奈良教育大学学術リポジトリNEAR
幼児の線画刺激に対する連想反応
著者 藤田 正, 安井 靖子
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 21
ページ 93‑104
発行年 1985‑03‑23
その他のタイトル Associative Responses to Linedrawing Stimili in Kindergarten Children
URL http://hdl.handle.net/10105/6574
幼児の線画刺激に対する連想反応.
藤 田 正
(心理学教室)
安 井 靖 子
(豊中市)
記憶の体制化の研究では、多くの場合幾つかの概念カテゴリーに属する項目から構成されたリ ストが用いられてきた。この種のリストを用いて記憶させた場合、同じ概念カテゴリーの項目が 連続しないように提示されるにもかかわらず、再生の際には同じ概念カテゴリーに属する項目が 連続して再生される。この現象はカテゴリー群化とよばれ、記銘や再生の際に上位概念が利用さ れるので、発達的な観点からの研究も数多くなされている(Jab1㎝ski,1974;M㏄ly,1976)。
この種の実験で用いられるカテゴリーや項目を選択する際には、カテゴリー規準表が利用され ている。それらの規準表は、いずれも概念カテゴリー名に対して連想された項目に基づいて作成
されている。わが国では、大学生用として小州(1972)がBattig and M㎜tague(1969)を参考 にして52カテゴリーについて基準表を作成している。児童用としては、北尾と菊野(1975)が小 学1年、3年、5年を対象にして16カテゴリーについて、また、幼児用としては、杉村と市川
(1975)が3歳、4歳、5歳児を対象に北尾と菊野(1975)と同じカテゴリーについて基準表を 作成している。
実験に際しては、基準表の中から実験の日的に応じて実験者が任意に概念カテゴリーと項目を 選択する。幼児の場合は、特に項目を絵にして用いることが多い。その場合問題となるのは、用 いる刺激材料が線画刺激、あるいは彩色面刺激のいずれであるにせよ、実験者ごとに任意に描か れ、その表現の仕方(線の太さ、強弱、精密さなど)においても一貫していない。この点につい ては、幼児の場合の記憶材料として、特に方法論的にも考慮すべき点であワ、絵刺激がある程度 統制されていることが望まれる。
絵刺激そのものについての標準化は、わが国でも幾つかの研究で行われている。西本と安田
(1982)は、大学生を対象にSmdgrass and vander㎜rt(1980)の使用した260個の線画に対 する①概念名、②命名一致度、③イメージー…数度、④親和度、⑤複雑さについて標準化を行って いる。小林(1979)は、小学3,4,5,6年生を対象に156個の身近な事物の線画に対する① 無連想価、②最多反応語とその頻度、③次多反応語とその頻度について標準化を行っている。ま た、中川(1981)は、幼稚園児を対象に374個の線画に対して①熟知度、②有意味度、③具体性 について標準化を行っている。
幼児用の絵刺激の基準表は、中川(1981)が唯一のもので利用価値も大きいと思われるが、カ
^ Ass oc ia庄ive Respon ses to L i nedr awi og S H mi1i i n Kinderga−I6eIl Chi idre口
榊 Tadash i Fui i ta (Depar6mem6 of Psycho■ogy,Nam Universi6y of Edmca6ion,Nam)
Himko Yasui(Toyonaka ci ty,0saka)
テゴリー群化などの体制化過程を扱う研究では.、上位概念と下位項目の関係についての情報や、
