上するので, 例えば 2 年後には 20バ ーセント (2000) が償却される。 そこで, 残りの 8,000マルクが支出· 未費 用として貸借対照表価額(原価)となる。これに対し, 財産計算の観点から (9) リオンの文献および谷端長著「動的会計論」—増補版昭和43年, 309頁以下にこ のことの言及がある。 UOJ この点はリオンの上記の文献のほか,Lion, M.• Die Bilanzsteuerrecht. 2. Aufl., Berlin 1923, S. 6ff.. -195 (425)-.

(10) すると, 2年間使用後の設備の価値は 8,000 マ)レクと評価される。 つまりこ のことは2年間使用後の設備は8, 000 マルクの支出に価することを意味する。 それ故. この2年間で 減価償却は2,000マルク 計上されたことになる (11) 0 かくて. る<12). 減価償却について.. 原価配分と 財産計算の観点は 一 致するのであ. ゜. 以上に述べてきたことは, 原価配分の原型が実は設備の支出による評価に あることを物語るものではなかろうか。そして, それは, 原価配分による減 価償却が支出に価するものとしての財産の期間的差額をもともと表現するこ とを意味するであろう。 ところで, ビランツ. ・. シェ ー マにおいて支出・未費用という性格を有する. ものとして, 設備とともに商品がある。商品の場合も, 設備と同様, 支出が 期末に到って, 当期費用(売上原価)と未費用(商品の期末在高)に分割さ れるのである。しかし, 既述のように本来, 動的論では, 商品に関わる費用 の把握について 原価配分の 問題として 考えてきたわけではない。 といって も, それは設備の減価償却と類似する点を有し, 事実, 従来の会計理論にお いてはともに原価配分として取り扱われてきたのである。のみならず, 商品 の売上原価(費用)の計上は, 減価償却との著しい共通性を見い出すことが できる。以下に, 商品に関わる費用の計上をとり上げるゆえんである。 商品の売上原価の計算は, 設備の減価償却の計算と対比され, 前者は経験 的計算, 後者は先験的計算といわれた。それは, 前者が期末の商品の在高を 決定して後, 売上原価が明らかになるのに対し, 後者で期間経過前に既に配 分される費用の大きさが明らかなるを意味する。そしてこうした費用把握の 方法に違いが生ずるのは, 使用するための財と販売のための財という財の性 Ull Lion, M., Die dynamische Bilanz und die Grundlagen der Bilanzlehre. a.a.O., S. 497f. Vgl., Lion, M., Abschreibungen von Zeitwert. a.a.O., S. 60f. U2). Lion, M., Die dynamische Bilanz und die Grundlagen der Bilanzlehre. a.a.O.,. s. 492f,. -196 (426)-.

(11) 質に由来するもので, 期間費用そのものの内容に違いはないと説明されて き たのである (13) 0 しかし, それはともか く , 動的論では一 貫して, 商品の売上原価の計算に は期末在高を明らかにすることによ っ て費用を計算するという仕方が用いら れて き た。 恒常在高法 (eiserner Bestand). や 拘束在高法 (gebundner. Bestand) はその典型である。 そして, これまで, 動的論における商品の処 理を問題にする場合, 専ら恒常在高法と拘束在高法しか取り上げられな か っ たとい っ てよいのである。 けれども, 「動的貸借対照表論」 の初版 (1919年) 以後提示されたこれらの方法は, 異常な価格変動の時代を背景として生まれ たものであり, 決して正常な状況下での商品の処理ではないのである。 それ 故, 我々 はそうした異常な 事態の中に生じた文献を意識的に避けて, それ以 前の論稿に注意する必要がある。 この意味において, 正常時における文献, つまり初期の論稿にさかの ぼ っ て考えてみようと思う。 商品の売上原価の計算のために期末の商品在高はいかにとらえられたか, この問題については別稿で既にふれた点である。 そこで次にそれを要約して 示すことにしよう (14) 。. シ ュ マ ー レンバ ッ ハ によると, 期末棚卸商品の評価. について, 期末棚卸商品には多 く の注文があるのであるから, それは売却さ れたも同然であり, 従 っ て売却価格による評価が認められるとの考え方が当 時支配的であ っ た。 つまり, 期末の商品残高の評価は, 売却価格によるので ある。 それが売却価格で評価されるというのは, 結果的には売上と同質であ ることを意味した。 これに対し, シ ュ マ ー レンバ ッ ハは, 商品は販売された か, 販売されていないかのいずれかであると述べて, 商品の期末棚卸を売上 とみな すことを不当とし, その評価に売却価格を附する こ とが会計上, 不合 理であることを指摘する。 期末の在高は未だ引渡されていない商品である。 それは, 当期に受入れた (つまり支出)商品の残である。 故に, 期末商品の U3) Schmalenbach, E., Grun dlagen dyn amischer 因lan zlehre. a.a.O., S. 45. U4l 以下は, 棚卸資産原価配分についての別稿を要約した ものである。 -197 ( 427 ) -.

