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サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察--分析枠組みとしての「場面」概念の導入とそれによる医療サービスの分析---香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 叢 第69巻 第 4号 1997年3月 51-126

サービス提供組織における顧客満足・職務満足・

生産性の関係についての理論的・実証的考察

一→す析枠組みとしての「場面」概念の導入とそれによる医療サービスの分析一一

藤 村 和 宏

1 . は じ め に 顧客満足は現代マーケティングの思考と実践における中核的概念であり,顧 客のニーズを満たすことで満足を提供し,そのみかえりに企業も満足な利益を 得る,というのはマーケティングの基本である。この顧客満足が一時ブームに なり多くの企業がこの向上を標梼したが,いつの聞にか下火になってしまった。 その原因は,業績の評価指標には様々なものがあるにもかかわらず,顧客満足 のみに目を奪われ,その向上のための改善や戦略が他の評価指標に及ぼす影響 を考慮しなかったことにある。顧客満足の向上を目標とした改善や戦略はそれ を高めることには貢献したが,他の評価指標,例えば収益性の向上には結び付 かなかったり,あるいはそれを低下させてしまったことにある。 顧客満足向上のための改善や戦略はそれを向上させるだけでなく,他の重要 な評価指標も同時に向上させるものでなければならない。あるいは他の評価指 標の向上を目標とするものであったとしても,顧客満足も向上させるものでな ければならない。そのようなことは可能なのであろうか。改善や戦略の方向や 内容に大きく依存するが,可能でトあろう。特にサービス提供組織においては, 製造企業においてよりも容易であろう。それは,サービスは販売されたから生 産と消費が同時に行われるために,顧客もデリパリー(生産及び提供)・プロセ スに関与し,顧客,従業員及びサービス提供組織の協働過程でサービスはデリ

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52- 香川大学経済論叢 702 パリーされるからである。サービス・デリパリーのための協働過程では,顧客 もデリパリーに必要な役割や行為を果たすし,従業員との間で直接的な人的相 互作用(サービス・エンカウンター)も展開する。このようなことがサービス・ デリパリー・システムで起こるために,サービス品質,顧客満足,職務満足, 生産性,収益性などの評価指標聞には循環的影響関係が生じやすいと考えられ る。従って,サービス提供組織においてはこれらの複数指標でデリパリー・シ ステムが評価されるとともに,指標聞の影響関係を考慮しながら各指標を向上 させるための改善や戦略が行なわれる必要があるであろう。 本稿は,以上のような問題意識を出発点として,サービス提供組織の評価に おいては複数指標,例えばサービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益 性が用いられるべき必要性とそれらの聞の循環的影響関係について理論的・実 証的に考察したい。実証分析は顧客満足,職務満足,生産性に絞り,それらの 聞の関係について,病院における医療サービスを取り上げて行いたい。また, 指標聞の影響関係を分析するための有用な枠組みが構築されていないことか ら分析枠組みとして「場面」概念を導入し,これを用いて分析を行いたい。

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サービス・デリパリー・システムの評価指標としての 顧客満足・職務満足・生産性とその関係 1 複数指標でのサービス・デリパリー・システム評価の必要性 サービス・デリパリー・システムとは,サービス・デリパリーを顧客及びサー ビス提供組織の両観点から見て効果的且つ効率的に行うための諸要素の体系で あり,フロントルーム,パックルーム,サービス・エンカウンターから構成さ 日) れている。このシステムでは従業員,顧客,サービス提供組織の間で協働が行 われ,その過程でサービスはデリパリーされ同時に消費される(藤村,

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)

。 (1) フロントルームとは,日常的に顧客と相互作用を行う組織部分であり,顧客へのサービ ス・デリパリーを直接的に担当している。パックルームとは,顧客と直接的に棺互作用を 行わないが,フロントルームでのサービス・デリパリーが効果的且つ効率的に行われるよ うに後方から支援する組織部分である。また,サービス・エンカウンターとは,フロント ルームにおける顧客と従業員との直接的な人的相互作用である。 これらの詳細については藤村(1995a)を参照のこと。

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703 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 53 このサービス・デリパリー・システムの評価は複数指標で行われる必要があ り,中でもサービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性は重要な評価 指標となる。このように考える第一の理由は,次節以下で詳細に論じるが,こ れらの指標はいずれもサービス提供組織が市場において存続・成長していくた めに向上させる必要のあるものであり,またそれらの聞には循環的な影響関係 が存在しているからである。例えば,職務満足はサービス品質を媒介として顧 客満足に影響を及ぽし,さらに顧客満足は生産性と収益性に影響を及ぼすであ ろう。また,収益性は顧客満足や職務満足を向上させるための改善への投資水 準を決定するために,収益性も循環的に職務満足や顧客満足に影響を及ぽすで あろう。このような循環的影響関係が存在するために,サービス品質,顧客満 足,職務満足,生産性,収益性の向上は同時にしかもバランスを保ったかたち で行われなければならず,いずれかが犠牲にされるならば,他の評価指標の向 上も阻害されると考えられる。従って,これらの評価指標すべてあるいはいず れかについて最大化を目指すのではなく,外部環境及び経営資源の制約の中で バランスを保ったかたちで最適化が行われる必要がある。 複数指標での評価が必要とされる第二の理由は,システムの改善成果が複数 の指標に分散して現れる可能性があるからである。一指標だけでの評価では改 善の成果を過小評価し,その改善を中止してしまう危険性がある。システムあ るいはその構成要素であるフロントルームやパックルームのオペレーションを 改善したとしても,即時的にはそれらは生産性や収益性の向上には結び付かな いことが多い。例えば,オペレーションの改善がサービス品質を向上させ,そ れによって顧客満足が向上したとしても,それが生産性や収益性に結び付くま でにはタイムラグが存在している。また,オペレーションの改善によって従業 (2 ) 例えばサービス品質については,“highquality"ではなく“rightquality"が目標とさ れるべきであり,サービス提供組織の市場でのポジショニングやターゲット顧客のニー ズや期待に適合した品質が追求されなければならない。サービスに対する顧客のニーズ や期待を基準としていない品質向上努力は,顧客満足を向上させないばかりか,職務満 足,生産性,収益性などを低下させる危険性を苧んでいる。顧客のニーズや期待に適合し た品質が目標とされることで,他の指標とのバランスを保ちながら,同時に向上させるこ とが可能となるであろう。

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-54ー 香川大学経済論叢 704 員の活動や役割を変更したとしても,生産性や収益性は即時的には向上しない が,サービス品質や顧客満足は向上しているかもしれない。改善の成果を生産 性や収益性指標だけで評価していると,その改善の便益は顧客に還元されてい るにもかかわらず,組織にとっては何らの直接的な財務上の便益がないために, その改善は過小評価されすぐに中止されてしまうかもしれない。その結果,改 善への投資は抑制され,サービス品質や顧客満足の向上も阻害されてしまう危 険性があるため,サービス・デリパリー・システムは複数指標で評価される必要 カまある。 2わ サービス・デリバリー・システムにおける サービス品質・職務満足・生産性・収益性の循環的影響関係 (1) 循環的影響関係の概要 製造企業においてと問様に,サービス提供組織においても生産性や収益性の 向上は重要な経営課題であるが,サービス品質及び顧客満足,職務満足を伴わ ない生産性や収益性の向上は商業的な自殺行為である。なぜなら,それらの聞 には循環的な影響関係が存在しているからである。この循環的な影響関係につ いては,例えば Heskett,

