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ラベルスイッチング技術を利用した仮想IP層の提案

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第67回全国大会. 2A-2. ラベルスイッチング技術を利用した仮想 IP 層の提案 Virtual IP Layer Based On Label Switching 内田 良隆† 三瓶 史彦‡ 石川 憲洋† Yoshitaka Uchida Humihiko Sanpei Norihiro Ishikawa † 株式会社 NTT ドコモ ‡NTT アドバンステクノロジ株式会社 1. はじめに. 現する.しかし,アドレス,ポートなどのマッピン. 近年,インターネットの急速な発展に伴い,ネッ. グ方法の違いから4種類に分類される NAT 全てに. トワークに接続する端末が増加し,IP アドレスの枯. 適用できるわけではなく,その際にパケット自身を. 渇が問題になっている.そこで,NAT 機能を搭載し. サーバが中継して通信しなければならない.また,. たルータ装置等を用いてプライベート空間を構築し. サーバを利用している点もフォールトトレランスな. ている家庭や企業が多い.NAT(Network Address. ものとは言えない.そして,UDP 通信のみであるた. Translation)はグローバルアドレスとプライベート. め,TCP 通信に適用できないことも課題と言える.. アドレス,ポート番号の変換を行うため,1つのグ. 異なるアプローチとして,アドレス自体を拡張す. ローバルアドレスがあればプライベート空間の複数. る IPv6 ネットワークの構築も考えられているが,. 端末がインターネット接続できる.しかし,両方の. 現時点であまり進んでいない.. 通信端末が異なるプライベート空間にいる場合,こ の NAT が障壁となりポート番号を保持した完全な. 3. 提案方式の概要. end-to-end 通信の実現は難しい.プライベートアド. 図 1 に示すように,IP 層の上に仮想 IP 層を定義. レスはそのプライベート空間内に閉じたアドレスで. する. この仮想 IP 層において MPLS(Multi Protocol. あり,グローバル空間では処理できず通信を確立で. Label Switching)[2]で利用されているようなラベル. きないためで,NAT 越え問題とも呼ばれている.. スイッチング技術を応用し IP パケットのルーティ. 本稿では,IP 層の上に定義した仮想 IP 層でラベ. ングを行う方式が本稿の提案方式である.また,こ. ルスイッチング技術を応用して,ラベルとルーティ. の仮想 IP 層でラベルスイッチを行うルータをバー. ングテーブルを用いて IP アドレス変換を行うトラ. チャル IP ルータ(VIP ルータ: Virtual IP Router). ンスペアレントな end-to-end 通信方式を提案する.. と呼ぶ.. 本方式はマルチキャスト通信,IPv4-IPv6 相互変換,. VIP ルータは,アドレス空間の異なる IP パケッ トを中継する.中継には,ラベルと IP アドレスを. モビリティなどにも適用可能である.. 関連付けたルーティングテーブルを利用する.グロ. 2. 現状の課題. ーバル空間に接している VIP ルータは端末から. NAT 越え問題に対し,IETF で標準化されている. DNS への名前登録要求を代行する役割を負う.以下. STUN(Simple Traversal UDP through NAT)[1]な. では,VIP ルータ R1 についてグローバル空間側の. どでは,UDP hole Punching 技術が利用されている.. アドレスを R1,プライベート空間側のアドレスを小. これはまず, NAT 内にいる両方の端末が end-to-end. 文字で r1 と表記する.. 通信に利用する NAT 装置のグローバル IP アドレス, ポート番号をサーバに登録し,それを各端末が取得 する.その後,各端末が一度通信を試みることによ って NAT 装置がその IP アドレス,ポート番号を記 憶し,NAT 装置に穴を開ける技術で UDP 通信を実. アプリケーション層. DHCP/HTTP/DNSなど. トランスポート層. TCP/UDP. ネットワーク層. Virtual IP IP. †. ネットワークインタ. NTT DoCoMo, Inc.. フェース層. ‡ NTT Advanced Technology Corporation †. 図1. { uchidayo, ishikawanor }@nttdocomo.co.jp. 3−287. ATM/Ethernetなど. 仮想 IP 層.

