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目次 ページ 1. 調査の目的等 規制改革実施計画の内容等 規制改革の内容に係る背景等 調査のポイント 調査の内容 委員会構成 委員会開催状況 6 2. 設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討 各規格の圧

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平成29年度石油精製等に係る保安対策調査等事業

(高圧ガス取扱施設における産業保安のスマート化に関する調査研究)

(3)特定設備検査規則に関する調査

報告書

平成30年 3月

高圧ガス保安協会

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目次 ページ 1.調査の目的等 1 1.1 規制改革実施計画の内容等 1 1.2 規制改革の内容に係る背景等 2 1.3 調査のポイント 4 1.4 調査の内容 5 1.5 委員会構成 6 1.6 委員会開催状況 6 2.設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討 7 2.1 各規格の圧力制限について 7 2.2 別添7の制定時における技術的な検討内容について 10 2.3 特定則の例示基準別の検査実績について 11 2.4 水素スタンド関連設備の事故事例の調査結果について 19 2.5 検討結果及び課題 21 3.3.5 よりも低い設計係数に対する検討等 23 3.1 米国における圧力容器に関する運用制度の概要等 23 3.2 欧州における圧力容器に関する運用制度の概要等 33 3.3 米国における 3.5 よりも低い圧力容器を有する規格及び運用について 37 3.4 国内における 3.5 よりも低い設計係数を有する規格及び運用について 40 3.5 検討結果 43 添付資料1 技術基準における圧力制限の規定の抜粋 添付資料2 各規格の圧力制限について 添付資料3 高圧ガス設備に係る技術基準国際化研究会報告書 添付資料4 日米の制度の比較について 添付資料5 日米欧の適合性評価システム比較表 添付資料6 PED の概要 添付資料7 EN13445 の概要

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1.調査の目的等 1.1 規制改革実施計画の内容等 (1)規制改革実施計画の内容 平成29年6月9日に閣議決定された規制改革実施計画の「5.投資等分野 ⑦次世 代自動車(燃料電池自動車)関連規制の見直し」において、水素スタンドに係る特定設 備に関連する規制改革の内容が示された。 当該規制改革実施計画の抜粋(No40 及び No41)を表1に示す。 表1 規制改革実施計画の抜粋 No 事項名 規制改革の内容 実施時期 40 設計係数 3.5 の設計 に係る圧力 制限の撤廃 設計係数 3.5 で設計された水素スタンド設備に係 る圧力制限を撤廃した場合における安全性への影 響について、事業者と協力して検討し、結論を得次 第、圧力制限を撤廃する。 平成 29 年度検討 開始、平成 30 年度 結論、結論を得次 第速やかに措置 41 3.5 よりも 低い設計係 数 水素スタンドに係る特定設備の設計係数について、 米国等諸外国の事例などを踏まえ、大臣特別認可や 事前評価制度等を受けなくても 3.5 よりも低い設 計係数(例えば 2.4)で設計、製造を行う場合に必 要な高圧ガス保安規制や技術基準について、事業者 と協力して検討を開始する。 平成 29 年度検討 開始 (2)経済産業省からの調査委託の内容 上記に示す規制改革実施計画 No40 及び No41 の対応のため、経済産業省からの委託調 査事業(「石油精製等に係る保安対策調査事業(高圧ガス取扱施設における産業保安のス マート化に関する調査研究)」)において、以下に示す仕様書に基づき、特定設備検査規 則に関する調査を行うこととなった。 「特定設備検査規則に関する調査」の仕様書 高圧ガスの製造のための設備のうち、高圧ガスの爆発その他の災害の発生を防止する ためには設計の検査、材料の品質の検査又は製造中の検査を行うことが特に必要なもの として経済産業省令で定める設備(以下「特定設備」という。)の製造をする者は、経済 産業省令で定めるところにより、その特定設備について、経済産業省令で定める製造の 工程ごとに、経済産業大臣等の特定設備検査を受けなければならないとされている。 特定設備に関する保安については特定設備検査規則(昭和五十一年二月十七日通商産 業省令第四号。以下「特定則」という。)に定められ、国際整合化等は適宜図っていると ころであるが、特定設備の保安をとりまく状況が刻々と変化する中、材料の引張強さに

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関する安全率及び適用範囲等について以下の検討を行い、特定設備検査規則をめぐる現 状と課題について把握するとともに、今後特定則上でどの様な対応をするかの方向をま とめることとする。 ① 設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討 特定則別添7の「第 1 条 適用範囲」に規定されている設計圧力を 20MPa 以下とする制 限の必要性、圧力制限が設定された根拠、経緯、他法規や規格の状況等を文献等により 調査すると共に、圧力制限を見直した場合の安全性への影響を確認する。 ② 3.5 よりも低い設計係数に対する検討等 「設計係数 3.5 未満に対応する特定設備」を特定則に導入するに当たり、他規則への 影響を含めて変更が必要な項目を文献等により調査すると共に、特定則の課題等を検討 する。 ③ 委員会の運営 有識者(選定に当たっては国と相談のうえ決定のこと)により構成された委員会(委 員6名程度、委員会開催数3回程度。)を運営し、上記①及び②の結果について議論して 取りまとめる。 1.2 規制改革の内容に係る背景等 (1)規制改革の内容について 水素スタンド用の設備をより経済的に設計するため、現在最も広く使用されている設 計係数 4.0 の技術基準と比べて、設計係数(※)をより低減した技術基準を使用したいと いう要望が背景にある。 (※)設計係数とは、設備を構成する材料の強度に対し、どの程度の余裕を確保して設計するのか を示す係数である。設計係数を低くすると、設備を薄肉に(より経済的に)設計できるよう になる。 (2)設計係数と技術基準の関係について 設計係数毎に整理した ASME、特定則の例示基準、JIS の関係は、表2のとおり。 なお、本報告書に記載される各技術基準の名称及び略称は以下のとおり。 1)ASME

① ASME Boiler & Pressure Vessel Code SectionⅧ Division1

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② ASME Boiler & Pressure Vessel Code SectionⅧ Division2 Alternative Rules(以下「ASME SecⅧ Div2」という。) ③ ASME Boiler & Pressure Vessel Code SectionⅧ Division3

Alternative Rules for Construction of High Pressure Vessels (以下「ASME SecⅧ Div3」という。)

2)特定則の例示基準 ① 特定設備検査規則の機能性基準の運用について(20160920 商局第 4 号) 別添1 特定設備の技術基準の解釈(以下「別添1」という。) ② 特定設備検査規則の機能性基準の運用について(20160920 商局第 4 号) 別添7 第二種特定設備の技術基準の解釈(以下「別添7」という。) 3)JIS ① JIS B 8265 圧力容器の構造-一般事項(以下「JIS B 8265」という。) ② JIS B 8266 圧力容器の構造-特定規格(以下「JIS B 8266」という。) ③ JIS B 8267 圧力容器の設計(以下「JIS B 8267」という。) 4)EN

① EN13445 Unfired Pressure Vessels(以下「EN13445」という。)

5)その他の技術基準

① KHKS 0224 安全係数 2.4 の特定設備に関する基準(以下「KHKS 0224」という。) ② KHKS 0220 超高圧ガス設備に関する基準(以下「KHKS 0220」という。)

③ HPIS C106 高圧容器規格(以下「HPIS C106」という。)

表2 設計係数と ASME、特定則の例示基準、JIS の関係

設計係数 ASME SecⅧ 特定則の例示基準 JIS 設計の方式 4.0 Div1(2001 年以前) 別添1 JIS B 8265

公式による設計 3.5 Div1 別添7 JIS B 8267

3.0 Div2 Class1 容器 なし(※2) JIS B 8266

解析による設計 2.4 Div2 Class2 容器 なし(※2) なし

2.4(※1) Div3 なし(※2) なし

(※1)流動応力に対する設計係数

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1.3 調査のポイント

(1)設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討

① 特定則の例示基準別添7は設計係数 3.5 の ASME SecⅧ Div1 をベースに作られており、 ASME の規定を踏襲しているため、設計圧力を 20MPa 以下とする圧力制限がある。 ② 圧縮水素スタンド用の設備を代表とする高圧用設備(82MPa)に適用する場合、現 状の制度で使用することは可能であるが、詳細基準事前評価を受ける必要がある。 ③ 本調査では、特定則の例示基準別添 7 の圧力制限の必要性等を検討し、圧力制限の 見直しに係る方針について検討する。 (2)3.5 よりも低い設計係数に対する検討等