(12) 評価は, 売却価格でなく, 支出による評価,. つ ま り取得価額. (もし く は製造. 原価)でなくてはなるまい。かくて, 売却価格が否認され, 取得価額が期末 商品在高の評価に支持されるこ と になるのである。ここに到れば, 当期費用 と しての売上原価の大きさが, 商品の当期受入額 (支出による評価) と 期末 商品在高 (支出による評価)の差額であるこ と が明らか と なろう。これ は, 前述の減価償却の計算 と 合致する。 さて, 期末の商品在高の性格の規定 と 取得価額を附するこ と の主張は, 他 方でさらに新しい会計問題を提起した。提起された問頗 と は売上 と は会計上 どのような事実をいうか と いうこ と である。ここで, 売上 と は商品が引渡さ れた時, 実際上は計算書の送付にある と の考えが示される。ここに, 商品の 引渡をも っ て売上 と する販売基準が確立されるのである。このように, 期末 の商品在高における売却価格による評価の否認, そして取得価額の根拠づけ と , 販売基準の確立は密接な関係をも つ のである。 以上, 商品の期末在高の評価について, 何が問題 と され, ど の ように解決 されよう と したかが明らかにな っ た と 思う。問題は, 当時, 商品の期末在高 に対する売却価格による評価にあ っ た。期末に手許に残る商品に対し売却価 格を附するなら, それは販売された商品 と なんら異なる と ころはない。残っ た商品は当期に受入れた (支出)商品の残である。故にそれは取得価格で評 価されねばならない。かくて, 商品の期末在高評価 と して の取得価額の主張 は, ま た同 時に既に販売, 引渡される商品に つ いての実現原則の確立をもた らしたのである。このように, 実現原則の成立 と 取得価額による期末在高の 評価 と は実 は表哀一体の関係にあるのである。 このようにみて く る と , 商品の売上原価の計算は減価償却 と 全 く 共通の内 容をも つ こ と が明らかであろう。要するに鹿品の売上原価は, 当期の受入価 額 (支出)から 期末在高 (支出による評価) を 控除した差額である。 つ ま り, 減価償却 と 同じようにそれは支出による評価の期間的差額である。のみ ならず, 取得価額による期末在高の評価を通じて の売上原価の計算は, 損益. -198 ( 428 ) -.

(13) 計算の観点からも財産計算の立場からも同じ こ とを意味する。損益計算の践 点からみると期末在高は費用を減少する こ と であるし, こ れに対し, 財産計 算の立場からは, それは財産増である。期末在高は前者では支出 ・ 未費用と なり後者では財産となる。つまり, 両者は 同じ事実を見方を変えて解釈して いるにすぎない (15) 0 以上のようにして, 初期の論稿では, 期末の商品在高の評価に取得価額が とられている こ とがわかる。 恒常在高の 考えは みられないのである。 し か し, 取得価額で評価する こ とは 理解できるとしても. 次の素朴な疑問が生ず る。取得価額を 附するといっても, それはいったい. どの取得時点での価額 なのか, 期間始か, 期間末か, それとも期間中の平均か。実 は こ の点につい て全 く 明示 さ れていないのである。あるいは, 取得価額を 附する こ と そのも のに意味があって, どの取得時点の価額かという こ とは考慮外であっ たの か もしれない。あるいはまた, こ の点に関する限りあまり重要視さ れなかった のかもしれぬ。 こ のように, ど の取得時点の価格をとるか 明 示 さ れなかったのであるが, 次のような点に注意すべきである。 それは, 上記の問題が不確 かである こ と を充分に知り得た上での 会計上の基本的立場ともいうべきものである。 「商 品の在高において も また, 正しい価値の報告はいつも可能なのではない。法 律が正しい価値の報告を要求しようとしたなら, 非常に異なる商人の慣行に 直面する… …。しかし法律上の試みは, 状況の多様性と正しい計算に関わる 理解の違いに衝突しなければならぬ。 」 (16) こ のように, 商品在高の正しい評 価が困 難として, USl. 一. つの考え方が示 さ れる。 「 そして, 正しい評価が要求 さ れ. こ の点は Lion, M., Die dynamische Bilanz und die Grundlagen der Bilanz­ lehre. a.a.O., S. 492u, 4.98, に述ぺ ら れる。 ま た , Lion. M., Die Bilanzsteuer­ recht. a.a.O., S. 156ff. Lion, M., Die Bewertung der Waren und Vorrate in. der Bilanz. a.a.O., S. 25ff. も参照。 U$ Schrnalenbach, E., tlber Mangel des Buchftihrungsrechts. ZfhF 1907/08. S. 299 . -199 ( 429 ) -.

