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高校生のプレゼンテーション学習における協調的な振り返り場面に動画アノテーションを活用した授業実践

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修 士論 文

高校 生 のプ レゼ ンテ ー シ ョン学 習 にお け る協調 的 な振 り返 り場 面 に

動 画 ア ノテ ー シ ヨンを活 用 した授 業 実 践

兵庫教育大学大学 院

学校教 育研 究科

教育 内容・ 方法 開発専攻

行動 開発 系教 育 コー ス

M13199」

(2)

目 次

第1章

.席

命 ..…… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… ……1 第2章

.動

画アノテーション活用可能性を検証 した実践 (予備規 .………6

2.1.

動画アノテーションを活用 した授業案の作成.…………6

2.1.1.卸

.………・………・…・………・……・………・…・…………・6 2.1.2.動画アノテーションの活用方法の検討 ………8 2.1.3.単元設定 .…………9 2.1.4.協調的な振 り返 りの流れ.…………10

2.2.

作成 した授業案に基づ く実践の結果 と考察.…………・

H

2.2.1.スライ ド作成意図とアノテーションの対応関係別に見た気づきとそれに基づ く改善案の考察.… 11 2.2.2.アノテーションを参照することで得 られた気づきと改善案の関係性に関する機 _.……………。12

2.3.

動画アノテーションの活用可能性を検証 した実践のまとめ.… ………・15 第3章

.協

調的な振 り返 り場面に動画アノテーションを活用 した実践 卿 .…………16

3.1.

予備実践における課題に対する支援方策の追加 と授業内容の変更.…………16 3.1.1.指摘娩 点を示 したア ドバイスボタンの追加 .…………16 3.1.2.作品制作形態の変更.…………17 3.1.3.ワークシー トの様式変更.…………17 3.1.4.単元設定の変更.…………19

3.2.

新たに追加 した支援方策 と変更 した授業内容の効果に関する考察 .…………・20 3.2.1.ア ル `イスボタン追加の効果に関する考察 .…………20 3.2.2.作品制作形態変更の効果に関する考察.…………22 3.2.3.ワークシー トの様式変更の効果に関する考察 .…………23 3.2.4.単元設定変更の効果に関する考察.…………23 3.3. まとめ.…………24 第4章 本実践の結果 と考察.…………26

4.1.

改善の必要性に関する検討結果 と改善内容 との関係性に関する考察.…………26

4.2.

作成意図とアノテーションの AIDCA段 階との一致状態別に見た改善内容に関する考察.…………28 4.2.1.改善スライ ド麟 よび改善箇所数 と改善内容の関係性に関する考察.… ………・28 4.2.2.意図の一致状態別に見た改善の必要性に関する検討結果 と改善内容 との関係性に関する考察.… 29 4.3. AIDCAモデルに関する理解度の検証.………∴.…………39 4.3.1.生徒個人別およ硼 1の雌 .…………・………・………40

4.3.2.AIIICA→

略 段嘲 Jの動 彼 ………… …… … … …… … … …43 4.3.3. まとめ.…………・48

4.4. AIDCA段

階を示すテンプレー トとして設定 した文言の妥当性の検証.… ………48 4.5。

実施 された改善内容の効果に関する考察.…………・49

4.6.

アンケー ト結果から見た生徒の構成についての理解度に関する考察.…………52 第5章

.結

論 と今後の課題.…………54 5.1. 糸吉粛合...・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

5.2.

今後の朝賎堕.…………56 5.2.1.閲覧者からの指摘理由や改善の方向性を示す コメン ト入力支援方法の検討.…………・56 5.2.2.改善プロセスの理解お よびAIIICA段階の理解の徹底.…………・56 参考文献.…………・58 謝辞.…………・61

(3)

修 士論 文

高校 生 のプ レゼ ンテ ー シ ョン学 習 にお け る協調 的 な振 り返 り場 面 に

動 画 ア ノテ ー シ ョンを活 用 した授 業 実 践

兵庫教 育 大学大学院

学校教 育研 究科

教 育 内容・ 方法 開発 専攻

行動 開発 系教 育 コー ス

M13199」

(4)

第1章

.序

論 高等 学校 学 習指導要領 の言語活 動 を充 実 させ る指 導 と事例 (教科 「情 報 」

)に

お い て,「生徒 が主体 的 に考 え

,討

議 し

,発

表 し合 う学習活動 を取 り入 れ

,言

語 な どを活 用 して

,新

た な情報 を創 り出 した り

,分

か りや す く情報 を表 現 した り

,正

しく伝 達 した り,他者 と共 同 して問題 を適切 に解 決 す る学 習活動 を充実す る」と記述 され てい る(文 部科 学省

,2013)こ

とか ら

,今

,よ

リー層

,学

校 場 面 でプ レゼ ンテー シ ョン活動 が 積極 的 に導入 され る こ とが想 定 され る

.ま

,中

央教 育審議 会答 申 「新 しい時代 にふ さわ しい高大接続 の実現 に向 けた高等 学校教 育 、大学教 育、大学入学者 選抜 の一体 的 改革 につ いて」 にお いて,「確 か な学力 」 を総合 的 に評価 す る方 法 の

1つ

と してプ レ ゼ ンテー シ ョンが例示 され るな ど (中教審 第

177号

,2014),生

徒 が社会 で 自立 して 活 動 してい くた めに必 要 な力 と して

,プ

レゼ ンテー シ ョン能 力 が重視 され てお り

,そ

の育成 の必要性 は益 々高 くなつてい くこ とが想 定 され る。 プ レゼ ンテー シ ョン能力 の育成 とい う観 点 で は

,様

々な先行研 究が報告 され てい る。 まず

,プ

レゼ ンテー シ ョン能力 の育成場面 では

,協

調 的 な振 り返 り活動 が有効 で あ るこ とか ら,リ ハーサル 場面 にお け る ピア レビュー支援 に関す る研 究 が行 われ てい る。 そ の 中で

,岡

本・ 柏原

(2008)や

山下・ 中島

(2010)は

動画 を用 い た ピア レビュー支 援 システ ム を提案 し

,プ

レゼ ンテー シ ョン内の課題 とな る箇所 につ いて

,評

価者 が詳 細 に指摘す る こ と

,お

よび

,発

表者 がそ の部分 に関 して正確 に想 起す るこ とを支援 し, プ レゼ ンテー シ ョンの改善 を試 み てい る。また

,稲

浦 ら (2008)は

,発

表者 に対 して, リハー サル 中に評価 をフィー ドバ ックす るシステ ム を提案 し

,発

表 途 中においてプ レ ゼ ンテー シ ョンの改善が可能 とな る手法 を提案 してい る.さ らに

,渡

邊 ら(2013)は, コメン ト文 に よる レビュー結果 の曖味性 を排 除す る 目的で

,視

覚 的 なア ノテー シ ョン に よるフ ィー ドバ ック手法 を報告 してい る。 次 に

,プ

レゼ ンテー シ ョン能力 で は

,テ

ーマや 時 間

,聞

き手 の状況 な どの発表 条件 に基 づ い て論 理 的 にス トー リー を組 み 立 て る構成 力 も重要 な要 素 で あ る こ とか ら

,プ

レゼ ンテー シ ョンの構成力育成 に関す る研 究 が行 われ てい る。その 中で,柏 原 ら(2011) や齊藤 0柏原

(2011)は

,ア

カデ ミックプ レゼ ンテー シ ョンを題材 に

,そ

の典型 的な 枠組 み をス キーマ と して活 用す るこ とで構成 力 を育成 す る手法 を提案 し

,そ

の有効性 を報告 してい る。そ の他 に も

,鈴

木・加 藤

(2008)や

舟生・鈴 木

(2011)は

,聞

き手 に配慮 した構成力 の育成 を 目的 に

,発

表者 がマ ンガ を用 い て聞 き手 と仮想 対話 を行 う こ とで,聞 き手 の立場や考 えを意識す る手法 を提案 してい る。また,花植・渡 邊(2012) は

,設

定 され た発 表 時 間 に応 じて変化 す る発 表 の進 め方 に基づ いて

,ス

トー リー に盛 り込 む 内容 や そ の説 明順 序 の決 定 を支援 す る手法 を報告 してい る。 いずれ の研 究 もプ レゼ ンテー シ ョン経験 の あ る大学生 また は大学 院 生 を対象 と し

(5)

