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セルフメディケーション推進に向けた
ドラッグストアのあり方に関する研究会
報告書
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目次
はじめに 5 (1)本研究会の目的 5 (2)本書の構成 5 (3)検討体制・検討概要 6 第 1 章:セルフメディケーションとドラッグストア 7 1.セルフメディケーションとは 7 (1)セルフメディケーションの定義 7 (2)消費者によるセルフメディケーション 8 (3)セルフメディケーションの必要性 8 ①日本再興戦略の提起 8 ②健康寿命延伸産業への取組 9 ③経済産業省における「次世代ヘルスケア産業協議会」の取組 9 ④厚生労働省における取組 11 (4)セルフメディケーションを巡る環境 12 ①少子高齢化社会の進展 12 ②社会保障をめぐる課題 14 2.ドラッグストアの現状 15 (1)ドラッグストアの範囲 15 (2)セルフメディケーション推進拠点としての役割 17 (3)現状のドラッグストアに対する意識 18 (4)ドラッグストアを取り巻く環境 20 第 2 章:ドラッグストアに期待される役割 21 (1)ドラッグストアの社会的役割 21 ①情報提供による消費者のサポート 21 ②グレーゾーン解消制度の活用 22 ③地域連携(地域包括ケアシステムとの連携支援) 22 ④在宅調剤を通じた消費者のサポート 24 ⑤関連して期待される役割 25 (2)ドラッグストアの経済的役割 26 ①セルフメディケーション推進等に関連する各種政策の動き 26 ②食品の新たな機能性表示制度 27 ③新しい介護食品(スマイルケア食) 28 ④他の小売業との協業 29 (3)課題解決のためにドラッグストアに期待される役割 31 ①少子化への対応 31 ②高齢化に伴う諸課題への対応 32 ③リアル店舗を核とした通信販売 333 ④製・配・販連携 35 ⑤インバウンド対応/海外展開 36 (3)セルフメディケーション推進に向けた業界の取組 40 ①セルフメディケーション基本知識に関する情報提供のあり方について 40 ②ドラッグストアの適切な医師への受診勧奨のあり方について 40 ③医薬品に関する情報提供システムのあり方について 40 ④健康食品に関する情報提供システムのあり方について 40 ⑤漢方、生薬に関する情報提供システムのあり方について 40 ⑥在宅向け介護食品及び介護保険制度に関する情報提供システムのあり方について 41 ⑦健康体操、運動に関する情報提供システムのあり方について 41 ⑧ペットセラピーに関する情報提供システムのあり方について 41 ⑨AED 使用に関する情報提供システムのあり方について 41 ⑩検体測定室(血糖値測定等)に関する情報提供のあり方について 41 ⑪ドラッグストアを活用した検査と情報提供システムのあり方について 41 ⑫ドラッグストアの「街の健康ハブステーション」構想について 41 第 3 章:まとめ 43 ①セルフメディケーションとは 43 ②ドラッグストアに期待される役割 43 ③政府としての取組 44 ④ドラッグストアの現状 44 ⑤セルフメディケーション推進に向けた業界の取組 44 ⑥ドラッグストア業界に向けた 10 の提言 44 1.消費者のセルフメディケーションに関する理解の醸成 45 2.専門人材の更なる育成 45 3.消費者が相談しやすい環境の整備 45 4.消費者への情報提供を支えるデータベースの整備 45 5.提供する情報の充実 46 6.情報提供の前提となる検査等のサービスの充実 46 7.他の機関との連携 46 8.医薬品等を活用した買物弱者対策等の取組の強化 47 9.外国人旅行者等の利便性向上のための環境整備 47 10.製・配・販連携による返品の削減 47 (参考資料①)委員名簿 48 (参考資料②)セルフメディケーション推進に向けたドラッグストア企業の実態調査 49 (1)調査概要 49 (2)調査項目 49 (3)調査結果 49 ①買物弱者問題への対応 49 ②地域との結びつき 50 ③リアル店舗を核とした通信販売との融合について 52 ④製配販の連携を通じた更なる効率化の推進(返品率の改善等) 53 ⑤インバウンド及び海外展開への対応 55 (参考資料③)ドラッグストア業界としての取組(日本チェーンドラッグストア協会資料) 58
4 ①ドラッグストアの現状と今後の課題 58 ①-Aドラッグストアの現状「ドラッグストア業界の成長鈍化の傾向」 58 ①-B今後のドラッグストアの課題「マーケットの拡大と新しい社会的機能の創造」 58 ②日本チェーンドラッグストア協会 58 ③日本チェーンドラッグストア協会をめぐる課題及び、協会が取り組んでいるプロジェクト等 59 ③-A.ドラッグストア業界を再成長させるための課題 59 ③-B.4 つの業界プロジェクトについて 59 ③-C.ドラッグストア成長戦略 4 つの挑戦・14 テーマについて 59 ③-D.ドラッグストア成長戦略のための基礎研究及びその他の研究 60 ④日本チェーンドラッグストア協会が取り組んでいるプロジェクトについて今研究会に関係深いもの60 ④-A.各プロジェクトの目的と内容 60 ④-B.10 の情報提供に対する課題対応について 60
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はじめに
