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博士(医学)芝木晃彦 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)芝木晃彦 学位論文題名

Differential Responslveness of Langerhans Cell Subsets of Varying Phenotypic States         in Normal Human Epidermis

( 正常 ヒト 表皮 ラン ゲル ハンス 細胞 サブ セッ トの生物学的反応性の検討)

学位論文内容の要旨

1.  目 的

ラン ゲル ハン ス細 胞は 表皮 に存 在す る骨 髄由来の抗原提示細胞で、経皮的な抗原刺 激に よる 抗原 特異的T細胞活性化において重要な役割を演じている。ランゲルハンス 前駆 細胞 は血 中に 存在 する と考 えら れて おり、真皮を介して表皮内へと移動したの ち、 抗原 刺激 にと もな い表 皮か ら真 皮、 リンパ管を介して所属リンパ節へと移動す るこ とが 明ら かと なっ てい るが 、そ の過 程において周辺の微小環境の変化に応じて フ ェ ノ タ イ プ お よ ぴフ んン クシ ョンの 特徴 が変 化す るこ とが 知ら れて いる 。例 え ば、 表皮 から 分離 した ばか りの フレ ッシ ュなランゲルハンス細胞は、ナイーブな蛋 白抗原に対するantigen processing活性は高いが、抗原提示能は強くないのに対し、

培養ランゲルハンス細胞はclass II MHCの発現量が増加し、抗原提示能が高まり未感 作T細胞 に対 する 活性 化能を 獲得 する 。ま た、in vivoにおいてハプテンを塗付した マウ ス表 皮内 に、 培養 した 場合 と同 様な 活性化ランゲルハンス細胞が認められ、生 体 内 に お い て も 同 様の 活性 化状 態をと りう るこ とが 報告 され てい る。 しか しな が ら、 ヒト の表 皮ラ ンゲ ルハ ンス 細胞 につ いての検討は、ランゲルハンス細胞の単離 が技 術的 に困 難で あり 、い まだ 十分 には なされていない。今回我々はフローサイト メト リー を用 いて 、ヒ ト表 皮ラ ンゲ ルハ ンス細胞のフェノタイプおよび活性化状態 をシングルセルのレベルで検討した。

2.  方 法

1.  ヒ ト 表 皮 細 胞 浮 遊 液 の調製 :正 常人 臀部 から 得ら れた ケラ トー ムバ イオ プ シー をDispase (50U/ml)で処理し、表皮を真皮からシート状に剥離した後、0.25% trypsinで 37℃ 、 10分 間 処 理 し 表 皮 細 胞 浮 遊 液 を 調 製 し た 。

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2.  細 胞 表 面 抗 原 の 測 定 : 表 皮 細 胞 を 、HLA‑DR、CDla、CDlc、CDllc、FcfRII 及 びFceRIに 対 する モノク ロー ナル 抗体 及び コン トロ ール 抗体 を用 いて 染色 し、そ の 発現量をフローサイトメトリーによって定量した。

3.  細胞内 カル シウ ムの 測定 :細 胞内 カル シウ ムレ ベル はcalcium indicatorである indo‑lを用 いてフローサイトメトリーにより測定した。indo‑lはカルシウム濃度によル カ ル シ ウ ム 結 合 型と 非結 合型 の2つ の型 で存 在し 、350nmで 励起 され ると それ ぞれ405 nmと485nmの 螢光 を発 する 。両 波長 の螢 光強 度を 同一 の細 胞に ついて 測定し、485nmの 405nmに対する割合をindoー1ratioとして表わすと、カルシウム濃度の上昇にともない405 nmの螢光強度が相対的に高まるので、カルシウム濃度の上昇をindo‑l ratioの減少として 示 すこ とが できる。ランゲルハンス細胞を表皮細胞浮遊液からHistopaqueを用いた密度 遠 沈 でenrichし 、indo‑lの エ ス テ ル 型 のindo‑lAMと 共に30℃ 、30分間 イン キュペ ー シ ョン しindo‑lを細胞内へとりこんだ。′ランゲルハンス細胞は抗HLA‑DR抗体を用いて 螢 光 標 識 し 、 細 胞 内 カ ル シ ウ ム レ ベ ル の 測 定と 並行 してHLA‑DRの 発現 を定 量した 。