(14) えぬところでは, 決して正 し い評価の指標を表現 し えぬところでは, 少なく とも, 下方評価が認められねばならぬ。それが 正 しい価値を確定することの 不可能性からの逃げ道を示す限りにおいて。」 Cl7) このように, 期末の商品在 高に対する評価の不確かさは下方評価つまり, 低い評価という考えを生み出 したのである。そ し て, 単に低い評価で対処するというにとどまらず, 価格 の下落に対し決算期に引当金を設定することを提唱するのである (18) 0 以上の事実は, 期末の商品在高の評価にどの時点の取得価額をとるか不明 のままにして, 低い評価の仕方をとるということによって問題を回避 したと いえぬだろうか。この思考は, 動的貸借対照表論に示された慎重の原則その ものであり, それは既に初期の論稿の中に存在したのである。 し かし, それ にしても, 我々はどの時点での取得価額をとることも是認 し つつ, 低価評価 を慎重の原則に支えられたものと解するのでな く , 動的論そのものに内在す ると考えることはできないものであろ うか。 やはりそれは, 支出に価するも のと しての財産の減少と考えてよいであろう。 「将来は, 簿価以下で市場で 購入 し得たであろう経営資産の価値によって負わされぬだろ う。 過去の期間 が 不利な取得時点の選択によって惹起 した損失を引き受けるべきである。し か し , 他方で, 経営資産の時価が上昇した場合, 過去の期間はそこから用益 を得るべきでない。」 (19) 言うところの意味は, 期末に財の取得価額が上昇し ても未実現利益として計上できぬ. しか し他方, 取得価額より期末時価が低 下したということは, 期末まで 仕入を 手控えて おれば より安 く 入手できた (つまり, 購入の時期を誤った) わけであるから, それは当該年度の費用で ebenda. ま た , Schmalenbach, E., Steuereinkommen und Bilanzeinkommen.. 07). ZfhF 1915/16, S. 338f. を参照。 US). Schmalenbach, E., Uber Mangel des Buchfuhrungsrechts. ZfhF 1907 /08. S.. 439 . 09) Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. 3, Aufl., Leipzig 1925,. s.. 153. これは, リオンも引用 している 。 Lion, M.. Die dynamische Bilanz. und die Grundlagen der Bilanzlehre. a.a.0., S. 504 . -200 (430 ) -.

(15) ある。この考え は 設備に関して言及されたものだが, それは 商品にも妥 当し よう。財産計算の観点から期末の商 品 を支出で評価 (期末に商品 在高を取得 した場合の価額) すれば, 下落していた時, それは財産の減少を意味するの であるから費用である。 以上, 本節で は , 配分が会計上いかなる事実を表現するものであるかとい う論点について, 減価償却 を 中 心にして商 品の評価に まで及ん だ。財産計算 の観点を導入することにより, それは 取得価額 (支出) と期末の取得価額 (支出) の差であることが判明した。 つけ加えて言えば, この財産計算の観 点 は , 土地が何故に償却不要かという問題や研究費などの支出を何故配分す るかの問 頗を説明しうるように思われる。. IV. 以上にみるように, 財産計算の観点からすると減価償却 は , 設備に対する 評価額の期間的差額である。つまり, それは, 支出による評価 (取得価額) の期間における減少分である。これに対し, 損益計算の観点から原価配分に よると, 減価償却を先ず把握し, 結果として設備の評価額 (使用済設備の取 得価額) を決めていることになる。両者 は 単に考察方法の違い 一ー前者は過 去ないし現在を 対象とするのに対し,. し 、 (20) ゜. 後者 は 将来を指向する 一ーにす ぎな. ところで, 両者が 同じ会計事実をそれぞれ違う観点からとらえているにす ぎないとしても, 動的論では 配分を減価償却の会計処理として採択した。評 価でなく何故配分が会計処理の根本となったか, それは シ ュ マ ー レ ン バ ッ ハ に言わせるなら, 損益計算にとり減価償却の確定が第 一であり, 簿価 (つ ま り未費用) は第二義的であることにある (21) 。配分を 採択しなければならない 因 Lion, M., a.a.O., S. 493. (21) Schmalenbach, E., Die Werte von Anlagen und Unternehmugen in der. -201 ( 431 ) -.