同じカテゴリー内での項目同士の連想関係についての情報も必要である。上位概念からの下位項 目の連想については杉村と市川(1975)によリ明らかにされているが、下位項目から上位概念が どの程度連想されるかといった情報、さらには項目間の連想関係についての情報に関しては、我 々の知る隈リ検討はなされていないように思われる。
本研究では、①線画刺激に対する命名の程度、②線画刺激から上位概念カテゴリー名が連想さ れる程度、③同カテゴリー内の他項日連想の内容などを調べることにより、幼児を対象とした記 憶実験で用いる線画刺激を検討すること、さらには連想反応の結果に基づいて幼児の概念構造の 特徴についても併わせて分析することを圓的とした。
方 法
被験者 被験者は幼稚園児160名で、平均年齢は5歳9か月(範囲5歳3か月から6歳3か 月)であった。なお、これらの被験者は1刺激につき40名ずつ割りあてられた。
刺激材料 図1に示されるような}動物、花、楽器、虫、野菜、乗物、果物^の7カテゴリ ーの中から、1カテゴリーにつき8項目ずつ、計56項目が選ばれ、線画で描かれたものを刺激材 料として用いた。なお、カテゴリーと項目の選定に際しては、最近の記憶研究で比較的によく用 いられている項目であること、杉村と市川(1975)の規準表で比較的高頻度の項目であることな
どを考慮した。
刺激は、白色一カード(8㎝×6㎝)に黒のフェルトペンで線画に描かれ、白いボール紙(8cm
×6㎝)の台紙に貼付された。なお、描画に際しては幼児用の図鑑や絵本を参考にし、さらに次 のような点に留意した。(1)絵は静止状態を表わしたものとし、余分な描写を避けて状況的な手掛 リをできるだけ排除することに努めた。(2)絵の向きは、わかりやすい向きを考慮して左右、正面、
右下がり、左下がリ等の方向ができる限リ等しい割合になるようにした。(3〕できる隈リ絵は客観 的なものになるように努め、象徴的過ぎたり、詳細になリ過ぎないようにした。(4〕自然な線を活 かして、ある程度の立体感や質感をもた世、なるべく無理の少ない絵になるようにした。なお、
本実験に入る前に、予め幼稚園年長児20名にすべての線画刺激を見せ、わかりにくいと判断され た絵については適宜修正を加えた。
56個の線画刺激は、実験の実施のために4つのリストに分けられた。1リストは7つのカテゴ リーから各々2項目ずつの計丑4国と、さらに練習用刺激として}スズメとキンギョ の線画刺激 を加えた計16個の刺激から構成されていた。また、リスト内では同じカテゴリーの項目が連続し ないように配列されたものが、各リストにつき2種類用意された。
手続き 実験は被験者の所属する幼稚園の静かな部屋で個別に実施された。被験者が所定の 位置につき、名前、クラス名などを尋ねたあと、}これから絵を使った遊びをしますから、しっ かワお話して下さい。 との教示を与え、実験を開始した。
最初に練習用の線画刺激を用いて課題の内容を十分に理解させた。その際、無反応や謀反応が
脅
輪
中
楽
薬
私
。
缶 ρ
未轡
○知〆軸◎
む帝
柄
鰹 跨
筆
弗
馳
\
鶴ノ凄駿
撤グ
味簗
⑰
欝
図1、本研究で用いた線画刺激
あった場合には、例をあげて正しい答を教えるなどの措置を行った。練習課題に続いて、本課題 を行った。実験は各刺激に対して次の3段階の質問で構成されている。
質問1 項目の命名一線画ヵ一ドを提示し、日これは何の絵ですか。 と尋ねる。被験者が 正しく答えた場合には、}そうですね。 と言って質問2に移った。無反応の場合は、 これは
(項目名)ですね。凹と言って正しい名称を教えた。また、謀反応の場合にほ、oいいえ、ちが います。これは、(項目名)ですよ。凹と言って正しい名称を教えた。
質問2 概念名連想一頁間1に続いて、 でほ、(項目名)は何の仲間ですか。凹と尋ねた。
