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ピレンオキシド付加体に対するプロピレ ンオキシドの付加反応

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Academic year: 2021

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(1)

各種アノレコールおよびアルコールのう.p ピレンオキシド付加体に対するプロピレ ンオキシドの付加反応

この場合[ROH・NaOH]は電子密度の低いメチレン結 合をより多く攻撃するので, 2級アルコール(I)の方

2)

が多く生成される。 Chitwoodらは,エタノールとPO のNaOH触媒による反応で1級アルコールと2級アル コールの生成比を81.4: 1 .9と報告している。 (これら については2.5赤外線吸収スペクトルの項で述べる)

3)

Weibullらは, アルコールとアルキレンオシシドの付 加反応生成物について分布式(Weibull分布式)を提出

4ノ

し,重松らは, i‑PrOH, nPrOH, sec‑BuOH, i‑BuOH n‑BuOHおよび,プロピレングリコールとジプロピレン グリコールについてPO付加反応生成物がWeibull分布 を示すことを確認している。 (Weibull分布式については 2.3精留結果と分布の項で述べる)しかしながらMeOH とEtOHの反応は行なっておらず, さらにそれらアルコ ール類のPO1モル付加体にPO付加反応を行う場合は Poisson分布をするという推定にとどまっている。そこ でMeOH, EtOH, i.‑PrOH,およびそれらアルコールの PO1モル付加体についてPOの付加反応を行ない,生 成物の分布を精留結果から検討した。またアルコール間 の相対反応速度を検討する目的で,MeOHとi‑PrOH, およびMePOHとi‑PrOHの混合アルコール基剤にPO 付加反応を行ない,その生成物の分布から相対反応速度 を検討した。以上の実験結果から多価アルコールのPO 付加生成物の様子を推定した。

2. 実験結果 2 . 1 試料

MeOH, EtOH, i‑PrOHは市販品を常法により脱水し て精留した。POは市販品を粒状NaOHで乾燥し蒸留し た。b.p.=34℃・各アルコールのPO1モル付加体は下 記の実験1〜3で合成し精留したものをそのまま使用し た。NaOHは試薬特級を使用した。

2 . 2付加体の合成

500c心四つ口フラスコに, 攪枠機還流冷却器と温 度計,先端が底まで達するようにした滴下漏斗,および 1.

アルコール類に対するプロピレンオキシド(以下PO と略す)の付加反応生成物は界面活性剤として重要であ ると共に, ポリウレタンフォームの原料としてますます 工業的価値を増している。特に硬質ウレタンフォームの 開発によって基剤アルコールもプロピレングリコールや グリセリンにとどまらず, ソルビトールや蕪糖のような 多価アルコールも盛んに用いられている。しかしながら これら多価アルコールのPO付加体については,その構 造があまり明確にされていない。そこで多価アルコール の反応に関する基礎実験として,低級1価アルコールの 反応を検討した。

アルコールとPOの付加反応は次のように進行する。

片,

ROH+CH3‑CH‑CH2−→RPOH (1)

、/

O 々2

RPOH+CH3‑CH‑CH2‑R(PO)2H (2)

、/

0

たP

R(PO)p̲,H+CH3‑Cg‑QJI,‑→R(PO)pH (3)、/

O

RPOH=ROPOH(PO1モル付加体)

R(PO)2H=ROPOPOH(PO2モル付加体)

この反応のアルカリ触媒における反応機構は次のように

1)

考えられている。

Ki

ROH+NaOH=[ROH・NaOH] (4)

片i

[ROH・NaOH]+CH3‑CH‑CH2‑シ

、/

O

RO‑CH2‑CH‑CH3 +RO‑CH‑CH2‑OH

OH CH3

(I) (I)

(2)

サンプリングし,未反応POを測定して反応の終点を決 める。反応温度はPOの還流が止んだら次第に上げて80

℃にする。反応終了後触媒を硫酸で中和する。各反応の 反応条件および反応生成物の性質を表1 , 2に示す。

途中サンプリングのためコックのついたガラス管を取り 付ける。反応物質の合計が300〜350〃になる量のアルコ ールとNaOHを加えて加熱溶解する。反応温度を60℃に 保ちながら, POの還流の様子をゑてPOを滴下漏斗か ら加える。予定量のPOを加えてから1〜2時間ごとに

表1 反応条件

触媒;NaOH 1.0wt%対(アルコール+PO) 反応温度; 60℃ (終点では80℃)

