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歌曲における「やまとことば」の一考察

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Academic year: 2021

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歌曲における「やまとことば」の一考察

工 序 豆 やまとことばについて 皿 母音と子音について 目 次 IV 発音と発声について V 結 び

1 序

声楽家の日本語はどうもよく解らない,とよく言われてきました。 日本人でありながら,日本語がよく聞きとれないと言われることは,声楽家にとって大 変残念なことだと思います。 藤山一郎氏は次のように経験談を話して居られます。 「昭和六年私がまだ音楽学校在学中,現在の歌謡曲,当時のはやり歌をレコードに吹き込 みました。 「丘を越えて」 「影を慕いて」などのヒットを出し,一躍スターの座について しまったのです。当時の歌唱法と言うのは,やたらと声をビブラートさせるのがはやって おり,日本語でうたっても日本語らしく聞こえない,歌詩の明瞭度を落とせば落とすほど 大声楽家的であると言われた時代でした。 私は,はやり歌を明瞭な発音でうたってみたい,と言うのが念願で自分なりの声の出し 方を研究しました。ところがその方法が圧倒的に大衆にアピールする結果となったのでし ょう。」 この藤山一郎氏の話は,私達歌曲を勉強している者にとっても大変参考になる大切なこ とばではないかと思います。 私達は音楽大学で,外国歌曲の勉強はしても,日本歌曲を勉強する機会は殆んどなかっ たのではないかと思います。私もその一人で,卒業してからのリサイタルに「やまとこと ばを美しく」の権威である木下保先生のご指導のもとに,信時潔作曲「沙羅」全曲を始あ 日本歌曲を歌う機会が増すにつれ,日本歌曲の発音のむつかしさ,又反面,日本語の美し さを認識させられ,誰にでも聞きとれる日本語の発音で自らも歌唱し,又学生にも指導し たいと思っています。 この度の「やまとことば」についての考察は,リサイタルで歌った「やまとことば」の 発音,歌唱法に対する裏付けであり,別段新しい分野の研究でもありませんが,日本語の 歌唱における根本が「やまとことば」を深く研究することにあると信じ,言語学的立場か らも考察を試みてみた次第です。

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皿 「やまとことばについて」

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「我手の花」は uWangate no HHanaのように発音すると明瞭にききとれます。 大体テンポの遅い「やまとことば」にあっては,母音を長く伸ばす場合が多く,これは 和歌の朗詠を想像すれば納得が行くと思いますが,黛わがてのはな”を黙至わがてのはな”と 発音することにより,わの音が明瞭に聞きとれるわけです。 これは日本の伝統芸術である。能,狂言,とも深い関係があると思いますし,後述の, 古代の音節,わ行を見ても解ると思います。 はなは

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黙はな”の場合の子音⑪は常にその小節より前にあり,実際のCの音にaがある歌唱法 により,黙あな”でなく明瞭な尽はな”に聞きとれるわけです。 「やまとことば」は言語学的には古い日本のことばで,今日の日本語の根源をなすもの と考えられますが,単に古いことばと片付けないで,声楽面で大いに取り入れなければな らないと思います。 現在われわれが使用している日本語は, 「やまとことば」,字音語,西洋語,およびそ れらの複合語,転成語などがあり, 「やまとことば」は,それ以前からあった日本語,ま たはそれをもとにしてできた語彙のことで,大体平安朝初期までの日本語を指すと思いま す。 「やまとことば」は,十一,一卜二,と数えるところを,トオアマリヒトッ,とか,トオ アマリフタツ,胃のことを,モノハミ,など大変長く呼ぶようでした。 亀井勝一郎氏は萩原朔太郎のことばを引いて, 「やまとことば」をつぎのように言って います。 「やまとことば」は,きわめて優美なことばであるが,怒りとか,悩みとか,嫉妬とかの 強い感情を表現する場合には弱すぎることばである。 「やまとことば」には,そういうア クセンをトあらわす要素が乏しいが,漢語を用いると,強いアクセントが出せる。」 又現在日本語と比して著しい特色は濁音と,ラ三音とは単語の初めに来なかった,と言 うことでしょう。 これは百人一首をみてもわかるように⑦の母音で始まる歌が大変多いのでもわかりま す。これがために,いわゆる濁音が語頭にくることを,日本人は何か洗錬されてないよう に感じたのではないかと思います。 事実, 「やまとことば」では濁音ではじまることばは,カニに対するガニ,ドブ,ビ リ,ダニ,ドロ,ゴミ,ゲタ,ブタ等に見られるように,きたならしい意味をもつものが 多いようです。 現代私達日本人の用いている日常会話の中から生まれる詩も,「やまとことば」に通じ ているのであるから,例え,もともと西洋から入ったことばでも,日本語として消化しき

