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2018年度日本福祉大学スポーツ科学センター スポーツメンタルトレーニング講習会報告

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Academic year: 2021

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1 . はじめに

近年のスポーツ科学の急速な進歩は, 日常生活に おいて肌で感じることができる. 身体能力の強化に 関係する研究やその応用は, 多くの人々が驚嘆する 運動パフォーマンスを生みだすことに成功している. それに伴う心理面の強化に関する研究も, 一昔前の "根性"といわれるものを客観的に分析し, その特性 を示し, トレーニングへの適用の重要性と効果を明 らかにしている. それは"メンタルトレーニング"と 称され, 選手の関心が高く, その指導を求めてスポー ツ心理学の専門家を訪ねる選手も少なくない. わが国のメンタルトレーニングの研究と実践の原 動力となったのは, 日本体育協会スポーツ科学委員 会の研究プロジェクト (現日本スポーツ協会, 研究 代表松田岩男, 1986) とスポーツメンタルトレーニ ング指導士認定制度 (日本スポーツ心理学会, 2000) である. そして, これまでわが国で出版され たメンタルトレーニング関連の図書は 100 冊を超え ており, 初期には競技場面における 「実力発揮」 の ためにメンタルトレーニングが必要であると主張さ れていたが, 近年, 実力発揮は元より, 選手のデュ アルキャリアや体罰・ハラスメント, ドーピングな どに関係する "こころ" の部分にもその適用範囲を 拡大し研究や実践が行われている. 現在, わが国で行われているメンタルトレーニン グの主目的は, 競技場面で必要な心理スキル (psy-chological skill) の習得であるといわれてきた. こ の主張は, 忍耐力や集中力などの心理スキルがトレー ニングによって獲得されるものであるという前提か ら成り立っている. このようなメンタルトレーニン グの位置づけは, 北米のスポーツ心理学会の動向に 影響を受けており, 実際のトレーニングでは認知面 への働きかけを中心に心理技法の適用が成される場 合が多い. 一方で, 選手と比較的長期にわたって関 わっていくと, メンタルトレーニングによる一時的 な問題 (心理的な課題) 意識の消失が, 彼らの人格 成長の可能性にとって, 必ずしも有効とは限らない といった実感もある. このような状況において, メンタルトレーニング 講習会への参加を希望する選手のなかには, 「特に

2018 年度日本福祉大学スポーツ科学センター スポーツメンタルトレーニング講習会報告

A report on sports mental training seminar at Nihon Fukushi University,

Center for Sports Sciences, 2018

中尾 綾1)

山本 真史2)

荒木 雅信2)

Aya NAKAO, Shinji YAMAMOTO, Masanobu ARAKI

1) 日本福祉大学スポーツ科学センター

Nihon Fukushi University Center for Sports Sciences 2) 日本福祉大学 スポーツ科学部

Faculty of Sport Sciences, Nihon Fukushi University 実践報告

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自覚する問題を抱えていないが, 心理面のマネジメ ントの一環としてメンタルトレーニングを学びたい」 という選手がいる. また 「将来, メンタルトレーニ ングを指導するために実際に体験してみたい」 とい う選手もいる. 大学スポーツ選手に対するサービス機関 (スポー ツカウンセリングルーム) が常設されている大学で は, その活動の一環として 「講習会形式」 のメンタ ルトレーニングが実施されている. この活動の先駆 けとなった大阪体育大学や筑波大学では, サービス 機関である以上, 選手のこのような要請に応えるた めの教育・啓蒙活動の必要性を認めて大学スポーツ 選手に対するメンタルトレーニング講習会を開催し ている. そして, 選手の"こころ"に関与する以上, 一方的なスキル指導に陥らないような展開方法が模 索されてきた. 本学ではスポーツ科学部の開設に伴って, 大学ス ポーツ選手へのサービス事業の一環としてメンタル トレーニング講習会を開催することになった. 本学 では初めての取り組みであり, メンタルトレーニン グへの理解を図ることを目的として, 運動クラブの 指導的立場にある主務やマネージャーに対して, 講 習会を行うこととした.