(1)本研究会の目的 「日本再興戦略」(平成25 年 6 月閣議決定)及び「日本再興戦略」改訂 2014(平成 26 年 6 月 閣議決定)の中で、セルフメディケーションの推進等が挙げられている。 国民がセルフメディケーションに適切に取り組んでいくためには消費者への適切な情報提供が 必要であり、あわせて少子高齢化等を背景に買物弱者等の課題が生まれている中、医薬品、化粧 品及び日用雑貨などを幅広く取り扱うドラッグストアの果たす役割は大きい。 そこで本研究会では、ドラッグストアが、セルフメディケーションの推進や少子高齢化等の課 題に対して、どのような貢献ができるかについて、ドラッグストアの社会的役割と経済的役割の 見地から検討した。 (2)本書の構成 通商産業省(当時)は、平成8 年の委託調査事業として「ドラッグストアに関する商慣行改善 調査研究報告書」を発表した。その後、後述するようにドラッグストア業界を巡る環境は大きく 変化し、現在に至る。そのため、今回の研究会では、外部的環境も踏まえて、ドラッグストアが 健全に発展していくためにはどのような役割を果たすことができるのか、検討した。 まず、第1 章では、セルフメディケーションのあり方やその必要性、更にセルフメディケー ションの推進に向けた政府の取組について検討した。あわせて、その後の議論を有意義なもの にするため、ドラッグストア業態と業界を巡る経済・社会環境の変化について取り上げた。ま た、消費者がセルフメディケーションを推進するためには、ドラッグストアの専門人材や幅広 い品揃え、地域に密着した店舗等を活用して適切なサポートをしていくことが重要となる点を 確認した。また、消費者への調査等を通じて、ドラッグストアへの期待と消費者の認識の間に ギャップがある点を確認した。 第2 章では、ドラッグストアに期待される役割について、詳細に検討を行った。特に、ドラ ッグストアは、セルフメディケーションの推進に関連して、多様な生活必需品を取りそろえ生 活のインフラとしての「社会的役割」を果たすとともに、企業として新たなマーケットを創出 していく「経済的役割」も期待されている。そのため、当報告書ではセルフメディケーション 推進に向けたドラッグストアの役割を「社会的役割」と「経済的役割」に分けて論じている。 もちろん、それらは明確に一線を画すものではなく、互いに重なり合いながら最終的に消費者 にとってどのような価値を提供できるのか、という視点が検討にあたって必要になることは論 を待たない。具体的には、「社会的役割」として、消費者への適切な情報提供、グレーゾーン解 消制度等を通じた情報提供の充実、地域との連携等について検討を行っている。「経済的役割」 としては、現在消費者庁において検討が行われている新たな機能性表示食品に関する情報提供 方法、介護食品の提供、他の小売業との協業等について検討した。 あわせて、検討領域をセルフメディケーションに閉じることなく、わが国が抱えるその他の 課題に対してドラッグストアに求められる役割についても検討を行った。具体的には、少子高 齢化への対応、インバウンドの取込や国際展開、返品等の削減のための取組等について検討を 行った。 最後に、ドラッグストア業界を巡る課題等を踏まえると日本チェーンドラッグストア協会が 行っている情報提供のあり方に関する研究は非常に重要であると考えられるため、当該研究に ついても検討している。 また、第3 章では、「まとめ」として今回の報告書を総括すると同時に、検討内容を踏まえ、 今後ドラッグストアが目指すべき方向性について、「10 の提言」を行っている。6 (3)検討体制・検討概要 本報告書は、「セルフメディケーション推進に向けたドラッグストアのあり方に関する研究会」 を平成26 年 11 月~平成 27 年 2 月にかけて、全 4 回開催し、討議した結果を踏まえて取りまと めている。研究会開催に際して、社会背景や各種の取組みの現状などについて、調査を実施し、 その調査結果を研究会での検討材料としている。具体的には、第 1 回で「ドラッグストア業界の 現状、業界を巡る環境の変化」、第 2 回で「ドラッグストアの果たす役割(社会的役割)」、第 3 回で「ドラッグストアの果たす役割(経済的役割)」、第4 回で「報告書の内容について」を重点 的に議論した。あわせて、日本チェーンドラッグストア協会の協力の下、会員企業147 社に対す るアンケート調査「セルフメディケーション推進に向けたドラッグストア企業の実態調査」を実 施した。
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第 1 章:セルフメディケーションとドラッグストア
1.セルフメディケーションとは
(1)セルフメディケーションの定義
セルフメディケーションの定義は、世界保健機構(WHO)による報告書1に定義が記載されて いる。なお、セルフメディケーションは、セルフケアの一分野とされている。 セルフメディケーションの定義は、世界保健機構(WHO)によると、「自分自身の健康に責任 を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」とされている。同時に上記の報告書では、 世界的にセルフケア及びセルフメディケーションの重要性が増大しており、薬剤師の果たす役割 が大きく変化していることが指摘されている。 なお、セルフケアは、健康を確立・維持し、病気を予防するとともに対処について、自己で行 動を起こすことという意味づけと、領域として、衛生、栄養、ライフスタイル、環境、社会経済、 そしてセルフメディケーションを含む幅広い概念とされている。 図表 セルフメディケーション及びセルフケアの定義Self-medication is the selection and use of medicines1 by individuals to treat
self-recognized illnesses or symptoms. Self-medication is one element of self-care.
