調査等に係る留意点
東京都環境局環境改善部化学物質対策課 土壌地下水汚染対策担当
第14回 土壌汚染対策セミナー
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トピックス
① 調査結果報告の分割提出時における留意点
② 地下水調査結果報告における留意点
③ 自主調査結果の取扱いについて
④ 既往調査結果の取扱いについて
⑤ 未届出に関する注意喚起
① 調査結果報告の分割提出時
における留意点
①-1 調査結果報告の分割提出時における留意点
前提
• 土壌汚染対策法及び環境確保条例において、一の 契機による土壌汚染状況調査を分割して報告するこ とができる規定は定められていない。
• 都では、便宜上、調査結果報告書を分割して提出 することを認めている。
考え方
★分割によりその調査手法や評価が全体を対象とした 場合と変わることがないように調査計画を立案する必要 がある。
①-2 調査結果報告の分割提出時における留意点
不適切事例1:一部対象区画を含む30m格子での分割
その2の調査結果によって、30m格子全体が再評価される ため、その1の調査結果が覆る可能性あり。
①-3 調査結果報告の分割提出時における留意点
不適切事例2:単位区画内での分割①
試料採取等区画の設定の仕方が間違っており、本来 であれば基準不適合の範囲を基準適合として報告、
施工を行ってしまった。
①-4 調査結果報告の分割提出時における留意点
不適切事例3:単位区画内での分割②
中央の単位区画について、その1調査で基準適合と なった場合でも、その2調査で基準不適合であれば、
単位区画全体が指定される。
①-5 調査結果報告の分割提出時における留意点
まとめ
★やむを得ず調査結果報告を分割して提出する場合であっても、
調査手法やその評価は全体を一括で調査した場合と同様であ る必要があります。
★一部対象区画を含む30m格子内や単位区画内での分割は 原則行わないでください。
★単位区画内で分割し、汚染のおそれの最も多い地点で試料 採取ができない場合には、調査省略の規定を使う等検討する必 要があります。
※形質変更範囲が変更になったことにより、調査範囲が拡張さ れる場合においても、同一調査契機であれば、拡張後の調査範 囲全域が一体のものとして取り扱われます。
② 地下水調査結果報告
における留意点
②-1 地下水調査結果報告における留意点
• 環境確保条例においては、人の健康リスクの回避に 加え、地下水環境の保全を目的とした地下水調査も 義務付けている。
<条例における調査の流れ>
②-2 地下水調査結果報告における留意点
• 地下水調査を省略した場合、試料採取等を省略し た特定有害物質ごとに、省略した深度において第二 地下水基準を超える汚染状態にあるとみなされる。
⇒地下水汚染拡大防止区域以上に対応した対策計 画の策定が必要。
例外:対象地境界での地下水調査を行ったとみなさ れる場合
a) ガスを検出した全ての区画で地下水を調査してい る場合
b) ガスを検出した区画のうち最も下流側に当たる地 点で地下水を調査している場合
②-3 地下水調査結果報告における留意点
具体例:例外b)の場合
★地下水調査結果を報告する際は、代表地点での地 下水調査、対象地境界における地下水調査、それ以 外の任意調査を区別して報告してください。
・土壌汚染状況調査結果報告シート ⇒ 代表地点、対象地境界
・詳細調査(深度方向調査)結果報告シート ⇒ 任意調査
③ 自主調査結果の取扱い
について
③-1 自主調査結果の取扱いについて
自主調査と既往調査
既往調査 法令に基づく調査であり、かつ、過去に法令に基 づいて都へ届け出ているもの。
自主調査 上記以外(法令に基づかない調査や、届出をし ていない調査)
③-2 自主調査結果の取扱いについて
考え方
★自主調査の結果を地歴調査におけ る汚染のおそれの判断に使うことはで きません。
★自主調査の結果は、指定調査機 関による土壌汚染状況調査の中で、
法令に則り試料採取地点の選定まで 実施した上で試料採取の代わりに活 用できるか検討してください。
