Connecting Markets East & West
週刊 米国株式展望
2021年7月5日
野村證券 投資情報部
「米国株式の投資環境」から名称を変更しました。
S&P 500 指数と米長期金利
米国を代表する株価指数であるS&P 500 指 数は、2021年に入って以降、堅調な企業業 績と積極的な財政政策などを背景に、一進一 退ながらも上昇しました。
インフレ加速とそれに伴う金融緩和早期縮小 への懸念がくすぶり、上値が重くなる局面も ありましたが、米長期金利が緩やかに低下し たことで、S&P 500指数は6月14日には終 値ベースで史上最高値を更新しました。 6月15・16
日開催のFOMC(米連邦公開市 場委員会)では、FOMC参加者の今後の政策 金利見通しで、前回まで据え置きとされてい た2023年に政策金利の引き上げが示唆され たことなどもあり、S&P 500 指数は軟調に 推移しました。 6月25日発表のFRB(米連邦準備理事会)
が インフレ指標として重視するコアPCEデフ
レーター等を受け、インフレ加速懸念が和ら ぎ 、長 期金 利も安 定推 移し たこと から 、S&P 500
指数は7月2日まで7営業日連続
で史上最高値を更新しました。 2020年秋以降、米 10年国債利回りは上昇
しましたが、2021年4月以降は一進一退とS&P 500 指数と米長期金利の推移 ( 日足 )
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
17/1 17/7 18/1 18/7 19/1 19/7 20/1 20/7 21/1 21/7
S&P 500 (
左軸)
米長期金利(
右軸)
(ポイント) (%)
(年/月、年は西暦)
米国経済見通し
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)では、2021年3月に追加コロナ対策法案が成立したことに加え、7-9月期にはイン フラ投資法案が成立すると想定し、米国経済は2021年内は力強く回復すると予想しています。
米国の実質 GDP 成長率の推移 経済指標予測~ブルームバーグ集計による市場予想平均
(注) 前期比年率。2021年7月2日時点のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク( NSI)の 予想。
(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成
(注) 各時点におけるブルームバーグ集計による市場予想平均。太字は7月2日時点と6月26日時点 との差。
(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 2.9 1.5 2.6 2.4
-5.0
-31.4 33.4
4.3 6.4 9.5 6.5
5.1 3.9 3.9 2.3 1.2
-40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12
2019 2020 2021 2022
(%)
(期) (年) 予想
年 2021 2022
期 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12
実質GDP(前期比%季調済年率)
7月2日時点 6.4 10.0 7.0 5.0 3.5 3.0 2.6 2.3 6月26日時点 6.4 10.0 7.0 5.0 3.5 3.0 2.6 2.3 コアPCEデフレーター(前年比%)
7月2日時点 1.6 3.0 2.7 2.8 2.7 2.1 2.0 2.1 6月26日時点 1.6 3.0 2.7 2.8 2.7 2.1 2.0 2.1
失業率(%)
7月2日時点 6.2 5.9 5.3 4.8 4.5 4.3 4.1 4.0 6月26日時点 6.2 5.8 5.3 4.8 4.5 4.3 4.1 4.0
+0.1 中央銀行政策金利(上限)(%)
7月2日時点 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.30 0.30 0.35 6月26日時点 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.30 0.30 0.35
10年国債利回り(%)
7月2日時点 1.74 1.47 1.79 1.88 1.95 2.02 2.08 2.17 6月26日時点 1.74 1.64 1.79 1.88 1.95 2.02 2.08 2.17
-0.17
米国経済見通し(つづき)
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)では、米国政府による経済刺激策でインフレ圧力は一時的には強まるものの、
2022
年には財政政策による後押しが弱まり、供給能力が需要に追いつくため、インフレが減速する可能性が高いと予想しています。失業率は、足元では高 止まりしていますが、今後、米国経済の復調と共に回復すると予想しています。米国のコア PCE デフレーターの推移 米国の失業率の推移
(注)前年比。2021年7月2日時点のノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)の予想。
(出所)ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)より野村證券投資情報部作成 (注) 赤色は2021年7月2日時点、灰色は2021年6月25日時点のノムラ・セキュリティーズ・イ ンターナショナル・インク(NSI)の予想。
出所ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク より野村證券投資情報部作成 1.7 1.7 1.8
1.6 1.8
1.0 1.4 1.4
1.6
3.3 3.1 3.2 2.8
1.8
1.5 1.7
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12
2019 2020 2021 2022
(%) 予想
(期) (年)
5.9
4.9 4.3
3.9 3.6 3.4 3.4 3.9 3.6 3.6 3.5
3.8 13.1
8.8 6.8 6.2
5.8
4.9 4.3 3.9 3.6 3.4 3.4
0 2 4 6 8 10 12 14
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12
2019 2020 2021 2022
7月2日 6月25日
(期) (年) (%)
予想
70 75 80 85 90 95 100 105
14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 19/1 19/7 20/1 20/7 21/1 21/7
(ポイント)
(年/月、西暦)
92.2
ドル高方向
ドル安方向 0.0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7 19/1 19/7 20/1 20/7 21/1 21/7