正しく答えた場合には、電そうですね。■と言って質問3に移った。無反応の場合には、}豊夏 目名)は(概念名)の仲間ですね。凹と言って正しい概念名を教えた。謀反応の場合にほ、被験 者の課題遂行への動機づけを配慮して、練習課題のようには訂正せずに質問3に移った。
質問3 他項目連想一 てば、(項目名)には、間他にどんなお友達がいますか。凹と尋ね、被験 者が1個しか答えられなかった場合には、oもっとあリませんか。凹などと反応を促した。無反応
の場合にも、謀反応の場合にも、例をあげたワ、訂正したリすることはなかった。
被験者の反応は、すべて反応順に記録された。被験者には適時、言語的賞賛や激励の言葉を与 え、できるだ肘多くの反応が出るように促した。各質間に対する反応には時間の制限は設けず、
被験者ぺ一スで行われた。実験は、被験者の反応が途切れ、出てこなくなるまで続けられた。
結果と考察
結果の整理にあたり、次のような基準を決めて集計した。(1〕概念名連想反応については、大人 が一般的にその項目に対して命名する概念名を基準とした。(2〕意味から考えて同一のものを指す 場合は同じとみなした(例「クルマ」と「ジドウシ午」、 「シンカソセソ」と「ヒカリゴウ」と
「チョウトッキュウ」)。{3〕同じ反応語でも、反応語に形容詞がついているものと、ついていない ものとでは、両者は別のものとみなした(例rダイコ」とr大きなダイコ」)。ω概念名を尋ねら れて項目名を答えた場合、その反応語はその刺激に対する第1連想項目とみなした。(5)反応語が 名詞でない時でもすべて記入した(例「鼻が長くて、しっぽがついている。」)。
妻1.カテゴリーごとの概念名連想と項目命名の反応内容
概念名連想 項 日 命名
カテゴリー カテゴリー
正反応 謀反応 無反応 正反応 謀反応 無反応
花 56.3 23.4 20.3 乗物 95.3 3,1 1,6
果物 41.6 39.0 lq4 果物 94.3 1.9 3.8 動物 3&8 43−7 22.5 動物 93.7 2.5 3.8
虫 31.2 41.9 26.9 虫 90.6 5,6 3.8
野菜 23.1 49−4 27.5 楽器 69−4 5.3 25,3 楽器 1a1 39.4 41.5 野菜 68−7 144 16.9 乗物 9−4 73,7 16.9 花 52.5 24−7 22.8
(数値はいずれも百分率㈱を表わす一
表2. 個々の項目の概念名連想と項目命名の反応内容
概念名連想率 項.目命名率 概念名連想率 項目命名率
項 目 項 目
正反応 謀反応 無反応 正反応 謀反応 無反応 正反応 謀反応 無反応 正反応 謀反応 無反応
タ ソポポ 65.O 125 225 625 50 325 ハ クサf 37.5 一5I1 17.5 lO.O 525 375
ヒ マ ワ リ 625 20.O 17,5 70.O 1on 20場 キャベツ 35.0 325 325 目5.O 5.O lO,O
ユ リ 600 17−5 225 27.5 475 25.O タ マネギ 30.O 425 27.5 750 5.O 20n パ ラ 57.5 37.5 50 625 25.O 125 キ ュ ウ リ 225 40ω 375 80皿 25 17.5
花 野菜
キ ク 555 225 225 125 45.O 425 ニ ソジ ソ 20場 65.O 15り 87.5 5.0 75
チューリヲプ 525 300 175 975 25 00 ダイ コ ソ 17.5 60把 225 65り I50 200
アサガオ 500 225 275 75場 125 125 ナ ス ピ 15』〕 575 275 850 0j〕 15血
スイ セン 47.5 250 27.5 I25 50.O 37.5 サツマイモ 7.5 525 40.O 625 275 lO.O
