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東北地方における交通手段と地域特性に関する変化分析

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Academic year: 2022

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東北地方における交通手段と地域特性に関する変化分析

八戸工業高等専門学校 ○学生員 竹 居 広 樹 八戸工業高等専門学校 正会員 今 野 惠 喜

1.はじめに

近年、都市への人口集中や地方の過疎化・高齢化 などにより交通の特性が変化し、様々な交通問題が生 じてきている。交通特性は地域によって異なり、人口 密度や高齢化率などの地域特性に関係すると考えられ る。

本研究では、国勢調査データを基に東北地方におけ る市町村ごとの交通手段の変化と、その地域特性の変 化との関係を明らかにすることが目的である。

2.分析概要

本研究では東北6県228市町村について2000年と 2010年に行われた国勢調査データを基にレートシェ ア分析を行い、10年間での通勤・通学の変化を明らか にする。分析には通勤・通学の交通手段16種類を取り 上げた。その結果を基に、交通手段別に特化係数、拡 大係数を求める。本研究で特化係数とは東北全体から 見たシェアの規模をいい、拡大係数とは10年間での特 化係数の変化を表したものとする。また、特化係数、

拡大係数を用いて228市町村にクラスター分析を適用 し、特徴のあるグループごとに分類する。さらに、相 関分析を行い地域特性との関係を明らかにする。

3.分析結果および考察

図1は、各交通手段の利用傾向ごとの市町村数割合 を示したものである。この図から、自家用車の特化・

拡大傾向が最も強く、公共交通に関しては乗合バスの 非特化・非拡大傾向が強いことがわかる。

図1 交通特性変化の市町村数割合

交通特性の変化をより明らかにするため、「利用交通 手段が3種類以上」および「その他」を除いた13種類 の通勤・通学交通手段の特化係数と拡大係数を用いて クラスター分析を行い、228 市町村を6つのグループ に分類した結果、表1と図2が得られた。

表 1 クラスター分析結果(特化係数、拡大係数)

図2 各グループの市町村数

グループ1は最も多くの市町村が所属しているグルー プである。「徒歩だけ」や「乗合バス」など比較的近距 離の移動に用いられる交通手段の特化係数が小さく、

「自家用車」の特化傾向がある。グループ2には青森 市や八戸市、盛岡市などの中心的な都市が含まれる。

「徒歩だけ」、「乗合バス」の特化係数が比較的大きい という特徴があり、コンパクトな都市が形成されてい ると考えられる。グループ3は反対に規模の小さい町 村部が多く含まれる。「自家用車」の特化係数が最も大 きく、「乗合バス」の拡大係数が小さい。また、「鉄道・

電車」の特化・拡大係数が最も小さく、「鉄道・電車」

を含む2種類の交通手段の特化・拡大係数も比較的小 さい傾向がある。グループ4はグループ3と同様に町 村部に多いが、「鉄道・電車」、「乗合バス」、「鉄道・電 車及び乗合バス」の拡大傾向があり、公共交通が充実 してきていると考えられる。また、「鉄道・電車及び自 家用車」の拡大係数が大きいことから、パークアンド ライドが可能になってきていると考えられる。グルー プ5は 21市町村のうち15が宮城県の市町村である。

「自家用車」の特化・拡大係数が比較的小さく、「鉄道・

電車」と「鉄道・電車」を含む2種類の交通手段の特 化係数が大きいことから、鉄道網が整備されているグ ループであると考えられる。グループ6は秋田県大潟 村のみであり、「勤め先・学校バス」の特化・拡大係数 が著しい。

平均人口 DIDを有する 平均DID面積 標準偏差 H22 市町村の比率 (km) (km2)

1 36656 43.30% 5.39 4.63 2 77193 45.45% 22.31 18.92

3 10741 0.00% - -

4 11079 6.67% 2.90 1.09 5 79618 61.90% 14.84 36.21

6 3218 0.00% - -

合計 33.77%

グループ

0 20 40 60 80 100

1 2 3 4 5 6

97

44 35 30 21

1 42

20

0 2 13

0

市町村数

グループ

市町村数 DIDを有する 市町村数

IV-45

土木学会東北支部技術研究発表会(平成26年度)

(2)

(a)域内

(b)域外

図3 「乗合バス」の特化・拡大チャート

次に、代表的な交通手段である乗合バスについて、

特化・拡大チャートを示す。図3(a)は域内、図3(b) は域外についての特化・拡大チャートである。域内、

域外ともに半数以上の市町村で非特化・非拡大の傾 向にある。また、域内では仙台市や盛岡市など大規 模な都市部が特化しているのに対し、域外では青森 県佐井村や福島県昭和村など、農村地域でも大きく 特化している自治体がある。

図4 可住地人口密度と主要交通手段の特化係数との相関関係

可住地面積に対する人口密度と主要な交通手段の 特化係数との関係を図4に示した。これらの間には ある程度の相関があることが分かった。「鉄道・電車」

や「乗合バス」とは正の、「自家用車」とは比較的強 い負の相関がある。したがって、コンパクトな空間 に集約して住み人口密度を高めることは、自家用車 の特化を抑え公共交通の利用を促す効果があるとい える。

図5は、2000年と2010年の代表的な市町村にお ける世帯当たり乗用車保有台数を示したものである。

228市町村のうち、保有台数が減少したのは 8市町 村であり、16の市町村で保有台数が15%以上増加し ていた。この結果からもわかるように、東北地方の ほとんどの市町村では、人口密度の多少に関わらず、

自家用車を所有する人が増加している。これは居住 者のライフスタイルや行動パターンの変化によると ころが大きいと考えられるため、今後の地域政策で は、コンパクト化だけではなくそれらの変化にも着 目する必要があると思われる。

(a)2000

(b)2010

( )内の数値は対2000年比である。

図5 可住地人口密度と世帯当たりの乗用車保有台数 (軽自動車含む)の関係

4.おわりに

分析の結果、東北地方では依然として自家用車の シェアが大きく、公共交通のシェアは小さい市町村 が多いことがわかった。しかし、一部の市町村では 乗合バスなど公共交通手段の特化・拡大傾向がみら れ、交通政策の効果が現れていることがうかがえる。

こうした市町村の交通政策は、類似した地域特性を 持つ他の市町村でも参考になると考えられる。特に、

複数の市町村間での広域バスの運行や、電車と乗合 バスの接続を円滑にすることなどは、有効な交通政 策であると思われる。また、地域政策としては、都 市のコンパクト化を進めることで、公共交通の有効 活用が進むと考えられる。このような政策の実行の ためには、市町村単独だけでなく、自治体間あるい は自治体と鉄道事業者、バス事業者の連携が必要不 可欠であり、それらの柔軟な取り組みが望まれる。

遊佐町

仙台市 登米市

盛岡市

0 2 4 6 8 10

0 1 2 3 4 5 6

拡大係数

特化係数

西会津町

昭和村 佐井村

0 2 4 6 8 10

0 1 2 3 4 5 6

拡大係数

特化係数

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

10 100 1000 10000

用車保有台数(台/世帯)

可住地人口密度(人/km²)

大潟村 (0.92)

色麻町 (1.18)

昭和村 (0.95)

古殿町 (1.45)

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2 2.2

10 100 1000 10000

用車保有台数(台/世帯)

可住地人口密度(人/km²)

土木学会東北支部技術研究発表会(平成26年度)

参照

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