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Genetic variation in the ATP binding cassette transporter ABCC10 is associated with neutropenia for docetaxel in Japanese lung cancer patients cohort(日本人肺癌患者においてABC結合カセット輸送体ABCC10の遺伝子多型はドセタキセルの好中球減少と関連する)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1714号 学 位 記 番 号 第1212号 氏 名 曽根 一輝 授 与 年 月 日 令和 1 年 9 月 25 日 学位論文の題名

Genetic variation in the ATP binding cassette transporter ABCC10 is associated with neutropenia for docetaxel in Japanese lung cancer patients cohort

(日本人肺癌患者において ABC 結合カセット輸送体 ABCC10 の遺伝子多型 はドセタキセルの好中球減少と関連する) BMC Cancer 2019;19(1):246. doi: 10.1186/s12885-019-5438-2. PMID: 30890141 論文審査担当者 主査: 中西 良一 副査: 飯田 真介, 高橋 智

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論 文 内 容 の 要 旨 背景・目的 ドセタキセルは様々な癌種の治療に広く用いられている殺細胞性抗がん剤である。またATP 結合 カセット(ABC)トランスポーターをはじめとした薬剤トランスポーターは細胞内外への薬剤輸送 を通して抗がん剤を含む薬剤の代謝に重要な役割を果たしていることが知られている。ABC トラ ンスポーター/多剤耐性タンパク(MRP)ファミリータンパクの1種である ABCC10/MRP7 はタキ サン系薬剤の輸送を行い、またこれらの薬剤の耐性化に関連していることを以前我々は報告した。 薬剤トランスポーターの遺伝子多型はトランスポーターの発現もしくは機能の規定因子として臨 床的なアウトカムに影響を与えることがこれまでに報告されており、今回我々はABCC10の遺伝 子多型がドセタキセルの臨床的な反応性に影響を与えるかを検討した。 対象・方法 非小細胞肺癌細胞株18 株および CRISPR/Cas9 を用いて遺伝子編集をした HeLa 細胞を用いて, 既報よりドセタキセルの細胞内外の輸送に影響があると考えられるトランスポーターの遺伝子多 型ABCC10(rs2125739, rs9349256), ABCB1 (C3435T, G2677 T/A and C1236T), ABCC2

(rs12762549), SLCO1B3 (rs11045585)とドセタキセルの細胞障害活性 (IC50)との関連を検討し

た。また、69 人のドセタキセル単剤治療を受けた既治療の非小細胞肺癌患者の血液検体より各種 薬剤トランスポーターの遺伝子多型[ABCC10(rs2125739), ABCB1(C1236T, C3435T,G2677T/A),

ABCC2(rs12762549)およびSLCO1B3(rs11045585)]を測定し、臨床的アウトカムとの関連を検討 した。 結果 検討した細胞株の遺伝子多型のうちABCC10の遺伝子多型rs2125739 のみがドセタキセルの IC50と有意な関連を示した(P=0.030)。また CRISPR/Cas9 を用いた遺伝子編集により HeLa 細胞 (rs2125739 T/T)から作成した遺伝子多型を編集した細胞(rs2125739 T/C, C/C)においても同様に 親株T/T よりも T/C, C/C の株においてドセタキセルの細胞障害活性は優位に高く同様の結果が確 認された。また親株および遺伝子編集株でウェスタンブロット法によるABCC10/MRP7 の発現レ ベルは変化なく、rs2125739 の多型によるドセタキセルの細胞障害活性の変化は ABCC10/MRP7 のドセタキセル輸送能の変化に基づいていることが示唆された。 次に既治療非小細胞肺癌患者を対象に行った検討ではrs2125739 T/T 54 名, T/C 15 名がエントリ ーされ全集団でのドセタキセルへの奏功割合や好中球減少の頻度は既報の臨床試験と同等であっ た。ABCC10 rs2125739 の遺伝子型とドセタキセル単剤の奏功率、無増悪生存期間、全生存期間 とに関連はなかった。しかしながら、rs2125739 の T/C 群では T/T 群と比較しグレード 3/4 の好 中球減少の割合が優位に少なかった。(T/C 60% vs T/T 87%; P=0.028)。さらには T/C の患者では 発熱性好中球減少症を合併した患者は見られなかった。他の薬剤トランスポーターの遺伝子多型 と好中球減少に有意な関連は見られなかった。 結語 ABCC10の遺伝子多型はABCC10/MRP7 のドセタキセル輸送能に影響を与えドセタキセル治療 の好中球減少と関連することが示唆された。

