第 4章 本実践の結果 と考察 .…
4.4. AIDCA段 階を示すテンプレー トとして設定 した文言の妥当性の検証 .…
本研 究 では,閲覧者 の意 図の表 明 はAIDCAの各段 階 を指示す るテ ンプ レー トの使 用 を必須 と してい た。そ のた め
,テ
ンプ レー トに設 定 した文言 の妥 当性 は,協
調 的 な振 り返 り活動 の信 頼性 に関わ る重要 な要素 で あった と考 え る。そ こで,使
用 され た文言 別 に,そ
れ が挿入 され た ス ライ ドにお け る教 師 が判 断 した段 階 と,そ
の文言 が指示す る段 階 との比較 を行 い,生
徒 の誤挿入 の割合 を見 る こ とで,設
定 した文言 の妥 当性 を 検討 した.結
果 は表 19に示す.表 19から,「確信 」の段 階 と して設 定 した 「な るほ ど〜 (確)」,「 自分 もそ うな りた い (確)」,「それ は納得 (確)」 の3つの文言 と,「何 の こ と?(注)」 (44。 9%)や 「それ でそれ で?(興)」 (48.0%)で誤挿 入 の割 合 が高い こ とが分 か る。 さ らに
,そ
の誤挿入 先 の多 くは隣接 す る段 階 で あ り,これ らの文言 は,各
段 階 を明確 に 区別 して使 用す る こ とが難 しか った こ とが うかが え る。特 に「な るほ ど〜 輛在)」 に関 して は,使用数 214回 中149回 (69。
6%)で
「欲 求」に挿入 され てお り,生
徒 は 「確信 」 よ りも「欲 求」の表 19文言別 に見た誤挿入 の割合 と挿入先
段 階 設定 したテンブし―ト 誤 挿入
数
・︿︿ ロ 挿 割 誤
の 挿入された段階(教師の判断)の内訳
文 言 使用数 注 意 興 味 欲 求 確 信 行 動
注 意 え?なに?(注) 140 46 32.9% 04 0
何 の こと?(注) 49 44.9% ,0 0
興 味 自分 は どうか な?(興) 84 7.1% 78 1 0
答 え は 何 か な?(興) 22.2% 0 7 0 0
それで?それで?(興) 98 47 48.0% 43 1 0
欲 求 へ 〜 子 ぅr.‐の か ィ欲 ヽ 223 33 14.8% 0 190 4
それ は い いね 〜(欲) 42 22.5% 0 145
確 信 な るI玉ど 〜 縄摩) 214 79̲0% 0 149 45
自 分 もそ うな りた い(確) 38 28 73.7% , 1■ 10 10
それ は納 得!(確) 24 66.7% 0
行 動 そうす るそうす る(行) 80 18 22.5% 0 1 3 62
7超 :子ら1̲士オ
̀行
ヽ 77% 0 0 0 , ,4
合 計 1.184 439 37.1%
段 階 に近 い感 覚 で使 用 していた こ とがわか る.一般 に,「な るほ ど」は相 手 の意 見 に対 して納得 した こ とを表す言葉 と して使 用 され るた め,「確 信 」に設 定 していた。しか し なが ら,生徒 は,作品 中で 自校 のア ピール ポイ ン トと して紹介 され た 内容 に対 して「な るほ ど〜 (確)」 を使 用 してい るケー スが多 く見 られ,納得 の意 味合 い に加 えて 「それ はいいね〜(欲)」 な どと同様 に
,共
感 の意 味 と して も使 用 され てい た こ とが明 らか と なった 。従 つて,今
後,文
言 の設 定 につ い て は,元
来そ の文言 が持 つ意 味合 い を考慮 す る こ とに加 えて,生徒 の使 用場面や使 用傾 向に も配 慮 して設 定す る必 要 が あ るこ と が示 唆 され た.4.5.実施 され た改 善 内容 の効果 に関す る考 察
4.1お よび4.2か ら
,生
徒 は協調 的 な振 り返 り活動 を通 して, 自分 た ちが制作 した 作 品 の改善 が必要 な部 分 に関 して,多
くの気 づ きを獲得 し,高
い割 合 で改善案 を提案 で きてお り,特に意 図の一致状態 が悪 い ス ライ ドほ ど構成 に関す る改善 が な され てい た こ とが明 らか となった 。ここで は,改
善後 の作 品 を評価 し,施
され た改 善 内容 の効 果 を検 証す る。具体 的 には,情
報 科教員 2名 (教員A,B)力
`それ ぞれ全 14作品 につ い て改善前 と改善後 の作 品の比較 を行 い,作
品の構成 に関 して,①
改 善前 よ り良 くな った,②
改善前 か ら変化 な し,③
改善前 よ り悪 くな った,の
いずれ かで判 定 し,併
せて
,そ
の判 定 の根拠 となった改善箇所お よびそれ に伴 う構成面 で の効果 も記述す る, そ の うえで2名の評価 が分 かれ た作 品 につ いて,も
う1名の情報科教員 (教員C)が
前述 の よ うに① 〜③ で判 定す る, とい う手順 で行 つた。
結果
,表
20の よ うに教員Aお
よび教員 Bの評価 は,全
14作品 中 13作品で評価 が一致した
.評
価が分かれた12班の作品に関して,表
21の ように教員Cが①改善前より良 くなった との評価 し
,結
果,14作
品 中8作
品で,構
成 に関 して効 果 的 な改善 が行 われ,作
品が改善 され た と評価 され た。以上 の よ うに,過半数 以上 の
8作
品で構成 に関 して有効 な改善 が行 われ た こ とが確 認 され,動
画 ア ノテー シ ョンを用 い た協調 的 な振 り返 り活動 を通 して,生
徒 は構成 に 着 目した うえで,その改善 につ なが る正 しい方 向性 で改善案 を提案 で きていた こ とが 示 唆 され た。一方 で改善前 か ら変化 が ない と評価 され た6作品 につ いて は,構成 に関す る改善 と い う視 点では
,そ
の効果 を確認す るこ とはで きなか った。これ らの作 品では,生
徒 は 構成 の改善 に関 して気 づ きを獲 得 し,そ
の方 向性 も正 しく認 識 してい る ものの,実
際 の作 品改善 に際 して,気づ きに基 づ いた改善案 を作 品に反 映 させ る具体的 な道筋や方表20 作品内で実施 された改善内容 の効果 に関す る評価結果
評I面││■■
││=:―
:教員度 三 教 目:B
1 変化なし 変化 なし
2 変化なし 変化なし
3 変化なし 変化なし
4 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた
5 変化なし 変化なし
6 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた
8 変化なし 変化なし
9 変化なし 変化なし
10 改善前より良 くなつた 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた 改善 前より良くなつた 12 改善前より良くなつた 変化なし 13 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた 14 改善前より良くなつた 改善前より良くなつた
表2112班の判定の根拠 となつた変更部分 と効果 に関す る評価 内容
評 価 者 ==評ヽ山 評 術 あ 棉 峰 ■ 十な 恋軍 街 研,ど石の 内容
―
・‐=‐
変‐更 による効 果=
教員A 改善前より
良くなった
ナレーションに関イ系ないスライドが流れ止り′ スライド制 麟替えのタ イミンカ規K不必要な間力ヽわ たりした部分につしてナレーションと スライドの ヾランスが変更さ祉 .