てい る こ とか ら

,た

とえ経験者 で あつて もプ レゼ ンテー シ ョン活 動 に関す る困難 さを 解 決す る こ とは容易 ではない こ とが推測 され る。従 って

,高

校 生段 階か らプ レゼ ンテ ー シ ョン学習 を通 して

,自

身 のプ レゼ ンテー シ ョンにお ける知識 の不十分・不適切 さ に関す る気づ きを獲 得 し

,改

善 を検討 す る活動 を経験す るこ とは

,そ

の能力 の向上 に 有意義 で あ る と考 え る. 筆者 の勤務す る高等学校 にお い て も

,情

報科 だ けで な く

,そ

れ 以外 の教科 の授 業や 学校行 事 な ど様 々な学校場 面 にお いて

,学

習成果や 活動 内容

,そ

れ に基 づ く自 らの考 えな どをま とめ

,発

表 す る機 会 が増加 してい る。 しか しなが ら

,生

徒 のプ レゼ ンテー シ ョン能 力 の 向上 を志 向 した指 導 は未 だ十 分 な状 態 で はない と考 え る

.具

体 的 には, プ レゼ ンテー シ ョン指導 が

,対

象 とな るプ レゼ ンテー シ ョンのテーマや 時 間 な ど

,そ

の時 々の発表 条件 に合 わせ た限定的 な もので あ り

,各

担 当者 に よる単発 的 な指導 に留 ま つてい る。また

,そ

こで指 導 され るプ レゼ ンテー シ ョンの形 式 は

,聞

き手 に対 して 客観 的 に情 報 を伝 え る こ とを 目的 とす る伝 達型 プ レゼ ンテ ー シ ョン(森脇・ 武 田, 2011)であ る こ とが多 く

,漏

れ な く正確 な情報 を伝 え る こ とに重 点 は置 かれ るが

,聞

き手 の立場や既有知識 に配 慮 し

,論

理 的 にプ レゼ ンテー シ ョンを構成 す る こ との指 導 にまで至 ってお らず

,プ

レゼ ンテー シ ョン活動 の本質 であ る 「相 手 の心 を動 か し

,行

動 させ る こ と」 に関す る指 導 が十分 に行 われ てい ない。 ここで,「本目手 の心 を動 か し

,行

動 させ るこ と」に関す る指導 とい う観 点 で は

,商

品 広告 や マー ケテ ィ ン グ手 法 の選 択 場 面 で活 用 され る消費者 行 動 分析 モデル が参 考 に な る。これ は

,消

費者 が商 品の認 知 か ら購 買 に至 るまで の心理 プ ロセ ス をモデル化 し た もので あ り,複数 のモデル が提 唱 され てい る。それ らの 中で も

,AIDCAモ

デル(Kitson, 表

1代

表的 な消費者 モデル とその段階

AIDCAモデ ル の 各 段 階 AID血 モデル の各段階 AIDAモデル の各段階

A:注

意 を引 く (Attention)

A:注

意 を引 く (Attention)

A:注

意 を 引 く (Attention)

I:興

味 を持 たせ る (Interest)

I:興

味 を持 たせ る (Interest)

I:興

味 を持 たせ る (Interest)

D:欲

求 を喚起す る (Desire)

D:欲

求 を喚 起 す る (Desire)

D:欲

求 を喚起す る (Desire)

C:確

信 を持 たせ る (Confidence)

M:記

憶 させ る (Memory)

A:行

動 を させ る (Action)

A:行

動 を させ る (Action)

A:行

動 を させ る (Action)

(6)

1921)や

AIDMAモ

デル

(Hall,1924),AIDAモ

デル

(Strong,1925)な

どが代表 的 で あ る。これ らのモデル の活 用場 面 で は

,表

1の

よ うに段 階 を追 つて消費者 を購 買行 動 に導 くこ とを 目的 と してい るこ とか ら

,プ

レゼ ンテー シ ョン活動 の本質 で ある 財目手 の心 を動 か し

,行

動 させ る こ と」 とも合 致す る と考 え られ る。従 って

,こ

れ らのモデ ル をプ レゼ ンテー シ ョンの枠組 み と して活用す るこ とは

,プ

レゼ ンテー シ ョンを構成 す るこ とに関 して有効 で あ る こ とが予想 され

,高

校 生 を指 導す る際 に も十分 にその効 果 は期 待 で きる。 しか しなが ら

,高

校 生 は

,こ

れ ら段 階 を意識 す る こ とは可能 で あ つ て も

,そ

れ ぞれ の段 階 に関 して十分 に理解 して使用 す る こ とは困難 で あ るこ とが予想 され る。よつて

,こ

れ らのモデル を枠組 み と して使 用す る際 には

,各

段 階 に関 して十 分 に解 説 し

,生

徒 の理解 を徹底 す る とともに

,よ

り具体 的 にイ メー ジで き る文言 に置 き換 え る等 の配慮 が必 要 で あ る と考 え る。 次 に

,教

科情 報 の授 業 にお け るプ レゼ ンテー シ ョン指 導 では

,生

徒 の作 品の個別性 が高い こ とか ら

,生

徒個 々に対応 す る こ とが必要 な内容 で あ るた め

,多

人数 の一斉授 業 の形 態 では きめ細 か な指 導 が 困難 な状態 で あ る。生徒 はそ の学習場面 において

,プ

レゼ ンテー シ ョン経験 の浅 さや プ レゼ ンテー シ ョンに関す る理解 の不十分 さか ら

,教

員 か らの一方 的 なア ドバ イ ス に よ リプ レゼ ンテー シ ョンの作成

,修

正 を行 うこ とが ほ とん どで あ り

,自

身 の作 品 にお け る構 成 や 改善 点 につ い て

,生

徒 自 らが検 討 した り, 作 品 につ いて振 り返 りを行 つた り

,気

づ きを獲得 した上 で改善 を行 った りす る機 会 は ほ とん ど与 え られ てい ない 。 この よ うな現状 の も と

,谷

(2014)が

プ レゼ ンテー シ ョンお よび

Web制

作 の実践 で グル ー プ ワー クを取 り入れ るな ど

,教

員 は時 間的お よび 教員 の人 的制約 の 中で可能 な限 り生徒 の能 力 向上 に関 して 工夫 を凝 ら してい る もの の

,プ

レゼ ンテー シ ョンの概 要説 明や プ レゼ ンテー シ ョン ソフ トウェアの操作指導, 大 ま か な構 成 を教 師 が提 示 した上 で の プ レゼ ンテ ー シ ョン体 験 な どの内容 に留 ま る こ とが多 く

,プ

レゼ ンテー シ ョン活 動 に関 して十分 に理解 と経験 を深 める機 会 を設 定 で きてい ない のが現状 で あ る。また

,プ

レゼ ンテー シ ョンに興味 を持 ち

,自

主 的 にプ レゼ ンテー シ ョン検 定 を受験す る生徒 もい るが

,そ

の出題 内容 は

,プ

レゼ ンテー シ ョ ン ソフ トウェアの操 作技術 を問 う内容 の もので あ るこ とか ら

,本

来 の意 味で のプ レゼ ンテー シ ョン能力 の育成 にはつ なが ってい ない。 以上 の よ うに

,現

状 のプ レゼ ンテー シ ョン指導 で は

,生

徒 自身 がプ レゼ ンテー シ ョ ンの本 質 に照 らしてプ レゼ ンテー シ ョンを振 り返 り

,そ

の構成 や 改善点 につ い て検討 す る機 会 を十分 に設 定 で きてい ない こ とに課題 が あ る とい える。そ こで

,現

状 の課題 を解 決す る方策 と して

,そ

の指導過程 に協調 的 に相 互 のプ レゼ ンテー シ ョンを振 り返 る活動 を取 り入れ

,自

身 のプ レゼ ンテー シ ョンにつ いて考 え

,気

づ きを獲得 し

,改

善 してい く機 会 を設 け るこ とが

,高

校 生 のプ レゼ ンテー シ ョン能 力 の育成 に有効 で あ る

(7)

と考 えた。つ ま り

,発

表者 の立場 と して 聞き手 を意識 してプ レゼ ンテー シ ョンを作成 し

,そ

の作 品 につ いて聞 き手 か らの評価 を受 け

,そ

の評価 に基 づ いて作 品 を改善す る 活動

,お

よび

,聞

き手 の立場 と して他者 のプ レゼ ンテー シ ョンを視聴 し

,評

価す る活 動 を繰 り返す こ とで

,次

第 に聞 き手 を意識 した適正 なプ レゼ ンテー シ ョンに関す る観 点 が養 われ

,改

善 が必要 な部分 を認 識 で き る よ うに な る こ とが期 待 で き る。 さ らに, そ の観 点 が 自身 のプ レゼ ンテー シ ョンに フ ィー ドバ ック され るこ とで

,そ

の能力 の 向 上 につ なが る と考 えた。 高等学校 にお けるプ レゼ ンテー シ ョン実践 での協調 的 な振 り返 りとい う観 点 で は, 大石

(2014)が Web上

での リアル タイ ム評価 支援 システ ム と付 箋 を使 用 した手法 を行 つてい る。これ は

,発

表者 のプ レゼ ンテー シ ョンに関 して

,評

価者 が システ ム を用 い て点数 評価 した上 で

,付

箋 を用 いて コメ ン トをフィー ドバ ックす る とい うもので あ り, 通 常 の評価 用紙 に よる手法 と比較 して

,評

価 を記入 す る時間お よび集 計 にかか る時 間 を短縮 で き

,時

間的 な制約 に対 して効果 が期待 で き る。 また

,点

数 評価 だ けで な く, 発 表者 が行 つた プ レゼ ンテ ー シ ョンが 聞 き手 に与 えた具 体 的 な印象 を付 箋 の コメ ン トで補 完 で き る とい う点 で発 表者 に対 して丁寧 な フ ィー ドバ ックが行 われ てお り

