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言語条件づけ事態における観察学習

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

言語条件づけ事態における観察学習

著者 玉瀬 耕治, 前田 和子

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

10

ページ 29‑42

発行年 1974‑03‑21

その他のタイトル Observational Learning in Verbal Conditioning Situation.

URL http://hdl.handle.net/10105/6314

(2)

言語条件づけ事態における観察学習*

玉 瀬 耕 治

  (心理学教室)

前 田 和 子**

(大阪市立大学大学院)

 先に、筆者は強化(承認や否認)による子どもの言語行動の修正に関する研究について述べた(

玉瀬,1970)。そこでは,教師や親たちが何げなく子どもに与えている強化の影響の重大さを 指摘した。最近,行動修正に関してもう1つの新しい研究領域が開発されつつある。それは,他人 の学習経験や特定の行動を観察させることによって,子どもの行動を修正しようとする試みである。

この種の研究は,観察学習(B a n d u r a,1969),模倣学習(F l a n d e r s,196 8;春木・都築,!970),または代理学習(Ka n f e r & P h i lli P s,1970)

などとよばれている。これらの研究は,テレビが子どもに与える影響や,親や教師の行動そのもの が,子どもに与える影響を説明する上で,きわめて重要なものである。本稿では,まず,われわれ の観察学習による言語行動の修正に関する実験を報告し,その後,観察学習の教育的意義について 述べる。

         実験1代理強化とモデルの反応系列

 代理強化とは,モデルの反応に対して与えられる強化のことである。観察学習においては,代理 強化は・成績を決定する重要な要因であるとみなされてきた。しかし,従来の実験では,代理強化 の効果が認められたものもあれば(Kanfer &Mars t on,1963),認められていないもの

もある㊤a ndur a,1962工そこで本研究では,どのような条件のもとで代理強化が有効に作用 し,またどのような条件では効果がないかを追求することにした。

 ところで・観察学習においては・モデルの反応の仕方が・観察者の学習を左右することは当然予 想され乱そこで・モデルがどのような反応の仕方を示したかが重要な問題となる。たとえば,

Ka nf e r and Mar s t O n(1963)はモデルが試行とともに正反応(規準反応)を次第に多く

示す系列を用いている。これは,オペラント条件づけにおけるシェーピングの過程をモデルが示し たものといえよう。また,脇mi l t Onら(1970)は,どの試行ブロックでも,ぽぽ一定の高い割 合で正反応を示す系列を用いている。

 Di t richsら(1967)は,このようなモデルの反応系列のちがいについて検討している。彼ら

米 Obs e r va t i o n al Le a r ni n g i n Ve r b a l Co nd i t i o ni n g S i t u a t i o n.

排Kbj i Ta血as e㊤e par t me nt o f Ps yc hol o gy,Nar a Uhi ve r s i t y o f   Edu c at i o n,Nar a)

  Kaz uko Ma ed a(PePa r t血e nt o f Chi l d De ve1opme nt,Os aka Ci t y

  thi v e r s i t y,Os a ka)

       一29一

(3)

は,モデルの反応系列を3通り用意して実験した。その第1は,モデルの正反応が,試行ブロック ごとに増加する系列であり,第2はモデルの正反応が試行ブロックごとに減少する系列であり,そ して第3は,どのブロックでも正反応が一率に行なわれる系列である。子どもたちにこれらのモデ ルを観察させた結果,漸増系列を観察した子どもたちの成績がもっとも良かった。この実験では,

漸増系列の場合も漸減系列の場合も代理強化が与えられている。従って,成績には系列の効果と代 理強化の効果の両方が含まれていることになる。代理強化の効果は、系列によって仁となるかもし れない。この点を明らかにするためには・それぞれの反応系列ごとに,代理強化を与えた場合と与 えない場合について比較しなければならない。そこで実験1では,2つの反応系列について,代理 強化の有無の効果を比較することにした。

 なお,本実験では,従来の言語条件づけの実験にならって,意識性の問題侭r as ne r,196の についても検討した。

       方      法

(1)実験計画 2×2の要因計画が用いられた。 第1の要因はモデルの規準反応の系列が漸増的かラ ンダムかであり,第2の要因は代理強化があるかないかである。

(2)被験者被験者は,奈良市内の伏見小学校5年生4クラスの児童,男子87名,女子78名,合 計165名であった。彼らはクラスごとに集団的に4つの実験条件のうちいずれかへわりあてられ た。被験者のうち,回答の不完全な者,オペラント試行で極端に規準反応が多い者および少ない者 を除き・さらに各群の人数が等しくなるように若干の被験者をランダムに除外した。統計的に処理 された被験者は,各群とも男女18名ずつで,合計144名であった。