1For the purposes of this definition, medicines include herbal and traditional products
Self-care is what people do for themselves to establish and maintain health, prevent and deal with illness.
It is a broad concept encompassing: · hygiene (general and personal);
· nutrition (type and quality of food eaten); · lifestyle (sporting activities, leisure etc.);
· environmental factors (living conditions, social habits, etc.); · socioeconomic factors (income level, cultural beliefs, etc.); · self-medication.
資料:WHO(1998)” The Role of the Pharmacist in the Self-Care and Self-Medication” ・注目される薬剤師の役割 消費者がセルフメディケーションを進めていく上では、専門的な知識を持った方々のサポート が重要である。前掲のWHO の報告書では、薬剤師の主な役割・機能として、次のような項目が 示されている。 1)コミュニケーターとしての役割(As a communicator) 患者に関する薬歴や症状等の情報を収集するとともに、服薬に関する適切な情報を提供すると ともに、必要に応じて医療機関を紹介するなど。
2)クオリティードラッグサプライヤーとしての役割(As a quality drug supplier)
良質な医薬品等を適切に仕入れ、消費者が購入できるようにするとともに、在庫を適切に管理
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3)トレーナー、スーパーバイザーとしての役割(As a trainer and supervisor)
最新のサービスを提供できるように継続的な専門教育に参加することが必要である。また、薬 剤師以外のスタッフによる支援作業が予め決められた標準に基づいて適切に実施されるようにす る。 4)コラボレーターとしての役割(As a collaborator) その他のヘルスケアに関する専門家、薬剤師会、製薬業界、行政機関そして患者を含む一般大 衆と協働的な関係を築くことは、非常に重要である。いざという特に必要な情報を得たり、支援 を受けたりする機会を活用するためである。
5)ヘルスプロモーターとしての役割(As a health promoter)
地域における健康問題やそのリスクを特定するための集団検診に参加することや、健康に関す る課題や病気予防に関する認知を高めるためのキャンペーンに参加することとともに、個々人が 健康的な選択をできるようアドバイスすることが必要である。
(2)消費者によるセルフメディケーション
このような観点から、消費者が自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当 てするセルフメディケーションを進めていくためにはどのようなサポートが必要なのか検討する 必要がある。 セルフメディケーションを進めていくためには、消費者が自ら問題意識を持ち、自主的に取り 組むことが重要であり、そのためには消費者が自らの健康状態をしっかりと把握できる環境整備 が重要である。また、特に薬剤師や登録販売者,管理栄養士といった専門人材を保有するドラッグ ストアが、その知見を生かして消費者をサポートするため、どのような役割を果たすことが期待 されているのか検討が求められている。 同時に、そもそもセルフメディケーションという考えが、まだ消費者に理解されていないとい う指摘もあり、なぜセルフメディケーションを進める必要があるのか、そのメリット、デメリッ ト等についても啓蒙活動を促進する必要がある。(3)セルフメディケーションの必要性
①日本再興戦略の提起 ・セルフメディケーション推進気運の高まり 「日本再興戦略」(平成25 年 6 月閣議決定)では、「戦略市場創造プラン」のひとつとして、「国 民の健康寿命の延伸」がテーマとして掲げられた。その目指すべき社会像の一つとして、「効果的 な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、老いることができる社会」である。 健康寿命延伸に向けて、セルフメディケーションの推進が掲げられ、自己健康管理に必要な健康 増進や生活支援を担う市場・産業の創出・育成の必要性が提起されている。現状の問題点として、 以下が指摘されている。 ・健康なときは、食事管理や運動などの予防・健康管理を継続して行う意識が弱くなる 傾向にある。 ・健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機付けの方策が十分でない。 ・上記等が要因となり、健康管理や予防サービスが産業・市場として成長していない。 特に、公的分野との境界で制度的な不明確さもあり、サービスの提供者が参入をため らうなど、消費者にとっても安心してサービスを受けにくい状況がある。9 解決の方向性と戦略分野(市場・産業)及び当面の主要施策として、次のように記述されてい る。 「こうした現状を打開するため、個人・保険者・企業の意識・動機付けを高めることと健康寿 命延伸産業の創出を両輪で取り組む。これにより、どこでも簡単にサービスを受けられる仕組み を作り、自己健康管理を進める「セルフメディケーション」等を実現する。 すなわち、意識・動機付けにより潜在市場の拡大を図るとともに、規制・制度の改革・明確化 を始めとして、最も効果的・効率的な政策手段を採用することで、健康増進・予防(医療機関か らの指示を受けて運動・食事指導を行うサービス、簡易な検査を行うサービスなど)や生活支援 (医療と連携した配食サービスを提供する仕組みづくり等)を担う市場・産業を戦略分野として 創出・育成する。」 ○ 健康寿命延伸産業の育成 ○ 予防・健康管理促進に関する新たな仕組み作り ○ 食の有する健康増進機能の活用 ○ 医療・介護情報の電子化の促進 ○ 医療情報の利活用推進と番号制度導入 ○ 一般用医薬品のインターネット販売 ○ ヘルスケアポイントの付与 ②健康寿命延伸産業への取組 ・日本再興戦略による「健康寿命延伸産業」育成の動き 日本再興戦略による「健康寿命延伸産業」では、目指すべき社会像として、予防から治療、早 期在宅復帰に至る適正なケアサイクルの確立することを掲げている。その戦略分野としては、健 康増進・予防サービス、生活支援サービス、医薬品・医療機器、高齢者向け住宅等が上げられて おり、その産業規模は、平成42 年(2030 年)には 30 兆円規模まで拡大するとしている。 図表 健康寿命延伸に向けた戦略 資料:『日本再興戦略』等をもとに(公財)流通経済研究所作成 中でも、医療以外の健康寿命延伸産業の内訳としては、次のような領域が上げられる。 1)健康増進・予防サービス(運動・食事指導、簡易検査等の各種サービス) 2)生活支援サービス(医療と連携した配食サービス等) 3)健康食品 4)旅行・リラクゼーション等の健康に関連したその他の各種サービス ③経済産業省における「次世代ヘルスケア産業協議会」の取組 日本再興戦略を受けて、経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会」では、目指すべき健康長 寿社会に向けたヘルスケア産業のあり方について、次のように検討している。
10 1)新産業創出と医療費削減 慢性期医療(生活習慣病関連)にかかる医療費を、公的保険外のサービスを活用した予防・健 康管理にシフトさせることにより、「国民の健康増進」、「医療費の削減」、「新産業の創出」につな げることが可能である。 2)地域経済・コミュニティの活性化 地域において人口減少と医療費増大が進む中、健康寿命延伸産業の果たすべき役割はますます 拡大している。①高齢化に伴う地域の多様な健康ニーズの充足、②農業・観光等の地域産業との 連携による新産業創出(医・農商工連携)により、地域の「経済活性化と医療費削減」につなげ ることが重要である。 なお、地域における「健康寿命延伸産業」育成の考え方では、次のようなフレームを掲げてい る。 1)地域において、住まい・医療・介護等が一体的に提供される、「地域包括ケアシステム」の 構築を踏まえ(「公的保険内サービス」)、さらにこれを補完する形で、運動・栄養・見守り・買物 支援等の医療・介護周辺サービスを、グレーゾーン解消制度等を活用し、「公的保険外サービス」 として育成する。 2)医療・介護関係者や公的保険外サービス提供者が、農業・観光等との地域産業との連携によ る新たなヘルスケアビジネスの創出も支援する。 消費者と接点を持つドラッグストアとして、ヘルスケア産業に対し、どのような貢献が可能か を検討し、実現を図ることが重要である。 図表 医療・介護周辺サービスのイメージ(公的保険外サービス) 資料:経済産業省
11 ④厚生労働省における取組 厚生労働省としては、上述の「地域包括ケアシステム」に取り組むとともに、『厚生労働白書』 (平成26 年版)において、健康長寿社会の実現に向けて、健康長寿社会の実現や健康寿命の延伸 に向けた提言等も行っている。主な政策課題は、次の5 つである。 1)健康寿命の延伸と健康格差の縮小 2)主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底 3)社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上(こころの健康) 4)健康を支え、守るための社会環境の整備 5)栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及 び社会環境の改善、 平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)との差に着目し、健康寿命との差が拡大す れば、医療費や介護給付費用を消費する期間が増大することになる。