2 . 講習会の概要

1 ) 期間 2018 年 11 月∼12 月 2 ) 場所 SALTO4 階 スポーツ心理学実験室 3 ) 担当者 荒木 雅信 (スポーツ科学部) 山本 真史 (スポーツ科学部) 中尾 綾 (スポーツ科学センター) 4 ) 受講者 特別強化指定部の主務・マネージャー 16 名 (参加者の所属:硬式野球部・男子ソフト部・ 女子ソフト部・女子バスケットボール部・男子 バスケットボール部・アメリカンフットボール 部・陸上部・アーチェリー部・男子ラクロス部)

3 . 講習の内容

1 ) 第 1 セッション 「SMT の捉え方」 ①スポーツでのこころと身体の関係 A 運動はこころから始まりこころで終わる (情報 の流れと運動制御) 運動は, 環境からの刺激を受容して, 脳 (こころ) で刺激を処理して, 行うべき運動を選択して, 身体 (筋肉) に伝えて実行される. そのとき, 脳 (中枢 神経機構) では, 注意・知覚・記憶といった高次の 認知機能がフルに働いている. そして, 運動の成否 (運動の結果) をこころ (脳) で確かめて運動を終 了する. 運動の結果を確認することを 「フィードバッ ク」 という. この一連の流れが運動といわれるもの である. 運動には, このフィードバックを利用する 運動と, フィードバックの無い運動がある. 前者の 運動制御システムを閉回路制御システムというのに 対し, 後者を開回路制御システムといい, フィード バックの代わりにフィードフォワードによる運動の 制御を行っている. これを 「予測する」 といってい る. B こころと身体のつながりと運動 「運動はこころから始まりこころで終わる」 とい うことからも, 運動の実行ではこころと身体がつな がっていることが理解できる. 運動の実行に際して, 種々の刺激が受容器から脳に入り処理・分析される ことは前述の通りである. このとき, 分析された結 果は記憶から引き出されたモノと比較され, 実行す べき運動を決定する. この決定を身体に伝えて, 運 動が実行される. この間, 1-2/100msec という高速 で, 課題を解決することが要求される. このような 高速での情報処理を 「瞬間情報処理」 という. ここ では, 運動を言語化もしくは記号化して伝える時間 が無い. そこで表象 (イメージ) という映像化して 短時間で状況を把握して, 解を引き出し決定する. したがって, こころと身体をつなぐ 「イメージ」 は, スポーツ場面でしかみられない 「動き (作用)」 が ある. C 意識の階層 (識域) スポーツのスキルは, トレーニングによって特異 な自動化がなされている. そこには 「意識」 という

