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南方軍軍政総監部の組織と任務 : 『執務規程』と『軍政令』を中心に[The Organization and Functions of the Military Administration of the Expeditionary Forces in Southeast Asia : Focussing on ‘Official Function’ and ‘Military Ordinances’ ]

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(1)

東南 アジア研究 16巻1号 1978年6月

南 方 軍 軍 政 総 監 部 の 組 織 と 任 務

-『執務規 程』 と 『軍政 令

を 中心

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毅 *

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O HTA 序 本稿 において,南方軍総司令部

(

昭雨すなわちシ ンガポールにあ った) に設置 され た南方軍 軍政総監部の組織 と任務を考察す る。史料 は主 に 『南方軍軍政総監部執務規程』各種 と,同総 監部が定 めた 『軍政令』な どを使用す る。 『南方軍軍政総監部執務規程』は,各種 の改正を加え,同定 され た ものではないが,南方軍 軍政総監部 (以下,軍政総監部 と略称す る)の組織 と任務を知 る上で重要史料 とな りうるもの である。また,『軍政令』 は,それ までの各種軍政関係の命令な どを ,発令者別 に秩序整理づ け た ものである。 『軍政令

によ り, 陸軍南方軍政 の 縦 の 系統 の中にあ って , 軍政総監部 が ど のような位置 にあ るかがわか るのであ る。軍政総監部の位置を巨視的に知 ることは,同総監部 の任務を,隷下 の各軍軍政監部 との比較 において知 ることにはかな らない。 軍政総監部の組織や任務 については,同総監部が南方軍政1)を統轄すべ き枢要なる軍政機関 であ りなが ら, 実態 が明 らかにされていないのであ る。(各軍軍政監 部の研究は, 各地の軍政 研究 と相 まって行なわれてい るが。) まず,南方軍 とその隷下 の各軍を も含む ところの現地軍の軍政機関の概要を調べてみようo 『南方作戦 に伴ふ 占領地行政の概要』 には, 「開戦直後」の 「南方軍総司令部

として,軍政機関を特設せず総参謀副長 1名軍政を担 当 す ると共 に参謀部第3課 に軍政班を設 け全般の統制指導に任 じた り02) *桐蔭学 園高等学校 I)昭和16年11月26日決定 『占領地軍政実施二関スル陸海軍中央協定』では,陸軍の主担任 区域として, 「香港 ・フィリピン・英侃マレー ・スマトラ ・ジャワ ・英徹ボルネオ ・ビルマ」があげられている。 2)第 1復員局 1946.『南方作戦に伴ふ占領地行政の概要』東京 :第 1復員局

,

第 2葦 第 1の2A・ 103

(2)

東南 アジア研究 16巻1守 とあ る。 また,隷下 の各 軍 司令 部 はそ の編成 内 に軍 政部 を置 いて これ に当た ったので あ る。3) 南 方 諸地域 の 占銃 が進 捗 一段 落す る ことによ って, 軍 政 が重 みを増 して い ったので あ る。か く て,南方軍 は 占徹 地域 を 安定確保 す べ き任務 を持 った。4) それを機 に,軍 政機構 や組 織 の改変 が行 なわれ て い る。 昭和 17年 7月25

日『

方軍 執務 令』 が改 正 され,南 方軍 総 司令部 内 におい て ほ,軍 政班 に代 わ って 軍 政総 監部 が新設 され た ので あ る。5) 軍 政総 監 部 が新設 され る前 の南 方軍 にお け る軍 政要員 は どの くらいを 数 えたので あ ろ うか。 陸軍 司政 長官 , 司政官, 通訳官,属 お よび通 訳生 の人数 を定 め る 『陸軍 特設 部 隊等 臨時職 員設 置制 』 (昭和 17年 3月 6日付公布勅 令第 133号)6)に依拠 した 『陸軍 司政長官, 司政官, 通訳官 , 擢 及通訳 生定 員

丑 (

軍省 作成 文告)7)によ る と, 「総

軍」l

l-1一方軍 一 関 係 は 次 の通 りで あ る。 官 等 別 部隊別 、業務別 総 軍 占 領 地 行政業務 司 政 長 官 毒司 政 官

1

1

E 4 ! A 通 訳 官 i 属 目 通 訳 生 この表 の中で 「司政官奏 任 」 と 「屈 」 の欄 が二 段 にな って い るのは, 後掲 史料

備考。

高等 官 ノ拒任事 務 分掌 概 ネ左 ノ通 り。』に よ って , その理 L抽 ミわ か るで あ ろ う。 また , 技 師 や技手 は

,

『陸軍 技

(陸

技手 )定 員

象』

(陸軍省 作成文

書)

8

)

に よれ ば , ∵ 十 一 -- -

I

1 総 軍 i 1 L 2 1 2 00 9 とあ る。 (この中で , どれ だ け軍 政総 監部 の要 n tな ったか は判然 と しない。) その他

,

高等 官 の担 当車務 分掌 につ いて は, 次 の史料 が あ る。

考 。 高 等官 ノ抑 壬弔務 分掌 概 ネ左 ノ通り。,q(17.2.10

内参事官記,竹下少佐 ノ説明二拠't') 3)第 1復員局 『同上書 』 4)南方軍は,昭和17年8月7口昭南に隷下各'・1子の叩政 監 を集 め て南 方 軍 政 の基本 を指示 した。 この 『軍政総監指示』の中に

,

南方笹軍政総監部の任務が明示凝縮 されている。 5)防衛庁防衛研修所戦史室 1976.

r

南西方面陸軍作戦-マレー ・蘭印の防衛-』戦史叢書 92,東京 :朝 雲新聞社,p・39には

,

「南方攻略作戦の一段落に伴い,この機に軍 政 機 構 の改変が行われた。」とあ る。 6)『陸IrT一特設部隊等臨時職員設銅;-り』が定められた 「

理由

」は, 「大東亜戦争二際シ,占臨地二於ケル叩 政施行 ノ為必要アルニ依ル」であった。 (太【購入毅 1975.「陸TrtlII'用地行政に従事せし,文官の人数 と配置