リ ソ ゴ 47.5 40n 125 100.O o.o 0.O トライアングル 47.5 35n 1?.5 27.5 17,5 55皿
パイナップル 450 4o.o 15り 725 7,5 20』〕 タンバリン 37.5 35.0 27.5 67,5 25 30.O
ス イ カ 45.O 40.0 150 1000 ○仙 ○血 カスタネ。ソト 225 27.5 50.0 525 25 45.O
イ チ ゴ 425 47.5 10.O 95.O o.o 5.O ラ ッ パ 225 425 350 950 25 25
果物 楽器
ブ ド ウ 400 30.O 30』〕 975 ○り 25 ス ズ lO.0 425 一7.5 625 5.O 325
モ . モ 40.O 325 27.5 975 O.0 25 タ イ コ 5.O 500 45.O 975 O.O 25
バ ナ ーナ 40.O 400=200一@ 1 97.5 25 ○り ヒ ア ノ 5.O 55ハ 4『皿 90.O 10』〕 O」〕
ミ カ ソ 325 425!25把 95.O 5山 〇一〇 フ ェ 2.5 27.5 40.o 625 2,5 35.O
キ リ ソ 57.5 250 17,5 1OO.O 0.O o.o パ ス 175 77.5 5.O 97,5 25 O.O
ゾ ウ 45.O 45.O lO」〕 lOO.O 0.O O.O キ シ ャ 125 750 125 950 50 O.O
ラ イ オ ソ 425 45j〕 125 925 25 5.O ト ラ ッ ク 10.O 825 7.5 85.O 125 25
ウ サ ギ 325 35.0 325 lOO.O O」〕 O.O A ンシヤ一 lO.O 67.5 225 lOO幻 O.0 0.O
嚇 サ ル 325 27.5 40.O 925 5把 25 乗物 ヒ コ ウキ 7.5 75.o 175 97.5 25 O.O
ネ コ 225 60.O 17.5 97.5 00 25 ジドウシキ 7.5 75幻 17.5 95.O oo 5.O
ト ラ 200 57.5 225 72月 lO皿 17.5 ジテソシキ 5把 67.5 27,5 一950 2.5 25
イ ヌ 17.5 550 27.5 950 25 25 フ ネ 5.O 700 25D 975 00 25
テントウムシ 47.5 35血 175 95.O 25 25 (各反応の数値は、いずれも百分率㈱で表わす〕
ト ソ ポ 375 50.O 125 97.5 2.5 OO ハ チ 325 42j 25.0 725 200 7.5 カブトムシ 30血 425 27,5 loo皿 O.O ○り 虫
パ ツ タ 30.O 425 27.5 77.5 10.O 125 チョウチョ 27.5 45.O 27.5 1OO.O oo O.O 1
Z ミ 275 450 275 90,O 50 50
ア リ 17.5 325 500 95ゆ 25 25
妻3 他項目連想反応の総反応数
花 F反応 丁反応 果物 F反応 丁反応
タンポポ アサガオ1o ユ リ 9 ミカン 15 ブドウ 6
チューリップ9 アサガオ 7 モ モ リンゴ 16
ユ リ 9 バナナ 12
ヒマワリ チューリップ18 キ ク 9 ハ ナ ナ リンゴ 12 パイナップル15
キ ク 11 パ ラ 9 ミカン 12 リンゴ15
ユ リ チューリップ13 タンポポ 9 ミ カ ソ リンゴ 17 パイナップル20
タンポポ 9 スイカ 9 ミカン16
アサガオ 9 動物 F反応 丁反応
■
m、 フ チューリップ21 チューリップ15 キ リ ソ ゾ ウ I9 ゾ ウ 9
アサガオ1I キ ク 9 サ ル 14 イ ヌ 5 キ ク チニーリップ15 ヒマワリ 11 ゾ ウ ライオン 13 キリン 19
ヒマワリ 9 チューリップ6 サ ル 12 サ ル 18 バ ラ 9 ライオン ト ラ 22 ト ラ 29
