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匠 勝 則 (受付:昭和30年8月10日)

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37

結核化学療法の基礎的研究

第 6 2 報

実験的結核症に於ける抗結核剤の併用効果(其の1)

金沢大学結核研究所細菌免疫部(主任:柿下正道教授)

(受付:昭和30年8月10日)

一一一一巨

1943年当結核研究所岡本教授等の広汎な研究 に依って,o‑Aminophenol(以下OMと略称)

が抗結核剤として脚光を浴びるに到り,以来 Streptomycin(以下SM,1944年),p‑Amino‑

salicylicacid(PAS,1946年)4‑Acetylami‑

nobenzaldehydethiosemicarbazone(TBI, 1948年)及びIsonicotinicacidHydrazide (INAH,1951年)等が相継いで発見され結核の 治療は飛躍的進歩を遂げるに至った.而して菌 の薬剤耐性獲得を防止し,薬剤の抗菌力増強を

計り,以て治療効果を向上する目的でこれら抗 結核剤は単独使用より二者或は三者が併用され ている現況である.然るにOMを中心とした併 用効果に関しては,管内実験並びに動物実験共 断片的な2,3の報告があるに過ぎない.現在 当教室に於て早川等は管内実験を実施しつ上あ るが,私は動物実験によって前記各抗結核剤の 単独投与による治療効果をOMを中心とした使 用投与時の治療効果とを比較検討したのでここ に報告する.

1111611

実 験 方 法

薬剤は小林1)に準じ菌接種後15日目より1%Gelatin 加生理食塩水に溶解又は半懸濁液とし35日間毎日1回 海煩背部皮下に注射した.投与量は成人肺結核患者の 普通治療量を基準としその略々艶0〜↓40量である.

4)観察事項

体重測定,菌接種局所並びに所属淋巴腺の経過観察

(当教室の判定基準に拠る)2)を行い,剖検に際し肉 眼的に菌接種部位,脾,肺,肝及び各淋巴腺の病変度 を観察し,之等の一部をとり,小川1%培地にて臓器 内の菌定量培養を行い,又之等臓器の組織片を10%フ ォルマリン水で固定し,パラフィン包埋切片を作製し H・E重染色,鍍銀染色,ワンギーソン染色を行い組織 学的に検索した.

1)実験動物

体重450g〜600gでR6mer反応陰性の健康海煩70 匹を選んで実験に供した.

2)感染菌液の作製及び感染方法

人型結核菌H2‑株をKirchner培地に4週間培養 しその浮瀞菌膜より,10%Gelatin加生理食塩水をも って手振り法に依り1mg/mlの平等なる菌浮瀞液を 調製し,その1.0ml宛を前記海煩の左大腿内側皮下 に接種した.

3)投薬方法(第1表参照)

菌接種2週後「ツベルクリン」反応の陽転を確めた 後実験動物を2群に分ち1群には各種抗結核剤を単独 投与し他の1群にはOMと他の抗結核剤との併用投与 を行った.

(2)

38

第 1 表

動物群

実験群 試獣 接種菌量比 投与期間︵日︶ 実験期間︵日︶一日の投与量

薬 品 名 投 与 薬 物 総 量

O M 5−55−5−5 1.0mg 3,500mg

100mg |妬妬妬詣弱 56

abcd

P A S 1.Omg 200mg 7,000mg 56

単独投与群

S M 1.Omg 20mg 700mg 6655

T B I 1.Omg 10mg 350mg

I N A H 1.Omg 10mg 350mg 56

eFIα︶

Sulzol 40mg 56

56

5 1.0mg 1,400mg

非 治 療 5 1.0mg

'

|〃一げ一Jず一F|ぎ P A SO M 5 1.Omg 100200m g 3,5007,000m g 3355 56

10020m g O M

S M

3,500

m g 700

駈一閃一閃

1.Omg

O M

T B I

100 m g 10

3,500 m g

350

1.0mg 35

O M

I N A H

100 m g 10

3,500 m g 350

1.0mg

'一 100

m g 40 0 M

Sulzol

3,500

m g

1,400

55

1.0mg 3355 56

PAS

Sulzol

200 m g 40

7,000 m g 1,400

1.0mg 56

1.Omg 56

実 験 成 績

I体重の変遷(第1,2図参照)

各群共菌接種後2週迄(薬剤投与しない期間)

が体重の減少を示した.