(2) 端末へアドレス(r1)・生成したラベル(30)を送信する. パケット 通信先 通信元. ルーティングテーブル. アドレス アドレス. ラベル ラベル. ルータ生成ラベル. N(A) VIP R1 N(B) VIP R2. DNS ②取得. ラベル. Phase 3: 通信の開始 アドレス(r1)・ラベル(30)を取得した通信元端末は. 10 20. パケットヘッダにその情報を設定し,VIP ルータに. レコード. ①登録. ②’追加. プライベート空間. アドレス. ルーティングテーブルと照合し次に転送する宛先の. グローバル空間 VIPルータ R1 端末 A. 10 30. A 0 R2 20. ③送信. r1 30 A 0. R2 20 R1 10. 20 40. アドレス(R2),ラベル(20)を得て,通信先情報に設. VIPルータ B 0 R2. 定する.そして通信元情報には中継するアドレス空. 端末 B. R1 10. ③’追加. 間側のアドレス(R2)と通信元用に生成したラベル. B 0 r2 40. (10)を設定し,中継する.VIP ルータ R2 はルーテ. r2 40 B 0. ィングテーブルを参照し, 通信先端末 B に中継する.. ④返答. 図2. 送信する③.VIP ルータ R1 は送信先ラベル(30)を. 提案方式の概要図. また,その際に新たなラベル(40)を生成し,送信元 情報(R1,10)と関連付けルーティングテーブルに追. domain name 例). A.vip.com. VIP. IP Address. VIP. 123.123.…. VIP Label. 加する③’.. 10 Phase 4: 応答パケットの返信. 図3. VIP レコード. 通信先端末 B は,パケットを受信すると, 送信元,. 図2は提案方式の概要図であり,IP パケットのヘ. 送信先情報を入れ替えて応答パケットを送信する④.. ッダ情報,手続きの流れを示している.また,提案. パケットが辿ってきた経路を中継し,通信元端末 A. 方式は片方の端末がグローバル環境にある場合にも. に応答パケットを送信することができる.. 適用できるが,本稿では両方の端末が NAT 下にい る場合について示す.下記に手続きについて説明す. 4. まとめ 本稿で提案した方式は,NAT などを介し異なるア. る.. ドレス空間をまたぐ通信において,ポート番号は変 更せず,トランスペアレントな end-to-end 通信を実. Phase 1: 名前登録 各端末は,ネットワークに接続すると①に示すよ. 現する方式である.複雑な処理はなく,容易にルー. うに,VIP ルータを介して DNS に一意な名前(B)と. タへ実装できるものと考えられる.上記の現状の課. 対応するラベルを登録する.VIP ルータは端末から. 題でも示した中継サーバが不要であり,TCP 通信の. 受け取った情報(B,0)を動的に作成したラベル(20)と. 確立を実現できる.また,1つのラベルを複数のア. 対応付けてルーティングテーブルに格納し,DNS. ドレスに関連付けることによって、マルチキャスト. に名前(B),アドレス(R2),生成したラベル(20)を登. 通信へも適用可能とする.その他に IPv4-IPv6 相互. 録する.情報は,図3のような新たに定義した VIP. 変換,モビリティなど,アドレス変換を必要とする. レコードを Dynamic DNS 方式[3]により DNS に追. 機能に対して汎用的に適用できることが特徴である. 今後,実証実験環境を構築し本方式の有効性を検. 加し,登録する.. 証する. 参考文献. Phase 2: ラベル・IP アドレスの取得 通信を開始する場合は,②のように VIP ルータを 介し DNS に通信先端末Bの名前を問い合わせ,ラ ベルとアドレスを得る.なお,VIP ルータはラベル. [1] J. Rosenberg, J. Weinberger, et al. STUN - Simple Traversal of User Datagram. Protocol(UDP). Through. Network. Address. Translators(NATs), March 2003. RFC3489. [2] E. Rosen, A. Viswanathan, and R. Callon. Multiprotocol Label. (30)を生成し DNS からの返答(R2,20)に関連付け,. Switching Architecture, January 2001. RFC 3031.. ルーティングテーブルに格納する②’.そして通信元. [3] P. Vixie, S. Thomson, Y. Rekhter, and J.Bound. Dynamic Updates in the Domain Name System(DNS UPDATE). April 1997. RFC 2136.. 3−288.

(3)

参照

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