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言語条件づけにおよぼす強化スケジュールの効果

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

言語条件づけにおよぼす強化スケジュールの効果

著者 玉瀬 耕治

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 29

号 1

ページ 231‑243

発行年 1980‑11‑25

その他のタイトル Effects of the Schedules of Verbal Reinforcement upon Verbal Conditioning URL http://hdl.handle.net/10105/2435

(2)

言語条件づけにおよぼす強化スケジュールの効果

玉  瀬  耕  治 (心理学教室) (昭和55年4月30日受理)

オペラント条件づけ研究の拡大領域の1つとして発展した言語条件づけの研究は、人間の言語 行動が、社会的または言語的強化によって影響されることを実証してきた(言語条件づけ研究会, 1969; Kanfer, 1968)、しかし、オペラント条件づけで、とくに重要である強化スケジュールの 問題(Ferster&Skinner, 1967 ; Long, Hammack, May& Campbell, 1958)については、言 語行動の領域では、まだ十分な検討がなされているとはいえない。ここでは、従来の研究につい て概観し、残されている問題について検討することにする。

言語行動における強化スケジュールの研究の最初のものは、 Kanfer (1954)の実験であると 思われる。彼は、自動運動に関する課題を用いて、被験者の自動運動の評価に関する言語反応を

"それは正確だ"などと言って強化した。規準反応として一定範囲内の運動量のみを強化した.

そのさい、そのような規準反応に対して、 1005・強化する場合、 67%強化する場合、 50%強化す る場合、および強化しない場合(0%強化)の4条件を設けた。学習基準に達すると、消去試行 が行われた。その結果、部分強化の場合には、強化数はより少なかったが、連続強化の場合より

もより多くの試行数を要した。また、部分強化の方が連続強化よりも消去が起こりにくかった。

すなわち、消去抵抗がより大であったといえる。これらの結果は、部分強化に関する一般的傾向 (Lewis, 1960)と一致している。

Spivak and Papajohn (1957)も自動運動課題において、言語強化"right"を用い、連続強化 (erf)と不定隔強化(VI)のスケジュールを比較している。彼らは、両条件における強化の 総数をそろえて、消去試行に移行した。その結果、やはりcrf群よりもVI群において、消去 抵抗がより大であった。

Kanfer (1958)は、 Greenspoon型の言語条件づけ課題を用いて、強化スケジュールに関する より複雑な実験を行っている。彼は、動詞を被強化反応クラスとし、光がつくと得点になると教 示して、光による強化を行った。初めに連続強化を行った後、定率強化(FR)、定隔強化(F I)、および不定隔強化(VI)の3つのスケジュールを用いた。各スケジュールごとに、被験 者の反応にあわせて強化率は漸減され、最終段階での強化率のみがそろえられた。その結果、部 分強化の最終段階での成績は3群とも差がなかったが、消去段階ではFR群がF I群およびVI 群よりもより多くの規準反応を示した。このことは、消去期において、より効果的に言語反応を 維持するには、間隔スケジュールよりも比率スケジュールの方が有利であることを示唆してい る。

Kanfer and Marston (1962)は、上の実験と同様の課題で、 FR、 F Iおよび、両者の混合 型である多重スケジュール(MS)を比較した.その結果、習得段階でも消去段階でも、 FR群 の成績がもっともよい傾向がみられた。わが国では、菅沼(1975)が、 Kanfer らと類似の実験 を行っているが、一貫した傾向は見出されていないO

231

(3)

232

5.瀬 耕 治

次に、同じGreenspooil塑課題を用いて、わずか1回だけの部分強化が、消去試行にどれほど の効果をもつかを調べた2つの研究について述べよう Craddick andLeipold (1962)は、動詞 を被強化反応クラスとし、緑の光で強化するというKanfer (1958)と同様な手続きで、初めに 一定期間の連続強化を行った後、 1回だけの部分強化を導入した.この方法は、強化数をより多

く与えた場合には連続強化群と部分強化群の強化数をそろえにくいという問題を統制できる。部 分強化に関しては、規準反応を5回行った後で(5回日の反応を) 1回だけ強化するFRl : 5 群と、規準反応を10回行った後で1回だけ強化するFR 1 : 10群を設けた。その結果、連続強化 の後、次の規準反応をさらに1回だけ強化されたFRl : 1 (連続強化)群よりも、前2者の方 が消去抵抗が大であった。