(%)
(年/月、西暦)
1.44
米長期金利、為替動向
6月FOMC(米連邦公開市場委員会)では、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は0.00-0.25%(中央値は0.125%)で維持としました。同時に発表さ
れた今後の政策金利見通しは、従来は2023年末まで0.00-0.25%(中央値0.125%)としていましたが、2023年末は0.50-0.75%(中央値0.625%)としました。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル・インク(NSI)では、2022年初めに資産購入の漸減が開始され、2023年に 4-6月期と10-12月期の2回、政策金利を引き上げると予想しています。
米長期金利 ( 米 10 年国債利回り ) 米ドルインデックスの推移
(注) 米ドルインデックスは、主要通貨に対するドル相場を加重平均してニューヨーク商品取引所が算 出する指数。データは日次で、直近値は2021年7月2日。野村證券の予測は、ノムラ・セキュリテ (注) データは日次で、直近値は2021年7月2日。野村證券の予測はノムラ・セキュリティーズ・イ
ンターナショナル・インク(NSI) の2021年7月2日時点予想。
米ドルインデックス ドル円 年 月末 ポイント 円/米ドル
2021 9 88.9 111
12 88.4 112
2022 3 87.9 113
6 87.5 114
9 87.0 115
12 86.5 115
野村證券予測 米10年国債
年 月末 利回り (%)
2021 9 1.80
12 1.80
2022 3 1.80
6 1.80
9 1.75
12 1.75
野村證券 予測
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000
2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
S&P 500 (左軸) 政策金利(右軸)
(ポイント) (%)
(年) 0
500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
0 1 2 3 4 5 6 7 8
2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 FRB保有資産残高(左軸)
S&P 500 (右軸)
(年)
(兆米ドル) (ポイント)
金融政策と株価
6月FOMCでFRBが金融政策の引き締め方向への転換を示唆した意図は、米国経済回復に伴う金融政策の正常化にあるとみられ、米国経済を減速さ
せる意図はないと推察されます。金融政策の引き締め方向への転換の目的がインフレ抑制にある場合には、加熱する景気を減速させようとすることか ら、企業業績と株価も影響を受ける可能性はあります。FRBはインフレは一時的としており、現在はそのような状況にはありません。FRBがインフ レ抑制のための政策に舵を切る必要に迫られることにならないかが、今後の重要な確認事項になります。FRB 保有資産残高と S&P 500 指数の推移 FRB 政策金利と S&P 500 指数の推移
(注) FRBの政策金利はフェデラルファンド金利誘導目標の上限。データは月次で各月末値、直近
(注) FRB保有資産残高は、量的緩和にあたる資産購入に伴いFRBが保有する米国債等の
テーパリング 2013年12月発表 2014年1月~10月に実施
2016年12月 2015年12月
リビジョンインデックスの動向
米国企業のリビジョンインデックスは、概ね3カ月周期で循環的に動く傾向がみられます。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年3月以降 急低下し、4月17日・24日にはFY1、FY2ともに0.12まで低下しましたが、5月1日に底入れし、7月に入り共に1を超え、以降は1を超えて推移 しています。2021年7月2日は、FY1は2.08、FY2は2.49となっています。
(注) リビジョンインデックスは直近4週間にアナリストが業績予想を上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数で計算。指数が1を上回ると上方修正優位、1を下回ると下方修正優位と判断され る。直近値は2021年7月2日時点。2019年7月5日分はリフィニティブからは未公表。FY1は予想1期目(12月決算企業の場合、2021年12月期)、FY2は予想2期目。
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00
16/10 17/1 17/4 17/7 17/10 18/1 18/4 18/7 18/10 19/1 19/4 19/7 19/10 20/1 20/4 20/7 20/10 21/1 21/4 21/7
米国
FY1
米国FY2
上方修正優位下方修正優位
(西暦年/月)
米企業業績(四半期ベース)
S&P 500 指数構成企業 四半期 EPS( 一株当たり利益 ) 前年同期比増減益率 ポジティブサプライズ比率
(注1)ポジティブサプライズ比率は、S&P 500企業のうち決算実 績がアナリスト予想平均を上回った企業の比率。
(注2)直近4四半期平均とは2020年4-6月期~2021年1-3月 期。長期平均とは、売上高は2002年以降、純利益は 1994年以降の平均。
(注3)リフィニティブによる2021年7月2日(売上高について18社、
純利益について18社が発表)時点の集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2021年 直近4四半期 長期平均
4-6月期 平均
売上高
94.4% 74% 61%
純利益
88.9% 83% 66%
+5.4%
+9.7%
+8.7%
+6.7%
+1.5% +0.1%
-0.2%
-3.3% -5.7% -1.6%
+4.1%
+6.0%
+14.6%
+10.0%
+7.2%
+15.1%
+23.2% +25.8% +27.5%
+14.3%
+2.8% +0.8%
-1.2%
+1.9%
-15.4%
-32.3%
-8.2%
+1.4%
+48.3%
+61.1%
+23.1%
+16.9%
+2.7%
+14.3% +14.5%
+14.3%
-40%
-20%
+0%
+20%
+40%
+60%
+80%
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6推 7-9予 10-12予 1-3予 4-6予 7-9予 10-12予
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
前年同期比増益率
(年)
(期)
(注) 推定・予想は2021年7月2日時点のリフィニティブ集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
