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ねらいの明確化に基づく学習指導過程と発問の工夫

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Academic year: 2021

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附属校・公立学校との連携事業活動概要報告書(道徳科)

ねらいの明確化に基づく学習指導過程と発問の工夫



【研究代表者】 伊澤 真佐子(和歌山大学教職大学院) 【共同研究者】 藤本 典子 (和歌山大学教職大学院)梶本 久子(和歌山市立楠見小学校) 岩﨑 直輝(和歌山市立木本小学校) 谷口 聖人(和歌山市立楠見小学校) はじめに 道徳科授業の質的改善には、まず授業者がねらいを明確にもち、学習過程や発問を工夫することが必 要である。道徳の本質に基づき、「他者とともによりよく生きていくための基盤となる道徳性を養う」道 徳教育の要となる道徳科の授業づくりをテーマに沿って授業記録から分析することにした。 本共同研究では、ねらいを明確にもつにはどうすればいいのか、また、ねらいを達成するための適切 な学習過指導過程や発問の工夫について考えていく。 活動の概要 「道徳科を指導する教員が学習指導要領の改訂の趣旨をしっかり把握した上で、学校の実態、児童生 徒の実態を踏まえ、授業の主題やねらいに応じた適切な指導方法を選択すること」(中央教育審議会答申) とあるように、まず改訂の主旨を共同研究の会で確認し、学級担任をしている谷口教諭と岩﨑教諭に、児 童の実態を踏まえテーマに基づいた授業実践を2回ずつ実践してもらった。その授業を参観協議し、授業 記録から児童の反応をもとに研究していった。(5,5,5. ) また、発問の特性を活かした学習過程が展開できているのかについても考察した。 授業実践  小学校4年生の実践-谷口 聖人教諭、和歌山市立楠見小学校- 5 実践  実践①「ぼくの草取り体験」(4年 生きる力 日本文教出版)から 主題名:みんなのために働く(Ⅽ-勤労、公共の精神) ねらい:「ぼく」の草取りに取り組む気持ちの変化から働く意味を考え、みんなの喜びのために働こうと する態度を養う。  この教材は、しぶしぶ公園の草取りに行った「ぼく」が、ていねいに草取りをする洋くんの言葉を聞い て、その意義について考え気付くという話である。  学校再開後、3週間が経った。授業者は、児童の交わりや学級のまとまりを考えて & の視点で「働く」 ことについてどのような意義があるのか児童にしっかりと考えさせたいと取り組んだ。そして、学級での 係活動や当番の仕事、家庭での仕事の意義を捉え直しすることで道徳的態度を養うことをねらいとした。 ・導入と終末で同じ問いをする―キーワードを使って― 導入時の教師の発問と児童の反応を抜粋する た」と考えさせたかったが、予想に反して「それも そうだから、次からは優しく断る」という意見に流 れてしまった。教師の言うことは正しく、聞くべき という思いが子どもたちにあったのであろうか。担 任のクラスでないので、子どもの実態が分からない が、この切り返しは適切でなかったと思われる。 では、深める発問としてどのようなものが良かっ たのだろうか。例えば「その日に謝っているから、 もういいよね」が考えられる。しゅんが「さっきは ごめんね。来ていいよ」と言ったが「卓球は4人ま でなんだろ」と言われ解決できなかった場面を取り 上げるのである。また、この場面では断られたとお るの気持ちを取り上げて視点を変えることで、思考 が深まることも考えられる。子どもたちは今まで の、生活経験から意見を述べるが、教師の予想に反 することもある。ねらいに近づけるための補助発 問、切り返し発問を吟味しなければならない。 4.2 振り返りの書きだしの工夫 振り返りとして「自分の生活に活かせそうなこ と」を「自分だったら~」「自分も~」「これから は~」という書き出しで書くように指示した。 図7 児童の振り返り A 自分だったらことわるけど、いいすぎにはちゅ うい。自分もとおるがいるとおもしろくないかもし れない。