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っていることばでも,ある一面では,「やまとことば」として受け入れ,それを美しい歌 にのせて,美しいことばとして歌うことをもしなければならないと思います。 木下保先生は, 「我々西洋音楽から入った音楽人はとかく我々祖先の残した尊い文化を 軽視し,極端な一部の古い美しいことばに耳をかし,関心を示さないと言うことは,何と 言うことなのでしょう。日本人としてのプライドを自ら捨て,国籍不明の猿真似音楽を人 灘灘藤 「 A M鰯∴碧、瞭己融醐や蝕. 懸轡∴饗1む㌻ か 、 ” ’党F㌦ 緬羅臼’ ぎ.、{ 、婦軌麟㌦ パ O墜’、/、 黛1:1灘∴幽熊懇懇 讐 「幽「輔…… 箋 年 ・

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前でやっていることに過ぎないとすれば,恥ずかしい限りではありませんか。」と言って 居られます。 「やまとことば」を歌うときは,話すときよりもはるかに子音,母音は長くなる。合唱 の場合にはこれがさらに拡大されるでしょう。 信時潔氏の「沙羅」を例として発音の問題を示してみたいと思います。 iぎ一 c碁 wン・冒争甘 ㌦ P∴1 辜Sが h 腫曽 一、 馬高器℃ @ ・一〃 為欝欝 ・ 三冠ζ 「

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信時潔作曲「沙羅」より第2曲“あづまやの”,第5曲、鴉”を例に見ますと, “あづまや”は“あづまんや” “あまりに”は、あまうりに” 黙たちぬれて”は黙たちぬうれて” と発音します。‘これは我が国の伝統芸術の一つである浄瑠璃の表現法を想像すること。 懸ふみわり”は寒ふみうわり” 寒おおおそどり”は黙おおおうそどり” とローマ字のUを入れると狂言風になる,と木下先生は言われました。これは又,伝統 芸術である,能,を想像し,実際には,能より少し浅めに発音した方がよいと思います。 このような「やまとことば」の発音法は,現代人にはやや違和感を感じるかもしれない が,一寸した枝功面を会得すれば納得のできることであると思います。

皿:母音と子音について

かって藤原義江,砂原美智子らの藤原歌劇団が,ニューヨークのシティオペラ劇場で, 日米合同の「お蝶夫人」を上演したとき,日本人は日本語でやったところ,これが非常に 評判がよくて,各地の新聞は,一斉に,日本語がいかに美しいことばであるかと言うこと を書きたったと言われます。 この評判は一体どこからきたか。一部はヨーロッパ人が聞いて耳馴れた母音,子音しか 表われないことからもきているのでしょうが,日本語に母音が多いと言うことからもきて いると思います。 ヨーロッパ語では,イタリア語が母音が多い言語として知られていますが,それでもイ タリア語にもSDRAIARSI(横になる)と言うような子音の連続語も見られます。 こう見てくると,日本語は益々流麗で音楽的なことばであると言えるでしょう。 日本語の母音は現在aiueoですが古代日本語の母音は, aiueoi 36の八種類あっ たと言われます。

子音は,Kgtdszrnpmwjの十三種で,古代日本語では単語のはじめは,K

stnfmyw,などいわゆる清音の子音がくるか,aiueo,などの母音がくるかに

きまっていて,gzdb,などいわれる濁音の子音や, rの音はこなかったことは,「や まとことば」の項でも書きましたが,他にpl tr spr strなどの二重,三重の子音もこな かった。これはのちにシナ語が数多く入ってきた結果多少変りはしたが,二重,三重の子 音は,単語の中に見あたらない。 外国の音語には語尾が,ptkmny,などで終る場合が少なくないが,日本語の場合 は,かならず母言で終っていたことも,大切なことであると思います。