『口本歴史』第328号,p.52.) 7)rTJl上諭文中の p・53か ら引用. 8)同上論文lllの p・53か ら引用 。 104

(3)

太田 :南方革軍政総監部の組織と任務 (内閣作成文書 )9)によれ ば , (I)総軍 (1) 司政長官 1 親任 待遇 最 高顧 問 (2)同 上 4 動 任 顧 問 別 二専 門 ヲ分 タズ,現地 ノ事情 二精通 スル者 ヲ以 テ之二充 ツ。 (3)司政官 6 奏 任 (1) 及 (2)所掲 ノ顧 問 に配 スル参謀 副 官格 ノ者 トシ, 内ニ-親 任 待遇 ノ最高顧 問こ, 四ハ勅任 ノ顧 問二各- ヲ附属 ス。 (4)司政官 25 奏 任 各軍 二於 ケル軍政 ノ統 監こ関 スル幕僚 格 トス r行 政 2 内 訳 司 法 国際法 産 業 財 務 交 通 1 1 8 5 6 (鉱,工, 商, 鼠 林,石 油) (財政,金融,税 関) (鉄 道,船舶 ,通信) \其 ノ他 2 (適 当二事務 ヲ分配 スル筈) (5)通訳官 仏語 2 で あ った。 中央 部す なわ ち陸軍省 の構 想 による人 員表 で あ った。 この時点 で完 全 に充 足 され た とは考 え られ ないが,一 つ の 目途 とはな りうるo この中で 「司政官 25 奏 任 各軍 二於 ケル 軍 政 ノ統監 二関 スル幕僚 格 トス」 とあ るが,後 の軍政総監 部 の母体 とな る初期 の 構 想 で あ ろ う

「仏語 」の通訳 官 とあ るの は, この時点で, 南方軍 総 司令部 が仏 印の サ イ ゴ ンにあ ったた めで あろ う。 軍政総監部 は,南方軍総 司令官 が南方軍政を統監す るため に, その事務 管掌 機 関 と して南方 軍総 司令 部 に設 置 した ものであ った。南方軍総参謀 長が軍政総監を兼任 し, 軍政総監 部 の要部 で あ る総務部長 には,総参 謀副 長を充 ててい る。 部員 中若干 の者 が総軍参謀 との 兼 任 で あ っ たが, その他 は文官 が その職 に就 いた。南方軍 の隷下 の 各軍 において は, 各軍司令部 内に,翠 政 部 に代わ って軍政監部 が設 置 され たのであ る。10) 以上 の ごと く,南方軍総 司令部 内に設 置 され た軍政総監部 は,南方軍政 の中枢 的立 場 に位置 していたので あ る。 軍政総 監部 の組織 や任務 を考 え ることは,広範 囲 に展 開 され た陸軍 による 南 方軍政を普遍 的 「統轄 」 的 に理解す るの に役立 つ と思 われ る。 根本史料 は,主 に旧陸軍省軍務課 お よび内閣 に集 め られ た文書 を使 用 した。 9)同上 論文 中のpp・52-53か ら引用。 10)各軍 の軍政監邦は,南方軍の軍政総監部の下部機関であった。各地区の軍政 責 任 者 である各軍司令官 の事務管掌機関として,軍司令部内に設置 され ,軍参謀長が軍政監を 兼任 した。 軍政監部総務部長お よび部員の貯 千名は,軍参謀が兼任 ,その他は文官がその職に任 じた。組織 と編成は,現地各軍 に任 さ れていた。 105

(4)

東南 アジア研究 16巻1号 Ⅰ 南方軍軍政総監部の新設 昭和 17年 7月25日 『南 方軍 勤務令 』が改正 され,南方軍総 司令 部 内に南方軍軍政総監部が新 設 され たが , 『南方軍軍総監 部執務規程』 も作成 され た。 南 方軍軍政総監部が , 組織 と任務 の 裏づ け とす るために これ を定 めたのであ る。 (この時壬釦 こ出 され た 『執務規程

は, 筆者未見 な るがゆえ に,内容 につ いて は推測 の域 を 出ない。昭和 17年 7月25日に制定,即 日公 布 され た と思 われ る。 しか し,定 め られ た こ とは事実 で あ る。) この未見 の 『執務規程』 には,総務部 , 経拓部,交 過部, 厚生 部, 調査部, 散産管理部, の六 郎11)があ った。 次 の 『秘電報 』が それ を証 して い る。 秘電報 昭和 17

,

8, 19 次官,次長宛 818 1950発 2330着 南方軍軍 政総監 南政電第 179号 軍政総監部執務規定 ヲ定 メ総務 部 ノ外 経済部 (産業,財政,金融 関係) 交通部 (陸運,海運, 航空通信 関係) 厚生部 (民族対策,進 出邦人教育,宗教等 ノ関係) 調査部 (諸調査,学術 関係) 敵産管理部 (敵産 二関 スル事項) ニ 区分 セ リ,執務規定 及充 当要員 区分空送致 スベ キニ付充 員 二関 シ至急配慮煩度 尚人選等 細部 二関 シテ-軍政課高橋 中佐 二連 絡二付 申添 フ (終)12) とあ るのが それで あ る。 隷下 各軍 において も, ほぼ同時射 こ各軍政監部 の 『事務分掌 規程 』や 『服務規程 』が作成 されて い る。13) 南 方 軍政要員 の 充 足 のために, 陸軍 司政長官 ・陸軍 司政官 ・陸軍技 師 ・陸軍通訳官 ・陸軍 属 ・陸軍通訳生 ・陸軍技手 の 人数を定 めた 『陸軍特設 部隊等臨時職 員設置制』 (昭和 17年 3月 6日付公布 勅令第 133号 )が 出されて い る ことはすで に述べ た ところで あ る。 しか し, 昭和 17 年8月20日に至 って , 『陸軍特設 部 隊等 臨時職 員設 置制 中改正 ノ件』 (勅令636号 ) として, 早 ll)早稲田大学大隈記念社会科学研究所編 1959.『インドネシアにおける日本軍政』東京 :紀伊国屋書店 の p.118において 「軍政総監部の編成は,総務部,産業部,財着部,内着部,交過部,敵産管理部, 警務部,司浅部,軍政会 計監 督部等から成る」とあるが, 「内務部」