① ASME では、設計係数が 3.5 よりも低い技術基準として ASME SecⅧ Div2 及び ASME Sec Ⅷ Div3 が制定済であるが、現状特定則は例示基準も含め未整備である。

② 3.5 よりも低い設計係数を採用する場合は、現状の制度で使用することは可能であ るが、特定案件事前評価(大臣特認)及び詳細基準事前評価を受ける必要がある。 ③ 本調査では、3.5 よりも低い設計係数を特定則に導入する際の特定則の課題等を検

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1.4 調査の内容 (1)設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討 以下の調査等を行い、別添 7 の圧力制限の必要性等を検討し、制限の見直しに係る方 針を作成する。 ① 高圧法と他法規や規格における圧力制限の規定の対比整理 以下の技術基準における圧力制限を対比、整理する。 1) 別添1、別添7

2) JIS 規格(JIS B 8265, JIS B 8266, JIS B 8267) 3) その他の技術基準

② 別添 7 の制定時における検討内容の調査

ASME SecⅧ Div1 が設計係数を 4.0 から 3.5 に低減する改正を受けて、特定則の例 示基準別添 7 が制定された際の検討内容を調査する。 ・高圧ガス設備に係る技術基準国際整合化研究会(平成 13 年 2 月~6 月開催) ③ 別添7の圧力制限を見直した場合の安全性への影響の検討 別添7及び別添1を適用した特定設備の設計圧力の実績を調査すると共に、別添 7 の圧力制限を見直した場合における安全性への影響を検討する。 (2)3.5 よりも低い設計係数に対する検討等 以下の調査等を行い、3.5 よりも低い設計係数の特定設備を取り入れに係る特定則上 の課題を把握すると共に、特定則上の対応に係る方針を作成する。 ① 米国及び欧州の運用制度の調査並びに特定則の運用制度との対比整理

ASME SecⅧ Div2 の運用制度(使用者の責務、製造者の責務、AI の義務及び PE の役 割、製造者、AI 及び PE の認証制度、工場認定制度等)を調査し、特定則における運用 制度と比較する。 また、併せて欧州の運用制度(PED 及び EN13445)を調査し、特定則における運用制 度と比較する。 これらの比較結果を踏まえて、3.5 よりも低い設計係数の特定設備を取り入れる際に 考慮すべき留意点等を抽出する。 ② 特定則以外の規則において検討が必要な内容の抽出 3.5 よりも低い設計係数の特定設備を取り入れる際に、特定則以外の規則(代表とし て一般則を検討)を含め検討が必要な内容を抽出する。

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1.5 委員会構成 1.4に示す調査の内容について検討するため、有識者により構成された委員会(特 定則調査委員会)を運営し、設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討及び 3.5 よりも低い設計係数に対する検討等の結果について議論して取りまとめることとした。 特定則調査委員会の委員は、特定則等の国内事情に加えて、海外規格の技術的内容及 び制度にも精通した高い専門性を有するメンバーとして、以下に示す学識者、製造者、 使用者、エンジニアリング事業者及び行政関係者を経済産業省と調整の上、選定した。 委員長 (学識者)小林英男 東京工業大学名誉教授 委 員 (学識者)辻 裕一 東京電機大学 (製造者)坂倉茂樹 株式会社IHI (使用者)後藤圭太 昭和電工株式会社 (エンジ)永井正二郎 千代田化工建設株式会社 (行 政)工藤美子 神奈川県 1.6 委員会開催状況 第1回委員会 開催日 平成29年11月1日 検討内容 検討計画及び作業内容の審議 第2回委員会 開催日 平成29年12月26日 検討内容 検討状況の中間報告及び報告内容に対する審議 第3回委員会 開催日 平成30年2月2日 検討内容 検討状況の最終報告及び報告内容に対する審議 報告書案の審議

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2.設計係数 3.5 の設計に係る圧力制限に対する検討 2.1 各規格の圧力制限について 2.1.1 技術基準の圧力制限 圧力容器に係る代表的な規格における圧力制限の規定について、設計係数毎に整理した ASME、特定則の例示基準、JIS、EN 及びその他の技術基準の圧力制限の規定は、表3~表7 のとおり。 各技術基準における圧力制限の規定の抜粋を添付資料1に示す。 また、表3~表7に示す各規格のうち、ASME、JIS、特定則等の各規格の圧力制限につい て図示したものを添付資料2に示す。 表3 ASME の圧力制限について 設計係数 ASME SecⅧ 圧力制限 4.0 Div1(2001 年以前) 20MPa 以下(※1) 3.5 Div1 (2017) 20MPa 以下(※1) 3.0 Div2 Class1 容器 (2017) 制限なし(※2) 2.4 Div2 Class2 容器 (2017) 制限なし(※2) 2.4(※4) Div3 (2017) 制限なし(※3) (※1)原則 20MPa 以下の制限があるが、高圧に配慮した場合は制限を超えて使用可 (※2)70MPa を超える場合には Div3 の適用を検討すべきことを明記 (※3)制限なしだが 70MPa 超を原則 (※4)流動応力に対する設計係数 表4 特定則の例示基準の圧力制限について 設計係数 特定則の例示基準 圧力制限 4.0 別添1 なし 3.5 別添7 20MPa 以下 表5 JIS の圧力制限について 設計係数 JIS 圧力制限 4.0 JIS B 8265 (2010) 30MPa 未満 3.5 JIS B 8267 (2015) 30MPa 未満 3.0 JIS B 8266 (2003) 100MPa 未満(※1) (※1)原則 100MPa 未満の制限があるが、高圧に配慮した場合は制限を超えて使用可

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表6 EN の圧力制限について

設計係数 EN 圧力制限

2.4 EN13445(※1) (2009) なし

(※1)最新版は 2015 年度版であるが、入手済の 2009 年度版で確認した結果である。

EN13445-3(Design)の 5.3.5 Design Pressure of a vessel では、圧力を所定のしきい値以 下に制限する規定はなし。 表7 その他の技術基準の圧力制限について 設計係数 基準名称 圧力制限 2.4 KHKS 0224 (2014) 70MPa 以下 2.4(※3) KHKS 0220 (2016) 350MPa 未満(※1) 2.4(※3) HPIS C106 (2013) 制限なし(※2) (※1)原則 350MPa 未満の制限があるが、高圧に配慮した場合は制限を超えて使用可(解説に記載) (※2)制限なしだが 70MPa 超を原則 (※3)流動応力に対する設計係数 2.1.2 技術基準の圧力制限の変遷 ASME、特定則の例示基準及び JIS 規格の圧力制限の規定の変遷は、以下のとおり。

(1)ASME SecⅧ Div1

ASME SecⅧ Div1 は、1925 年制定(設計係数 5)、1951 年、1976 年改正(設計係数 4)、 1999 年改正(設計係数 3.5)。JIS や強制法規における技術基準作成の際の参考にされ てきた。

ASME SecⅧ Div1 の圧力制限は、設計係数の変更に関わらず一貫して 20MPa であり、 これは確認した 1971、1998、2001 年度版のいずれも同様であり、最新の 2017 年版で も変更はなし。 (2)別添1及び別添7 ① 別添1 1976 年特定則制定(設計係数 4)、2001 年特定則性能規定化・例示基準別添1制定 (設計係数 4)。特定則にはその制定時から圧力制限の規定はなく、また、例示基準化 された別添1も同様に、その制定時から現在まで圧力制限の規定はない。 ② 別添 7

2003 年例示基準別添 7 制定(設計係数 3.5)。ASME SecⅧ Div1 の 1999 年改正(設 計係数 4 から 3.5)を受け、整合化を図るため制定された。