Craddick and Campitell (1963)は、同様の実験を、先の連続強化期なしで、教示によって 規準反応を教え、 FRl : 5およびFRl : 6の効果を調べたが、 FRl : 1との間に何ら差は 見られなかった。このようなわずか1回だけの部分強化の方法が、果してどれだけ信頼のおける

ものであるかは、十分検討されなければならないであろう。

上に述べたGreenspoon型課題における4つの実験は、いずれも大学生などの成人を被験者 とし、強化刺激として緑の光という物理的強化を用いている点に1つの制約があるといえる。

Craddick and Stern (1964)は、 Greenspoon型に近い課題、すなわち過去の記憶を述べさせる という課題で、家族に関する陳述を強化した。強化には、言語強化Hgood"とうなずきを併用し、

連続強化と部分強化(FRl : 4)を比較した。その結果、習得試行では連続強化群の成績がよ く、消去試行では、逆に部分強化群の方が成緒がよかった。この結果は、従来の研究と一致して おり、 Greenspoon型課題で得られた結果とも類似している。

次に、 Taffel型課題を用いた実験について述べよう Webb, Bernard, and Nesmith (1963) は、カード上の5つの代名詞の中から1つを選んで文を作らせ、そのさい特定の代名詞"I"杏 選べば"good"と言って強化した。被験者は入院中の精神科患者であった。強化スケジュールに 関しては、習得試行において、規準反応に対する強化率が25%、 50%、 75%、 100^である場合、

および習得の前半10096、後半50%である場合(100/50^)の5条件が設けられた。その結果、

強化率の高い方が習得試行の成績はよかったが、消去試行では、 100/50%群の成績がもっともよ かった。

Essman (1959)は、ロ‑ルシャッ‑テストと類似の刺激カード60枚を使用し、それらに対し て人間、動物、解剖、および植物の4つのカテゴリーのいずれかで反応させた。そのうちの人間 反応と解剖反応を規準反応とし、 Hgood"で強化した。強化スケジュールに関しては、 100^、 50

%、および0%の強化群を設けた。その結果、習得試行では、 1005&強化群と50%強化群がとも に0%強化群よりも成績がよく、消去試行では、 10096強化群の成績は次第に低下した 50^強 化群の成績は低下しなかった。次の実験では、 Taffel型課題を用いたが、先の実験とほぼ同じ 結果が示された。

この研究は、 Taffel型課題で得られた結果が、選択反応事態に関するかなり一般的な傾向を 示しうるものであることを示唆している David and Dielman (1968)の実験もTaffel型課題 を用いたものである。彼らは、強化スケジュールに関して、 100^、 66%、 33%、および0%の 強化群を設けた。その結果、 1005」強化群と66%強化群は習得試行で成績が上昇し、消去試行で は下降した。しかし、 33%強化群と0%強化群では成績の上昇も下降もみられなかった Webb らおよびEssmanの報告ともあわせて考えれば、 50%以下の部分強化では、習得そのものがか

(4)

なり困難であるように思われる。

わが国では、吉田(1975)がTaffel型課題を用い、中学生を被験者として実験している。彼 は、 100^強化群、 67%強化群、および50%強化群を比較した。その結果、強化率が高いほど消 去が起こりやすいことが示唆された。

以上のTaffel型課題を用いた研究は、吉田のものを除いて、被験者はいずれも大学生であり、

強化はすべて言語強化であった。先述のGreenspoon型課題では、連続強化から移行した部分強 化スケジュールの効果をみているのに対して、 Taffel型課題では習得段階における部分強化の 効果をみているものが多いといえる。

Simkins (1962)は、 Taffel型課題からGreenspoon型課題へと移行させて、罰スケジュ‑

ルの効果を調べている Taffel型課題は、各カードに動物、野菜または果物、および無生物の 3つの単語を書き、野菜または果物を選べば白い光(得点となる)で強化するというものであっ た。連続15回正反応という学習基準に達した者について、 Greenspoon型課題を課した。この課 題では、単語を1つずつ言わせて、そのうちで、食物を言った場合に白い光で強化した。一定の 連続強化の後、罰スケジュールを導入した。ここでは、食物反応の一部に対して、赤い光で罰 (減点となる)を与える条件と、その同じ割合に対して何も強化を与えない条件を設けた。罰の 割合は、 0%、 20%、 35%、 50%、および1005^であった。たとえば、 20%罰のスケジュ‑ルで は、食物反応のうちの80%は白い光で強化され、 20%は赤い光で罰された。その後、消去試行が 行われた。