バラン刀蕩則tめに聞ぎ ゞらく内容力理 解 しつりわた部分力解 消
そ彗,rlL,こ.
スライドl順の入替力V子われた
紹介れ る内容とそ鋭 影ス順魔曹曇y止ことで′局校生活が自
由で楽しく′生徒錨 足度力塙 し之しう内容力淮わ ってくる内容に 改善さオ■
教 員B 変化なし ページの酉砂 りを変 更 してしる 。 ページ酉己ラ」の変更脳 予われたが特男」な内容変更力い しtめに効
果的な改善になったとは思えない。
教員C 改善前より
良くなつた
スライド例1頂番力唆 更挽 た。
「自由」のスライドに進む前に余分なスライドを取り除く〔■力できた。
また、行事のと →気に入つていること→利便 団 1贋番にしたと で、改善前よζん に口象搬 く残るようになった。
ナレーション 改善前と比べて聞き手にわ てわかい すく話せてしt。特に最後は
行動{こ移してもらしtし之ιう気持ちが伝わるような表現でわ た。
策 を理解 で きていなか つたた めに,ス ライ ドの視覚効果や ナ レー シ ョンの言 い回 しな ど
,構
成 以外 の改善 の留 ま って しま うケー スが確認 され た。A.改善前 よ り良 くなつた と評価 され た作 品例 (4班)
図
21の
作 品 は, 自身 の高校 が様 々な進 路希 望 に対応 で き るこ とをテーマ と した も ので あ り,改
善前 はそ の根拠 と して6つの系列 が あ るこ とを挙 げていた。 しか し,当該 ス ライ ドで意 図の一致状態 が 「一致 半数未満 」 とな り,さ らに 「具体例 が欲 しい ! 例 えば系列 の こ とと とか」 とい うア ノテー シ ョンが挿入 され た こ とか ら,「具体例 が ない か ら見 てい る人 に伝 わ りに くい」 との気 づ きを獲得 し
,希
望す る進 路 に合 わせ た 各 系列 の説 明が追加 され,聞
き手 が 自分 の希 望 に置 き換 えて考 えやす い 内容 とな り,よ り説得 力 の あ る構成 とな った.
B。 改善前 か ら変化 な しと評価 され た作 品例 (1班)
図22の作 品 は,自 身 の高校 の行 事 が充 実 して い るこ とをテーマ と した もので あ り, 改善前 には月別 にス ライ ド1枚を使 用 し年 間行事 を説 明 していた。 しか し
,4月
の行 事 を紹介 した ス ライ ドで意 図の一 致状態 が 「一致 半数未満 」 となった こ とか ら 「も う 少 し欲 求 が 出 る よ うな感 じに しよ うと思 う」,ま
た 6月 の行事 を紹介 したス ライ ドでも「詰 め込み過 ぎた ので2枚く らい に分 けたい と思 う」との気づ きを獲得 した うえで,
改善 前 改善後
・ 覆 讚 強4L→
・ 彙 織薔 →
・1踵認 ズ
"→
・
…
t Oa属=薇籠 OtMV光く
"
●
…
・ ―
「F
●力蘭鷹じ彙菫
短大
・
… :
圏
図
214班
にお け る改善 内容国 固
固
改善後
4月 "嗜
4月
文化 摩
可
月
轟 nL
勇女ヨ會
"根 大会
7月
鍛技■目 キックベース
′ドッジボール̲̀
撃球
7月
競技●日 キックベ‐ス
′ヽレ‐
ドッジボール 輩畔
図
221班
における改善内容4月 のス ライ ドで は写真 の レイ ア ウ ト変 更
,6月
で ス ライ ドが2枚
に分割 とい う変 更 が な され たが,根
本 的 な構成 の改 善 に対す る効果 は認 め られ なか った。この ケー ス も 4.2で明 らか とな った改善 の方 向性 は理解 で きてい る ものの,具
体 的 な改善 プ ロセ スに関す る理解 が不十分 で あ った こ とが要 因 と して挙 げ られ る。