これからは、さそえるときにはさそってし かたないときはやさしくことわる。相手をきずつけ ないよう、やさしくさそったりやさしくことわる。 この他にも、 B 自分だったら、入れてほしい人を入れる。5人 だったら4人でして1人がしんぱんをする。次の試 合になったらかわる。 C 自分だったら、こうたいごうたいでやるよ。自 分だったら悪口じゃなくて、やさしくごめんね、と 言うよ。 D 自分だったら入れてあげる。だってほかの子だ ってやりたいのに入れてくれなかったらかわいそう だから。1時間半でもじゅうぶん5人でこうたいし たらできる と書かれていた。A は、断るけれど相手の気持ちを 考えて優しく断ると考えている。B、C、D は、遊び 方を工夫して仲間に入れると考えている。D のよう に、「自分だったら~」に加えて「理由は~」と続 けられると理由を考えることで自分の考えがはっき りとし、深めることになるのではないだろうか。今 後も実践をして検証したい。 5.おわりに 「自分の生活や自己の生き方に向き合う道徳科の 授業展開」の実践に共同研究者と共に取り組んだ。 総合単元型の道徳学習として実践した糸我教諭の 実践は、4つの道徳科の教材を要に一つのテーマを 意識した実践である。テーマを自分達で選定し自分 事として考えやすい言葉であったことが、自分の生 活に結び付けやすかったと考える。「成長シート」 を使って学びを可視化することで、学びの連続性を 感じ、自分のよさに目を向けながら自己の生き方に 向き合うことができたと考える。 道徳的行為に関する体験的な学習の動作化を実践 した田中教諭の実践からは、実際に動作することで の気付きをていねいに扱っており、道徳的価値の良 さを実感することで自分生活を振り返りながら道徳 的価値を自分との関わりで捉え直しながら向き合お うとしていたと考えられる。 中心発問を深める切り返し発問や振り返りの書き 方の工夫を実践した宇治田教諭は、発問の工夫、書 く内容の工夫という授業づくりの中では欠かせな い。生活教材という特徴を活かしたこれらの工夫が 自分の生活や生き方に向き合うことにつながる実践 だと考えられる。 児童の実態、教材の特徴、教育活動全体を考え、 これからも指導方法の工夫を研究していきたい。

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 実践②「いじりといじめ」(4年 生きる力 日本文教出版)から 5 実践 主題名:わけへだてなく(Ⅽ-公正、公平、社会正義) ねらい:いじめといじりについて考え、いじりはいじめにつながることに気付き、誰に対しても分け隔て なく相手を大切にしようとする心情を育てる。  この教材には、よくいじられるまさるに対してみかが「今の笑っていいのかな。」「ほんとうに気にして ないのかな。」と言った発言に、「ほんとうはどんな気持ちだったのかな。」と、つぶやく勇気の姿が描か れている。  授業者は、道徳の教科化のきっかけともなったいじめ問題を直接的に扱った教材に取り組み児童と共 に最近話題になっている「いじめ」と「いじり」について考えようと取り組んだ。 ・生活・社会テーマから課題意識をもたせる導入の工夫  いじめはしてはいけないこととわかっているが、いじりはどうなのか。ふだんは明確に区別していない 2つについて比較しその後、5段階にしていじりについての課題意識を持たせた。導入の一部を抜粋する ԣ:仲良しをハートマーク。ここ、いじめ。ここ ӽ を真ん中とし ましょう。いじりって、どこらへん?Ө ԣ:同じような図があるからね。(プリントを配る)自分が思 う12345の場所に〇をしてみようか。Ө Ө ♡Ө 1Ө 2Ө 3Ө 4Ө 5Ө いじめӨ ԣ:じっくり自分と向き合ってみてください。どこかの数字に 〇してみな。自分でしっかり決めてね。(顔をふせて、人数 を数える)2が1人、3が4人、4が20人Ө  多くの児童が、いじりはいじめに近い4と考えていることが分かった。また、板書にあるように人型を たくさん貼り、クラスにいる人(聴衆)の気持ちを意識させるようにした。 ・教材から離れて自己の思いを振り返る中心発問の工夫  教材で話し合った後、「いじり」と「いじめ」はどうして区別がつけづらいのだろうとした。 その部分を抜粋すると 6:このお話、いじり、いじめどっちやろ。 %:どっちかな・・・ 6:どうして、いじりといじめって区別しにくいんやろ う。今の素直な気持ち、ペアで話してみて。 %:いじりは、やられた方もふざけて笑 えるけど、いじめはやられた方が悲しく なる。 %:言われた内容による。 %:いじりは、ちょっとだけ我慢できる。 6:だれでも? %:人による。人によって変わる。 %:いじめといじりは名前も似ていてやることも似てい るかもしれない。 6:人によっては、いじめと思うんや。それって、もの すごく危険じゃない?この子なら笑っていい、この子な ら笑わない、分け隔てなく接するのは難しいかな。 ԣ:自分たちで考えて働くってどうですか。Ө ԍ:人のことを考えやなあかんから大変。Ө ԍ:お楽しみ会は楽しかったけど、後からけんかとかす るかもしれない、それも考えないといけない。Ө ԍ:自分のことだけなくて、人のことも考えないといけ ないから。Ө ԍ:みんなのためになることを考えやなあかんから。Ө ԣ:みんなのため、これがキーワードみたいです。みん なの(Ө Ө )のため(板書)Ө 「みんなの何のためだろう。」Ө ということをあるお話で考えていきましょう。Ө 導入で今の道徳的価値を意識させ、本時のめあてをキーワードで示し、(  )に入る言葉を考 えながら本時の授業を振り返るよう工夫されていた。終末では(  )に、えがお、喜び、仲良く なる、嬉しい気持ち、役に立つ、将来、などと児童が書いており、1時間を通して働くことの意義 を自分なりに深めたことが伺えた。 ・動作化を入れることで変えた発問 動作化を入れることで子供が主人公の気持ちの変化をしっかりと捉えられるのではないかと考 えた授業者は、展開部分の発問①②を「ほく」の気持ちを共感的に聞く発問から変えている。範 読後の主な発問は、①(挿し絵から)「ぼくと洋さんは、どこが違いますか。(ぼくの草取りと洋の 草取りを動作化する)②「どうして、ぼくの草の抜き方が変わったのかな。」③「小さい子の笑い 声を聞いたので、うれしくなったのは、なぜでしょう?」と分析的になっていた。 動作化後の発話を抜粋する ԣ:どうして、草の抜き方が変わったのかな。Ө ԍ:洋君の言葉でぼくもがんばろうと思った。Ө ԍ:ぼくは洋君と抜き方が違って、何か意味があると 思って抜いたら、きれいになった。Ө ԍ:小さい子とか、みんなの気持ちを考えてなかった。Ө ԍ:洋さんのと僕のを比べたら、洋さんの方がきれい。Ө ԣ:どうしてぼくの気持ちが変わった?Ө ԍ:洋君が言ったことが胸にささった。Ө ԍ:ぼくが思ってなかったことを洋さんが言ったので、 その一言でやる気が出た。Ө ԍ:ぼくはてきとうに抜いてたけど、洋くんの一言でや る気が出た。Ө  このように、草を抜く様子を動作化して登場人物を比較し、洋の言葉をよく捉えられていた。そこから発 問②③へと深めていくという展開を工夫した実践であった。      

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 実践②「いじりといじめ」(4年 生きる力 日本文教出版)から 5 実践 主題名:わけへだてなく(Ⅽ-公正、公平、社会正義) ねらい:いじめといじりについて考え、いじりはいじめにつながることに気付き、誰に対しても分け隔て なく相手を大切にしようとする心情を育てる。  この教材には、よくいじられるまさるに対してみかが「今の笑っていいのかな。」「ほんとうに気にして ないのかな。」と言った発言に、「ほんとうはどんな気持ちだったのかな。」と、つぶやく勇気の姿が描か れている。  授業者は、道徳の教科化のきっかけともなったいじめ問題を直接的に扱った教材に取り組み児童と共 に最近話題になっている「いじめ」と「いじり」について考えようと取り組んだ。 ・生活・社会テーマから課題意識をもたせる導入の工夫  いじめはしてはいけないこととわかっているが、いじりはどうなのか。ふだんは明確に区別していない 2つについて比較しその後、5段階にしていじりについての課題意識を持たせた。導入の一部を抜粋する ԣ:仲良しをハートマーク。ここ、いじめ。ここ ӽ を真ん中とし ましょう。いじりって、どこらへん?Ө ԣ:同じような図があるからね。(プリントを配る)自分が思 う12345の場所に〇をしてみようか。