奈良教育大学学術リポジトリNEAR
子供の言語条件づけに関する研究
著者 玉瀬 耕治
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 6
ページ 87‑98
発行年 1970‑02‑27
URL http://hdl.handle.net/10105/6197
子供の言語条件づけ1二関する研究
玉 瀬 耕 治 (心理学教室)
1 子供に関する文献的研究
人間の行動修正の過程、心理療法やカウンセリングの過程を理解するために、言語条件づけの名 のもとで多くの研究がなされてきた。これらの研究は、親や教師が子供に与える影響について科学 的な理解を深める上でも重要な意味をもっているように思われる。とりわけ、子供を被.験者にした 言語条件づけの研究はその示唆するところが大きい。子供を用いた言語条件づけの研究の数は、お
となを用いた場合と比較すればきわめて少ないが、以下にそのいくつかを正常児に関するものと障 害児に関するものとにわけて紹介する。
<正常児を用いた場合>
Lo v a as(1961)は言語的な攻撃反応の条件づけが、非言語的な攻撃的行動に般化す.るかどう かを確かめる実験を行なった。まず、14人の幼梅園児を被験者にしてテーブルの上の人形どおも ちゃで遊ばせ、攻撃的行動の自発量を測定した。沢に、別のテーブルの上の}よい人形 と間悪い 人形 について話をさせた。そして半数の被験者には人形に関する攻撃的会話を強化し、残りの被 験者には攻撃的でない会話を強化した。強化はいずれの場合も小品を与えることによってなされた。
その後で、ふたたび前の人形どおもちゃで遊ばせ、両群の攻撃的行動の増加量を比較した。その結 果、攻撃的行動の割合は攻撃的な言語反応をするように条件づけられた者の方が、攻撃的でない言 語反応に条件づけられた者よりも有意に多かった。それゆえ、LOVa aSは子供の非言語的な攻撃 的行動の統制は言語的な攻撃的行動を操作することによって達成されると述べている。S a1zin ger ら(1962)は5才から7才までの子供を被験者にし、課題として、バリコのピエロに話しかけさ せる方法を用いた。ピエロの鼻の先は赤い電球でできていて、ピエロが幸福な時にはそれがつくの だと告げられ、子供の会話が赤い鼻の点燈によって強化された。不定率強化、定率強化、人称代名 詞強化などの強化計画のもとで実験が行なわれた結葉、いずれの場合においても子供の連続的な会 話の量は増大した。また、強化が与えられたくなると消去の効果がみられたJ
一般に、言語条件づけの研究にはTa ffe1(1955)が用いた課題あるいはその変形が用いられ ることが多い。これはカード上のいくつかの人称代名詞と動詞を使って文章を完成させる方法で、
あらかじめ決められた代名詞、たとえば0I とか}Th.y を言語的または非言語的強イビによっ て条件づけるやり方である。子供にこの課題を初めて適用したのはRow l ey and Ke l l e r
(1962)であった。彼らはTa ffe lと同じく6つの人称代名詞と過去形動詞を使い、第一人称を 強化した。90人の小学生を被験者にし、言語的承認}9ood で強化、身体運動的承認h e ad
nod一七強化、および強化なしの3群を構成した。実験の結果、2つの承認群では有意な条件づけ の効果がみられ、さらに、o good の効果はhe ad nodの効果よりも大であった。この研究で は児童用顕在性木安尺度によって被験者の不安水準も測定され、高不安者と低下安者の言語条件づ
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けの成績が比較されている。しかし、両者の間に有意な違いはみられなかった。また、被験者の性 や実験者による違いもみられなかった。
Row1ey and Ke l i er(1963)は同じ手続きで中学生90人について実験を行ない、発達 的変化を追求した。その結果、}9o od の効果は得られたが、小学生の場合とことなり、h e ad
nodの効果は得られなかった。また、不安水準や被、験者の性、実験者による成績の違いはこの実 験でもみられなかった。さらに、Row1ey and St one(1964)は、さきの2つの研究と同じ 手続きで、教師の言平定による被験者の性格の違いを扱った。48人の小学生が被一騎老として用いら れた。彼らは教師が評定したPeterson,D.R、の問題チェックリストの得点にもとづいて、P 群(衝動抑制型)とO群(衝動表出型)に分けられた。実験の結果、性格をこみにした実験群では 有意な条件づけの効果がみられたが、この研究の主た関心である性格による成績の違いはみられな かった。また、被一騎老の性や実験老の性による違いもみられたかった。