(3)課題Ta e1型の言書条件づけ課題を修正したものが用いられた。実験を集団的に行なうた めに,カードを呈示するかわりに,20枚1綴りの冊子が用意された。この冊子は9×13例の大 きさで,各へ一ジの上部には,よしこ,まこと,たろう,はなこという4人の名前が書かれ(実際 には,名前が主語になるように,それぞれの名前の後に「は」を入れた),下部には印象価(玉瀬

・池田,1972)がほぼ等しい3音節動詞が2つずつ書かれている。この冊子はモデルを観察す る前と後で,各被験者に1冊ずつ手渡された。観察者(被験者)は,カード上の名前と,動詞を1 つずつ用いて文を作ることを求められるが,実際には名前と動詞を選ぶだけでよい。

 (4)手続き 実験はクラスごとに集団的に行なわれた。まず,課題を説明するために次のような教 示が与えられた。

  ここにカードがあります。このカードには,たろうさんと,はなこさんと.よしこさんと,ま  ことさんという4人の名前が書いてあります。そしてその下には2つのことばが書いてあります。

 皆さんには,ここにある4人の名前と下のことばの中から1つずつ選んでもらいます。そして,

 その名前どことばを結んで文を作ってもらいたいのです。たとえば,「たろうはつくす」という  ようにします。4人の名前のうちのどの名前を使ってもいいし,下のことばもどちらを使っても  かまいません。ここにこのカードと同じようなカードをたくさんフリントしてきましたから。皆  さんはこのプリントに答を書いてください。答え方はこのようにします。まず.4人の名前から

(4)

 1人選んでその名前に○をつけます。そして,下のことばから1つ選んでそのことばに○をつけ  るのです。答え方はわかりましたか。ではカードを配ります。これから先は絶対にしゃべらない  ようにしてください。1枚目ができたら次のカードもやってください。1枝もぬかさず全部やって  ください。

 このようにして,規準反応の自発的な出現頻度を調べるためのオペラント20試行を行なわせ,

その後。モデルを観察させるために次のような教示を与えた。

  できたらカードを裏向けてこちらを見てください。今度はここにいるおねえさんたちにやって  もらいます。

 モデルは心理学専攻の2人の女子学生で,1人が実験者になり,他の1人が被験者になった。モ デルの実験者は教卓に立って,観察者によくわかるように,B4版大の画用紙でつくった刺激カー

ドを呈示した。モデルの被験者は,教室のほぼ中央で椅子にすわり,あらかじめ決められた試行で 規準反応(この実験では任意に「はなこ」とした)を行なった。観察期間は40試行である。漸増 系列代理強化ありの条件では,1O試行ごとに規準反応が,2,4,6,8個と順に増加している。

モデルの被験者がこれらの規準反応を行なうと,モデルの実験者はいつも「よろしい」と言って強 化した。漸増系列代理強化なしの条件では,モデルは先の条件と同様の規準反応を行なったが、強 化は与えられなかった。ランダム系列代理強化ありの条件では、モカレは10試行ごとに5個の規準反応を 行ない,実験者がそれを「よろしい」と言って強化した。ランダム系列代理強化なしの条件では,

毛デルは先の条件と同様の規準反応を行なったが,強化は与えられなかった。

 これら4つの条件のいずれかでモデルを観察した後,すべての被験者は再び先の冊子と類似の冊 子を手渡され・もう1度同じように答えることを求められね冊子を回収した後・意識性に関する 質問を印刷した用紙が配布されねこの用紙には・次の5つの質問が書かれている。①今したこと で,何か気づいたことがありますか。②はじめのプリントとあとのプリントの答え方で,何か変っ たことがありますか。③おねえさんがやっているのを見て・何か気づいたことがありますか。②お ねえさんがどんな答え方をした時・「よろしい」と言ったかわかりますか。⑤おねえさんは4人の 名前のうちで・だれを1番多く使ったと思います机①,②・③は意識性についての自発的な解答 を期待したものであり,④はモデルの反応と強化の随伴性について直接たずねたものであり,⑤は モデルの規準反応についてたずねたものである。最終的には,④と⑤で意識性が調べられた。