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高次なこころの働き (認知) がある. 人の心的活動 は, 意識的な活動と身体的な活動がいろいろな割合 で含まれている. それは系列をなし, 意識的要素の 多い 「思考」 から身体的要素の多い 「反射」 まであ る. スポーツは明らかに意識体験である. したがっ て, ここでは意識の領域を取り上げる. 意識は, 意 識・非意識・無意識に区分できる. 初心者のとき, 新しいスキルを練習するとき, 勝敗を決める状況で は, 自分や周りに意識を向けてプレイをする. 一方, 熟練者になると意識しなくてもプレイが出来る. 前 者を 「意識」 といい, 後者を 「非意識」 という. 意 識と非意識は, 本質的に同じ心的動きと内容を持っ ている. 違っているのは, 意識に上っているかいな いかである. つまり, 瞬間的に情報処理を行おうと する意識に上らない位, プレイを自動化させる必要 がある. (無意識は, こころの深層の部分であり, ここでは扱わない) ② スポーツ選手に必要な 4 つの心理スキル (スポー ツメンタルトレーニングを活用する) スポーツ選手に必要な 4 つの心理スキルがある. 一つ目は, 「自己分析 (assessment)」 である. 時々 刻々, 変化するその時のこころや身体の状態を正確 に素早く知る能力をいう. 二つ目は, 「やる気」 で ある. 「やる気」 は, 「動機づけ (motivation)」 と いう語と同義である. 「やる気」 は, どのような活 動にも必要なこころのエネルギーであり, 行動の源 となる重要なものである. 三つ目は, 「積極的思考 (positive thinking)」 である. 積極的思考は, もの ごとを自分に都合よく捉えて行動するような自己中 心的な考え方ではない. あくまで, 現状を正確に把 握して, 適切な行動 (運動) を決定する認知過程を いう. これは, つねに変化するスポーツ場面におい て, 不測の事態に遭遇してもマイナス面を最小限に 食い止めるためのこころの働きである. 詳しくは 「あがりの仕組み」 の項で触れている. 四つ目は, 「リラクセーション技法」 である. その反対には 「サイキングアップ技法」 がある. こころのエネル ギーは, 普段は意識に上らないが, 不安になったり 舞い上がったりすると意識に上ってくる. こころの エネルギーには最適な水準がある. リラクセーショ ンは過剰なエネルギーを抑えることを, サイキング アップは不足しているエネルギーを増加させること を指している. これら 4 つの心理的スキルを身につ けて, さらに必要なときに使えるようにするのが, メンタルトレーニングの目的のひとつである. メン タルトレーニングは, こころに想っているだけで効 果が現れる 「魔法のトレーニング」 ではない. A 4 つの心理スキルを身につけるためのこころがけ 1 「自分からしゃべる」 ;これによって自己を分 析する能力を養うことができる. 2 「できる目標を立てて, それを成し遂げる」 ; 小さな達成感を感じ, 自ら目標を設定する能力を 養うことができる. 3 「否定的な言葉かけをしない」 ;いつでも積極 的な思考を行うための練習となる. 2 ) 第 2 セッション 「SMT が使う理論とその背景」 ① MT を支える理論と科学的根拠 A メンタルトレーニングを支える理論 なぜ, 理論的な背景や科学的な根拠が必要なのか. その理由は, 科学的に確かめられた客観的データか ら, 効果が期待でき選手・指導者が納得し信用でき るからである. 1 動機づけ理論;動機づけと運動パフォーマンス の間に逆 U 字関係があるという理論をベースに, 意欲・不安・情動感情といった心理面のコントロー ルを試みるものである. その他に, 自己効力感 (Bandura, 1997)・原因帰属理論 (Weiner, 1972) ・学習性無力感 (Seligman, et al., 1967)・自己 決定理論 (Deci & Ryan, 1985) などがある. 2 認知行動理論;行動理論 (学習理論) と認知 理論の両方から人間の思考・態度・行動などを説 明する. 主に, 心理スキルとそれを獲得するため の心理技法の習得を目的とする. 3 カウンセリング理論;次の 3 つに分類すること ができる. 一つ目は, 人間は学習することによっ て変わるという行動理論であり, 二つ目は, 「来 談者中心療法」 を基礎にして, クライアントの自 己への気づきと洞察により自己のあり方が確立さ