その結果、罰を用いた条件と無強化条件の差はみられず、ともに消去試行での成績が、罰(ま たは無強化) 50^、 35%、 20%群の順によく、 0%および100^の群では最低であった。これは 部分強化スケジュールの方が消去抵抗が大きいことを示唆している。

課題は少し異なるが、刺激語を与えて言語連想させる課題で、 Hare (1965)は、電気ショッ クによる罰スケジュールの効果を調べている。罰によって同意語反応を減少させることをねらい とし、直後罰と遅延罰、 100^罰と67%罰を組み合わせて4条件を構成した。その結果、同意語 反応の抑制は、遅延よりも直後条件で、また、 67%罰よりも100^罰の条件で生じやすかった。

しかし消去試行での成績には群差はみられなかった。

以上のように、言語行動におよぽす強化スケジュールの効果を扱った従来の諸研究について述 べてきたが、これらの研究から次のことが示唆されよう。

第1に、大学生などの成人を被験者にした研究が多いといえる。吉田(1975)が中学生を被験 者にしているのみで、それ以外はいずれも成人を用いている。児童における単純な運動反応に関 しては、高野(1972)が組織的な研究を行っているが、彼も指摘しているように、それ以前には、

子どもを用いた部分強化スケジュールに関する研究が少ない。まして言語行動に関するものは、

ほとんどないと思われる。この点に関連して、単純な運動反応の課題では、 Kass (1962)が、

4歳、 6歳、 8歳、および11歳児を用いて、強化スケジュールの発達差を問題にしている。彼の 結果では、 4歳児よりもそれ以上の年齢の子どもの方が、消去抵抗は大であった.

第2に、すでに述べたように、 Greenspoon型課題では、連続強化から部分強化スケジュール に移行する手続きを用いているのに対して、 Taffel型課題では、習得段階で部分強化スケジュ

ールを用いているものが多いといえるO最終的には消去段階におよぽす影響をみるのがねらいで あるが、連続強化から順次移行する手続きの方が、オペラント条件づけの手続きとしては、より

自然であるように思われる。 Taffel型課題においても、このような手続きを試みる必要があろ

(5)

234

玉 瀬 耕 拾

う。

第3に、 Greenspoon型課題の多くは、光などの物理的強化を用いており、 Taffel型課題では、

言語強化を用いているといえる。光を用いる場合は、教示によってあらかじめ意味づけをしなけ ればならないので、その効果は間接的なものにしかならないと考えられる。この点に関しては、

やはり直接、言語強化を用いるのが好ましいといえよう。

これらの点をふまえて、本研究では、 Taffel型課題を用い、児童を被験者にした場合(実験 I)と大学生を被験者にした場合(実験Ⅱ)について、一定の学習基準に達した後の強化スケジ ュールの効果を検討することにした。部分強化は定率強化とし、 100^強化、 67%強化、 33%強 化、および0%強化の4条件を設けた。

実   験   I 方    法

被験者 大阪府下および岡山県下の公立小学校5年生の児童67名が実験に参加した。この内、

習得期間中に学習基準に達しなかった27名は分析から除外された。統計的に処理された被験者は、

各群10名、合計40名(男21名、女19名)であった。

材料 Taffel型言語条件づけ課題で、 140枚の刺激カ‑ドを使用した。各カードには、たろう は、はなこは、まことは、よしこはという4つの主語となることばと、連想価および印象価(玉 瀬・池田, 1972)がはば等しい3音節動詞が1つずつ書かれている。主語となる4つのことばの 位置は、偏りが生じないようにカードごとに変えられている。

手続き 実験は、学校内の1室で個別に行われた。被験者は、テーブルをはさんで実験者と向 い合ってすわった。テーブルの上には、衝立がおかれ、実験者と被験者が互いに見えないように

されている。刺激カードは衝立の中央の窓から呈示された。被験者の反応は、あらかじめプリン トした記録用紙に、実験者によって記録された。

初めに次のような教示が与えられた。 "ここにカードがあります。このカ‑ドには、たろう、

はなこ、まこと、よしこという4つの名前と1つのことばが書かれています。 4つの名前のうち の1つと下のことばを結んで文を作ってもらいます。例えば、たろうははしるというふうにしま す。わかりましたか。"