チューリップ バ ラ15 バ ラ21 ゾ ウ 9 サ ル 14
アジサイ 8 スイセン18 ウ サ ギ ゾ ウ 9 イ ヌ 5
ヒマワリ 18 ネ コ 8
アサガオ チューリップ9 バ ラ11 サ ル ゾ ウ 18 キリン 14
タンポポ 7 タンポポ1O ライオン 14 ゾ ウ 12 パ ラ 7 ネ コ イ ヌ 28 イ ヌ 21
スイセン チューリップ18 黒ネコ g ウサギ 8
パ ラ 8 ト ラ ライオン 29 ライオン 20
アサガオ 8 チーター 12
果物 F反応 丁反応 イ ヌ ネ コ 21 ネ コ 28
リ ソ ゴ バナナ 15 ブドウ 23 ゾ ウ 6 ウサギ 7
ミカン 14 パイナップル19 虫 F反応 丁反応
パイナップル ミカン 20 イチゴ 14 テントウムシ カブトムシ10 チョウチ目 7
リンゴ 19 バッタ 7
ス イ カ リンゴ 18 ミカノ 9 ト ソ ボ セ ミ 13 セ ミ 10
ミカ:/ 15 チョウチョ12 ハ チ 7
イ チ ゴ パイナップル14 ハ チ トンボ 7 ア リ 4
リンゴ 13 チョウチョ 7
バナナ 13 ■Jブトムシ クワガタ 12 テントウムシ10 プ ド ウ リンゴ 18 ●バナナ ロ カマキリ 5 チョウチョ 8
虫 F反応 丁反応 楽器 F反応 丁反応
セ ミ 8 タンバリン ダイコ 14 ス ズ 9
パ ツ タ カマキリ 12 セ ミ 8 ス ズ 8 カスタネット8
カブトムシ 7 ア リ 7 トライアングル8
テントウムシ7 フ ェ ダイコ 6 ラツバ 7
チョウチョ カブトムシ 8 セ ミ 13 フ ェ 4 フ ェ 5 テントウムシ7 ハ チ 7 トライアンク)レ ダイコ 16 タンバリン 7
セ ミ チョウチ目13 トンボ 13 ス ズ 12 カスタネット5
トンボ 10 カスタネット ダイコ 12 ス ズ 6
ア リ バッタ 7 ア リ 4 タソパリソ 8
白アリ 7 ○ヒ ア ノ オルガン 14 ピアノ 5
野菜 F反応 丁反応 ピアノ 5
ハクサイ キャベツ 13 一
t ツ ノ、 フ ェ l1
キュウリ l1 ダイコ 7
キャベツ ニソジソ ユ4 ハクサイ 13 乗物 F反応 丁反応
レタス 8 ニソジソ 12 バ ス ジドウシャ24 ジドウシヤ13 キュウリ キャベツ 9 ナスヒ 17 デソシャ 10 トラック 9
ニソジソ 8 ハクサイ 11 トラック 10
タマネギ ニソジソ 12 キャベツ 7 キ シ ャ デソシヤ I9 デソシヤ 8
キャベツ 9 サツマイモ 4 シンカンセソ15
ダイコン ニソジソ 22 ニソジソ l1 トラック ジドウシャ40 ジドウシャ40
キュウリ 1O バ ス 9 パ ス 1O
ナ ス ビ キュウリ 17 キュウリ 7 Aソシヤ一, シンカソセソ24 キシャ 19
ニソジソ 12 トッキュウ 9 パ ス 10 サツマイモ ジャガイモ11 ヒコウキ ヘリコプター15
キャベツ 4 ジェットキ 7
ニソジソ キャベツ 12 ダイコン 22 ヒコウキ 7
ダイコン l1 キャベツ 14 ジドウシヤ トラック 15 トラック 40
楽器 F反応 丁反応 ■バ ス 13 ハ ス 24
タ イ コ 大ダイコ l1 トライアゾカレ16 Vアソシヤ 一 サソリソシャ15 中ダイコ g タンバリン14 ジドウシヤ14 ス ズ タソパリソ 9 トライア=!力レ12 フ ネ ボート 21
ダイコ 6 タンバリン8 ヨッ ト 11
カスタネット6
( 花 ) (野 菜)
11
スイセン サツマイモー一一一÷ジャガイモ
ーラ
Iζユ1しキ!ビ
ユリ @キク ・1/イ\1サ〈
タマネギ トマト タンポポ
(果物) (楽器)
ミ カ ソ ピアノ■■■urナルカソ
ー/ ̲71/12!/1 1ツー」」フー
リ ソ ゴ