中古の母樹や子言になると,奈良時代のような甲類がなくなり,o, e, i,の一種に統 一され,つまり現在と同じ五母音になったことがわかる。

平安朝の初期までは,それまでア行の衣〔e)と,や行の江〔ie〕を榎の木の枝と言う ように,榎と枝で上手に区別していたようである。

これがいわゆるやまとことばの区別でもあって,中期以後になると,この二つが同音に なったようである。 「源氏物語」や, 「枕草子」などには区別がみられない。

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古代の音節 あ〔a〕 か〔ka〕 さ〔tsa〕 た〔ta〕 な〔na〕 は〔Φa〕 ま〔ma〕 や〔ja〕 ら〔ra〕 わ〔wa〕 が〔ga〕 ざ〔dza〕 だ〔da〕 ぱ〔ba〕 い〔i〕 き〔ki〕〔ki〕 し〔si〕 ち〔ti〕 に〔ni〕 ひ〔Φi〕〔Φの み〔mi〕〔mの り〔ri〕 ゐ〔wi〕 ぎ〔gi〕〔gi〕 じ〔zi〕 ぢ〔di〕 び〔bi〕〔bi〕 う〔u〕 く〔ku〕 す〔tsu〕 つ〔tu〕 ぬ〔nu〕 ふ〔Φu〕 む〔mu〕 ゆ〔ju) る〔ru〕 ぐ〔即〕 ず〔dzu〕 づ〔du〕 ぶ〔bu〕 1え〔・嫁 け〔ke〕〔kε〕 せ〔se〕 て〔te〕 ね〔ne〕 へ〔Φe〕〔Φε〕 め〔me〕〔mε〕 江〔j・〕」 れ〔re〕 ゑ〔we〕 げ〔ge〕〔9ε〕 ぜ〔ze〕 で〔de〕 べ〔be〕〔bε〕 お〔o〕 こ〔ko〕〔kδ〕 そ〔tsO〕〔ts6〕 と〔to〕〔t6〕 の〔no〕〔n6〕 ほ〔Φo〕 も〔mo〕〔m6〕 よ 〔jo〕〔j6〕 ろ〔ro〕〔r6〕 を〔wo〕 ご〔90〕〔96〕 ぞ〔dzo〕〔dz6〕 ど〔do〕〔d6〕 ぼ〔bo〕 中古の音節 あ〔a〕 か〔ka〕 さ〔sa〕 た〔ta〕 な〔na〕 は〔Φa〕 ま〔ma〕 や〔ja〕 ら〔ra〕 わ〔wa〕 が〔ga〕 ざ〔za〕 だ〔da〕 ば〔ba〕 い〔i〕 き〔k量〕 し〔si〕 ち〔ti〕 に〔ni〕 ひ〔Φi〕 み〔mi〕 ゆ〔ju〕 り〔ri〕 ゐ〔wi〕 ぎ〔gi〕 じ〔zD ぢ〔di) び〔b童〕 う〔u〕 く〔ku〕 す〔su〕 つ〔tu〕 ぬ〔nu〕 ふ〔Φu〕 む〔mu〕 る〔ru) え〔e〕 け〔ke〕 せ〔se〕 て〔te〕 ね〔ne〕 へ〔Φe〕 め〔me〕 お〔o〕 こ〔ko〕 そ〔so〕 と〔to) の〔no〕 ほ〔Φo〕 も〔mo〕 ぐ〔gu〕 ず〔zu〕 づ〔du〕 ぶ〔bu〕 江〔je〕 れ〔re) ゑ〔we〕 げ〔ge〕 ぜ〔ze〕 で〔de) べ〔be〕 よ〔jo〕 ろ〔ro〕 を〔wo〕 ご〔go〕 ぞ〔zo〕 ど〔do〕 ぼ〔bo〕 子音の多い曲例として,団伊玖磨作曲になる, 「わがうた」より黙ひぐらし”を取りあ げて見ました。現代歌曲の歌唱の場合も, 「やまとことば」の発音が使用されてよいと思、 います。“ひぐれ”黙ひぐらし”黙ひぐれに”黙ひとひ”………と続く子音は,細かい子音に 対する配慮が行き届くと,大変すばらしいものになると思います。

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IV 発音と発声について

発音と発声との問題は,われわれ声楽仲間でもしばしば問題となる点ですが,発声が歌 の根本である事には変りないし,発声がないがしろにされるのでは意味がありません。 しかし一方,発音が発声のために犠牲にされるのではこれまた意味がないと言えるでし ょう。 山田耕搾氏は,「言葉が音楽を作り,その意味で歌曲においては言葉が重大である。場 合によっては,言葉によって発声を作られると考えられる。」と述べておられます。 単に美しい声を出すだけが歌曲の場合重大でなく,正しい発音が伴わなければ発声の意 味をなさないと言えるのではないでしょうか。 私はよく学生に, 「私達は日本人ではないか,先ず日本人が日本歌曲を子供にお年寄り にも,誰にでも聞きとれる明確な日本語で歌えなくて何の意味がある。それには,日常の 会話から歌を志す人は気をつけて発音し,詩を朗読すべきである。日本語を大切にするこ とが,又外国歌曲を歌う時にも適用するはずであるから。」と話しています。 歌曲の演奏においては,音楽的表現の完壁と同様に,言語的表現の完全さを忘れてなら ないのは当然です。イタリア,ドイツ,フランス,ロシア等には,それぞれの言語のもつ