実験は、オペラント試行、習得試行(連続強化)、維持試行(部分強化)、および消去試行の順 に行われた。

オペラント試行は初めの20試行で、この期間中、実験者は被験者の反応に対して何も強化を与 えなかった。第20試行目が終ると、実験者は直ちに4つの名前のそれぞれの選択頻数を調べた。

その選択頻数が、第3位目の名前をその後の習得試行での規準反応とした。

第21試行目から80試行目までは習得試行であった。この期問では、被験者が規準反応をした時 にはいつも、実験者が‖よろしい"と言って強化し、それ以外の反応をした時には"だめです'' と言って負の強化を与えた。この手続きは、強化の組合せ法(玉瀬・門田, 1977)を用いたもの であり、習得を促進するために行われたものである。被験者が10試行中6回規準反応をすれば、

学習基準に達したものとして維持試行‑進んだ。もし被験者が80試行目までに学習基準に達しな かった場合は、実験を打ち切った。

(6)

維持試行は40試行であった。学習基準に達した被験者は、順に次の4つの強化条件のうちのい ずれかに割り当てられた。ここでは、習得試行で用いられた負の強化は用いられず、 "よろしい"

という正の強化のみが用いられた。 100^強化群では、被験者が反応した全ての規準反応に強化 が与えられた。 6796強化群では、 3回の規準反応のうち2回がいつも強化された。強化の順序は、

NRRNRR‑ のようであった(Rは強化、 Nは無強化)。 3396強化群では、 3回の規準反応 のうち1回がいつも強化された.強化のm序は、 NRNNRN' のようであった0 0%強化群 では、被験者は規準反応に対して一度も強化を与えられなかった。

維持試行を終えたすべての被験者は、さらに消去20試行を課せられた。この期間では、どの被 験者も一度も強化を与えられなかった。その後、強化の随伴性に気づいていたかどうか、部分強 化への移行に気づいたかどうか、 ‖よろしい日という言葉をどう受け取ったか、 ‖よろしい"と 言われようとしたかどうかなどについて、最大13項目にわたる質問が行われた。表1は、これら の質問項目を示したものである。被験者は口頭で答え、実験者がそれを記録した。

表1実験後の質問項目 今したことについて、次の質問に答えてください。

1.あなたは、文を作るときどのようにしてことばを選びましたか。

2.わたしが、あなたの答に=よろしい‖と言ったのに気がつきましたか0

①はい ⑧いいえ

3. (2で=はい"と答えた者に)わたしはどんな時日よろしい"と言ったと思いますか。

4. (3で随伴性を正しく指摘した部分強化群の者に)そのことばに対する=よろしい日の言わ れ方が途中から変ったと思いますか。

①はい ⑧いいえ

5. (4で"ほい"と答えた者に)どのように変ったと思いますか。

6. (5で減っていってなくなったと答えた著に)減っていった時、どんな感じがしましたか.

①いい感じがした ①いやな感じがした ⑧どちらでもない ④その他 7.あなたは、できるだけ多くりよろしい"と言われるようにしましたか.

①いわれるようにした ⑧いわれないようにした ⑧どちらでもない 8. "よろしい"ということばを、あなたはどんなふうに受け取りましたか.

①正しい答に対して言ったと思う ⑧励ましの意味で言ったと思う (り意味はなかったと思う ④その他

9. "よろしい''と言われてどんな感じがしましたか.

①いい感じがした ⑧いやな感じがした ⑨どちらでもない ④その他 10.わたしが、あなたの答に対して=だめです''と言ったのに気づきましたか。

①ほい ⑧いいえ

ll. (10で"はい"と答えた者に) "だめです"の言われ方が途中から変ったと思いますか.

①はい ⑧いいえ

12. (11で"はい"と答えた者に)どのように変ったと思いますか.

13. (12で、なくなったと答えた者に)なくなったときどんな感じがしましたか.

