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博 士 ( 環 境 科 学 ) 山 本 彬 友 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 環 境 科 学 ) 山 本 彬 友 学 位 論 文 題 名

Abrupt change in oceanic biogeochemical cycles      ●   ●

    assoclatedWithglobalWarmlng

     (地球温暖化に伴う海洋物質循環の劇変に関する研究)

学位論文内容の要旨

  海 洋 に よ る 人 為 起 源 二 酸 化 炭 素 の 吸 収 や , 氷 期 間 氷 期 サ イ ク ル の 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 変 動 に 対 す る 海 洋 の 役 割 な ど , 数 値 モ デ ル を 用 い た 海 洋 物 質 循 環 に っ い て の 研 究 は 国 際 炭 素 循 環 モ デ ル 相 互 比 較 研 究 計 画(OCMIP)や 国 際 古 気 候 炭 素 循 環 モ デ ル 相 互 比 較 研 究 計 画QCvnP)を 中 心 に 行 わ れ て き た . 本 論 文 で は そ れ ら で 使 用 さ れ て い る モ デ ル な ど に お い て 今 ま で 考 慮 さ れ て い な か っ た ,2つ の 急 激 な 海 洋 物 質 循 環 の 変 化 に っ い て モ デ リ ン グ , 解 析を行った.

  2章 で は 広 範 囲 の 海 底 か ら 放 出 さ れ た 大 量 の メ タ ン が 大 気 に 到 達 す る の か に つ い て 研 究 を 行 っ た . 過 去 と 現 在 の 地 球 温 暖 化 に お い て , 海 底 堆 積 層 中 の メ タ ン ハイ ド レー トの 分解 や 火 成 活 動 に よ る 有 機 物 の 熱 分 解 に よ り 海 底 か ら 大 量 の メ タ ン が 大 気 海 洋に 放 出さ れる こと で 温 暖 化 が 加 速 さ れ る 可 飽 陸 が 指 摘 さ れ て い る . し か し , 海 底 か ら 放 出 され た メタ ンが 大気 に ど の 程 度 届 く の か 分 か って いな いた め, 引 き起 こさ れる 温暖 化 の程 度は よく 分 かっ てい ない . 現 在 観 測 さ れ て い る 規 模 の メ タ ン シ ー プ で は 海 底 か ら 放 出 さ れ た メ タ ンは 大 気に 到達 する こ と な く 全 て 海 水 中 に 溶 解し てし まう が, 広 範囲 の海 底か ら放 出 され た大 量の メ タン は海 水を 飽 和 し , 一 部 の メ タ ン が 大気 に到 達す るか も しれ ない .そ こで , 海底 から 連続 的 に放 出さ れる メ タ ン の 泡 の 発 達 過 程 と 水 柱 の メ タ ン 濃 度 を 計 算 す る1次 元 モ デ ル を 開 発 し , 泡 が 大 気 に 到 達 す る の に 必 要 な 水 柱 の メ タ ン 飽 和 度 を 計 算 し た . 観 測 で 典 型 的 な 初 期 半 径 が0.3ー0.6 cmの 泡 が 海 面 に 到 達 す る 為 に は 水 柱 の 飽 和 度 が90一45%必 要 な こ と が 示 さ れ た . 次 に モ デ ル で 計 算 さ れ た 泡 が 大 気 に 到 達す るの に必 要な メ タン 投入 量と ,海 底 下の メタ ン量 を 比較 する こと で 海 底 か ら 放 出 さ れ た メ タ ン が 大 気 に 到 達 す る か を 議 論 し た . そ の 結 果 ほと ん どの 場合 で, 典

