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リヒヤノレト・シュトラウスの歌曲に関する一考察

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Academic year: 2021

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リヒヤノレト・シュトラウスの歌曲に関する一考察

教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース 豊岡 ミチ子

1.はじめに

リヒヤノレト・シュトラウスは,ドイツのミュ ンヘンに生まれた作曲家である。彼はリストや

ヴァーグナーの影響を受けて19世紀の伝統を 継承しているため,後期ドイツ・ロマン派最後 の作曲家と呼ばれている白彼の創作期は長く,

ドイツの国政が不安定な19世紀末の理想主義 の時代から,ナチスの独裁政権を経て,戦後の 復興期に至る。シュトラウスの音楽の大きな特 徴は,音楽は言語表現にかわるものとして,思 想,感情,情緒を具体的に表現する手段にある ことと,歌山とオペラにおいて言葉と音楽との 理想的な結合に成功したことにある。しかし,

彼が作曲した歌曲の大半は, 188 5年から1 906年の間に作曲され,交響詩やオペラ創作 の以前に作曲されたものであり,ソプラノ歌手 であった妻パウリ}ネ・デ・ア}ナのために作 曲されたと推測する。そのためか,ソプラノ歌 手によって歌われると効果的であるように作曲

された歌曲が多い。

2.研究の目的

本研究においては,後期ドイツ・ロマン派が どのような時代であったか,またその時代に生 きたシュトラウスによって作られた歌曲には,

どのような特徴があり,どのように演奏される べきなのかを探る。そして,これらの考察を念 頭において,自らの演奏表現の参考となるよう

指導教官 頃 安 利 秀

な ((Allerseelen))(万霊節)と ((DasRosenballd))  (蕎識のリボン)の楽曲分析と演奏解釈を行い,

シュトラウスの歌曲の本質に迫ることが,本研 究の目的とするところである。

3.論文の概要

第一章では,シュトラウスの生きた1864  年から 1949年のドイツの政治的・社会的変 化について述べていく。第一節では 19世紀 後半におけるドイツの社会背景について,第二 節では,その影響を受けた音楽的社会変化につ いて,第三節では,後期ドイツ・ロマン派の音 楽的特徴と歌曲の発展について探るo

第二章では,第一章を受けて歌曲について考 察する。まず第一節では,数多くの交響詩やオ ペラを作曲したシュトラウスの音楽観について 述べ,第二節では,シュトラウスの歌曲が今日,

広く世界中で歌われるようになった要因を解 き,歌曲作曲第一期の ((Allerseelen))(万霊節) と歌曲作曲第二期の ((Das Rosellballd)) (蕃織 のリボン)の楽曲分析と演奏解釈を行った。そ して第三節では,それまでの研究を生かし,本 論文のテーマである歌曲の音楽的特徴につい て,また詩と音楽の関わりや歌曲の伴奏につい てシュトラウス自身の言葉をまじえて採る。

4.おわりに

シュトラウスの生きた8 5年間のドイツの国

(2)

政は不安定で,特に第一次・第二次i可世界大戦 がドイツ社会にあたえた影響は著しく,音楽や 文学にも直接的な影響をあたえた。特に,リス

トやグァーグナーは調性和声の許容範囲内での 半音階的手法を駆使し,シュトラウスやマーラ }などの多くの作曲家に影響をあたえた。しか し,かろうじて調性内にとどまったシュトラウ スとは対照的に,新たな音楽の基礎の追求と新 たな形式の模索がシェーンベルクなどの作曲家 によって試みられるようになった。個性に価値 をおく近代社会のもと,音楽も個性を求めて革 新されていったのである。また,歌曲も前期ロ マン派のスタイルから変化しつつあった。グォ ルブはピアノ伴奏にこだわったが,シュトラウ スとマーラーはオ}ケストラ伴奏を展開した。

マーラーは交響曲と結びついた形で歌曲を生み 出し,シュトラウスはピアノ伴奏歌山をオーケ ストラ伴奏に多く編曲した。

シュトラウスの歌曲には三つの大きな特徴が ある。一つ目は,彼が生み出す美しい旋律であ る。歌曲からは旋律を重要視する姿勢を持って いることがわかる。音楽で文学的刺激に反応し,

詩の内容のわかりやすいものは程度が低いとい った虚栄心を持たず,単純で平易な旋律でも人 の心情に訴える本飽的で鋭い感覚で作曲してい る。二つ目は,小曲でありながら,よくみると 非常に高度な職人的ともいえる作曲技術を駆使 していて,感嘆させられる歌曲がある。それに は,旋律全体の持つ流麗さや生命力のある美し さがある。そして,旋律の息を長くすることで 歌曲全体を統一し,それぞれの語句の微妙なニ ュアンスや意味を音の響きによって微細に描き 分けられている。三つ目は,劇的な曲想に仕上 げるためのデクラメーションはさることなが ら,オペラ・アリアを感じさせる表現がみられ

る。それは音程の振幅の大きい旋律法に発縛さ れており,時には悲劇的で時にはユーモラスを 交えた感情表現をみごとな配分で音楽上に実現 している。このように,シュトラウスの歌曲の 音楽的特徴はさまざまなあり方をしているが,

歌曲はシュトラウスの創作期の初期から後期ま で一貫して作曲されたジャンルであり,その点 において歌曲は連続した創作の発展過程が追え るにもかかわらず,音楽上の様式にあまり変化 は認められない。これは,シュトラウスが歌曲 を身近な芸術として,マーラーのように時代と 対侍することなく,そして,シェーンベルクの ように音楽に新しい規範を持ち込む意志もなか ったためと推測した。

今後もシュトラウスの作品に関わっていきた いと考えているが,歌曲作品のみならず,その 他の作品にも目を向け,彼の音楽の本質を深く

、研究したい。

【学位関連演奏曲目:ソプラノ独唱】

リヒャルト・シュトラウス 作曲 (Richart  Strauss) 

• ({Zueignullg)) (献呈)

((Die Nacht))  (夜)

((Allerseelen))(万霊節)

・((Das Rosenbslld)) (蕎放のリボン)

・((Cacilie)) (ツェツィーリエ)

・((Heimliche Auff0l4derung)) (ひそやかな誘い)

• ((Traum durch die Dmmerung)) (たそがれの夢)

・((All meill  Gedanken)) (私の想いのすべて)

・((sefreit))(解き放たれて)

参照

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