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ones, Loveman, Sasser and Schlesinge (1994)に よって,図II-1のような“サービス・プロフィット・チェーン"としてモデル 化されている。このモデノレでは,サービス品質には外部顧客である消費者に対 するものと内部顧客である従業員に対するものがあると捉えられており,前者 は外部サービス品質,後者は内部サービス品質と呼ばれている。内部サービス 品質の具体的内容は,従業員が職務,同僚(従業員同士が互いに対して持って いる態度や組織内部での従業員聞の接し方など),そして会社をどのように思っ ているかを測定したものである。そして,この内部サービス品質は職務満足に 影響を及ぽし,職務満足は外部顧客である消費者のサービスに対する満足やロ イヤリティ,さらに収益性にも影響を及ぼしていくため,内部サービス品質の (3) Heskett, J L, T 0. Jones, G W. Loveman, ~λ E. Sasser, J r, andL A Schlesin -g巴町r(19ω94仏), March一April,p 168

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的顧客のニーズに適合する 叶ーピスの設計と提供 図 11-1 サービス・プロフィット・チェーンにおける連鎖 出所 Heskett , J. L., T. O. Jones , G. W. Loveman , W. E. Sa 田 er , Jr., and L. A. Schlesmger (1994) , p. 166

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706 向上はサービス提供組織において重要な課題であるとされている。そのため, 増加した収益は内部サービス品質を向上させるための投資原資として利用され

る必要性も強調されている。

Heskett, Sasser and Hart (1990)によって,図 II-2の 同様な影響関係は, このモ ような“自己強化的サービス・サイクノレ"としてもモデノレ化されている。

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香川大学経済論議 56 デノレにおいても,人的資源への投資による従業員の職務満足やモチベーション サービス・デリパリー・システムへの投資による優れたテクノロジーの の改善, それによって収 サービス品質や顧客満足に反映され, 導入やその改善などは, そして,増加した収益は投資原資としてさらに改善の 益性の向上が導かれる。 自己強化的なサービス・サイクルの駆動輪は完成す ために利用されることで, るとされている。 サービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性の聞には,Heskett,Sasser Heskett, Jones, Loveman, Sasser and Schlesinge(1994) などが指摘するように複雑で循環的な影響関係が存在していると考えられるの サービス・デリパリー・システムの評価はこれら複数指標で総合的に行われ そのような関係のために,各指標とも最大化が目標と and Hart (1990)

で, さらに, る必要がある。 されるのではなく,他の指標とバランスのとれた最適化が目標とされるべきで あろう。特に,顧客満足,職務満足,生産性の聞におけるバランスのとれた最 それらの聞には特に強い影響関係が存在す この影響関係について詳細に検討して 適化は重要であろう。なぜならば, ると考えられるからである。以下では, (4 ) 内部サービス品質や職務満足の向上が重要であることが認識されるようになったた め,従業員を内部顧客,職務を内部製品と見倣すことで,組織目標と取り組みながら,内 部顧客のニーズとウォンツを満足させるような内部製品を提供しようと努力する,イン タ一ナル・マーケテイングも重要な研究領域になっている(Berry,1984; Gronroos, 1983)。尚, Edvardsson, Thomasson and Ovretveit (1994, p. 54)によると,インターナ ノレ・マーケテイングは以下のような目的を持つとされている。 (1月子われていることを明確にする。 (2)労働に対する態度に影響を及ぽす。 (3)外部及び内部顧客の行動を変更する。 (4)コミットメントを橋大させる。 (5)外部顧客とのコミュニケーションを改善する。 (6)内部顧客間のコミュニケーションを改善する。

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パ見)端部き・判例聞き崎潤 サービス提供者 客 顧 ー旬、ーー 図 11-2 自己強化的サービス・サイクル 出所 Heskett , J. L., W. E. Sa 田 er , Jr. and C. W. L. Hart (1990) , P. 12

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-58- 香川大学経済論叢 708 いきたい。 (2) 顧客満足と生産性の影響関係 モノの消費においては顧客満足は顧客のロイヤリティやポジティブな口コミ の形成などにおいて重要な役割を果たすが,このことは多くのサービス消費に おいても妥当するであろう。

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章で分析結果を示すが,病院における医療サー ビスにおいてもこのような役割は確認されている。サービス提供組織もその提 供サービスによって顧客を満足させ,サービスあるいは組織に対して顧客のロ イヤリティを形成することができ,さらにポジティブな口コミによって新規顧 客を獲得できるならば,サービス提供組織はその存続と成長にとって必要不可 欠な顧客を安定的・長期的に確保することができる。 さらに顧客満足の向上による顧客ロイヤリティの形成は,サービス提供組織 に以下のような思恵をももたらすであろう(藤村,

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。 ①需要曲線を上方にシフトさせる(価格弾力性を下げる)ことができる。 ②既存顧客の維持率を高めることで,シェアの維持・拡大のために獲得しな ければならない新規顧客数を低減すuることができる。新規顧客の獲得に必 要なマーケティング・コストは既存顧客の維持に必要なそれよりも高いの で,既存顧客の維持率の向上と新規顧客の獲得数の低減はマーケティン グ・コストの節約につながる。 ③顧客の離脱率低下によって,収益性を大幅に改善することができ

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。 ④顧客のロイヤリティの向上は,自社の顧客をスイッチさせようとする競争 者のマーケティング・コストを増加させる。 ⑤継続的な取引によって,取引コストを削減することができる。 ⑥顧客一人当たりの提供サービス数を増加させることができる。 (5 ) 例えばスウェーデンの自動車会社であるボルボは,新規顧客の獲得には既存顧客の維 持にかかるコストの3倍は必要であると評価している(FornelIand Wernerfelt, 1987)。 (6 ) 顧客の離脱率低下がその収益性を大幅に改善することについては,多くの研究者に よって実証されている。例えばReichheldand Sasser (1990)は,顧客のロイヤリティが 5%増加すれば,利益は 25~85% も増加すると推定している。

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709 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 -59-ー ⑦不満足を感じた顧客に対処するためのコストを削減したり,そのような顧 客が口コミを通じて他の消費者に及ぼすネガティブな影響を低減させるこ とができる。 また,顧客満足はサービス・デリパリー・プロセスにおいてもサービス提供 組織に思恵をもたらすであろう。サービス・デリパリー・プロセスは顧客,従 業員及びサービス提供組織の協働過程であるため,顧客もサービス・デリパリー を効果的

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つ効率的に行うためにサービス提供組織あるいはその従業員から期 待されている役割や行為を積極的