II菌接種局所病変の推移(第3,

11菌接種局所病変の推移(第3,4図参照)

a)単独投与群:菌接種局所の治癒傾向(瘻 孔閉鎖,搬痕化等)は,SM投与群に於て最も 顕著で,以下INAH>0M>TBI>PAS>

Sulzol投与群の順となりSulzol投与群では非 治療群との間に殆んど差はなかった.

殆んど体重の増減は認められなかったが,4週 に於て著明な体重の減少を認め,5週に於て菌 接種時と近似の体重にまで恢復を示したが以後 漸次減少の傾向をたどり,剖検時に於ては,単 独併用投与群,非治療群の如何を問わず殆んど

(3)

−−−−−−−一−マーマー̲

結核化学療法の基礎的研究 39

第1図薬剤単独投与群の体重の変遷

(平均体重)

第2図薬剤併用投与群の体重の変遷

(平均体重)

600 600

器ミミ霊 ︑石

550扉 寿

菌 0

500

500

450 9 150

9 1体蕊

I体重 ︵八週︶剖検時震鰯時

五週 一 一 ノ、

四週

一 一

第3図薬剤単独投与時の菌接種局所の 平均病変度

第4図薬剤併用投与時の菌接種局所の 平均病変度

3.0 3.0

‐ = ー壺窯

2.0 2。、0

一一一寺洋一一一

Oハ1+1,AS O M + S M O M 十 T B I OM+INAH OM+Sulzoi PAS+Sulzぐ1 非 治 療

1.0 Phb

[、0

FO FO

fl1病変度

11病変度 穰穐時接穂時 ︵八週︶剖検時

四週

丘週

= 一

四週 五週 ︵八週︶剖検時

b)併用投与群:0M+INAHの併用投与群 ではその治癒傾向は最も明らかで,以下OM+

SM>OM+Sulzol>OM+PAS投与群の順と なり更にOM+TBI投与群は梢劣り,PAS+

(4)

40

PAS及びTBI投与群が之に次ぎSulzol投与 群では非治療群と大差はなかった.併用投与群 でも投薬後1〜2週間は局所淋巴腺は増大した が以後何れの場合でも縮少しその縮少度はOM

+SM>OM+INAH>OM+Sulzol>OM+

TBI=OM+PAS>PAS+Sulzol投与群の順で あった.尚,両投与群を比較すれば,併用投与 群に於て局所淋巴腺の縮少の傾向大であった.

Sulzol投与群に於ては非治療群との間に著し き差はなかった.

III局所淋巴腺の推移(第5,6図参照)

非治療群では週を追って局所淋巴腺の腫脹が 認められた.薬剤単独投与群では投薬後1〜2 週間は何れの場合でも局所淋巴腺は増大したが その後多くは縮少の傾向を示した.特にこの点 はINAH,SM及びOM投与群に於て著明で

第6図薬剤併用投与時の菌接種部所属 淋巴腺の平均病変度

第5図薬剤単独投与時の菌接種部所属 淋巴腺の平均病変度

3 0 3.0

… ロ ー ・ ・ 0 M + T B I

二発8艇』u淵M

−C−PAS+SuIzol

− 米 一 非 治 療

二 三 四 五 六 剖 ' 週 週 週 週 週 週 時 曾

〆君

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2.0

2 0 ﹄.回

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− ※ 息。

O M

I,AS S M T B l

lNAI1 SuIzoI 非.治蛎

一○・一寺一幸

1 0 1.0

l病変度 1病変度 垂接種時

︵八週︶剖検時

産週

一向﹂画面画

接穂時 四週

非治療群の順に効果を認めた.

