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いにしえの心を語らう

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Academic year: 2021

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第3学年○組国語科学習指導案

指導者 ○○ ○○ 1 単元名 いにしえの心と語らう 夏草―「おくのほそ道」から 2 指導観 ○ 現代の私たちは千年以上の歳月を経て,脈々と受け継がれてきた日本古来の伝統のなかで生活し ている。伝統芸能や行事は生活に根付き,親から子へ,その子孫へと受け継がれてきた。普段使っ ている言語や,根底にあるものの見方や考え方もいにしえから受け継いだものと言える。本単元で は,俳諧を芸術の域まで高めた松尾芭蕉が,推敲に推敲を重ねて編んだ格調高い古典の名文「おく のほそ道」を通して,現代に通じる古人のものの見方や考え方に思いを巡らせる。なかでも漢語を 多く用いて漢文調で書かれた冒頭文には,旅を通して人生と向き合い,風雅の道を究めようとする 芭蕉の旅立ちにあたっての心境が綴られている。この冒頭文を通して生徒は,現代人が旅行に出か ける際の心境との差異を実感することであろう。しかし,同時に,「松島の月まづ心にかかりて」や 「漂泊の思ひやず」などに表れている旅立ちに思いを募らせ,抑えることができない人間的で瑞々 しい芭蕉の感情にも気づき,少なからず親しみを感じるであろう。この芭蕉の感情への親しみは生 徒を作品世界に誘う。生徒は作品の歴史的背景を踏まえて古人のものの見方や考え方と対話し,現 代人のそれとを比較して,日本人の伝統的な精神や生活感情の不易流行を 発見するであろう。この ことは,今後も日本文化のなかに生き,その担い手となる中学生にとって大変意義深い 。 ○ 本学級の生徒○名は,国語に対する興味・関心が高く,心を落ち着けて授業に聞き入る姿が印象 的である。特に「読むこと」領域に対する意欲が高く,文学的文章の読解に対して高い意欲をもつ 生徒は全体の○%存在する。理由として「登場人物同士が関わり合って変化していく心情に生 き生 きとした感じがしておもしろい」などを挙げていた。一方で ,古典の読解については,○%の生徒 しか意欲をもっていない。理由として「言葉が難しく,人物や場の設定が古くさくて,親近感がも てない」などを挙げていた。これまでに生徒は「竹取物語」「枕草子」「平家物語」「徒然草」 など, 様々なジャンルの古典作品を学習してきている。授業では,まず,歴史的仮名遣いを現代仮名に直 し,リズム良く音読したたり暗唱したりしてきた。そして,最後に現代語訳を確認し,大まかに内 容を確認してきた。しかし,表現の細部に着目して読み,そこに描かれる登場人物の心情や作者の 考え方を捉えるような学習は経験していない。つまり,文学的文章の読解のような興味を駆り立て る学習過程を経験していないのである。古典に対する学習意欲の低さは,習熟度の差として,領域 別得点率にも反映されている。4月に行われた学力分析テストでは ,最も得点率の高かった聴き取 り問題の○%に対し,古典の問題の得点率は○%にとどまっている。このような実態から,古語の 難しさに捕われて古典作品に描かれている今も昔も変わらない人の心情やものの見方,考え方を読 み味わうには至らず,それが学習意欲と習熟度の低迷につながっていることが明らかになった。 ○ そこで本単元の指導にあたっては,「おくのほそ道」の冒頭文の叙述と,古人の生きた時代背景な どを関連付けながら,芭蕉の旅に対する考え方を理解し,それに対して自分の考えをもつことをね らう。そのためには,まず,芭蕉のものの見方や考え方を十分に理解する必要があると考える。そ こで,古文の解釈の段階に次のような手だてを用いる。 ・風雅の道を究める決意などといった旅立ちにあたっての芭蕉の心境を深く理解させるために,「古人 も多く旅に死せるあり」などの心境が読み取れる叙述を複数提示す る。さらに,芭蕉の旅の行程な どを資料として提示し,叙述と関連付けて旅立ちにあたっての芭蕉の心境を考える場を設定する。 ・芭蕉の旅立ちにあたっての考えを多角的に捉えさせるために,個,小集団,全体と形態を変えなが ら自分の考えを説明し合う場を設定する。その際,考えの根拠として,冒頭文中から関連する叙述 を複数挙げさせたり,資料のどこに着目したのかを具体的に示させたりしながら,説得力のある説 明を展開するように指示する。