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つ適切に果たすことが必要とされている (藤村,

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。この顧客に期待されている役割や行為は,それを行うことが彼 自身の便益や満足の向上につながることが認識できる場合,デリパリー・プロ セスやそこにおけるエンカウンターに満足している場合,あるいはロイヤリ ティを形成している場合などに最も適切且つ積極的に遂行される可能性が高い であろう。また,サービスあるいはサービス提供組織に対してロイヤリティを 形成しており,そのサービス・デリパリー・プロセスを何度も経験している顧 客は,そこにおける彼らの役割や期待されている行為を理解しているため,そ れらを積極的且つ適切に遂行できるであろう。あるいはサービス・エンカウン ターに関与する従業員との聞に相互理解を形成しているために,エンカウン ターを効果的且つ効率的に展開することに貢献できるであろう。これらのこと によってサービス提供組織はサービス品質を高めながら,同時にそのデリパ リー・コストを低下させることが可能である。 以上のように顧客満足は売上高や収益の向上に貢献するだけでなく,マーケ ティングやサービス・デリパリーにかかるコストの削減にも貢献することから, (7) このことは,セルフサービスのサラダ・パーを思い浮かべると理解しやすいであろう。 最近,厨房で料理人がサラダを盛り付け,ウェイトレスがそれを配膳するというような従 来の方式に代えて,顧客に自分でサラダを皿に盛りつけさせるというようなセルフサー ビスのサラダ・パーを導入するレストランが増加しているが,顧客がそのようなセルフ・ サービスを受砂入れているのは,好きなときに好きなサラダを好きな震だけとることが できるという便益があるためである。自分でサラ夕、を血に盛り付けるという行為を積極 的に行うことで,支払価格を削減しながら便益を向上させることができるからである。

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6(ド 香川大学経済論叢 710 顧客満足はサービス提供組織の生産性に対してポジティブな影響を及ぼすと考 えられる。また逆に,生産性向上によってもたらされる利益がサービス・デリ パリー・システムやそのオペレーションの改善,従業員の職務満足やモチベー ションの向上などのために適切且つ積極的に利用されるならば,それはサービ ス品質を媒介として顧客満足にポジティブな影響を及ぽすであろう。

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職務満足と生産性の影響関係 従業員は雇用組織の提供するサービスの顕在的あるいは潜在的利用者である だけでなく,顧客を満足させるようなサービスの開発やデリパリーに携わる者 である。従業員はサービス提供組織が市場においてサービス・デリパリーを行 うのに必要な様々な職務の継続的遂行者であるため,彼らの職務に対するロイ ヤリティと満足度は彼らの職務遂行水準を決定し,サービス品質とそのデリパ リー効率に重大な影響を及ぽすであろう。従業員の職務満足に関するこれまで の研究では,このようなポジティブな影響関係の存在が発見されている。図II

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はこれまでの研究成果の一部をまとめたものであるが,職務満足は従業員の パフォーマンス水準を高める一方で,その離職率を低下させることが明らかに されている。また,離職率は役割コンフリクトや役割の暖昧さの増大とともに 高まることも明らかにされている。 職務満足がパフォーマンスの向上を導くのは,一部には職務満足がもたらす ポジティブな情動のためであることが明らかにされている。心理学分野の研究 (8 ) 職務満足とパフォーマンスとの関係は直感的には明らかなように思われるが,経験的 には必ずしも支持されていない。 Brayfieldand Crockett (1955)やVroom(1964)は両 者の関係に関する文献レビューを行っているが,両者の聞にそれほど高い正の相関関係 は見いだされていなし〉。しかし,このような結果は,パフォーマンスが職務満足以外の要 因(規則,マニュアノレ,協働関係)によっても影響されることや,職務満足とパフォーマ ンスの測定尺度に問題があること,などによっても生じていると考えられる。 (9 ) 役割コンフリクトとは,二人以上の役割パートナーが役割要求を行うが,それらが相い れなかったり,同時に満たすことのできないような状況である。 (10) 役割の障壁味さとは,従業員がパフォーマンス期待に関する適切な情報を保有していな かったり,期待されるパフォーマンス水準を達成するための方法に関して適切な指示(教 育)を与えられていない状況である。

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711 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 -61ー では,ポジティブな情動を経験している個人は社会的に容認された行動や援助 的行動を最もとる傾向があること (Isen,Clark and Schwartz, 1976; Rosen -han, Salovey and Hargis, 1981),職務満足は思いやりや親切をともなった行 動と結びつく傾向があること (Motowidlo,1984),職務満足はサービス提供者 の顧客志向に直接的にポジティブな影響を及ぽすこと (Douglas,1988),などが 発見されている。 また,職務満足の向上は離職率を減少させるが,そのことは人事管理コスト の低減を可能にするだけでなく,サービス・デリパリーを効果的且つ効率的に 行うのに必要とされる知識,情報,技能などを各従業員及び組織が取得・蓄積す ることを可能にする。また,サービス・デリパリーにおいてエンカウンターが 重要な役割を果たすようなサービスにおいては,顧客とそのエンカウンターに 関与する従業員との聞に強い繋がりが形成され,従業員が組織を変わることで 顧客も一緒にスイチイングしてしまう危険性もある。このようなことのために, 従業員の職務満足は生産性や収益性に対してポジティブな影響を及ぼすと考え られる。例えば,ペプシ社のファースト・フードの子会社であるタコ・ベノレ社 が各庖舗の従業員離職率を調査した結果では,離職率が低かった上位20%の庖 舗では,離職率が高かった上位20%の庖舗に比べて2倍の売上と 55%も高い利 +0ボジティプな影響関係 一:ネガティプな影響関係 図11-3 職務満足の効果

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62 香川大学経済論叢 712 益を上げていた。 さらに,従業員の職務満足はパフォーマンスの向上を通じて顧客満足,ロイ ヤリティ,口コミなどの形成に影響を及ぽすことで,前述のような恩恵の発生 にも貢献するであろう。さらに,従業員の態度や行動はサービス提供組織やそ の従業員に対する顧客のイメージ形成に影響を及ぼすことから,従業員の職務 満足は彼らの態度や行動を通じて顧客の選択意思決定にも重大な影響を及ぽす 可能性がある。なぜならば,サービス自体の無形性やその生産と消費の同時性 のために,サービスの選択意思決定過程では顧客はサービス品質を直接的に示 すような手掛かりを利用できないことが多く,口コミやイメージを重要な情報 として評価に利用する傾向があるからである(藤村, 1990)。従って,従業員の 態度や行動を通じて形成されたイメージが顧客にとって好ましいものであれば 売上高につながり,好ましいもの?なければ逆の結果を導くということからも, 職務満足は生産性や収益性に対してポジティブな影響を及ぽすと考えられる。 また逆に,生産性向上によってもたらされる利益がサービス・デリパリーシ ステムやそのオペレーションを改善,従業員の職務満足やモナペーションの向 上などのために利用されるならば,生産性も投資を媒介として職務満足にポジ ティブな影響を及ぼすことになる。