①いい感じがした ⑧いやな感じがした ⑧どちらでもない ④その他

(7)

236

玉 瀬 耕 治

結    果

表2の上段は、実験Iにおける各群のブロックごとの平均規準反応数、学習基準に達するまで の平均試行数、および平均強化数を示したものである。また、図1は平均規準反応数について図 示したものである。各群の等質性を調べるため、オペラント・ブロックについて分散分析を行っ た。その結果、 4群の問には有意差がみられなかった(F‑0.38, df‑3/36)(学習基準に逮す るまでの平均試行数、および平均強化数についても分散分析を行った結果、ともに有意差はみら れなかった(それぞれF‑0.85, F‑0.04,いずれもdf‑3/36)c これらの結果から、各群は等質

表2 各群の平均規準反応数、学習基準までの平均試行数、および平均強化数 20試行ごとのブロック

オペラント     維    持    消去 人数 部分強化(前)部分強化(後)

一品

t試

100%

実験  W%

(児童) 33%

0%

0 0 0 0

:

EBB 4.5 4.1 4.5

l   受 U   2   2

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10    4.3      9.9     11.0    7.9

実験II 67&  10    4.4     9.4    11.3    8.6 (大学生     10    4.3       9.0    8 Q

IO     3.6       5.5       5.2     4.7

t‑‑ 00 M O

f‑H O O Cf)

i

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*

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*

c o   n   n   c o

16 15

乎14 均13 規12 準11 反10

応 9 数 8

7

6

5

0

0‑‑1く) 100#強化群 0‑‑1く3 675」>強化群

0‑‑づ33%強化群 /′OH x‑‑‑‑x i.v.:i.Ltl[ .:,,

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オペラント

習得      維持

(連続強化) (部分強化)

維持 (部分強化) 20試行ごとのブロック 図1 児童における強化スケジュールの効果(実験I)

消去

(8)

であるとみなされる。

次に、平均規準反応数について、ブロックの要因を含む4×3の分散分析を行った。表3はそ の結果を示したものである。この表から明らかなように、スケジュールの主効果、ブロックの主 効果、およびスケジュールとブロックの交互作用はいずれも1%水準で有意であった。

これらの有意な値について、さらに単純効果の検定を行った。その主な結果は次のとおりであ る。まず、スケジュールの主効果に関しては、 100^群と67%群が、 33%群と0%群よりも成績 が艮く、前2者と後2者の間には、ともに差がないことを示している(67^群と33%群の間で、

t ‑2.64, df‑36, P<.05)。ブロックの主効果に関しては、 2つの維持ブロックの成績が消去 ブロックよりも良いといえる(維持後半と消去ブロックの間でt‑4.47, 4/‑72, P<.01)<

交互作用に関しては、次のとおりであった。群ごとにみると、 100^群と67%群は、ともに2 つの維持ブロックでは差がなく、消去ブロックで有意に成績が低下している。 33^群と0%群は、

ともに3つのブロック間で差がみられない。ブロックごとにみると、 2つの維持ブロックでは、

100^群と67%群の成績が他の群よりもよく、前2者の間には差がない 33^群と0%群の間で は維持前半ブロックで差がみられる。消去ブロックでは、 1005&群が67%群と33%群よりも有意 に成績が良く、後2者は、 0%群よりも成績が良い。

次に、各群の消去抵抗について調べるために、維持後半ブロックから消去ブロックへの変化量 を求めた。表4は、変化量の平均、標準偏差、およびf検定の結果を示したものである。 4群に ついて分散分析を行った結果、 F (3/36) ‑5.59となり、 1%水準で有意であった。さらに単純 効果の検定の結果、 100^群と67%群の変化量が、 33%群と0%群のそれよりも大であった。

表5は、実験後の内省報告の主な結果をまとめたものである。これらの結果は、実験Iでは意 識性のない者の方がより多く、 "よろしい"の意味を正答と受け取り、 =よろしい"の感じをい

い感じと受け取っている者がより多いことを示唆している。

表3 平均規準反応数に関する分散分析

実 験 工        実 験 Ⅱ

変動因    df MS MS 被験者間      39

スケジュール㈲     663.37  13.64**   140.03   3.06*

誤差∂      36  48.62 被験者内

ブロック(B) AX B 誤差W

6 5 9

8 2 3

7 5 4

6 1

45.69

15.46**     31.86   12.25*

3.47**     5.15    1.98 2.60

*P<.05, **P<.01

実   験   Ⅱ

方    法

被験者 被験者は奈良教育大学の学生で、習得試行で学習基準に達した者40名であった.学習

(9)

238

玉 瀬 耕 治

基準に達しなかった者は、別に分析されたが、本報告では除外する。各群は10名(女9名、男1 名)であった。

材料 Taffel型言語条件づけ課題で、 140枚の刺激カードを使用した。各カードには、わたし は、あなたは、かれは、かのじょはという4つの主語となる人称代名詞と、実験Iとほぼ同じ3 音節動詞が1つずつ書かれている。