,

「警務部」

,

「司法部」は存在し なかった。『執務規程』各種にも見 られない。 これは,南方軍軍政総監部員であった岩武照彦氏の御示 教によって確かめた。 12)南方軍軍政総監 昭和17年8月18日発 『秘電報』次官次長宛 南政竃第179号。 13)『比島軍政監郡事務分掌規程』とか 『林集団軍政監部服務規程』とかがそれである。 106

(5)

太田:南方軍軍政絵監部の組織と任務 くも 「改正」 されてい る。 これ は 占領地拡大 に伴 う南方要員 の増員を意味 した。14) 「理 由

と して, 「南方 占領地 ノ拡大 卜其 ノ軍政 強化 ノ必要 トニ伴 ヒー」 とあ り,南方軍政総監部 その他 各軍 の軍政監部の新設 とほぼ時を同 じ くしてい る。 この 『陸軍特設部隊等臨時職員設 置制 申改 正 ノ件

に付随 して作成 され た陸軍省軍事課作成文雷 には

,

「南方総軍」すなわ ち南方軍 として 「総務部長」・「財政部長

「交通部長

「産業部長」・「通信部長」・「会計監督部長

「印度工作 部長」・「敵産管理部長

「企画部長」 の名称が見 え る

。(

『陸軍特設部隊等 臨時職員設 置制 中改 正 ノ件参考

)15) この ことは, 増員後 の南方軍 内軍政機 関の構 想が, 陸軍省 に存在 した ことを 意 味す る。構想であ ったので

,

『南方軍軍政総監部執務規程

(軍政総監部新設時 の ものや , 昭 和18年2

1日制定 の もの) に依拠 して置かれた実 際の部 とは相 当の懸隔があ った。「財政部

「通信部」・「印度工作部」および 「企画部」は ,部 として は軍政総監部 内には置かれなか った。 中央部の陸軍省 において作成 し, 『陸軍特設部 隊等臨時職員設 置制 中改正 ノ件』 に依拠 した 南方軍軍政総監部関係の定員表 は次の通 りである

(

『特設 部隊臨時職員定 員表

)16) 司 政 官 軍政総 監 部 技 師 18 (1) 通 訳 官 備 考 t本表中 ( )ヲ附セルモノ-司政長官ニシテ内数ヲ示ス 局 しか し, このよ うな定員が定 め られ た とはいえ,完全 に充足 され たわ けではなか った。 『軍 政総監指示』 (昭和17年8

7日) において , 「軍政要員 ノ鍍衡及身分取扱二就 テ」 と題 し次 の よ うに言 う。 各軍軍政機構並軍政実施要領 モ略明瞭 トナ リタルモ以 テ定員増加 セ ラレ一応左 ノ通 リ ト定 メ 中央 二於 テ-可及的本年 内二其 ノ大部 ヲ絵衡派遣 スル コ トヲ目途 トシテ鋭意努力セ ラレツツ ア リ17) とその間 の事情 を表明 して い る。 そ して,次 のよ うな表を掲 げてい る。 「総軍

と書 いて あ る が,軍政総監部の要員 と考 え られ る。なぜ な ら,合計人数 が前表

(

『特設 部隊臨時職員定員表』 の軍政総監部 の部分) とほぼ同 じであ るか らであ る。18) 区 分 壬 高 等 文 官 t 判 任 文 官 総 軍 1 106 事 166 一 一 計 14)太田弘毅 1975.「陸軍占鶴地行政に従事せし,文官の人数と配置

『円木歴史」第328号,pp・55-641 15)同上論文中のpp・58-60を参照のこと。 16)同上論文中のpp・59-60から引用。 17)軍政総監 昭和17年8月7日 『軍政総監指示』軍政総監部 廊 凱 18)『同上』 107

(6)

東南 アジア研究 16巻1早 いずれ に して も,軍政要員 (軍政総監部関係を も含む) の充 足 は完全 で はなか った ことは確 かであ る。19) ⅠⅠ 『南 方軍軍政総監 部執務規程 』一昭和18年2月 1日制定 -この 『執務 規程』 は, 「定 ム

とあ り,旧 『執務規程』 を廃棄 一新 した もの と推察 され るo これ以後, 改正 され る各種 『執務規程 』の母体 とな った もの と言 え よ う。 軍政総監部 の 『執務規程 』各種 中,筆者 が閲 覧 しえた中で,最 も早 く定 め られ た ものが これ であ る。全文 を掲 げよ う。 執務規程 南方軍軍政総監部 南総政密第

2

6

0

号 軍政総監部執務規程 ノ件 達 郡 内一般 南 方軍軍政総監部執務規程本冊 ノ通 り定 ム 昭和18年 2月 1日 南方軍軍 政総監 黒 Fli重徳 軍 政総監部執務規程 l 総則 第 1条 南 方軍軍政総監部二於 ケ ル執務 要侃 二関 シテ-戦 時高等司令部 勤務令,南 方各軍 司 令部 勤務令 及南方軍総 司令部虞務規程 二依 ル ノ外本規程 二依 ル 2 分掌 第