Ө Ө ♡Ө 1Ө 2Ө 3Ө 4Ө 5Ө いじめӨ ԣ:じっくり自分と向き合ってみてください。どこかの数字に 〇してみな。自分でしっかり決めてね。(顔をふせて、人数 を数える)2が1人、3が4人、4が20人Ө  多くの児童が、いじりはいじめに近い4と考えていることが分かった。また、板書にあるように人型を たくさん貼り、クラスにいる人(聴衆)の気持ちを意識させるようにした。 ・教材から離れて自己の思いを振り返る中心発問の工夫  教材で話し合った後、「いじり」と「いじめ」はどうして区別がつけづらいのだろうとした。 その部分を抜粋すると 6:このお話、いじり、いじめどっちやろ。 %:どっちかな・・・ 6:どうして、いじりといじめって区別しにくいんやろ う。今の素直な気持ち、ペアで話してみて。 %:いじりは、やられた方もふざけて笑 えるけど、いじめはやられた方が悲しく なる。 %:言われた内容による。 %:いじりは、ちょっとだけ我慢できる。 6:だれでも? %:人による。人によって変わる。 %:いじめといじりは名前も似ていてやることも似てい るかもしれない。 6:人によっては、いじめと思うんや。それって、もの すごく危険じゃない?この子なら笑っていい、この子な ら笑わない、分け隔てなく接するのは難しいかな。 ԣ:自分たちで考えて働くってどうですか。Ө ԍ:人のことを考えやなあかんから大変。Ө ԍ:お楽しみ会は楽しかったけど、後からけんかとかす るかもしれない、それも考えないといけない。Ө ԍ:自分のことだけなくて、人のことも考えないといけ ないから。Ө ԍ:みんなのためになることを考えやなあかんから。Ө ԣ:みんなのため、これがキーワードみたいです。みん なの(Ө Ө )のため(板書)Ө 「みんなの何のためだろう。」Ө ということをあるお話で考えていきましょう。Ө 導入で今の道徳的価値を意識させ、本時のめあてをキーワードで示し、(  )に入る言葉を考 えながら本時の授業を振り返るよう工夫されていた。終末では(  )に、えがお、喜び、仲良く なる、嬉しい気持ち、役に立つ、将来、などと児童が書いており、1時間を通して働くことの意義 を自分なりに深めたことが伺えた。 ・動作化を入れることで変えた発問 動作化を入れることで子供が主人公の気持ちの変化をしっかりと捉えられるのではないかと考 えた授業者は、展開部分の発問①②を「ほく」の気持ちを共感的に聞く発問から変えている。範 読後の主な発問は、①(挿し絵から)「ぼくと洋さんは、どこが違いますか。(ぼくの草取りと洋の 草取りを動作化する)②「どうして、ぼくの草の抜き方が変わったのかな。」③「小さい子の笑い 声を聞いたので、うれしくなったのは、なぜでしょう?」と分析的になっていた。 動作化後の発話を抜粋する ԣ:どうして、草の抜き方が変わったのかな。Ө ԍ:洋君の言葉でぼくもがんばろうと思った。Ө ԍ:ぼくは洋君と抜き方が違って、何か意味があると 思って抜いたら、きれいになった。Ө ԍ:小さい子とか、みんなの気持ちを考えてなかった。Ө ԍ:洋さんのと僕のを比べたら、洋さんの方がきれい。Ө ԣ:どうしてぼくの気持ちが変わった?Ө ԍ:洋君が言ったことが胸にささった。Ө ԍ:ぼくが思ってなかったことを洋さんが言ったので、 その一言でやる気が出た。Ө ԍ:ぼくはてきとうに抜いてたけど、洋くんの一言でや る気が出た。Ө  このように、草を抜く様子を動作化して登場人物を比較し、洋の言葉をよく捉えられていた。そこから発 問②③へと深めていくという展開を工夫した実践であった。      

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と、自分で言ったことを自由じゃないと言われて腹が立っている。 発問②「ほんとうの自由をたいせつにして、生きてまいりましょう」 とガリューに言われたとき、ジェラール王子はどんなことを思って いたでしょう。では、 &:後悔してる。&:本当にその通り。&:最初に言ったときはむか ついたり、イライラしたりしてたけど、最後は反省しているから、 本当の自由を大切にしていきたい。 その後、テーマ発問③「ほんとうの自由」とはどういうことでしょ う。を行った。 &:おそろしい。