手続き 実験は、心理学実験室で個別に行われた。被験者は、部屋に案内され、テーブルをは さんで実験者と向い合ってすわった.テーブルの上には衝立がおかれ、実験者と被験者が互いに 見えないようにされている。刺激カードは衝立の中央の窓から呈示された。

初めに次のような教示が与えられた。 "これからしていただく実験は、ひとがどのように文章 をつくるかを調べるものです。これから何枚かのカ‑ドをお見せします。そのカ‑ドには、 4つ の代名詞(あなたは、わたしは、かれは、かのじょは)と1つの動詞が書かれています。 4つの 代名詞のうちの1つと動詞を使って、できるだけ短い文を作って下さい。実験中は、いっさい質 問を受けつけません。"

実験は、オペラント試行、習得試行(連続強化)、維持試行(部分強化)、および消去試行の順 に行われた。習得試行における手続きは、実験Iでは強化の組合せ法によって、正と負の強化を 用いたが、実験Ⅱでは"よろしい"という正の強化だけを用いた。その他の手続きは、実験Iと 同じであった。

全試行終了後、すべての被験者は、意識性などに関する質問を与えられた。質問項目は、表1 の1番から9番までとほぼ同じ内容のものであった。

結    果

表2の下段は、実験Ⅱにおける各群のブロックごとの平均規準反応数、学習基準に達するまで の平均試行数、および平均強化数を示したものである。また、図2は平均規準反応数について図

20ェ O OIOO^強化群

13

12

辛ll 均10 規9

8

7

6

5

4

3

0

O‑‑‑‑‑O 強化群

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I‑‑‑サト̲̲

ー 一六

オペラント    習得     維持     維持 (連続強化) (部分強化) (部分強化)

20試行ごとのブロック 図2 大学生における強化スケジュールの効果(実験Ⅱ)

ifi ‑i‑

(10)

示したものである。オペラント・ブロックについて分散分析を行った結果、 4群間に有意差は みられなかった(F‑1.59, df‑3/36)。学習基準に達するまでの平均試行数、および平均強化 数についても分散分析を行った結果、ともに有意差はみられなかった(それぞれF‑0.44, F‑

0.63,いずれもdf‑3/36)c これらの結果から、各群は等質であるとみなされる。

次に、平均規準反応数について、ブロックの要因を含む4×3の分散分析を行った。その結果 は、表3に示されている。この表から明らかなように、スケジュ‑ルの主効果とブロックの主効 果が有意であった。単純効果の検定の結果、スケジュールの主効果は、 100%群と67%群が0%

群よりも成績が良いことを示している(順に、 *‑2.55;t‑2.65,いずれも4/"‑36),ブロック の主効果は、 3つのブロック間とも差がみられることを示している。維持前半と後半の間では、

t (72)‑2.00で5%水準、維持後半と消去の間ではt (72)‑4.92で1%水準で有意であった。

維持後半ブロックから消去ブロックへの変化量で、消去抵抗を調べた結果が表4に示されてい る. 4群について分散分析を行った結果、 F (3/36) ‑1.96で有意ではなかった。しかし、 t検 定の結果から、実戯Iと類似の傾向が示唆されている。

表5は、実験後の内省報告の主な結果をまとめたものである。これらの結果から、実験Ⅱでは、

意識性および意図性を報告した者は全体の半数であり、 "よろしい"の意味を無意味と受け取っ ている者が多く、 "よろしい日の感じはいい感じと受け取っている者が多いといえる。

表4 維持ブロックから消去ブロックへの変化量

So

実  験 I 平均  SD t

2.5  4.29  1.75 5.3  3.57  4.45**

0.2  1.32  0.45 0.6  1.42  1.27

実  験  Ⅱ

巴g^m喝   円

3.1  3.16  2.94*

2.7  3.43  2.36*

0.8  1.87  1.28 0.5  1.07  1.40

*P<.05, **P<.01

表5 実験後の質問lノこ対する回答(人数)

意識性(3)*  意図性(7)   =よろしい"の意疎(8) "よろしい"の感じ(9) 群 人数 あり なし あり なし

100% 10 実験I 67# 10 (児童) 33% 10

Q96 10

計  40

5   5 1   9

i^^mi

3   7

12  28

100% 10 実験II 67% 10 (大学生    10

Q96 10  8

6   4 3   7 6   4 6   4

鮒 。 ‑ i

‑ I r H

答一t‑to tw

正j

無意味 その他 良い 中性 惑い

1    2 2    2 2    0

E ^^^K

21 19    25

3   7   1  1   8    0 6   4    6   2    2    0 6   4    5  1   4    1 5   5    4  1   4    0