3.  結 果

正常ヒ ト表 皮細 胞中 に存 在す るラ ンゲ ルハ ンス 細胞 につ いて、HLA‑DR抗原の発現を検 討し た と こ ろ 、 そ の 発 現 量 の 違 い に よ っ てDRHiとDRLoの2つ の サ プセ ット に分 かれ た 。 こ れ ら2つ の ラ ン ゲル ハ ン ス 細 胞 サ ブ セ ッ ト をHLA‑DRと と も にCDla、CDllb、 CDllc、FcyRII、またはFc£RIと二重染色すると、DR・HiサブセットはDRLoサプセットに 比べCD11cの発 現が 有意 に高 く、また細胞のgraMlむtyを表わすL9()Ls(cytopl謎mic complexity)もより高値だった(p≦O.03)。また6例中2例のDRHiサプセットはCD11cを 著しく強発現していた。IgEのhighafflmtyFcreceptorであるFc水Iとの二重染色では、両 サプ セ ッ ト間 で有 意な 発現量 の差 は見 られ なか った が、 うち1例のDRHiサプ セッ トで FceRIが強 発現 して いた 。他 の細 胞表 面レ セプ ター では、DRHiとDRLoの 両サ ブセ ット 間に発 現量 の差 はみ られ なか った 。次 に、 これ ら表 皮ラ ンゲルハンス細胞サプセット の細胞 内カ ルシ ウム レベ ルを 比較 した とこ ろ、DRHiサプ セットのぺースラインカルシ ウムがindo‐1fa舶36.4であったのに対し、DRL0サプセットは47.OとDRHiサプセットの カルシ ウム レベ ルが 有意 に高 かっ た。 更に 、カ ルシ ウム イオノフォアのイオノマイシ ンを用 いて 両細 胞を 刺激 した とこ ろ、DRLoサプ セッ ト内 に著しく細胞内カルシウム濃 度が上昇する集団(delぬindo−lr弧o=37.3)とあまルカルシウムレベルが変化しない 集団(deltaindo‐1r舶0〓13.2)の2つのサブセットが存在することが明らかになった。

一方、DRHiサプセットは最もイオノマイシンに対する反応性が低かった(deltaindo−1 fatio=7.6)。以上のことより、正常ヒト表皮内にフェノタイプ及び活性化状態の異な っ た ラ ン ゲ ル ハ ン ス 細 胞 サ プ セ ッ ト が 存 在 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。

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4.  考察

ランゲルハンス細胞は表皮に存在する抗原提示細胞で、その分化あるいは活性化段階に よってフェノタイプおよびフんンクションの特徴が変化することが知られている。本研 究によって正常ヒト表皮内にHLA‑DRおよびCDllcの発現性が異なった2つのランゲル ハンス細胞サプセットが存在することが明らかとなった。細胞の活性化状態と関連し て、単球のCDllc発現性が変化することが報告されており、ランゲルハンス細胞におい ても同様の変化が起こっていることが予想される。事実、両サプセットの細胞内カルシ ウムを測定したところ、DRHi,CDllcHiサブセットでぺースラインのカルシウムレベル が有意に高かった。またDRLo,CDllcLoサブセットはイオノマイシンに対する反応性に よってさらに2っのサブセットに分かれた。細胞内カルシウムはセカンドメッセンジャー として細胞 刺激後のシ グナルトラ ンスダクシ ョンに関わ っており、細胞刺激によ ルベースラインを含めてカルシウムレベルが変化することカ叩細胞を始めとした細胞で 報告されている。また一方でカルシウムレベルの上昇にともなって細胞の分化が促進す ることが表皮角化細胞を用いた実験系で報告されており、本研究でみられたランゲルハ ンス細胞サブセットがin vivoにおける分化あるいは活性化状態と関連していることが強 く予想される。