:雛 │加曇時闇垂幟

実験Mアルコール 滴下時間 1実験M

l

I

3:50

4:20 9:30 7:30 8:00 7:00 2:40

2:50 6:30 6:30 7:00 6:00 0.50

0.50 0.50 0.50

0.50 0.62

1:10

1:30 3:00 1:00 1:00 1:00 MeOH

EtOH i‑PrOH MePOH

EtPOH i‑PrPOH

MeOH i‑PrOH i‑PrOH MePOH

123456

lliIIIllf

7

8

1:00 4220

1.00 3:20

│ー

8:20 10:10 1.00 1:50

8はアルコール各1モルにPO1モル付加

*実験7

表2 アルコールおよびPO付加体の性質

一斗= 篝"陶ゞ℃篝"息│文鶚瀧薑ゞ

I

化合物 │分子量

一一1話"房−7㈹MeOH ‑$ ,㈹ 織欝I

1.4017 1.4000

MePOH** 90.12 118〜119 760 118〜120 760 1 l l l

1.4040 1.4010

‑‑| 1.4180

76〜77 5.0

Me(PO)2H I 148.20 86〜87 20 1

1.4190

Me(PO)3H 206.28 1 │ 107〜112 7.O I‑│ 1.4260

mgigl実℃験 mmHgl値 |文献値│実験値

78〜79 760 1.3610

1.3578 1 1.3597

I

78.4

130へ EtOH 46.07 760

1.4035 1 1.4038 130〜131 760

47〜48 29

1.4058 1 1.4075 104.16 1 130〜131 760

EtPOH**

│ !622' i $ ,, −|Ⅲ

Et(PO)2H

98〜106 4.0 1.4255

' '2.'' 1

Et(PO)3H

(3)

1.3742 1 1.3770 60. 10 82.4 760 82〜83 760

3750 1 3780

11

i-PrOH

137〜138 760 136〜137 760 118.18

59〜62 43 50〜51 27

1.4 5 1 1.4050 1.4070

1 1.4079 i‑PrPOH**

i‑Pr(PO)2H I 176.26 167.5〜69.5 3.0 1 85〜86 4.0 1 1.4197 1 1.4178

l.4257 1 1.4310

│ ‑…)〃 4% ⑱5 1.8 3。Ⅲ !〃 。

* ngl.3276, nfj !.3312

** ,級アルコール異性体は次の沸点である。

CH3

CH30‑CH‑CH2‑OH b.p' 130.0〜130.2℃/758mmHg

CH3

C2H50‑CH‑CH2‑OH b.p、 137.5〜138.0℃/760mmHg CH3

i‑C3H70‑CH‑CH2‑OH b.p. 143〜144℃/760mmHg

"p : 出発物質にPモルのアルキレンオキシドが付加 した物質にアルキレンオキシドの付加する速度 定数

Ki ,Kp :"i , hpに対応するアルコールと触媒から なる錯化合物生成の平衡定数

ただしC,以外のCpはすべて等しい;

た2=た3=……="p, と仮定する。

実験1〜3の精留結果について(5)式に〃=0.5とそれぞ れのn,を代入してC'を計算する。ついでn0と、,を(6)式に 代入してC"を求める。 (noo=1とす)

C/とC"の平均をCとし, これを(5)式と(6)式に代入して,

n0, ,,, ,,……を求め,計算値とする。各留分の精留結 果と計算値を表3に示す。

いずれの場合もPO1モル付加体の中に2モル付加体 が含まれていないことを, ガスクロマトグラフィーで確 認した。ガスクロマトグラフィーの測定条件は次の通り である。

ム ;PEG6000, 2.8m, 120℃

キヤリヤー ;H2, 70cc/min

置;島津製作所製GC−2B型 2 . 3精留結果と分布

反応生成物の中から2003を取り出し,充填式精留塔 で精留し,計算値と比較する。

2 . 3 . 1 アルコールを基剤とする反応(実験1〜

3)

Weibullらはアルコールとアルキレンオキシドの付加3ノ

反応について次の式を導いた。

,=c,n¥‑(c̲!) (!̲̲::5) (5)no

{:烏‑(鵲)、副

ni =一一一一・一一一一一一一Ci‑1

} "

[(C‑!) ,n¥]'

no。 : 出発物質のモル数

ni : iモルのアルキレンオキシドが付加した分子の モル数

アルキレンオキシド平均付加モル数

C :分布定数cp=:FL・Ef‑Ki

hi : 出発物質にアルキレンオキシドの付加する速度 定数

(4)

表3付加モル数分布(I)

出発物質1モル, POO.5モル,触媒NaOH1.0wt%対全量

恥 ㈱発物質 . , . , 」 エ" | α , 。" ! 。

0,974

1 , 0,424 1

0,286 1

−−−−−−−̲̲‐

3.00 1

I

実0,552 計0,547

0,404 0,3%

0,018 0,034

0,529 0,319 MeOH

1

,.