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(3)JIS 規格

① 旧 JIS 規格(現在は廃止) a) JIS B 8243 圧力容器の構造

(設計係数 4.0)1963 年制定、1993 年廃止。

ASME SecⅧ Div1 をベースにし、強制法規(圧力容器関連 4 法)における技術基 準作成の際の参考にされてきた最も古い JIS 規格である。 圧力は、1963 年の制定時には当時の国内要望を踏まえて 30MPa で制限されていた が、その後の 1975 年の改正により、高圧に配慮することにより 30MPa 以上にも適用 可能との以下の注記が追加された。 “設計圧力が 30MPa 以上のものであっても、鏡板、ふた板、管台、気密方式などに ついて、高圧に対する構造を考慮すれば、適用することができる。” b) JIS B 8250 圧力容器の構造(特定規格) (設計係数 3.0) 1983 年制定、1993 年廃止。 c) JIS B 8270 圧力容器(基盤規格) (設計係数 2.4/3.0/4.0) 1993 年制定、2003 年廃止。 ② JIS B 8265(設計係数 4) 2000 年制定

設計係数を改正する前の ASME SecⅧ Div1 に基づき 2000 年に制定された設計係数 4 の規格である。

圧力制限は ASME SecⅧ Div1 の 20MPa とは異なり、30MPa となっている。 これは、JIS B 8243 の制定時における圧力制限を踏襲したと推定される。

③ JIS B 8267(設計係数 3.5) 2007 年制定

最新の ASME SecⅧ Div1 に基づき 2007 年に制定された設計係数 3.5 の規格である。 圧力制限は ASME SecⅧ Div1 の 20MPa とは異なり、30MPa となっている。

これは、上記の JIS B 8265 における圧力制限の理由と同様の理由によるものと推 定される。

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2.2 別添7の制定時における技術的な検討内容について

特定則の例示基準別添7の制定に先立ち開催された研究会における以下に示す技術的な 検討を踏まえ、別添7は別添1と同等以上の安全性が確保された基準として制定された。

(1)別添7の制定時における検討内容の調査結果について

ASME SecⅧ Div1 が 1999 年に設計係数を 4.0 から 3.5 に低減する改正を行ったことを 受けて、特定則の例示基準別添7が制定された。

別添7の制定に先立ち、圧力容器規格に関する欧米各国の動きを踏まえた国際整合化 に係る検討が行われており、高圧ガス設備に係る技術基準国際整合化研究会報告書(添 付資料3参照)としてまとめられている。

この報告書の3.国際整合化に係る検討の一環として、ASME SecⅧ Div1 との整合化 について検討が行われた。検討内容は以下のとおり。ただし、設計圧力の制限について は特段議論の対象とはなっていない。

この報告書では、ASME SecⅧ Div1 について技術的な観点から詳細に整合化の可能性 を検討し、整合化しても基本的に安全上問題がないとの結論に達している。 ① WRC レポートの内容についての検討 a) 運転実績 b) 破壊モード a) 過去の規格の改善 a) 重要事項の調査

② ASME SecⅧ Div1 との整合化 a) 圧力容器の構造に関する事項 b) 各種試験に関する事項 c) 作業従事者等に関する事項 別添7は、この報告書の3.(2)②の各事項について必要な検討を進め、指摘事項を 基本的に反映した形で制定された。 従って、別添7は、従来の別添1と比較して同等以上の安全性が確保(高いじん性要 求等)された例示基準であるという理解である。

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2.3 特定則の例示基準別の検査実績について 2.3.1 例示基準別の実績 特定則の例示基準別に整理した過去 5 年の特定設備検査の実績は表8及び図1のとおり。 特定設備の中で最も割合が大きいのは、別添3を適用したバルク貯槽であり、全体の約 70%を占めている。 次に割合が大きいのは、別添1を適用した特定設備で、全体の約 30%を占めている。 一方、別添7を適用した特定設備は全体の 2%程度であり、割合は小さい。 表8 特定則の例示基準別の検査実績について (単位:基) 例示基準(※) H24 H25 H26 H27 H28 合計 平均 割合 別添 1 3,636 3,624 4,576 4,380 4,044 20,260 4,052 29 % 別添 2 0 0 2 0 3 5 1 0 % 別添 3 8,357 9,903 10,118 9,694 9,425 47,497 9,499 69 % 別添 7 168 222 233 249 258 1,130 226 2 % 合計 12,161 13,749 14,929 14,323 13,730 68,892 13,778 - (※)例示基準の内容は以下のとおり。 ① 別添1 特定設備の技術基準の解釈 (設計係数 4.0 の一般基準) ② 別添2 平底円筒形貯槽の技術基準の解釈 (設計係数 4.0 の特定用途用基準) ③ 別添3 バルク貯槽の技術基準の解釈 (設計係数 4.0 の特定用途用基準) ④ 別添7 第二種特定設備の技術基準の解釈 (設計係数 3.5 の一般基準) 図1 特定則の例示基準別実績 別添1 4,052基 (29%) 別添2 1基 (0%) 別添3 9,499基 (69%) 別添7 226基 (2%)

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2.3.2 設計圧力の区分別及び事前評価の実績 (1)別添1適用の特定設備について 表8に示す特定設備のうち、別添1を適用した特定設備における、設計圧力の区分別 の実績及び事前評価の H24 から H28 までの5年間の実績については、表9のとおり。 なお、事前評価の実績を調査した目的は、事前評価を行った設備の中には、別添1と 比較して設計係数を低減した超高圧ガス設備に関する基準(KHKS 0220)を適用している 設備が含まれることによる。表9から以下のことがわかる。 ① 別添1を適用した特定設備の大半(85%)は、20MPa 以下で使用されている。 ② 20MPa 以下で使用される特定設備で、事前評価を受けた設備は非常に少なく(1%)、 大半は別添1をそのまま適用している。 ③ 20MPa を超える特定設備は全体の 15%で、その内 70MPa を超えるものは全体の 4%であ る。 ④ 20MPa を超え 70MPa 以下の設備は、割合的には大きな変化はなく一定数(平均 400 基 程度)の実績がある。また、事前評価を受ける割合はそれほど多くはない。 (H24~H28 合計(215 基(10%))) ⑤ 70MPa を超える設備は H26 以降に急増している(H25(60 基)→H26(206 基))。 また、事前評価を受ける割合が高い(H24~H28 合計(610 基(77%)))。

なお、20MPa を超え 70MPa 以下の設備の中で事前評価を受けた設備についても、70MPa を超える設備と同様に H26 以降に増加している。(H25(12 基)→H26(49 基))。 これらの増加した設備の大半は、水素スタンド関連の設備である。 ⑥ 20MPa を超える設備であっても、事前評価を受けず、別添1をそのまま適用している 特定設備も多く存在する。特に、20MPa を超え 70MPa 以下の設備は、別添1をそのまま 適用しているケースの方が主流である。(H24~H28 合計(1,974 基(90%)) 表9 別添1を適用した特定設備の設計圧力の区分別及び事前評価の実績 (単位:基) 圧力区分 H24 H25 H26 H27 H28 合計 平均 割合 0~ 20MPa 以下 3,160 (4(0%)) 3,191 (29(1%)) 3,998 (45(1%)) 3,501 (29(1%)) 3,431 (56(2%)) 17,281 (163(1%)) 3,456 (33(1%)) 85% 20MPa 超~ 70MPa 以下 445 (4(1%)) 373 (12(3%)) 372 (49(13%)) 566 (91(14%)) 433 (59(14%)) 2,189 (215(10%) 438 (43(10%)) 11% 70MPa 超 31 (20(65%)) 60 (13(22%)) 206 (163(79%)) 313 (265(85%)) 180 (149(83%)) 790 (610(77%)) 158 (122(77%)) 4% 合計 3,636 (28(1%)) 3,624 (54(1%)) 4,576 (257(6%)) 4,380 (385(9%)) 4,044 (264(7%)) 20,260 (988(5%)) 4,052 (198(5%)) - 注:( )内の数値は、事前評価を実施した基数及びその割合を示す。