2

条 軍 政総監部 二左 ノ部 ヲ置 ク 総務部 経 済 部 交通部 厚生 部 調査部 散産管理部 右各部 ノ他軍政会計 監督 部 ヲ置 ク 第3条 総務部長-軍 政総監 ヲ補 佐 シ其 ノ意 図 ヲ承 ケ軍政総監部一切 ノ業務 ノ統轄 整理 二荏 19)軍政総監部の部長が,在地の軍政監郡の部長をも兼ねて 「担任」することもあった。欠員対策の一つで あろう。 南総監令密第 1号 軍政総監命令 4月20日 昭南 軍政総監部調査部長-本務ノ外周来軍政監ノ区処ヲ承ケ馬釆地区担任スベシ 南方軍軍政総監 黒田重徳 とあるのがそれである。昭和17年7月上旬より,軍政総監部はサイゴンより昭 南 に移 り,マレー軍政 監部の部長ポス トを兼任することを可能にした。 この「4月」は, 昭和18年4月である。 この時に, 従来マレ-とスマ トラ地域の軍政 を行なっていた 第25軍軍政監部 がスマ トラのブキチンギに日7i南より 移駐し,新しく馬来軍政監部がマレー地区に新設された。このこととも関係がある。 108

(7)

太tLJ:南方軍軍政絵監部の組織 と任務 ス 第4粂 総務 部二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1.軍 政 二関スル業務 ノ大綱及統制 二関 スル事項 2・軍 政総監 部一般 業務 ノ統轄 3.軍政 二閃スル陸海軍協定 ノ細 部二関 スル事項 4.軍政実施 ノ監督 二関 スル事項 5.人事 及功績 二関 スル事項 6・公文 書類 及成案文書 ノ審査接受 及編基 保存 二閲 スル事項 7.官 印 ノ管守 二関 スル事項 8.司法及警務 二関スル事項 9・物 資生 産及生産 力拡充 ノ基本 二閑スル事項 10.総 動員及物質動員 ノ基本 二閑スル事項 11.各 軍軍政機 関 ノ編

職域 二 関スル事項

1

2

.

軍 政会計予算 ノ基本 二閥 スル事項 13.機 秘密保持 二関 スル事項 14.軍政 会計監督 都二閑スル事項 15.賞罰 二関スル事 項 16.休 暇 出張視察 二関スル事

17.条令法規 二関 スル事

18.会計経理 二閑 ス

19.宣 伝 二関 スル事項

2

0

一般 取締其 他各 部二鳳 セサ ル事項 第5条 経済 部 二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1・工業鉱業農林業畜 産業水産業等産業 二闇スル事

2・南方民 間企業 経営 ノ監督指導並補助 二 関スル事項 (他 部 ノ所掌 事項 ヲ除 ク) 3.商業 二関 スル事 項 4.物資 ノ生産配給 二間スル事項 5.資源 回収 二聞 スル事項 6.産業奨 励 二閑スル事項

7.

特 許二関スル事項

8・

金融 財政 幣制 芸も替及税務 二関スル事項 9.貿易 二閑スル事項 10.軍政会計予算決 算二閑 スル事現

l

o

p

(8)

虫南 アジア研究 16巻1号 11. 銀行保険 二関 スル事項 12.物 価 二関スル事項 第6条 交通部 二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1. 陸運 陸上交通 及海運海上交通 二関 スル事項 2.郵便電 信電話 二関 スル事 項 3.航路船舶海員 二関スル事項 4.造船 二関スル事項 5.港湾施設 二関 スル事項 6.自動車政策 二関スル事項 7.航空 二閑スル事項 8.道路及土木 二関 スル事項 第

7

条 厚生部 二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1. 進 出邦人並 二其 ノ教育練成指導二聞 スル事項 2.思想教育宗教民族 二閑スル事項 3.衛生 医療 防疫 二関スル事 項 4. 国土計画都市計画 二関スル事項 5.拓殖移民 二関 スル事項 第 8条 調査部 二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1.政 治経済資源文 化等 ノ調査 二関 スル事項 2. 統計 及資料 ノ作成 二関スル事項 3.質料 ノ蒐 集整 備編纂 及保 存 二関 スル事項 4.機秘密以外 ノ図書 ノ保存刊行並 出版検閲 二閑 スル事項 5. 学術 二関スル事項

6.

調査研究機 関二関 スル事 項 第9条 敵産管理部 二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1. 散産 ノ調査 及管理 二関 スル事項 2.散産 ノ評価利用及払下 二関スル事項 第 10条 軍政会計監督 部-左 ノ事項 ヲ掌 ル 1. 軍政会計経理 ノ監督 二関スル事項 2.南方民間企業 ノ会計及原価 ノ監査 二関 スル事項 第11条 各部長-軍 政総監 ノ命 ヲ承 ケ部 内 ヲ統轄 シ部務 ヲ掌 理 ス 第12条 部員及附-上官 ノ命 ヲ承 ケ担任 ノ事 務 ヲ掌 ル 第13条 准士官下士 官及判任文官 ハ上官 ノ命 ヲ承 ケ事務 二服 ス Ilo

(9)

太田:南方軍軍政給監部の組織と任務 第14粂 必 要 二応 シ各 部 二所 要 ノ有 給若 ク-無給 ノ嘱託 ヲ置 クコ トヲ得 嘱託 -専 門事項 二関 スル調査研究 二従事 ス 第 15条 部長欠員 ナル時 又-事故 アル時-特 二示 ス場合 ノ他 当該 部 ノ高 級先任者 部長 ノ職 ヲ トル モ ノ トス 第16条 常 二大東亜 戦争 ノ本質 二透徹 シ新 日本建設 ノ理想 ヲ明徽ニ シ軍 政 ノ本 義 ヲ体現 シ常 二上 司 ノ意 図 ヲ体 シ之 ヲ基 調 トシテ各 軍軍政 ノ実 情 ヲ把握 シ且各地域 ノ特性 ヲ詳 知 シ以 テ軍政 施 策 ノ適確敏速 ヲ