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論文審査の結果の要旨 【発表の概略】ドセタキセル(DTX)は様々な癌種に広く用いられている殺細胞性抗がん剤である。ABC トランスポーター/多剤耐性タンパク(MRP)ファミリータンパクの1種である ABCC10/MRP7 はタキサン 系薬剤の輸送を行い、タキサン耐性化に関連していることを以前我々は報告した。薬剤トランスポー ターの遺伝子多型は臨床的なアウトカムに影響を与えることが報告されており、今回ABCC10の遺伝 子多型が DTX の臨床的な反応性に影響を与えるかを検討した。まず非小細胞肺癌細胞株 18 株を用い て,既報より DTX の輸送に影響があると考えられるトランスポーターの遺伝子多型

ABCC10(rs2125739, rs9349256), ABCB1 (C3435T, G2677 T/A and C1236T), ABCC2 (rs12762549),

SLCO1B3 (rs11045585)と DTX の細胞障害活性 (IC50)との関連を検討し,そのうちABCC10の遺伝子多型

rs2125739 のみが DTX の IC50と有意な関連を示した(P=0.030)。また CRISPR/Cas9 を用いた遺伝子編 集により HeLa 細胞 (rs2125739 T/T)から作成した細胞(rs2125739 T/C, C/C)においても同様に親株 T/T よりも T/C, C/C の株において DTX の IC50は優位に高く同様の結果が確認された。親株および遺 伝子編集株でウェスタンブロット法による ABCC10/MRP7 の発現は変化なく、rs2125739 の多型による DTX の細胞障害活性の変化は ABCC10/MRP7 の機能変化に基づいていることが示唆された。次に 69 人 の既治療非小細胞肺癌患者を対象に行った検討では rs2125739 T/T 54 名, T/C 15 名がエントリーさ れ, rs2125739 の遺伝子型と DTX 単剤の奏功率、無増悪生存期間、生存期間に関連はなかった。しか しながら、rs2125739 の T/C 群では T/T 群と比較しグレード 3/4 の好中球減少の割合が優位に少なか った。(T/C 60% vs T/T 87%; P=0.028)。さらには T/C 群では発熱性好中球減少症を合併した患者は いなかった。他の薬剤トランスポーターの遺伝子多型と好中球減少に有意な関連は見られなかった。 【審議の内容】主査の中西教授より、1.分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤(ICI)での薬剤トラ ンスポーターの役割について、2.薬剤トランスポーターの過剰発現の機序、3.今後の研究の発展性お よび臨床応用について、4.DTX の現在の適応について、等 4 項目の質問が行われた。次に副査の飯 田教授から、1.ICI と化学療法の併用レジメンについて、2.CRISPR/Cas9 のドナーDNA の作成につ いて、3.症例の中で骨髄浸潤の有無については評価されているか、4.アレル頻度及び分類について、 5.C アレルで機能変化が起こる機序について、6.今後症例数を増やせばアレルと効果についても差が 出ると考えているのか、7.トランスポーター発現に伴う耐性化は臨床的にも起こりうるのか、 8.ABCC10 の発現は血球系でも認めるのか等 8 項目の質問が行われた。同じく副査の高橋教授より、 1.細胞株において genotype 毎に排泄速度の違いは確認したか、2.細胞株での MRP7 発現は確認した のか、3.genotype でタンパク構造変化はどうか、4.臨床症例で効果がなかった理由の考察は、CYP などの影響はないか、5.細胞株で 100M にて差を認めるが、それは臨床的な濃度に相当するのか、 6.プラチナ製剤による ABCC10 発現への影響はないか、7.プラチナの耐性化に関わる因子について、 8.治療集団の response が低いが、それは妥当なのか、9.ABCC10のSNP と好中球減少が関連する機 序は、10.好中球減少以外の骨髄毒性はどうだったか、11. 好中球減少と発熱性好中球減少症の定義 について、12. 臨床応用する際に G-CSF 予防投与との関連をどのように想定知るのか、など 12 項目 が問われた。いずれの質問に対しても十分な回答が得られ、本研究領域について深く理解するととも に、専攻分野に関する知識を深く習得しているものと判断された。本研究はDTX 治療とそれに伴う 好中球減少と、ABCC10の遺伝子多型との関連を検討した価値ある研究と考えられた。よって、本 論文の著者には博士(医学)の学位を授与するに値すると判断した。 論文審査担当者 主査 中西良一 副査 飯田真介 高橋 智

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