を 察した. 【アンケート内容】 DNR の指示の有無で 症例設定し, 看護師の気持ちや接し方の変化を VASで 評価した.中心 (0ポイント)を「いままでと変わりない」 とし, 中心から左側 (∼−5) を「消極的な変化」, 右側 (∼+5) を「積極的な変化」とした. 【結 果】 配布数 369 部で回収率 70%であった. 終末期がん患者を受け 持った看護師の 89%が DNR の指示を受けた. 看護師の 「気持ち」「接し方」「家族への接し方」の変化は, DNR の指示のある症例設定はそれぞれ+0.1, 0, +0.5ポイン トであったのに対し, ない症例設定はそれぞれ+0.9, + 0.9,+1.1ポイントであった (p<0.01).「 命処置の話し 合い」は,医師と患者間で「十 に行われていると思う」 「行われていると思う」の回答は合わせても 20%であっ た. 同様の質問で医師と家族間では 38%であった. 【 察】 DNR の指示のある患者への え方や気持ちの変 化は, 指示のない患者に比べポイントが低かった. 終末 期医療は日々の状態が変化している患者と家族に対し なるケアが必要となるが, DNR の指示 があることに よって従来と変わらない看護ケアのみとなっているので はないかと えた. 【結 語】 医療者は,「患者にとって の DNR」の指示となるよう患者家族との関わりを再度 見つめ直し, DNR についての認識を深め, 終末期医療の 看護ケアの質を高めていくことが重要である.
セッション3>
座長:亘 智絵(訪問看護ステーションたてばやし) 1.在宅ホスピスケアの普及に向けた取組み 神山 智子,鈴木 美雪,原澤 勇 北爪 明子,山田 幸世 (群馬県 康福祉部医務課) 【はじめに】 在宅ホスピスケアの普及には医師及び関係 各職種の協力連携が不可欠である. 各職種が一堂に集い, ともに え, 共通意識を持って在宅医療を推進すること を目的に, 高崎緩和ケアネットワークの会等の協力を得 て, 基調講演及びワークショップ (以下 WS) を取り入れ た研修会を実施したので結果を報告する. 【事業概要】 対象は, 病院, 診療所, 介護老人保 施設, 訪問看護ス テーション, 県, 市町村の医療, 保 及び介護関係職員等 とした.平日夜間,2時間の研修で,緩和ケア診療所・いっ ぽ院長小笠原先生による約 1時間の基調講演後, 介護老 人保 施設若宮苑副施設長安藤氏進行の WSを行う構 成とした.WSは,医師・看護系・福祉系の職種毎に 6∼10 人のグループを組み, 現状の課題整理等について KJ法 を用いて意見 換を行った. 【結 果】 定員を超える 申込みがあったため人数調整を行い, 高崎会場 97名, 太 田会場 65名, 計 162名の出席を得た. 参加者の反応では, 大いに満足及び満足が 88.6%を占めた. 具体的には, 短 い研修時間でも WSを取り入れたこと, 基調講演での学 びに加え, 他施設の取組みの現状や多角的な意見が聞け たなどの評価が高かった. さらに, 今後, 関係職種の連携 を密にし, 積極的に在宅ケアに取組みたいとの前向きな 意見が多く聞かれた. 2.患者が教えてくれたこと ―自宅へ訪問して― 佐藤 貴之(医療法人社団日高会 日高病院 緩和ケアチーム 社会福祉士) 武藤なつ美,佐野 優子,神宮亜希子 (同 看護師) 【はじめに】 自宅退院となった末期がん患者への関わり に対し,院内スタッフと在宅スタッフ,および患者・家族 の認識の差を強く感じた. 特に院内スタッフが感じた, 認識の差は何だったのか? 問題点や課題を明確にする ために, 事例検討を行った. 【事 例】 60代男性, 大腸 癌, 肝転移, 癌性腹膜炎. 妹 (三女) 夫婦が同敷地内に在 住. 緩和ケアチームが介入し, 患者, 家族と面接を行い, 自宅療養の希望が聞かれた為, 往診医, 訪問看護ステー ションと連携を取り, 自宅退院となった. 院内スタッフ は,当初,在宅スタッフ (往診医,訪問看護師,ケアマネー ジャー)と連携し,患者・家族の希望通りに自宅退院でき たことで,役目を果たしたと感じていた.しかし,退院後, 患者からは,「点滴の指導をしていた 2週間は無駄だった よね」「もっと早く帰りたかった」という言葉が聞かれた. 患者が亡くなった後, 訪問した際に主介護者である妹か らも「もう少し早く帰って来れていれば, 散歩をしたり, 違った時間が過ごせたのではないか」「今後,同じように 帰りたいと言う方がいたら, 早く帰してあげてくださ い.」との言葉が聞かれた. 【 察】 今回,問題点や今 後の課題を明確にするため, MSW, 院内看護師, 訪問看 護師にて事例検討を行った. そこから「院内の医師と看 護師の情報 換の少なさ, 医師同士の温度差」,「在宅ス タッフとの連携不足」,「在宅療養の決定をするのは誰 か?」などの問題点が浮かびあがったので,それを報告す る. 3.モルヒネ 用を えた ALS の1症例 後藤與四之 (後藤クリニック) 今井ひとみ,森 和代,宮永小百合 井上 晴美,新井 朋子,後藤 勝子 (訪問看護ステーションかがやき) 森尻 房恵 (在宅介護支援センター本島) 2007年 3月発症翌年 1月入院精査し ALS と診断. 本 人家族に「ALSの可能性大,いずれ動けなくなり,呼吸と 65嚥下の問題が命の短さを決める」と告知された. 