Meye r,Swan s on,and Kauc h ac k(1964)も子供に対する言語条件づけの可能性につ いて、Ta ffe1型の課題でかなり組織的な研究を行なっている。第1実験では被一験者の年令と性 を変数に入れて、強化}good一 による条件づけの可能性を調べた。課題は代名詞間I と敵意動詞 または中性動詞を使って文章を完成することセあったコ4年生と6年生あわせて120名を用いそ実験した結果、
敵意動詞への有意な条件づけの効果がみられた。しかし、年令および性による成績の違いはみられ なかった。第2実験では知能水準による成績の違いを調べた。4年生の高IQ群(IQの平均13・3.3)
と低IQ群(IQの平均102.9)それぞれ15名ずつの成績が比較された。その結果、頭のよい子供の 方がやや条件づけられやすい傾向がみられたが、統計的に有意ではなかつた。第3実験では強化刺 激の違いについて検討した。刺激カードには4つの代名詞と敵意動詞または中性動詞のいずれかが
タイプされており、ここでは代名詞}They 一が強化された。強化の型x動詞の種類の要因計画で、
強化の型は、一間go6d ,1i g−h t f l a s hでそれが}go od を意味する場合、および1i gh t f1a s hのみの3つであった。動詞には敵意動詞と中性動詞が用いられた。これは間Th e y の自 発量が動詞の種釦によって影響されるかどうかを検討するためであった。小学3年生について実験 した結果、}They の増加は敵意動詞と結合した場合により大きく、また、その効果は特に社会 的強化(鵯g ood および}go od を意味するl i gh t f1as h)の場合に大きいことが発見さ
れた。
Ge1fand−and Si nger(1965)は般化の問題を扱っている。5年生の女児白O 名に、ま ず、同年令同性の子供の写真50枚、異年令同性15枚、同年令異性15枚からなる80枚の写真に
ついて、good_b ad,p−e a s an t_unp1e a s an t.w i s e_f o o1i s h の3つの形容詞
対上に7段階評定を行法わせた。つぎヒ、同じ写真についセ、形容詞対のどちらか一方を選ばせる 方法で評定させた。そして一同年令同性の写蜘椥こついで稜験者の去には・…また1ま・1・一
・・㎜tを逮んだ場合に強化し一他の去1どは…または…1・・…tを選んだ場合に強化した。
残りの古には強化しなか一た。毛の結果、同年令同性の鞍に対する条件づけの効果がみられ、特 にbadとunp1e a s an t一 ノ対する効果が大きいかった。また、同年令異性への刺激般化もみら れたが、異年令同性への般化は土しなかった。wi s e縦はf oo1i shへの反応般化ぽ同年令同性あ 場合と、同年令異性の場合に生じ、異年令同性の場合には生じなかった。これらのことから著者ら
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は、条件づけの般化が世よりも年令の次元にそっておこるものと解釈している。
おとなの言語条件づけの研究では、しばしば意識性の問題がとりあげられている。ここでいう意 識性とは被験者の反応とそれに対する実験者の反応との間の一定の関係に、被験者が気づいている
かどうかということであり、これと成績との関係が問題にされる。子供について意識性を扱った研 究にWong.Har−son,and StopPer(1966)のものがある。彼らは意識性が成績を媒介 するかどうかを調べるため、5年生の子供を用い、Ta f f e1型で強化と試行間活動の組み合わせ により5群を構成して実験を行なった。意識性の調査には、従来の研究で用いられた5項目の質問 に、「もしあなたがある代名詞をいった後で、いつも私が『よろしい』といったとすれば、I,㎜;,
SHE,WE,YOU,またはTHEYのうちのどれだったと思いますか。」という1項目を加えた。実 験の結果、強化のみ与えた群と、強化を与え、その後で試行間活動(色名呼称)をさせた群におい て成績が上昇した。そしてこれらの群について意識性を調べたところ、第5項目までの質問に関し ては試行間活動をさせた群の意識性が強化のみを与えた郡よりも著しく少なかった。この結果は、