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顧客満足と職務満足の影響関係 サービス・デリパリー・プロセスにおいてサービス・エンカウンターが時間的 あるいは頻度的に比較的多く展開されるようなサービスにおいては,顧客と従 業員が相互にそれぞれの態度や行動に影響を及ぽし合うために,顧客のサービ スに対する満足と従業員の職務満足との聞にはポジティブな影響関係が生じる (1l) Heskett, Jones, Loveman, Sasser and Schlesinge (1994,),opcil, pp..169-170. (12) サービス品質が複数の部分品質から構成されていると考えるならば,サービス提供組 織やそこにおける従業員のイメージも重要な部分品質の一つであり,顧客の購買意思決 定過程において重要な役割を果たす (Lehtinenand Laitamaki, 1989;藤村, 1995b)。 詳細はIV章l節及び藤村(1995b)を参照のこと。 (13) サービス・エンカウンターの過程における従業員と顧客の相互影響関係の詳細につい ては,藤村(1995a)を参照のこと。

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713 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 -63ー 可能性が高いであろう。前述のように職務満足がパフォーマンスに対してポジ ティブな影響を及ぼし,従業員がサービス・エンカウンターへ積極的

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つ顧客 志向的に関与するならば,サービス自体だけでなくそのデリパリー・プロセス にかかわる品質も顧客にとって高いものとなるために,顧客満足は高まるであ ろう。すなわち,サービス・エンカウンターの過程で職務満足は従業員の態度や 行動に反映され,サービス品質に影響を及ぽすことで,顧客満足にポジティブ な影響を及ぼすと考えられる。 また逆に,顧客満足が従業員の職務満足に対してポジティブな影響を及ぽす ことも考えられる。なぜならば,サービス・デリパリー・プロセスあるいはサー ビス・エンカウンターの過程で満足を感じた顧客は従業員に対して好意的な態 度や行動をとり,不満足な顧客は否定的あるいは反発的な態度や行動をとる傾 向があるからである。すなわち,サービス・エンカウンターの過程で顧客満足 は顧客の態度や行動に反映され,従業員の感情に影響を及ぽすことで,職務満 足度にポジティブな影響を及ぽすことが考えられる。 顧客満足と職務満足の聞に関係が生じることについては,サービス・エンカウ ンターの過程で顧客及び従業員がそれぞれの行動や態度を通して相互に影響を 及ぽし合うからという説明以外に,顧客及び従業員がそれぞれに保有するスク リプトの観点からも説明が可能である。但し,このスクリプトによる説明では 両満足間に直接的な影響関係は存在せず,結果として関係が生じるにすぎない。 サービス・デリパリー・プロセスやそこにおけるサービス・エンカウンターの 過程は顧客及びサービス提供組織,その従業員の協働過程であり,この協働の あり方もそれらの効果及び効率を決定する重要な一要因である。この協働をス ムーズに行うには,演劇における舞台の役者たちが共通の台本を持っているよ うに,デリパリー・プロセスやヱンカウンターに関与する顧客と従業員もそれら の展開に関して共通の認識や知識を保有していなければならない。すなわち, デリパリーやエンカウンターを効果的

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つ効率的に展開するには,それに関与 する従業員と顧客が,デリパリー・プロセスやエンカウンターを構成する一連 の出来事とそれらの時間的順序,各出来事に関与する従業員や他の顧客の特性,

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各出来事内での従業員や顧客の役割や必要とされる行為,各出来事が起こる状 況などに関する認識や知識を共有していなければならない(藤村, 1995 c)。この 共有されるべき知識体系はスクリプトと呼ばれている。

Smith and Houston (1983, p.. 60)によると,スクリプトはイベント・スキー マあるいは知識の心的表象であり,日々の反復的な出来事における相互作用を 容易にする一般的知識である。またSchankand Abelson (1977, p..41)による と,スクリプトは行動のあらかじめ決定された型にはまった順序であり,見慣 れた状況を明確にするものである。 Abboottand Black (1980, pゎ5)は Schank and Abelsonの定義を拡張して,平凡な出来事のためのスクリプトは日常生活 で頻繁に行われるために,行動が型にはまっている出来事に関する知識であれ 出来事;に関連する標準的行動,性質,対象から構成される,と定義している。 またSmithand Houston (1983)によると,スクリプトには因果的・時間的 順序において関連している一連の行動が含まれるので,将来の出来事に関する O~ 予測を容易にするという機能や,規範体系として経験することを評価するため の基準を提供するという機能もある。デリパリー・プロセスやエンカウンターの 過程では,従業員や顧客はこの後者の評価基準機能を用いてそこでの経験を評 価し,それらに対する評価を形成していることが考えられる。すなわち,顧客 も従業員もそれぞれにデリパリー・プロセスやエンカウンターの過程で経験す る出来事と彼らが保有するスクリプトを比較しており,両者の適合度が高けれ ばそこでの経験に対して満足し,適合度が低ければ不満を感じているというこ とが考えられる。 (14) スクリプトは予測可能性と確実性を高めたり,役割遂行に必要とされる心的努力丞を 削減したりする(Langerand 1mber, 1979; Langer and Newman, 1979)。さらに,精 神的疲労によるストレスの削減を可能にするために,スクリプトに基づく行動はプラス の感情的効果を持っている(Humphreyand Ashforth, 1994)。 また,ひとたび行為者がスクリプトを学習すると,その行為者はもはや問題解決に従事 する必要はなくなり,思考を働かせることなく迅速に複雑な行為を遂行することができ る。しかしながら,スクリプトによる思考を働かさない行為は,その行為が頻繁に繰り返 されるという状況の下では間違いを増加させる可能性もある(Langerand 1mber, 1979; Langer and Newman, 1979)。そのような状況の下では,無意識に遂行することによって モニタリングが省かれるために,因果連鎖における重要なステップを認識することなく そのステップを忘れてしまう可能性がある。

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715 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 65-顧客と従業員がそれぞれに学習したスクリプトに基づいてデリパリー・プロ セスやエンカウンターに関与し,さらにそれを基準としてそこでの経験を評価 しているとするならば,顧客と従業員とがそれぞれに異なるスクリプトを保持 している場合に,デリパリーやエンカウンターの効果的且つ効率的な展開が阻 害されるだけでなく,そこでの経験もそれぞれのスクリプトからの逸脱したも のとなり,両者ともそれぞれに保有するスクリプトと経験との適合度は低くな る。その結果,顧客だけでなく従業員も,そこでの経験に対する満足は低下し てしまう。しかし逆に,両者が共通のスクリプトを保持している場合には,デ リパリーやエンカウンターが効果的且つ効率的に行われるだけでなく,それぞ、 れが保有するスクリプトと経験との適合度が高くなるため,両者ともそこでの 経験に対する満足は高くなる。このように,顧客と従業員がそれぞれに保有す るスクリプトと経験の適合度の結果として,顧客満足と職務満足の聞に関係が 生じるということも考えられる。 (5) 評価指標聞の循環的影響関係の要約 本主主では,顧客満足,職務満足,生産性についてそれぞれの聞の循環的影響 関係を詳細に検討したが,サービス品質と収益性も含めて理想的な状況での循 環的影響関係をモデル化するならば図

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のようになる。 タイムラグが存在するために影響関係の評価は困難であるが,この顧客満足, 職務満足,生産性の関係については,