自分が自由になるとみんな自由になって、おそろ しい。&:決まったことを守りながら、ちゃんとする。&:きまりを守って、みんな楽しく平和に。&:友 達も親もいて、平和に暮らすことが本当の自由。&:決まりを守りながら、考えて、自分勝手にするんじ ゃなくて、時に考えながら好きなことをする。最後の部分を抜粋する。 ԣ:きまりって楽しいかな?自由で、誰にも注意されず、誰 にもしばられない方がいいのでは?Ө ԍ:いや、おもしろくない。飽きてくる。Ө ԍ:自分が自由でも、人も自由だから。Ө ԍ:人を傷つけたり、なんでもできる。Ө ԍ:楽しい人は楽しいかもしれないけど、やりたいことをや っていたらあかんこともやってしまっておそろしい。Ө ԍ:きまり守らないと、周りの人もやりたい放題したらこわい し、自分も責任とらなあかんし自分の身を守るため。Ө ԣ:責任とつながってくる、きまり守らないと自分の責任とし て返ってくるんやな。Ө  教材から離れてテーマ発問になったとき、自由と責任からずれてしまった。国が乱れたことを王子がど う考えたのかをもっと深める必要があったのではないか。テーマ発問に移る時の工夫が必要である。  実践④「真由班長になる」(5年 生きる力 日本文教出版)から 5 実践 主題名:集団でのやくわり(&-よりよい学校生活,集団生活の充実) ねらい:真由が、班長の役割について考え変容する姿を通して、より良い集団生活を送るために自身の役 割を自覚し責任を果たそうとする態度を育てる。  これは、フローティングスクールで、初めて班長になった真由は、1日目の反省化から班長の役割につ いて考え、2日目思い切って行動し班活動がうまくいくという話である。  宿泊合宿が迫ってきた。合宿を成功さすかどうかはそれぞれが役割をきちんと果たすかにかかってい る。集団での役割について考えるため自分の責任を果たそうとする態度を養うために取り組んだ。 ・「めあて」をはっきりと導入で示す  授業者は、「自分にどんな役割があるか思い浮かべてみて」と問いかけて、全員に何らかの役割がある ことに気づかせてから「役割は何のためにあるのか、役割を果たすために、どんなことが大切かについて 考えていきます。」とし、㋱ 集団での役割について考えよう(板書して読む)と、今回はっきりとめあ 教 室 掲 示 児童の感想には、「わたしは、いじりやいじめをしないようにしたい。」 「いじりといじめは分かったけど、どっちかわからなくなった。どうしてだろう。もし、わたしがいじり をされても、いじめに感じる。」「いじりをして、人を悲しませたらだめ。」「いろんな人のことを考えなけ ればならない」。「いじりをする人を選んではいけない。」などが出され、いじめと区別がしにくいいじり について、考えることができた。  小学校5年生の実践-岩﨑 直輝教諭、和歌山市立木本小学校- 5 実践  実践③「うばわれた自由」(5年 生きる力 日本文教出版)から 主題名:ほんとうの自由($‐善悪の判断,自律,自由と責任) ねらい:「自由」とは、自分のしたいことを自分勝手にするのではなく、みんなが規律を守ることによっ てそれぞれの「自由」が保証されることに気づき、責任ある行動をとろうとする心情を育てる。 この話は、わがままなジェラール王子が、国の決まりを守るために自分に逆らったガリューをとらえる が、そののち、国が乱れ、自分が捕らえられガリューと再会し、ガリューの言葉を深く考えるという話で ある。学校が再開してまだ  か月。授業者は、まず児童の心情を養い教材を共感的に扱おうと考えた。そ れは、学習規律や生活面における学級のルールについて気になっており一人一人に主体的に考えてほし いとの思いからである。そこで、自分勝手な自由がどうしていけないのかを考え、「本当の自由とは何か」 について一人一人が考えることで学級の決まりに対する自分の行動について見つめ直させたいとねがい、 本時に取り組んだ。 ・児童の問題意識を出させ、発問につなげる  授業者は、範読後児童に問題意識をもたせるために、まず「気になったところ、心に残ったところ」を 聞いている。 ԣ:気になったところ、心に残ったところを教えてください。Ө ԍ:ジェラール王子は、動物を殺したらあかんのに、注意し ただけやのに。王子は勝手すぎると思います。Ө ԍ:勝手にしたから。自業自得。