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(2)別添7適用の特定設備について 表8に示す特定設備のうち、別添7を適用した特定設備における、設計圧力の区分別 の実績及び事前評価の H24 から H28 までの5年間の実績については、表10のとおり。 なお、別添 7 を適用した特定設備(1,130 基)のうち、50%(554 基)は設計が固定化さ れている CE 貯槽である。 表10から以下のことがわかる。 ① 別添7を適用した特定設備は、そのほぼ全てで事前評価を受けず、別添7をそのまま 適用している(事前評価は H27 に 2 基のみ)。 表10 別添7を適用した特定設備の設計圧力の区分別及び事前評価の実績 (単位:基) 圧力区分 H24 H25 H26 H27 H28 合計 平均 0~ 20MPa 以下 168 (0) 222 (0) 233 (0) 249 (2(1%)) 258 (0) 1,130 (2(0%)) 226 (0(0%)) 注1:( )内の数値は、事前評価を実施した基数及びその割合を示す。 注2:別添 7 を適用した特定設備(1,130 基)のうち 50%(554 基)は CE 貯槽。 2.3.3 高圧で使用される特定設備についての設計圧力の区分毎の実績 (1)20MPa 超の設計圧力の特定設備における事前評価の実績について 表9の別添1を適用した特定設備のうち、20MPa 超の設計圧力の特定設備における事 前評価の実績(表9より抜粋)は、表11及び表12のとおり。 表11 別添1を適用した特定設備(20MPa 超~70MPa 以下)の事前評価の実績(単位:基) 事前評価 H24 H25 H26 H27 H28 合計 平均 無 441 361 323 475 374 1,974 395 有 4 12 49 91 59 215 43 合計 445 373 372 566 433 2,189 432 表12 別添1を適用した特定設備(70MPa 超)の事前評価の実績(単位:基) 事前評価 H24 H25 H26 H27 H28 合計 平均 無 11 47 43 48 31 180 36 有 20 13 163 265 149 633 122 合計 31 60 206 313 180 790 158

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(2)設計圧力区分毎の実績について 表11及び表12に示す実績に対し、設計圧力区分毎(10MPa 間隔)の実績を詳細に 調査した結果を図2~図4に示す。なお、図2~図4は5年間の合計値のみを示した。 設計圧力区分毎の調査を行った目的は、以下 a)~d)を調査することにより、別添1を 含めた各規格の使用状況の実態を把握し、この結果を踏まえて、別添1と同様に別添7 の設計圧力の制限を撤廃することの妥当性について判断するためである。 a) 設計圧力の実績の上限値 b) 設計圧力の実績の偏りの有無 c) 別添1をそのまま適用した特定設備の設計圧力の実績 d) 高圧での使用を想定した基準(KHKS 0220)を適用した特定設備の設計圧力の実績 図2~図4から以下のことがわかる。 ① 図2及び図3より、設計圧力が 20MPa 超~50MPa 以下で、実績が非常に多い。 ② 図4より、設計圧力が 80MPa 超~110MPa 以下で、実績が非常に多い。 また、最も高い設計圧力の実績は、330MPa であった。

③ 図2~図4から、設計圧力が 20MPa 超~50MPa 以下の範囲及び 80MPa 超~110MPa 以下の範囲で実績が非常に多く、設計圧力の実績には大きな偏りがあることがわ かる。

④ 図3より、設計圧力が 20MPa 超~70MPa 以下では、KHKS 0220 を適用した実績は無 い。

(17)

(単位:基) 20-30 30-40 40-50 50-60 60-70 822 832 266 51 3 (単位:基) 20-30 30-40 40-50 50-60 60-70 25 0 130 2 0 2 0 56 0 0 0 0 0 0 0 27 0 186 2 0 全1,974基 ※事前評価を行わない場合における、水素スタンド関係/水素スタンド関係以外  の内訳については不明。 圧力区分(MPa) 合計 図2 圧力区分毎の基数(20MPa超~70MPa以下、事前評価無し) 水素スタンド関係以外の水素の設備 全215基 圧力区分(MPa) 水素スタンド関係の設備 上記以外 合計 ※20MPa超~70MPa以下の場合、KHKS0220を適用した設備はなかった。 図3 圧力区分毎の基数(20MPa超~70MPa以下、事前評価有り) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 20‐30 30‐40 40‐50 50‐60 60‐70 圧力区分毎の基数(20MPa超~70MPa以下、事前評価有り) 圧力区分(MPa) 基数 □ 水素スタンド関係 以外の水素の設備 ■水素スタンド関係の設備 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 20‐30 30‐40 40‐50 50‐60 60‐70 圧力区分毎の基数(20MPa超~70MPa以下、事前評価無し) 圧力区分(MPa) 基数 FRP製蓄圧器121基 (移動式17基含む) 熱交換器9基 鋼製蓄圧器53基 熱交換器3基 熱交換器25基

(18)

(単位:基) 圧力区分(MPa) 70-80 80-90 90-100 100-110 110-120 120-130 130-140 合計 13 59 609 35 16 4 14 圧力区分(MPa) 140-150 150-160 160-170 170-180 180-190 190-200 200-210 合計 7 3 2 2 0 2 10 圧力区分(MPa) 210-220 220-230 230-240 240-250 250-260 260-270 270-280 合計 1 0 0 0 3 0 0 圧力区分(MPa) 280-290 290-300 300-310 310-320 320-330 330-340 340-350 合計 2 0 0 0 8 0 0 全790基 ※70MPa超の場合は、事前評価有りが77%で、別添1をそのまま適用せずKHKS0220を適用した 案件が多いと推定される。 図4 圧力区分毎の基数(70MPa超~350MPa以下) 0 100 200 300 400 500 600 700 70 ‐80 80 ‐90 90 ‐10 0 100 ‐11 0 110 ‐12 0 120 ‐13 0 130 ‐14 0 140 ‐15 0 150 ‐16 0 160 ‐17 0 170 ‐18 0 180 ‐19 0 190 ‐20 0 200 ‐21 0 210 ‐22 0 220 ‐23 0 230 ‐24 0 240 ‐25 0 250 ‐26 0 260 ‐27 0 270 ‐28 0 280 ‐29 0 290 ‐30 0 300 ‐31 0 310 ‐32 0 320 ‐33 0 330 ‐34 0 340 ‐35 0 圧力区分毎の基数(70MPa超~350MPa以下) 圧力区分(MPa) 基数

(19)

2.3.4 各規格の実際の適用状況について (1)特定則等に係る各規格の圧力制限について 特定則等に係る各規格の圧力制限を図5に示す。 図5のとおり、別添1は規格上の圧力制限はない。 (2)各規格の実際の適用状況について 図2~図4の内容を踏まえ、圧力区分に応じた各規格の実際の適用状況を図示した結 果を図6に示す。 ① 70MPa 以下の場合 a) 表9に示すとおり、70MPa 以下の場合は事前評価を行わず別添1をそのまま適用 するケースが大半である。 b) 事前評価を行うケースもあるが、3.の図3に示すとおり、70MPa 以下の場合、 KHKS 0220 は使用されていない。70MPa 以下の事前評価は、例えば FRP 製蓄圧器と いった例示基準によれない特殊な構造を有する設備に係るものや、水素に適した 材料の申請(肉厚計算は別添1どおり)である。 なお、KHKS 0224 はこれまでに使用された実績はない。 ② 70MPa 超~150MPa 程度以下の場合 a) 表9に示すとおり、70MPa を超える場合、77%は事前評価を受けており、その大半 は KHKS 0220 を適用していると推定される。 b) 70MPa を超える場合、23%は別添1をそのまま適用している。 c) 上記 a)b)のとおり、70MPa 超~150MPa 程度以下の領域では、別添1をそのまま適 用するケースと、KHKS 0220 を適用するケースが混在している状況であるが、ど ちらかといえば KHKS 0220 を適用するケースが多い。

d) 図4に示すとおり、70MPa を超える場合では、80MPa 超~110MPa 以下の設備が非 常に多く、水素スタンドで使用される設備が大半と推定される。 ③ 150MPa 程度超の場合 a) 別添1をそのまま適用したケースで最も高圧であったものは、150MPa 程度であっ た。 b) 150MPa 程度を超えた場合、別添1をそのまま適用するケースはなく、事前評価を 行い KHKS 0220 が適用されている。 (3)まとめ 別添1は規格上の圧力制限はないが、実際の適用状況を見ると、70MPa 以下では別添 1がそのまま適用されているが、70MPa を超えると徐々に高圧での使用を想定した基準 (KHKS 0220)が適用されることがわかった。

(20)