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章で実証的に検討したい。 (15) 経験あるいは出来事を保持するスクリプトから逸脱させ適合度を低下させる要因に は,顧客と従業員のそれぞれが保持するスクリプトの違い以外のものもある。その一つ に,活動の連続的生起を可能にする条件の欠如がある(Schankand Abelson, 1977)。例 えば,銀行でATMによる現金引出しサービスを利用する場合,もしATMが故障してい るならば,そこで活動は中断してしまう。この場合, ATMの回復を待つか,あるいは窓 口で引き出しをするかによって欠如している条件を補うことが要求されるが,これらは スクリプトからの逸脱を意味している。このような逸脱に伴う待ち時間や不便さは怒ゃ いらいらにつながり,結果として顧客に不満を感じさせてしまう。 (16) スクリプトがサービス・デリバリー・プロセスやエンカウンターの過程において行動基 準及びその評価基準として働いているとすれば,サービス提供組織としては,顧客と従業 員に適切でしかも共通なスクリプトを学習・保持させるような戦略を策定・実施する必要 がある。もしこのような戦略を効果的に展開できるならば,サービス・デリパリーの効果 及び効率の向上だけでなく,部分的ではあるかもしれないが顧客満足と従業員の職務満 足も高めることが可能になるであろう。

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嚇ヱ一対一品川論議即時機 叶HA山 図 11-4 サービス品質・顧客満足・職務満足・生産性・収益性の循環的影響関係

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サービス提供組織における顧客満足・職務満足・ 生産性の関係についての理論的・実証的考察 g h a s t i旬酔 ' t a 一 方 争 & f l ト s p a s -t l t p b b -67-717 直 r場面」概念の導入による分析枠組み デリパリー・プロセスにおいてヱンカウンターが比較的高頻度にあるいは長 エンカウンターにかかわる従業員 時間にわたって展開されるサービスの場合, それらの相互作用の 及び顧客の聞には行動的及び感情的に相互作用が存在し, 内容もサービスの知覚品質及び両者の満足に影響を及ぽすであろう。また,サー ピス・デリパリーはフロントルームとパックルームにおいて順次あるいは同時 フロントルーム及びパッ 平行的に遂行される諸活動を通じて行われるために, クルームにおける諸活動やそれらの聞の関係もサービス品質及びデリパリー効 デリパリー・プロセスにおいて従 率に対して影響を及ぼすであろう。 業員及び顧客が使用する機器や器具の使いやすさ, さらに, その場を構成する様々な物 オペレーションなどもサービス品質及びそのデリパリー効率に影 サービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性 の聞の循環的影響関係を考慮し,各指標を最適化するには, わる以下の要素それ自体とそれらの聞の相互作用関係を改善する必要がある。 ①フロントルーム及び、パックルームの従業員の特性と行動 ②顧客の特性と行動 ③デリパリ一環境を形成する物的要素 ④オペレーションを構成する諸活動の選択・組合わせと順序 デリパリーにかか 響を及Iまずであろう。 このようなことから, 的環境要素, しかし,実際のデリパリー・プロセスにおいてこれらの改善を図るには,第 ーに,現状でのサービス・デリパリー・システムにおけるサービス品質,顧客 満足,職務満足,生産性,収益性の聞の循環的な影響関係とそれらに作用して いる他の要因を分析しなければならない。次いで,上記の要素の改善によって 指標聞の影響関係及び他の要因の影響度がどのように変化するのかを把握しな がら,各指標が最適になるような改善策を模索していかなければならない。 そ サービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性の聞の影響関係 のため,

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68 香川大学経済論叢 718 を分析する枠組みが必要であるが,現段階ではまだ適切なものが構築されてい ない。そこで以下では,その分析枠組みとして「場面」概念を提示したい。 1 演劇における幕のアナロジーとしての「場面」概念 「場面」概念は,演劇における幕のイメージをサービス・デリパリー・プロセ スにおけるエンカウンターに当てはめたものである。幕とは一つの幕が聞いて から下りるまでの聞である。演劇が複数の幕から構成されている場合には,一 幕目,ニ幕目と進む過程で舞台の登場人物やその服装,背景が変化し,物語が 展開し完結していく。サービス・デリパリー・プロセスでもいくつかのサービ ス・エンカウンターが時間的に分離したかたちで,時には場所を変えて,一幕 目,二幕目というように展開される。例えば患者が医療サービスを外来で受け る場合,エンカウンターは受付で受付職員と,診療室で医師及び看護婦と,薬 局で薬剤師と,会計で会計職員との間で順次展開される。これらのエンカウン ターはそれぞれ時間的にも場所的にも分断されているばかりか,演劇における 幕のように各エンカウンターにおいて重要な役割を果たす職員や物的環境要素 も異なっている。このような時間的に分離した,ときに場所的にも分離したエ ンカウンターのそれぞれが「場面」である。 サービスを生産・提供し,顧客がそれを消費するシステムはサービス・デリ パリー・システムと呼ばれるが,それはフロントルーム,パックルーム,サー ビス・エンカウンターから構成されている。そして,それらの三つにおいて顧 客,従業員及びサービス提供組織が協働することによってサービスはデリパ リーされる。場面は,この三つの構成要素の中のサービス・エンカウンター, すなわち顧客が従業員と直接的に相互作用を行う聞に焦点を当て,それらの時 間的分断(時には空間的分断を伴うが)によってそれらを区分したものである。 外来で医療サービスを受ける場合では,受付,診療,受薬,会計のそれぞれが 一つの場面として規定される。 この「場面」概念においては,フロントルームの従業員は舞台で演じている 役者に相当し,またサービス・デリパリ一環境を形成する物的要素は舞台の背

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719 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 69-景に,パックルームの従業員は舞台の背後で音楽やライティングなどによって 役者達の演技を支援している裏方に,サービス・デリパリー・プロセスあるい はオペレーション全体を計画・監督を担当しているマーケティング担当者ある いは経営者は脚本家に,顧客は観客に相当する。そして,演劇の各幕の評価は その幕に登場する役者,舞台設備,裏方,脚本家によって決まるように,場面 のサービス品質,顧客満足,生産性はフロントノレームの従業員だけでなく,サー ビス・デリパリ一環境の物的要素,パックルームの従業員,マーケティング担 当者あるいは経営によっても決まる。さらに,演劇における観客は舞台を観る ことで沸き上がってくる感情を表情や行動に表し,役者の感情に影響を及ぽす ことで,その演技に作用して演劇の質を高めることに貢献しているように,各 場面における顧客もサービス・デリパリーを効果的

E

つ効率的に行うのに必要 な役割を果たすことでサービス品質及び生産性の向上に貢献している。すなわ ち,演劇が観客を含む劇場内のすべての人と物的環境によって作り上げられて いるように,各場面も顧客を含むサービス提供組織の従業員とそれにかかわる その他の要素すべてによって創造されている。 尚 i場面」概念を用いてサービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益 性の聞の関係を分析する場合に,それらの指標も場面にかかわるものに限定さ れる。すなわち,分析されるのはサービス・デリパリー・システム全体に関す る各指標の水準や指標関係の関係ではなく,場面特定的な指標の水準や関係で ある。例えば,外来での医療サービスのデリパリーについて受付,診療,受薬, 会計という場面が設定されるならば,受付という場面についてのサービス品質, 顧客満足,職務満足,生産性などが測定され,診療,受薬,会計という場面に ついても同様にそれぞれに特定的なものが測定される。従って,各指標の水準 と指標聞の関係にかかわる分析は設定した場面数だけ行われることになる。 2.. i場面」概念を用いることの利点 時間的,時には空間的にも分離したサービス・エンカウンターを「場面」と して,場面ごとに指標(サービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性)