疾病予防と健康増進、介護 予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下 を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できる。 また、栄養・食生活は、生命を維持し、子どもたちが健やかに成長し、また人々が健康で幸福 な生活を送るために欠くことのできない営みであり、多くの生活習慣病の予防のほか、生活の質 の向上及び社会機能の維持・向上の観点から重要である。 ドラッグストアとしても、他のヘルスケアに関するプレイヤーと協力しながら、健康寿命の延 伸のために担うべき役割を検討する必要があると考えられる。
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(4)セルフメディケーションを巡る環境
①少子高齢化社会の進展 ・高齢化社会・人口減少の進展 我が国の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、平成38 年(2026 年)に人口 1 億 2,000 万人を下回った後も減少を続け、平成60 年(2048 年)には 1 億人を割って 9,913 万人となり、 平成72(2060)年には 8,674 万人になると推計されている。 図表 年齢別人口構成の予測推移13 ・高齢化率の上昇 総人口が減少する中、団塊世代及び団塊ジュニア世代が相次いで高齢化を迎えることにより、 高齢化率(総人口に占める65 歳以上割合)は一貫して上昇を続けることが予想される。そのため、 高齢者に対する持続的かつ実効的な商品・サービスの提供が必要となる。 図表 年齢別人口構成の予測推移
14 ②社会保障をめぐる課題 ・医療費・医薬品の現状(各国比較) 平成24 年度の国民医療費は 39 兆 2,117 億円で、前年度から 6,267 億円、1.6%の増加となって おり、高齢化率の上昇とともに増加している。人口一人当たりの国民医療費は30 万 7,500 円、前 年度の30 万 1,900 円に比べ 1.9%増加している。国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は 8.30%(前年度 8.15%)まで上昇しており、国民医療費の抑制が急務となっている。わが国にお ける医薬品に占めるOTC 医薬品の比率は低い水準にあり、OTC 医薬品の活用の余地があると考 えられる。また、「日本再興戦略」改訂2014(平成 26 年 6 月閣議決定)の中でもスイッチ OTC の促進が掲げられており、OTC 医薬品の活用推進に向け、必要に応じ環境整備に努めることが重 要である。 また、上述の通り、疾病予防と健康増進、介護予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を 短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待で きる。 図表 医療費公的支出及び医療費の対GDP 比 図表 医薬品における医療用・OTC 比率 資料:日本リテイル研究所(調査年2007 年)
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2.ドラッグストアの現状
(1)ドラッグストアの範囲
・ドラッグストア業態の考え方 ドラッグストアの業態定義は、商業統計や業界団体により、次のようになっている。セルフメ ディケーションの推進という点からも、医薬品、化粧品、日用雑貨、家庭用品、食品等の幅広い 必需品を含めて取り扱うドラッグストアは消費者の健康に関するサービスを提供する健康拠点に なりえる。 図表 ドラッグストアの定義16 ・社会的基盤としてのドラッグストア(売上高、店舗数) ドラッグストア業界は、日本チェーンドラッグストア協会によれば、平成25 年度(2013 年度) における店舗数は約1 万 7 千店、総売上高は約 6 兆円に達する。同業界は、売上・店舗数とも成 長基調にあるものの、近年では売上の成長率に対しては鈍化傾向が見られる。業態の成熟化に伴 う競争の激化が進んでいると考えられる。商品別売上構成比では、医薬品が一貫して30%以上を 占めているものの、食品を含む「その他」の構成比も上昇しており、商品・サービスの多様化の 傾向が読み取れる。 図表 ドラッグストアの売上高・総店舗数の推移 資料:日本チェーンドラッグストア協会「日本のドラッグストア実態調査」 図表 ドラッグストアのカテゴリー別売上構成比の推移
17 資料:日本チェーンドラッグストア協会「日本のドラッグストア実態調査」
(2)セルフメディケーション推進拠点としての役割