Ө ԍ:「ガリュー・・・あの時の言葉・・・」が反省していて良かっ た。Ө ԍ:疑問なんやけど、王子がガリューを牢屋に入れたのにな んでガリューは王子に優しい言葉を言ったんやろう。Ө ԣ:なんて言ったん。Ө ԍ:「・・・でられるでしょう。本当の自由を大切に・・・」(板書)Ө ԍ:自由って楽しいけど、自分でその責任を負わなあかん。 何かやらかしたとき。Ө このように児童から出た言葉を板書計画に基づいて書いていくことで大枠をとらえさせ、計画していた 発問に近いものに焦点を当てて発問していく工夫をしていた。 ・教材での共感的発問と教材を離れた価値を問うテーマ発問  ジェラール王子の心情を中心に教材を学習するときには、教材に共感するように発問した。まず、ジェ ラール王子の事由についての考えを問うために、発問①「ほんとうの自由とは申しません」とガリューに 言われたとき、ジェラール王子はどんなことを思ったでしょう。」を行った。 &:うるさいな。&:一般市民のくせに。&:おれは、自分がそれを自由と思っている。&:自分のいうこ

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と、自分で言ったことを自由じゃないと言われて腹が立っている。 発問②「ほんとうの自由をたいせつにして、生きてまいりましょう」 とガリューに言われたとき、ジェラール王子はどんなことを思って いたでしょう。では、 &:後悔してる。&:本当にその通り。&:最初に言ったときはむか ついたり、イライラしたりしてたけど、最後は反省しているから、 本当の自由を大切にしていきたい。 その後、テーマ発問③「ほんとうの自由」とはどういうことでしょ う。を行った。 &:おそろしい。自分が自由になるとみんな自由になって、おそろ しい。&:決まったことを守りながら、ちゃんとする。&:きまりを守って、みんな楽しく平和に。&:友 達も親もいて、平和に暮らすことが本当の自由。&:決まりを守りながら、考えて、自分勝手にするんじ ゃなくて、時に考えながら好きなことをする。最後の部分を抜粋する。 ԣ:きまりって楽しいかな?自由で、誰にも注意されず、誰 にもしばられない方がいいのでは?Ө ԍ:いや、おもしろくない。飽きてくる。Ө ԍ:自分が自由でも、人も自由だから。Ө ԍ:人を傷つけたり、なんでもできる。Ө ԍ:楽しい人は楽しいかもしれないけど、やりたいことをや っていたらあかんこともやってしまっておそろしい。Ө ԍ:きまり守らないと、周りの人もやりたい放題したらこわい し、自分も責任とらなあかんし自分の身を守るため。Ө ԣ:責任とつながってくる、きまり守らないと自分の責任とし て返ってくるんやな。Ө  教材から離れてテーマ発問になったとき、自由と責任からずれてしまった。国が乱れたことを王子がど う考えたのかをもっと深める必要があったのではないか。テーマ発問に移る時の工夫が必要である。  実践④「真由班長になる」(5年 生きる力 日本文教出版)から 5 実践 主題名:集団でのやくわり(&-よりよい学校生活,集団生活の充実) ねらい:真由が、班長の役割について考え変容する姿を通して、より良い集団生活を送るために自身の役 割を自覚し責任を果たそうとする態度を育てる。  これは、フローティングスクールで、初めて班長になった真由は、1日目の反省化から班長の役割につ いて考え、2日目思い切って行動し班活動がうまくいくという話である。  宿泊合宿が迫ってきた。合宿を成功さすかどうかはそれぞれが役割をきちんと果たすかにかかってい る。集団での役割について考えるため自分の責任を果たそうとする態度を養うために取り組んだ。 ・「めあて」をはっきりと導入で示す  授業者は、「自分にどんな役割があるか思い浮かべてみて」と問いかけて、全員に何らかの役割がある ことに気づかせてから「役割は何のためにあるのか、役割を果たすために、どんなことが大切かについて 考えていきます。」とし、㋱ 集団での役割について考えよう(板書して読む)と、今回はっきりとめあ 教 室 掲 示 児童の感想には、「わたしは、いじりやいじめをしないようにしたい。」 「いじりといじめは分かったけど、どっちかわからなくなった。どうしてだろう。もし、わたしがいじり をされても、いじめに感じる。」