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れる自己理論であり, 三つ目は, 無意識の存在を 肯定し, 人格の変容 (成長・成熟) を目指す深 層心理学理論である. B メンタルトレーニングの現状と課題 1 メンタルトレーニングにおける今後の課題 新たな取り組みに向けて, メンタルトレーニング の 2 つの技法 (認知行動療法的手法, 臨床心理学 的手法) に加えて 「マインドフルネスアプローチ」 が用いられてきた. ② メンタルトレーニングの展開 A アスリートとの関係づくり 1 選手とコーチと SMT 指導者の特異な三者関係 選手とコーチと SMT 指導者の特異な三者関係で あり, サポートに関する情報の秘守が保障されな い限り, 専門性は発揮されない. 2 専門性 (守備範囲を自覚して, 実践しているこ と) 競技力向上・実力発揮に役立つ心理サポートを 行うことが目的であり, 研究的関心を払わないこ とが原則であり, コーチングは守備範囲ではない. 専門性とは, 競技場面での心理的特徴をいろいろ な側面から評価するための技法をマスターしてい ることに加えて, MT として適用する心理技法を マスターしていることである. 3 学ぶ姿勢 アスリートから学ぶ姿勢を持つことは, アスリー トとの関係性の深まり, アスリートの積極的・自 発的な取り組みに繋がる. アスリートの主体的な 動きが無ければ, 心理サポートは実現されない. 学ぶ姿勢から, 「視点の移動」 アスリートの立場 からアスリートの経験を受け止めることができ, 共感的な対応・新しい側面からの理解が, 可能と なる. 4 場の設定 (物理的・空間的・時間的な制約を いう) 3 つの MT 指導の場 (状況) は, ①定期的に 決められた場所での MT 指導, ②自宅でのトレー ニング, ③練習場や競技場での実践をいい, 身体 的・技術的トレーニングとの連携 (つながり) し, 時間的制約の折り合いや経済的な折り合いを つけることをさす. 5 メンタルトレーニング実施中の関係づくり 「添う」 ということが重要であり, 初期にはア スリートと一緒に実施し, トレーニング後の振り 返りの中で, 感じ方・理解の違いを埋めることが 必要である. ③ MT に活かすカウンセリング A 面接と 「見立て」 心理サポート (MT) に, 何を求めているか, どのように競技に取り組んでいるか, 競技遂行上, どのような問題があるかなどを聴くことから, 何 が問題となっているか, どのようなサポートが必 要か, 問題の解決に必要な期間はどれくらいかを 「見立て」 る (アイデンティティ, 価値観, 競技 の意味などの理解が, サポートの質を決める). 言葉だけでなく, その背景や身体が語っているこ とを聴くことで異なった問題が顕在化することが ある. B 傾聴 アスリートの語ることに耳を傾ける. 「このひ とは, 話を聴いてくれる」 という関係の構築す る 「語る⇔聴く」 ことで, アスリートは気づいて いない自分の可能性に気づくことが可能となる. 聴きやすい語りと聴きにくい語り (苦痛体験な ど) があり, 自分の感情を揺さぶられ, 非意識 的に聴きにくいことは避けることがあるので, 避 けないように心がける. C 面接するうえでの留意点 カ ウ ン セ ラ ー に 必 要 な 3 つ の 基 本 的 態 度 (Rogers, 1957) は, ①無条件の積極的態度, ② 共感的理解, ③自己一致や純粋性・真実性・先入 観に捉われず, アスリートが語る世界を尊重し, 共有することが大切である. SMT 指導士がアス リートと同じ競技・種目の経験者であった場合の 注意点として, ①聴かずに理解したつもりになる こと, ② (競技の) 技術指導をすることは, 避 けねばならない. D 関係性

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こころの動き [心理力動;サイコダイナミッ クス] は, カウンセラーとクライエントとの関 係と類似している. (感情) 転移 (transfer-ence) がカウンセラーに向けられる怒り・好意・ 甘えなどの感情の発露は, 親などへの幼児期の未 解決課題 (感情) の現れであり, アスリートから SMT 指導者に向けられる怒りや好意などの多く は, 感情転移の可能性がある. アスリートの感情 転移によって引き起こされる SMT 指導者の感情 の生起は, "逆転移 (counter-transference) と 呼ばれ, アスリートの自立を妨げる原因にもなる. ④ MT・プログラム作成の原則 メンタルトレーニングの展開 (実施) に際して 大切な点は, アスリートと SMT 指導者との間で 創造していく部分が殆どであり, 「なにを教育・ 指導するか」 よりも, 「どのように教育・指導す るか」 がポイントとなる. 「教育」 には, 「教え る」 と 「育てる・育つ」 の 2 面があり, アスリー トと SMT 指導者の間に生まれる人間関係を基盤 とする 「サポート環境」 が不可欠となる. A プログラム作成の中で配慮すべき観点 1 トレーニングを希望した背景;本人の主体的判 断によること. 2 トレーニングへの動機づけの工夫;MT への動 機づけの高さがMTの効果を左右する. 3 トレーニングの継続;事情により MT の継続 が出来なくなった場合, 他の SMT 指導者を紹介 (リファー) する. 4 技術・体力トレーニングとの共同歩調;日々の 練習やトレーニングで心理スキルを取り入れる. B プログラムの一般的な流れ 1 アセスメント;面接や種々の心理テストから MT の進み具合の情報を得る. 2 リラクセーション技法;MT 初期に共通してこ の技法を導入する. 「心理的基盤作り」 (身体に対 する鋭敏さのアップする, 精神状態をクリアにす る). 3 イメージ技法;通常の練習のなかで使用頻度が 高いが, 行動変容を起こすためには高品質なイメー ジ (鮮明性・統御性) が必要である. 4 メンタルリハーサル;応用的な心理トレーニン グであり, 目標設定, ピークパフォーマンスの分 析, ストレスマネジメントなどで使用する. 3) 第 3 セッション 「イメージトレーニング」 イメージトレーニングについて話を行った. イメー ジには状況イメージや身体イメージ, 運動イメージ があることを説明するとともに, 感覚様相に応じて 視覚的イメージや体性感覚イメージがあること, イ メージの視点に応じて内的イメージや外的イメージ があることなどイメージの多様性について説明した. 状況イメージを体験するために, 様々な競技のボー ルを描く作業を受講生に行ってもらい, イメージと 実際の差異を通してイメージの曖昧さ等を説明した. イメージトレーニングは, スポーツスキルの習得・ 習熟にとどまらず, 集中力など認知制御の向上や試 合の疑似体験などに対して効果を有する. また, 上 級者の (運動) イメージは非常に鮮明であることや, イメージトレーニングを行う際の準備・手続きにつ いて説明を行うことで, イメージトレーニングの概 要を説明した. 4 ) 第 4 セッション 「チームビルディング」 チームとはどのような組織なのかをグループと比 較しながら説明した. また, チームワークの定義 (①共通の目標がある, ②構成員の行動を規範する 規則がある, ③我々の集団であるという感情がある, ④安定した人間関係がある) を説明したうえで, 受 講者自身の所属する部活動を振り返ってもらった. チームワークに影響を与える要因 (①リーダーシッ プの型, ②メンバーのやる気, ③協調性と個性化の 共存, ④目標達成への参加状況), さらにチームワー ク向上に寄与する心理的スキルとしてリーダーシッ プ・スキルおよびコミュニケーション・スキルにつ いて触れた. チームビルディングにおける 2 つのアプローチ方 法としてコーチの教育ならびにコンサルテーション が中心の間接的アプローチと SMT 指導士が個々へ の直接的な働きかけを重視する直接的アプローチの