意識性が試行間活動によっそ妨害されてもなお強化によって成績が自動的に上昇するというDixon and Oak e s(1965)の主張と一致するIものである。ところが、との2群について意識性の第6 虫目の質間の結果を調べたところ、」両群で意識性のある被験老の数はほぼ同数となり、ともにその 他の強化群よりも多かった。そこで彼らは、結論的には、言語条件づけで学習されるものは意識性
であり、発見される意識性の量は質問紙の感受性の関数であるとのぺている。
一Di t r i c hs,S imo・n一,a口d Gr−ee ne (1967)は代理強化の問題を扱っている。この種の研 究はモデルの条件づけを観察したり、そのテ山プを聞くことによって代理的に強化された被験者が 条件づけを獲得できるかどうかを調べるものである。Di t r i c hsらは7,8,9学年の子供口af兵e1 型の課題を実施した。第1実験ではテ⊥プによる代理強化の与え方に関して5つの条件、その後の 転移試行に関して3つの条件が設けられた。実験の結果、ブロサクごとに強化の割合が増加するテ ープを聞いた被験者は、その直後の転移試行で敵意動詞および中性動詞の両条件づけに促進的影響 をうけた。また、ラソグムた代理強化を受けた被験者は転移試行で中性動詞の条件づけが促進され た。第2実験てば先の実験で残された問題一が吟味され、テープのモデルが必ずしも強化を受けなく ても条件づけは促進されることや、敵意動詞を含む文章構成には代名詞0I を用いるよりも 町 を用いる方がより効果的であることなどが明らかにされた。
正常児を用いた9つの研究について上1上述べたが、一ここで取りあげられた問題は、子供に対する 言語条件づけめ可能性、強化の型による違い、一被験老の性格や知能、隼令や性による違い、般化の 問題、意識性の問題、代理強化の可能性などであった。課題1まTa f士e i型のものが多く、結果と して子供に対しても言語条件づけは可能であること、その効果は強化の型や意識性とも関連して異 なること、般化や代理強化もある程度おこりうることこ被験者の年令や性による違いはあまり著し
くないことなどが示唆された。次に精薄や非行を含む障害児を被験者にした研究を紹介する。
<障害児を用いた壌合〉
P a t t e rs on,He1p er,and Wi l l c o t t(1960)は分裂病などを含む11才前後の40人
の精神障害児に単語連想作業を行なわせ、動詞反応をしたときに輸あなたはうまくやっています というような簡単なことばで強化した。その結果、動詞反応は増加し、その増加量は臨床的た行動
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観察や度膚電気反射によって測定された不安と負の相関を示した。彼らはこれを、高い不安が複雑 な言語反応の獲得を妨害するというアイオワ学派の理論によって説明している。St on e,Row1ey.
and Ke l l e r(1968)は、Ta f f e1型の課題を用い、情緒障害児を被験者にして、正常な小 中学生を用いたRow l eyらの初期の2つの研究(Row1ey&Keリe r・1962;1963)の
結果と比較している。実験の結果、li青緒障害児の場合は正常児と異なり、条件づけが成立したかっ た。また、この傾向は学年水準によっても異ならたかった。
Eps t e i n(1964)はぜん息の子供を用いて承認の要求と言語条件づけの関係を検討した。
Ta f f e1型で敵意動詞または中性動詞の条件づけを行なった結果、承認の要求の高い子供の方が それの低い子供よりも条件づけられやすかった。また、承認の要求の低い子供の場合は中性動詞に 対する条件づけがよく、その要求の高い子供の場合は敵意動詞に対する条件づけの方がより効果が 大きかった。しかし、この承認の要求と強化動詞の交互作用については意識性とおおいに関係があ ることが明らかにされた。すなわち、条件づけの効果が大きかった2つの群には、いずれも意識性 ありと判定された被験老の数が多いことがわかったのである。一
精神薄弱児を用いた研究もいくつか見られる。Doubr o s(1967)は14才から19才までのレ