図5 各規格の圧力制限 図6 各規格の実際の適用状況 2.4 特定則等 70 20 設計 係数 流動 応力 特定則 別添1 特定則 別添7 3.5 4 KHKS KHKS 350 圧力 (MPa) 70 350 20 規格 設計 係数 0224 0220 2.4 圧力 (MPa) 規格 特定則 特定則 KHKS KHKS 別添1 別添7 0224 0220 4 150程度 特定則等 330 3.5 2.4 2.4 流動 応力 70MPaを超えるもののう ち、77%は事前評価を受 けており、その大半は KHKS0220を適用してい ると推定される。 70MPa以下では、 KHKS0220は使用さ れていない。 別添1をそのまま適用 したケースで最も高圧 であったものは、 150MPa程度。 150MPa程度を超えた場 合、KHKS0220を適用。 KHKS0224は使用さ れていない。 70MPaを超える もののうち、 23%は別添1を そのまま適用し ている。 70MPa以下は、 全て別添1をそ のまま適用して いる。 最も高圧であった設備の 実績は330MPa。

(21)

2.4 水素スタンド関連設備の事故事例の調査結果について 事故データベースより検索した過去 10 年間(2007 年~2016 年)の水素スタンド関連設 備における事故事例をまとめた結果は、表13のとおり。 ① 過去 10 年間の全事故件数 4,010 件のうち、水素スタンド関連の事故は 52 件であった。 ② 事故対象の設備は、弁、継手、ホースなどが大半で、特定設備検査の対象となる設備で はない。(高圧ガス設備試験(一般則)の対象設備) ③ 事故の主要因の大半は、締結管理不良やシール管理不良などであり、例示基準上の問題 に起因するものではない。 表13 水素スタンド関連設備における事故事例 No 主要因の区分 事故例 件数 1 締結管理不良 圧縮機吐出の逆止弁グランドねじ部からの水素漏えい (弁、継手) 20 2 シール管理不良 圧縮水素スタンドの遮断弁から水素漏えい (ディスペンサー出口側フィルターの本体ねじ込み接合部で 漏えい。当該フィルターの締付トルク値の管理不良のためと 推定。) 8 3 設計不良 スタンドの遮断弁から漏えい (低温環境での使用の影響によるシール材の劣化) 7 4 製作不良 圧縮水素スタンドの蓄圧器ユニット内の減圧弁から水素漏え い (減圧弁組立時、もしくは減圧弁配管施工時に内部に混入し た異物が O リングに付着し、凹みが発生した結果、漏洩) 4 5 施工管理不良 移動式圧縮水素スタンド圧縮機配管接続部から水素漏えい (施工不良による O リングの外周の傷により、微少漏えいが 発生したと推定) 3 6 操作基準の不備 スタンドの蓄圧器元バルブからの水素漏えい (各継手部のゆるみ及びトルク点検を実施中の操作ミス) 2 7 劣化(摩耗) 水素ステーションにおける水素ガス漏えい事故 (配管、バルブ、パッキン) 1 8 劣化(疲労) 充てん作業中に充てんホースから水素漏えい (ホース) 1 9 認知確認ミス 水素ステーションにおける漏えい事故 (ホース、カプラー、Oリング) 1

(22)

10 点検不良 水素ステーションからの水素漏えい事故 (設備の充てんノズルの自動車側受け口のOリングが傷つき 漏洩) 1 11 自然災害(地震) 地震によりディスペンサー継手部からの水素漏えい 1 12 検査管理不良 圧縮水素スタンドのパージ用治具から水素漏えい (充てん用ホースの交換終了後にホース内の水素置換を開始 後、治具部から漏洩発生。治具に何らかの影響で微少なすき 間ができたためと推定) 1 13 その他 (機器誤作動) スタンドにおける圧縮機インタークーラー接合部からの水素 漏えい (水素圧縮機の低圧段が運転中に、中間蓄圧器の遮断弁が閉 止されたことにより、低圧圧縮機の吐出圧力に異常高が発生) 1 14 その他 水素ステーションの吸入、吐出弁取付部からの水素漏えい (水素ステーションの圧縮機の吐出、吸込バルブの表面研磨 処理の不良、運転中の温度、振動の影響により漏えいと推定) 1 合計 52

(23)

2.5 検討結果及び課題 2.5.1 検討結果 別添7は、現在までに 20MPa を超える設計圧力における多数の使用実績を有する別添1 と比較して同等以上の安全性が確保された例示基準であること、また、使用実績等を踏ま えて総合的に判断すると、別添1と同様に別添7の圧力制限を撤廃することに大きな支障 はないと考える。 (1)技術基準について

別添7は、その制定に先立ち開催された研究会において、ASME SecⅧ Div1 について 技術的な観点から詳細に整合化の可能性を検討し、整合化しても基本的に安全上問題が ないとの結論を受け、別添1と比較して同等以上の安全性が確保(高いじん性要求等) された例示基準として制定されている。 【参考】 2.2 別添7の制定時における技術的な検討内容について (2)使用実績等について ① 各規格の適用状況等 別添1は特定則の制定時から圧力制限の規定はないが、現在までに別添1を適用した 20MPa を超える特定設備は、多数の実績を有している。 また、無制限に高圧で別添1がそのまま適用されることはなく、申請者が自発的に判 断して、高圧での使用を想定した基準(KHKS 0220 等)を選択して事前評価を受けてい るのが実態であることが、別添1を含めた各規格の適用状況に係る調査結果からわかっ た。 この調査結果から、別添7の圧力制限を撤廃した場合であっても、別添1の適用状況 と同様の結果となると想定されるため、保安上の問題は生じないと考えられる。 【参考】 2.3 特定則の例示基準別の検査実績等について ② 事故事例 水素スタンド関連設備に係る過去の事故事例の調査結果から、事故対象の設備は、弁、 継手、ホースなどが大半であり特定設備検査の対象となる設備ではなく、また、事故の 主要因の大半は締結管理不良やシール管理不良等であり、別添1に係る技術基準上の規 定の問題に起因するものではなかった。 【参考】 2.4 水素スタンド関連設備の事故事例の調査結果について

(24)

③ 一般則の圧力制限 特定則の別添7の圧力制限を撤廃した場合であっても、水素スタンド関連の設備につ いては、一般則の圧力制限(常用の圧力 82MPa 以下(一般則第七条の三))が適用される。 現状、高圧で使用されている設備の多くは水素スタンド関連の設備であるため、一般 則の圧力制限を踏まえると、別添7の圧力制限を撤廃することの影響は小さいと考えら れる。 2.5.2 課題 (1)一般則の例示基準への設計係数 3.5 の反映 現行の特定則では、第一種特定設備(設計係数 4.0)と第二種特定設備(設計係数 3.5) の2つの特定設備の区分が規定されている。 一方、現行の一般則の例示基準「8.高圧ガス設備及び導管の強度」に規定されてい る肉厚算定では、第一種特定設備(設計係数 4.0)は引用しているが、第二種特定設備 (設計係数 3.5)は引用していない。このため、必要に応じて第二種特定設備(設計係 数 3.5)の引用を検討する必要がある。

(25)

3.3.5 よりも低い設計係数に対する検討内容

3.1 米国における圧力容器に関する運用制度の概要等 3.1.1 米国における圧力容器に関する規制の概要

(1)連邦法による規制

米国では、定置式の圧力容器について、連邦法である The Occupational Safety and Health Act(OSH Act, 29 U.S.C. §651 et seq.)及び OSH Standard(29CFR Part1910)によって も規制しているが、多くの州では州法により圧力容器を規制している(市など地方自治体 でも規制がある。)。1972 年に OSH Standard が公布されるまで連邦政府は圧力容器の規制に 関与せず、各州政府により規制が行われていた。

1972 年以降、連邦法と州法の2本立てになったが、OSH Standard では ASME 規格の適合 を要求しているが、実際のチェック機能はない、OSH Standard では未だに 1968 年版の ASME 規格を指定している、また規制対象の範囲が州法に比べて狭い等の問題があり、実際には OSH Standard による規制は形骸化しており、州法による規制だけで運用されている。