・ドラッグストアの特質・強み ドラッグストア業界は、消費者のヘルスケア等の多様なニーズに応える形で、その規模を拡大 している小売業態である。ドラッグストアが持つ強みとして、実際の店舗を保有していること、 専門人材を有すること、医薬品を始めとした多彩な品揃えを持つことが挙げられる。そのため、 ドラッグストアは、今後の消費者の生活を支える重要な拠点となり得ると考えられる。 図表 ドラッグストアを巡る環境と期待される役割 出典:流通経済研究所 ・ドラッグストアを活用したセルフメディケーションの推進 消費者によるセルフメディケーションの推進のためには、消費者と身近な場所で医薬品・化粧 品・日用雑貨等の多様な商材を取り扱うドラッグストアの積極的な活用が効果的である。また、 その役割を実現するために必要なインフラ構築、地域社会との関係構築、ガイドライン整備等に ついても検討する必要がある。 また、消費者がセルフメディケーションを推進するためには、ドラッグストア等が適切な商品 の選択をサポートし、商品情報と一体的に提供することが有効である。同時に、ドラッグストア は栄養食品等の商品も取り扱っているため、個人の予防・未病改善の支援にも一定の役割を果た すことが期待される。このようにドラッグストアは消費者によるセルフメディケーションの推進 をサポートするための拠点として機能することが期待されている。 図表 ドラッグストアを活用したセルフメディケーションの推進イメージ ①高齢化社会・人口減少の進展 ②「買い物弱者」への対応 ③他の小売業との競争激化 ④消費者に対する専門性認知 の必要性 ⑤セルフメディケーション推進 気運の高まり ドラッグストアを巡る環境 消費者のニーズ ドラッグストアの役割公益的な観点からの
社会的役割
新たなマーケット創出に
つながる経済的役割
消費者
ドラッグストア
(全国1.7万店舗)情報ギャップを解消し、
セルフメディケーションを支援する
薬剤師
登録販売者
栄養管理士
店長
消費者属性
(年代・居住地等)食生活
健康診断
人間ドック
運動状況
ヒアリング
商品・商品情報提供一般従業員
等
18 出典:流通経済研究所
(3)現状のドラッグストアに対する意識
平成23 年(2011 年)に行われたアンケート調査によると、ドラッグストアは、医薬品、化粧 品、日用雑貨等を専門的に取り扱う小売業態ではあるが、消費者が評価しているのは立地(近接 性)や利便性(夜間営業)といった点である。上記のとおりドラッグストアにはセルフメディケ ーションの推進拠点としての役割が期待されているものの、実態としてはセルフメディケーショ ンには直接的に関係しない分野が重視されている。消費者の専門性の評価は低く、期待と認識に 大きなギャップが存在するとの指摘もある。 そのため、今後は商品選択時のサポートや商品そのものが安全・安心に配慮されたものである ことについて消費者への情報発信機能を強化することで潜在的な消費者ニーズに応えられる可能 性があると考えられる。同時に、ドラッグストアをセルフメディケーション推進のための拠点と して活かすためには、消費者がドラッグストアの専門知識に期待するような仕組みづくりが重要 である。 図表 ドラッグストア店舗選択時の重視点 資料:(公財)流通経済研究所「消費者の業態・店舗選択に関する調査報告書」 調査方法:インターネット調査 調査時期:2011 年 11 月 調査対象:東京圏に在住する20~69 歳の女性 1,336 名19 またドラッグストアの来店客への聞き取り調査では、来店の動機として、医薬化粧品類の購買 を主目的にする顧客(ヘルスケア&ビューティケア商品=HBC メイン)と、それ以外の食品・日 用雑貨(非HBC メイン)の購買を主目的とする顧客に分けることができる。両者を比較すると、 ドラッグストアにおいては、非 HBC を求める来客数が多いことがわかる。このことから、消費 者は必ずしもドラッグストアが持つ専門性に着目して来店しているばかりではないことが想定さ れる。 一方、購買金額で見ると、HBC メイン顧客は客単価が高く、高単価の商品を購買する傾向が見 られる。そのため、HBC メインの顧客層を取り込む努力をしつつ、当該顧客層に対しては、商品 の充実を図るとともに、高付加価値の商品に対する適切な情報提供を行うための薬剤師・登録販 売者等の専門的知見を有する人材の活用を進めていくことが重要と考えられる。
ドラッグストアの来店動機
出典:流通経済研究所 消費者調査 (鈴木(2014)「ドラッグストアにおける購買者の来店動機に着目した購買特性 分析および品揃えに関する検討」『流通情報』No.508) 調査方法:面接調査 ※来店時に来店動機となる商品を質問 調査時期:2013年6月 調査対象:関東地方のドラッグストアに来店し、商品購買を行った1,345名来店動機別の購買点数・金額
HBCメイン顧客は非HBCメイン顧客より、購 買点数は少ないものの購買金額が高い →高単価商品の購買に積極的な傾向20
(4)ドラッグストアを取り巻く環境