ベル皿一 iIQ54〜70)の精薄児を用いて言語条件づけの可能性を調べた。課題は力一ドに書かれ
た人問、動物、一 ィよび自然に関することばの中から1つ選ぶことである。実験の結果、人間と動物
に関することばに対しては条件づけが成立したが、自然に関することばへの条件づけはできなかっ た。Doubr o s(1968)はこの研究を補足するため、同じ手続きで、12才から19才までのレベ ルI(IQ70〜83)の精薄児について追実験した。その結果、先の研究の場合と同様に、人問と 動物に関することばでは条件づけが成立し、自然現象に関することばでは条件づけてきたかった。
言語条件づけが非行少年においても可能であるかどうかということも興味ある問題である。Pers㎝s
(1968)は施設に収容されている17才から19才までの80人の犯罪者を被験者にしてTa f f e1 型の実験を行なった。実験者×.動詞の種類の要因計画で、実験者に関しては同居伸間の実験者とお
となの専門家の実験老、動言句に関しては敵意動詞と罪の自覚を示す動詞が用いられた。実験の結果、
非行少年(社会病質老)に対しても言語条件づけは可能であり、また彼らは敵意的な内容に対して よりもむしろ罪の自覚を示す内容に対して、より容易に条件づけられることが示された。さらに、
彼らは同居仲間の実験者よりもおとなの実験者によって強化された時、敵意動詞をより多く自発す ることも発見された。
障害児を用いた6つめ研究について上に述べたが、これらの被験者の中には分裂病などを含む精 神障害児、一情緒障害児、ぜん息の子供、精神薄弱児、および非行少年が含まれている。結果につい ては条件づけが成立している場合もあるし、失敗している場合もあり、まとまった研究の数も少な いのセこれらの結果についてここでまとめて論ずることはあまり意味をなさたいかもしれない。最 後にわが国で行なわれた子供に関する言語条件づけの研究を紹介する。
<子供を用いた日本での研究〉
横田(1965)は小学校5年生の男女45名を被験者にし、承認群、否認群、統制群を構成した。
課題は「私の家庭」について被験老に話させることであった。6分問のオペラント期問の後、その 会話のうちの「私は」、「私に」などの自己関与の口述に対して、首を縦にふる、ほほえむなどに
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よる承認、または、首をかしげる、眉をひそめるなどによる否認を与えた。その結果、承認の効果 は得られなかったが、否認の効果が認められ、その効果は消去期間にも持続した。また、横田(19 66)は小学5年生80名を被験者にしてT3f f e1型の実験を行なった。刺激カードには6つの代 名詞とBa l e s,R.F.の12のカテゴリ にあてはまる動詞が書いてある。強化の型によって次の
5群が構成された。すなわち、言語による承認群、身ぶりによる承認群、言語による否認群、身ぶ りによる否認群、および強化なしの統制群である。実験の結果、言語と身振りをこみにした承認群 と否認群の二間で有意た差が認められた。また、統制群と比較すると有意ではないけれども承認群で は規準反応が増加し、否認群では減少する傾向がみられた。そしてその効果は消去期まで持続した。
平井・林(1966)は幼稚園児および小学2年生を被.験者にし、Taffer型の課題を子供にあ うように改良して使用した。彼らは人称代名詞のかわりに、男児の絵と、ぞう、さる、うし、うま、
いぬの5つの動物の絵を使った。被験老が男児の絵を用いたときに強化刺激として言語強化}はい、
よろしい または機械的強化カウンターのクリック音が与えられた。その結果、幼稚園児では言語 的強化と機械的強化の両方で条件づけが成立したが、小学生では言語的強化のみが有効であった。
さらに、平井・林(1967畑先の研究をくり返し、強化刺激にうたづきを加えることの効果を検討 した。そめ結果、幼稚園児には言語的強化と機械的強化はともに条件づけに有効であり、また、2 つの強化のうち言語的強化の方がより効果が大きいことが明らかにされた。この強化の効果は消去 期間にも持続し、規準反応は消去期間においてむしろ増大する傾向がみられた。
ここに、日本における4つの研究を含めて子供の言語条件づけに関する19の研究について簡単こ 紹介した。これらの研究から、一般的に子供に対する言語条件づけは可能であると結論してもさし っかえないであろう。このことは、教育の現場にあてはめてみた場合、親や教師が半ば無意識的に、