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-70ー 香川大学経済論議. 720 聞の関係とその関係に影響を及ぼす要因を分析することには,以下のような利 点がある。 ①場面によって各指標及び指標聞の関係に重大な影響を及ぽす司能性のある 要因,すなわち各場面で顧客と相互作用を行うフロントルームの従業員及 びその活動,その場面を後方から支援するパックルームの従業員及びその 活動,その場面に関係した物的要素及びオペレーションなどは異なってい るが,場面ごとに分析することで重要な影響要因の絞り込と特定化が容易 になり,指標間の影響関係の分析も容易になる。さらに,各場面ごとに重 要な影響要因を特定化できるので,指標聞のバランスを保ちながらそれぞ れを最適化するのに必要な改善点が明確になる。 ②各場面には,顧客にサービス・デリパリーを行うのに必要な活動やその他 の要因の質や効率が反映されている。サービス・デリパリー・システムは フロントルーム,パックルーム,サービス・エンカウンターから構成され ているので,サービス・エンカウンターで区分された場面,すなわち顧客 とフロントルームの従業員が相互作用を展開するシステム部分だけで指標 聞の関係を分析するのは不適切であるように思われるかもしれない。しか しながら,演劇の評価も観客から見える舞台に基づいて行われるが,その 評価が正当化されるのはその舞台に役者の演技や能力だけでなく,裏方や 脚本家などの活動や能力がすべて反映されているからである。同様なこと は場面についても妥当し,各場面におけるサービス品質,顧客満足,職務 満足,生産性などには顧客がエンカウンターを行う従業員の態度や行動, 顧客から見えるデリパリ一環境を構成する物的要素だけでなく,顧客から 見えないパックルームの活動も反映されている。従って,特定の場面にお いて指標のすべてあるいはその一部が低い場合,それは顧客とサービス・ エンカウンターを展開しているフロントルームの従業員やその環境を形成 する物的要素,その管理システムが劣っていることの現われであることも あれば,顧客から見えないパックルームの従業員やそれにかかわるオペ

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721 サービス提供組織におげる顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 -71 レーションが劣っていることの現われであることもある。このように顧客 がフロントルームの従業員とエンカウンターを展開する部分だけを場面と して各指標や指標聞の関係を分析したとしても,そこには顧客にサービ ス・デリパリーを行うのに必要な活動やその他要素がすべて凝縮・反映さ れているので問題はないと考えられる。 しかしながら r場面」概念による指標聞の関係分析にも問題がないわけで はない。第一の問題点として,サービス・デリパリー・プロセスはサービスの 販売とともに始まり,生産と提供が行われ,顧客による消費が終了するまで続 くが r場面」はこのプロセスの中の一部分に過ぎないということがある。すな わち,デリパリー・プロセスでもサービス・エンカウンターが展開されていな い部分,あるいは場面と場面の聞は分析対象とされないので,デリパリー・プ ロセス全体の分析はできない。 第二の問題点として,第一の問題と関連しているがこのような還元主義的方 法では,場面の聞に存在する影響関係が無視されてしまい,デリパリー・プロ セス全体が生み出すサービス品質,顧客満足,職務満足,生産性,収益性など が過小あるいは過大評価されるということがある。演劇の場合,役者も観客も 前幕の流れを引き継ぎ次の幕に望む,あるいは次の幕のための準備をその前の 幕で行っている。つまり,一幕目で役者は演技を行いながら彼自身の感情や気 分を高め,第二幕目の演技につなげようとするし,顧客も第一幕目で次の幕を 見るために準備,例えば笑うための準備,泣くための準備,物語の展開を予測 するための準備を行う。そのため,第二幕目における役者の演技は第一幕目の 彼自身や他の役者の演技,それによって生じる彼自身の感情や気分に影響され るであろうし,観客の感情や気分,態度も前幕における彼ら自身のそれらに影 響される。同様なことはサービス・デリパリー・プロセスにおいても起こるで あろう。前場面での相互作用から生じた感情や気分を従業員も顧客も引きずり ながら次の場面に進むであろうから,各指標はその場面における従業員や顧客, その他の要素の影響を受けるだけでなく,前場面のそれらの影響も受けるであ

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72 香川大学経済論叢 722 ろう。 このようなことがあるために,サービス・デリパリー・システム全体は場面 の総和以上の意味をもっているかもしれない。サービス・デリパリー・システ ム全体には「場面」概念だけでは捉えきれない,サービス品質,顧客満足,職 務満足,生産性,収益性の関係や,それらに影響を及ぽす要素が存在している かもしれない。従って,サービス・デリパリー・システムの分析には r場面」 概念とともに全体論的アプローチによる分析枠組みも同時に用いられる必要が あると考えられる。 「場面」概念にはこのような問題点もあるが,本稿では利点の方を重視して, V章ではこれを用いて顧客満足,職務満足,生産性の聞の影響関係を実証分析 したい。また,前述のような問題点を補うために,場面レベルとともにオペレー ション・レベルでも分析を行いたい。尚,このオペレーションについてはV章 で詳細に説明することにする。

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サービス提供組織における顧客満足・職務満足・ 生産性の関係についての理論的・実証的考察 73-723

N.

医療サービスにおける顧客満足と職務満足の分析 本稿の中心課題は,-場面」概念を用いて顧客満足,職務満足,生産性の聞 の影響関係を分析することにある。分析は病院における医療サービスを取り上 げて行うが,本章ではその準備として,医療サービスにおける顧客満足及び職 その形成要因,各満足が及ぽす影響について分析を行いたい。 宇 多 ? ? i t L L P t i s -ι k p l f v h y } t e l F i e r i t l i l t -詐 l t 4 3 a z i も や 務満足の構造, 顧客(患者)満足調査の実施概要及び分析結果 調査実施の概要 ) 1 ( すなわち患者満足とその形成に影響を及ぽ 医療サービスにおける顧客満足, その調査概要は以下の通りであ す要因を明らかにするために調査を実施した。 る。 調 査 対 象 者 : 神 奈 川 県 内 に 立 地 す る

K

病院における外来及び入院患者 票:外来患者用調査票,入院患者用調査票ともA 4版9頁 法:調査員による面接調査依頼・郵送回収(外来患者に対す る調査依頼は待合室で,入院患者に対する依頼は病室で 方 査 査 調 調 実施) 期 :1996 年 2 月 19~24 日 時 査 調 調査票配付数及び回収数; (17) 調査は社会経済生産性本部のサービス企業生産性研究委員会において実施したもので あるが,顧客満足調査と職務満足調資の設計・実施・分析は筆者自身が中心となって行っ たものである。

