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第3章研究のまとめと今後の課題

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Academic year: 2022

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第3章研究のまとめと今後の課題

1.研究のまとめ

各学年の事例から読み取った「幼児の思考する姿」を検討する中で「幼児の思考を促す教 師の援助」「幼児の思考を促す環境の構成」が明らかとなった。それを一覧表にまとめたこと

で、以下のことが明らかとなってきた。

(1)幼児の思考する姿

幼児の思考する姿を「ひととのかかわり」「ものとのかかわり」「こととのかかわり」の三 つの視点で分類した。(108ページ参照)

・3歳児は、ひと、もの、こと、どれかに偏ることがなく、自分以外の全ての事物(ひと、

もの、こと)が思考を促す手がかりとなっている。これは、初めて園生活を送る幼児ら が、「好きなものを使いたい」「友達と同じことがしたい」「一緒に遊びたい」と思い、初 めて出会う環境に、自分なりにどのようにかかわろうとするかを思考しているからであ

る。

・4歳児になると、「ものとのかかわり」に多くの思考する姿を見ることができた。幼児 らは、友達と一緒に遊びの場づくりをする時、それに伴ってものを操作する時、その過 程の中で思考を繰り返している。友達と一緒に具体的なものとかかわり、自分が思うか たちに変化させる時、友達の考えを聞き、友達の考えを受け入れたり、自分の考えを変 化させたりしながら、自分なりに思考の視点を変化させているからである。

・5歳児になると、他者を意識して思考する姿が見られる。自分達が楽しむことができる ように思考するだけではなく、その場にかかわるいろいろな友達、さらには側で遊んで いる他の遊びの友達にも目を向け思考していることがわかる。また、幼児らは、自分達 で自分達のことを振り返る中で、客観的に思考することができるようになっていること

も見えてきた。

・すべての学年を通して、幼児らにとって、,思考を促す原点は「自分がほしい」「自分が やりたい」「自分が楽しみたい」という、気持ちや願いであることを再確認した。

(2)幼児の思考を促す教師の援助

幼児の思考を促す教師の援助を振り返る中から、「安心・安定する」「問題や状況を明確に する」「考えを広げたり深めたりする」「考えを再構築する」の4つの傾向がみえてきた。(109

ページ)

-105-

(2)

・3歳児は思考することとはどういうことなのかを教師と共に体験していくことが大切 である。中でも、幼児が安心・安定することができるように、「同じものをつくる」、「幼 児のイメージに浸る」など、教師が幼児と一緒に同じ体験をすることは、幼児の主体的 な活動を促す支えとなっている。幼児が自分なりに思いや願いをもち、自分でやってみ ようとする気持ちをもつためにも大切である。

・4歳児では、問題や状況を明確にする援助、考えを広げたり深めたりする援助が多く見 られた。問題や状況を明確にする援助では、幼児一人一人の思いを言葉で表現させたり、

伝え合わせたりすることが大切である。幼児らはお互いの思いを知ることで、その場に 集う友達と共通の話題や問題を捉えることができるからである。また、考えを広げたり 深めたりする援助では、幼児の思考を揺さぶったり,違う価値に気づかせたりすること が大切である。

.s寵児になると、幼児らに考えを再構築させる援助が大切になることがわかった。幼児 らは、これまでの体験を通して,自分達なりにお互いの価値観を揺さぶり合い、問題を 解決しようとすることができる。しかし、すべてを幼児に任せるだけでは、思考を再構 築するには至らない。幼児らの考えを認め、判断を委ねることに加えて、幼児ら自身に

自分達の言動を振り返らせることが大切であることがわかった。

(3)幼児の思考を促す環境の構成

幼児の思考を促す環境の構成は「もの」「ひと」に分類できた。さらに、「もの」について は「素材・遊具・自然」「場・空間」の二つに分類した。(110ページ)

・全学年を通して、幼児らの思考を促すために、幼児が自由に使え、具体的に操作するこ とができる「もの」が重要であることがわかった。

・3歳児にとっては、安心してかかわってみたいと思う環境を構成することが思考を促す うえで重要である。気の合う友達と安心して遊べる区切られたコーナーを設置すること、