くり返し子供に与えている簡単なことばや身ぶり、表情などによる承認または否認が、大きく子供 の態度や行動を変えていくことを示唆している。今後、親や教師の行動のどのような側面が子供に どのような影響を与え、また、どのような性格の子供がより影響を受けやすいか、あるいは、どめ よ。うた雰囲気の中で親や教師と子供の間により大きな相互の影響がみられるか、といったことの裏 づけとなる実験的証拠をさらにつみ重ねる必要があろう。
皿 実験的研究
先の章で子供の言語条件づけと関するいくつかの研究についセのべたが、ここでは社会的承認の 要求を変数にした実験的研究を報告する。社会的強化の効果の個人差を問題にする場合、実験者を
いかに認知し、彼あ考える強化をいかに受けとめるかが重要な要因であると考えられる。同じ強化 でも、ある老には毛れが承認としての重要な意味をもち、 ある者にはそれほど承認の意味をもたな いかもしれない。このような強化に対する個人の内的な要求はふつう承認の要求とよばれている。
0r=own e and S t r i ck1and(1961)はこの承認の要求と言語条件づけの関係を問題にし
ている。 ゙らは承認の要求の高い者は、強化が承認の意味を含む言語条件づけ課題において、その 要求の低い者よりもより多く反応の割合を増すであろうと予想した。思いづくことばを言わせ、そ
のうちの複数名詞を強化するG・e』nspo6n(1915)型のやり方で、正の強化として電㎜一h㎜
負の強化として u h−uh を痛いた。その結果、正の強化を受けた承認動機の高い被験者は、そ
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れの低い被験老や統制群に比べて複数名詞をより多く自発し、逆に、負の強化を受けた場合は承認 動機の高い被験老の複数名詞の反応率がもっとも低かった。O rowneらのたてた予想をMar1owe
(1962)は自己についてのいい面を述べた場合に正の強化を与える方法でたしかめた。また、
Ma r1oweら(1964)はTa f fe1型の課題を用い、共謀者の実験を観察させ代理強化を与える1 方法で、Or own eらの一予想を支持する結集を得ている。さらに、Sc h i l1(1966)は顔の写真 の偶発的記憶におよぼす言語的強化の効果が、承認動機の高い被験者でもっとも大きいことを発見
している。
_方、Sp i e1b e rge rら(1963)やKa t k i nら(1966)は、承認の要求の強さによる条件
づけ可能性のちがいを否定する結果を得て、言語条件づけのより重要な要因として意識性の有無を 問題にしている。しかし、上に述べたいくつかの研究の結果から、一般的な傾向として、承認の要 求の高い者は、その要求の低い者よりも社会的強化によってより容易に条件づけられるであろうと いうことが示疫されるように思われる。ところで、これらの研究はいずれも大学生を被験者にした 場合についての報告である。子供については、先の章に引用したEps t e i n(1964)のぜんそく の子供に関するもの以外はあまりみられない。そこで本研究では正常な子供を被験者にして、承認 の要求と言語条件づけに関する上の予想を検討する。
方 法
実験計画 2×2の要因計画で、強化に関して、規準反応強・化とランダム強化、承認動機に関し て高い場合と低い場合が設けられた。
被験者(Ss) 奈良市立伏見小学校4年生4クラスの児童男女114名(男6工,女53)が実験に参 加した。これらの§sのうち約3ヵ月前に実施された社会的承認の動機め質問紙(杉村・玉瀬・山本,
1969)で得点の高い者からω名(男19,女21)、得点の低い老から40名(男23,女17)が選 ばれ統計的分析を受けた。これらのSsの承認動機の得点の平均と範囲は表1のとおりである。
表1 各群の社会的承認動機の得点の平均と範囲 強 化 動機の高い群 動機の働・群
平均範囲 平均範囲 男16−315〜I8 9.76〜12 規準強化・
女16,515〜19 9.16〜12 男15,915〜1810.45〜13
ランダム強化 一
女151815〜1710,66〜14
