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紫外線による油汚染土壌の浄化法

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Academic year: 2022

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(1)VII-043. 紫外線による油汚染土壌の浄化法 戸田建設㈱. 正会員. ○小國拓也. 中村隆浩. 西松建設㈱. 正会員. 山崎将義. 石渡寛之. 同. 非会員. 萩谷宏三. 佐藤文俊. 1.油汚染浄化技術の概要 工場跡地や石油関連施設の土壌では、石油による環境汚染が深刻な問題として潜在している。これらの油 汚染土壌には、濃度や成分の違いといった種々の形態がある ため 、広い範囲の油汚染に対応する浄化技術 が必要である。近年、油汚染土壌に対して生物的浄化法(バイオレメディエーション)が試みられており、 そのいくつかは有効性が検証されている。しかし、長期間放置された油汚染の場合、すでに微生物によって 分解可能な成分は分解が済んでおり、難分解性成分を多く含んだ油汚染土と考えることができる。そのため、 生物的浄化法の前処理として物理化学的浄化法との組み合わ. 高濃度汚染 難分解性成分. 低濃度汚染 易分解性成分. 浄化土壌 (再利用). せが効果的である。物理化学的処理には化学物質(薬品等) による処理・分解、土壌洗浄処理、熱による脱着処理、熱溶 融処理等があるが、今回は反応の安定性及び処理後の安全性. 生物学的処理 ■バイオレメディエーション 土着微生物の活性法. 物理化学的処理 ■紫外線照射 触媒併用. を考慮して、紫外線(以下、UVと記す)照射による分解処 処理装置の開発. 理を試みた。本研究では、石油模擬汚染土に紫外線照射を行 った結果、油分濃度の低減と共に成分の変化を確認した。図 −1に開発中の油汚染浄化技術(ハイブリッド型浄化システ. ハイブリッド型浄化システム. 図−1. ハイブリッド型システム概念. ム)の概念を示す。 2.実験概要. UV 照射 ランプ. 2.1 実験の目的 本実験の主な目的は以下の通りである。 ①UV照射による油分分解効果を確認する ②UV照射時の触媒添加及び照射強度の増大が油分分解効率に 与える影響を確認する。. 回 転方 向 シャー レ 撹 拌棒 (ガラ ス). 2.2 実験方法. ターン テーブ ル. 砂(豊浦砂)に所定の原油を混合し、実験ケース別にガラスシャーレ に採取し、写真−1,2に示すようにシャーレ内の石油汚染砂に照. 写真−1. UV照射状況(シリーズⅠ). 射強度を変えたUVランプで直接照射する。UV照射による油分 分解効率を上げるために光触媒として二酸化チタンを使用する。. UV照射装置. 実験は表−1に示すように 2 シリーズ行った。シリーズⅠではUV照 射する時間ごとの油分分解効果を確認し、シリーズⅡではUV照射 ターンテーブル. 強度による油分分解効果の変化を確認するものとした。照射実. シャーレ( 試 料). 撹拌装置. 験の前後で石油汚染砂から油分を抽出し、油分濃度計によって 油分濃度を測定した。以下に実験手順を示す。. アクリルケース. ①試料調整:砂と原油の混合(光触媒の添加) ②照射前試料の油分分析:クロロホルムによる油分抽出、濃度測定. 写真−2. UV照射状況(シリーズⅡ). キーワード:汚染土壌浄化、紫外線照射、難分解成分、光触媒 連絡先:東京都中央区京橋 1-7-1. 戸田建設(株). TEL 03(3535)1616. -86-. FAX 03(3564)0475. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) VII-043. ③UV照射:シャーレに試料を採取し、UVランプによって直接照射する ④照射後試料の油分分析:クロロホルムによる油分抽出、濃度測定. 表−1. 実験シリーズ. 実験では、未処理でも油分の揮発が考えられたため、各実験シリ. シリーズⅠ. ーズにはUV照射等の処理を行わない試料(コントロ-ル)を用意した。 原油濃度(wt%). シリーズⅡ. 1.5. 油分分解効果はコントロ-ルとの比較によって確認した。今回、汚染土 UV 照射時間(時間) 1 〜 96 表面と触媒の接触効率を上げるため、写真−1に示すようなターンテ. TiO2 添加量(対原油量%). 1 〜 65. 0%,100% 0%,50%. ーブルが回転し、シャーレ内試料を撹拌する装置を用いて実験を行った。UV ランプ強度(離隔 30mm) 1.0mW/cm 7.2mW/cm 2. 2. 3.実験結果とその考察 油 汚 染 1.5wt% 濃 度. 石油模擬汚染土にUV照射し、残った油分量の経時変 油分残存率 ( % ). 化を図−2,3に示す。以下に各ケースの結果を記す。 <シリーズ 1 >:無処理で 96 時間経過すると 15%程度の揮 発量が見られる。油分量はUV照射のみで約 30%減、光 触媒(TiO2)の添加により 35%減となる。. 100 80 ①コントロ‑ル ②UV ③UV+TiO2. 60 40 20 0. <シリーズ 2 >:UVを 65 時間照射した場合、コントロールで. 0. 10. 20%程度の揮発量が見られる。UVの照射だけで 60%減 、. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90 100. U V 照 射 時 間 ( h ). 図−2. TiO2 の添加により 80%減となり、シリーズⅠと比較して油 分分解率が大幅に増大していることが分かる。また、各. UV照射効果(シリーズ 1 ). 油 汚 染 1.5wt% 濃 度. シリーズとも、ある一定の照射時間を超えた時点では、単. 100 油分残存率 (%). 位時間あたりの油分の分解効率が低下しているため、触 媒の再添加等によって分解を促進させる必要がある。シリ ーズⅡで得られた 3 試料に対して、GC-FID(ガスクロマトグラフィ -)を用いて成分分析した結果を図−4に示す。図中には. 80 ①コントロ‑ル ②UV ③UV+TiO2. 60 40 20 0 0. 炭素数が 20 に相当する炭化水素の検出位置を示した。. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 80. 90 100. U V 照 射 時 間. この結果から、UV照射による油成分の分解は偏りが無. 図−3. く、ほぼ均一に行われていることが分かる。. UV照射効果(シリーズⅡ). C20. C20. C20. カウント. 保持時間 0. 5. 10. 15. 20. 25. 0. 図−4. 5. 10. 15. 20. 25. 0. 5. 10. 15. 20. 25 (min). GC-FID 出力結果( TPH: C10-28). 4.結論 今回の実験結果より、以下の事項を確認することができた。 ・UV照射によって油汚染土の油分分解・濃度低下が可能である。 ・UV照射を行う場合、二酸化チタン(TiO2)を添加すると油分分解の促進に効果がある。 ・UV照射強度の増大によって油分分解効果を大幅に促進することが可能である。 ・UV照射によって原油を構成する各炭化水素がほぼ均一に分解されている。 以上より、物理化学的処理法として、UV照射が油分濃度の低減について有効である事を確認した。今後、 UV照射後の油成分に対する生物的処理(バイオレメディエ−ション)の有効性を検証すると共に、実用化 に向けて、UV照射の最適な条件設定を行っていく予定である。 【参考文献】小國・中村・佐藤ほか:石油汚染土壌の紫外線分解,第7回地下水・土壌汚染とその防止に関する研究集会講演集,PP.143〜144,2000. -87-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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