計  40  20  20  20  20  16     18

* カッコ内の数字は表1の項目番号

O   O   O   r t

i n  

‑ r f

<

  蝣

*   c o

m (O io io

N   H   M   N

in oo in in

(11)

240

玉 瀬 耕 治

考    察

従来の強化スケジュールに関する研究では、同じ言語条件づけ課題を用いたものであっても、

Greenspoon型課題とTaffel型課題では、手続き上かなり異なる点のあることが文献の検討に よって指摘された Greenspoon型課題は自由オペラント課題であり、 Taffel型課題は一種の 弁別オペラント課題であるとみなされている(Kanfer, 1968),本研究では、 Greenspoon型課題 で一般に採用されてきた一定の連続強化後の部分強化の効果について、 Taffel型課題を用いて 検討した。

実験Iでは、従来の実験であまり用いられていない児童を被験者にし、実験Ⅱでは大学生を用 いた。その結果、実験Iでは維持試行において、 100^強化群と67%強化群の成績が33%強化群 と0%強化群より有意によく、消去試行に移るとかなり急激な減少を示した。習得試行から維持 試行への成績の上昇は、予期に反するものであった。実験Iでは、習得試行で正と負の強化の組 合せ法を用い、維持試行で、正の強化のみとしたので、負の強化がなくなったことによって、正 の強化がより有効に作用したのかもしれない。この問題は、強化の対比的効果の問題であり、別 に検討する必要があろう。

33%強化群は、 0%強化群に比べるとよい成績であった。この群では、消去試行へ移行したさ い、成績がほとんど低下しておらず、消去抵抗がより強いことを示唆している。ちなみに、消去 試行における各群について、 10試行ごとに成績を算出してみると、 100^強化群では、前半6.9、

後半6.8、 67%強化群では同順に、 5.7と4,4、 33%強化群では3.8と4.2、 0%強化群では2.3と 2.3であった。これらのうちでは、 67%強化群の変動がもっとも大きいように思われる。

この群の前半の成績が後半よりかなり良いので、 67%強化の後に、たとえば33%強化を挿入し たならば、より効果的に成績を維持することができるかもしれない。実際の臨床的場面では、最 初は、連続強化によって来談者のことばを強化し、その後は漸減的に部分強化から消去へと移行

していくのが効果的であると考えられる。ただし、消去抵抗をより明確にするためには、さらに 試行を重ねて検討する必要があろう。

大学生を用いた実験Ⅱの場合も、児童の場合と類似したものであった。しかし、 100^強化群 と67%強化群の成績は、児童の場合に比して、習得試行から維持試行へ移行するさいに、成績の 変動が少なかった。実験Ⅱでは、習得試行の段階から正の強化のみを与えているので、実験Iに

おけるような対比的効果は生じず、上昇がおこらなかったものと思われる。図2における習得ブ ロックの債は、学習基準(6/10)にもとづく仮想的な値であって、表2からわかるように実際は もう少し低い値である。したがって、この図における習得から維持ブロックへの移行は、必ずし も下降とみなすことはできない。維持から消去ブロックへの移行では、児童の場合と同様に、

100^強化群と67%強化群における下降が著しかった。これらの結果は、本研究とほぼ同じ強化 率を用いたDavid and Dielman (1968)の結果とも類似している。

実験後の内省報告から、 =よろしい日の意味の受け取り方が児童と大学生では少し違うことが わかる。児童の場合は、正答と受け取っている者がもっとも多いのに対して、大学生では、無意 味とみなしている者がより多い傾向がみられる。しかし、さらに"よろしい''の感じを尋ねれば、

児童でも大学生でも‖いい感じ"と受け取っている者が多くなっている。すなわち、大学生の場 合、 ‖よろしい"は情報としてほあまり意味を持たないが、与えられると快経験として受け止め

(12)

られるといえよう。

2つの実験から次のことが示唆できよう。 ①連続強化後の部分強化スケジュールは、強化率が 高いほど成績を維持するのに有効である。 ⑧消去抵抗は、強化率が低い場合により大である。言 語行動は、単純な運動反応に比べると、認知的要因などのより複雑な要因によって規定されてい るが、本研究は、言語行動においても、従来得られてきた部分強化効果が認められることを示唆 している。

