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ペイントツールSAIのもつ教育的可能性とこれを用いた教育実践について : 小学校高学年の図画工作科に向けて

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Academic year: 2021

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(1)ペイントツールSAIのもつ教育的可能性とこれを用いた教育実践について               一小学校高学年に向けて一                                    教育実践高度化専攻                                 小学校教員養成特別コース.                               P10058C 後藤 夫佐幸 1.本研究の概要. (2)研究の目的. (1)研究の背景.  図画工作科の教育目標を達成するための1つの手立.   昭和22年から現在に至るまで、図画工作科は必. てとして、教育現場の課題を考慮することと共に、時. 修科目として教育が行われてきた。しかし、教育現場. には造形的嫡11造活動を扱う授業実践を試みたいと考. で図画工作科の授業観察を行う中で、2つの事柄に関. えた。造形的繍11造活動をどのように授業実践するか. 心をもった。. 考えた時に、社会的背景について考えた。†静蔓化社会.  1つ目は、図画工作科の授業で扱われる内容につい. や、I T関係の発達という社会的背景、並びに絵画、. てである。図画工作科の教育目標は、「表現及ぴ鑑賞を. デザイン、コンピュータを用いた芸術の発達に伴い、. 通して、感性を働力せながら、っくりだす喜びを味わ. 領域横断的要素をもつ授業ということ等をテーマとし、. うようにするとともに、造形的な創造活動の基礎的な. 造形的磁1」造活動を学習する教材として、ペイントツ. 能力を培い、豊かな情操を養う」と明示されている。. ールSA Iを取り入れた授業実践の提案を行うことが. 児童一人一人の感性を磨き、一時的なものではなく、. 研究の目的である。. 永続的にもののよさや美しさなどのよりよ川面値に向.  SA Iとは、SYSTEMAXが販売しているペイ. かう豊かな情操を育てることを目標にしている。. ントソフトの名称である。正式名称はペイントツール.  しかし、教育現場では児童一人一人の自由が強調さ. SA Iである。コンピュータを利用して絵を描くこと. れすぎる一方で、造形的捕11造活動、または基礎的な. ができる。SA Iを利用すると、マウスを操作して絵. デッサンに通ずる学習がやや疎かになっている傾向に. の描くことができる。また、ペンダブレットを用いる. あるのではないかと考えた。初等教育の高学年とは、. ことで、鉛筆を握るのと同じようにして絵を描くこと. 中等教育に入る前の学年である。中等教育に入り、急. もできる。. 激にこの教科が難しく感じられることがないように、. デッサンに通ずる学習の下準備を行っておくことが必. 2.章立て. 要ではないだろう析学習指導要領には、造形的な創. 第一章 はじめに(研究の背景と目的). 造についても明記されているが、実際の教育現場にお. 第二章 図画工作科の教育目標について. いて、造形的な創造活動について扱われる機会が少な.    1.図画教育並びに図画工作科図画工作科. くなっているのが現状ではないだろうか。.      教育の変遷について.  2つ目は、児童の図画工作科嫌いについてである。.     (1)学習指導要領以前の図画教育. 現実的なところからして、図画工作科の花形にあたる.     (2)学習指導要領発布後の図画工作科教育. であろう平面では、具象的表現で培われる造形カが影.    2.図画工作科の教育的本質. 響する場面が多く見られる。そのため、児劃劫号意不. 第三章ペイントツールSA Iのもつ教育的可能性. 得意を感じやすい。しかし、実際の教育現場では、造.    1.SA Iの機能. 形的な創造活動、または基礎的なデッサンに通ずる学.    2.SA Iのもつ有用性. 習を、多種多様な児童一人一人に対して、きめ細やか.    3.SA Iのもつ表現的な課題. に指導することが困難になっていることが予測される。.    4.SA Iのもつ教育的可能性についての考察. そのため、図画工作科嫌いの児童が増加している傾向. 第四章ペイントツーノレSA Iを用いた教育実践. にあるのではないだろうか。. 第五章 おわりに.