S&P 500 指数構成企業 四半期 EPS( 一株当たり利益 ) の推移
米企業業績(四半期ベース) (2021 年 7 月 2 日時点 )
28.18 30.07 30.04
30.54 28.60
30.09 29.99
29.52 26.96
29.61
31.21 31.30 30.90
32.58
33.45 36.02 38.07 41.00
42.66 41.18
39.15 41.31 42.14 41.98
33.13 27.98
38.69 42.58
49.13 45.07
47.61 49.78
50.45
51.51 54.51 56.92
0 10 20 30 40 50 60
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6推 7-9予 10-12予 1-3予 4-6予 7-9予 10-12予
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
(ドル)
(年)
(注)推定・予想は2021年7月2日時点のリフィニティブ集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(期)
S&P 500 指数構成企業 四半期 EPS( 一株当たり利益 ) の推移
米企業業績 ( 四半期ベース ) ~参考 (2021 年 4 月 9 日時点 )
28.18 30.07 30.04
30.54 28.60
30.09 29.99
29.52 26.96
29.61
31.21 31.30 30.90
32.58
33.45 36.02 38.07 41.00
42.66 41.18
39.15 41.31 42.14 41.98
33.13 27.98
38.69 42.58
40.11
42.24 45.88 48.39 46.83
49.17 52.67
54.63
0 10 20 30 40 50 60
1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3推 4-6予 7-9予 10-12予 1-3予 4-6予 7-9予 10-12予
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
(ドル)
(年)
(注)推定・予想は2021年4月9日時点のリフィニティブ集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(期)
97.82 103.80
109.68 118.78
117.46 118.10 132.00 161.93
162.93 139.72
176.51 203.10
221.44
0 50 100 150 200 250
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21予22予23予
(米ドル)
(年、西暦)
S&P 500 指数構成企業の一株当たり利益 (EPS) の推移
S&P 500 指数構成企業の一株当たり利益(EPS)は、2020年は大幅な減益になりましたが、2021年には業績は回復に向かうと予想されています。
米企業の利益成長の要因は、一つには独自の技術力やビジネスモデルにより、新商品・サービスが普及し、経済の成長率を上回るペースで利益が拡大 する有力企業が多いことが挙げられます。もう一つはグローバルに競争力を発揮し、米国以外でも業容を拡大していることが挙げられます。
2021 年 4 月 9 日時点の集計 2021 年 7 月 2 日時点の集計
(注)予想はリフィニティブによる2021年4月9日時点の集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(注)予想はリフィニティブによる2021年7月2日時点の集計。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成 97.82 103.80
109.68 118.78
117.46 118.10 132.00 161.93
162.93 139.72
191.37213.76 233.24
0 50 100 150 200 250
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21予22予23予
(米ドル)
(年、西暦)
S&P 500 指数の PER
2021年7月2日終値でのS&P 500
指数の12カ月先予想PER(リフィニティブ集計の 12カ月先予想EPS基準)は21.8倍となって
います。
この水準は、1986年以降の平均15.6倍、2016年以降の平均 18.0倍を上回っていま
す。米企業の多くが新型コロナウイルスの影 響などで業績が悪化したものの、その後回復 することを株式市場では織り込んでいると推 察されます。S&P 500
指数の予想PER(
株価収益率)
推移(注) データは週次で、直近値は2021年7月2日。PERの基となる一株当たり利益はリフィニティブ集計による12ヶ 月先予想ベース。
出所 リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(注) 予想は2021年7月2日時点のリフィニティブ集計による市場予想 平均。
(出所) リフィニティブより野村證券投資情報部作成
EPS
予想とPER
0 5 10 15 20 25 30
86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20
(倍)
(年、西暦)
21.8
S&P 500 7月 2日 4,352.34
年度
2021 2022 2023
EPS
(ドル)191.37 213.76 233.24
PER
(倍)22.74 20.36 18.66
161.93 162.93 139.72
191.37 213.76
233.24 195.55 213.37
0 50 100 150 200 250
2004 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21予22予 23予
現行 増税後
(ドル)
(年) 26.5% 25.5%
19.4%
18.3% 18.6%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
2016 2017 2018 2019 2020
(%)
(年)
バイデン大統領が提案する法人税率引き上げの影響は
S&P 500 指数構成企業の法人実効税率 S&P 500 指数構成企業の EPS の推移 前年比増減益率
S&P 500
指数構成企業のEPS
の推移
バイデン政権は、トランプ政権により2018年度から引き下げられ た連邦法人税率(35%→21%)の半分を押し戻す(21%→28%)とし ています。加えて、GILTI(米国外軽課税無形資産所得合算課税)の税 率を現行の10.5%から21%に引き上げ、海外での利益の捕捉を強 化しようとしています。
売上高に比例して課税負担が発生すると仮定し、増税後の法人実効 税率は、連邦法人税率28%×米国内比率70%+海外最低税率21%