川ナツノけ\一1ギ!ラ/舳{一ズ
↑
タイ コ ハ ナ ナ
8イチゴ 、\
タソパリソ
(動物) (乗 物)
ト ラ ライオノ ヒコウキ____L→ヘリコプタ_
1ア
キシヤ」Lシデソシヤ」㌦ソカソセソ
イ ヌ 不 コ 騰
ゴリラ 13
9 !邊 ジテソソヤ 一一■.■一一一⇒バイク
キリンーゾウ←rサル
8 , 16
フ 不 ボート ウサギ
パス⊥ジドウシャξ1ラック 9
( 虫 )
カマキリ (図中の数字は第1連想反応数を示す。)
訂 、 8
ハッタ←一一一アリ
カプトムシ←一レテントウムシ 担
クワガタ
セミ チ目ウチョ
ペソ〆、、チ
図2 他項目連想反応における項目間の関係
表1は、カテゴリーごとの、また、表2は便々の項目の概念名連想反応と項目命名の反応の内 訳を示したものである。妻3は、使々の項目に対する他項目連想反応の総反応教の第2位まで についてまとめたものである。表3のF反応とほ、刺激項目からの連想反応項圓の中で人教の多 かったものであワ、丁反応とは、その刺激項目に対して他の刺激項目から連想されたものの中で 人数の多かったものをそれぞれ上位から2番めまでをまとめたものである。図2は、他項目連想 反応に釧テる項目間の関係を第1連想反応のみに限り、6以上のものについて図示したものであ
る。
項目調性としての概念名連想率の妥当性の検討 表2で示された概念名連想率の妥当性を検 討するために、概念名連想率の高低が幼児の自由再生と手掛ワ再生に及ぼす効果について検討し た(藤田、1982)。項目リストは、表2の中の動物、楽器、虫、野菜、果物のカテゴリーから、
各カテゴリーにおいて項目からの概念名の連想の高い項目と低い項目を3項目すっ選択し、15項 目よリ成るリストを作成した。高連想語リストの項目は、動物(キリン、ゾウ、ライオン)、楽 器(タソパリソ、カスタネット、ラッパ)、虫(テントウムシ、トンボ、ハチ)、野菜(キャベ ツ、タマネギ・キュウリ)・果物(リンゴ・パイナップル、スイカ)の15項目で・平均概念名連 想率は38−4系であった。他方、低連想語リストの項目は、動物(ネコ、トラ、イヌ)、楽器(ダ イコ、スズ、フエ)、虫(チ目ウチ冒、セミ、アリ)、野菜(ダイコン、ナスヒ、サツマイモ)、果物(
ブドウ、バナナ、ミカン)の15項目で、平均概念名連想率は2α7系であった。実験で用いた線画が 用いられた。記銘リストは、同じカテゴリーの項目が続かないように配列されていた。
被験者として幼稚園児(平均年齢6歳2か月)48名が用いられた。リスト条件に応じ、高連想 語リストか、低連想誤リストかが提示された。項目の提示が終わると、被験者には自由再生か、
概念名がひとつずつ与えられる手掛り再生が求められた。その結果、再生量に関しては、顕著な ものではなかったが、高連想語リストの方が低連想語リストよりも若干再生量が大きいという傾 向がみられた。また、群化量(RR:Ratio oi R印e6i■㎝;Bo岨rield・1953)に関しては、手 掛ワ再生条件で高連想語リストの方が低連想語リストの群化量よDも大きいという結果がみられ
た。
再生量と群化量の両方で一貫した概念名連想率の効果はみられなかった。見い出された髪も、
自由再生よワも手掛リ再生で大きいというものであった。予想したような概念名連想率の顕著な 効果はみられなかったが、これほ本研究で用いた項目そのものが杉村と市川(1975)の規準表で 比較的頻度の高い項目であったこと。さらに概念名連想以外にも項日間連想の強さなどの要因の 影響があることなどによ一 叶カじたものと解釈される。しかしながら、一応、概念名連想率が項目 の再生に影響していることが見い出されたので、項目属性としてある程度の妥当性をもっている ものと思われる。