,有

効 な手法 で あ る。 しか しなが ら

,こ

の手法 で は

,評

価 時 にプ レゼ ンテー シ ョンを見直 す こ とがで きない こ とか ら

,初

心者 で あ る高校 生 が

,当

該発表 内容 に関 して十分 に課 題 とな る部分 を検討 す るこ とがで きず

,適

正 な評価 が行 えない可能性 が あ る とともに, 付箋 に よるコメ ン トに関 して、評価者 で あ る高校生 の文 章表 現能 力 が未 だ不十分 で あ る可能性 が高 い こ とか ら

,発

表者 との間で課題 とな る箇所 や そ の内容 につ いて共通認 識 を持 つ こ とがで きない可能性 が あ る。 さ らに

,発

表者 の立場 で は

,付

箋 を受 け取 る タイ ミングが授 業後 とな る こ とで

,指

摘箇所 に関 して正確 に想 起す る こ とが 困難 とな る と ともに

,発

表者 は 自身 の発表 風 景 を動画等 で客観 的 に振 り返 る手段 が ない こ とか ら

,指

摘 され た内容 を十分 に理解 で きず

,改

善すべ き箇所

,方

向性

,程

度 を具体 的 に 判 断す る こ とが 困難 とな る可能性 が高い と考 え られ る。実 際

,こ

の実践 で は リハー サ ル が機 能 しなか つた こ とが報告 され てい る よ うに

,高

校 生 の協調 的 な振 り返 りを考 え る際 には

,高

校 生 の知識や ス キル に配慮す る必 要 が あ る と考 え る。具体 的 には

,高

校 生 は協調 的 な振 り返 りの前提 とな る(1)適正 なプ レゼ ンテー シ ョンを理解 し

,そ

の観 点 に基づ き課題 とな る部 分 を見 出す 力

,(2)作

成者 に対 し饂齢 な く伝 達す る文 章表 現 ス キル,(3)閲覧者 か らの フ ィー ドバ ック内容 につ いて

,客

観 的 に判 断 し理解 す る力, 以上

3点

の知識 や ス キル につ いて不十分 で あ るこ とが想 定 され るた め

,そ

れ らの点 に つ いて支援す る必要 がある と考 えた。これ らの支援方策 を考 えるにあた り

,上

記 の先 行研 究 に よる手法 が参考 とな るが

,い

ずれ もプ レゼ ンテー シ ョン経験者 で あ る大学 生 を対象 と した もので あ り

,プ

レゼ ンテー シ ョン初心者 で ある高校 生 に同様 の枠組み を

(8)

適 用 して も

,振

り返 りに十分 な指摘 を行 えない可能性 が高い と考 えた。 そ こで

,高

校 生 に対す る支援方策 と して

,動

画 ア ノテー シ ョンを活 用す る こ とが適 当で あ る と考 えた。動画 ア ノテー シ ョン とは

,動

画デー タに関す るメ タデ ー タや 動画 に対す る コメ ン トを注釈 と して付 与 した もので あ る。この動画 ア ノテー シ ョンを活用 す る理 由 と して

,ま

,動

画 を用 い る こ とで

,何

度 もプ レゼ ンテー シ ョンを見直す こ とがで き るこ とか ら

,初

心者 で あ る高校 生 で も

,評

価者 の立場 で は十分 に検討 され た 適 正 な評価 が行 われ る こ とが期待 で き

,さ

らに

,発

表者 の立場 で は 自身 のプ レゼ ンテ ー シ ョンを客観 的に振 り返 った改善案 が提案 され ることが期待 で きる

.ま

,ア

ノテ ー シ ョンの活用 に関 しては

,動

画 上 の課題 とな る部分 に直接 ア ノテー シ ョンを挿入 す る こ とに よ り改善 が必 要 な時点お よび箇所 に関す る情報 を甑齢 な く伝 達・把握 で き る こ とで

,ス

キル の不十分 な高校 生 で あって も発 表者 お よび評価者 の間で課題 とな る部 分 に関す る共通認 識 が形成 され る可能性 が高 くな る と考 えた。 動画 ア ノテー シ ョンを用 いた振 り返 りに関す る研 究 とい う観 点 で は

,小

川 ら(2012) は

,動

画 ア ノテー シ ョンを用 い て教 師 の授 業 改善 に関 して

,教

員 経験 の浅 い教 師 同士 に よる振 り返 りを支援 し

,そ

の効果 が確認 され てい る。ここで

,授

業 は生徒 に対す る 教 師 のプ レゼ ンテー シ ョンで あ る と捉 え るこ とがで き るた め

,本

研 究 に も応 用 が可能 で あ る と考 え る。さ らに

,経

験 の浅 い教 師 はプ レゼ ンテー シ ョン初 心者 で あ る高校 生 と置 き換 えて考 える こ とがで き るた め

,高

校 生 のプ レゼ ンテー シ ョン学習 にお ける協 調 的 な振 り返 りに も効果 が期待 で き る と考 えた。 しか しなが ら

,本

研 究 の対象 は高校 生 で あ り

,前

述 の よ うな知識 や ス キル が不十分 で あ る こ とか ら

,こ

の枠組 み をそのま ま適用 して も的確 な指摘 が行 われ ない可能性 が高 いた め

,高

校 生 の知識 や ス キル の不 十分 さを支援 す る機 能 を追加 した上 で の活用 が必要 で あ る と考 える。具体 的 には

,シ

ステ ム上 にテ ンプ レー ト等 を設置す るな どの方法で

,指

摘 の観 点 の提示

,記

述 ス キル の補完

,分

析 作業支援

,意

欲 の喚起 な ど高校 生 の認 知

,作

,心

理 的負荷 の軽減 を 目 的 と した支援 環境 を構 築 す る こ とで プ レゼ ンテー シ ョン初 心者 で あ る高校 生 同士 で もプ レゼ ンテー シ ョンの改 善 を 目的 と した協調 的 な振 り返 りが可能 とな る と考 えた。 本稿 で は

,動

画 ア ノテー シ ョンを活 用 した協調 的 な振 り返 り場 面 を設 定 した授 業案 を試 行 的 に作成 し

,そ

れ に基づ い て授 業 を実践す る こ とで

,高

校 生 のプ レゼ ンテー シ ョン能 力 育成 に対す る動 画 ア ノテー シ ョン を活 用 した協調 的振 り返 り活 動 の効 果 に つ いて検討す る。具体的 には

,第

2章

で協調 的 な振 り返 り場 面 で の動 画 ア ノテー シ ョ ン活用 可能性 を検証 した実践 (予備 実践

)に

つ いて考察 し

,第

3章

で予備 実践 か ら明 らか となった課題 を解 決す るた めに

,本

実践 において追カロした支援 方策

,お

よび

,変

更 したの授 業 内容 に関す る効果 につ いて述べ る。 さ らに

,第 4章

で本 実践 にお け る結 果 につ い て考察 した後

,第

5章

で本研 究 の結 論 と今 後 の課題 につ い て述べ る.

(9)

2章

.動

画 ア ノテー シ ョン活用 可能性 を検 証 した実践 (予備 実践)

2.1.動

画 ア ノテー シ ョンを活 用 した授 業案 の作成 2.1.1.前提条件 授 業案 の作成 に先 立 ち

,高

校 生 がプ レゼ ンテー シ ョンを作成す る際 の課題 を明確 に す る こ とを 目的 に

,過

年度 高校 生

200名

分 のプ レゼ ンテー シ ョン作 品 を調 査 した。結 果

,(a)webペ

ー ジテ キス トか らの抜粋 を中心 としたス ライ ドを作成 して しま う

,(b)

聞 き手 の状況 な どを考慮せ ず に聞 き手 に とつて理解 しづ らい 内容 とな る

,(c)テ

ー マ に関 して必 要 以上 の情報 を詰 め込 む

,(d)断

片 的・ 散発 的 な説 明 となって しまい伝 達 内容 が不 明確 とな る

,(e)起

承転結や序論 0本論0結論 が具体 的 にイ メー ジで きてい な い

,な

どとい つた特徴 がみ られ た 。そ の典型 例 を図

1に

示す 。 図

1の

作 品 は

,イ

ンフル エ ンザ に関 して調査 した内容 を共有 し

,ク

ラスで の感 染 を 防止 しよ うとい うテーマ の も とで作成 され た発表 用 ス ライ ドで あ る。作 品 内のス ライ ドに掲載 され た情報 のほ とん どは