×海外比率30%=25.9%となると想定します。新しい法人税率は 2021年中に法案が成立し、2022年度から適用されると仮定して
試算します。また、現時点では法人実効税率は19%で業績予想が 行われていると仮定します。
上記仮定のように法人税率の引き上げが行われた場合、S&P 500 指数構成企業のEPSを8.5%押し下げると予想されます。しかし2022年には過去最高益更新となる見通しは変わらない模様です。
(注)S&P 500指数構成企業の法人実効税率は、損益計算書か ら法人税額÷税引前利益で計算。
(出所)リフィニティブなどを基に野村證券投資情報部作成
(注)「現行」の予想は2021年7月2日時点のリフィニティブ集計による市場予想平均。
「増税後」の予想は野村證券投資情報部による試算。
(出所)リフィニティブなどを基に野村證券投資情報部作成
注「現行」の予想は 年 月 日時点のリフィニティブ集計による市場予想平均。
年 現行 増税後 影響
(ドル) (ドル)
17 132.00
18 161.93
19 162.93
20 139.72
21
予191.37
22
予213.76 195.55 -8.5%
23予 233.24 213.37 -8.5%
年 現行 増税後
20 -14.2%
21
予+37.0%
22
予+11.7% +2.2%
23
予+9.1% +9.1%
株式益利回りと米長期金利
S&P 500
指数の株式益利回り(一株当たり 利 益÷
株 価)
は 、2021
年7
月2
日 に は4.583%となっています。
一方、米10年国債利回りは2019年に入っ
て以降低下しましたが、2020年秋以降には 上昇し、2021年7月 2日には1.435%と
なっています。
ただし、利回りでみた株式の優位は続いてお り、株式に割高感はありません。S&P 500 指数の株式益利回りと米長期金利の推移
(注) 米長期金利は米10年国債利回り。データは週次で、直近値は2021年7月2日。益利回りの基となる一株当たり利益はリフィニティ ブ集計による12ヶ月先予想ベース。
0 2 4 6 8 10 12
86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20
株式益利回り米長期金利
(年、西暦)
(%)
1.435
4.583
ナスダック総合指数
テクノロジー分野を代表するナスダック総合 指数は、2021年7月2日終値で12カ月先予 想PER(リフィニティブ集計の12カ月先予想EPS基準)は37.9倍となっています。
この水準は、1990年以降の平均26.2倍、2016年以降の平均 28.1倍を上回っていま
す。米企業の多くが新型コロナウイルスの影 響を受けているものの、今後回復することを 株式市場では織り込んでいると推察されます。
ナスダック総合指数は、2021年7月2日に
終値ベースで史上最高値を更新しました。ナスダック総合指数と PER (株価収益率)の推移
(注)PERの基となる一株当たり利益はリフィニティブ集計による12ヶ月先予想ベース。データは月次で、月中平均値。
直近の値は、 年 月 日時点。
(注) 予想は2021年7月2日時点のファクトセット集計による市場 予想平均。
EPS
予想とPER
0 10 20 30 40 50 60 70 80
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000
90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20 NASDAQ
総合指数(左軸)PER
(右軸)(
ポイント) (
倍)
2000年3月 64.9倍
37.9倍
(年、西暦)
ナスダック総合 7月2日 14,639.33
年度
2021 2022 2023
EPS
(ポイント)422.36 502.68 563.00
PER
(倍)34.66 29.12 26.00
セクター別EPS前年比増減益率
2020年は、全11セクターのうち7セクターで前年比減益または赤字となりましたが、2021年には多くのセクターで増益に転じると予想されてい
ます。2022年から2023年にかけて、金融を除き、各セクターとも業績の拡大が見込まれています。2021 年予想 2022 年予想
2023 年予想
(%)(%)
(%)
+1.6 +5.8
+7.9 +16.4
+23.4 +29.8
+37.7 +46.0
+65.2 +71.2
+84.0
+0 +20 +40 +60 +80 +100
エネルギー(1)
公益(10)
不動産(11)
生活必需品(5)
ヘルスケア(6)
コミュニケーション・サービス(9)
情報技術(8)
S&P 500
金融(7)素材(2)
一般消費財(4)
資本財・サービス(3)
-0.3
+2.5 +5.0
+5.7 +7.7 +8.0
+11.0 +11.6
+13.3
+27.0 +31.9
+36.8
-10 +0 +10 +20 +30 +40
金融(7)
素材(2)
不動産(11)
ヘルスケア(6)
生活必需品(5)
公益(10)
情報技術(8)
S&P 500
コミュニケーション・サービス(9)エネルギー(1)
一般消費財(4)
資本財・サービス(3)
+2.3 +2.4
+6.0 +6.8
+7.4 +10.1
+10.7 +10.9
+15.1 +15.4
+15.6 +17.7
エネルギー(1)
素材(2)
公益(10)
ヘルスケア(6)
生活必需品(5)
情報技術(8)
S&P 500
金融(7)コミュニケーション・サービス(9)
不動産(11)
資本財・サービス(3)
一般消費財(4)
産業グループ別EPS前年比増減益率 (1)
2020年は全部で24ある産業グループのうち、12産業グループで前年比減益または赤字となりましたが、2021年から2022年にかけて、多くの産業グループで 増益への転換や、業績拡大が予想されています。
2021 年予想 2022 年予想
(%) (%)
+0.8 +1.6 +3.6
+5.8 +8.8 +9.2
+12.1 +16.0
+16.9 +17.6 +20.9
+29.6 +32.5
+35.1 +37.7
+39.7 +40.4 +42.9
+46.3 +65.2
+66.2 +66.8
+0 +50 +100
エネルギー(1)*
運輸(3-3)*
消費者サービス(4-3)*
電気通信サービス(9-2)
公益(10)
小売(4-5)*
不動産(11)*
食品・飲料・タバコ(5-2)
家庭用品・パーソナル用品(5-3)
商業・専門サービス(3-2)*
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス(6-2)
ヘルスケア機器・サービス(6-1)
保険(7-3)
ソフトウェア・サービス(8-1)*
半導体・半導体製造装置(8-3)*
食品・生活必需品小売(5-1)
メディア・娯楽(9-1)*
S&P 500
資本財(3-1)*各種金融(7-2)*
テクノロジー・ハードウェアおよび機器(8-2)*
耐久消費財・アパレル(4-2)*
素材(2)*