スル モ ノ トス 第17条 軍政 二携- ル者 -先 ツ正 シ クシ至 誠殉 国 ノ熱意 卜勇往積極 ナル実行カタ養 ヒ叡智 ヲ 以 テ事 二当 り常二率先垂範 ヲ以 テ行動 ノ基本 トスル ヲ要 ス 特 二軍紀 ヲ確立 シ風紀 ヲ振作 スへ シ 第18条 軍 事施策 ノ日的 ヲ確 認 シー般政 治 ヲシテ之 卜帝離 セ シムル コ トナ ク常 二之 ヲ培 養推 進 スル コ ト肝 要 ナ リ 第 19粂 企 画指導 二万 リテ- 目的 ヲ明徴 ニ シ実 行 ノ為 ノ諸元 ヲ的確 二把握 シ広 ク且 深 ク考察 ヲ遂 ケ特 二実 行 ノ能 否二心 スル コ ト肝 要 ナ リ 第20条 各軍軍政監部等 二対 スル軍政総監部 ノ意 図徹底特 二命令指示 ノ実 行二注意 スル ト共 ニ (実行監督)報告通報 二留意 スル コ ト肝要 ナ リ 上司 二対 スル実 行報告 (中間報告 )及 関係各 部等左右 ノ連 繋 ヲ励行 シ業務 二敵齢渋 滞 ナカ ラシムル ヲ要 ス 第21条 重 要 ナル策 案 ノ作定 二万 リテ-所 要 ノ部員 及附 ヲ集 メ研究 ヲ行 フモ ノ トス 第22条 特 二機 秘密保持 防諜 二留意 スへ シ20)

『執務規程 』の改正 ・再改 正 『南方軍軍政総監部執務規程 』 は, 昭和18年4月1日に至 って一 部改正 されて い る。 厳密 に は

,

「改定」 と言 ってい る。 昭和18年2月1日制定 の 『南方軍軍 政総監部執務規程』 は, その後,筆者 が調べ た限 りで は 2回 にわ た る改正 ・再 改正を経て い るが, 昭和 18年 4

1日の それ は, その中の 1回で あ る。 20)黒田重徳 昭和18年2月 1日 『南方軍軍政総監部執 務規 程』南 方 軍軍 政総 監 部 南総政密第 260号

陸墨極

圏 .

r

執務規程』の改正は,昭和18年4月l日,また,昭和18年8月l日にもなされた.(後述) 大筋では変化がない。それゆえ,推定するに,最初に定められた未見の 『執 務 規 程』 も,条文の形式 はさておいても,内容 については昭和18年2月 1日定 『執務規程』と比べてもはぼ差 異はなかったの ではないか。総務部長は高橋坦 (少将 ),財務部長は山住克巳 (大蔵省出身),産業部長は伊藤佐 (農林 省出身),交通部良は小松茂 (逓信省出身),調査部長は内藤寛一 (内務省出身),調 査 部 長 は赤松要 (東京商大),散産管理郡長は永井茂三郎 (主計少将 )

,

軍政会計監督部長は東谷伝治郎 (会計検査院出 身)であった。総務部良を除き,この顔ぶれで長期的に運営されたのである。(岩 武 照彦氏の御示教に よる。)

1

1

1

(10)

頻南 アジア研究 16巻1号 (改正 ・再改正後の 『執務規程』は,変更項 目を指摘す るのみ にとどめよ う。) 南方軍軍政総監部執務規程 南方軍軍政総監 都 南総政密罪 314号 軍政総監部執務規程 ノ件達 部 内一般 南方軍軍政総監部執務規程本冊 ノ通改 ム 昭和18年 4

1日 南方軍軍政総 監 黒 田重徳21) とあ るのがそれであ る。 この新 しい 『執務規程』 において,部の編成 に異動が見 られ る。

第 2

条 軍 政総監 部二左 ノ部 ヲ置 ク 総務部 財務部 産業部 交通部 調査部 敵産管理部 右各部 ノ外軍政会計監督部 ヲ置 ク22) とあ り,従来 の厚生部が廃止 されて い る。また,従来 の経済 部が財務

と産業 部-二 分 された。 次長宛 の 『電報 』が文書 として残 ってい る。 次長宛 南 方軍軍政総監 昭和18,4,3 両政電第759号 4月 1口附軍政総監郡執務規定改定 セ ラレ各 部編成 中一 部変更セ ラル 主 ナル点左 ノ如 シ

1

.

厚生部 ヲ廃止 シ其 ノ業務-総務部二於 テ掌 ル

2

.

経済 部 ヲ財務部及産業部 ノ二 部二分轄 ス 3. 右 二伴 ヒ山住経済部長-財政郡長 ヲ, 内藤更生部長-産業部長 ヲ命ゼ ラル 4. 新規定-本三 日発送 ス (終)23) とあ る史料 によ って

,

「改定」点がわか るのであ る。 厚生部を廃止 した ことに伴い,総務部の所掌 を記 した第4条 には, 旧厚生部の所掌 の条功 が 吸収 され, 追記 されてい る。 22)『同上』算 2条。 23)南方軍軍政総監 昭和18,4,3『電報』次長宛 (発着受点時間省略)南政竃第759号 麻 。 なお, 「内 藤更生部長」とあるのは 「内藤厚生部長」の誤記であろう。 112

(11)

太目 :南力等軍政絵監部の組織と任務 経済部を財務 部 と産業 部 とに二 分 した ことは, 南方 作戦 の一段 落 とと もに,経済 的安定 を図 る意 図 と,各種 産業 の開発振興を荒 した処置であ った と言 え よ う。 任務 について は, 廃止 され た ところの経 済 部の役割 を, それぞれ財務部 と産業部 に割 り振 ったにす ぎない。ただ し

,

「9. 貿易 二関 スル事項 」が消 え,新 し く 「労務 二関スル事項 」が産業 部の所掌 に入 った。 第5粂 財務部 二於 テハ左 ノ事項 ヲ掌 ル

1

.