Webペ

ー ジか らの抜粋 である。さ らに

,テ

キス ト中 心 で あ り聞 き手 に とつて 内容 を読 み取 るこ とが 困難 なス ライ ドで あ る こ とに加 えて,

3枚

目のス ライ ドで 「遺伝 子 は

B型

が安 定 してお り」等 の専 門的 な内容 や,「パ ンデ ミ ック」等

,高

校 生 が 日常生活 で使 用す るこ との ない用語 が使 用 され

,聞

き手 で あ る高 校生 に とつて理解 しづ らい 内容 となってい る。また

,話

の流れ に関 して

,歴

,ウ

イ ル ス

,予

防法

,結

論 と

,テ

ーマ に関す る情報 の取捨選択 が不十分 で あ り

,断

片 的 な情 報 が散発 的 に羅列 され

,論

理 的 に主張で きてい ない状態 で あ るこ とが確認 で き る。 プ レゼ ンテー シ ョンの作 品は個別性 が高い こ とか ら

,(a)∼

(e)の特徴 の うち どれ が 顕 著 に表れ るか に関 して は個 人差 が あ り

,ま

,そ

の多 くの場合 でそれぞれ の特徴 が 相 互 に関連 した状態 で発 現 してい るた め

,件

数 等 の具体 的 な数値 と して示 す こ とは困 難 で あ る。しか しなが ら

,こ

れ らの特徴 を整 理す る と

,(a),(b)の

よ うに

,聞

き手 の立 場 や状 況 を配慮 して ス トー リー を構成 す る点

,お

よび (c),(d),(e)の よ うに

,情

報 を 取捨選択 し構成 す る点 の

2点

におい て 困難 さが あ る と考 え られ る。そ こで

,本

稿 で は これ らをプ レゼ ンテ ー シ ョンの構 成 と定義 しプ レゼ ンテ ー シ ョンの構成 に 関す る気 づ きの獲得 を指導 の 目的 とした。 次 に

,プ

レゼ ンテー シ ョンの形式 につ いては

,ビ

ジネ ス場 面 にお け るプ レゼ ンテー シ ョン形 式 の一つ で あ る説得型 プ レゼ ンテー シ ョンを想 定 した。プ レゼ ンテー シ ョン で は、例 えば

,学

術場 面や ビジネ ス場 面 な ど

,そ

れ が行 われ る場 面 に応 じて発 表形 式 は異 るもので あ る。そ こで

,本

研 究 で は高校 生 を対象 とす るこ とか ら

,高

等 学校 にお け る授 業や 教科 書 で取 り扱 われ る こ との多 い ビジネ ス場 面 にお け るプ レゼ ンテ ー シ ョンを想 定 した。また

,ビ

ジネ ス場 面 にお け るプ レゼ ンテー シ ョンには

,相

手 に客観 的 に情報 を伝 え るこ とを 目的 とす る伝 達型

,相

手 に理解 して も ら うこ とを 目的 とす る

(10)

説 明型

,相

手 に理解 して も らい

,納

得 して も らい

,行

動 して も ら うこ とを 目的 とす る 説得型 の

3形

式 が あ るが(森脇・武 田

,2011),本

研 究 では

,10ペ

ー ジの表

4の

とお り, プ レゼ ンテー シ ョン場面 を「オー プ ンス クール で 自校 の良 さをア ピール し受検 を促 す」 と設 定 した こ とか ら

,上

3形

式 の うち

,最

もそ の条件 に合 うと思 われ る説得型 を採 用 した。 さ らに

,こ

の形 式 を採 用す る こ とに よ り

,生

徒 は

,作

品制 作 時 にお いて相 手 図

1過

年度生徒 のプ レゼ ンテー シ ョン作品例

(11)

の立場や状況 な どを強 く意識す るよ うにな るこ とが期待 で きる とともに

,協

調 的 な振 り返 り活 動 にお いて

,他

の形式 よ りも情報伝達 の成否 を実感 じやす くな る ことが期待 で き る

.以

上 の こ とか ら

,高

校 生 の構成 に関す る困難 さを解決す るた めのプ レゼ ンテ ー シ ョンの形式 として

,説

得型 が有効 で あ る と考 えた. また

,本

研 究 ではプ レゼ ンテー シ ョンの構成 を考 える際 の枠組 み と して

,消

費者 行 動分析 モデル で あ る

AIDCA(Kitson,1921)を

採 用 した。

AIDCAモ

デル は表

1に

示 す 5 段 階で消費者 に働 きか け る具体 的 な 目的 が設 定 され てお り

,聞

き手 を意識 したス トー リー を考 えや す くな る こ とに加 えて

,本

研 究 が対象 とす る説得型 プ レゼ ンテー シ ョン の 目的 とも合致す る。 高校 生 を対 象 と した プ レゼ ンテ ー シ ョン学 習 に消費者 行 動 分析 モ デ ル を活用 した 実践 には

,森

棟 (2010)力 `あ り

,CM作

成 を題 材 と し

,生

徒 に聞 き手 を意識 させ る 目的 で

,表

1に

示す

AIDMAモ

デル

(Hall,1924)が

使 用 され てい る。本 実践 で は

,前

述 の 通 り,「オー プ ンス クール で 自校 の良 さをア ピール し受検 を促 す 」 とい うプ レゼ ンテ ー シ ョン場面 を設定 した ことか ら

,CM作

成 よ りも強 く聞 き手 に伝 達 内容 を印象付 け, 行動 を促 す こ とを 目的 に

,4段

階 目が 「

C:確

信 を持 たせ る」で あ る

AIDCAモ

デル が適 当で あ る と考 えた。 2.1.2.動画 ア ノテー シ ョンの活 用方法 の検討 協調 的振 り返 りを実現す るにあた り

,ス

ライ ド閲覧者 が

AIDCAモ

デル の各段 階 と し てテ キス トア ノテー シ ョンで表 現す る活 動 が

,プ

レゼ ンテー シ ョンの構成 を意識 して 動 画 を閲覧す る点

,お

よび構成 面 で 自身 が受 けた印象 をス ライ ド作成者 に伝 える点 で 有効 で あ る と考 えた

.し

か し

,高

校 生 に とつて

,AIDCAモ

デル の各段 階 を理解 す る こ とは可能 で あ る一方

,各

段 階が示す 内容 を文 章 で表現 し

,ア

ノテー シ ョン と して挿 入 表2 AIDCAモデル の段階お よびその段階に設定 したテ ンプ レー トの関係

ADmモ

デルの段階 テンプレート A:注

意を引く

ettentbD

?な

?

何のこと

?

I:興

たも

l m

自分はどうかな

?

答えを知りたい

それでそれで

?

D:欲

求を喚起する

Oesirel

へ∼そうなのか

それはいいね∼

C:確

信を持たせる

(C…

なるほど∼

自分もそうなりたい それは納得

! A:行

fActioD

そうするそうする

了解 :そうします

(12)

3

テ ンプ レー トに設定す る各段階における文言 の候補 とその使用回数 AlDCAモ│デルの段階

テンプレ■卜に設定する文

1言│め

候補

使 用 回数 A:注 意 え

?な

に ? 10 何 の こ と? 4 何 が始 ま るの? 0 I:興 味 自分 は ど うか な? 19 答 え を知 りた い 7 それ でそれ で? 9“ 続 き が 見 た い ! 0 本 当 に? 0 それ か ら? 0 D:欲 求 それ はいいね∼ 33 へ∼そ うなのか ぁ 29 そ うい うのいいな ! 0 C:確 信 な るほ ど! 15 自分 もそ うな りた い 14 そ れ な ら納 得 5 そ うい うこ とか ! 0 A:行 動 そ うす るそ うす る 7 了解 !そ うしよ う! 4 や っ て み よ う! 0 計 149 す る こ とは困難 で あ る と想 定 され る。つ ま り

,自

由記述 で ア ノテー シ ョンを挿入 させ た場合

,AIDCAモ

デル の各段 階 を意識 で きてい る場合 で も

,そ

れ をテ キス トで適切 に 表 現 で きない可能性 が あ る。そ こで

,教

師 の方 で あ らか じめ

AIDCAモ

デル の各段 階 に 対 して複数個

,生

徒 が使 用す る と想 定 され る典型 的 な文言 をテ ンプ レー トと して用意 した。

AIDCAモ

デル の段 階 とテ ンプ レー トの 関係 を表

2に

示す 。 テ ンプ レー トと した文言 の選 定 で は

,ま

,2名

の情報科教員 に よ り

,表

4に

示す 今 回の実践 で設 定 したプ レゼ ンテー シ ョンの条件 に した が って作 品 を試 作 した上 で, 相 互 の作 品 につ いて 自由記 述 に よ リア ノテー シ ョンを挿 入 した。そ の結果 か ら

,作

品 の文脈 に合 い

,か

,出

来 る限 り生徒 が 日常使 い慣 れ てい る言葉 に配慮 しなが ら文 言 を検討 し

,AIDCAモ

デル の各段 階 につ き

,表

3の

よ うな

3∼ 6個

の候補 を選 定 した 。 次 に

,生

徒 の作 品の完成 後

,筆

者 が文言 の候補 を用 い て全 ス ライ ドに対 して試 行 的 に ア ノテー シ ョン挿入 を行 い

,そ

の結果 を集 計 し

,文

言 につ いて微 調整 を加 えた上 で表

2に

示す テ ンプ レー トと して決 定 した。 2.1.3.単元設 定 表

4の

プ レゼ ンテー シ ョンの条件 を設 定 し

,以

下 の単元計画 で実践 を行 つた. 単元計画 は

,①

オ リエ ンテー シ ョン

(1時

),②

テー マ の決 定

(2時

),③

AIDCA

(13)