自動車・自動車部品(4-1)*
銀行(7-1)*
-5.3
+0.8 +2.5 +2.5 +4.0 +5.0 +5.9 +6.4 +6.8 +7.1 +8.0 +8.5
+11.3 +11.3 +11.6 +12.1 +13.3 +14.1 +14.4 +18.1
+20.5 +27.0 +28.7
+140.9
-100 +0 +100 +200
銀行(7-1)*
電気通信サービス(9)
素材(2)*
各種金融(7-2)*
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス(6-2)
不動産(11)*
テクノロジー・ハードウェアおよび機器(8-2)*
家庭用品・パーソナル用品(5-3)
保険(7-3)
食品・飲料・タバコ(5-2)
公益(10)
ヘルスケア機器・サービス(6-1)
食品・生活必需品小売(5-1)
耐久消費財・アパレル(4-2)*
S&P 500
商業・専門サービス(3-2)*ソフトウェア・サービス(8-1)*
半導体・半導体製造装置(8-3)*
小売(4-5)*
メディア・娯楽(9-1)*
資本財(3-1)*
エネルギー(1)*
自動車・自動車部品(4-1)*
運輸(3-3)*
消費者サービス(4-3)*
産業グループ別EPS前年比増減益率 (2)
ソフトウェア・サービスは2020年から2023年にかけて、メディア・娯楽は2021年から2023年にかけて、継続的な増益が予想されています。こ れらの産業グループに含まれる米国企業は、独自の技術力やビジネスモデルでグローバルに競争力を発揮している企業が多く、継続的な新商品やサー ビスの投入で業容が拡大し、増益基調が続くと予想されていると推察されます。
2023 年予想
【補足】
小売産業グループには、アマゾン・ドットコム、イーベイ、ブッキング・ホールディングス、エクスペ ディアなど、メディア・娯楽産業グループには、フェイスブック、アルファベット、ネットフリックスなどの インターネット関連企業が含まれる。
+2.3 +2.4 +3.7
+5.2 +6.0 +6.0 +7.1 +7.2 +8.1
+8.6 +8.8 +9.0 +9.7 +9.8
+10.7 +11.2
+12.8 +13.0
+15.2 +15.2 +15.4
+18.1 +18.2
+22.3
+33.8
エネルギー(1)*
素材(2)*
医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス(6-2)
テクノロジー・ハードウェアおよび機器(8-2)*
電気通信サービス(9)
公益(10)
食品・飲料・タバコ(5-2)
家庭用品・パーソナル用品(5-3)
半導体・半導体製造装置(8-3)*
保険(7-3)
自動車・自動車部品(4-1)*
食品・生活必需品小売(5-1)
各種金融(7-2)*
耐久消費財・アパレル(4-2)*
S&P 500
ヘルスケア機器・サービス(6-1)資本財(3-1)*
銀行(7-1)*
ソフトウェア・サービス(8-1)*
商業・専門サービス(3-2)*
不動産(11)*
メディア・娯楽(9-1)*
小売(4-5)*
運輸(3-3)*
消費者サービス(4-3)*
ハイイールド社債スプレッド
ハイイールド社債のスプレッド(信用力に応じた上乗せ金利)は、2020年に原油価格の急落を受けて、エネルギーセクターを中心に急拡大しました。
その後は、原油価格の反発などから急速に縮小しました。2021年6月2日にFRBは、コロナ危機への対応で2020年3月23日に設立したSMCCF
Secondary Market Corporate Credit Facility)の下で保有している社債及び関連ETFについて、段階的な売却を行うことを発表しました。売却は
慎重に実施されると見られ、これまでのところ社債スプレッドに大きな変化はみられません。米国ハイイールド社債のスプレッドの推移 (2014 年以降 ) 米国ハイイールド社債のスプレッドの推移 (2020 年以降 )
(注1)ハイイールド社債利回りの対ベンチマーク国債利回りとのスプレッド。ベンチマーク国債は米国5 年物国債。エネルギーはエネルギーセクターの銘柄のスプレッド、除くエネルギーはエネルギー以外 の銘柄のスプレッド。
(注1)ハイイールド社債利回りの対ベンチマーク国債利回りとのスプレッド。ベンチマーク国債は米国 5年物国債。エネルギーはエネルギーセクターの銘柄のスプレッド、除くエネルギーはエネル ギー以外の銘柄のスプレッド。
(注 データは日次で、直近値は 年 月 日。
0 5 10 15 20 25
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
ハイイールド社債 エネルギー 除くエネルギー
(年) (%ポイント)
0 5 10 15 20 25
20/1 20/3 20/5 20/7 20/9 20/11 21/1 21/3 21/5 ハイイールド社債 エネルギー 除くエネルギー
(年/月) (%ポイント)
LIBOR-OIS スプレッド
銀行間のカウンターパーティー・リスク(取引先リスク)をみる指標であるLIBOR-OISスプレッドは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一時拡 大しましたが、その後縮小し、安定して推移しています。FRB(米連邦準備理事会)が企業のCP(コマーシャルペーパー)買い入れを実施するなど、リ スクの抑制に向けて機動的に行動していることが奏功している模様です。
米銀の LIBOR-OIS スプレッド (2005 年以降の推移 ) 米銀の LIBOR-OIS スプレッド (2020 年以降の推移 )
(注)LIBOR(London Interbank Offered Rate)は銀行間の取引金利、OIS( Overnight Index レートは米フェデラルファンド金利を交換対象とした金利スワップレート。両者とも ヶ月物金
(注)LIBOR(London Interbank Offered Rate)は銀行間の取引金利、OIS( Overnight Index レートは米フェデラルファンド金利を交換対象とした金利スワップレート。両者とも ヶ月物金 0.0
0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
(%ポイント)
(年) 銀行間取引で信用不安拡大
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6
1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/111/112/1 1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 銀行間取引で信用不安拡大
(月/日) (%ポイント)
2020年 2021年
VIX 指数
米国株式市場における投資家の先行きに対する警戒感を推測する指標として用いられるVIX指数(Volatility Index)をみると、直近では2021年1月下 旬に上昇し、5月10日の週にも30ポイント手前まで上昇し、その後低下しました。2021年7月2日時点では15.07となっています。