型的な海底下 のメタン存荏量(約2%とい う典型的をハイドレートフ ラクションとハイドレートの約

2/3の量 の フリ ーガ ス) は メタ ンの 泡が 大気 に 到達 する 為に 必要 な メタ ン投 入量 よ り十 分に小さ い 事が 示さ れた . っま り, 非常 に大 き なメ タン フラ ッ クス で海 底からメタンが 放出される場合を 除 い て , 大 規 模 な メ タ ンハ イド レー ト分 解 によ って 海底 から 放 出さ れた 大量 の メタ ンは ,直 接 大 気 に 到 達 せ ず に 海 水 に 溶 け る こ と が 本 研 究 で 初 め て 明 ら か に な っ た ●そ の ため ,過 去, 現 在 の 地 球 温 暖 化 に 関 し て, メタ ンハ イド レ ート の分 解に よる メ タン の放 出は 地 球温 暖化 を劇 的 に 加 速 さ せ る こ と は な いか もし れな ぃ. 一 方,5500万年 前に ノ ルウ ェー 沖で 起 きた とさ れる 熱 分 解 生 成 メ タ ン の 放 出 規 模 は , モ デ ル で 計 算 さ れ た 泡 が 大 気 に 到 達 す る の に 必 要 な メ タ ン

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投 入 量 と ほ ば 同 じ か1オ ー ダ ー 大 き い と 推 定 さ れ て い る . そ の た め 放 出 さ れ た メ タ ン は 海 水 を 飽 和 し , 一 部 の メ タ ン が 大 気 に 到 達 す る 可 育 馳 が あ る .

  3章 で は 海 洋 酸 陞 三 イ 匕 が 最 も 早 く 進 む 北 極 海 の 海 洋 酸 陸 化 の 将 来 予 測 に っ い て , 海 氷 減 少 が 及 ば す 影 響 に っ い て 研 究 を 行 っ た . 海 洋 に よ る 二 酸 化 炭 素 吸 収 は 大 気 に 放 出 さ れ た 人 為 起 源 二 酸 化 炭 素 の 約1/3を 吸 収 し 温 暖 化 を 和 ら げ る 一 方 , 海 水 のpHと 炭 酸 カ ル シ ウ ム の 飽 和 度 を 減 少 さ せ る . 炭 酸 カ ル シ ウ ム の 鉱 物 の1種 で あ る ア ラ ゴ ナ イ ト に 対 す る 海 水 の 飽 和 度 (Qa rag)は ア ラ ゴ ナ イ ト の 殻 や 骨 格 を 作 る 生 物 に 対 す る 影 響 を 表 す 指 標 と し て 認 識 さ れ , 数 値 モ デ ル を 用 い た 将 来 予 測 で は ア ラ ゴ ナ イ ト に 対 し て 未 飽 和 な 海 水 が 今 世 紀 中 に 北 極 海 , 南 大 洋 , 北 太 平 洋 の 順 に 現 れ る と 予 測 さ れ て い る . 海 洋 酸 性 化 の 将 来 予 測 は , ほ ば 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 に 応 じ て 決 ま る と 考 え ら れ て き た が , 最 近 の 研 究 で は 北 極 海 で は 海 氷 の 融 解 に よ っ て もQ aragが 減 少 す る と 示 唆 さ れ て い る . ま た , こ れ ま で の 北 極 海 の 海 洋 酸 陸 化 の 将 来 予 測 に 関 す る 研 究 で は21世 紀 末 で も 夏 に 海 氷 が 残 っ て い る モ デ ル 結 果 を 用 い て 計 算 が 行 わ れ て き た が , 夏 の 海 氷 は2040年 頃 に な く な る 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る . そ の た め ,2040年 に 海 氷 が な く な る 場 合 , 海 洋 酸 陞 三 イ匕 は こ れ ま で予 測 さ れ て いた よ り も 早 く進 む と 考 え ら れる . そ こ で3 章 で は 北 極 海 の 夏 の 海 氷 が2040年 と2090年 に な く な る と 予 測 し て い る2っ の 地 球 シ ス テ ム 統 合 モ デ ル を 用 い て 北 極 海 の 海 洋 酸 性 化 を 計 算 し , 比 較 す る こ と で 海 氷 減 少 速 度 の 違 い がQ aragの 減 少 速 度 に 与 え る 影 響 に つ い て 調 べ た . そ の 結 果 , 北 極 海 表 層 が 年 平 均 で 未 飽 和 に な る 時 の 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 は ,2040年 に 夏 の 海 氷 が な く な る モ デ ル で は491 ppm,2090 年 に 夏 の 海 氷 が な く な る モ ラ シ レ で は543 ppmで あ る こ と が 示 さ れ , 海 氷 減 少 に よ る ガ ス 交 換 と 淡 水 流 入 の 増 加 がQ aragの 減 少 を 速 め た こ と が 解 シ 听 か ら 明 ら か に な っ た . 本 研 究 で は , 海 洋 酸 陸 化 の 将 来 予 測 値 は 他 の 海 域 で は 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 で ほ ぼ 決 ま る が , 北 極 海 で は 気 候 変 動 に よ る 海 氷 減 少 の 影 響 も 受 け る こ と が 示 さ れ た . ま た , 生 物 ヘ 影 響 が あ る と 考 え ら れ て い る ア ラ ゴ ナ イ ト の 飽 和 度 が 未 飽 和 な 海 水 が 急 激 な 海 氷 減 少 速 度 に よ っ て 早 く 現 れ る こ と を 初 め て 示 し た . 海 洋 酸 性 化 の 影 響 を 最 も 早 く 受 け る 北 極 海 に お い て 将 来 予 測 に 対 す る 新 し い 知 見 を 示 し た 本 研 究 は , 将 来 の 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 安 定 化 を 考 え る 上 で も 重 要 だ と 考 え ら れ る .