金融財政弊制 為替及税務 二関 スル事項

2

.

軍 政会計予 算決算二関スル事項

3

.

銀行保険 二関 スル事項

4

.

物 価 二関スル事項 第6条 産業 部二於 テ-左 ノ事項 ヲ掌 ル

1

.

工 業鉱業農林業畜産業水産業等産業 二関 スル事項

2

.

南方民間企業経営 ノ監督指 導並 二補 助 二閥スル事項 (他部 ノ所掌 事項 ヲ除 ク)

3

.

商 業 二関 スル事 項

4

.

物資 ノ生 産配給 二閑スル事項 5. 資 源回収 二関スル事項

6.

産業奨励 二関スル事項 7. 労務 二閲スル事項

8

.

特 許二関スル事項 24) とあ るのが それで あ る。 『執務規程』 の再 改正が, 昭和 18年 8月1日に 行 なわれて い る。 特 記すべ きは,交 通部 の廃 止 で あ り, それ に伴 って交 通部で扱 って いた業務 は,総務部 の所掌 とされ たので あ る。 今度 の再 改正 について は,次 のよ うな文書 があ り,再 改正 の主 要点 をあげて い る。 南緯政審第 800号 南 方軍軍政総監部執務規 程中改正 ノ件報 告 昭和 18年 8月1日 南 方軍軍政 総監 陸軍次官 殿 昭和 18年 4月1日附南総 政密第 314号 南方軍軍政総監部執 務規程 中左 ノ通 改正セ シニ付報告 ス

1

.

第2粂 中交通部 ヲ削除 ス 2. 第 4粂 ニ23乃至25トシテ左 ノ通追加 ス 23.陸運, 陸上交通 及海上交 通 二関 スル事項 24.郵便,電信,電 話 二関スル事項 24)黒 田重徳 昭和18年4月 1日 r南方軍軍政総監 部執 務規程j南方軍軍 政総 監部 南総政密第314号 の 第 5条,第6条。 113

(12)

東南アジア研究 16巻1埠 25.港湾,航路,船舶 二閑 スル事項 3. 第 7条削 除 ス とあ るのが それであ る。25) 再 改正 に伴 う変更条文 を掲 げてみ よ う。 まず,第2条 は次 の よ うに再 改正 されてい る。 第2条 軍 政総監部 二左 ノ部 ヲ置 ク 総務部 財務部 産業部 調査部 散産管理 部 右 ノ各 部 ノ外軍政会計監督 部 ヲ置 ク26) とあ るのが それで あ る。 交通部が廃止 され たの に伴 い,第 4条 の総務 部 の所掌 は,交通 部が従来扱 って いた業務を も 吸収 し,拡大 したので あ る。 「第 7条削 除 ス」 とあ るのは, 交通部の所掌 を記 した条項 8項 目 の削 除で あ る。 したが って,第7条 の改正条文 は, 第7灸 削 除27) とあ るのみで あ る。 次 に

,

『執務規程』か ら離れて

,

『軍政令』 とい う法令を通 して,

政総監部を考 え ることに しよ う。 ⅠⅤ 『軍政令』 にみ る軍政総監部の位置 昭和 17年 8月15日に 『軍政令』が公布 されて い る。 そ もそ も 『軍政令 』 は, それ まで各種軍 政 関係 の命令等 の法令 が南 方軍や隷下 各軍 によ って 出 されて いた ものを,秩 序づ け整理 しよ う とした もので あ る。 軍政 の統一 的運 用を図 る 目的で 出 され た もの とも言 えよ う。 そ して,発令 者 によ って 『軍政令』を分 けて「南政令 ,総監令 ,政令 ,監令 及令」 (第 3条)としたのであ る。 ここにおいて は,南方軍総 司令官- 南方軍軍政総監- 各軍 司令官- 各軍軍 政監- 各 jll知事 と い う陸軍南方軍政 の縦 の命令系統 の存在 を見 るので あ る。 この系統 は, と りもな お さず現地軍 にお ける軍政命令系統 にはかな らな い。28) 26)南方軍軍政総監 昭和18年 8月1日 r南方軍軍政総監部執務規程」第2条。

2

7

)

『同上』第

7

条。 28)この軍政命令系統 に上接連続するものが陸軍大臣 とその補佐部局たる南方政務邦であった。 また,秦 謀本部も作戦 と表裏一体 という軍政の性格から,軍政面に発言権を有 した。 114

(13)

太凹 :南方軍軍政総監部の組織 と任務 な お

,

『軍 政 令』 の公布 は, 昭和 17年 7月25日の 『南方軍 勤務 令 』 の 改正 によ る軍 政総 監 部 や各 軍 の軍 政 監 部 の新設 と対 応 して 出 され た もの で あ る`)ま た

,

『軍政令 』 の公布 は, 法 的 な 面 で整 備 され た ことを意 味 す る。 『軍 政令 』を通 して, 軍 政総監 部 の位 置 お よび前 記縦 の命令 系 統 のパ タ ー ン を 探 っ て み よ