・他の小売業との競争激化 医薬品の販売に対する規制緩和の動きを受け、ドラッグストア以外にも、インターネット通販 やコンビニエンスストア等で医薬品を販売するケースが生まれている。 また、食品スーパー等でも、高齢化や食に対する健康意識の高まりを受けて、健康機能性食品 の販売を強化する動きがある。 これらの動きを受け、ドラッグストアとしても他の小売業と差別化を図りつつ専門的知識を有 する人材を活用し、セルフメディケーション推進のための拠点としての機能を強化していくこと が期待されている。 図表 主要業態における近年の販売手法・販売商品の変化 資料:各種資料をもとに(公財)流通経済研究所が作成21
第 2 章:ドラッグストアに期待される役割
第1 章にて、セルフメディケーションのあり方や、消費者がセルフメディケーションを推進 するに当たって、専門人材等を有するドラッグストアが果たすべき役割が大きいことが確認さ れた。第2 章ではより具体的にドラッグストアが果たすべき役割について検討をしていく。 特に、小売業態としてのドラッグストアは、多様な生活必需品を取りそろえ、生活のインフ ラとしての「社会的役割」を果たすとともに、企業体として新たなマーケットを創出していく 「経済的役割」も期待されている。そのため、当報告書ではドラッグストアの役割を「社会的 役割」と「経済的役割」に分けて論じている。これら二つの分類の役割は明確に一線を画すも のではない。互いに重なり合いながら最終的に消費者にとってどのような価値を提供できるの か、という視点が検討にあたっては必要になる。 あわせて、検討領域をセルフメディケーションに閉じることなく、わが国が抱えるその他の 課題に対してドラッグストアに求められる役割についても検討を行った。(1)ドラッグストアの社会的役割
①情報提供による消費者のサポート 消費者によるセルフメディケーションを進めるには、消費者の個々の健康状態に応じ、身体と 心の健康づくりに適切な情報提供が不可欠である。ドラッグストアとしては、健康相談や商品知 識の提供など、健康に寄与する専門業態ならではの情報提供を行うことが求められる。 なお、ドラッグストアでの情報提供に際しては、消費者の安全確保と商品・サービス提供の信 頼を担保するために、情報提供をバックアップするデータベースの構築や、信頼性を担保した商 品提供マニュアル等の整備と、薬剤師等の人材育成が重要となる。 こうした取組を進めていく際、パターン化・標準化できるサービスにおいてはデータベースや インターネット販売等を活用し、消費者との個別的なカウンセリング等に対しては対面サービス を行うといった形ですることによってサービス品質と経済合理性を両立することが可能である。 また、消費者のセルフメディケーションを適切にサポートするためには、ドラッグストアが医 療機関と適切に連携しながら、消費者の自己健康管理をサポートするための受診勧奨ガイドライ ンの策定が重要との指摘もある。22 ②グレーゾーン解消制度の活用 消費者が自らの健康状態をしっかりと把握したり、ドラッグストアが消費者に情報提供を行う にあたっては、必要に応じて産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号)に基づく、グレ ーゾーン解消制度の活用が可能である。 これまでドラッグストアが関連する分野でグレーゾーン解消制度を活用して検査・情報提供機 能を明確化した例としては、自己採血キットの活用が挙げられる。これは自己採血した血液によ る簡易な検査を行うことにより、検査結果を通知するものであり、健康管理サービス「健康ライ フコンパス」の名称で提供されている。このサービスは、簡易検査の実施やその検査結果の通知、 健康関連情報の提供が、医師のみに認められている「医行為」に該当しないことを確認したうえ で実施されている。 グレーゾーンが解消されたことにより、ドラッグストアにおける採用例は申請前(平成 26 年 (2014 年)2 月末時点)では 84 店舗だったものが、同年 11 月 17 日には 261 店舗まで拡大する に至っている。 図表 グレーゾーン解消事例「健康ライフコンパス」 採血キット 出典:経済産業省「次世代ヘルスケア産業協議会」資料 ③地域連携(地域包括ケアシステムとの連携支援) ・「地域包括ケア」への対応 我が国では、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しており、団塊の世代が全て75 歳以 グレーゾーン申請後 (2月25日以降) 解消前(2月) 84店舗 店舗数の推移 解消後(11月) 261店舗
23 上となる2025 年(平成 37 年)には、国民の 5.5 人に 1 人が 75 歳以上の高齢者となることから、 これまで以上に医療や介護需要の増大が見込まれている。 こうした中、介護が必要になった高齢者も、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期 まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地 域包括ケアシステム2」の構築が喫緊の課題となっている。 地域包括ケアシステムの構築に当たっては、市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基 づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要となっている。 