4

設 定 したプ レゼ ンテー シ ョンの条件 場 面 オープ ンスクールで 自校 の良 さをア ピール し受検 を促す 対 象 オー プ ンス クール に参加 した 中学 3年生 時 間 5分間 ツ ー ル PowerPoint2010 I.スラ■1こ挿入されたリ ンM陽の気づき た人それぞれに違つた畿ヽとして僣わつてしまつてい アピール●が `Fゃ1,ていて十分に rt、ぃね∼だ つてヽもえる内書ではなう`つた0かt 見たAtこメリットがあること,もぅと砲理にアピールでき るようtt,内魯t000ここ:こltつて終体 "に わかtl● すくまとo6 注意 興味 欲求 体犠 ヽ各勲 その他( ) 図

2気

づきと改善案を外化す るためのワークシー トと記入例 モデル の理解

(1時

)④

ス トー リー の作成

(2時

),⑤

ス ライ ドの作成

(2時

間), ⑥動画 の作成

(1時

),⑦

システ ムに よる相 互評価

(3時

),③

作 品改善作業

(3時

),⑨

作 品発表

(1時

)で

設 定 した 。⑦ お よび③ で は

,小

川 ら(2011)が 開発 した動 画 ア ノテー シ ョンシステ ム を使 用す る。ただ し

,小

川 らの システ ム は生徒 の気 づ きや 改善案 を外化す る機 能 を有 してい ないた め

,こ

れ らを外 化す るこ とを 目的 と した 図

2

の よ うな ワー クシー トを準備 した。また③ において

AIDCAモ

デル とプ レゼ ンテー シ ョ ンの構成 との関連 を説 明す る とともに

,例

題 を用 い て

,そ

の関係 の理解 を徹底 した。 2.1.4.協調 的 な振 り返 りの流れ 協調 的 な振 り返 りは

1グ

ル ー プ

4名

程 度 を想 定す る

.以

,協

調 的 な振 り返 りの手 順 につ いて説 明す る. (1)プ レゼ ンテー シ ョンで使用す るス ライ ドを

,AIDCAモ

デル の段 階 を意識 しなが ら, 生徒個別 に作成 させ る.

(2)(1)で

作成 した各 ス ライ ドに

AIDCAモ

デル の各段 階 を対応付 け させ る。 ここで, 対応 付 けた

AIDCAモ

デル の各段 階 は

,ス

ライ ドを作成 した意 図 を示す もの と捉 え る (以降

,こ

れ をス ライ ド作成 意 図 と表 現す る)。 対応 関係 は作成 用 ワー クシー トに記 述 させ る。

(3)プ

レゼ ンテー シ ョンの発表時 に聴 衆 に対 して語 る内容 を台詞 として作成 させ る.

(4)(1)で

作成 したス ライ ドに(3)の台詞 をナ レー シ ョン と してマイ クで挿 入 させ

,動

(14)

画形 式 で保 存 させ る。ただ し

,本

実践 はプ レゼ ンテー シ ョンの構成 に着 目させ る こ と を志 向 してい るた め

,発

表者 の動 作等

,プ

レゼ ンテー シ ョンの構成 と無 関係 な情報 を で き る限 リツト除す る必 要 が あ る と考 え

,映

像 か ら発 表者 を除外 した。

(5)グ

ル ー プ 内で動 画 を交換 させ

,他

者 の動 画 に対 して

AIDCAを

判 断 した後

,表

2に

示 す テ ンプ レー トか ら文言 を選 択 し

,ア

ノテー シ ョン と して挿入 させ る。該 当す る コ メ ン トが ない場合 は

,自

由記述 で入力す るもの と し

,各

ス ライ ドに

1個

以上 のア ノテ ー シ ョン挿入 を必須 とした。

(6)(5)の

作業 をグル ー プ の人数 分実施 させ る。

(7)自

身 の動 画 に挿 入 され た ア ノテー シ ョンを参 照 させ る。ア ノテー シ ョンは

AIDCA

モ デル の段 階 を示 した もので あ るた め

,(2)で

対応 付 けた ス ライ ド作成 意 図 と相 互 比 較す る こ とに よ り

,相

違 が生 じたス ライ ドを中心 に改善点 につ い て検討 させ る。参照 す る こ とで得 られ た気 づ きや 改善点 は図

2の

ワー クシー トに記 述 させ る。 (8)検討 した改善点 に基づ き

,ス

ライ ドを修 正 させ る。

2.2.作

成 した授 業案 に基づ く実践 の結 果 と考 察

Y県

下 の

A高

等学校

2年

次 「情報 と表 現」選択者

11名

を対象 に授 業実践 を行 った. 対象 と した生徒 は

,1年

次 に全員 「情報 C」 を履修 してお り

,プ

レゼ ンテー シ ョン にお け る活動 内容や ソフ トウェアの基本 的 な操 作方 法 は理解 してい る。しか しなが ら, あ るテーマ に従 つて独 力 で プ レゼ ンテー シ ョン活動 を行 った経験 はな く

,プ

レゼ ンテ ー シ ョン初心者 の生徒 であ る. 本節 で は

,彼

らに よ リス ライ ド作成 意 図が記述 され

,か

,ア

ノテー シ ョンが挿入 され た

131枚

のス ライ ドを対象 に

,ワ

ー クシー トを用 い なが ら考察 を行 つた

.以

降,

2.2.1で

,ス

ライ ド作成 意 図 とア ノテー シ ョンの対応 関係 別 に見 た気 づ き とそれ に基 づ く改善案 について考察 し

,2.2.2で ,ア

ノテー シ ョンか ら得 られ た気 づ き とそれ に 基 づ く改善案 の関係 につ い て考察す る。 2.2.1.ス ライ ド作成 意 図 とア ノテ ー シ ョンの対応 関係 別 に見 た気 づ き とそれ に基 づ く改善案 の考察 各 ス ライ ドに 関 して

,挿

入 され た複 数 の ア ノテ ー シ ョン とス ライ ドの作成 意 図の

AIDCAモ

デル の段 階がすべ て一致 した場合 を 「完全 一致」

,一

部一 致 した場合 を 「一部 一致 」

,全

く一致 しなか った場合 を 「不一致」 とし

,そ

れ ぞれ の場合 につ い て

,提

案 さ れ た改善案 との関係 性 につ いて考察 した。 完全 一致 したス ライ ドは

131枚

68枚

(51.9%)で

あ り

,当

該 ス ライ ド

68枚

中11 枚 にお いて

,ワ

ー クシー トの気づ きお よび改善案 の項 目に記述 され てい た (「意 図が

(15)

通 じてい た」等

,改

善 につ なが らない 内容 につ いて は除外 してい る)。 実践前 の段 階 で は

,完

全一致 したス ライ ドにつ い て は改善 の必 要 はない と指示 していた た め

,気

づ き は発 生 しない と推 測 してい た が,「もつ とイ ンパ ク トの あ るキ ャ ッチ フ レー ズ に変 え て もいい か も」の よ うに

,自

主 的 に改善案 を導 くケー スがみ られ た。ア ノテー シ ョン を参照す るこ とで

,聞

き手 に 自身 のス ライ ド作成意 図が伝 わ ってい るこ とを確認 す る こ とがで き

,改

善へ の意欲 が喚起 され た′点が要 因 と して考 え られ る。 一部一致 した ものは,ス ライ ド

131枚

47枚

(35。 9%)であ り

,47枚

35枚

(74.5%) で気 づ き

,ま

た は改善案 の項 目に記 述 が あつた 。従 つて

,一

部一 致 したス ライ ドの多 くで

,気

づ きの獲得 または改善案 の検討 がで きてい るこ とがわか る。また

,ワ

ー クシ ー トにおいて記述 がなかった

12枚

のス ライ ドの うち

,4枚

のス ライ ドが修 正 され て お り

,ワ

ー クシー トヘ の記述 は行 われ なかつた ものの

,改

善案 が検討 で きてい る こ と が わか る. また

,不

一致 の ものは

,ス

ライ ド

131枚

16枚 (12.2%)で

あ り

,当

該 ス ライ ド16 枚 中

10枚 (62.5%)で

ワー クシー トの気 づ きまたは改善案 の項 目に記述 が あった。ま た

,ワ

ー クシー トにお いて記述 がなかったス ライ ド

6枚

,3枚

の ス ライ ドで修正 が 行 われ ていた。 以上 の点 か ら

,完

全 一致 につ いて は

,少

数 で はあ るものの気づ きまた は改善案 が検 討 され てお り

,一

部一致

,不

一 致 におい ては

,多

くのス ライ ドで気 づ きまた は改善案 が検討 され てい るこ とがわか る。実践前 の段 階 では

,一

部 一致 は

,不

一致 と比較す る と

,ス

ライ ド作成意 図 とは異 な るア ノテー シ ョンが少 な く

,検

討 箇所 が限定 され るた め

,改

善案 の検討 が されやす い と推 測 してい たが

,結

果 と して

,一

部一致 と不一致 の 間で

,明

確 な差 は認 め られ なか つた。要 因 と して

,一

部 一致 で あって も

,挿

入 され た 複 数 のア ノテー シ ョンに共通す る傾 向が見 られ ない場合

,改

善 の方 向性 が 明確 にな ら ず

,改

善案 の検討 が困難 で あった と推 測 され る。従 つて

,ア

ノテー シ ョンを活用す る こ とで

,高

校 生 が気づ きを獲得 し

,そ

れ を基 にや改善案 を導 く可能性 が明 らか になつ た一方 で

,高

校 生 に とつて複数 のア ノテー シ ョンか ら傾 向 を見 出す こ とが難 しく

,改

善案 を導 き出せ ない可能性 が あ る こ とが示唆 され た。よつて

,ア

ノテー シ ョンの活 用 に際 して

,高

校 生 が傾 向を見 出す こ とを支援 す る枠組 み が必 要 で あ る こ とが 明 らか に な った。 2.2.2.ア ノテー シ ョンを参 照 す る こ とで得 られ た気 づ き と改 善案 の 関係 性 に 関す る 考察 A.アノテー シ ョンを参 照 し得 られ た気 づ きが改善案 の検討 につ なが ったケー ス 図