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内容を説明した. そして, チームビルディングの実 践にあたって, 形成期・混乱期・統一期・機能期・ 解散期の過程を辿ることを説明し, アイスブレーキ ングおよびミーティングの手法を紹介した. 5 ) 第 5 セッション 「 振り返り」 メンタルトレーニング講習会を振り返って今後の 講習会に役立てるために, ディスカッションと振り 返りアンケートを行った. (図 1・図 2) 図 1 アンケート①

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図 2 アンケート②

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4 . 振り返って

1 ) 受講者へアンケートの結果 2 ) 講義内容からの学びについて 内 容 評 価 (悪いと答えた理由) ※そのままを記載 開催時期 (10 月-12 月) 良い:10, 悪い:2 ・2 年生になると実習が重なるため, 時期を変えてもら えるといいと思います. ・夏場の方が良いかと 開催時間帯 (15:05-16:35) 良い:10, 悪い:2 ・3 限の時間が良かった ・14:00 ぐらいからが良い 開催時間 (1 時間 30 分) 良い:12, 悪い:0 セッション (#1-5) 良い:11, 悪い:1 ・もう少し回数を増やして, 深く学びたいと思った. 講習内容 (プログラム) 良い:10, 悪い:2 ・知識や理論は理解できたが, どう展開すべきかさらに 具体的に例があるとなおいいと思った. ・参加者同士が意見を伝え合う場がもう少しあってもい いかなと思いました. 参加人数 (20 名前後) 良い:12, 悪い:0 進度 良い:12, 悪い:0 担当者の対応 良い:12, 悪い:0 負担 有:3, 無:7 項 目 記述内容 (そのままを記載) 「心身の気づき」 について ・自分自身, 心の中の自分と沢山会話をするようになりました. ・心と体の関係について知った. ・自分でも気づいていないことや知らないことがあった ・心の面で悩むことはあると思うけれど, どうしたら良いか考え, 気づくこと が大切だと感じた. ・心と体のつながりがスポーツをする上でとても重要だということが分かった. 講習会参加前は, 体の方が大事であるという感覚が自分の中ではあったので, 講義を参加して良かったです ・プレイヤーをよくみているのはマネージャーの役割でもあるので気づきから 積極的に行っていきたいです. 第 5 セッションにて実施したアンケート結果を以下にまとめた.