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3 単元の目標 ○ 古文の叙述に着目して読み,人間の生き方や考え方について自分の考えをもとうとして いる。 【関心・意欲・態度】 ○ 同じ作品の複数の文章や資料を関係付けて読み深め,人間の生き方や社会に考え方について自分の 考えをもつことができる。 【読むこと】 ○ 古典の一節を引用して,自分の考えをまとめた文章を書くことができる。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】 4 単元の指導計画(7時間) 次(時) 学習活動 指導上の留意点 評価規準 1(3) 1 芭 蕉 の 生 き た 時 代 の 歴 史 的 背 景 や 古 語 の 意 味 を 確 認 し つ つ , 文 章 の 内 容 を 大 ま かにつかむ。 (1) 「おくのほそ道」の概要 と 時 代 背 景 を 知 り , 冒 頭 文 の 大 ま か な 内 容 を 理 解 す る。 (2) 平泉を音読し,その内容 を大まかに理解する。 ○ 漢 語 交 じ り の 古 文 を リ ズ ム 良 く 音 読 さ せ た り , 特 有 の 言 い 回 し に 慣 れ さ せ た り す る た め に , ペ ア や 小 集 団 で 繰 り 返 し 音 読 す る 場 を 設 定 する。 ○ 内 容 を 大 ま か に 理 解 さ せ る た め に , 空 所 を 補 充 し て 現 代 語 訳 を 完 成 さ せ る ワ ー ク シートを提示する。 ○ 単 元 の 学 習 に 対 す る 課 題 意 識 を 喚 起 す る た め に , 現 代 人 の 旅 に 対 す る 考 え 方 を 明 らかにする場を設定する。 ○ 時 代 背 景 を よ り 正 確 に 理 解 さ せ る た め に 芭 蕉 の 旅 の 行 程 な ど が わ か る 資 料 を 配 布 する。 ○ 場 面 の 設 定 や 状 況 を 明 確 に 理 解 さ せ る た め に , 平 泉 の 地 図 な ど の 資 料 を 提 示 す る。 ・進んで古文を音読し,文章 全体の内容を理解しようと している。 【関・意・態】 ・場面の設定や人物の心情な ど,文章全体の内容を大ま かに理解している。 【読む能力】 2 2(2) 2 芭 蕉 の 旅 に 対 す る 考 え 方 を理解する。 (1) 冒頭文と資料を関連付け て 芭 蕉 が 旅 立 ち に あ た っ て ど ん な 心 境 に あ っ た の か を 考える。 ○ 旅 立 ち に あ た っ て の 芭 蕉 の 心 境 を 深 く 理 解 さ せ る た め に , 心 境 が 読 み 取 れ る 叙 述 を 複 数 提 示 す る 。 さ ら に , 一 次 で 提 示 し た 資 料 と 叙 述 を 関 連 付 け て 芭 蕉 の 心 境 を 考える場を設定する。 ・芭蕉の旅立ちにあたっての 心境を叙述に即して読み取 ろうとしている。 【関・意・態】 ・芭蕉の旅立ちにあたっての 心境を叙述に即して読み取 っている。 【読む能力】

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本時 2/2 (2) 冒 頭 文 に 込 め ら れ た 旅 に 対 す る 芭 蕉 の 考 え を 多 角 的 に捉える。 ○ 芭 蕉 の 旅 立 ち に あ た っ て の 考 え を 多 角 的 に 捉 え さ せ る た め に , 個 , 小 集 団 , 全 体 と 形 態 を 変 え な が ら 自 分 の 考 え を 説 明 す る 場 を 設 定 す る 。 そ の 際 , 根 拠 と し て , 他 の 叙 述 を 挙 げ さ せ た り , 資 料 の ど こ に 着 目 し た の か を 具 体 的 に 示 さ せ た り し な が ら , 説 得 力 の あ る 説 明 を 展開するように指示する。 ・芭蕉の旅立ちにあたっての 心境を多角的に読み取ろう としている。 【関・意・態】 ・芭蕉の旅立ちにあたっての 心境を多角的に読み取り, 自 分 の 言 葉 で ま と め て い る。 【読む能力】 3(2) 3 芭 蕉 の 考 え が 表 れ た 叙 述 を 引 用 し , 比 較 し な が ら 感 想文を書く。 ○ 旅 に 対 す る 自 分 の 考 え を 明 確 に も た せ る た め に , 一 次 で 明 ら か に な っ た 現 代 人 の 旅 に 対 す る 考 え 方 を 想 起 す る 場 を 設 定 す る 。 さ ら に , 二 次 で 捉 え た 芭 蕉 の 考 え 方 と 比 較 す る よ う に 指 示 す る。 ・芭蕉の旅に対する考え方と 比較し,自分の考えを明確 にもっている。【読む能力】 ・「おくのほそ道」の一節を引 用し,自分の旅に対する考 えをまとめている。 【言語知識】 5 本 時 (1) 本時の主眼 「おくのほそ道」冒頭文の複数の叙述と資料を関連付けて旅立ちにあたっての芭蕉の心境を説 明し合う活動を通して,その心境を多角的に読み取り,自分の言葉でまとめることができる。 【読む能力】 (2) 本時の指導観 前時は,「おくのほそ道」の冒頭文の中から芭蕉の旅立ちにあたっての心境が読み取れる「古人 も多く旅に死せるあり」などの四つの叙述を提示した上で,それらと資料を関連付けたり,同じ ような心境が読み取れる叙述が他にないかを探したりしながら,自分の考えをもつ学習活動を仕 組んでいる。本時は,前時にもった自分の考えを説明し合う活動を位置付けることで,多角的な 視点で作品を読み深め,芭蕉の旅立ちにあたっての心境をより深く読み取らせる。具体的には, まず,4人程度の小集団で自分の考えを説明し合う場を設定する。その際,説明の根拠として自 分が着目した叙述と関連する資料,関連する他の叙述などをできるだけ複数根拠として挙げつつ 多角的,論理的に説明するように指示する。さらに,小集団で交流した内容を学級全体で説明し 合う場を設けることで理解の共有を図る。最後に,「芭蕉にとって旅とはどのようなものだった のか」と問うて,その答えを自分の言葉で記述する場を設定することで,学習内容の確認と成果 を実感させる。 (3) 準備 ・前時のワークシート(個の考えを記述したもの),資料(「おくのほそ道」の行程), 本時のワークシート