3の

ス ライ ドにお いて

,当

,自

身 が通 う高校 の良い点 (6つの系列

)を

聞 き手

(16)

6つ

の系列

ことばと文化

鍵言

実 務 とキャリ

_

からだと健康

3

改 善案 が導 き出 され た例 に共感 して も ら うこ とを 目的 に

,AIDCAモ

デル の 「

D(欲

求 を喚起す る)」 を意 図 して ス ライ ドを作成 したが

,実

際 に挿 入 され たア ノテー シ ョンは,「

D(欲

求 を喚起す る)」 が

2個

と,「

A(注

意 を引 く)」 と 「

C(確

信 を持 たせ る)」 力`各

1個

ず つ で あ った。発 表 者 と聞 き手 のア ノテー シ ョンに相違 が生 じた要 因 と して

,生

徒 は図

3に

示す

6つ

の系 列 それ ぞれ につ いて説 明 してお り

,1枚

のス ライ ドで あ るに もかか わ らず

,様

々な内 容 が含 まれ るた め

,聞

き手 に とって

,ス

ライ ドの意 図 を焦 点化す る こ とが難 しか った と推 沢1され る。実際

,生

徒 は ワー クシー トの気 づ きの項 目に 「ひ とつ のス ライ ドに内 容 を詰 め込み過 ぎたた め

,伝

えたい こ とが定 ま ってい なか ったか も」と した上 で,「ナ レー シ ョンが多か った。(ス ライ ドを

)分

けて も良か つたか も」と記 述 してお り

,改

善 後 の作 品では

,当

該 ス ライ ドに掲載 され ていた情報 が複数 のス ライ ドに分割 され る と い う改善 が行 われ てい る

.他

に も

,気

づ き と して 「大学進 学が夢 の こ とと伝 わってい ない」

,改

善案 と して 「ス ライ ドの上 にそ の前 見せ た質 問 を入れ る」な ど

,ア

ノテー シ ョンを参 照す る こ とで改善案 を導 き出せ てい る こ とがわか る。 B.アノテ ー シ ョンを参 照 して得 られ た気 づ きが改 善案 の検討 につ なが らなか った ケ ー ス 図

4の

ス ライ ドにおいて

,当

,自

身 が通 う高校 の生徒満 足度 が高 い こ との裏 付 け と して 「部活動 」 を挙 げ,「D」 を意 図 してス ライ ドを作成 したが

,実

際 に挿 入 され た ア ノテー シ ョンは,「D」 が

1個

の他 に,「C」 が

1個

であ った。 これ は一部一致 の状態 で あ るが

,ワ

ー クシー トの気づ きの項 目には 「自分 の コメ ン トと違 うコメン トもあつ たが

,合

ってい る コメ ン トもあ つた」 と記 述 してお り

,挿

入 した ア ノテー シ ョンに違 いが生 じた原 因 を考察す るまで には至 っていない. また

,図

5の

よ うに

,当

,制

服 のバ リエ ー シ ョンの多 さをア ピール しよ うと し, 当該 生徒 は 「I」 (興味 を持 たせ る

)を

意 図 してス ライ ドを作成 したが

,実

際 に挿 入 さ

(17)

れ たア ノテー シ ョンは 「D」 の

3個

が挿 入 され

,結

果 は不一致 で あつた。 これ を受 け て

,発

表前 の段 階では

,学

校 の良 さにつ いて制服 を用 いて ア ピール し

,聞

き手 の欲 求 を喚起す るこ とを意 図 していたが,「それ はいい な∼ と思 わせ たい ス ライ ドだ つたの に 自分 の意 図が興味 だ った の は確 か に変 か も」の よ うに

,挿

入 され たア ノテー シ ョン か ら作成 意 図につ いて振 り返 りは され てい る ものの

,具

体 的 な改善案 を導 くこ とは断 念 してい る. 以上 の点 か ら

,改

善案 の検討 が行 われ なか った り

,検

討 が断念 され た りす る要 因 と して,「一部で も相手 にス ライ ドの作成意 図が通 じていれ ば よい」とい う前提 の も と, 意 図の相違 が あ る部 分 に関す る検討 の必要性 が軽視 され た こ とが考 え られ

,そ

の よ う な前提 が あ る場 合 にお いて

,ア

ノテー シ ョンを参照 した と して も

,適

切 に振 り返 りが 行 われ ない可能性 が示唆 され た。

部活動

4

改善案 の検討が行 われ なかった例 図

5

改善案 の検討 が断念 された例

(18)

2.3.動

画アノテーシ ョンの活用可能性 を検証 した実践のま とめ

高校生のプ レゼンテーシ ョン学習における協調的振 り返 り場面で

,動

画アノテーシ

ョンの活用を志向 し

,そ

の活用可能性について

,授

業を立案 した上で実践 を行つた。

結果

,高

校生が苦手 とす るプ レゼ ンテーシ ョンの構成部分について多 くの気づきが獲

得 され

,そ

の有効性が示唆 された。一方で

,高

校生は

,聞

き手がアノテーシ ョンを挿

入 した理 由について

,客

観的に検討す る力を十分に備 えていないため

,ア

ノテーシ ョ

ンの意図に共通 した傾向がないが故に具体的な改善の方向性が読み取れない場合

,お

よび,改 善の必要性を強 く感 じない場合に,改 善案を導けないことが明 らかになつた。

(19)

3章

口協調 的 な振 り返 り場 面 に動画 ア ノテー シ ヨンを活 用 した実践 (本実践) 予備 実践 か ら

,高

校 生 の協調 的 な振 り返 り活 動 において動画 ア ノテー シ ョンが有効 で あ る こ とが 明 らか となつた こ とか ら

,Y県

A高

等学校

3年

次 「情報 と表現」選 択 者

29名

を対象 に

,本

実践 を行 つた。 対象 と した生徒 は

,就

職 また は専 門学校進 学 を 目指 す 系列 の生徒 で あ る こ とか ら,

2年

次 よ り商業や情報 に関す る授 業 を履修 してお り

,コ

ン ピュー タの操 作 には習熟 し てい る。 しか しなが ら

,プ

レゼ ンテー シ ョンに関 しては

1年

次 に全員 「情報C」 を履 修 し

,そ

の活動 内容や ソフ トウェアの基本 的 な操 作方法 は学習 してい る ものの

,そ

れ 以 降

,発

展 的 なプ レゼ ンテー シ ョンに関す る学習 を してお らず プ レゼ ンテー シ ョン初 心者 の生徒 で あ る。 本 章 で は

,3.1で

予備 実践 にお け る課題 に対す る支援 方策 の追加 と授 業 内容 の変更 につ い て述べ

,3.2で

新 た に追加 した支援方策 と変 更 した授 業 内容 の効果 につ いて考 察す る。

3.1.予

備 実践 にお け る課題 に対す る支援 方策 の追加 と授 業 内容 の変 更 高校 生 が改善案 を導 く際 に明 らか となつた課題 に対 し,「聞 き手 のア ノテー シ ョン 挿入理 由を作成者 が把握 しやす くす る こ と」,「挿入 され たア ノテー シ ョンの傾 向を読 み取 りやす くす るこ と」,「改善 の必要性 を綿密 に検討す る機 会 を設 け る こ と」を方針 と して支援方策 につ いて検討 した。加 えて

,構

成 に関 して よ り深 く考 える機 会 を与 え る こ とを 目的 に単元設 定 の見直 しを行 つた。 3.1.1.指摘 の観 点 を示 したア ドバ イ ス ボ タ ンの追カロ 「聞 き手 のア ノテー シ ョン挿入理 由を作成者 が把握 しやす くす るこ と」に関す る支 援 方策 と して

,図

6の

よ うなテ ンプ レー トをア ドバ イ スボ タ ン と して設 置 した. 閲覧者側 に期待 で きる効果 と して

,動

画 閲覧 中にボ タ ンの ク リックを意識 す る こ と で

,作

品の構成 に関 して 「新 た な観 点 を獲得 」で き るこ と

,リ

ー ド文 に続 く○○○の 部 分 に具体 的 なア ドバ イ ス 内容 を記入 す る こ とで,「記 述負 荷 の軽減 」 が期待 で き る こ との

2点

が挙 げ られ

,こ

れ に よ り指摘数 が増加 す る と考 えた. 次 に

,作

成者側 に期待 で き る効 果 と して

,閲

覧者 か らの指摘数 の増加 に よる 「気づ き数 の増加 」 と

,指

摘 の観 ′点が示 され る こ とで気づ きの内容 が焦 ′は化 され るこ とに よ る 「気 づ きの質 的 向上」が挙 げ られ

,そ

の結果 として よ り多 くの改善案 が提案 され る と考 えた。 ア ドバ イ ス 内容 と して採 用 した観 点 は

,動

画 ア ノテー シ ョンの活用 可能性 を検 証 し た実践 (以降

,予

備 実践 と記 述す る

)で

有効 な改 善案 が導 かれ た 自由記 述 の観 点 と,

(20)

具体

Lい

1儡

えば

00000跡

.