W

1 0,998 1

実0,530

1

計0,544

0,389 0,408

0,415 0,034 0,039

0,182 EtOH

2

実0,715

計0,6991

0,181 0, 179

0,064 0,083

0,022 0,028

0,982

0,989

3.33 2.67

i‑PrOH 3

2 . 3 . 2 アルコールPO1モル付加体を基剤とす る反応(実験4〜6)

アルコールにアルキレンオキシドの付加反応で, 2モ ル以上の付加生成物は, ル2=片3=……=たpと仮定すると

5)

Poisson分布になる。

‑m i

e nl

ni= (7)

i 1

表4 付加モル数分布 (I)

瀞│撒冨│剛袈

。. | ・ I 。

実O,5891 0,322 ,計0,605, 0,306

Zni

O,979 0,987 0,952 0,987 0,068 0,076 MePOH 0.50

4

実0,%'' 0伽Ⅲ!

│計0,60510,3060,076

, 皿 EtPOH 0.50

1=0, 1 , 2, 3.…..

m=平均付加モル数

出発物質をPO1モル付加体RPOHとし, この1モル にPO付加を行なうと

m=PO付加モル数 no=未反応RPOHモル数 n,=R(PO)2Hモル数 n2=R(PO)30モル数 である。

(7)式にmを代入して、 , n n2……を計算する。精留結

果と計算値を表4に示す。

│実0,5211 0,3471 0,108, 0,976

1計。伽, 0剛 0,1031 。",

i‑PrPOH 0.62 6

2 . 3 . 3 混合基剤による反応(実験7, 8)

MeOHとi‑PrOH混合基剤のPO付加反応生成物は,

それぞれのWeibull分布を示すが,MeOHの反応がi‑Pr‑

OHに比較して非常に速い。 (相対速度については後述 する)

i‑PrOHとMePOHの混合基剤による反応はそれぞれ Weibull分布とPoisson分布になるが,この場合はMePOH がi‑PrOHより反応が速い。精留結果は表5に示す。

粗蒸留物(クライゼンフラスコを使用して浴温200℃

5mmHgで蒸留)のガスクロマトグラフィーによる分析 でもほぼ類似の結果を得ている。

表5混合基剤による反応生成物精留結果

瀞│星庵顔蟇│欝化、〃

。C/mmHg 全量2003の分留結果 反応物質モル数対

mol O、413

1,300 0.928 0.080 9 13.2 78.2 83.7 9.4 12.4 MeOH

i‑PrOH MePOH i‑PrPOH

60〜64

80〜86 118〜122

48〜52/28

0,294 0,931 0,664 0,057

1234残

MeOH i-PrOH PO

111

7

(5)

「ママ ざ‐ .ーー 一一 ‐‑−一 .一一 ざ.−一一一i‐−−−−マー I・ −−−−−− −− 一 ‐

−−−−−,ミ テーア曾ー:テテーー汽章玄

80 85 ←」"41,80,恥

118 123'、』 48.8 0)う38 1

l33〜137号 . 』 15d60,132 1i

. … | ・ : : 88/20 1 52.50,3"iゞi

85〜88/20 i 52.5 0,354 1

・・ ・ 宇 I 10Z〜112/f7 1 16.2:」0,079 1

凸U17I4lIIlll←1971卜r01fI7I6IlIlトレ111

i‑PrOH MePOH i‑PrPOH Me(PO)2H Me(PO)3H

0,768

12︾345残

, i-PrOH

|MePOH

|Po

111

0,502

庁ロ

111IlIl1lIII9rL■UL■IIIL9Il ■■ⅡIIⅡV41も①0910■■■︐blワ0008i1l91i8UlⅡ710◆凸日日■Ⅱ680101■I1IiI■9

0. 122

11

8

0.327

r

0,073

13.4

--’

i‑PrOHはMt()H, EtOHに比べて非常に大きく, 1級水 酸基と2級水酸基との差がはっきり現われている。

実験4〜6のRPOH‑PO付加反応はPoisson分布を示 しており,特にi‑PrPOHにおいて計算値とよく一致して いる(表4)。この理由は次のように考えられる。すな わちi‑PrPOHは2級アルコールのエーテルで, i‑PrPOH とi‑Pr(PO)2Hの構造が水酸基の方から見てよく類似し ている。したがってル2=ん3=……=たpとなりPoisson分 布する。一方MePOHやEtPOHにおいては1級アルコー