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-74- 香川大学経済論叢 724 有効回収票の構成:外来患者の診療科別回収数及び入院患者の病棟別回収数 は以下の通りである。尚,

K

病院では,外来部門は診療 科ごとに,入院部門は病棟ごとに管理が行われている。 [外来患者の診療科別回収数】 受 診 診 療 科 人数 構成比(%) 内科 291 39..9 神経科 18 2..5 小児科 74 10..2 小児外科 3 0.4 外科(脳外科) 47 6A 書生形外科 31 4..3 形成外科 4 0..5 皮 膚 科 39 5..3 産婦人科 123 16..9 版科 32 44 耳鼻咽喉科 29 4..0. 泌尿器科 23 3.2 理学診療科 2 0...3 東洋医学 8 1.1 その他 。..1 無&!l答 4 0..5 合 計 729 100..0. 【入院患者の病棟別回収数】 入 院 病 棟 人 数 構 成 比 例 ) 本館4階 17 124 本館5階 23 16.8 来館2階 18 131 東 館3階 19 139 東 館4階 13 9.5 東館5階 19 139 東 館6階 19 13.9 無 回 答 9 6,6 合 計 137 100,0.

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725 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 (2) 顧客満足の分析結果 【顧客の総合満足度が再利用意向に及ぼす影響] 75-モノに関する消費者行動研究では,顧客満足は購買後の態度に影響を及ぼし, その態度は再購買意図や口コミ行動などに影響を及ぼすという経験的証拠が多 く得られている。病院における医療サービスの消費においても,このような影 響関係が存在するかどうかの分析を行った。尚,医療サービス品質は様々な部 分品質から構成されており,それに対する満足あるいは不満足は各部分品質に 対する評価を総合することで形成されると考えられることから,以下では,医 療サービスに対する満足度を総合満足度と呼ぶことにする。 表IV-1は,外来・入院患者別に総合満足度と再利用意向との関係を分析した 結果である。尚,再利用意向とは,将来,もし病院にかからなければならなく なった時に,当病院を利用したいという意向である。 外来及び入院の両患者において,総合満足度が高い患者層においてほど再利 用意向を持つ人が多くなっている。外来患者においては r満足である」と回 答した 216人中 202人(約 94%)が「利用したい」あるいは「やや利用したい」 と回答しているが r不満足である」と回答した人でそのように回答したのは 16 人中 2人(約 13%)にすぎない。入院患者においても同様に r満足である」と 回答した 50人中 49人(約 98%)が「利用したい」あるいは「やや利用したい」 と回答しており,医療サービスに対する総合満足度と再利用意向との聞には正 の相関関係が見られる。 表IV-2は,総合満足度が再利用意向に及ぽす影響度を回帰分析を用いて分析 した結果である。総合満足度は再利用意向に対して有意にポジティブな影響を 及ぼしており,再利用意向を説明する重要な変数となっている。同様な結果は

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1994年に他の病院において実施した調査でも得られていることから,病院にお (18) 医療サービスを含む専門サービスの品質を構成する部分品質については,本章79-80 頁と藤村(1995b)を参照のこと。 (19) 総合満足度は 1 不満足である J~'5= r満足である」の5点尺度で,再利用意向 は 1= r利用したくない J~5= r利用したい」の5点尺度で聴取している。 (20) 調査実施概要及び分析結果は,藤村(1995d)を参照のこと。

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-76~ 香川大学経済論叢 726 ける医療サービスの消費においても総合満足度は再利用意向にポジティブな影 響を及ぽすと言えるであろう。 このような影響関係は以下のような三つの理由から,モノの消費においてよ りもサービスの消費においての方が強く生じやすいと考えられる。 ①サービス自体とそのデリパリー・プロセスの特性のために,サービスの選択 意思決定過程においては比較的大きなリスクが知覚される(藤村, 1990)。 その結果,利用したサービスあるいはサーどス提供組織が大きく不満足な ものでない限りは,知覚リスク削減手段として利用経験のあるサービス提 供組織を再利用しようとするであろう。 表IV-l:総合満足度と再利用意向の関係 [外来患者] 【入院患者] │、¥再利用意向 │総合両足度¥ 、 十 6 3 一 叫 9 一 辺 4H31 一 63F 吐 D ・4 言 12一24一 M 均一拓也一日 l 一目的 -帝 9 4 ・ , 4 2 d -F 4 宮 J -t r 2 5 一 4 8 一 5 8 一 0 6 一 汚 3 一 6 0 利 用 し た い は 一 比 一 4 抗 一 MMMU 一日切一%弘 一 一 3 S 一 7 8 一 万 2 一 7 2 一 0 7 一 一 8 一 3 2 u f 3 一回れ 言えない一8B一円 J A 一 喝 9 一 的 2 一 日 b 一 泊 2 ど ち ら と も 一 m 一 :mw 一 7 崎 一 4n 一 { 1 1 6 一 一 日 間 心 -2 5 巾 2 9 山 2 2 巾 団 -69 -Z 引 i u l h 山

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総合満足度と再利用意向に及ぼす影響

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定数項 総合満足度 自由度調整済み決定係数 外来患者の再利用意向 2.090

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0.550. 言2= 0.333 (18ω6)*.

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N=691 (17542) F依 346184 入院患者の再利用意向 1495 0.686 R ーう-= 0.478 N=133 (5.711) (11.038)-h

0 F値 121844.. ホホ・P<

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727 サービス提供組織における顧客満足・職務満足・生産性の関係についての理論的・実証的考察 -77-②サービス品質を構成する部分品質の一つである過程品質あるいは相互作用 (22) 品質は,顧客がサービス提供組織を反復利用することによって向上してい くと考えられる(藤村, 1991)。すなわち,サービス・デリパリー・プロセス でサービス・エンカウンターが時間的あるいは頻度的に比較的多く展開さ れるようなサービスの消費においては,反復的利用によって従業員が顧客 のニーズや特性を理解したり,あるいは両者聞に相互理解が形成されたり するために,エンカウンターが効果的

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つ効率的に展開されるようになる。 その結果,顧客の視点からみた過程品質や相互作用品質は反復的利用とと もに高まるために,顧客はより高い満足を求めて同一サービス提供組織を 反復的に利用していこうとするであろう。 ③サービス・デリパリー・プロセスでサービス・エンカウンターが時間的ある いは頻度的に比較的多く展開されるようなサービスの消費においては,顧 客と従業員の聞に経済的取引関係を越えた社会的人間関係が形成されるこ とがあり,デリパリーされるサービスが大きく不満足なものでないかぎり は,社会的人間関係のために再利用が促されるであろう。 このようなことから,総合満足度を向上させ,同時に再利用意向の生成を阻 害しないようにすることで,病院を含むサービス提供組織においてもロイヤリ ティのある固定客を創り出すことが可能であろう。 (21) サービス品質はいくつかの部分品質から構成されていると考えられているが,ごつの 部分品質から構成されているとする品質モデルでは成果品質(outputquality)と過程品 質(processquality)とに分解されることが多い。前者はサービスの購入動機となった基 本的ニーズを満たす便益にかかわる品質であり,後者は成果品質を生成する過程での相 互作用にかかわる品質である。尚,この相互作用には,顧客と従業員との人的相互作用 (サービス・エンカウンター),顧客と物理的環境との相互作用,顧客間の相互作用が含 まれている(藤村, 199,1p 192)。これと類似したものに, Gronroos (1984)の技術的品質 (technical quality)と機能的品質(functionalquality)への分解がある。前者はサービス 提供組織との相互作用で消費者が得るものの品質であり,後者はサービスを受ける過程 にかかわる品質である。 (22) 相互作用品質については,本意80頁と藤村(1995b)を参照のこと。