引レ弓距レ

"ン

1000・

00000出

?

分、

00000し

てみたら

E●

?

6新

たに設置 したア ドバイスボタン 改善す る際 に

,新

たに教 師 が着 目させ たい と考 える観 点 を採 用 した。 3.1.2.作品制 作形態 の変 更 「挿入 されたア ノテー シ ョンの傾 向を読み取 りやす くす ること」に関す る支援方策 と して

,作

品制 作お よび ア ノテー シ ョン挿 入活動 を 2∼

3名

1班

とす る班活動 に変 更 した。これ に よ り

,ス

ライ ドに閲覧者 か ら挿 入 され るア ノテー シ ョン数 の増加 に伴 い

,ア

ノテー シ ョンの傾 向が読 み 取 りや す くな るこ と

,ま

,小

集 団 で協調 的 に作業 す る こ とに よ り

,作

品の客観性 の 向上 も期待 で きる と考 え

,班

活 動 を採 用 した。

(1)ア

ノテー シ ョン数 の増加 に よ り改 善 の方 向性 が読み取 りや す くな る こ と 前 回 の実践 で は

,1人

1作

品 を制作 し

,ア

ノテー シ ョン挿入 活動 では

4人

程度 を 1 グル ー プ と して

,グ

ル ー プ 内 にお け る 自身 の作 品以外 の

3作

品 に対 してア ノテー シ ョ ン挿 入 を行 うことと していた。 しか しこの形式 では

,ス

ライ ド

1枚

当た りに挿 入 され るア ノテー シ ョンが

3個

程度 と少数 で あ り

,そ

の傾 向を読 み取 る こ とが 困難 なケー ス が発 生 した。そ こで

,1グ

ル ー プ を

4班

編成 と し

,

自班 以外 の

3作

品 に対 して班 員各 自で個 別 にア ノテー シ ョン挿 入 を行 うこ とと した。 これ に よ り

,1枚

当た り

6個

程度 の ア ノテー シ ョンが挿入 され る こ とが期待 で き

,そ

の傾 向が読 み取 りや す くな るこ と で

,改

善 の方 向性 を理解 しやす くな る と考 えた.

(2)作

品 の客観 性 の 向上 前 回の実践 では

,個

人 に よる作 品制 作 で あ り

,そ

の完成 時 まで他者 の視 点か ら指摘 され る こ とはほばなか った の に対 し

,班

に よる作 品制 作 では

,頻

繁 に班員 との会話 が 行 われ る こ とが予想 され

,そ

の制 作段 階 か ら随時客観 的 な見直 しが行 われ

,よ

り聞 き 手 の立場や状況 を意識 した作 品が制 作 され る こ とが期待 で きる と考 えた. 3.1.3.ワ ー クシー トの様 式変 更 「改善 の必要性 を綿密 に検討 す る機 会 を設 けること」に関す る支援方策 として ワー クシー トの様 式 を変更 し

,図 7の

よ うに改善 の必要性 に関す る検討 結果 を記 入す る欄

(21)

● 型 D 悩 ゛ = O L S O R 中 や 鍼 申 裔 こ エ ハ 冷 ¨ 0 こ ふ K o ロ “・ ↑ 。 嗅Ю ︲, N い′0 いヽ □ 製 0 会 や 製 = 里 0

沢 0 日 里 も K 朧 P , 螺 9 0 掏 つ 一 e 製 い 倒 里 g O 製 ヽ ﹀ ︶ 3 鰤 い ︶ 製 o 倒 9 ゛ 粂 製 ゞ ﹀ ︼ D 細 0 ま Э “ ・ ↑ ν像 り ヽ 3 い ヽ □ 製 0 長 や 製 H 里 0 ・ □ 沢 0 日 二 S ・ 個 要 型 R や 夕 0や 築 = 彎 e 申 だ ︵ , D や 躙 苺 ︶ 壼 製 “ 節 g e 薇 申 督 → ふ 0 出 憑 ﹀

ヽ 粂 ヽ ト 3 0

歩 ﹂[

^ 、ホ“押﹂

一﹄¨¨﹄

酔研離い

い﹂¨﹂

、 F ¨ く 編 仰 図 底 C ψ ● 漏 轟 一 製 o 長 苺 や ヨ 民 や ﹀ 悩 い 姿 僚 鴫 淵 だ 綸 ′ ゛ 3 ︶ ミ ﹀ ︶ 0 麟 〓 鄭 2 , 咽 国 製 お く 6 ﹀ ゛ 可 ゛ ぺ 単 P D 昴 e y f 露 ” 仲 E 製 3 ︶ ⊃ 諄 ・κ 6 り ′ ︶ 0 日 悧 側 工 ヽ い К 6 騒 “ 2 製 環 川 硼 割 圏 簿10照

`

町面■

裔 ‖0誡 園 ロ J = 蠍 O 申 裔 ′ 1 ヽ

緊イぎ

・脂

1 型 6 0 賦 ゛ ‘ ヱ ハ ヽ 日 。 3 ● ミ D O ● 6 製 。 い 0 ︶ 〓 珀 ヽ 一 や ニ エ D 公 ﹁ 篠 が ﹂ お 縣 8 6 く ゛ 峡 . ︶ 6 響 揃 報 く 剰 S 濯 側 仲 E 6 2 や ﹀ 卍 ︶ ユ ヽ い κ 6 だ 一 TttX ° く ゛ 量 ※ 硬 “ ぶ ‘ ■ ¨ c 悧 R 2 ♪ メ r O ↓ ” 一 = メ ︶ 撃 O ︺

公ぽ

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,│

通 咲

せト

暉 普

¨

r 環 櫻

SK「

鶴日 と欄 鳳 疼 圏 磁 一 師 贅 尋 Э 犠 フ が 中 中 性 ふ К ロス事 図

7改

善の必要性欄 を追加 した ワー クシー トと記入要領

(22)

を追加 した。これ に よ り

,ス

ライ ド改善 時 にお いて

,必

要性 の有無 の検討 作業 を必須 とす る こ とで

,改

善 に関 して安易 な見送 りや 断念 を減 らす こ とがで き る と考 えた。 また

,教

師側 の効果 と して

,生

徒 が改善案 の提案 に至 るまでの思考 プ ロセ スや傾 向 に関 して

,教

師が正確 に把握 す る こ とが可能 にな る と考 えた。予備 実践 で は、

131枚

75枚

(57.3%)で 気 づ き記入欄 お よび 改善案記入欄 のいずれ に も記 入 が ない ス ライ ドが確認 され た。これ ら未記入 のス ライ ドには

,改

善案 の提案 がで きなか った とい う 場合 の他 に

,そ

の必要性 を感 じないた めに記 入 を省 略 した場合や

,提

案 はで きた もの の文章表 現 がで きなか った場合 な ども含 まれ るこ とが考 え られ る。 しか し

,予

備 実践 にお け る様 式 で はそれ らの場合 を判別 す るこ とがで きず

,記

入 され ない理 由の正確 な 把握 が不 可能 で あつた. 具体 的 な記入 の要領 につ いて は

,作

成者 はア ノテー シ ョンを参 照 し

,獲

得 した気づ きか ら課題 箇所 につ いて

,改

善 が必要 で あ る と判 断 した場合 は 「必 要 あ り」に○印 を 記入 し

,そ

の後

,提

案 した改善案 を改善案欄 に記入す る。 ここで

,必

要 で あ る と判 断 した場 合 で も

,具

体 的 な改 善案 が提案 で きない場 合 が想 定 され るた め

,そ

の場合 に, 提案 で きなか った原 因 を記入す るた めの欄 も併せ て設置 した。次 に不 要 で あ る と判 断 した場合 は 「必 要 な し」欄 に○印 を記入 し

,併

せ てそ の理 由を記入 す る。 3.1.4.単元設 定 の変 更

予備実践における単元計画

16時

間に加 えて次のような

6時

間分の単元を追加 した

.