(2)州法による規制

米国各州は基本的には ASME 規格を引用しているが、圧力容器を取り巻く環境が異なって いるため、州毎によりその規制には相違がある。

州法に採用している ASME 規格(ASME SecⅧ)の発行年、適用範囲(Div1~Div3)をまと めたものを、表14に示す。

表14に示すように、多くの州では圧力容器の設計・製造の規格として ASME 規格を引用 しているが、引用している ASME 規格の発行年、適用範囲等は州ごとに相違がある。ASME を 州法に取り込むことによって、工場認定制度や認定検査機関による検査が必要となる。

(26)

表14 米国各州における圧力容器規格の適用について

No. 州 ASME SecⅧ 州法

Div1 Div2 Div3 発行年(注)

1 Alabama Y Y Y 2007 有 2 Alaska Y Y Y 2007 有 3 Arizona Y Y Y 2007 有 4 Arkansas Y Y Y 2004 有 5 California Y Y N 2007 有 6 Colorado Y Y Y 2010 有 7 Connecticut N N N - 無 8 Delaware Y Y Y Current 有 9 Florida N N N - 無 10 Georgia Y Y Y 2001 有 11 Hawaii Y Y Y 1998 有 12 Idaho N N N - 無 13 Illinois Y Y Y 2007 有 14 Indiana Y Y Y 2007 有 15 Iowa Y Y Y 2007 有 16 Kansas Y Y Y 2007 有 17 Kentucky Y Y N Accepted 有 18 Louisiana N N N - 無 19 Maine Y Y Y 2004 有 20 Maryland Y Y Y 1998 有 21 Massachusetts Y N N 2004 有 22 Michigan Y Y Y 2007 無 23 Minnesota Y Y Y Current 有 24 Mississippi Y N N Current 有 25 Missouri Y Y N 2007 有 26 Montana N N N 2004 無 27 Nebraska Y Y Y 2007 有 28 Nevada Y Y Y 2010 有 29 New Hampshire Y Y N 2007 有 30 New Jersey Y Y N 2007 有 31 New Mexico N N N - 無 32 New York Y N N Current 有

(27)

34 North Dakota Y Y Y 2007 有 35 Ohio Y Y N 2007 有 36 Oklahoma Y Y Y Current 有 37 Oregon Y Y Y 2007 有 38 Pennsylvania Y Y Y 2004 有 39 Rhode Island Y Y N Current 有 40 South Carolina N N N - 無 41 South Dakota N N N - 無 42 Tennessee Y Y Y Current 有 43 Texas Y Y N Current 無 44 Utah Y Y Y 2007 有 45 Vermont Y Y Y - 有 46 Virginia Y Y N 2001 有 47 Washington Y Y Y 2010 有 48 West Virginia N N N - 無 49 Wisconsin Y Y N 2007 有 50 Wyoming Y Y Y 1968 無 (注)発行年については 2011 年時点の調査結果であるため、最新情報ではない。

(28)

(3)検査機関及び検査員に係る規定

各州の圧力容器法令では、検査機関や検査員を公認するプロセスを規定しているが、NBBI

(注)の規格や ASME 規格にも検査機関や検査員に関する規定があり、それぞれが互いに補完

する形となっている。

(注)NBBI(The National Board of Boiler and pressure vessel Inspectors、全米圧力容器検査官協議会)

NBBI はボイラ及び圧力容器に関する検査員の試験などを行う非営利組織であり、米国・カナダの州、 市などで ASME 規格を採用している自治体の主任検査員からなる組織である。NBBI では、ボイラ及び圧 力容器検査員の資格試験及び任命、検査員の研修、ボイラ及び圧力容器の OUIO(Owner-User Inspection Organization、所有者/使用者検査機関)の認定、新規製造されたボイラ・圧力容器の登録等の活動が 行われている。 1)検査員の資格要件 米国の多くの州では、検査を行うための要件を州法により定めており、その要件の 1 つとして、NBBI が資格認定する検査員資格(National Board Commission)を有し ていることを要求している。NBBI が資格認定する検査員資格を取得するための要件、 試 験 及 び 資 格 の 更 新 等 に つ い て は 、 NB-263 ( Inservice and New Construction Commissioned Inspectors)で規定されている。

NB-263 では以下の製造時検査の検査員資格を規定している(その他にも供用中検査 の検査員資格も規定しているが、ここでは省略する。)。

① 製造時検査資格(National Board New Construction Commission)

- ASME 規格によるボイラ及び圧力容器の製造時検査を実施する検査員資格

2)圧力容器の製造時検査

ASME SecⅧ Div1 では UG-91 において検査員の要件を規定しており、原則として QAI-1(Qualifications for Authorized Inspection、 ASME QAI-1 規格)の要求事項 に従って ASME の認可した以下のいずれかの公認検査機関(以下②を AIA という。)が 検査を実施することを要求している。 これらの検査機関の検査員は、製造者に雇用された者であってはならず、ASME 規格 を採用している米国の州又はカナダの州の規則に基づき認定された者でなければな らない。 ① 米国の州、市及びカナダの州の検査機関 ② ボイラ及び圧力容器の保険を取り扱うための ASME の認可を受けた保険会社

(29)

3.1.2 圧力容器の製造に係る米国の運用制度と特定則の運用制度との比較について

(1)ASME 規格の品質保証体制

ASME 規格を適用する圧力容器の品質保証体制は、主に以下の要素からなっている。 ① 規格(ASME Boiler & Pressure Vessel Code)に定められる技術的要求

② 認定された製造者(STAMP Holder)による圧力容器の製造

③ 認定された設計者(Registered Professional Engineer)による設計評価 ④ 認定された検査員(Authorized Inspector)による立会検査等 (2)米国の運用制度 1)製造者の認証制度(工場認定制度) ① 認定された製造者(STAMP Holder)による圧力容器の製造 米国における圧力容器の設計及び製造の基準は前述の通り大部分の州で州法により 規制されている。その基準は州によって異なるが、多くの州で設置する圧力容器が ASME 規格に適合していることを証する認定マーク(Certification Mark)のスタンプを要 求している。 当該スタンプは、ASME から認定(工場認定)を受けた圧力容器の製造者が保有を許 されるものであり、実際に圧力容器の製造を行う前に、製造を行うための品質管理能 力を有することを審査・認定する制度が設けられている。 ② AIA による品質管理システムの審査及び定期的更新 工場認定を受けるにあたり、製造者は、材料、設計、製作、検査、試験、圧力試験、 認証を含む、規格に規定される全ての要求を満たした品質管理システムを有している ことを実証しなければならない。また、この品質管理システムは、マニュアルとして 文書化する必要がある。品質管理システムの有効性の実証は、ASME と ASME の認定を受 けた AIA による工場審査により行われ、認められれば認定を受けることができる。 この認定は、定期的(3 年毎)な更新が必要である。

2)ASME SecⅧ Div2 を適用する場合の運用制度

① 使用者による設計仕様書の作成及び設計者による設計書の作成

ASME SecⅧ Div2 を適用する場合、使用者は、ASME SecⅧ Div2 に従って設計及び製 作する圧力容器の設計根拠となる詳細な情報を含んだ設計仕様書(User’s Design Specification - UDS)を作成する。

製造者は、使用者から提出を受けた設計仕様書の内容を反映し、適切な設計を行っ たことを示す、設計書(Manufacturer’s Design Report - MDR)を作成する。

(30)

② RPE による設計仕様書及び設計書の評価

ASME SecⅧ Div2 を適用する場合は、使用者が作成する設計仕様書及び製造者が作成 する設計書の評価を登録専門技術者(Registered Professional Engineer - RPE)が 行う。

登録専門技術者は、圧力容器の設計の経験を有し、アメリカ合衆国の州政府又はカ ナダの州政府に登録された者、またはそれと同等の資格を有する者である。

この登録専門技術者の関与は、ASME SecⅧ Div1 を適用する場合は課されておらず、 ASME SecⅧ Div2 の場合に適用される。

③ 公認検査員による立会検査等

製造者は、圧力容器の製造工程において公認検査員(Authorized Inspector - AI) の書類確認検査及び立会検査を受けなければならない。この際、実際の圧力容器の製 造工程において、工場認定の際に審査した品質管理システムが遵守されているかにつ いても確認される。公認検査員は、ASME 規格を採用している州政府の担当部門又は AIA に所属し、また、NBBI が資格認定する検査官の資格を有する者である。