(16) 理 由 の一 つは, 実は こ こ に あるので あ る。 貸借対照表上の簿価 (財産) も 次 期以降の損益計算 に影 唇する も のであれば, 決して 軽視さるべきでない。 逆 に言 えば. 正しい費用の計算を問題 と する こ と は財産の評価を問題 と する こ と で も あ る。 に も 拘らず. 意識的にそれが切 り 捨てられ. 損益計算の競点の みがおし進められていった 。 さら に , 評価 と 配分の費用の表現様式の迩い に も 注目し たい。 評価額の差 と して減価償却を決定した 場合. その大きさは期 間 ご と に , 前後の期間 と は関わりな く 確定される。 それ故 に. こ の方式では 減価償却は期間経過 において変動が大きいで あ ろ う 。 こ れ に対し. 配分の場 合. どのよ う な配分の仕方であ れ期間の減価償却はなめらか に推移するであ ろ う 。 会計計算は減価償却 に ついて 期間の急激な変動を避け. なめら か に 変 動するよ う 表現したよ う で ある。 こ の こ と も 評価でな く , 配分 と い う 会計手 続が行われる理由のよ う に思われる。 評価 による会計数値は期間独立的, 孤 立的で あり, 配分では期間関連的, 連続的で あ るので ある。 と も か く , な に 故 に 評価を と らず, 配分 と い う 手続 によるかの理由は.. 多様である。 しか. し, それは損益計算が会計計算の中心領域に 饂かれた こ と と 関係し, ま たそ れ と の関わりで理解されねばならぬであろ う 。 こ のよ う にして , 減価償却は設備の評価からでな < . 原価配分 と して と ら え る こ と と なっ た 。 ではそれは, ど のよ う な基準 によって配分されるであろ う か。 理論的には. 設備の全体の給付能力 を想定し, その減耗分を減価償却 と するのが.. 配分の出発点で あ っ た 。 しかし, 「耐用年数 と 給 付能力 の測定. は . 実際上. 著しい困難 に あ う 。」 (22) それ故 に. それは適用された と して も 例外的 と い う こ と になる。 か く て, 実際上. い く つかの償却方法が考え出さ れ, 適用される こ と になるので ある。 そして,. 「現存のい く つかの償却法の. 中で. 一方を良し と して, 他方を悪し と して 示す こ と はできない。 全 く 状況 Schatzungstechnik, ZfhF 1917/18. S. 12. Schmalenbach, E., Uber den Zweck der Bilanz. ZfhF 1 910/11, S. 383. 谷端長, 前掲稿43頁参照。 四 Schmalenbach, E., Die Abschreibung. ZfhF 1908/09, S. 84 .. -202 C 432 ) -.