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(4) 展開(本時5/7) 学習活動・内容 教師の支援(○)・評価規準(◇) 配 時 形 態 導 入 1 前時の学習内容を想起する。 2 本時のめあてを確認する。 ○前時の学習内容を想起させるために,冒頭 文を音読するように指示した上で,個人で 旅立ちにあたっての芭蕉の心境を読み取っ たことを確認する。 ○学習に対する意欲を喚起するために,俳人 芭蕉が推敲に推敲を重ね,残した冒頭文の 叙述の細部に旅立ちにあたっての芭蕉の考 えが述べられていることを告げる。 5 全体 展 開 3 旅 立 ち に あ た っ て の 芭 蕉 の 心 境 について,自分の考えを広げたり深 めたりする。 (1) 自分の考えを整理する。 (2) 芭蕉の考えと,その根拠となる本 文,さらにそれが根拠となる理由を 説明する。 (3) 学級全体で意見を交流し,自分の 考えを付加・修正し,課題に対する 自分の考えをまとめる。 ○根拠を明確にして自分の考えを説明させる ために,ワークシートに話し言葉を補った り,示す叙述や資料に線を引いたりするよ うに指示する。 ○話合いを円滑に進めさせるために,4人程 度の小集団を編成し,進め方を確認する場 を設定する。その際,司会者を指名する。 ○考えを広げたり深めたりするために,話合 いを通して新たに知ったことや共感したこ とをメモ欄に記入するように指示する。 ○広がったり深まったりした考えを個人で整 理させるために,異なる考えをもっている 生徒を意図的に指名し,全体で発表させる。 ○まとめにつなげるために,芭蕉の旅が観光 と違い,自然や人間の生き方と向き合って 風雅を究める決意と,死をも覚悟したもの であったことを確認する。 5 15 15 個 小 集 団 全体 ま と め 4 本時の学習を振り返る。 ○学習を振り返り,次時の学ぶ意欲を喚起す るために,「芭蕉にとって旅とは~ものだっ た。」という型を与え,自分の言葉でまとめ る場を設定する。 ◇旅に対する芭蕉の考え方を,自分の言葉で 記述できる。【読む能力】 10 個 芭蕉にとって旅とはどのようなものだったのかを捉えよう。 【 予 想 され る 生徒 の 反応 】 ・「 古 人 も 多く 旅に 死 せる あ り 。」か ら ,風 雅の 道 を究 め る旅 の途 中 で 死ぬ こ とも 覚 悟し ている の だ ろう 。 ・「 漂 泊の 思 ひや ま ず」 か ら,旅 に 出 たく て 仕方 が ない のだろ う 。 ・「 股 引の 破 れを つ づり 」 から, 万 全 の 準 備 で旅 に 臨み ,全う し た い の だ ろう 。 ・「 面 八 句を 庵 の柱 に 懸け 置 く」か ら 、句作 を 続け 、旅 を大 切に し た いの だ ろう 。 など 芭蕉にとって旅とは, 人生をかけて自然や人間の生き方と向き合い、風雅の道を究めるためのものだった

参照

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