       結 果 と 考察

 オペラント・ブロックにおける規準反応の出現頻度を調べたところ,4群の間に有意な差は見ら れなかった(F<1,a/=3と140)。したがって各群は等質であるとみなされる。観察学習 の測度として,モデル観察前後(それぞれ20試行)における規準反応の変化すなわち増加量が 用いられた。図1は各群の平均増加量を示したものである。これらの値について2仮応系列)×

2(代理強化)の分散分析を行なった。その結果,代理強化の主効果がF(1と140)=584 となり5%水準で有意であった。しかし,反応系列の主効果はF(1と140)〈1で有意でなく,

交互作用もF(1と140)=2.89でわずかに有意水準には達しなかった⑦<,10)。代理       一31一

(5)

強化の主効果が有意であったことは,観察学習において,代理強化が促進的な役割を射こすという 従 来の多くの報告と一致している。交互作用については有意ではなかったが,さらに,代理強化の有 無の差を各系列ごとに比較してみた。その結果,漸増系列ではま(70)=2,48で5%水準の有 意差がみられ,ランダム系列ではf(70) 0.65で差がなかった。これは,代理強化の効果が モデルの反応系列によって異なる傾向があることを示唆してい乱

    3

平  2

    1

2.58

国一代理強化あり 口代理強化なし

142

O,97

    漸増系列      ランダム系列

図1 各群の規準反応の平均増加重

 次に,個々の増加量について,その有意性を検定した。その結果,漸増系列では代理強化あり群 の値(図1)が (35)=2.61で5%水準で有意であり,代理強化なし蝋ま庁(35)=OユO で有意ではなかった・それに対して、ランダム系列では・前者が (35)=2.58・後者が

35)=2.26でいずれも5%水準で有意であった。これらの結果は,先の交互作用に関する結果 と対応している。

 それでは,代理強化が2つの系列において,どのような役割を演じたのであろうか。Kanf er

(一1965)は,代理強化には情報的な機能と報酬的な機能の2つが含まれていることを示唆して いる。本実験では,この点について直接検討していないが,これら2つの機能が作用していること は推測できる。漸増系列においては,試行とともに規準反応が増加しているので,情報とともに報 酬の効果がみられ,観察者の動機づけを高めたと考えられる。一方,ランダム系列の場合には,試 行ごとの変化が明白でなく・代理強化はその時々の情報を与えるにとどまったと考えられよ㌔

 表1は,各群の被験者を意識性の有無によって分類し,平均増加量とその有意性を示したもので あるσここでは,規準反応に関する質問⑤に正しく答えた者を意識性ありとみなしている。この表

(6)

で明らかなように,全体としては,意識性あり群の方が意識性なし郡よりも成績がよいといえる。

また,この表でみる限り,.意識性を報告した被験者の人数は各群ともそれほどちがいがない。さら に,質問④の随伴性について調べたところ,次のことが明らかとなった。意識性を報告した被験者 のうち,反応と強化の随伴性に関する質問④に正しく答えた被験者(代理強化あり群のみ)は,漸 増系列で5入,ランダム系列で7人であった。これらの被験者の平均増加量は,前者が12.00,

後者が4.29であった。ここで漸増系列の成績がランダム系列のそれの約。3倍になっていることが 注目される。すなわち,漸増系列では,随伴性に気づくことが遂行にきわめて有効に作用している

といえる。これは・この系列における代理強化の報酬効果と関係があるかもしれない。

表  1 意識性と平均増加重

意識性あり 意識性なし

実験条件

人数 増加重 人数 増加重

漸増。代理強化あり 25   3..12→←  11   1.18

漸増・代理強化なし 23   0−26   13  −O.38

ランダム・代理強化あり 21    1.67¥  15    1.00

ランダム・代理強化なし 22    1.45半  14    0.20

半は5%水準で有意          実 験 2 代理強化とモデル呈示手続き

 言語条件づけの課題では,従来,モデルを呈示するさい,いくつかのことなる手続きが用いられ

てきた。その1つはMarston and Kanfer(1963)やMarston(1966)の実験に

見られるものである。彼らは,モデルと観察者に,1試行ごとに交互に反応させる手続きを用いて いる。この手続きは,Mi l l er and Do11 ard(1941)の実験におけるものと類似してい・

