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分岐器転換特性と不転換原因の解明

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Academic year: 2022

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(1)

分岐器転換特性と不転換原因の解明

東海旅客鉄道株式会社 正会員 ○後藤 康夫 東海旅客鉄道株式会社 正会員 原 幸一郎

はじめに

当社,在来線には約

3,000

台の分岐器が敷設されている.近 年は,高番数のものが多く敷設されるようになってきた,な かでも

16

番以上の分岐器は

143

台敷設されており,これらの 分岐器において分岐器不転換(リトライ事象含む)が発生す る傾向がある.不転換事象は絶対に防ぐべきものであるため,

高番数分岐器の不転換原因について保線,信号で協力して調 査し究明したので,その結果について報告する.

1.分岐器不転換事象の現状 (

1

)分岐器不転換の件数

過去

3

年間で,分岐器不転換は

48

回発生している.分岐器 種別毎に見ると,

16

番以上の高番数分岐器で

48

回中

42

回と,

片開き,両開きに関係なく多く発生していることがわかる(図

-1).

いずれも事象発生時に分岐器を調査し,原因の検討を行っ たが,分岐器敷設状態および電気転てつ器,転換装置に異常 は認められず,分岐器床板に傷が見られたことから,異物が トングレール下に介在し,分岐器不転換に至ったと想定され た.しかし,異物そのものを発見することはできなかった.

(

2

)高番数分岐器の特徴

高番数分岐器はトングレール長が

12 m

以上と長く,確実 にトングレールを基本レールに接着させるため,転てつ棒が

2

本使用されている.

2

本の転てつ棒はスイッチアジャスタと接 続され,エスケープクランク,ロッド,直角クランクを介し 電気転てつ器に接続されている.

2.分岐器不転換に至る要因

分岐器不転換はトングレール転換力(以下,転換力)が電 気転てつ器の転換能力を上回った際に発生すると考えられる.

弾性ポイントの転換力は

60

レール用

16

番で

3.7kN(理論値)

であり,電気転てつ器の転換能力は

4.9kN

(定格値)である.

よって,何らかの要因により転換負荷が増加し,転換力が電 気転てつ器の転換能力(

4.9kN

)より大きくなった際に分岐器

不転換は発生する.その要因としては,床板上の油切れによ る摩擦力の増加があげられる.また,

2

本の転てつ棒でトング レールを転換するので,エスケープクランクやロッド,クラ ンク類の調整状態(以下,転換装置調整状態)による転換タ イミングの変化が影響を与えると考えた.これは,本来第

1・

2

転てつ棒が同時に動作(以下,転換同期)しトングレー ルをバランスよく転換させるのに対し,転換装置調整状態に よっては,転換同期せずトングレールが転換途中でねじれる 状態になり,トングレールの一部に応力が集中することを想 定したものである.

3.転換力の測定

(

1

)測定器による転換力測定

分岐器不転換の要因である転換負荷の増加は床板上の油状 態と転換装置調整状態の変化に影響を受けるとの想定を基に,

分岐器に測定器を取り付けて転換力の変化を測定した.

転換力測定は,表-1に示すとおり転換力に影響を与えると 想定した要因を変え,

4

種類の試験条件を設定し計器にて転換 力を測定した(図-2).

(

2

)転換力測定結果

転換力測定結果の一例を図-3に示す.図中の上下に見られ る半楕円形の線が電気転てつ器の転換能力を示す.転換途中 の電気転てつ器転換能力は

4.9kN

であり,図中の波形(実際 に転換する時に掛かる力)が半楕円形の線(電気転てつ器転 換能力)を越えると,分岐器不転換を起こす可能性が高まる.

測定は各条件において

5

回ずつ転換し,転換力を測定した.

キーワード 分岐器不転換,凝着摩耗,転換力測定

連絡先

464-0850 名古屋市千種区今池 2-1-37 東海鉄道事業本部 多治見保線区千種支区 TEL052-731-8330

0 5 10 15 20 25 30 35

60レール16番 50Nレール20番 60レール20番 50Nレール16番 50Nレール10番 50Nレール8番 60レール12番 50Nレール12番

30 6

3 3 2 2 1 1

N=48

高番数=42回

低番数=6回

№ 床板油状態 転換装置状態

1 転換同期

2 転換非同期

3 転換同期

4 転換非同期

油「有り」

油「なし」

表-1 試験条件

図-2 転換力測定器取付箇所

電気転てつ器

(NS-CM)

動作かん

直角クランク 第1エスケープクランク

第1スイッチアジャスタ

第2エスケープクランク 第2スイッチアジャスタ

第1転てつ棒 第2転てつ棒

測 定 箇 所 トランスデューサ 物理量

動作かん、スイッチアジャスタ ストローク計 変位 動作かん軸力、スイッチアジャスタ軸力 ジョーピン型軸力計 荷重

図-1 分岐器種別毎不転換回数

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

‑793‑

Ⅵ‑397

(2)

転換力測定結果をまとめると表-2となり,

5

回転換した 際の転換方向毎の最大値を示している.床板上に油のある 状態で転換装置状態を「同期」から「非同期」にした場合,転 換方向により転換力の変動差が大きくなり,定位→反位時 は転換力が増加することを確認した.