う。

軍 政令 南 方軍総 司令 都 南政令第 3号 軍政令公 布 ノ件 達 隷下 一般 首題 ノ件 本冊 ノ通 り定 ム 昭和 17年 8月15日 南 方軍 総 司令官 伯 爵 寺 内寿 一 軍 政令 第 1条 本 令 二於 テ軍 政 令 ト- 占領地 軍 政実施 ノ為必 要 ナル法規命令 ニ シテ総 司令 官又 -翠 司令 官 ノ発 シ又-発 セ シムル モ ノ ヲ謂 フ 第 2粂 総 司令官 - 占領 地 卜他 ノ地 域又-各 軍 政施 行 区域 相互 二渉 ル事 項 及其 他必 要 卜認 ム ル事 項 二 関 シ軍 政令 ヲ発 シ又 -発 セ シム 軍 司令官 -其管轄 スル軍 政施 行 区域 二於 テ前項 二定 ムル以外 ノ事項 二閑 シ軍政令 ヲ発 シ又 ハ発 セ シム 第 3条 軍 政令 - 之 ヲ南 政令, 総 監 令, 政令, 監 令及令 二分 ツ 南 政令 ト-総 司令官軍 政 ノ其本方 針 二根櫨 シ之 力実 行上 ノ所 管事項 二 関 シ発 スル命 令 ヲ謂 フ 総 監令 ト- 総 司令官 ノ命 二依 り軍 政総 監其所 管事項 二 関 シ発 ス ル命令 ヲ謂 フ 政 令 ト-軍 司令官 軍政 ノ基 本方針 二眼接 シ之 力実 行上 ノ所 管事項 二 関 シ発 ス ル命令 ヲ謂 フ 監令 ト-軍 司令 官 ノ命 二依 り軍 政 監其所 管事 項 二関 シ発 スル命令 ヲ謂 フ 令 ト-軍 司令 官 ノ命 二依 り州知事 其 他 之 二準 スル者其所 管事項 二閑 シ発 スル命令 ヲ謂 フ 第 4条∼ 第 6粂 (省 略) 第 7粂 本 令施 行前総 司令官又 -軍 司令官 二於 テ軍政実施 ノ為発 シ叉 - 発 セ シメタル命令-本 令 ノ規定 二拘 ラス其 効力 ヲ有 ス 附則 本令 -公布 ノ 日 ヨ リ之 ヲ施 行 ス29) とあ る。 29)寺 内寿- 昭和17年8月15日 『軍政令』南方軍総司令弘 南政令第3号 庵鍵∃。 115

(14)

虎 南 アジア研究 16巻1E3・ な お, 第 2条 の2項 「軍 司令官 - 其管轄 スル 軍政施 行 区域 二於 テ前項 二定 ムル以 外 ノ事項

関 シ軍 政令 ヲ発 シ又 - 発 セ シム」 の後 に, 次 の よ うな一項 が, 増 補 と して付 加 され た。(第2 条第 3項)「馬来 ニ ア リテ-軍政総 監 -前項 二準 シ軍 政 令 ヲ発 シ又 -発 セ シム」 と い う項 目が それで あ る。 (昭和18年4月20日)30)しか し, 昭和19年 1月30日に,南 政令第 1号 『軍 政令 中改 正 ノ件 』 によ り

,

「第2条 第 3項 ヲ削

」 とされ, 旧に復 した。31) 南方 軍総 司令 部 の隷下 にあた る各 軍 司令部 において は, 南方軍総 司令 部の 『軍 政令 』 に対 応 依拠 し,各 軍 の 『軍 政 令 』を公布 したので あ る。32)

V

『軍政令 』の改 廃 一現地軍政 機構 の改変∼ 昭和17年 8月15日付 公 布 の 『軍政 令』 は, 昭和19年4月15日に定 め られ た ところの 『軍 政 令 二 闇 スル件 』 によ り代替 され, 塵止 され た。『軍 政令 二 閑 ス ル件 』 は, 昭和19年4月15日 以後 の新 しい 『軍 政令 』を規 定 した もので あ る。(昭和17年8月15日付公布 の 『軍政令 』一 昨挿口17年 商 政令第3号 - とは同名 で はあ るが, 内容 は大 き く変 化 して い る。) 従 来 の 『軍 政 令』が 「南 政令, 総 監令, 政令 , 監令及令 二分 ツ」 とあ るの に対 し, この 『軍 政 令 二 関 スル件 』 には, 「威 政 令, 政令, 監令 及令 二分 ツ」 とあ る。 注 目すべ きは, 「総監 令」 が 消 えて い る ことで あ る。 南 方 軍 軍 政 総 監 部 の 立 場 に 変 更 が あ った ことに はかな らな い 。 後掲 史料 に書 き込 みが あ り

,

『軍 政 令 二闇 スル件』が

,

「南 方 統

組 織 ノ改変 二伴 フ 改 変 ナ リ」 と して い る。 具体 的 には, 昭和19年 3月27日 『大 陸命第 977号 』 の戦闘序 列の下 令 即 ち南 方統 帥組 織 の一 元 化を指 す もので あ った し,現 地軍政機構 の改変で もあ った. 南 方一 元 化 に閑 して は, 南 方軍 は新 し く第 2方 面軍 (濠 北 ), 新 設 の第 7方 面軍 (マ レー ), 第14軍 (比 島 ),第14航 空軍 (比 良方 面) を戦 闘序 列 に入 れ たので あ る。 これを うけ て 軍 政機 構 の改 変 が行 なわれ たので あ る。 昭和19年4月 12日付 の 『南 方軍 命令』 には,第7

方面

軍 司令 官 の任務 と して

,

「軍 政 ヲ統 理 シ其 ノ迅 速連 透 ヲ図 り特 二現 地 自活 ノ強 化徹底 ヲ期 ス」33)と した ので あ る。 従 来 の軍 政総 監 部 の任務 を事 実 上第 7方 面軍 が, 継 承 す る こ ととな ったので あ る。 「第

7

方 面軍 の新 設 と之 に伴 う軍 政 機構 の改変」34)で あ った。(南 方軍総 司令 部は, 昭和19年5 月上旬 か ら, 昭南 よ りマニ ラに移転 。) 第 7方 面軍 司令 部 は,19年3月17日軍 令陵 甲第 37号 を もって 編 成下 令 され, その完 結 は4 30)昭和18年4月20日 『同上』の増補。馬米においては,軍政総監が地元馬来二平政監の役 割 を も兼 務 した ことにはかならない。注19)を参照のこと。 31)寺内寿一 昭和19年 1月30日 『軍政

中改iEノ件』南方軍総司令部,南政令第 1号。 32)一例をあげよう。第14軍 (渡集団)は,『比島′弔政令」(昭和18年 1月

l

H,政令第1号)を出している0 33)南方軍総司令部 昭和19年4月12口「南方ILrL命令

『南西方面陸軍作戦-マレー・蘭印の防衛

-J

p.190. 34)第1復員局 1946.『南方作戦に伴ふ占領l地行政の概要』東京 :第 1復員局,第 2章第 3の6.