3月当院初診時は介助があればトイレ歩行可能であっ たが, 病状の進行は速やかで, 2ヶ月後には両下肢の運動 能力は喪失し左上肢の脱力と左胸部の違和感が出現, 聴 診上左肺は呼吸音が殆ど聴取出来なくなった. さらに 2ヶ月後の 7月下旬には寝たきりとなり両肺の呼吸音も 殆ど聞こえなくなった. 気管切開人工呼吸や胃瘻栄養に ついては告知を受けた後の通院期間にも説明を受けた が, 患者自身は明確に拒否を表明していた. しかしながら実際に呼吸不全の徴候が見られ始めた頃 合いを見計らって, 6月末に本人および患者家族と在宅 ケアに携わっているスタッフ全員でケア会議を開き議論 し改めて「患者さんの意志を尊重する」ことを確認した. 7月末に初めて本格的な息苦しさを訴えた. そこで気 切せずとも接続可能な非侵襲的陽圧換気法 (NIPPV) を 検討する目的で入院させた. 3週間の入院中に家族を え神経内科医と十 に話し合った結果 NIPPVは導入せ ず経鼻酸素投与だけの治療方針となって退院した. 帰宅後嚥下困難はなかったが, 会話は急激に声が小さ くなった. また同時に胸背部痛を訴えロキソニンを投与 したが効果はすぐに減弱した. この時点で「胸背部痛が 改善しないならモルヒネの内服を開始しよう」と申し出 た. その翌日排 した後しばらくして介助の娘が戻ってみ ると様態が急変していた. 直ち往診依頼があり駆け付け ると, 呼吸は微弱ながらまだあったが意識は消失してい た.酸素流量を増やしたところ SPO2は 79%から 97%ま で回復した. しかしながら意識は回復せず退院後 9 日で 死亡した. 結果的にはモルヒネ投与は行わなかったが, ALSの呼 吸苦に対してのモルヒネ投与は用量や投与経路に対する ガイドラインがなく, 導入に際しての説明と理解は癌以 上に困難かと思われた. 4.がん患者を看取るグループホームスタッフの思いと 緩和ケア病棟による支援 市川 直美,藤井 智代,橋本かよ子 野 裕子,津金沢理恵子 ( 立富岡 合病院 緩和ケア病棟) 【はじめに】 当 PCU は群馬県西毛地域緩和ケアネット ワークの中心的な役割として, 富岡地域を中心に在宅や 介護保険施設への訪問看護や電話相談を行っている. そ の関わりの中で, がん終末期患者を介護するグループ ホームスタッフより「不安」「心配」という声が聞かれた. そこで, PCU 看護師が, 今後どのように関われば施設ス タッフの「不安」や「心配」を軽減できるか えた.今回, 実際に携わったグループホームスタッフにインタビュー を行い, その方向性を見つけることができたのでここに 報告する. 【研究目的】 グループホームスタッフの「不 安」「心配」の内容を具体的に明らかにし,今後の援助の 示唆を得る. 【研究方法】 看取りを経験したグループ ホームのヘルパー 2名にインタビューを実施し, KJ法 により 析し, カテゴリー化した. 【倫理的配慮】 録音 したデータは 析後速やかに破棄し, この研究以外には 用しない. 院内の倫理委員会から承認を得て研究を開 始した. 【結果・ 察】 インタビューをカテゴリー 類 した結果,「支援体制の充実」「施設での生活継続」「家族 との関係」から満足と感じた一方で, 相談への遠慮」「無 力感」「判断困難」「知識不足」「精神的負担」「経験不足」 といった不安があったと判断できる. このような結果か ら施設療養支援に必要なことは, 1介護者が医療的な判 断に困らないよう,具体的に説明する. 2病気・薬に対す る知識を紙面を用いて説明する. 3傍にいること・見守 ることの重要性を伝える. 4 PCU から定期的に電話を する. また,「こういう時には電話を下さい」と具体的に 起こりうる症状の説明を行うことである. 今回, がん終 末期患者が生活の場として過ごしたグループホームス タッフを対象に調査を行った結果, 満足と不安に大別さ れることがわかった. 地域との連携をさらに充実させる ため, 今回の結果を生かしさらなる施設療養支援を行っ ていきたい. 5.家族旅行を希望した終末期患者と家族との関わりを 通して学んだ事 関 尚映,中里まゆみ,林 貴子 萩原由美子,藤田智恵子 (伊勢崎市民病院 9階B病棟) 【はじめに】 終末期医療において患者や家族は生命予後 に限りがあると判断された場合, どのように過ごしたい かを意思表示する事が求められる. 今回, 家族旅行を望 んだ患者・家族の思いを受け止め, 様々な問題を解決し 旅行を実現する事ができた事例を通して学んだ事を報告 する. 【倫理的配慮】 家族に本症例の研究の趣旨を説 明し同意を得た. 【患者紹介】 患者 : A 氏 60代 女 性 家族構成 : 夫と 2人暮らし (子供 3人) 病名 : 肺 癌,肝臓・副腎・骨転移 【経 過】 肺癌で抗癌剤治療に て入院. 症状の出現なく,「残された時間を悔いなく過ご したい」と前向きであった. 徐々に疼痛が出現し持続し てきたため, 医師と相談の結果, 緩和ケアを行う事と なった. 疼痛が持続すると活動意欲が低下し,「家に帰り たい」「家族揃って旅行に行きたい」と聞かれた.そこで 本人の思いを受け止め, 自宅へ帰る事, 旅行に行ける事 を目標とし援助した. 疼痛のコントロールと旅先での急 変時の対応に備えた. 退院となり 1泊 2日の旅行ができ 66 第 19 回群馬緩和医療研究会