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博士論文要旨 論文題名:健康増進をねらいとした低酸素環境での

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

論文題名:健康増進をねらいとした低酸素環境での 運動の効果に関する研究

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科 スポーツ健康科学専攻博士課程後期課程

もりしま たくま 森嶋 琢真 背景

生活習慣病への羅患者の増加に伴い、効果の高い合理的なトレーニング方法の立案が健 康運動科学分野における急務の課題になっている。このことに関して、健康増進に対する

「低酸素刺激」の有用性が注目を集めている。先行研究では、厳しい低酸素環境(酸素濃

度 13.0 %以下)での安静や運動(トレーニング)が糖代謝の改善や食欲の抑制に有効であ

ることが示されているが、中程度(酸素濃度14.0 % ~ 16.0 %程度)の低酸素環境を用いた際 の効果は明らかにされていない。

目的

中程度の低酸素環境に焦点をあて、低酸素環境での安静時や運動時における代謝内分泌 動態や食欲調節の変化を検討すること、および低酸素環境でのトレーニングの効果を検討 することを目的とした。

方法

【研究課題1】

研究課題 1 では、中程度の低酸素環境での食後における血中グルコース濃度やエネルギ ー代謝、主観的食欲の変化を検討することを目的とした。健康な男性 8 名を対象に、①通 常酸素環境(酸素濃度 = 20.9 %)で7時間安静にする条件、②低酸素環境(酸素濃度 = 15.0 %)

で7時間安静にする条件を設定し、2回の食事を摂取した際の代謝内分泌応答およびエネル ギー基質の利用、主観的食欲の変化を検討した。その結果、中程度の低酸素環境への一過 性(7時間)の曝露は、食後における血中グルコース濃度やエネルギー代謝、主観的食欲に 影響しないことが明らかになった。

【研究課題2】

研究課題 2 では、中程度の低酸素環境での運動が代謝内分泌応答およびエネルギー基質 の利用に及ぼす影響を、肥満者を対象に検討することを目的とした。肥満男性 8 名を対象 に、①通常酸素環境(酸素濃度 = 20.9 %)で安静にする条件、②通常酸素環境(酸素濃度 =

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20.9 %)で運動する条件、③低酸素環境(酸素濃度 = 15.0 %)で安静にする条件、④低酸素 環境(酸素濃度 = 15.0 %)で運動する条件からなる4条件を設け、7.5時間にわたり代謝内 分泌応答やエネルギー基質の利用、主観的食欲の変化を検討した。その結果、肥満者にお ける低酸素環境での一過性の運動は、内分泌応答や食欲調節に影響を及ぼさないが、通常 酸素環境での運動と比較して運動中や運動後における糖利用を亢進させることが明らかに なった。

【研究課題3-1】

研究課題3-1では、低酸素環境でのトレーニングの効果を生活習慣病リスクに関わる多様 な観点から検討することを目的とした。肥満男性20名を対象に、通常酸素環境(酸素濃度

= 20.9 %)または低酸素環境(酸素濃度 = 15.0 %)での最大酸素摂取量の55 %に相当する

強度で、60分間のペダリング運動を週 3 回・4 週間実施した。トレーニング期間前後にお いて、最大酸素摂取量、体組成、血管硬化度、空腹時および食後の血液成分の変化を検討 した。その結果、低酸素環境でのトレーニングは通常酸素環境でのトレーニングに比較し て、食後における血中グルコース濃度の上昇抑制に対して有効であることが明らかになっ た。一方で、最大酸素摂取量、体組成、血管硬化度や食欲調節の改善に対するより一層の 効果は認められなかった.

【研究課題3-2】

研究課題3-2では、低酸素環境でのトレーニングが生活習慣病リスク因子に及ぼす影響を トレーニング期間の相違と関連付けて検討することを目的とした。肥満男性21名を対象に、

週6回・2週間の低酸素環境でのトレーニングを行う群、または、週3回・4週間の低酸素 環境でのトレーニングを行う群を設け、低酸素環境(酸素濃度 = 15.0 %)での最大酸素摂

取量の65 %に相当する強度で60分間のペダリング運動を実施した。トレーニング期間前後

において、最大酸素摂取量、体組成、血管硬化度、空腹時および糖負荷後の血液成分の変 化を検討した。その結果、週3回・4週間の低酸素環境でのトレーニングは、週6回・2週 間の低酸素環境でのトレーニングに比較して、インスリン感受性の改善に対する効果が大 きいことが明らかになった。

結論

上述の結果から、軽度の肥満者において、中程度の低酸素環境での運動は通常酸素環境 での運動と比較して糖代謝を一過性に亢進させること、低酸素環境でのトレーニングを継 続することにより糖代謝の改善に対する効果を期待できることが明らかになった。したが って本研究は、中程度の低酸素環境で行う運動(トレーニング)が糖代謝の改善を中心と した健康増進に有効であることを新たに示唆するものである。

参照

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