手続き T a f f e1型の課題が用 いられた。80枚の刺激カードにはそ れぞれ賀集・石原(1962)より選ん だ3音節動詞と、小学校の教科書に よく使用されている「たろう」,「は なこ」,「よしこ」,「まこと」という 4つの人称名詞がランダムな順序に書いてある。従来行なわれてきたTa f f e1型の文章完成課題 においては人称代名詞I,WE,HE,SHE、丁冊Y,YOUが使われているものが多く、わが国におい ても、これをそのまま採用している場合が少なくない。しかし、横田(1966)の研究からも示唆 されているように、わが国で日常使用する代名詞としては「わたし」が圧倒的と多く、したがって、
それを規準代名詞とすることには問題があるといえよう。本研究ではこのことを考慮して、使用頻 度の点でも、なじみやすさの点でも適当と思われる4つの人称名詞を採用することにした。
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おのおのの§は小学校内に設けられた仮実一験室で個別に実験を受けた。旦に与えられた教示は次 のとおりであった。「あのね、先生はいま国語の勉強のことをいろいろ調べているんですよ。それ で、4年生の人ではどれくらいいろいろなことを矢口っているか知りたいのです。だからテストをす
るのではありよせんから、安心してどんどんしゃぺってくださいね。やり方をいいます。ここにた くさんのカードがありますが、(練習カ.ドを呈示しだから指さして)ここに、『はなこ』さんと rよしこ』さんと『まこと」さんとrたろう」さんという4入の名前とrぬれるJということばが 書いてありますね。4人のうちの誰かと「ぬれる」ということばを結んでみましょう。はい、『ま
ことさんは雨にぬれる」でもいいし、もし、むつかしいなと思ったら「よしこさんはぬれる・」でも いいんですよ。このようにして、ここにあるカー一ドの名前どことばを結びつけてください。この次 のカ■ドには『ぬれる』ではなくてちがうことばが出てきます。やり方はわかりましたか。それで はやってみましょう。どんどん続けてくださいね。」
最初の20試行はすべてのSsが第5,1O.15,20試行目を反応のいかんにかかわらず、うなづき と「フム、よろしい」で強化された。第20試行目が終ると白紙が呈示され、ただちに、そこまで の試行での人称名詞の使用一頻度が算出された。その後ひき続いて60試行が行なわれた。その期間、
実験鉾の遺sは最初の20試行で出現頻度が2位および3位の人称名詞を強化され、統制群の§sは 5試行目ごとにラソグムに強化された。全BO試行が終るとそれに要した時間(分単位)が記録さ
表2意識性に関する質問項目
1.これをしていてあなたは何かに気づきましたか。
2.いまあなたがしたことはおもしろかったですか、おもしろくなかったですか。
3.先生が何かしていたことに気がつきましたか。
4.先生が「フム、よろしい」といったのを知っていますか。
5.どんな時にいったか知っていますか。
6.先生がrフム、よろしい」といった時、どんな気持ちがしましたか。悪い気持ちでしたか、
いい気持ちでしたか。
7.先生にできるだけ「フム、よろしい」といわせようと思いまし一たか。
れ、その後、実験群の量sに対しては表2に示された意識性に関する7項目の質問がヵ一ドによっ て呈示された。この質問項目は、反応と強化の関係についての意識性そのものよりも、むしろ、子 供の強化への動機づけを測定することに重点がおかれている。各項目での得点は1点またはO点で ある。実験は昭和43年10月8日から11月1日までの間に行なわれた。
結果と考察
表3は各群の規準反応の平均を示したものであり、図1はこれを図示したものである。統制群に ついてはそれぞれのSの最初の20試行における人称名詞の出現頻度が2位および3位のものについ てその反応の平均を示した。表4は試行の要因を含む2×2×4分散分析の結果をまとめたものであ る。この表で明らかなように、強化、承認動機、試行の主効果はいずれも有意にならず、強化X試 行の交互作用がF(3,228)=2.67,P<.05で有意とたった。そこで、誤差項を用いてブロック
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表3各群の規準反応の平均 ・動機の高い群 ○動機の低い群
20試行ごとのブロック 11u
強 化 承認動機 人数 一規準強化
規準強化忠1111111{llべ軌… ?^1
ランダム強化玉い209・894 049・7反 O。ソノ。㌔一・
低い20 α 9H八王嚢 !.、/、 ・
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