肝 臓

肝臓にては脾,肺に於ける成績と略々一致し 併用投与群が単独投与群に比して著しく病変度 は軽微で,特にOM+SM及びOM+INAH 投与群に於て軽微であった.即ち,OM+SM

>OM+INAH>SM>OM+Sulzol>OM+

TBI>INAH=OM+PAS>OM>TBI>PAS +Sulzol>PAS>Sulzol投与群>非治療群の 順に効果を認めた.亦OM+Sulzol投与群と PAS+Sulzol投与群では脾,肺及び肝に於け る病変度は略々一様に前者に於て後者よりも可

成軽微であった.

1V剖検時肉眼的所見(第7図参照)

脾 臓

一般に単独投与群より併用投与群の方の病変 は軽度であった.即ちOM+SM>OM+INAH

>0M+Sulzol>SM=OM+PAS>TBI>

INAH=OM+TBI>0M=PAS+Sulzol>

PAS=Sulzol投与群の順に効果を認めた.

肺 臓

肺臓に於ては単独投与群より併用投与群の方 が著しく病変度軽微で,特に0M+INAH及び OM+SM投与群は最も軽微であった.即ち,0M +INAH>OM+SM>0M+Sulzol>SM=

0M+PAS及びOM+TBI>INAH=0M>

PAS+Sulzol>PAS=TBI>Sulzol投与群>

(5)

結核化学療法の基礎的研究 41

簸川病株の露器H臓菌各核図型7︐人第く

(非治療群の平均病変度を100%とす)

投 与 薬 物 1 日 量

0 M 100mg

b l 5 P A S 200mg

111 IIIIl

11

cI5 S M 20mg

d l 5 T B I 10mg

111

I l

c l 5 I N A H 10mg l f l 5 Sulzol 40mg

0 M

P A S

100mg 200mg a

5

0 M

S m O M

T B I

100mg

b'15 20mg

I

I I

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100mg l

10mg I

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I

Oハ I N A H

Thll■ⅡI■611ⅡII6f

dB■ⅡⅡIU11ⅡII0699

jl9j■00Ⅱ1IIllLII11I

100mg d'I5 10mg

1

0 M

SuIzol

100mg 40mg

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1

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P A S

SlIlzol

庁s向ら︑nllOOOd︲

15

9.厘''51非治療

I

I I I I I I l I j I l l I U

円形細胞浸潤では,肝臓に於て,OM+INAH 治療群が著明に少なかったが,他治療群に於て は非治療群より多い傾向にあった.肺臓及び脾 I臓に於ては有為の差は認められなかった.繊維 芽細胞増殖に於ては有為の差はなかったが,結 合識の増殖では,却って,非治療群に於ては,

治療群に比し,強く,病変は軽度であった.

SM及びINAHの単独,OM+SM及びOM+

INAH併用の両治療群に於ては,他治療群に比 し,軽度であった.乾酪性変化は脾臓に於ては 単独投与群ではSulzol,併用投与群ではOM+

PAS,OM+TBI,PAS+Sulzol治療群に於て軽 度に認められたのみであった.

結核結節内の毛細血管充盈は,単独投与群で は,INAH併用群ではOM+INAH治療群に 於ては他治療群より梢強い傾向が認められた.

I

V 病 理 組 織 学 的 所 見

組織学的には,肉眼的所見と略一致した所見 を呈し,治療群は,非治療群に比し,病変度は 軽 度 で あ り , 病 巣 の 治 癒 傾 向 も 大 で あ っ た 。 之 を治療群別,臓器別,及び病巣所見別に示した のが第8図である.

病変度:各臓器共,単独投与群ではSM及び INAH・併用投与群ではOM+SM及びOM+

INAH治療群が他治療群に比し病変は最も少く 脾に於ては,OM+SM併用投与群では病変は 全く認められなかった.