③-3 自主調査結果の取扱いについて
不適切な活用例(地歴)
・他資料から「汚染のおそれあり」と判断される土地につ いて、汚染が見つからなかったという自主調査結果を根 拠に、条例第117条第1項に基づく地歴調査を「汚染の おそれなし」とした。
⇒地歴調査において、自主調査結果は汚染のおそれ の判断に使用できない。条例第117条第1項に基づく地 歴調査上は、「汚染のおそれあり」として報告し、第2項 に基づく調査結果報告書内で自主調査結果の活用を 検討する。
③-4 自主調査結果の取扱いについて
不適切な活用例(調査)
・地歴等を考慮すると法定調査として明らかに不適であ るにも関わらず、内容を精査せず、過去の自主調査報 告書をそのまま法・条例に基づく調査結果報告書として 届け出た。
⇒調査報告時の法令の規定に基づき調査を実施し、
今回調査の中で活用可能な自主調査結果のみ組み 込んで報告する。
・自主調査結果を根拠として、土壌汚染状況調査にお ける汚染のおそれの区分をより少ない区分に変更した。
⇒自主調査結果がないものとして汚染のおそれの区分 を判断した上で、活用できる調査結果は活用する。
④ 既往調査結果の取扱い
について
④-1 既往調査結果の取扱いについて
考え方
★今回契機における土壌汚染状況調査において、試料 採取地点等の選定をした上で、既往調査が活用できる か十分検討してください。(法施行規則第15条、施行 通知の引用部に合致しているか)
⇒活用に当たっては、活用可能と判断した理由を届出 書へ明記してください。
★今回契機における土壌汚染状況調査として最終的な 結論を取りまとめてください。
④-2 既往調査結果の取扱いについて
不適切な活用例
・既往調査をそのまま流用した。
⇒今回契機における調査に活用できるか十分検討する。
・調査方法、基準値の変更や特定有害物質の追加に 対して検証を行わなかった。
・地下水調査(特に対象地境界)が不足していた。
⇒再評価や追加調査を実施する。
・一つの単位区画内に複数の調査結果がある場合に、
最新の結果のみを利用した。
⇒汚染の評価は一番重い結果で判断する。
⑤ 未届出に関する
注意喚起
⑤-1 未届出に関する注意喚起
・環境省から未届出に関する注意喚起がありました。
土壌汚染対策法に基づく届出等の義務について(再注意喚起)
令和2年11月10日 事務連絡
届出の義務に関する再度の注意喚起と、関連部局への周知の徹底をお願 いするものです。
法第4条第1項に基づく届出をせず、又は虚偽の届出をして、土地の形質 の変更をした者に対しては罰則(3月以下の懲役又は30 万円以下の罰 金)が設けられており、公共工事において届出が適切に行われなかった場合、
自治体職員が刑事罰に問われる可能性があります。
各都道府県・政令市におかれましては、改めて公共事業を含めて、法の厳 正かつ実効性のある施行がなされるよう、土木建築、農林等の土地の形質 の変更を伴う事業を実施する担当部局及び各都道府県においては管下市 町村等に対して、周知を徹底するとともに、引き続き、都市計画法(昭和 43 年法律第100 号)に基づく開発許可担当部局、宅地造成等規制法
(昭和36 年法律第191 号)に基づく工事許可担当部局等との緊密な 連携に努めるようお願いいたします。また、必要に応じて、説明会を実施する など、幅広い周知を行うようお願いいたします。(一部抜粋)
⑤-2 未届出に関する注意喚起
・未届出の主な原因
担当者が多忙で失念していた
担当者が届出の必要性を認識していなかった 事業の細分化・複雑化
多年度工事や工事中の計画変更 設計と現場施工とのズレ
適用除外行為の類似工事
★法令の正しい理解と届出契機の認識が大切
⑤-3 未届出に関する注意喚起
★工事計画時には次の点を確認してください。
① 大規模な改変工事ではないか?
⇒大規模改変時には、法第4条や条例第117条の届 出が必要です。(条例は敷地面積でも該当)
※工事が長期にわたり、分けて実施される場合でも、
一連の計画として法や条例の要件に該当しないかを確 認してください。
② 要措置区域等が含まれていないか?