「いじりをして、人を悲しませたらだめ。」「いろんな人のことを考えなけ ればならない」。「いじりをする人を選んではいけない。」などが出され、いじめと区別がしにくいいじり について、考えることができた。  小学校5年生の実践-岩﨑 直輝教諭、和歌山市立木本小学校- 5 実践  実践③「うばわれた自由」(5年 生きる力 日本文教出版)から 主題名:ほんとうの自由($‐善悪の判断,自律,自由と責任) ねらい:「自由」とは、自分のしたいことを自分勝手にするのではなく、みんなが規律を守ることによっ てそれぞれの「自由」が保証されることに気づき、責任ある行動をとろうとする心情を育てる。 この話は、わがままなジェラール王子が、国の決まりを守るために自分に逆らったガリューをとらえる が、そののち、国が乱れ、自分が捕らえられガリューと再会し、ガリューの言葉を深く考えるという話で ある。学校が再開してまだ  か月。授業者は、まず児童の心情を養い教材を共感的に扱おうと考えた。そ れは、学習規律や生活面における学級のルールについて気になっており一人一人に主体的に考えてほし いとの思いからである。そこで、自分勝手な自由がどうしていけないのかを考え、「本当の自由とは何か」 について一人一人が考えることで学級の決まりに対する自分の行動について見つめ直させたいとねがい、 本時に取り組んだ。 ・児童の問題意識を出させ、発問につなげる  授業者は、範読後児童に問題意識をもたせるために、まず「気になったところ、心に残ったところ」を 聞いている。 ԣ:気になったところ、心に残ったところを教えてください。Ө ԍ:ジェラール王子は、動物を殺したらあかんのに、注意し ただけやのに。王子は勝手すぎると思います。Ө ԍ:勝手にしたから。自業自得。Ө ԍ:「ガリュー・・・あの時の言葉・・・」が反省していて良かっ た。Ө ԍ:疑問なんやけど、王子がガリューを牢屋に入れたのにな んでガリューは王子に優しい言葉を言ったんやろう。Ө ԣ:なんて言ったん。Ө ԍ:「・・・でられるでしょう。本当の自由を大切に・・・」(板書)Ө ԍ:自由って楽しいけど、自分でその責任を負わなあかん。 何かやらかしたとき。Ө このように児童から出た言葉を板書計画に基づいて書いていくことで大枠をとらえさせ、計画していた 発問に近いものに焦点を当てて発問していく工夫をしていた。 ・教材での共感的発問と教材を離れた価値を問うテーマ発問  ジェラール王子の心情を中心に教材を学習するときには、教材に共感するように発問した。まず、ジェ ラール王子の事由についての考えを問うために、発問①「ほんとうの自由とは申しません」とガリューに 言われたとき、ジェラール王子はどんなことを思ったでしょう。」を行った。 &:うるさいな。&:一般市民のくせに。&:おれは、自分がそれを自由と思っている。&:自分のいうこ

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てを示した。「めあて」の学習問題はその活動自体が解決と言える。 ・教材での話合いからテーマ発問つなげる工夫  まず、教材で、一日目の真由の考えと二日目の真由の考えを比べた。そして、「真由は、二日目は班長 としての責任を果たしたな。役割を果たすためにどんな心が大切だろう。」と発問している。つまり、二 日目は班長としての責任を果たしたことを押さえてから、テーマ発問を行っている。そして、まずノート に書かせ、その後、班で話し合い、全体での話し合いにしている。 6:役割を果たすために、どんな心が大事かな。 %:やさしく伝える心が大事だと思います。理由は一日 目はきつく言ったからまとまらなかったけど、二日目は 優しく言ったからまとまったと思います。 %:後ろから気を配って気付いてあげること。 %:班長やからって班をまとめようとするんじゃなくて、 みんなに気を配って、班みんなを公平にしてみんなに気 を配ること。 %:友達を元気づけたりやさしく注意したりする。 %:みんなに気を配って声をかけたりする心構え。 %:注意するときには、みんなに聞いてもらえるように 例えば、やさしくとか工夫して注意することができる。  このように、教材からテーマ発問に繋ぐように考えたが、教材から抜けにくかった。また、リーダの役 割に偏ってしまった。