VIX 指数の推移 (2005 年以降 ) VIX 指数の推移 (2020 年以降 )
(注)VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所( CBOE)が、S&P500指数を対象とするオプション価格 (プレミアム)のボラティリティ(30日間)を元に算出・公表している指数で、指数の数値が高いほ ど、投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる。経験則的に、30ポイントを超える と投資家の間で株式市場の先行きに対し警戒感が強くなっていると見られている。直近の値は 2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(注)VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所( CBOE)が、S&P500指数を対象とするオプション価格 (プレミアム)のボラティリティ(30日間)を元に算出・公表している指数で、指数の数値が高いほ ど、投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされる。経験則的に、30ポイントを超える と投資家の間で株式市場の先行きに対し警戒感が強くなっていると見られている。直近の値は 2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
(ポイント)
(年)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
1/2 2/2 3/2 4/2 5/2 6/2 7/2 8/2 9/2 10/2 11/212/2 1/2 2/2 3/2 4/2 5/2 6/2 7/2 (ポイント)
(月/日)
2020年 2021年
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000
1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021
信用残高(左軸) S&P 500 (右軸)
(
億米ドル) (
ポイント)
(
年) 信用残高と S&P 500 指数の推移
信用残高と S&P 500 指数の推移
「ITバブル」と呼ばれた2000年近辺、世界的な金融危機があった2008年近辺では、信用残高の増加のペースは、株式市場の上昇ペースを上回って いました。足元、信用残高は急増していますが、そのペースはS&P 500 指数の上昇ペースとほぼ軌を一にしています。今後も状況を注視していき たいと考えます。
(注) 信用残高はFinancial Industry Regulatory Authority (FINRA) “Debit Balances in Customers‘ Securities Margin Accounts”で、データは月次で月末 値、直近値は2021年5月。S&P 500 指数は各月末値で直近値は2021年5月。
4.02 4.50 +6.7%
+11.9%
-6%
-4%
-2%
+0%
+2%
+4%
+6%
+8%
+10%
+12%
+14%
0 1 2 3 4 5 6 7 8
2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 (年) (兆米ドル)
小売売上高(左軸) 前年比(右軸)
小売売上高の動向
2021年6月9日にNRF(全米小売業協会)は、2021年の米小売売上高見通しの修正を発表しました。オンライン小売及びその他の無店舗販売を含む
小売売上高全体(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、外食を除く)は前年比+10.5~+13.5%の4.44~4.56兆ドルとし、2021年2月24日発表の
際の前年比+6.5~+8.2%、4.33~4.40兆米ドルから上方修正しました。オンライン及び無店舗販売については、前年比見通しを維持しています。米商務省 小売売上高 前年同月比の推移 NRF(全米小売業協会)による米国小売売上高の見通し
(注)データは月次で直近値は2021年5月。2021年6月分の小売売上高は、米国東部時間 2021年7月16日午前8:30に発表される予定。
(出所)米商務省、リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(注)小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、外食を除く)。図中赤色部分は2021年6 月 日発表の 全米小売業協会による予想レンジの中間値。
■オンライン及び無店舗販売(上記数値に含まれる) NRFの2021年予想(2021年6月9日発表)
売上高予想
1.09
~1.13
兆米ドル、中間値1.11
兆米ドル 前年比+18
~+23
%、中間値+20.5
%2020年実績(改定値) 売上高
9,200
億米ドルNRFの2021年予想(2021年6月9日発表)
売上高予想
4.44
~4.56
兆米ドル、中間値4.50
兆米ドル 前年比+10.5
~+13.5
%、中間値+11.9
%+15.6 +7.9 +53.4
+28.1
-30 -20 -10 +0 +10 +20 +30 +40 +50 +60
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11
2019 2020 2021
無店舗販売 小売売上(合計)
(月) (年)
( % )
50 100 150 200 250 300 350 400 450
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日 ドキュサインオクタ
アドビ
セールスフォース・ドットコム
S&P 500
ソフトウェア企業
2020年2月下旬に大きく下落した後、ド
キュサインやオクタの株価は比較的早い段階 で上場来高値を更新しました。ドキュサイン やオクタは比較的社歴が短く、両社のソフト ウェアを新規採用する企業が多く、純粋に製 品・サービスが普及する形で業容の拡大が進 んでいると推察されます。
一方、セールスフォース・ドットコムやアド ビなど比較的社歴が長い企業群については、株価の戻りが緩慢です。これら企業について は既に多くの企業が基本的なサービスを利用 しているとみられ、アップセル(機能の追加 やより高いバージョンへの転換)やクロスセ ル(関連製品の追加販売)で売上拡大が図られ ているとみられます。
アップセルやクロスセルは、通常は対面での 説明などの営業活動が行われますが、新型コ ロナウイルス感染拡大阻止のために社会的距 離が取られている環境下では困難です。株式 市場では、業容の拡大が一時的に鈍化するこ とが懸念されてきたと推察されます。 2021年に入り、金融緩和策の縮小懸念など