(17) に関わる。」 (23) とされるに到り, 減価償却は まさに方法の 選択という問題に 化するのである。 こ のように し て, 減価償却が償却方法の問 題となるに到っ て, 会計上の事実から乖離 し て し まう。 その結果, 減価償却の意味が不 明と なり, 配分さえすればよいということになるのである。 シ ュ マ ー レンバ ッ ハ が, 減価償却は 全く不正確であるというのもこのような理由による (2ヽ) 。 そ う し て, 減価償却に対する考え方のいきつ く とこ ろ は, 資金調達の手段であ った。 つ まり減価償却は実際には支払われぬ費用であるから, その結果 . そ れに相当する額だけ 貨幣が 集 められるというわけ である (25) 。 かくてどのよ うな償却方法であれ, もはやいかなる会計事実も反映 しない。 従来, 減価償 却の根拠は発生原則にあるといわれてきた。 発生という以上,「何」 かが 「ど うなる」 ような現象をいうはずである。 し か し , 上述のように, 償却方法を 通じて得られる減価償却は, そう し た原理に立脚 し ていない。 つ ま り , 発生 という原理は減価償却の根拠と し て意味をなさないといわねばならぬ。 もとより減価償却は財産との関わりにおいて, 財産減少と して理解 し う る ものであった。 し か し , 近代会計におけ る 減価償却は, 償却方法の選択その ものに変化 し ていったので あ る。 それは, 配分の仕方をいくつかのパ タ. ー. ン. に区分 し , 選択に委ねる点にこそ, その特徴を見い出すことができるのであ る。 それ故. 配分の正 しさということは, 当初から考え ら れえなかった。 そ もそも償却方法と し ての減価償却はリオンによると次のようなものである。 「この配分において. 個々の資産の 損耗が各年度で正確にどれだけ 生じたか を考えぬ。 また, 実際に妥当な数値が見積によって得られぬが故に, それが できないのではない。 む し ろ. この継続的な財産損失の考慮 は 取得価額から 出 発 し て, 数学的方法に応じて 年 々 減少する 継続的減価償却により 行われ (23) ebenda. ⑳ Schmalenbach, E., Die Grundung der Aktiengesellschaft. ZfhF 1906/07, S. 210. � Schmalenbach, E.• Die Kapitalruckzahlung bei Aktiengesellschaften. ZfhF 1912/13.. s.. 100.. -203 ( 433 ) -.

(18) る。」 (26) そして近代会計における減価償却 のこうした性格を見抜いた上で次 のように言う。 「損耗資産の 取 得価額の利用期間への配分が 各年度の損耗の 構成要素を正しく決定するなら, 理想的である。 来,. それを無視した。 減価償却が生 じ て以来,. ……. 商人的会計制度は , 従. それら は ,. 型通りに行われ. る ・ ・ ・ ・ ・ · 。 」 (27) さて, 幾つかの償却 方法のパ タ. ー. ンが提示されると, 会計手続上, そこか. ら一つを選択しなければならない。 そこで, 償却 方法の選択とは 会計上どの ような意味をもつかを以下に考えてみよう。 生産量に即した減価償却 は 鉱 山 等, 特定の企業に適用されるので例外的であり, 一般には耐用年数へ配分す る償却 方法が提唱されている。 そのパ タ. ー. ン は , 均等的, 逓減的, 逓増的に. 区分することができ, それに対応する償却 方法として直線法, 逓減法, 逓増 法がある。 これらの選択原理をみると, 例えば, 直線法 は , 使用期間中の設 備の使用能力が均等であるとか. あるいは変動し, 予見できぬ場 合に適用さ れ,. 逓減法で は ,. 使用能力が次第に減少する場 合に適用されるという (28) C. しかしながら , 別稿に既に明らかにしたように, 示される選択原理は 承服し 得ない点が少なくない。 設備の使用能力の意味が不明であり, た と えそれを 明らかにしたところで将来の状況を予見することは不可能であり, のみなら ず, それを単純にパ タ. ー. ン化するの は 不可能だからである。 また, シ ュ マ ー. レンバ ッハ が初期の論稿に示した減価償却 の選択原理を吟味すれば, 業種, 設備の状況. 経営政策等. それ ぞれに関連性は ないのである。 このようにみてくれば, 状況に応 じ た方法の選択, つまり選択原理は会計 上あまり意味がないものと考え ざるをえない。 いずれにしても. どれを選択 するか は 会計上の論議を越えた問題領域にあることは疑いない。 よく考えて 凶 Lion, M.. Die Bilanzsteuerrecht. a.a.O., S. 202 . 岡. Lion, M., Abschreibungen von Zeitwert. a.a.O., S. 49.. ⑳. これは .. シ ュ マ ー レ ンバ ッ ハ の 初期の 論稿 に み られ, Dynarnische Bilanz. I.. Aufl., 1919. 以降に も 同様の考えが示 されている。. -204 ( 434 ) -.