予備実践の単元計画③の後に

,⑨

改善後動画作成

(1時

),⑩

挿入者ヘ コメン トのフ

ィー ドバ ック

(1時

),①

改善後作品についてシステムを用いて相互評価

(2時

),

⑫アノテーシ ョン分析作業

(2時

)を

追加 した。

予備実践か ら

,自 由記述で挿入 されたコメン トが具体的で

,改

善の方向性について

示唆を与える内容であつた場合に

,高

い割合で改善案が提案できていたことか ら,自

由記述スキルの向上は

,改

善案の提案に有効であることが推測 され る.そ こで,1回 目

のアノテーション挿入で,自 身が挿入 したアノテーシ ョンが

,作

成者 にどのような気

づきを与え

,改

善案 に活か されたのかを確認す るとともに

,他

の生徒のコメン トを参

照す ることで

,よ

り質の良い 自由記述 コメン トに関す る学習が行われ ると考え

,⑩

追加 した

.

また

,予

備実践では

,生

徒は自分たちが提案 した改善案 に基づいて改善を行 うも

のの

,そ

の改善の成否について振 り返 る機会を設定できていなかった。そこで

,改

善後の作品について再度

,協

調的な振 り返 り場面を設定 した。これ により, 自分た

ちが行つた改善プロセスを振 り返 り

,構

成に関 してより深 く考える機会が増加する

と考え

,①

および⑫を追加 した。

(23)

3.2.新

た に追加 した支援方策 と変 更 した授 業 内容 の効果 に関す る考 察 3.2.1.ア ドバ イ スボ タ ン追加 の効 果 に関す る考 察 ア ドバ イ スボ タンの使 用 回数 は

,表

5に

よ うに全 ア ノテー シ ョン

1,345個

44個

(3.3%)と 少数 に留 まった。そ の要 因 を挿入者側 と作 品作成者側 のそれ ぞれ の立場 か ら考察す る。

(1)挿

入者側 か ら見 たア ドバ イ スボ タ ンの効果 に関す る考察 挿 入者側 に対す るア ドバ イ スボ タンの効果 を

,設

置 目的 で あ る新 た な観 点 の獲 得, お よび

,記

述負荷 の軽減 の

2点

に基づ い て考察す る。 ① 新 た な観 点 の獲 得 ア ドバ イ スボ タ ンが使 用 され た回数 は少数 で あ り

,自

由記述 に もア ドバ イ スボ タンの 観 ′点を意識 した と思 われ る コメ ン トを確認 す る こ とがで きず

,ス

ライ ドに挿入 され た ア ノテー シ ョンの記述 内容 か らは設 置 の効果 を確認 す る こ とはで きなか った。しか し なが ら

,生

徒 の事後 ア ンケー トの記 述 か ら「使 いやす い と思 った け ど

,押

した後

,結

局全部 消 して書 き直 して しま った」,「○ ○○ を使 うよ りも

,自

分 の言葉 で伝 える方 が 多 か つた」な どとあ る よ うに

,使

用 を意 図 して ク リック していた り

,○

○○ に 当て は め よ うと試 み てい る こ とが確認 され

,挿

入 され た コメ ン トの記 述 内容 には顕在化 して い ない ものの

,観

点 を与 え る役害Jは果 た してい た こ とが推 測 で きる. ② 記述負荷 の軽減 事 後 ア ンケー トにお い て ア ドバ イ ス ボ タ ン を使 用 しなか った理 由の記 述 と して 、 「全体 の感想 の方 にま とめて書 くた め

,ア

ドバ イ ス ボ タ ンは あま り使 わ なか った」 と あ る よ うに

,生

徒 はア ドバ イ スボ タ ンの ク リックを意識 す る こ とで作 品の改善部分 を 認 識 した ものの

,直

接 ア ドバイ ス ボ タ ンを使 用す る こ とは控 え られ

,ア

ドバ イ スボ タ ン と同 じ観 点で設定 した図

8の

全体 を通 して の感 想 を入 力す る場 面 で

,記

述 した こ と が推 測 で きる。そ の要 因 と して,「使 いやす い と思 った け ど

,押

した後

,結

局全部 消 し て書 き直 して しま った」,「“○○○

"を

使 うよ り,自分 の言葉 で伝 え る方 が多 か った 。 あて は め る方 がむ しろ難 しか った」な どの記 述 に見 られ るよ うに

,ア

ドバ イ スボ タ ン 表

5

ア ドバイスボタンの使用 された回数 とその内訳 ア ドバイスボタン 回 数 具体例 が欲 しい !例えば○ ○ ○○ とか 8 スライ ドとナ レーシ ョンのバ ランスを考 えよ う !○ ○○○ 4 それ本 当か な

?実

は○ ○○ ○ なん じゃない? 00 ここの部分

,○

○○○ に してみた らど う? 29 合 計 44

(24)

8全

体を通 した感想入力画面 にお いて

40字

の字数制 限があつた ことが挙 げ られ る

.ア

ドバイ スボ タ ンを使 用す る 際 には リー ド文 に続 く○ ○ ○○部 分 に合 うよ うに意 図 をま とめて入 力す る必 要 が あ り

,記

述 ス キル のない生徒 に関 して は使 用 が控 え られ

,記

述 スキル を持 つ 生徒 に関 し て は

,む

しろ○○○○部分 に当て は め る とい う作業 は記述負荷 を高 め る こ とにつ なが つた もの と考 え られ る。従 って

,字

数制 限の ない 「全体 の感 想 にま とめて書 く」 とい うこ とが行 われ

,直

接使 用 され る回数 が少 なか った と思 われ る.

(2)作

品作成者 側 か ら見 た ア ドバ イ ス ボ タンに関す る考察 作成者側 に対す るア ドバ イ スボ タンの効果 を

,設

置 目的で あ る気 づ き数 の増加

,お

よび

,気

づ きの質的 向上 の

2点

に基 づ いて考察す る。

① 気づき数の増加

作成者 による気づき数の増加に関 しては,閲 覧者に対 して期待 した効果であるアノ

テーシ ョンの増加を前提 としてお り

,結

果 として

,ア

ドバイスボタンの使用数が少な

かったことか ら

,作

成者の気づきの増加に対す る貢献度は明確に判断することができ

なかった。

② 気づ きの質的な向上

気づきの質的な向上に関 して

,表

6が

示す ように

,生

徒に対 して行った事後アンケ

ー ト結果か ら

,改

善案を検討す る際に役に立ったコメン トとして

,ア

ドバイスボタン

表 3  テ ンプ レー トに設定す る各段階における文言 の候補 とその使用回数 AlDCAモ │デ ルの段階 テンプレ■卜に設定する文 1言│め 候補 使 用 回数 A:注 意 え ?な に ? 10 何 の こ と ? 4 何 が始 ま るの ? 0 I:興 味 自分 は ど うか な ? 19答 え を知 りた い7それ でそれ で? 9 続 き が 見 た い ! 0 本 当 に ? 0 それ か ら ? 0 D:欲 求 それ はいいね〜 33 へ〜そ うなのか ぁ 29 そ うい うのいいな !
表 4  設 定 したプ レゼ ンテー シ ョンの条件 場   面 オープ ンスクールで 自校 の良 さをア ピール し受検 を促す 対   象 オー プ ンス クール に参加 した 中学 3年 生 時   間 5分 間 ツ ー ル PowerPoint2010 I.ス ラ■ 1こ 挿入されたリ ン M陽 の気づき た人それぞれに違つた畿ヽとして僣わつてしまつてい アピール●が ̀Fゃ 1,て いて十分に rt、 ぃね〜だ つてヽもえる内書ではなう` つた 0か t 見た Atこ メリットがあること ,も
図 8全 体を通 した感想入力画面 にお いて 40字 の字数制 限があつた ことが挙 げ られ る .ア ドバイ スボ タ ンを使 用す る 際 には リー ド文 に続 く○ ○ ○○部 分 に合 うよ うに意 図 をま とめて入 力す る必 要 が あ り ,記 述 ス キル のない生徒 に関 して は使 用 が控 え られ ,記 述 スキル を持 つ 生徒 に関 し て は ,む しろ○○○○部分 に当て は め る とい う作業 は記述負荷 を高 め る こ とにつ なが つた もの と考 え られ
表 13不 一致 にお ける改善必要性 の検討結果 と改善内容 X不 一致 (16枚 104%) 作 成 班 x   枚数 ワークシートから気完 0獲 得が確認さ柑 スライト (16枚 104%) ワークシート から気 ,に の壼霞 得が曜 できなかつたスライド(0枚)改善が「必要」之 記述ガあつたスライド11枚)改善が「必要なしIセ記述がわ たスライH3救ヽ改善1護性ltpttの 記入なし(2枚) 構成  1瀾 鮮 1構 成以外 改善なし 樹 師嚇 構成以外 改善なし 樹 1鑑 雛 脚 外  :  改善な
+3

参照

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