いつも同じ場所に同じものを設置することなど、幼児一人一人が安心して過ごすことが できるように環境を構成することで、幼児は安心して身近な環境とかかわることができ る。さらに、自分が安定することで、他者を意識できるようになり思考が促されていく からである。

・4歳児には、自由に組み合わせることができる大型積み木、かたちが複雑なマルチバネ、

材質が異なる複数の大型遊具が思考を促すうえで有効である。それは、組み合わせ方が 多種多様であるため、幼児一人一人のイメージが膨らみ、目的も多様になるからである。

また、一人ではなかなか思い通りに組み合わせることができないことから、友達の力が 必要になる。友達と思いを共有していく時には、お互いの考えを受け入れ合うことが必 要になるからである。

-106-

(3)

・5歳児にとっては、いろいろな友達の遊びを把握することができる場や空間を構成する

ことが幼児の思考を促す環境として大切である。それは、幼児らがこれまでの様々な体

験から、「ものともの」「ものと人」「ものと状況」の関係性を捉えることができるよう育

っているからと考える。

2今後に向けて

・今年度、事例検討を積み重ねる中で、幼児の思考を促すための環境の構成の重要性を改 めて共通理解することができた。しかし、ひととの視点に目が向きがちで、ものとの視 点、特に自然物との視点についての幼児の思考する姿に目を向けることが少なかった。

今後、指導計画の作成に向けて様々な視点で幼児の思考する姿を探っていきたい。

・思考する姿を願うあまり、必要以上に教師が声をかけたり、かかわり過ぎたりしている と反省することも多かった。幼児らが主体的に生活することができるようにする為にも、

適切な教師の援助について今後も探っていきたい。

・これまでの研究の積み重ねの中で、幼児の自己表現する姿、思考する姿など、3歳児、

4歳児、5歳児の特徴を捉えることができた。今後、小学校と連携しながらカリキュラ

ムを編成していきたい。

-107-

(4)

ふりかえり友達の思いを聞きながら自分はどうじたら よかったのか考えるノ備勤の握り返り)

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好きな役を自分がするためには、

どうしたらよいか考える(順番)

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自分がなりたい役をやらせてもらう ためIこはどうしたらいいのか考える

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自分がほしいのはどん なものなのかを考える

蕊;鵜懲藷蕊篝議lliH蓮、

一緒に遊ぶ方法

遊びに加わるためにはどうしたらよい か考える(遊びに入る方法)

ひと

他者の存在

友達が自分のつくったものを壊さな いかどうかを心配する(他者の存在)

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5歳児IF

(5)

思考を促す教師の援助

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考えを再構築する

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行鋤を復Ⅲ返るよう哲葉をかける

整理 共感

潔め 、レールを守れなかった幼児

らの思いに共感する 自分の考えを自覚できるように、もう一度ブ

ロックを組み立てることを提案する

確認 露童灘liii聯喜溌31;;l蝿il}): (爾扇藪霊F;葛~)

広げたり深めたりする 考えを 整理 揺さぶり

一人一人の思

いを確認する 言葉の意味がすれ違ってい

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安易な方向に流れないよ うに立ち止まらせる

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方向付け

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噛鰯錘翻簿蟻螂;逢藁識…--鴬 支える 幼児と一緒に悩み考える

整理 気づき

問題や状況を明確にする

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判断しやすくするために、事 実や互いの思いを整理する

f着iii蝿繍繍蕊臓齢|:

整理して思考できるように、イメ ージを言語化する

状況づくり

その場に居続けることで、考え

ざるを得ない状況達つくり出す

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寄りそい 幼児が思考し続けられるように寄りそう僻敷M侭R鋤職AI錘勤そう

安心・安定する

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教師自らが、幼児のイメージに浸る

仲間

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(6)

思考を促す環境の構成

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L高抵筆のある鉄棒

憧れ・モデル

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思いを受け入れてくれる友達

(友達)

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何度も丸太から落ちてしまう年中組の友連

自分の思いと異なる姿を見せる友達

自分の思い通りにならない友逮の存在 自分の思い通りにならない友達 ルールを守らず、勝手に勝敗を決めようとする友達

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参照

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