要    約

言語条件づけ課題における強化スケジュールに関する従来の諸研究を検討したところ、次の3 点が指摘された。 ①ほとんどの研究は、大学生などの成人を用いている。 ① Greenspoon型課題 では、連続強化から部分強化スケジュールに移行する手続きを用いているのに対して、 Taffel 型課題では、習得段階で部分強化スケジュールを用いているものが多い。 ⑧ Greenspoon型課題 では、物理的強化を用いているものが多く、 Taffel型課題では言語強化を用いているものが多

い。これらのことから本研究では、 Taffel型課題を用い、児童を被験者にした場合(実験I) と、大学生を被験者にした場合(実験T)について、連続強化による学習基準到達後の部分強化 スケジュールの効果を検討したO

刺激カ‑ド上の主語となることばは、実験Iでは人名を用い3、実験Ⅱでは代名詞を用いた。オ ペラント20試行の反応にもとづいて、各被験者の規準反応を定め、その後の習得試行においては、

実験Iでは正と負の強化の組合せを用い、実験IIでは正の強化のみを用いた。連続強化によって 10試行中6回規準反応という学習基準まで学習させた後、維持40試行を行わせた。ここでは、各 被験者は10096強化、 67%強化、 33%強化、または0%強化のいずれかの条件へ割り当てられた。

各群の人数は10名であった。その後、消去20試行が行われた。

その結果、実験Iでは、維持試行において、 10096強化群と67%強化群は、 33%強化群と0%

強化群よりも成績が良く、消去試行に移るとかなり急激な減少を示した。また33%強化群は0%

強化群よりも成績が良く、消去試行では、成績が低下しなかった。実験Ⅱでも、維持試行では 100S強化郡と67%強化群の成績が良く、消去試行での成績の減少が著しかった。これらの結果 は、連続強化後の部分強化スケジ3:ルにおいても、従来の研究と一致する傾向がみられること を示唆している。

引 用 文 献

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〔附記〕 本研究を行うにあたり、実験Iでは黒川明子さん(岡山県阿哲郡刑部小学校勤務)、実験Ⅱでは北 原(旧姓末光)薫さん(大阪市中遺小学校勤務)のご協力を得ました。記して厚く感謝の意を表します。

(14)

Effects of the Schedules of Verbal Reinforcement upon Verbal Conditioning

Koji Tamase

Department of Psychology, Nara University of Education, Nara, Japan (Received April 30, 1980)

A brief review of previous studies on the effects of reinforcement schedules upon

verbal coJiditioJlil一g suggested that (1) ill most studies adults were used as subjects, (2)

in the Greenspoon type task partial reinforcement was introduced after acquisition trials, while in the Taffel type task partial reinforcement was used from the beginning of acquisition trials, and (3) in most studies with the Greenspoon type task physical rein‑

forcements were used, while in many studies with the Taffel type task verba一 reinforce‑

ments were used.

Considering these suggestions, two experiments using a similar procedure were per‑

formed to examine the effects of the partial reinforcement schedules upon verbal condi‑

tioning in a Taffel type task with the procedure changing from continuous reinforcement to partial reinforcement. In Experiment I elementary school children were used as the subjects, and in Experiment II undergraduates were used. On the bases of 26 0perant responses, the critical response of each subject was determined. In Experiment I positive reinforcement (right) was given for every critical responses and negative reinforcement

(wrong) for the non‑critical responses during acquisition trials. The learning was con‑

tinued to a criterion of 6 critical responses out of 10 trials. Then the partial reinforce‑

ment schedule was induced through next 40 trials. Only the positive reinforcement used in these trials and the subject was assigned to either one of lO0%>,ァ7%, 03%, Or

o % reinforcement schedules. After these reinforcement schedules, 20 extinction trials

were given.

The main results in Experiment I were as follows: (a) in the partial reinforcement trials performances in lOO^j and ¥u% reinforcement groups were superior to those in 33%

and 0% reinforcement groups, (b) in the extinction trials the 100^ and ol% reinforce‑

ment groups showed steeper decrement of performance, (c) performance in

forcement group was superior to that in O% reinforcement group in partial reinforcement trials, and (d) the performance in 33^ reinforcement group was maintained through extinction trials. The results in Experiment II were similar to Experiment I. These results suggest that the effect of partial reinforcement schedule after continuous rein‑

forcement in the Taffel type task was in line with previous studies.

参照

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