(15)

太田 :南方軍軍政稔監部の組織 と任務

15日で あ った。 ま た附属 機 関 と して第7方面 軍軍 政監部 (昭和

2

0

年 1

2

2

日, 陸亜機第

4

2

号 によ り第7方 面軍軍 政 総監 部 に改称) が編 成 され た.。 (中略)軍 政 関 係で は南 方 軍軍 政総 監 部 の陣容 その ままが 第

7

軍軍 政監 部 とな り, 南 方軍 司令部 の 軍 政機 関 と して は,秦 謀 部第 3課 に軍 政班 と して ご く少 数 の人員 が 執務 す るだ け とな った。 したが って南 方軍 は, 後方 及 び軍 政 に関 して は大綱 を握 り, その実施 面 は第 7方 面軍 が担 当す る形 とな った。35) と, 『南西 方 面陸軍作戦 』 にあ る。 この時 期 の軍 政 に対 す る方針 は

,

『第 7方面 軍 作戦 計

』 (昭和19年5

19日開示) には

,

「軍 政 -作戦協 力 ヲ第一 義 トシ原住 民 ヲシ テ最 低 限 ノ生 活 ヲ確保 セ シメ民心 ヲ把握 シ以 テ之 力推 進 ヲ図ル 」36)と あ るな ど, 作戦 の急 追化 と軍政 との 関係 を述 べ て い る。 以 上 の ど とき情勢 との 関連 において,『軍 政令 二 間 スル件 』 が 出 され た ので あ る。 軍 政 令 二間 スル件左 ノ通 定 ム 昭和 19年4月15日 南 方 軍総 司令官 伯 爵 寺 内寿一 軍 政令 二 間 スル件 第 1条 本 令 二於 テ軍 政 令 ト- 占領 地軍 政実 施 ノ為必 要 ナル法規命令 ニ シテ総 司令官 又 -翠 司令官 ノ発 シ又-発 セ シムル モ ノヲ謂 フ 第2条 総 司令官 -軍 政施行地域 卜他 ノ地域 二渉 ル事項 及其 ノ他 必 要 卜認 ムル事 項 二関 シ翠 政 令 ヲ発 ス 方

軍 司 令官 -各軍 政施行地域 相 互 二渉 ル事 項 及其 ノ他 必要 卜認 ムル事項 二間 シ軍 政 令 ヲ 発 シ又 -発 セ シム 各軍 司令官 ハ其 ノ管 轄 スル軍 政施 行地域 二於 テ前二項 二定 ムル以外 ノ弔項 二間 シ軍 政令 ヲ 発 シ叉 -発 セ シ ム 第 3条 軍 政 令-之 ヲ威 政令, 政令, 監 令及令 二分 ツ 威 政令 トハ総 司 令官 軍 政 ノ基本方 針 二根拠 シ之 力実 行上 ノ所 管串項 二間 シ発 スル命 令 ヲ謂 フ 政令 トハ軍 司令官軍 政 ノ基 本方針 二根拠 シ之 力実 行上 ノ所 管事項 二間 シ発 スル命令 ヲ謂 フ 監令 ト-軍 司令官 ノ命 二依 リ軍 政 監其 ノ所 管 事項 二間 シ発 スル命令 ヲ謂 フ 令 トハ各 軍 司令官 ノ命二依 り州長 官其 ノ他 之 二準 スル者 其 ノ所 管事項 二間 シ発 ス ル命令 ヲ 謂 7 35)防衛庁防衛研修所戦史室 1976.『南西方面 陸軍作 戦-マ レ- ・蘭 印 の 防衛-』戦史叢書 92・ 東京 :初 雲新聞社,p.

2

0

1. 36)第 7方面軍 昭利19年5月19「潤 示 「第7方面軍 作戦計

『南西方面 陸軍 作 戦-マ レー ・蘭印 の 防 衛 -』p.218. 117

(16)

東南 アジア研究 16巻1号 第

4

粂∼第

7

粂 (省略) 附則 昭和17年商 政令第 3号軍政令- 之 ヲ廃止 ス37) とあ るのが それであ る。 結 以上,残存 す る史料 によ って軍政総監部 の組 織 と任務を論 じて きた。陸軍南方軍 政 の一端を 明確 化す るの に役立て ば光栄 であ る。 軍 政総監部が,現地の軍政機関の 中枢 として存在 したが, 隷下 の各軍軍政監部 の よ うに, 直 接各地 で軍 政を宣布 し,施 策を行 な ったわ けで はなか った。 したが って, その立場 の枢要 さに もかかわ らず, 今 まで あま り問題 に され なか った。組織 と任 務 に限 らず, 今後

,

軍 政 総監部の 果 した多面的役 割 について研究 す る必要 が あ る。 なお, 本稿を作成す るに当 り,森松 俊夫 ・多比良良好 ・岩武照彦の3氏か ら御示教を得た。 ここに厚 く感謝 す る。 37)寺内寿一 昭和19年 4月15口 『軍政令二閃スル件』南方軍総司令部,威政令第

1

号 俸画。

118

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