④ 製造者の ASME 規格適合宣言

製造者は、ASME SecⅧ Div2 の要求事項に従っていることを示す書類として、データ レポートの作成、また、設計書に従って製造されていることを示す、非破壊検査記録、 補修記録などを含んだ製作工程における製造記録(Manufacturer’s Construction Report - MCR)の作成を行う。 製造工程における公認検査員の立会検査を受け、問題がないことを公認検査員が認 めた後、最終的に、製造者が ASME 規格への適合を宣言し、認定マークのスタンプをす る。

3)ASME SecⅧ Div2 における設計上の要求内容の違い

ASME SecⅧ Div1 は、公式による設計(Design by rule)の規格であるのに対し、設 計係数をより低減した規格である ASME SecⅧ Div2 は、解析による設計(Design by Analysis)の規格となっている。

ASME SecⅧ Div1 と ASME SecⅧ Div2 における設計上の要求内容を比較すると、ASME SecⅧ Div2 では、ASME SecⅧ Div1 の要求内容に付加して主に以下のものが要求され ている。

① 詳細解析による精緻な設計、疲労評価の要求がある。

② 設備の使用者が提示した設備の使用条件を反映して詳細解析等を行う必要がある。 ③ 設備の使用者は、疲労に配慮して設備を運転する必要がある。

(31)

(3)特定則の運用制度 日本においては、高圧ガス保安法対象の圧力容器の設計及び製造を行うにあたり、一 部を除き、設計圧力(P(メガパスカル))と内容積(V(立方メートル))の積の大きさ が所定のしきい値を超えるもの(PV>0.004)について特定則が適用される。 以下に、現行の材料の最小引張強さに対する設計係数 4.0 及び 3.5 の特定設備を適用 する場合に、使用者、製造者、検査機関が行うべき内容を示す。 なお、製造者による自主検査が認められる制度(特定設備製造業者の登録の制度(法 第五十六条の六の二))が存在するが、本制度は製造者に対し必須で課されるものではな いため、ここでは説明を省略する。 1)使用者について ① 使用者は、高圧ガスの処理量に応じ、高圧ガスの製造に関する許可、届出の申請を 設置県に行う。(法第五条) ② 許可申請を行った使用者は、完成検査を受検する。(法第二十条) 高圧ガスの製造のための施設に用いられる高圧ガス設備について完成検査を行うが、 特定設備検査を受け合格したものについては完成検査を要しない。(法第二十条の二) ③ 特定則では、使用者に直接何かを要求する規定はない。従って米国で設計係数 2.4

の基準(ASME SecⅧ Div2)を適用する場合に使用者に対し要求されている設計仕様 書の提出はない。 2)製造者について ① 製造者に対する認証制度(工場認定制度)は課されていない。 ② 製造者は、所定の様式に従って特定設備検査の申請を行う。(特定則第五条) 申請にあたっては、設計書及び構造図を添付する。 ③ 特定則第四条に基づく製造の工程毎の検査として、設計、材料の品質確認、加工、 溶接及び構造の検査を受検する。 ④ 米国で ASME 規格を適用する場合に要求されている、製造者による適合宣言は、特 に要求されていない。 3)検査機関について 特定設備検査機関(経済産業大臣、高圧ガス保安協会又は指定特定設備検査機関) は、申請があった特定設備に対し、特定則第四条に基づく製造の工程毎の検査として、 設計、材料の品質確認、加工、溶接及び構造の検査を行う。 特定則第四十六条に基づき設計の検査を行い、検査の結果を設計検査成績表(様式 第三)に記録する。また、特定則第四十七条に基づき材料の検査、第四十八条に基づ き加工の検査、第四十九条に基づき溶接の検査、第五十条に基づき構造の検査を行う。 それらの検査の結果を、材料・加工検査成績表(様式第四)、溶接検査成績表(様式第

(32)

五)、構造検査成績表(様式第六)に記録する。 特定設備が特定設備検査に合格した場合、高圧ガス保安法第五十六条の四に基づき、 特定則第五十三条で定められた特定設備検査合格証(様式第七)を交付する。 (4)圧力容器の製造に関する運用制度の比較について 高圧ガス保安法における現行の運用制度と米国の運用制度について比較した結果を表 15に示す。 表15のとおり、特定則には製造者の品質管理システムを評価/認定する制度はないが、 製造工程ごとに第三者(特定設備検査機関)の検査を受けることが要求されている。 検査記録の作成及び適合宣言も特定設備検査機関が行うなど、第三者の検査により、 第三者が適合を宣言する制度である。

一方、現在の特定則における設計係数と同じ設計係数の基準である ASME SecⅧ Div1 の運用制度では、品質管理システムの評価/認証制度があり、公認検査員の立会検査を受 けることとなっているが、適合宣言は製造者が行うこととなっている。基本的に製造者 自らが適合を宣言する制度であり、自己責任に立脚していると考えられる。

ASME SecⅧ Div2 の運用制度では、Div1 に課された要求に加えて、使用者が作成した 設計仕様書及び製造者が作成した設計書は登録専門技術者の審査、認証を受けることと なっている。

これは、ASME SecⅧ Div2 に基づく設備の設計が、使用条件を正確に反映させたより 精緻なものでなければならないこと、及び公認検査員とは別の専門知識を有する資格者 の評価が安全確保のために必要であることによると考えられる。

以上をまとめた日米の制度の比較として、公式による設計を採用した場合の比較(特 定設備検査(事前評価無)と ASME SecⅧ Div1 の比較)、解析による設計を採用した場合 の比較(特定設備検査(事前評価有)と ASME SecⅧ Div2 の比較)を添付資料4に示す。

(33)

表15 圧力容器の製造に関する運用制度の比較について

項目

高圧ガス保安法 (特定則) (公式による設計)

ASME SecⅧ Div1 適用時の運用制度 (公式による設計)

ASME SecⅧ Div2 適用時の運用制度 (解析による設計) 製造者の資 格認定制度 なし 工場認定制度あり 工場認定制度あり 品質管理シ ステムの認 証・遵守確認 なし ・ASME と ASME の認定を 受けた AIA による工場 審査により認証され る。 ・圧力容器の製造工程に おいて、品質管理シス テムが遵守されている か公認検査員が確認す る。 ・ASME と ASME の認定を 受けた AIA による工場 審査により認証され る。 ・圧力容器の製造工程に おいて、品質管理シス テムが遵守されている か公認検査員が確認す る。 使用者に対 する要求事 項 なし なし ・圧力容器の設計根拠と なる詳細な情報を含ん だ、設計仕様書を作成 しなければならない。 設計仕様書に 対する登録専 門技術者の審 査、認証 なし なし ・登録専門技術者が設計 仕様書を審査、認証す る。 製 造 者 に 対 する要求 (設計書類) ・特定設備検査の 申請を行う際、設 計書 及び構造図 を添付する。 ・特定設備検査機 関が検査する。 なし (品質管理システムの認 証時に設計システムの確 認を行うのみ) ・使用者から提出を受け た設計仕様書を満たす 適切な設計を行ったこ とを示す、設計書を作 成する。 設 計 書 に 対 す る 登 録 専 門 技 術 者 の 審査、認証 なし なし ・登録専門技術者が設計 書を審査、認証する。

(34)

製 造 者 に 対 する要求 (工程中検 査) ・製造の工程毎の 検査が要求され ており、設計、材 料の品質確認、加 工、溶接及び構造 の検査を受検す る。 ・特定設備検査機 関が検査する。 ・圧力容器の製造工程に おいて公認検査員の書 類確認検査及び立会検 査を受ける。 ・圧力容器の製造工程に おいて公認検査員の書 類確認検査及び立会検 査を受ける。 製 造 者 に 対 する要求 (検査記録) ・設計、材料の品 質確認、加工、溶 接及 び構造の検 査の 結果を特定 設備 検査機関が 工程 ごとに法定 様式に記録する。 ・製造者は、ASME SecⅧ Div1 の要求事項に従っ ていることを示すデー タレポートの作成、及 び設計書に従って製造 されていることを示す 製作工程における製造 記録の作成を行う。 ・圧力容器の製造工程に おいて公認検査員の検 査を受ける。 ・製造者は、ASME SecⅧ Div2 の要求事項に従っ ていることを示すデー タレポートの作成、及 び設計書に従って製造 されていることを示す 製作工程における製造 記録の作成を行う。 ・圧力容器の製造工程に おいて公認検査員の検 査を受ける。 適合宣言 ・特定設備検査機 関が 発行する特 定設 備検査合格 証 ・製造者が ASME 規格への 適合を宣言し、認定マ ークをスタンプする。 ・製造者が ASME 規格への 適合を宣言し、認定マ ークをスタンプする。