(19) みれば, ただ配分とい う ことのみが重要であれば,. パ タ ー ンの違いは問題に. ならず, 実践上容易な均等の配分で十分のはずである。 そこであらためて考 えねばならぬことは. 何故に方法の選択が行われるかとい う 点である。 会計 方法についての選択の 自由は. い う なれ ば選択の権利とい う ことでもある。 だからそれは. 恣意的に 選択する権利が 会計者に 与えられていることであ る。 故に会計計算には. 恣意性がある範囲で介入することを容認する機構が 存するのかもしれない。 近代会計における減価償却が前述のよ う な性格をも つことに想い到れば. 選択の 自由を許さないことはかえって権利を束縛する ことになるであろ う 。 それはともかく, 償却方法の選択は動的論上あまり重要な問願でないと言 い う る。 とい う のは. これらの償却方法に関しては. その他多くの論者の会 計理論の中でも取り扱われる問題であり, なにも動的論に特有の問題ではな いからである。 むしろわれわれにとって重要なのは. どのよ う な償却方法に よろ う とも, それは財産の減少. より正しく言えば財産減少の理由を示すこ とである。 減価償却の大きさつまり財産減少の結果は. あまり重視されなか ったといえよ う 。. > 以上, 論じてきたことによって, 原価配分がもともとどのよ う な会計事実 を反映したものかが理解されるであろ う 。 近代会計が損益計算を支柱として成立していることはあらためて言 う まで もない。 そこでは, 損益計算書を重視し貸借対照表をその附属物とする。 設 備の原価配分の場合減価償却の大きさが決定されて, その後に残額として設 備の帳簿価額が決まる。 あくまで前者が原価配分の主題であり, 後者はその 結果にすぎない。 かくて, 従来, 原価配分に対する研究は, 損益計算書上の 対象と して取り上げられ, 意義が論じられたのである。 しかし, 損益計算書. -205 (435 ) -.

(20) の内容はもともと 抽象的であり, 増減の理由を 分類する項目である。 それ 故. 配分された当期費用について, それが ど のような会計事実を反映したも のか不明になってしまう。 ここで. 増減の理由でなく, 増減するそのものを 考える必要がある。 取得(支出)された設備は, いわば支出に価するものと しての財産である。 財産は支出により評価されるものであるから, 取得 日 以 後の期末においてもそれは成立しなければなるまい。 これは損益計算の立場 からする財産であり, 評価の仕方である。 こうして 評価される 財産の価値 は, 期間経過後に減少するだろう。 この財産価値の減少つまり期間的な財産 価値の差こそ減価償却にほからならない。 ところで, 原価配分は減価償却を先ず決定し取得価額からそれを控除して 簿価を確定するという方式である。 これに対し, 上記の仕方は設備を支出に より評価しその差を減価償却とする。 しかし, われわれは両者は実は同じ事 実を違う視角からみた結果にすぎないという リ オンの立場に与する。 近代会 計における 原価配分の意図は もともと このようなものでは なかっただろう か。 減価償却はやはり財産(支出により評価された価値) 減少であり, 厳密 には財産減少の理由を表現する。 これは, 商品の売上原価についても共通の 会計事実である。 従って, 原価配分は. 期間費用を支出額による財産評価と いう側面からでなく, 財産減少との視角からとらえたものとみることができ るのである。 このように原価配分は本来, 設備の取得価額(支出)の減少に 対応する費用の計上方法をもっていたといえるであろう。 しかし, やがてそ の意味を失い, 減価償却は配分そのものをさえ意味するようになった。 前述 のように, 損益計算書が重視され, 貸借対照表は付属物を化したこと, つま り期間費用の大きさを決定することが先決であり, 設備の評価は主要な問題 とならぬと考えられたこともその一 因である。 こうして, 減価償却はもはや 配分の方法の問題と化したのである。 それは. もはや, なんらかの会計事実 やその発生を反映することはない。 ましてや, 期間における正しい減価償却 の大きさというものはとらえられない。 ただしかし, 配分にはい く つか違っ. -206 ( 436 ) -.

(21) た方法が存在する。そこに共通する性質は. 減価償却 が期間経過とともにな め ら かに推移するバ タ. ー. ン を示すことのように思われる。そ し て, このよう. な共通の性質が見い出されればこそ, 配分の方法は選択に委ね ら れていると いえよう。 とはいえ,. いくつかの方法の中か ら. 一. つが 選択されねばな ら な. い。その決定がどのような会計判 断の下になされるか. 必ず し も明 ら かでな い。 ただ,. 企業の種類,. 経営の環境,. 設備の状況等, 様々な条件を考慮 し. て. その状況に対応 し た方法を自由 に選択するとされてきただけである。方 法の多様性と会計状況との関係は論じ ら れてきたものの, 決定そのものの問 題については明 ら かでない。. -207 (437 ) -.

(22)

参照

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