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日本天文学会 早川幸男基金による渡航報告書 AGN Winds on the Georgia Coast

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Academic year: 2021

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天文月報 2018年11月 802

日本天文学会 早川幸男基金による渡航報告書

AGN Winds on the Georgia Coast

氏 名:野村真理子(慶應義塾大学研究員(渡航 当時))

渡航先: アメリカ ジョージア州 期 間:

2017

6

25

日‒

30

私はアメリカ合衆国ジョージア州で開催された 国 際 会 議“

AGN Winds on the Georgia Coast

” に参加し,口頭発表を行った.この国際会議は, 活動銀河核(

AGN

)アウトフローに焦点を絞っ た国際会議であり,アウトフローの加速メカニズ ムやフィードバックの研究に注力する観測および 理論研究者が約

80

名集まり,

4

日間にわたり密な 議論を行った.

AGN

の輻射スペクトルに,青方偏移した吸収 線が発見され,

AGN

には細く絞られたジェット とは異なるアウトフローがあることがわかってき た.現在アウトフローの存在は広く受け入れられ ており,その質量・エネルギー放出率から,一部 の ア ウ ト フ ロ ー は超 巨 大 ブ ラ ッ ク ホ ー ル (

SMBH

)および母銀河の共進化に影響を及ぼし ていると考えられる.このことから,近年ますま す

AGN

アウトフローへの関心は高まっている.

今 回 の 口 頭 発 表 で は,“

A Novel Model for

Line-Driven Disk Wind: Origin of UFOs and

Self-regulation of SMBH Growth

”という講演題 目で,

Ultra-fast outflow

UFO

)と呼ばれるエ ネルギーの大きなアウトフローの加速メカニズム と,このアウトフローが

SMBH

進化に及ぼす影

雑 報

(2)

第111巻 第11号 803 響について研究成果の報告を行った.

UFO

は, ジェットに匹敵するエネルギー放出率をもち,母 銀河へのフィードバックに寄与している可能性が 高い.私は,輻射流体シミュレーションを実行 し,ラインフォース(金属元素が紫外光を吸収す る際に受ける力)によって降着円盤表面から噴出 する円盤風が,

UFO

の観測結果(速度,柱密度, 電離状態)を非常によく再現することを突き止め た.さらに,計算結果は,近年明らかになった質 量放出率の

AGN

光度依存性を説明可能である. これは,他の加速メカニズム(磁気駆動や熱駆 動)では再現されておらず,ラインフォースが

UFO

の駆動力であることを強く示唆する結果で ある. さらに私は,ラインフォース駆動型円盤風の放 出により,

SMBH

への質量降着率が大きく減少 していることを明らかにした.明るい

AGN

の場 合,

SMBH

への質量降着率は円盤風の噴出によ り円盤への供給率の半分以下に抑えられる.ライ ンフォース加速には紫外光で明るく輝く降着円盤 が必須であるため,円盤風は十分質量の大きな

SMBH

の周囲で発生する.つまりラインフォー ス駆動型円盤風が

SMBH

の進化の最終段階で, その成長を抑制しているのである.この結果は現 在観測されているほぼすべての

AGN

光度がエ ディントン光度未満であるという観測事実と矛盾 しない.本研究は

AGN

アウトフローが

SMBH

成 長に与える影響を初めて定量的に示した研究であ る.本成果は特に,理論研究者に興味をもってい ただくことができ,公演後には,

Daniel Proga

氏,

Martin Elvis

氏をはじめとした研究者らと議 論を行うことができた. ほかの参加者の講演では,観測研究に関する発 表を通して,多種多様な噴出速度や電離状態をも つアウトフローの性質とその解釈について理解を 深めることができた.理論研究では,特に

Ran-dall Dannen

氏の

AGN

型の

SED

を仮定したライ ンフォースの評価に関するポスター発表が,自身 の研究と密接にかかわっており,今後の研究の参 考になった. 以上のように本国際会議への参加は,自身の研 究成果の発表の機会として,また今後の研究を進 めていくうえで非常に有用であった.このような 貴重な機会を与えてくださった早川幸男基金およ び関係者の皆様に多大なる感謝を申し上げる.

雑 報

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