から、上値が重くなる局面がありましたが、主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年40 60 80 100 120 140 160 180 200
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日S&P 500
アマゾン・ドットコム
フェイスブック アルファベット(A) ネットフリックス
インターネット関連企業
2020年2月下旬に大きく下落した後、アマ
ゾン・ドットコム、ネットフリックスの株価 はいち早く回復しました。両社は利用者に直 接課金するビジネスモデルです。米欧諸国で 外出禁止などの措置が取られたことをきっか けに、これら企業のサービスの利用が増加 し、売上高も増加しています。
なお、ネットフリックスが2021年4月20 日に発表した2021年1-3月期決算では、有 料会員純増数が1-3月期実績、4-6月期会社 見通しともに市場予想平均を大きく下回った ことが嫌気され、株価が下落しました。
上記2社に比べ、アルファベットやフェイス ブックの株価の回復は遅れていました。両社 は通常、利用者からは料金は徴収せず、売上 の主力は企業からの広告収入です。企業から の広告の出稿が増えないと、売上高の増加に はつながりません。
米国をはじめ各国における経済活動が再開さ れつつあり、企業における広告の出稿も回 復、今後は増加するとみられます。
また新型コロナウイルスの感染拡大のような 災禍を通し、両社が提供するサービスは、メ ディアとしての有効性が再認識されていると 推察されます。主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日イーパム・システムズ
コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ ウィプロ ADR
インフォシス ADR
S&P 500
ITサービス企業
顧客企業に対し、ソフトウェア製品の開発受 託や、関連するコンサルティングなどを行うITサービス企業の多くは、オフショア開発や BPO(Business Process Outsourcing)の
受託で業容を拡大してきました。両方とも、システムエンジニア等の人件費が相対的に安 い国や地域にアウトソースする、コストを削 減することが主眼の手法です。
インフォシスやウィプロなどのインド企業に 加え、米国企業であるコグニザント・テクノ ロジー・ソリューションズも、インドを中心 に人材を採用しています。
当業界において、イーパム・システムズが近 年、業容を拡大しています。同社は米国に本 社を置きますが、創業の地であるベラルーシ や、ウクライナなど東欧の国々で多くの人材 を採用し、コスト競争力を確保しています。
加えて、「デザイン思考」によるシステム開 発を実践し、発注元企業と協同して、顧客体 験(UX)を重視したシステム開発を行ってい ます。より付加価値の高いサービスを提供す ることで、多くの先端的な企業を顧客として 獲得し、業容を拡大しています。主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年0 20 40 60 80 100 120 140 160
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日アクセンチュア IBM
S&P 500
DXC テクノロジー ヒューレットパッカード・エンタープライズ
システムインテグレーター
システムインテグレーターの株価は2020年3月下旬を大底に反発はしているものの、
S&P 500 指数並みか、それ以下に留まって
います。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、営 業担当者や技術者、コンサルタントによる対 面営業ができていないため、新規の契約獲得 等が足踏み状態になっている可能性が、株式 市場では懸念されていると推察されます。
加えて、システムやコンサルティングを発注 する側の企業も、直近の経営環境を受けて、新規の案件などについては慎重になっている と推察され、このような状況も、株式市場で は懸念していると推察されます。
今後、米国をはじめ世界で経済活動の再開が 本格化すれば、コンサルティング業務も再開 されると考えられます。
新型コロナウイルスとの共存が必要となり、それを前提としたビジネスプロセスの見直し や 、デ ジタ ルトラ ンス フォ ーメー ショ ン
(DX)の必要性に迫られた企業が、力のある
コンサルティング企業にアプローチしてくる主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日S&P 500
ペイパルビザ マスターカード
アメリカン・エキスプレス スクエア
カード決済関連企業
ビザ、マスターカードの株価の推移を見ると、2020年3月下旬を大底に反発はしているも
のの、その後は上値が重くなっています。
アマゾン・ドットコム等におけるオンライン 小売の拡大は、カード決済の利用拡大につな がります。一方、人々が外出を控え、店舗や 宿泊施設での利用が減少すれば、クレジット カードの利用は減少します。
ペイパルは上場来高値を更新しましたが、同 社のサービスはオンライン小売の決済で使わ れる場面が多いためと推察されます。
アメリカン・エキスプレスの株価は、他の カード決済関連企業に比べて出遅れています。同社はカード決済ネットワークの提供に加え、
同社自身がクレジットカードを発行していま す。同社クレジットカードの利用者が利用代 金を決済日までに用意できない場合、貸倒損 失が発生します。
今後、米国や世界で経済活動の再開が本格化 し、クレジットカードを使用する場面も増え れば、実店舗での利用回復に伴い、出遅れて いたカード決済企業の株価も反発力を強める主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年60 80 100 120 140 160 180 200 220
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日S&P 500
ゼンデスク
マイクロソフト ペガシステムズ
オラクル セールスフォース・ドットコム
CRM ソフトウェア関連銘柄
CRM(Customer Relationship
Management、顧客関係管理)ソフトウェア
を提供している企業群の株価推移を見ると、各社とも2020年3月下旬を大底に反発し、
S&P 500 指数並みかそれ以上のパフォーマ
ンスとなっています。しかし、ドキュサイン やオクタなどと比較すると、上昇率には力強 さは感じられません。
この要因としては、新型コロナウイルスの感 染拡大の影響で、新規顧客向けのプレゼン テーションや、既存顧客におけるアップセル(より上位の製品・サービスへの乗り換え)や
クロスセル(追加での製品・サービス購入)の ための対面営業が難しく、業績拡大が一時的 に足踏み状態になっている可能性が、株式市 場では懸念されていると推察されます。