また,床板上の油を除去した場合は,転換装置状態が「同 期」であっても転換力は増加した.「非同期」に設定した条 件では,転換毎に転換力が変動し,定位→反位時に最大転

換力は

8.1kN

を記録,床板上に傷も確認した.この条件下

で転換を継続したところ,別の床板上に傷が発生し,最終 的には分岐器不転換が発生した.

4.転換力測定結果の分析 (

1

)転換負荷増大の要因

転換力測定結果から転換負荷を増大させる要因は

① 床板上の油有無

② 転換装置調整状態により影響すること

が確認できた.また,油「なし」条件下で転換を繰り返し た場合,

③ 床板上に傷が発生し,著しい転換負荷の増加によって 転換力が転てつ器転換能力を上回り,分岐器不転換が 発生すること

が確認できた.

(

2

)床板上に発生した傷の分析

測定時に生じた傷の発生については,転換力測定を行う 前に,床板上の清掃等を入念に行っていたこともあり,異 物介在の可能性は低いと考えられるため想定外であった.

よって,この傷については新たな要因が考えられると想定 し,発生した傷(図-4)の調査を詳しく行った.

その結果,金属摩耗現象の一つである「凝着摩耗」であ る可能性が確認された.この摩耗は一般的に見られる金属 摩耗形態の一つであるが,その発生メカニズム等は未だに 解明されていない部分も多くある.図-5に示すとおり,

2

つの金属面は見た目では一様に接触しているように見える が,実際には微細な凹凸が存在し,実際に接触しているの は凹凸の山の先端のごくわずかな部分のみである.凝着摩 耗とは,このような状態で互いに滑り運動をしている面間 において突起の一部が結合(凝着)して,次の滑り運動に より凝着面がせん断破壊する現象をいい,せん断時に摩擦 力が最大となり,せん断面は傷となって現れる.1)

また,凝着摩耗の特徴としては以下の

3

点が挙げられる.

「①同種金属同士で発生しやすい.(トングレールと床板は ともに同一素材である)」,「②結合が強い場合,弱い方の金 属がむしりとられる.(トングレール裏面と床板上面を比較 すると床板の方が弱い素材となっていることが分かってい る)」,「③傷の範囲が著しく広範囲にわたる.(床板上の傷 についても,摺動範囲全長に生じている)」従って,今回生 じた床板傷はこれらの特徴を有しており,トングレールと 床板間に高い接地圧が生じたことにより発生した凝着摩耗 と推測できる.

(

3

)分岐器不転換の原因

今回実施した転換力測定と床板に生じた凝着摩耗から,

高番数分岐器不転換の発生原因は,局所的に生じたトング レールと床板の接地圧増大であると考えられる.接地圧の 増大は①床板上の油状態「無」による金属同士の接触,② 転換装置の調整状態「非同期」におけるトングレールのね じれによると推測される.接地圧の増大により生じた凝着 摩耗による転換負荷増大の結果,転換力が転てつ器転換能 力を大きく超過したことが分岐器不転換の発生原因と結論 付けた.

まとめと今後の課題

転換力測定とその際に生じた床板上の傷を分析し,分岐 器不転換の原因が局所的なトングレールと床板の接地圧増 加による凝着摩耗であることを確認した.よって,分岐器 不転換を抑制するためには,適切な塗油および転換装置の 状態を「同期」に調整することが重要と考えられる.

今後も分岐器の転換に関する知識を深め,上記条件でも 凝着摩耗が発生しない床板改良や信号と共同で転換能力の 向上に取り組むことも視野に入れる.また,より多くの転 換力データを収集し,転換装置を含む分岐器全体の転換特 性についても調査し,分岐器不転換防止策を検討していく.

参考文献 1) 京都府中小企業技術センター「金属摩耗のおはなし」<

http://www.mtc.pref.lg.jp/ce_press/no1003/gijutu.htm

図-3 転換力測定結果の例

表-2 転換力測定結果

定位→反位 反位→定位

1 転換同期 2.5 2.2

2 転換非同期 2.9 2.0

3 転換同期 4.9 3.8

4 転換非同期 8.1

※不転換発生 5.0 油「有り」

油「なし」

4.9

(定格)

床板油

状態 転換装置状態 最大転換力(kN) 転てつ器 転換能力

(kN)

‐8

‐7

‐6

‐5

‐4

‐3

‐2

‐1 0 1 2 3 4 5 6 7 8

0 50 100 150 200

動作かんストローク(㎜)

定位 反位

反位 定位

(kN)

NS‐CMモータ転換能力

NS‐CMモータ転換能力

図-5 凝着摩耗現象

トングレール

床板 凝着

図-4 床板に発生した傷

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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交通事業者等 ICカード乗車券 北海道旅客鉄道株式会社 Kitaca 株式会社パスモ PASMO 東日本旅客鉄道株式会社 Suica 東京モノレール株式会社

そして、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会

農水産業協同組合貯金保険機構 株式会社商工組合中央金庫 日本アルコール産業株式会社 株式会社産業革新機構 海外需要開拓支援機構

中日本高速道路 株式会社 西日本高速道路 株式会社 東日本旅客鉄道 株式会社 受信環境クリーン中央協議会 東海旅客鉄道

(注3)