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発声があるはずであるし,日本語には日本語の発声があるはずである。 では日本語の発声とは何か,私は発声とはその国のことばを正しく美しく発音する術で あると考えると,日本歌曲を歌う時の発声は「やまとことば」を美しく明確に発音するテ クニックをマスターしなければならないと思います。それは明るい母音と,明確な子音の

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テクニックにあると思います。 外国語の発音に適する発声をそのまま日本歌曲に何んでも応用する力玉ら,声楽家の日本 語は何を言っているのかわからない,と言われるのではないでしょうか。 日本の発声で私がよく話していることに,声楽家の内田るり子さんが書かれ「ヨーロッ パに歌を求めて」と題する本の中に次のように書いてあります。 「ウィーンで私の一つの大きな収穫は,グロスマン教授に発声法を習ったことがあった。 日本でもすでに十二世紀のなかば,すなわち平安後期に,後白河法皇の書かれた本があ る。“梁塵秒抄”である。その中に日本語の発声のテクニックについて次のような文章が ある。 “切々,いきを残して声をみなし出すべからず,ひく息を腰のもとまでかよい,腰は岩 の如くに,こしょり上は只青柳の如く,面は常よりも柔和に,かんせいちらさずして,襟 首をはなれずして数々に歌うとも,そんぜんように謡うなり” この意味は黙息は一度に出してしまわないでよく保持し,息を吸う時はできるだけ深く 腰のほうまで通わせ(腹式呼吸)腰は岩の如く,息の支えをしっかりして,上半身はまっ たくリラックスの状態にして,きゃあきゃあどならないで,あごをひいて下あごの所にの どぼとけを近くし,たくさん歌っても疲れてのどがだめにならないように歌うべきであ る。」と言うのである。 この時代に,日本にすでにこのようなテオリーが明記されていたことに驚くし,このテ クニックでおそらく催馬楽や,神楽歌や,久米歌などがうたわれていたものと思えるか ら,このころの日本語は,このテオリーの上にのって美しく歌われていたものと考えられ ます。 私達がベルカント唱法とか,腹式呼吸を勉強してきましたが,基本的にはこのようなも のではなかったかと思われます。 日本にこのような立派な発声法があった事を私達は誇りに思っていいのではないでしょ うか。 声楽語としての日本語について考えてみると日本語は美しいことばである,としばしば 私は述べてきました。声楽語としての日本語について,山田耕搾氏も「日本語はイタリー 語につぐすぐれたことばである」。 と述べられています。又音声学的にも品のあることばでもあると言って居られます。 人間の口は横に切られた唇の後方に並行している,この構造に最も適したのが日本語で あるし,フランス語の一部がこれに類似しているとも言われています。 無理のない発音と発声,これが日本的発声であるし,又そうしなければならないと思い ます。 私はよく学生に,「歌は聞かれると同時に,舞台では見られもするのである。自然な, 美しい表情の中に演奏としてのゆとりを感じるし疲れない5自然な美しい表情で歌うため の発声法を逆に考えなければならない」 とよく話しています。

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V 結 び

一国の音楽そのもの自体,実はその国の国語に源を発するものであると思います。 ドイツリートは,ドイツ語の深遠精確.フランスのシャンソンは,フランス語のせん細 優雅,ロシアのロマンツアは,ロシア語の重厚素朴,と言ったように,国民性の相違も, その国の国語の相違からきているものと言えるでしょう。日本語は前述した如く,大変品 のある美しい音楽的響きをもった国語であると思います。この美しい音楽的な日本語の伝 統を守り,後世に伝えるのは吾々声楽家の任務であるとも思います。 声楽する私達は,日本語の古典,歌の古典とも言えるやまと言葉のゆう長ではあるが, 美しさ,正確さを,現代の日本の歌にも応用すべきだと思います。 「歌曲は,詩と音楽が不可離,不可分の関係におかれた芸術的融合体である。詩そのも のでも,純粋な音楽そのものでもない」』と山田耕搾氏は言われています。 私達はこの美しい日本語を世界に歌ってきかせるためにも,さらに研究して行かなけれ ばならないと思います。 文 献 金田一春彦著「日本語」 大野 晋著「日本語の起源」 大久保忠利著「日本コトバ読本」 山田耕搾編著「山田耕搾全集」 木下 保編著「信時潔歌曲集」

参照

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