しかし、多くの企業が新型コロナウイルスと の共存を前提としたビジネスプロセスの見直 しに迫られていることから、今後、米国をは じめ世界で経済活動の再開が本格化していけ ば、これら企業が提供するソフトウェアへの 需要も拡大すると予想されます。主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
12
月31
日3
月31
日6
月30
日9
月30
日12
月31
日3
月31
日6
月30
日トウィリオ
バンドワイズ
S&P 500 リングセントラル
アバイア 8X8 ファイブナイン
クラウドコミュニケーション関連銘柄
近年、各種通信機能をサービスとして提供す るクラウドコミュニケーションの利用が拡大 しています。
従前、専用の機器やネットワークを用いて提 供されていた電話やインターネット、ビデオ 会議等を、一つのコンピューター・システム のように、かつクラウド型で提供するサービ ス、UCaaS (Unified Communication asa Service)の普及が進んでいます。
音声通話やテキストメッセージ、ビデオ通話 などの各種通信機能を、API(ApplicationProgramming Interface)と呼ばれるソフト
ウェアを用い、モバイルアプリやホームペー ジに組み込んで利用できるようにする、CPaaS(Communication Platform as a Service)と呼ばれるサービスがあります。
提供されるサービスの利便性、費用負担する 企業にとってのコストメリットなどから、今 後、クラウドコミュニケーションへの需要は 拡大すると予想され、関連企業の業容拡大も 期待されます。主要企業の株価推移 (2019 年末= 100)
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
2020
年2021
年 S&P 500 指数を構成する大型銘柄から選出
25年以上、増配を続けている企業で構成
特定のセクターに偏らないように銘柄を選出
指数構成銘柄数は最低でも40以上
毎年1月に銘柄入れ替えを検討。その他、必要に応じて変更。 2021年6月30日時点では65銘柄。
連続増配する米国株式
連続増配企業の投資パフォーマンス(価格指数) S&P 500 配当貴族指数
※とは
(注)データは日次で、直近値は2021年7月2日。
(出所)リフィニティブより野村證券投資情報部作成
※・・・ 英語名
S&P500 Dividend Aristocrats
0 100 200 300 400 500 600
S&P 500
配当貴族指数S&P 500
指数2000 2005 2010
2000年1月3日=100とする指数
2015
(年) 2020
S&P 500 配当貴族指数に組み入れられているダウ指数構成銘柄の例
連続増配する米国企業
(注)FY1は予想1期目。一株当たり予想配当金は、各期の年間一株当たり配当金総額。予想配当利回りは、各期の一株当たり予想配当金を直近株価で除したもの。2021年7月2日時点のS&P500指数 の12ヶ月先予想配当利回り(今後4四半期の予想配当金合計額を基にした配当利回り)は1.34%。配当予想は2021年7月2日時点のリフィニティブ集計によるアナリスト予想平均で、その後変更となって いる可能性には留意。連続増配年数は、直近決算期( FY1が2021年12月期の企業は2020年12月期)までの年数。全てを網羅しているわけではない。
出所会社資料、リフィニティブ、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成
会社名 ティッカー 野村 株価 一株当たり予想配当金
FY1
連続増コード コード
(7/2) FY1 FY2 FY3 FY1 FY2 FY3
決算月 配年数(
米ドル) (
米ドル) (
米ドル)
(米ドル)(%) (%) (%) (
年/
月) (
年)
【エネルギー】
1
シェブロンCVX A0264 106.07 5.30 5.48 5.67 5.00 5.17 5.34 21/12 33
【資本財・サービス】
2 3M MMM A0469 199.89 5.92 6.19 6.35 2.96 3.10 3.18 21/12 62
3
キャタピラーCAT A0102 217.76 4.33 4.75 5.22 1.99 2.18 2.40 21/12 27
【一般消費財】
4
マクドナルドMCD A0460 233.63 5.24 5.55 5.84 2.24 2.37 2.50 21/12 44
【生活必需品】
5
プロクター・アンド・ギャンブルPG A0588 135.90 3.25 3.48 3.70 2.39 2.56 2.72 21/6 64
6
コカ・コーラKO A0115 54.18 1.68 1.75 1.82 3.10 3.22 3.35 21/12 58
7
ウォルマートWMT A0820 140.11 2.21 2.28 2.31 1.57 1.63 1.65 22/1 46
8
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスWBA A6623 48.17 1.92 1.97 2.02 3.98 4.09 4.20 21/8 44
【ヘルスケア】
9
ジョンソン・エンド・ジョンソンJNJ A0378 168.98 4.19 4.44 4.59 2.48 2.63 2.72 21/12 59
【情報技術】
10
インターナショナル・ビジネス・マシンIBM A0353 140.02 6.66 6.94 7.03 4.76 4.96 5.02 21/12 25
予想配当利回りS&P 500 指数構成企業の株主還元の状況
S&P 500 指数構成企業の株主還元の推移 S&P 500 指数の総還元利回り
(注1)配当利回り・・・各四半期に実施された配当金を当該四半期期初の時価総額で除し、
年率換算。
自社株買い利回り・・・各四半期に実施された自社株取得金額を当該四半期期初の時価総 額で除し、年率換算。
総還元利回り・・・配当利回り+自社株買い利回り。
自社株買いは、配当金と異なり全ての株主が現金を受け取るものではない。資産クラスとして、
株式の利回りがどの程度あるかを示す指標として総還元利回りを使用。四捨五入の関係で、
(注)データは四半期ベースで、直近値は2021年1-3月期(暫定値)。 (出所)S&Pより野村證券投資情報部作成
0 50 100 150 200 250 300 350 400
1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9
200720082009201020112012201320142015201620172018201920202021
(10億米ドル)
(月期)
(年)
自社株買い
配当 123.91
178.13 302.04 合計
0 1 2 3 4 5 6 7 8
1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 配当利回り
自社株買い利回り 総還元利回り
(月期)
(年)
(%)
1.43 1.48 2.91