る。第2は,肋mi l t Onら(1970)が用いているものである。それは,モデルに20試行を 続けて行なわせ,その後観察者に20試行を行なわせ,さらにこの交代をもう1度くり返すという やり方である。つまり,ある程度のまとまりでモデルと観察者を交代させる方法である。第3は,

Ma rl oweら(1964)やDi t r i c hsら(1967)の実験に見られる手棒きである。彼らは・

モデルに40試行ないし60試行の全学習過程を行なわせ,その後に,観察者に同数の試行を行な わせている。この方法は,Banduraら加社会的行動に関する実験でしばしば用いているものであ       一33一

(7)

る。

 このようなモデルの呈示手続きによって,観察学習の成績はことなるかもしれない。適度な試行 単位で毛デルの行動を観察し,しかも観察者自身にもぐり返し反応を試みる機会が与えられたなら ぱ,単に,全過程を観察するだけよりも,観察者の自我関与が増大し,より良い成績が得られると 考えられる。実験2では,このことを確カ地るため,試行単位のことなる3つの呈示手続きについて 比較した。

 ところで,このようなことなる呈示手続きにおいて・代理強化はどのような役割を黙こすであろう か。観察者に,反応を試みる機会が与えられておれば,観察者は代理強化を手がかりにして,彼の 反応とモデルの反応の差異を比較したり,修正したりすることができるだろう。したがって,モデ ルと観察者が10試行ごとに反応を交代する場合と,20試行で交代する場合と,40試行全体を 一度に集中して観察する場合を比較してみると,1O試行で交代する場合の方が反応を修正する機 会が多く,代理強化の効果はより大きくなると予想される。実験2ではこの予想を検討した。実験

2では。実際にモデルを観察させるかわりに,モデルの声をふき込んだ録音テープを聞かせた。こ の方法はKanf er(1965)にならったものである。

       方      法

(1戻験計画 3×2の要因計画が用いられた。第1の要因は,モデルの呈示手続きに関し,モデ ルと被験者が・10試行ごとに交代するか・20試行ごとに交代するか・40試行で交代するかで ある。第2の要因は代理強化があるかないかである。

(2)被験者 被験者は,大阪市内の矢田東小学校5年生6クラスと,奈良県生駒郡の斑鳩小学校5 年生6クラスの男女児童であった。実験1と同じ要領で,若干の被験者を除外して,合計360名 について結果を処理した。各群は60名ずつで男女同数である。

(3潔題 実験1と同じ課題が用いられた。被験者用の冊子は・実験条件にあわせて10枚綴り,

20枚綴り,40枚綴りの3種が用意された。モデルテープとして,女子大学生があらかじめ決め られた反応をしているものが用いられた。モデルの反応は40試行あり,そのうち,規準反応(後 述)は,10試行ごとに2,4,6,8個と11買に増加.している。これは,実験1の漸増系列に相当 する。デーブは4種類用意され,そのうち2本は規準反応が「はなこ」で,他の2本は「まこと」

であった。これらのデーブは,男女両方の被験者に示されるが,2つの規準反応を用いたのは,被 験者の性による反応のちがいを相殺するためであった。それぞれのうちの1刻ま。規準反応を女子 大学生の実験者によって「よろしい」で強化されており(代理強化あり群用),他の1本は強化さ れていない(代理強化なし群用)。

 (4)手続き 実験はクラスごとに,同じ時間帯で集団的に行なわれた。実験者は,各クラスに2人 ずつ割りあてられた。最初の課題を説明するための教示は,実験1とほぼ同じであった。ただし,

教示の中の例には・「たろうはまなぷ」を用いれオペラント20試行の後・「では・今度は同じ ようなことをした人のテープを聞いてもらいます。静かに注意して聞いてください。」と教示した。

ここで表2に示した6つの条件のうちのいずれかのもとで,モデルテープを聞かせた。10試行交

(8)

互群では,モデルが工0試行行なった後に,10枚綴りの冊子を配布して観察者に10試行を行な わせた。このようなモデルと観察者の交代を4回くり返した。20試行交互群では,20試行ごと に,モデルと観察者が2回交代した。40試行集中群では,モデルの40試行を続けて聞かせた後 観察者に40試行を行なわせた。観察者の半数は,「はなこ」を規準反応とするテープを聞き・残