  こ れ ら を 通 じ て , 急 激 な 温 暖 化 に 伴 う 海 洋 物 質 循 環 の2つ の 現 象 , メ タ ン ハ イ ド レ ー ト の 分 解 お よ ぴ 海 洋 酸 性 化 に 伴 う ア ラ ゴ ナ イ ト の 溶 角 罷 に っ い て 定 量 的 な 議 論 を 行 っ た . す な わ ち , 前 半 で は メ タ ン が 直 接 的 に 大 気 に 放 出 さ れ な い こ と , 後 半 で は 北 極 海 に お い て 海 氷 減 少 に よ る ガ ス 交 換 と 淡 水 流 入 の 増 加 が 飽 和 度 の 減 少 を 早 め る こ と , な ど を 明 ら か に す る こ と が 出 来 た .

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学位論文審査の要旨

主 査 副 査

教授 教授 教授 主任研究員

山中 吉川 久保川 河宮

康裕 久幸

    

厚 未知生 教 授

  石 田 明 生

学 位 論 文 題 名

( 海 洋 研 究 開 発 機 構

  

地球 環 境変動領域)

( 富士 常 葉大 学

    

社 会 環 境 学 部 )

Abrupt change in oceanic biogeochemical cycles      ●   ●

    assoclatedWithg10balWarmlng

     (地球温暖化に伴う海洋物質循環の劇変に関する研究)