幼児の裾念構造の特徴 1提念名運想反応と項目命名反応力、らの分析 それぞれの連想反 応よリ得られた結果に基づいて、幼児の概念構造の特徴について考察する。表1に示されるよう に、概念名を正しく言うことができた割合は全体的に低く、最も高かった花でさえも56.3第てあ
り、最も低かった乗物では 第しかなかった。果物、動物、虫、野菜、乗物では無反応よりも
謀反応が多かった。また、線画を正しく命名した割合は、乗物、果物、動物、虫が90采台と高か ったが、楽器と野菜は60第台、花は50第台であった。楽器は謀反応よりも無反応が多く、野菜と 花は謀反応と無反応がほぼ同じぐらいであった。
表2に示された個々の刺激に対する反応内容を参考にしながら各カテゴリーの特徴をみていく ことにする。花は、概念名連想率は最も高いが、項目の命名率は全般的に低く、概念名と項目名 との分化がなされていないカテゴリーである。謀反応の内容をみると、多くの者が個々の項目の 名称を正しく答えるのではなく、間オバナ、ハナ一と答えていた。それ以外は、同じカテゴリー の他の項目名を答えている者が多かった。これについては、花のカテゴリー的範ちゅうは、子供 の経験上比較的早い時期に出来ていると思われるが、このカテゴリーに属するものの内、名称を 正しく教えられる機会の多いものと・正しい名称を与えずに花という概念名で個々の名称を代用 して教えられる機会の多いものとがあリ、その違いがあらわれたものと思われる。
果物と動物は、概念名連想率も項目命名率も比較的高く、個々の項目と概念名の結合が比較的 強いカテゴリーであるといえる。概念名連想については、果物では}食べ物、食べるもの四とい
った反応が比較的多かった。これは野菜の場合にもみられたが、漠然と広く}食べ物一に関連し た範ちゅう化はできているが・果物というレベルでの概念名が言えないことによるものである・
動物の場合は、同カテゴリーの他項日名をあげるという反応が多かった。
虫は、他のカテゴリーと比較して、中間的な位置であった。概念名連想率では無反応よワも謀 反応が多く、}飛ぶ仲間、飛ぶもの、刺す仲間、動物、生きもの といった内容であった。
野菜と楽器は、概念名連想率も項目命名率も低く、個々の項目と概念名の結合が比較的弱いカ テゴリーであるといえる。概念名連想率では、間食べるもの、食べもの、おかず、ごはん、果物は など多様な反応がみられた。ハクサイはキャベツ、サツマイモはイモという項目命名も多かった。
楽器でほ、概念名連想率は謀反応と無反応がほぼ同じ位であった。}合奏、昔ならす、音の仲間、
手で叩くもの・叩く、吹くもの、弾くもの・音楽なるもの、吹く、ならす仲間、音の出るもの一 といった多様な反応がみられた。概念名が言えなくても概念の範ちゅう化はなされておリ、打楽 器、管楽器、鍵盤楽器などの下位カテゴリーに対応するような内容のものがみられた。項目命名 についてほ謀反応よりも無反応が多くみられた。
乗物は、項目の命名率は最も高いのに、概念名連想率では最も低かった。概念名連想では謀反 応が非常に多かった。しかし、その内容はバス、トラックを}クルマの仲間^、ヒコウキを}飛 ぶ仲間凹と答えた者が多かった。その他、間走る、人を乗せる、飛ぶ、走るもの、車輪、浮くも
の四 ニいった反応が多かった。カテゴリーに気づいていても、正しい概念名が言えない場合や、
機能的属性に基づく反応を行っている場合が多いといえる。
2.他項目連想反応からの分析 ここでは図2に示された第1連想反応の結果を中心に、各カ テゴリー内の項目間の関係についてカテゴリーごとにその特徴をみた。花では、チューリップが 最も多く他項目から連想され、チューリップを中心とした一部集中連想型の反応バターンがみら れた。また、チューリップとバラの間には相互連想がみられた。果物では、リンゴが最も多く他 項目から連想され、リンゴを中心とした一部集中連想型の反応パターンに加え、リンゴとミカン、