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・前回まで 「心」 「身」 は別のものであると考えていたが実際はつながるもの があった. 部活ではこれを考え指導していきたい. ・技術を高めるためには量や質というが, それより先に技術を向上させるため の意識が必要. ・心と体はつながっていてプレーにとても影響すると感じた. ・心と身体のつながりを意識することによって運動することに対しての動き方 などが変わってくると思うから, 意識することが大切だと感じました. ・メンタルトレーニングは, 人に言われたり, 勧められて行っても効果がない と聞いて驚いた. 心理面の課題は人間全員が持っているものだと思っていた ため, まだまだ学習が必要だと感じた. 「自己のコントロール」 について ・集中力が up するように, 呼吸法などをして, 自己コントロールをしたら落 ち着いたりするので日常でもしています. ・自分をコントロールするのは難しいと思うけれど, まわりにも影響があるし, チームスポーツは, みんなが互いに自分をコントロールし合わないといけな いと思う. ・今まで知らないことが多々あったため実践していきたい. ・自分なりの落ちつき方などがあると思うので, 自分なりのコントロールの仕 方が大切であると思った. ・不安というのはマイナス面だけでなく, プラス面にも働くということを初め て知ることができた. その不安をいかにプラスにするのかというところで, 呼吸法などの自律訓練が効果的だと知れたので, 今後やっていきたい. ・スキルを持っていても状況に応じて出しきれないと良さが減ってしまうこと を学んだので, それになれる手段, 上手く出し切る環境構成にもたずさわっ ていきたいです. ・私の部活では自分のコントロールができない人がいる. そういった人にはほっ ておき, 自分でなにが悪かったのかを考えさせる必要があると学んだ. ・練習態度は自分の意識が低下してしまうと 「やりたくない」 という風になっ てしまう. 意識をしっかりすることで 「やるぞ」 自分をコントロールできる ようになる. ・選手自身が変わりたいメンタルを強くしたいと思い, メンタルトレーニング をすることで自己をコントロールし試合で発揮できる. ・自己のコントロールは簡単にできる人もいますが, 難しい人も多くいると思 います. そういった人の話を聞いてあげて, コントロールがしやすいように うながしてあげたらいいのかなと思いました. ・私は試合中などのプレッシャーがかかる場面でミスしたり打てないことが多 かった. それは, あがりの症状や自分をコントロールでいていない証拠だと 知った. 打てなかったらどうしようとかエラーしたらなどと考えるのではな く, 今そのプレーに集中しようと考えを変えることができた.

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「競技への関わり方」 について ・私は主務としてもあるし, プレイヤーという面でもあるので間に入るところ は入っていけていると思います. ・そのスポーツに対して・・・ ・チームよりは個人のため取り入れることは少ないかなと思った. ・バスケットボールは団体スポーツであるため, 個々が別々だと成り立たないの で, 全員が 1 つになり, バスケットボールをすることが大切だと思いました. ・この講習会を受けて, 自分の所属している部活や他のスポーツでの共通する 場面というのが多くあり, スポーツという大きなくくりでトレーナーという 道を目指したりもっと密接に関わっていきたいと思えました. ・プロばかりの姿を目指して全てをマネするというかは, 自分自身の長所や自 分が活かせそうな点から強みにしていけるように変えられるようにしていき たいです. ・競技をする上で一番は今している競技を好きになってもらうこと. 強いチー ムを作るためには, まず好きになってもらうことが大切. ・野球は間のスポーツのため, 1 球 1 球間ができる. その間に意識かイメージ トレーニングを行うことでプレーが良くなるし準備ができる. ・その競技の魅力などあると良いと思った. ただやっているだけじゃ何も変わ らない. ・これから競技へ関わっていく際に, アップの時間やダウンの時間はどの競技 にもあることなので, そこで意識をどれだけこれから変えていくかで今後の 技術にも関わってくると思うので声をかけていこうと思いました. ・競技不安の部分が一番印象に残った. 私は試合前になると突然汗が大量に出 てきたり, お腹が痛くなってしまうことがあった. これは状態不安が影響し ていると理解した. 無くすのには時間がかかるため, どう向き合っていくか 考えていきたい. 「イメージの活用」 について ・イメージすることで理想の自分をプレーする前に思いうかべて, 現実世界で も実行できるようになった. ・今まではイメージすることを重要視していませんでしたが, 鮮明にイメージ することができれば, 試合で自分のイメージした通りに動くことができると 聞いてイメージトレーニングの重要性を知ることができた. ・イメージすること (自分のプレイとかいい選手) は, すごく自分のパフォー マンス向上になったからいいと思った. ・イメージと現実の相違が考えている程以上に幅があると知り, 幅を縮めたい. ・ただ頭でイメージすることが多かったけれど, 体と連動させることで, より 良い結果を得られると思いました. ・日常生活からスポーツ活動, そして日常生活というサイクルを行うことで, W-up と C-down でのイメージトレーニングがとても重要であると学んだ. ・ただ量をこなすだけが良い自主練ではなくて, どこの試合で活きるのか考え つつ行うとさらに効率的だと学びました.