りの半数は「まこと」を規準反応とするデーブを聞いた。結果の処理にさいしては,観察者が行な った60試行のうち,最初の20試行(オペラント・ブロック)と最後の20試行(習得ブロック)

の成績が用いられた。

 実験終了後,実験1の意識性に関する5つの質問に,次の3つを加えた質問紙が配布された。

①テープを聞いたあとで,あなたはテープをまねようと思いましたか。②今したことは,おもしろ かったですか。③今したことをまたやってみたいと思いますか。質問に対する回答は,それぞれ2 つまたは3つの選択肢の中から選ぶようになっている。

表  2 実験条件

モデルと観察者の交代 代理強化

10V R

10試行交互 あり

10N VR

なし

20V R

20試行交互

あり

20NVR

なし

40V R

40試行交互

あり

40NVR

なし

      結果と考察

 「まこと」を規準反応にしたものと,「はなこ」を規準反応にしたものでは,男女差があり,同 性の名前への反応が多い傾向がみられたが,両者を込みにして統計的な処理を行なった。オペラン

ト・ブロックにおける規準反応の出現頻度は,6群の間で有意な差が見られなかった(F三1,67,

4∫=5と354)。したがって,各群は等質であるとみなされる。図2は,習得ブロックからオ ペラント・ブロックを引いた値(増加重)を図示したものである。これらの値について,3(呈示 手続き)×2(代理強化)の分散分析を行なった。その結果,呈示手続きの主効果がF(2と354)

二5.47で1%水準で有意であった。代理強化の主効果はF<1で有意でなく,交互作用はF(2       −35一

(9)

と354)=a54で5%水準で有意であった。

準  3

平  2

1

「       I 1  一■    ■   I 一

2,4

1,0

O,9

α;

0.3

一0,1

磨代理強化あり

□代理強化なし

     10交互  20交互  40集中

区2 各群の規準反応の平均増加重

 呈示手続きの主効果は,10試行交互群が,20試行交互群および40試行集中群よりも成績が 良いことを示している。これは,10試行というまとまりが,本実験の課題では,ちょうどよい観 察の単位であったことを示唆している。また。観察者が反応を試みる機会も多かったので.動機づ けも高められたと考えられる。このように,観察の途中で被験者が実際に反応を練習することの有 効性については,Bandur a(1969.P140)も指摘している。呈示手続きと代理強化の交互作 用は次のことを示している。代理強化を与えた場合には,10試行交互群がもっとも良く,20試 行交互群,40試行集中群の順に成績が悪くなるが,代理強化を与えない場合には。呈示手続きに よる差があまりない。10VR群(表2)で成績がもっとも良かったのは,観察者が反応を試みる 機会が多く,代理強化を手がかりにして,モデルとの差異を比較し,反応を修正することができた ためと考えられる。本実験で,40V R群の成績カ栓く増加しなかったことについては,解釈が困 難である。この点については,偶然的要因によるものかどうかくり返し検討してみる必要があろう。

 個々の増加量の有意性については,10VR群( =3・57)・10N VR群( ヨ2・14),

(10)

20VR群(サ=2.12),40NVR群(サ=2.00)がそれぞれ有意であった。20NVR群

と40VR群は有意ではなかった(6/はいずれも59)。

 意識性について,質問⑤を調べたところ,意識性ありとみなされた者は次のとおりであった。

10VR群で36人曾=ム00・ただしfは増加重)・10NVR群で45人(X=O−84)・

20VR群で30人守;O−87)・20NVR群で25人使=α88)・40VR群で30人

(ア=O・20)・40N V R群で51人(叉=1.02)。全体としては・実験1と同様に・意識性 のある者(n:217,ア;1−33)の方が,意識性のない者(m=143,叉=0」2)よりも 成績が良いといえる(ゴ:3.27,6∫=358,P<・01)。

 ところで,胞mi・l t onら(1970)は,意識性のあ乞被験者について,模倣の意図を調べ,

これが成績の重要な決定因になることを指摘している。本実験でも,この点を確かめるため,追加質 問①で意図性を分類した。意識性ありとみなされた被験考のうち,「まねをしょうと思った」と答 えた者を意図性あり,「まねをしょうと思わなかった」と答えた者,および「その他」と答えた者 を意図性なしとみなした。すべての実験条件をこみにすると・意図性ありとみなされた者は51人 でア=3,20であり・意図性なしとみなされた者は166人で重ヨ0・73であっれ両者の差は