リンゴとバナナの間には相互連想がみられた。動物では、トラとライオン、イヌとネコ、キリン とゾウにそれぞれ独立した相互連想がみられた。虫でほ、小さな3つのグループに分かれ、セミ、
トソポ、チョウチョ、ハチの群ではセミとトソポに相互連想がみられた。他は、カマキリ、ハッ タ、アリの群とテントウムシ、カブトムシ、クワガタの群であった。
野菜では、ダイコンとニソジソの間に相互連想が、また、キャベツを中心とする小さなまとま ワがニソジソと結びついていた。サツマイモとニソジソは独立に結びついていた。楽器では、鍵 盤楽器、管楽器、打楽器の独立したまとまワがみられた。乗物でも、空を飛ぶ物、線路上を走る 物、二輪車、水上を走る物、自動車の仲間といった独立した連想関係がみられた。また、ジドウ
シャとトラックには相互連想がみられた。
連想は、色や形などの知覚的類似性や機能的な類似性によるものの他、下位カテゴリーが基礎 となっていた。これらの結果をまとめると、他項日から共通して多く連想された項目を中心とし てネットワークを形成しているカテゴリーや、相互連想が並列的に存在し、しかもそれが下位カ テゴリーで分類されているカテゴリーや、比較的直接連合的要素の強いカテゴリーなどがみられ た。以上のように他項目連想反応という観点からみた場合、上位概念と下位項目という垂直的概 念関係からはみられない水平的概念関係の構造の一端がみられた。用いたカテゴリーや項目の種 類による制約はあるものの・子どもの概念構造の特徴はカテゴリーの種類により幾つかのタイプ があることが示唆された。
要 約
本研究の目的は、線画刺激に対する幼児の連想反応に基づき、①線画刺激に対する命名の程度、
②線画刺激から上位概念が連想される程度、③同カテゴリー内の他項日連想の内容などを調べる ことによワ記憶実験等で用いる幼児用の線画刺激を検討すると同時に、幼児の概念構造の特徴に ついても併わせて検討することであった。
被験者は幼稚園児(5歳3か月から6歳3か月)160名であった。動物、花、楽器、虫、野菜、
乗物、果物の7カテゴリーから、各々のカテゴリーにつき8項目ずつ、計56項目の線画刺激(図 1)が用いられた。リストは全体が4個に分けられたので、実際には1刺激あたり40名が割ワあ てられた。項目の命名(質問1)、概念名連想(質問2)、他項目連想(質問3)を求める手続 きによワ、実験は個別に実施された。
妻1と表2ほ、概念名連想と項目命名の反応の内訳を示したものである。また、表3と図2 は個々の項目の連想総反応数及び第1連想に基づく他項目連想反応についてまとめたものである。
項目属性としての概念名連想率の妥当性を検討するために行われた、幼児の記憶に及ぼす概念名 連想率の効果に関する実験(藤田、1982)の結果からは、予想した程顕著な結果ではなかったが、
この属性にはある程度の妥当性があることが示唆された。
概念構造の特徴に関しては、概念名連想と項目命名の結果、および他項目連想反応の結果につ いてそれぞれ検討が加えられた。概念名連想率は、全体的にそれほど高いものではなく、カテゴ
リーによワ大きな差がみられた。しかし、概念名が正しく言えなくても、大体の範ちゅう化はな されていることがわかった。また、他項目連想反応の結果からは、項目の連想は知覚的類似性や 機能的類似性によるものの他、下位カテゴリーが基礎になっていることがわかった。さらに、連 想の構造にほひとつの項目を中心とした一部集中連想や相互連想を含むカテゴリー、独立に相互 連想が存在しているカテゴリーなどがみられた。
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(付記)本研究を行うにあたリ御協力下さいました飛鳥幼稚園、橿原保育園、極楽坊保育園、
刀根山幼稚園、螢池文化幼稚園、みのワ保育園の諸先生方および園児の皆様に記して厚く御礼中 しあげます。