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・心身にはイメージがつながるものがある. イメージをさせることは成功へと つながる. 部活でもこれを使っていきたい. ・1 球 1 球, 1 本 1 本, どういう打球がくるか, どういう球がくるかを多くイ メージしておくことで, 準備ができる. ・男子バスケットボール部は練習の終わりにクールダウンしないですぐ終わる ので, きちんとその時間を使って振り返ったり, ウォーミングアップでイメー ジすることが大事だと思った. ・イメージトレーニングはいつでも簡単にだれでも出来ることなので自分自身 もしようと思うし, そうすることでやりたいことがはっきりして目標もさだ められると思うのでイメージトレーニングをするようにしていきたいです. ・イメージについては, 高校のころから実践していた取り組みであった. 試合 前に, 自分の尊敬する選手の好プレー動画を見ることだ. 当時は好きだから 見ていただけだったが, 本当にメンタルの効果があったと聞いて驚いた. 「チームワーク」 について ・勝とうとすればするほど一番大切なチームワークだと知り, まずは信頼だと 思いました. ・チームワークを発揮するために, リーダーとか大切だと感じた. リーダーシッ プとか学んで, いろんな理論があるとわかった. ・競技力向上 ・今までチームの目標はあったが, それぞれの意識の部分で差があり, まとま りがなかったが, きっかけがあることでまとまりが出来ると思いました. ・それぞれの役割を決め, 自分に与えられた役割を 1 人 1 人が果たすことで, よりよいチームワークが生まれるので, 役割の大切さが分かった. ・チームワークは同じ目標を持ってやること, しかし自チームではその目標を ゲームメーカーなど幹部に強要されているようにも感じていました. 各ポジ ションそれぞれ役割が異なるので様々な角度から目標に向かっていきたいと 思います. ・チームワークを良くするためには, 指導者, それをサポートする人の力が求 められる. チームワークを良くするためにも活かしていきたい. ・意識を高く持ち練習にはげむ. ・チームで目標を決め, それに向けてたがいにはげますことが大事であると感 じた. ・1 人の気持ちが違うだけで, チームの雰囲気も変わってくるし, 負の気持ち だと連鎖してしまうので, そういった気持ちをなるべく取り除き, 全員が一 つの目標に対して, 取り組みながら個人の目標も達成できるようにしていく べきだと思いました. ・私のチームにとって一番の課題だと思う. 今のチームは, 1 つの目標に向かっ て全員が進んでいないと思う. 中尾さんがおっしゃっていたように, もう一 度大きな目標から決めなおす必要があると感じた.