  海 洋 に よ る 人 為 起 源二 酸 化 炭 素 の吸 収 や , 氷 期 間氷 期 サ イ ク ルの 大 気 二 酸 化炭 素 濃 度 変 動 に 対 す る 海 洋 の 役 割 な ど ,数 値 モ デ ル を用 い た 海 洋 物質 循 環 に つ いて の 研 究 は 国 際炭 素 循 環 モ う つ レ相 互 比 較 研 究 計画(OCMIP)や 国際 古 気 候 炭 素 循環 モ デル相 互比較 研究計 画(PCMIP)を中 心 に 行 われ て き た 。 本 論文 で は そ れ らで 使 用 さ れ てレ ゝ る モデル など におい て今ま で考慮 され て い な か っ た ,2つ の 急 激 な 海 洋 物 質 循 環 の 変 化 に つ い て モ デ リ ン グ , 解 析 を 行 っ た 。   地 球 温 暖 化 に よ ル メタ ン ハ イ ド レー ト が 広 範 囲 で分 解 し た 場 合, 海 底 か ら 放出 さ れ た 大 量 の メ タ ン が 大 気 に 到 達 す るの か に つ い て研 究 を 行 っ た。 海 底 か ら 放出 さ れ る メ タ ンの 泡 の 発 達 過 程 と水 柱 の メ タ ン 濃度 を 計 算 す る1次 元 モ デ ルを 開 発 し , モデ 彫 で 計 算 され た 泡が大 気に 到 達 す る の に 必 要 な メ タ ン投 入 量 と , 海底 下 の メ タ ン量 を 比 較 す るこ と で 海 底 か ら放 出 さ れ た メ タ ンカ ジ く 気に至 嵯する かを議 論した 。そ の結果 ほとん どの場 合で ,典型 的なメ タンハ イド レ ー ト の存 在 量 は メ タ ンの 泡 カ ル く 気に 到 達 す る 為に 必 要 なメタ ン投 入量よ り小さ い事が 示さ れ た 。 大 規 模 な メ タ ン ハ イド レ ー ト 分 解に よ っ て 海 底か ら 放 出 さ れた メ タ ン は , 瞬間 的 に 海 底 か ら 放 出 さ れ る 場 合 を 除い て , 大 気 に到 達 せ ず に 海水 に 溶 け る こと が 本 研 究 で 初め て 明 ら か に な った 。

  ま た, 北 極 海 の 夏の 海 氷 が2040年 と2090年 に なく な る と 予 測し て い る2つの 地 球シ ステ ム統 合 モ デ ル を 用 い て 北 極 海 の海 洋 酸 性 化 を計 算 し , 比 較す る こ と で 海氷 減 少 速 度 の 違い が 海 洋 酸 性 化 に 与 え る 影 響 に つ いて 調 べ た 。 その 結 果 , 北 極海 表 層 に お ける 年 平 均 の ア ラゴ ナ イ ト の 飽 和 度(Qaragが 未 飽 和 に な る 時 の 大 気 二 酸 化 炭 素 濃 度 は ,2040年 に 夏 の 海氷 が ぬ く な る 場 合491ppm,2090年 に 夏 の 海 氷 カ ミ な く な る 場 合543ppmで あ る こ とが 示 さ れ 海 氷減 少 に よ る ガ ス 交 換 と 淡 水 流 入 の 増 加 がQaragの 減 少 を速 め た こ と が明 ら か に な っ た。 本 研 究 は ,海 洋 酸 性 化 が 最 も 早 く 進 む 北極 海 に お い て, 生 物 へ 影 響が あ る と 考 えら れ て い る ア ラゴ ナ イ ト の 飽 和 度 が 未 飽 和 な 海 水 が 急 激 な 海 氷 減 少 速 度 に よ っ て 早 く 現 れる こ と を 初 め て示 し た 。

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  こ れら を 通 じ て ,急 激 な 温 暖 化 に伴 う 海 洋 物 質循 環 の2つ の現 象 ,ヌ タン ハイド レート の分 解 お よ び 海洋 酸 性 化 に 伴う ア ラ ゴ ナ イト の 溶 解,に つい て定量 的な議 論を行 った。 すな わち,

前 半 で は メタ ン が 直 接 的に 大 気 に 放 出さ れ た い こ と, 後 半 で は 北 極海 に お い て 海氷 減 少 によ る ガ ス 交 換と 淡 水 流 入 の増 加 が 飽 和 度の 減 少 を 早 める こ と , な ど を明 ら か に す るこ と が 出来 た 。

  審 査委 員 一 同 は ,こ れ ら の 成 果 を高 く 評 価 し ,ま た 研 究 者 とし て 誠 実 か つ熱 心 で あ り ,大 学 院 博 士 課 程 に お け る 研 鑽 や 修 得 単 位 な ど も あ わ せ ,申 請 者 が 博 士儀 霧 捧 旧 め の 学位 を 受 け る の に 充分 な 資 格 を 有す る も の と 判定 し た 。

―219―

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