⇒要措置区域等の改変には法第7条や法第12条の 届出が必要です。
⑤-4 未届出に関する注意喚起
条例第117条第1項の届出契機
・敷地面積3,000㎡以上の土地において土地の改変を 行う時
・法第4条第1項の届出の対象となる行為を行う時
※盛土のみの場合は届出の対象外
条例第117条第1項の届出期限
・土地の改変に着手するまで
⑤-5 未届出に関する注意喚起
法第4条第1項の届出契機
・改変面積3,000㎡以上の土地の形質の変更を行う時 (現に有害物質使用特定施設が設置されている工場 等の敷地については、改変面積900㎡以上)
法第4条第1項の届出期限
・土地の形質の変更に着手する30日前まで
⑤-6 未届出に関する注意喚起
対象地の考え方
・法令の届出契機となる面積の算出に用いる対象地は、
事業目的に利用される土地全体を指します。
・複数期に分けて実施される工事や複数の街区にまた がる工事の場合、その全てを合算して評価してください。
⑤-7 未届出に関する注意喚起
届出を分割して提出する際の留意点
★添付書類に、それぞれの届出範囲や面積、今後届け出る 範囲等を明記
項目 その1 その2 概要
条例 第117条 第1項
土地の改変の場所 〇区××1丁目□
外9筆(全10筆) 〇区××1丁目□
外9筆(全10筆) 敷地全体の筆
敷地面積 10000㎡ 10000㎡ 敷地面積
改変面積 8000㎡
(今回届出3000㎡) 8000㎡
(今回届出5000㎡) 全体面積と
今回届出面積併記
法 第4条 第1項
土地の形質の変更の対
象となる土地の所在地 〇区××1丁目□
外7筆(全8筆) 〇区××1丁目□
外7筆(全8筆) 形質変更全体の筆 土地の形質の変更の場
所 〇区××1丁目□
外2筆 〇区××1丁目△
外4筆 今回届出範囲の筆
形質変更面積 8000㎡
(今回届出3000㎡) 8000㎡
(今回届出5000㎡) 全体面積と
今回届出面積併記 事例:
敷地:10,000㎡(全10筆)形質変更(改変)面積:8000㎡(全8筆)
その1:3000㎡(3筆) その2:5000㎡(5筆)として分割提出
土地の一部の場合は
「~の一部」と表記
⑤-8 未届出に関する注意喚起
条例第117条の適用除外行為
※法第4条第1項の届出の対象となる行為は適用除外されず、全て条例第117条の届出が必要です。
①通常の管理行為又は軽易な行為
(1)敷地内の水道管又は下水道管その他これらに類する工作物で地下に設けるものの新設、改修又は増築
(2)用水又は排水施設の設置
(3)木竹の植栽、植替え等に伴う掘削
(4)既存道路の補修(新設又は拡幅を行うものを除く)
(5)その他土壌汚染の拡散のおそれがなく、かつ(1)から(4)までに類する行為
②改変の対象となる土地の面積の合計が300㎡未満の行為
当該箇所において汚染土壌処理基準を超え、又は超えることが確実であると認められる 土壌汚染が生じている場合を除く
③非常災害のために必要な応急措置として行う行為
★各適用除外の考え方は、条例施行通知に記載しています。
誤った解釈をされないようにご注意ください。
⑤-9 未届出に関する注意喚起
法第4条の適用除外行為
次の3要件のいずれにも該当する行為は届出の対象外です。
I. 土地の形質の変更を行う土地の区域外に土壌を搬出しな いこと。
II. 土地の形質の変更に伴い、土壌の飛散または流出が生じな いこと。
III. 土地の形質の変更に係る部分の深さ(掘削深度等)が全 て50cm未満であること。
また、通常の農業、林業の作業路網の整理で区域外に土壌を搬出しない行為、鉱山関係の土地における形 質の変更、非常災害のために必要な応急措置の場合も届出の必要はありません。
⑤-10 未届出に関する注意喚起
指定区域内で土地の形質の変更を行う場合
・形質変更時要届出区域内で土地の形質の変更を 行う場合、土地の形質の変更に着手する14日前まで に法第12条の届出が必要です。
・基準不適合土壌を要措置区域等外へ搬出する場 合、搬出に着手する14日前までに法第16条の届出が 必要です。
※要措置区域内で土地の形質の変更を行う場合や要措置区域等の指定を 受ける前に土地の形質の変更を行いたい場合は事前に御相談ください。
⑤-11 未届出に関する注意喚起
★判断に迷う場合は、環境局へ御相談ください。
• 土壌汚染対策総合相談窓口 電話:03-5388-3468
• 土壌汚染対策法の届出等に関する窓口
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/soil/law/contact.html
<参考資料>
• 届出書等作成の手引き
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/soil/law/text.html
• 環境省HP「土壌汚染対策法に関するQ&A」
https://www.env.go.jp/water/dojo/wpcl.html
ご清聴ありがとうございました。