結核結節:類上皮細胞増殖は,単独投与群では SM及びINAH,併用投与群ではOM+SM,及び OM+INAH治療群は,他治療群に比し,軽度 であったが,同細胞変性ではOM単独治療群の 方が他治療群に比し,梢強い傾向を示した.小

(6)

︽画

第 8 図 組 織 的 所 見

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肺 胞 内 |

港 出 油

IIllIIllII−

f';PAS+Sulzol群

鵬蠅嚇0PS●●ロ●●●a︲︐c

d…TBI群 e…INAH群

非治療の群

・OM+PAS群

珊畔︾TIS十十十側Ⅲ側●旬●●げず

︒//輿︶a可︑

や餅瓢婦

病 変 度

徹 上 皮 細 肥

類 上 皮 細 胞 変 性

ラ 氏 巨 態 細 胞

' 1 、 円 形 細 胞

繊 維 芽

細 胞 結 合 繊

乾 酪 性

変 性 毛 細 血 管 充 盈

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(7)

結核化学療法の基礎的研究 43

肺胞内浸出液:有為の差は認められなかった治療群は非治療群に比し菌集落数紗く,特に が,単独投与群ではPAS及びSulzol,併用投与0M+INAH及びOM+SM投与群に於て著明 群では,PAS+Sulzol治療群が非治療群に次に少なかった.又臓器内抗酸菌の定量培養成績 で , 高 い 傾 向 を 示 し た . と 治 療 効 果 と の 間 に は 略 々 平 行 的 な 関 係 が 認 め

VI臓器内抗酸菌の定量培養成績(第2表参られた.

照)

第2表:臓器(0.19m)中の結核菌培養成績(培養5週間後)

〔註C:雑菌を示す〕

|合計臓 器 名

動物群

患 瀞 篝

1 4

︿ロ

3 1 1 2

000300︐533

1−1

1234512345 lIO3000

哩3000 00000 皿3030 型0000 80000 00000 鉈0000 00200

J J U

3 0 3 6 0 M

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4

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8

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12345

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2 3 4 5

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2 3 4 5

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1

2 3 4 5

2 6 2 5 1 3 3 C │ 1 3

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2 C 14C 76 22 13C

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は,単独に比し何れも効果的で,就中,OM+

SM投与群が最も優れ,OM+INAH投与群之 に比肩し,次でOM+Sulzol>OM+PAS>OM

+TBI>PAS+Sulzol投与群の順を示した.

(文献は次報に記載)

以上の実験成績を要約すれば治療群と非治療 群との病変比較に於て,前者に明らかに治療効 果を認め,各種抗結核剤を単独に投与した場合 の効果はSM,INAHが最優秀で,0M,TBI, PAS之に追随し,Sulzolに於てはその効果は 僅微であった.更にOMと諸種抗結核剤の併用

0 M INAH

12345 000CO O000C 00000 00OCC 00000 O000C COOOO COOOC O000C COOOO 00020 COO2C

0 M Sulzol

12345 O2C80 00弱0岨 O00C6 02

35C 8 C 48

OCO30 00030 01040 0川0蛆0 6妬0C妬 2C

4 C00 3別060

11 65C46 CC

16

P A S SulZOl

12345 82

10053 C2 10060 C3mOC

8 C 7 270

11 3 C

00300 COOOO. 00COO CO

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1印妬70 15路虹過C0 剛CⅢ

12 9

480 85C 186 32 9 C

9 非 治 療

12345 即C弱C側 劃C弱釦C CCC

120 100

74C C 108C 200C 250C

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9 非 治 療

12345 ンン000033

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C 120 150 80

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600>C 240C 198C 185C

03即岨31 1561

11師路C凪0 C週CⅢC

230C 73 175C 231C 66C

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C 72

94C 155C

参照

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