5.  結 語

以上より、正常ヒト表皮内にフェノタイプおよびファンクションの特徴の異なったラン ゲルハンス細胞サブセットが存在することが示唆された。これらサプセットはランゲル ハンス細胞の移動にともなう分化あるいは活性化において異なったステージにある細胞 であると考えられる。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Differential Responslveness of Langerhans Cell Subsets of Varying Phenotypic States         in Normal Human Epidermis

( 正常 ヒ ト表皮ラン ゲルハン ス細胞サ ブセット の生物学 的反応性 の検討)

  ラン ゲルハン ス細胞は 表皮に存 在する骨 髄由来の抗 原提示細 胞で、経 皮的な抗原刺激 に よ る抗 原 特 異的T細胞活 性化にお いて重要 な役割を 演じてい ます。ラン ゲルハン ス細 胞は 、血中か ら真皮を 介して表 皮内へと 移動した後 、抗原刺 激にとも ない、表皮から真 皮、 リンパ節 へと移動 致します が、その 過程で周辺の環境の変化に応じてphenotypeや機 能の 特徴が変 化致しま す。しか しながら 、このこと はヒトの 表皮ラン ゲルハンス細胞に おい ては、未 だ明かに はされて おりませ ん。

  そこ で 申 請者 は 、フ ロ ー サイ ト メト リ ー を用 いて、 ヒト表皮 ランゲルハ ンス細胞 の phenotypeお よ び 活 性 化 状 態 を single cell levelで 検 討 致 し ま し た 。   その 結 果 、表 皮 ラン ゲ ル ハン ス 細胞 に は 、HLA‑DR抗原の発 現量の違 いから、高 く発 現 す るグ ル ー プと 、 発現 が 低 いグ ル ープ の 両 者が 存 在す る こ と;HLA−DR高 発現グル ー プ の中 に はCDllcを 著しく強 く発現す る細胞が 存在する こと;  ま た両グルー プ(サ ブセ ット)間 で、個々 のランゲ ルハンス 細胞の細胞 内カルシ ウム濃度 を比較検討したと ころ 、高発現 サブセッ ト細胞で は、低発 現サブセッ ト細胞に 比べ、細 胞内カルシウム濃 度が 有意に高 いことが 判明しま した。

  以上 のことか ら、正常 ヒト表皮 内にはphenotypeおよび活性化状態の異なるランゲルハ ンス 細胞が存 在するこ とが示唆 されまし た。これら ランゲル ハンス細 胞のサブセットの 存在 は、ラン ゲルハン ス細胞の 移動に伴 う異なったステージにある細胞がin vivoにおい ても 存在する ことを強 く示唆す るもので あります。

  口頭 発 表 にあ た って 、 小 野江 教 授か ら 、1。subsetという言 葉の使い 方、2。ラン ゲ ル ハ ンス 細 胞 の同 定法、3。他のり ンパ系細 胞の混入 の有無、4。Fc 8R1 receptorの役 割( 発現の意 味)につ いて等、 また松田 教授からは ランゲル ハンス細 胞の分布・局在に 年齢 差、性差 は無いか 、更に皮 膚採取部 として臀部 を選んだ 理由、ま た大浦教授からは 皮膚 移植の際 、移植皮 膚の定着 に伴って 生じてくる ランゲル ハンス細 胞の由来、機能等 に 関 し て ご 質 問 を 受 け ま し た が 、 申 請 者 は 妥 当 な 解 答 を な し え た と 思 い ま す 。   後日 副査の小 野江教授 、松田教 授から個 別に諮問を 受けそれ ぞれ合格 と判定されまし た。 よって本 研究はヒ ト表皮ラ ンゲルハ ンス細胞は 単離が技 術的に困 難であったため、

今 ま でin vivoで の分化 の過程、 更にはそ れに伴う 機能の違 いが明か にされませ んでし 章則

彦       和英 原 江 田 河野 大小 松 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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たが、本研究はその分野に始めて踏み込んだ貴重な研究であり、博士(医学)に値する ものと判定されました。

参照

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