(35)

3.2 欧州における圧力容器に関する運用制度の概要等 (1)欧州における圧力容器に関する運用制度について

欧州では、EU 統一を機に単一市場の形成及び技術障壁の排除の促進、達成を目的に 多くの宣言及び指令が制定されており、圧力設備に関しては、1997 年に圧力設備指令 (Pressure Equipment Directive 97/23/EC - PED)(注)が採択され、PED 附属書Ⅲで適

合評価モジュールが規定されている。

また、PED では、附属書Ⅱで危険度分類と適合評価モジュール、附属書Ⅶで適合宣言 を規定している。PED は統一欧州の技術障壁の排除の側面もあり、適合性評価、検査機 関の認証等において日米のシステムとは大きく異なる。

(注)PED は 2014 年 5 月 15 日付けで Directive 2014/68/EU が施行され、内容が一部修正されているが、 97/23/EC に基づき作成した。 1)危険度分類と適合評価モジュール 評価モジュールは、工程に応じて設計と生産に区分され、圧力設備では、流体、設 計圧力、内容積を基に設備の危険度を評価し、その危険度に応じて適用評価モジュー ルを定めている。カテゴリーが上がるにつれて、認定機関(Notified Body - NB)の 関与が多くなる。製造者が、どの適合性評価モジュールを選択するかは自由であり、 選択したモジュールの種類により、認定機関による立会検査の有無の項目が異なる。 ① 流体の種類による分類 流体の種類により、危険度を分類している。 グループ1:危険性流体(爆発性、可燃性、毒性など) グループ2:その他の流体 ② 設備の危険度による分類 流体の状態(ガス、液体)、エネルギー(PV 値)により、危険度を分類している。 カテゴリーⅠ(危険度低)~カテゴリーⅣ(危険度高)

(36)

<危険度分類の例> <危険度分類と適合性評価モジュール> カテゴリーⅠ カテゴリーⅡ カテゴリーⅢ カテゴリーⅣ A A1 B1+D B+D D1 B1+F B+F E1 B+E G B+C1 H1 H

(37)

<適合性評価モジュール> 2)適合宣言 適合宣言書は、製造者が自ら作成し、署名し、製造者の責任の明確化のために作成 される。適合宣言書の内容は、製造者の氏名及び住所、圧力設備の明細、使用した適 合性評価要領等が含まれる。 3)特定則及び ASME について 特定則及び ASME の場合、欧州の適合性評価モジュールの該当箇所は以下のとおりで あり、認定機関の関与の度合いが高い区分に該当する。 ① 特定則 モジュール G(個別検証) ② ASME モジュール G(個別検証) +モジュール H(設計、製作、検査の品質保証システム) モジュール 設 計 生 産 A 技術文書 内部管理 A1 技術文書 内部管理、 最終検査モニター B 型式証明 - B1 設計証明 - C1 - 最終検査モニター D - 製作、検査の品質保証システム D1 技術文書 製作、検査の品質保証システム E - 検査の品質保証システム E1 技術文書 検査の品質保証システム F - 個別検証 G 個別検証 H 設計、製作、検査の品質保証システム H1 設計、製作、検査の品質保証システム、設計証明、 最終検査のモニタリング

(38)

(2)PED、ASME と特定則における試験・検査関係の比較

PED(EN13445)、ASME と特定則における試験・検査関係の規定を比較した結果(注)を添

付資料5に示す。基本的には三者ともに概ね同様であるが、以下の点について大きな差 異がある。なお、PED の概要を添付資料6に、また、EN13445 の概要を添付資料7に示す。

(注)prEN13445-5(1999)及びその当時の ASME SecⅧ Div1、特定則に基づき作成した比較結果であ る。 ① 材料 特定則及び ASME では、検査機関が材料証明書より確認するのに対し、PED(EN13445) では、材料製造者による材料証明書の発行は、次のいずれかを前提とする規定がある。 a) 材料製造者 QS 方式 材料製造者は検査機関の審査に基づく QS(ISO9002+α)を保持する。 b) 直接検査方式 材料製造者又は検査機関が検査する。 ② 溶接施工法 特定則では、施工法は「予め確認されたものである」ことのみの規定であり、また、 溶接士認定の規定はない。一方、PED(EN13445)及び ASME では、溶接施工法認定、溶 接士認定の規定がある。 ③ 非破壊検査 特定則には、NDE 要領書の検証、NDE 検査員の資格認定の規定はない。

一方、PED(EN13445)では NDE 要領書の検証、NDE 検査員の資格認定の規定があり、 ASME では、NDE 検査員の資格認定の規定がある。

(39)

3.3 米国における 3.5 よりも低い設計係数を有する圧力容器の規格及び運用について 3.3.1 米国における 3.5 よりも低い設計係数を有する圧力容器の規格

米国における 3.5 よりも低い設計係数を有する圧力容器の規格等として、以下(1) ~(4)に示す規格等が既に制定され、活用されている。

(1)ASME SecⅧ Div2(2017)Class 1

ASME SecⅧ Div2 は 1968 年に制定され、2017 年以前の ASME SecⅧ Div2 では、Class 1 及び Class 2 の区分はなく、ASME SecⅧ Div2 は設計係数を 3.0 とし、設計係数 3.5 (1968 年当時は設計係数 4.0)の ASME SecⅧ Div1 の代替規格として制定されていた。

ASME SecⅧ Div2 は 2007 年に大幅な改訂が行われ、その改訂の一部として設計係数 が 3.0 から 2.4 に低減されている。

その後、圧力容器規格体系についての見直しが検討され、2017 年に ASME SecⅧ Div2 は設計係数 3.0 の Class 1 と、設計係数 2.4 の Class 2 に分化して制定されている。 ASME SecⅧ Div2 Class 1 は、上記の ASME SecⅧ Div2 が大幅改訂された以前の 2006 年 Addenda 版の ASME SecⅧ Div2(設計係数 3.0)を元に制定された規格である。

(2)ASME SecⅧ Div2(2017)Class 2

上記(1)に記したように、ASME SecⅧ Div2 は 2007 年に大幅な改訂が行われ、そ の改訂の一部として設計係数が 3.0 から 2.4 に低減されている。これは、当時の欧州 における圧力設備指令(Pressure Equipment Directive - PED)及び PED に整合する 欧州火なし圧力容器規格 EN13445 において、設計係数 2.4 が採用されており、対欧州 規格に対する競争力強化の面も兼ね備えた改訂である。

ASME SecⅧ Div2 Class 2 は、上記の ASME SecⅧ Div2 が大幅改訂された以降の 2016 年版の ASME SecⅧ Div2(設計係数 2.4)を元に制定された規格である。

(3)ASME SecⅧ Div3(2017)

ASME SecⅧ Div3 は 1997 年に制定されている。当時 70MPa を超えるような高圧容器 であっても 140MPa 程度(研究用小型容器では 210MPa 程度)まで ASME SecⅧ Div2 が 採用されていたが、設計圧力が 70MPa を超える厚肉容器に対しては最適な圧力容器設 計を提供していなかったため、ASME SecⅧ Div3 が制定された。

既存の ASME SecⅧ Div1 及び ASME SecⅧ Div2 では、内外径比が増すにつれて計算 の精度が悪くなるため、内外径比が 1.5 を超えるような容器に対して弾塑性解析を要 求する基準として制定されている。

また、ASME SecⅧ Div3 の設計係数は、上記(2)の ASME SecⅧ Div2 の大幅改訂及 び日本からの提案を取り入れて、2009 年に従来の設計係数 2.0 から流動応力に対する 2.4 に改訂されている。

参照

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