( 生 物 圏 生 命 科 学 専 攻 長 福 崎 智 司
( 副 専 攻 長 吉 岡 基
学位論文審査の結果の要旨
専 攻 生物圏生命科学専攻 氏 名 山 本 慧 史
審 査 委 員
査 査 主
副 教 授
教 授 副 査 教 授 副 査 准 教 授
吉 松 隆 夫 一 色 正 古 丸 明 筒 井 直 昭
C
論 文 題 目I (題目変更の有無)
0有 ・ 無
Studies on Rhodomonas salina Hf‑I strain as an initial live feed for aquaculture (Rhodomonas salina Hf‑I株の養殖用初期生物餌料としての利用に関する研究)
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(論文審査の結果の要旨)
本研究は, 201I年に日本沿岸から新たに単離されたクリプト藻類Rhodomonassalina Hf‑I株につい て,水産餌料用微細藻類としての実用的な培養および利用方法に関する多方面からの網羅的な検討 を行い,最終的に種苗生産現場への本株の導入を目指したものである。 Rhodomonas属の微細藻類は 世界中の沿岸域に普遍的に生息しており,その栄養的価値の高さから初期餌料としての活用が望ま れている。これまで,本属ではそのうちの数種について餌料としての利用が試みられており,わが 国でも1970年代から一部の種に関する餌料化の取り組みが試みられてきた。しかしながら,これら の研究の多くは,細胞内に含まれる生化学成分組成を環境要因によって制御することを目的とした ものがほとんどであり,増殖特性や効率的培養方法,餌料としての現場での利用に関する研究は見 当たらない。'こうした現状を踏まえ,本研究では,今後 Rhodomonas属を餌料用微細藻類として有効 活用していくために必要な基礎的知見の集禎を目的とし, Hf‑I株をモデル生物とした実験室規模も しくは種苗生産規模での試験を多角的に実施し,本属微繍藻類の活用方法についての検討を行っ た。
試験の結果,本株を種苗生産現場レベルで安定的に生産するために必要な基礎的知見,すなわち 好適培養環境条件,必須栄養塩類,そして現場での最適な培養方法等の情報が集積された。また,
本株を用いた海産動物へ給餌試験では,既存の餌料用微細藻類を与えた場合と比較して優れた飼育 成績が得られた。これは本株の餌料生物としての実用性を大いに示すものである。さらに,本試験 で明らかとなった, I.培地中の窒素猿度を操作することにより高タンパク質含有藻体を作出するこ とが可能である, 2. 培養液の色調から餌料価値を判断することが可能である,といった特徴は,
これまでの餌料用微細藻類には認められない全く新しい餌料特性であり,これまでの既存餌料では 対応しきれなかった餌料系列の間隙を埋める役割が期待される。
これらの研究成果は,英文3報を含む,計5報が筆頭著者として国内および国外の学術誌に掲載さ れている。また,上記に関わる研究成果は国内外の学会において数多く発表されており,その内容 は多くの研究者から高い関心が寄せられている。したがって,この研究の成果に対して博士学位を 授与するに十分な資格があるものと判断した。
以上の結果より,審査委員会は全会一致で本論文を博士学位論文として学術的価値があるものと 認めた。