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78 香川大学経済論叢 728 【顧客の総合満足度が口コミに及ぼす影響】 次に,患者の総合満足度が家族・友人への紹介意向につながるかどうかを分 析すると,表

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のようになり,この

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変数聞にも正の相関関係が見られる。 外来患者においても入院患者においても,総合満足度が高い層においてほど 「紹介できる」という回答が多くなっている。外来患者においては「満足であ る」と回答した人の約67%が,入院患者においても約80%が「紹介できる」と 回答している。 表

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-4

は,回帰分析で総合満足度が紹介意向に及ぽす影響度を分析した結果 仰) である。総合満足度は紹介意向に対してもポジティブな影響を及ぼしており, 紹介意向を説明する重要な変数となっている。但し,総合満足度が紹介意向と 再利用意向に及ぼす影響度を比較すると,再利用意向に対する方が大きくなっ ている。 医療サービス提供組織の選択意思決定過程では大きな知覚リスクを伴うが, その知覚リスクの削減には口コミが重要な役割を果たすことから(藤村,1990), 病院を含む医療サービス提供組織は自組織にとってポジティブな口コミが利用 経験者から発せられるように努力しなければならない。そのためには,今回の 分析結果から明らかなように,利用者の満足度を向上させることが必要である。 以上のように,医療サービスに対する総合満足度は再利用意向及び口コミに 対して重大な影響を及ぼすことから,患者の総合満足度の向上は医療サービス 提供

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織にとっても重要な経営課題である。それはII章で考察したように,顧 客の再利用意向あるいはロイヤリティの向上は顧客離脱率を低下させ,その結 果として収益性を大幅に改善するだけでなく,ポジティブな口コミの流布に よって新規顧客獲得に必要なマーケティング・コストの削減を可能にするから である。 (23) 紹介意向はこの病院なら安心して家族や友人に紹介できる」というステートメント に対して 1= rそう思わないJ~5 = rそう思う」の5点尺度で聴取している。

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729

X

不満足である ー・-_...開・・・・・ --_..ーー・-_..-_.... どちらとも 言えない -・・・ーーー・... ...---_..・ー・・・・・・・ 満足である 小富十 サービス提供組織におげる顧客満足・職務満足・ 生産性の関係についての理論的・実証的考察 - 7 9-表IV-3 総合満足度と紹介意向との関係 [外来患者】 紹 lど : :紹 介 -ち・ : 介 で iら言i :で e ・. :とえ j :き な iもなi .る U 、. ,>・ 8 : 214 :143 :57.1 71 -ー・・・・ト・一._p-"-・・4・・・ー・・.--司-- -4 18 91 : 12.1 : 54.5 : 18.2 6.1 ._---ート・...・_.',・・4・一._-... 4: 7: 84 32 21 ...~:.~.t・・4・・7・・・i・5・6・8・・・・2・・1.ー~-L!~:~-73 102 69 0.4: 0.4: 29.7 : 41.5 : 28.0 ・・・ F ・・~・_...----・---2 : 25 38 129 1 .0 : 12.9 : 19.6 : 66.5 13

... .

i 14: 208i 178 : 222 2.0: 2.2: 32.8 : 28.0 : 35.0 14 33 5.2 23.3 2461 38.7 194 30.6 635 1

o [入院患者】 紹 : : ど : :紹 介 : ち ! で : 1ら4目 .・ 1で き : :とえ: jき 百十 総合満足度 な : :もなi .る し、. ,>・

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385:柑.41 41.3 3・ 6: 371 46 ι5: 13.0: 80.4 1 36.5 2: 4: 25: 33: 621 126 1 .6: 3.2: 19.8: 26.2 : 49.211

.0 表IV-4 総合満足度の紹介意向に及ぼす影響

エよさ

定 数 項 総合満足度 自由度調主主1青み決定係数 外来患者の紹介意向 1894 0518 言2= 0.265 -0 N=635 (13.786) (15.166) H直 230018 入院患者の紹介意向 1386 0680 買2= 0329 (3.837)

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(7.896)" F値 62343命・. N=126 山 Pく0

l 【顧客の総合満足度に影響を及ぼす部分品質】 藤村(1

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の品質次元モデルに修正を 加えることで専門サービスの品質次元モデルを提案しているが,そのモデノレで は,医療サービスを含む専門サービスの品質は以下の5つの部分品質から構成 されると仮定されている。 ①外在的組織品質:サービス提供組織のイメ}ジ

(30)

-8(}-- 香川大学経済論叢 ②外在的個人品質:専門家個人の名声や評判 @物理的品質:サービス・デリパリー・システムの物理的特徴 (a)物理的環境の品質:装飾,外の風景など (b;物的設備の品質:医療機器,待合い室の設備など (c)デリパリー中あるいは後に消費される財の品質:食事,飲料など (d)成果品質:健康の回復,不快感や痛みからの開放など ④相互作用品質:従業員と顧客の相互作用過程で生み出される品質 730 ⑤専門的知識・技能品質専門サービスのデリパリーに必要な知識・技能の 質と量 病院における医療サービスも,これら

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つの部分品質から構成されていると 考えられる。しかしながら,専門的知識・技能品質の評価には専門的知識が必 要とされ,一般の患者ではその評価が困難なことから,顧客側から見た医療サー ビスの品質は外在的組織品質,外在的個人品質,物理的品質,相互作用品質に よって構成されていると考えられる。ここでは,これらの部分品質の中の相互 作用品質と物理的品質の一部である成果品質に焦点を当て,それらに対する評 価が総合満足度に及ぼす影響について分析を行いたい。尚,相互作用品質とし ては,医師,看護婦,医療技術者,事務系職員にかかわる品質を,成果品質と しては治療成果に対する知覚を取り上げている。 表IV-5は,各部分品質に対する評価が総合満足度に対してどのような影響を æ~ 及ぽしているのか,を回帰分析で分析した結果である。外来患者を医療技術者 (薬剤師,臨床検査技師など)と接触した患者層と接触しなかった患者層に分け ると,接触した患者層の総合満足度に対しては治療成果,医師,看護婦が,非 接触の患者層の総合満足度に対しては治療成果と医師が有意にポジティブな影 響を及ぼしている。入院患者の総合満足度に対しては,治療成果と看護婦が有 意にポジティブな影響を及ぼしている。 (24) 部分品質に対する評価は総合満足度を構成する部分満足度として捉えることができる ので,各部分品質に対する評価は 1= r不満足であるJ~5 = r満足である」の5点尺 度で聴取している。

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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