(215)=3,80で1%水準で有意であり,意図性があった者の方が成績が良いといえる。これ らの結果は,肋mi l t O nら(1970)の結果を支持してい瓦ちなみに,各下位群ごとに,意 図性ありとみなされた人数と増加量を示すと次のとおりである。10VR群では,14人でア:

6−79・10NV R群では9人でr=α67・20V R群では10人でア=1.40・20NV R群 では8人で豆=2−13,40VR群では4入でf=475,40N V R群では6人でf=2,00で

あった。このような模倣の意図については,従来あまり問題にされていなかったが,今後さらに検 討を加える必要があろう。

      観察学習の教育的意義

 ここでは・まず・観察学習について簡単に説明し・次に,われわれの実験にもとづいて若干の教 育的意義を述べることにする。

 観察学習とは,被験者(観察者)が,モデルの行動を観察することによって,モデルと類似の行 動を習得することである。たとえば,攻撃的な行動をするモデルを観察した結果,被験者かモデル

と類似の攻撃行動を行なうようになれば,被験者は攻撃行動の観察学習(模倣)をしたとみなす。

観察学習は,従来,主として,攻撃行動㊤a ndura.Ros s,&一Ros s,、1961〉性役割行動(

小橋川,1966)。道徳的判断㊤andur a,&Mc Do nal d,1963)亭どの社会的行動や・

言語行動体anf er,1965),弁別学習(春木・伊藤,1970),問題解決学習(小橋川,

1968)などの領域で検討されてきた。特に,社会的行動については,Bandur a(1965.

1969)とその共同研究者によって,数多くの研究がなされている。Bandur a らは,社会的行 動の多くは,古典的条件づけや道具的条件づけによって習得されるのではなく,観察学習によって 習得されるとキ幅1。ている。子どもの行動や性格形成におよぼす観察学習の影響は,今後ますます 重視されてくるものと予想される。

一37一

(11)

 次に,観察学習の実験方法とその一例を述べよう。観察学習の実験では,ふつう,モデルの行動 を観察させる実験群と,モデルを観察させない統結麟を設け,実験群のモデル観察後の行動と,統 制群の行動を比較する。あるいは,いくつかのモデル観察条件を設け,各条件におけるモデル観察 前後の行動の変化を比較する。要するに,一般的な統制辞法のやり方と同じであって,実験変数と して種々のモデル観察条件を挿入するのである。

 Bandur a ら(1963)は,攻撃的行動について次のような実験を行なった。被験者は,3 才から5才の幼児である。モデルは,攻撃的なことばを使いながら,人形をなぐったりけったりす

るなどの一連の攻撃的行動を行なう。実験条件は,①実際にモデルが攻撃的行動を行なう。②同じ モデルの行動をカラー・フイルムで映写する。⑬カラー・テレビで,漫画のネコの攻撃的行動を見 せる,および④何も見せない(統制群)の4つであった。子どもたちにこのようなモデルの行動を 観察させた後,攻撃行動に使われるおもちゃを含むさまざまなおもちゃが用意された部屋で,彼ら を自由に遊ばせた。その間の攻撃行動を調べた結果は次のとおりであった。現実モデル,フイルム

・モデル・漫画モデルのいずれの場合においても・統制群よりも攻撃的行動が多く行なわれている。

しかも,興味深いことに,3つの実験群の間にはあまり差が見られなかった。このような結果は,

テレビなどの怪獣や超人の行動が,子どもたちにとっては,実際におとながそれらの行動を行なっ てみせるのと同じほど強い影響力をもっていることを示唆している。フイルム・モデルに関する研 究は,Bryan and Schwartz(1971)によって詳しく紹介されている。

 観察学習がいかにして生じるかという,観察学習の過程や機制に関する理論は,まだ十分確立さ れているとはいえない。この点に関しては,①一致依存行動の理論(Mi l l er&Do l1ar d,

1941),②感覚的フィードバック理論(Mowrer,1950),③接近媒介理論(Bandur a,

1969),④般化ネ轍理論(Ge wi rt z,1969),⑤代理的扇動理論(Be rge r,1962)など の諸説が提唱されてい乱春木・都築(ユ970)は・これらの理論を整理し,①強化理論,②認 知理論・および③媒介理論の3つに分けて論じてい孔