ルのエーテルなのでRPOHとR(PO)2Hは水酸基側からふ た構造がかなり異なる。したがってた2>〃3=ル4=…=たPと なり多少Weibull分布的要素を帯びて来る。

実験7はi‑PrOHとMeOHの相対反応速度を検討する 目的で行ったもので,生成物はそれぞれWeibull分布を 示すことになる(表5) 。反応したアルコールのモル比 は次のようになる。

1‑MePOH

− 1二0泌=鵲:÷102,

1−i‑PrPOH 1‑0,931

これを両アルコールの速度比と考えても,ほぼ妥当なの

I

2 . 4 赤外線吸収スペクトル

アルコールPO付加体は2級アルコールのほかに1級ア ルコールの異性体を生じる。 1級アルコールの存在を蒸 留やガスクロマートグラフォーでは確認できないので,赤 外線吸収スペクトルにより,水酸基の吸収を1200c" '

1000c" '領域で調べた。結果は図1〜3に示す。Pは1 級, Sは2級水酸基を示し, Eはエーテル結合を示す。

j

いずれの場合も1級水酸基の存在が認められるが,

MePOHにおいては1級水酸基の吸収が非常に少ない。

これはMeOHは酸性度が高く,異性体ができにくいこと

4)

から理解できる。

60

伽釦即

︵讃︶憾唄損

虎i‑PrOH: "MeOH÷1 : 10

となる。この差は非常に大きいが, i‑PrOHは2級アル

5ノ6)

コールで酸性度も低いことから当然の結果といえる。

実験8は同じ2級アルコールでもi‑PrOHとMePOHで は多少構造が異なるので, この間の相対速度を検討し た。この場合i‑PrOHからの生成物はWeibull分布し,

MePOHからの生成物はPoisson分布をするが,MePOH の反応の方がかなり速い。反応アルコールの比は次のよ うになる。

1‑MePOH

I三:鶉‐:鍔÷2.15

l−i‑PrOH

これをほぼ速度比と考えると

んi‑PrOH: MePOH÷1 : 2

となる。このように速度比が2倍にもなるのは, メチル 基の−1効果によるものと考えられる。

メチル基の影響がこのように大きいことから推定し l加 IIOO IOM I200 1100 1000 1"0 1100

(cwz ')

図1MePOH 図2EtPOH 図3 i‑PrPOH 装置;島津赤外分光光度計IR型

セル;NaCl液膜法 3.

実験l〜3のアルコールーPO付加実験のモル数分布 は計算値とよく一致しており, 明らかにWeibull分布に 従っている(表3)。各分布定数を比較すると

EtOH<MeOH<1<i‑PrOH

である。EtOHがMeOHより小さい点は疑問である。

IOOO

(6)

事実著者はグリセリンにPOを3モル付加し生成物を HIO4で酸化したところ, α−グリコールの存在を認めな かった((Ⅳ)はない)。以上いずれも1価アルコール の実験で,多価アルコールについては推定したのみなの で,今後は多価アルコールについて実験し,生成物の構 造と分布を検討したい。

1) 石井,関口,工化, 62, 1051 (1959)

2) H、C・Chitwood,B.J.Freure,J.Am.Chem.Soc. , 68, 680(1946)

3) B・Weibull,B・Nycanaer,Acte.Chem.Scand., 8, 847(1957)

4) 重松,鈴木,石井,工化, 64, 1583(1%1)

5) P.J.Plory, J.Am.Chem・ Soc.,62,1561

(1940)

6) 重松,西川,石井,工化, 65, 945(1962)

て, PO1モル付加体はメチル基を1個有するので,電 子放出性の基を持たない2級アルコールより反応が遅い ものと考えられる。したがって多価アルコールのPO付 加反応では,特定の水酸基にのゑPOが付加するのでは なしに,ほぼ一様にPO付加が起こるものと考えられ る。たとえばグリセリンにPO付加反応を行った場合

(Ⅲ)のように付加し, (Ⅳ)や(V)の付加体はあま り得られない。

CH3 CH2‑O‑CH2‑CH‑OH

CH3 CH‑O‑CHr−CH‑OH (Ⅲ)

CH。

CH2‑O−CH2‑CH‑OH

CH3

CHm̲。̲(CH琢一CII̲。),H

CH‑OH I CH2‑OH

(Ⅳ)

CH3

CH,‑O‑(CH副一JH‑O)mH

CH‑OH

CH3 CH2−O‑CH2‑CH‑OH

(V)

参照

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