真由以外の登場人物の気持ちも聞けばもっと多角的に考えられたのではないだろ うか。児童は迫っている宿泊合宿を意識していたが、この学びを自分の役割に生かせるようにしたい。  4.成果と課題 4実践ともねらいを明確にし、教育活動全体を意識して取り組んでいる。つまり学習したことを活かす 場を授業者がもっていたということである。そして、導入や教材の範読後に、①③④では、児童の身近な 話題から②は生活・社会テーマから児童に問題意識をもたせている。これは、児童の主体的な学びのため に有効であり、終末でも同じ問いを振り返りとして使うなど、1時間を通してねらいとする価値への学び が見られた。ねらい別にみると、①④が道徳的実践力を養う、②③が道徳的心情を育てるとなっている。 ①④では、「どうして」「なぜだろう」という思考力・判断力にもつながる発問が多い。④では「どんな心 が大切か」など人としての心構えを問う発問となっている。②③は、登場人物の気持ちに寄り添って共感 的に発問することが多くなっている。②は判断力も必要なので教材から離れる時には分析的な発問をし ている。③はゆさぶりの発問から考えを深める工夫が見られた。  教材で深めてからどうテーマ発問につなぐのかは難しい。これからも教材の特徴や子供の実態をみな

子ども・保護者・教職員のメンタルヘルスに関する心理的支援

(第2報)

和歌山大学:衣斐哲臣(研究代表者)・岩谷潤・藤田絵理子・北垣有信・武内正晴 和歌山大学教職大学院・附属特別支援学校:鶴岡尚子 和歌山大学教育学部附属小学校:上原愛加、附属中学校:淵川由紀・釣本享子 同学部附属特別支援学校:久保田真由子、境原加奈恵 和歌山市立砂山小学校:水本久美 1. はじめに 本稿は、昨年度に続いての第2報である。活動趣旨としてメンバーには、①共同研究事 業の活動に共同研究者として協力する、②メンタルヘルスに関連した学習会等に参加し協 働する、③メンタルヘルスに関連した各自の業務や活動を本事業のプロジェクトと共有し 取り組む、などを呼びかけている。 今年度は、新型コロナウィルスの流行に伴い活動の制限を受け、延期や縮小を余儀なく された。対面による会合を見合わせ、オンラインによる学習会や語りの会を中心に行った。 人類が遭遇したコロナ禍のストレス状況を共にしつつ、限られた活動ではあったが、それ ぞれの現場や個人のメンタルヘルスを考える機会となった。 本稿では、4つの活動、(1)開業助産師の語りを聴く、(2) コロナ禍の対話およびオー プンダイアローグ、(3)当事者の語りを聴く会、(4)松の実教室の活動について報告する。 2. 開業助産師の語りを聴く夕べ:オンライン開催 本会活動に参加しているメンバーのなかに、二人のベテランの開業助産師がおられた。 性教育や思春期教育のテーマで、学校に呼ばれ講師として出向くこともある。そんな助産 師の業務や実態を知る機会はほとんどなかったことから、是非にと依頼し実現した。 日時:2020 年 9 月 23 日(水)19:30~21:30(参加者:11 名) 語り部:武藤啓子さん・安宅満美子さん 内容:助産師の仕事は、お産の支援と、妊婦および新生児の保健指導全般である。分娩 介助、乳房ケア、相談事業・訪問事業、思春期教育、学生教育、育児サークル・子育て支援 事業などがある。とりわけ、近年は妊娠中や産後のうつが増え、妊産婦の自殺や産科合併 症のリスク、子どもの発達や愛着形成の問題など、周産期のメンタルヘルスに関する課題 に対する施策と支援が急務となっている。助産師はその最前線で、地域母子保健活動に力 を注いでいる。 そんな現状の話の後、私たち参加者は、開業助産院での命の誕生話に引き込まれていっ た。「むとう助産院」では、1年間に 20 ケースほどの分娩が行われている。分娩介助は、 助産師の仕事の最もエキサイティングな場面だ。二人は長年コンビを組んで助産を行い、 家族とワンチームになり、周産期のケアにおいて母子の支えになってきた。 お産には、妊婦だけでなく夫やじきに兄姉になる子どもたち、家族が立ち会う。助産師 の指導のもと、妊婦を囲み家族が、赤ちゃんを迎え入れるための予行演習を行う。これが

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