 本研究では,観察学習の重要な要因の1つである代理強化の問題と,効果的なモデルの呈示法に 関する問題をとりあげて実験を行なった。

 実験1では・漸増系列代理強化あり群の成績がもっとも良かった。この群のモデルテープは・オ ペラン・ト条件づけにおけるシェーピングの過程を示している。それは,正しい反応,あるいは好ま

しい反応を次第に強化して,最後には高い学習水準に到達させるものである。それはまた,行動療 法における系統的脱感作の技法とも類似している (玉瀬,1972)。実験の結果を,より現実 的な場面にあてはめて考えてみよう。たとえば,子どもに勉強の習慣を身につけさせる場合,次の ように考えることができよう。いつもクラスで一番の子どもをひきあいに出すよりも,その子ども の成績に近い子どもを例にした方がよい。そして子どもの進歩に合わせて,それぞれの段階に応じ た適当なモデルを呈示するのが効果的であろう。

 実験2では,10試行交互代理強化あり群の成績がもっとも良かった。これを,たとえば体育の 授業にあてはめて考えてみよう。子どもたちに,はじめしばらくマット運動を練習させる。その後,

上手な子ども数入に模範を示させ,それを他の子どもたちに観察させる。その後,観察していた子

(12)

どもたちにもう一度練習させる。そして再び模範演技を観察させる。このようなことをくり返して 授業を進めるのが効果的であろう。この場合,あえてモデルをほめなくても,子どもがモデルにさ れること自体に,いく分強化の意味が含まれている。さらに,模範演技について,どこに注意すべ きかを教師が教えたり,子どもたちに討議させるならば,観察の効果はいっそう増大するであろう。

これは,われわれの実験では意識性の問題としてとり上げられている。このようなことは,すでに 体育の授業では実際に行なわれているが,本実験のような実験計画を用いてその効果を実証し,さ らにより効果的な教授法について検討することができるかもしれない。

 ところで,われわれは,実験1では実際のモデルを使用したが,実験2ではテープによるモデル を用いている。実験2の結果から,テープによるモデルでも,観察者にかなりの影響を与えている ことは明らかである。このことから,たとえば生徒指導や進路指導の領域において,今後さらにモ デルとしてのテープを開発すべきことが示唆される。従来は,カウンセリングテープといえば,.カ

ウンセラー養成のためにしか用いられていなかった。しかし,生徒自身にさまざまな対人的技術や・

情報集収の方法などを身につけさせるために,役割演技によるさまざまなモデルテープを用意して おくことは好ましいことといえよう。

要      約

 Taf f e1型の言語条件づけ課題を用い,小学5年生を被験者にして,2つの実験が行なわれた。

これらの実験では,代理強化とモデルの呈示法との関係が調べられた。一般的な手続としては,被 験者にまずオペラント反応を行なわせ・その後・モデルが行なう反応を観察させ・再び被験者自身 に反応させれ観察学習の測度としては1モデル観察前後の反応の変化量が用いられれ

 実験1では,モデルが行なう規準反応の系列が漸増的かランダムかによって,代理強化の有無の 効果がいかにことなるかが調べられれその結果・漸増系列で代理強化を与えた場合にもっとも成 績が良かった。実験2では,モデルと被験者が,10試行ごとに4回反応を交代する場合と,20 試行ごとに2回交代する場合と,40試行で1回だけ交代する場合に,代理強化の有無がどのよう に影響するかが検討された。その結果・10試行交互で代理強化を与えた場合の成績がもっとも良 かった。これらの結果にもとづいて,観察学習の教育的意義が述べられた。

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<付記>本研究を行なうにあたり,御協力いただいた3つの実験対象校の諸先生ならびに心理学専 攻生の皆さん,本稿に対してご助言をいただいた本学助教授杉村健先生,鯨教育大学大学院生坂野 雄二氏に厚く感謝します。

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参照

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上記で列挙した傾向は、これまでの SLA

(2) 

いはあるのか解剖して観察する。この3つの実験・観察を通して、予想に対する答えを導くこ ととした。 4

する(カード記載例:それ,いいですね。だって,    から。 )

しかし, 観察訓練過程における習得過程は, いずれの研究 でも明らか ではない. 又, VTR

(9例)」である。質問10では、「ネイティブの人と会話する(22例)」と「ネイティブの友人

これらは全て「現代」と比較することが可能 であり、生徒が古文を身近なものとして感じ

ここでは行為の観念が先にあり、それに見合うような動機が求められてい