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「その他」 ・マネージャーとして, 選手の意見を聞く中で, もっと選手自身の考えで行動 できるよう促したり, 必要なことへの助言はしてあげたりして, 手助けでき たらいいなと思えました. ・話を聞いてアドバイスして, おわり, ではなく, 話をきいて, そしたらどう すれば, その問題が解決されるのかを自分自身で考えさせることが, 大切と いうことが分かったので今後気をつけていきたいです. 3 ) 今後, どのような側面の心理能力の向上に結び付く内容 (心理技法) を希望しますか. (そのままを記載) ・ 「一人一人の気持ちを一緒にするには」 について希望したいです. ・プレッシャーがかかる場面でいつも通りの力を出す方法 ・大事な試合で最大のパフォーマンスを発揮できるような集中力をみにつけていけるようにしていきたい. 練習でできても本番でそれを出せないといけないから, 集中力を高めていけるようにしたい. ・基礎的なことだけでなく, コミュニケーションの取り方を学べたらいいと思います. ・選手や自分が, スランプやプラトーになっているとき, どういう心持ちをしたらよいのかなど. ・チームとして対人関係もからめた内容. もしくはそれを切りかえる方法. ・まずはコミュニケーション, 目標について向上させるために希望させていただきたい. ・どうすれば技術がうまくなれるか. ポジティブシンキング. ・今回は, 自分で考えさせることがメンタルトレーニングとなりましたが, トレーニングする側がプラス な方はコントロールを少しでもできる内容を知りたいです. ・チームワークについての内容を希望したい. やる気のある人と無い人の差を縮めるには, どのような工 夫が必要かなどを学びたい. 4 ) これからメンタルトレーニングにどのように関わって行こうと思っていますか. (そのままを記載) ・自分自身のメンタルもそうですが, チームを良くする為に, 間に入ってチームを良くしたり, 学んだこ とをいかしていきたいと思います. ・ここでの学びを部全体に広げてチームを強くしていきたいです. ・スポーツ指導をすることがあったら, 技術だけでなくメンタル面でも選手の気持ちを理解して助けてあ げれたらいいなと思った. ・習ったことは忘れず, 選手が困っているときには, 心に寄り添い, 私自身が対応に困った時は, 先生方 に相談したいと思っています. ・特に部活動で, 選手のため, チームのために講習会で学んだことを生かしていきたい. ・まずはスキルアップやケガなどで悩んでいるプレイヤーに展開していきたいと思います. 全員が全く同 じ役割・目標というよりかは, 自分自身の目標の立て方や体のつかい方が良いということを伝え, 考え 方の新たな方向性が見つけられるように促しや援助ができたらと思います. ・部活で目標を持てない選手などに伝えていきたい. 選手一人ひとりの底力を上げるためには, 非常に大 切なことだと思う. また, 自分が指導者の立場になった時に気持ちの持ち方など心を強くさせるために も活かしていきながら, 自分自身の磨きの上でも使っていきたい.

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5 . 今後の課題

2018 年度スポーツ科学センターの企画として実 施したスポーツメンタルトレーニング講習会は, 日 程調整に苦労したが受講者の学ぶ意識が高く, 内容 の濃い講習会となった. 講習会の中で, 各部の主務 やマネージャーにあたる受講者同士で部の現状を踏 まえたディスカッションが行われ, 現場での生かし 方のイメージが持てたのではないかと感じる. 今回 は, 全 5 回ということもあり, 実践的な内容を入れ ることができなかったため, 受講者の意見も踏まえ, 次年度以降は回数を増やし講習と実践形式の内容を プログラムに入れていきたいと考えている. また, 対象者も主務・マネージャーに留めず選手を含めた 強化指定部員を対象とし, 競技者としての心理スキ ルのアップにつながる内容を検討していきたい. また, 本学は 2019 年度の 「UNIVAS」 設立・加 盟に伴い, スポーツ科学センターを含めたスポーツ 関連組織の整備を進めている. 同センターにおける 役割として, ①スポーツに関する学生・指導者教育, ②課外活動の支援, ③地域と連携した教育実践活動, ④研究開発支援を挙げている. 本講習会は, 課外活 動の支援の一環として専門家から科学的根拠に基づ いた指導を受けることのできる貴重な機会であるた め, センター事業としての確立を目指したい. 引用文献 荒木雅信 「コンタクトスポーツの試合と意識」, 体育の科学, 杏林書院, Vol.44, No.5, p354-358,1994. 荒木雅信 「3. メンタルトレーニング講習会の開催」, 臨床 スポーツ心理学の構築に向けて, 平成 9 年度日本私学 振興財団補助対象事業研究報告, pp.45-48, 1997. 荒木雅信 「これから学ぶスポーツ心理学 (改訂版)」, 大修 館書店, 2018, 中込四郎 「4. 心理サポートにおけるメンタルトレーニング」, スポーツメンタルトレーニング教本三訂版, 日本スポー ツ心理学会編, pp6. 2016. ・日頃から選手の話をきいてあげることが大事かなと思いました. また, 私の思っていることを言うので はなく選手自身に考えさせることが大事だと思いました. ・選手たちのサポートでメンタルトレーニングと関わっていくことや人に相談された際などで関わってい こうと思います. ・私は高校 2 年時に本を読んで, メンタルについて知った. そして, 心理面で問題があった私は, この本 のおかげで人としても選手としても変わることができた. 精神面・心理面で悩みをかかえる子どもたち を助けてあげたい. 自分の経験を通して救ってあげたい.

図 2 アンケート②

参照

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