(2) 3.研究の成果.  ものの見方とは、ものの形態を構造的に理解するた.  第二章では、図画教育並びに図画工作科図画工作科. めに、微視的あるいは巨視的にものを見る見方である。. 教育の変遷について考察し、図画工作科の教育的本質. 微距的なものの見方と巨視的なものの見方を、バラン. を明らかにした。. スよく使い分けることができなければ、ものの形態を.                國. 構造的にとらえながら描くことは難しい。とりわけ初. 表 現. 優 賞. 各 臼 カ. ⑧ 囲. 各 領 域. 図図工作科の故育酌本質. 知■、醐. 期段階においては、巨視的なものの見方を行うことで、. キャンパスの中で、対象の位置、サイズ、方向から構 図を考え、対象の形態を構造的に理解することが望ま しい。. 国. 理解、思々.  図画工作科の教育的本質は、表現、鑑賞、各能力、. 各領域の四つの柱を基本として構成されている。図画 工作科は、これらの四つの基本を柱として構成され、.  第四章では、SA Iの教育的可能性を取り入れた授. 図画工作科の教育的本質を培っていく。児童は図画工. 業実践の一つの単元として提案を行った一単元を三. 作科を構成する基本を学習する中で、造形的表現力、. 次に分け、全九時間で授業構成を行った。第一次では、. ものの見方、造形的,思考力、観察力、発想力、領域に. SA Iの操作に慣れることと、SA Iの特性を理解す. おける価値を考察し、審美眼を深めながら、より深い. ることに重点を置いた第二次では、ものの形態を構. 論議ができる力等の知識、理解を深めていく。そして、. 造的にみるものの見方、微視的、巨視的にものを見る. 基礎である図画工作科の教育的本質とは、それらを土. 見方を学習することに重点を置いたその際に、SA. 台として理解、思考まで高めることであると考察した. Iの特性を活かし、絵画がどのような手法で行われる.  第三章では、SA Iの有用性を明らかにし、SA I. のか、どのように見るのか、段階的にプロセスを、児. を教材として用いることで、表現、鑑賞、各能力、各. 童が理解できるように配慮した。第三次では、ぶどう. 領域における基本項目の知識を理解させ、その中でも、. のデッサンを行うことで、これまで学習してきた造形. 造形的思考カやものの見方等の力を児童が自ら、思考で. 的,思考力、ものの見方等のカを児童に,思考させること. きる段階まで高めることができるという教育的可能性. に重点を置いた。. を考察した。.  造形的な創造活動を学習する教材として、SA Iが 最も優れている点は、レイヤーの存在である。SA I. は、レイヤーに分けて絵を描き上げるので、1枚1枚 段階に分けて絵を見ることができる。レイヤーとは、.  SA Iを教材として用いることで、図画工作科の教. 透明なキャンバスのことである。透明なキャンバスを. 育的本質である造形的、思考カ、ものの見方等の力を自. 数枚に分けて絵を描き、それらを重ねて眺めた時に、. ら、思考できる力を養うことができるだろう。そして、. 正面から眺めると1枚の絵として眺めることができる。. それらの力は児童がこれからの未来を生きていく中で、. 形をとらえる段階、デッサンの段階、着色の段階等の. 児童の力となるだろう。. いくつもの段階に分けて見ることができる。児童は、. 参考文献. 絵画がどのような手法で行われるのか、どのように分. ・r罫画法』著者駒野政和出版年月目 明治15.12. けて考えるべきなのか、その連続性、プロセスに精通. ・学習指導要領データベースインデックス. することで、ものの見方を養うことができる。また、. 目の前に展開されている事象に対して、その課題ない しは問題点の解決に至るプロセスを段階的に考察する ことで、造形的、思考カを高めることができる。.     (hゆ:!㎞㎜㎜・㎎・挑・・d・㎞舳d帆hω. ・名古屋大学教育学部紀要 第32巻 図画工作科の. 成立過程について森下一期             修学指導教員前芝武史.

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