「地域包括ケアシステム」が想定している、医療機関、ケアマネージャー、生活支援・介護予 防、在宅系の各種サービス事業者等のネットワークとの関係で、ドラッグストアの連携のあり方、 果たすべき役割についても検討することが必要となっている。 また、今回の研究会の開催にあたり、「セルフメディケーション推進に向けたドラッグストア企 業の実態調査」(以下、実態調査という)を実施した。実態調査によると、自治体との連携は、回 答者の過半数が「はい」と回答している。また、自社で実施している具体的な施策としては、防 災・防犯連携の回答数が多い。 厚生労働省では、2025 年(平成 37 年)を目途に、高齢者の自立に向けて地域の包括的な支援・ サービスの提供を行う「地域包括ケアシステム」に向けた取組が進んでいる。 ドラッグストアとしても、「地域包括ケアシステム」との関係で、どのような役割を果たしてい くことが可能かを検討する必要がある。 2 厚生労働省「地域包括ケアシステム」 2.地域との結びつきについて 1)御社は全体的に見て、地域自治体(市町村)との結びつきは、どのくらい強いと思いますか N= 68 ① 強い 11 16% ② ふつう 45 66% ③ 弱い 12 18% ④ その他 0 0% 2)地域自治体(市町村)と連携して行っていることはありますか N= 68 ① はい 36 53% ② いいえ 25 37% ③ わからない 8 12% ④ その他(10代での妊娠への注意喚起を区と連携して実施) 1 1% 3)次の中から、自社で実施しているものは何ですか(複数回答可) ※2)で「はい」と答えた方に回答をお願いします。 N= 34 ① 地域包括ケアシステムへの参画 6 18% ② 薬診連携 4 12% ③ 介護連携 11 32% ④ 防災・防犯連携 20 59% ⑤ その他 (※詳細は下記) 12 35% 県への車イスの寄附を毎年継続。地域マラソン大会のサポート 健康増進事業、健康関連イベント 2件 市との健康協定 休日救急診療薬局事業 社会福祉協議会委員 エコチル調査 介護認定審査会 商店街商品券の利用 /認知症サポーター 災害時の支援協定 廃棄物削減 地域行事への参加(今後拡充していきたい)
24 図表 地域包括ケアシステム 資料:厚生労働省「地域包括ケアシステム」 ④在宅調剤を通じた消費者のサポート 在宅医療の促進に向け、自宅や介護施設に処方箋医薬品を届ける在宅調剤を推進する動きが見 られる。在宅調剤の進展により、ドラッグストアにおいても薬剤師に求められる役割が広がるこ とが予想される。合わせて宅配体制の整備や、地域との連携などが求められる。 図表 在宅調剤の背景とドラッグストアの対応 資料:(公財)流通経済研究所作成
在宅調剤の背景とドラッグストアの対応
在宅調剤に向けた動き
ドラッグストアの対応
在宅調剤 自宅や介護施設などで療養している患者 に処方箋医薬品を配送し、薬剤師による 服用等の指導を行うサービス。 平成24年4月 診療報酬改定に伴い、在宅調剤に対 する報酬加算が新設される。 平成26年4月 診療報酬改定の重点課題のひとつと して在宅医療の充実が提起される。 【ココカラファイン】 グループ217店舗のうち57店舗で在宅調剤を 行っている(2012年)。 将来的には、グループ内の店舗を在宅調剤の 各店舗とサテライト店舗に編成し、地域のヘル スケアネットワークを形成したいとしている。 【クリエイトSDホールディング】 2012年から在宅調剤に注力し、横浜市および 川崎市を中心に訪問調剤の拠点整備を行っ ている。25 ⑤関連して期待される役割 国民のセルフメディケーションの推進に向け、ドラッグストアに対しても、ヘルスケアに関す る各種のサービス・付加価値提供を担う拠点としての役割が求められる。その提供範囲や内容に ついて関係機関等と調整しながら検討する必要がある 図表 ドラッグストアに期待される役割の例
健康食品の情報提供
・業界標準の商品体系の立案 ・統一情報データベースの構築 ・専門販売員の育成 等健康体操の情報発信
・健康維持のための運動の普及 ・適切な運動指導手法の検討 ・フィットネスの活用促進 等在宅介護・介護保険
・在宅介護食の販売 ・適切な商品選択のサポート ・介護情報提供員制度の拡大 等 食品コーナーで陳列 介護用品コーナーで陳列 ドラッグストアにおける介護食品の展開 「介護情報提供員制度」 ドラッグ ストア メーカー 消費者 統一情報データベース <イメージ> メーカー・小売・消費者は統一のデー タベースにアクセスして商品情報を管 理できる。26
(2)ドラッグストアの経済的役割
①セルフメディケーション推進等に関連する各種政策の動き 現在、セルフメディケーションの推進等に関連する各種政策の動きは、下図表の通りである。 これらは、ドラッグストアにとって新たなマーケットを創出する機会となっている。 特に、栄養機能食品と在宅向け介護食品に関する施策の検討等は、新たなマーケット確保の観 点から重要な機会と考えられる。ドラッグストアとしても専門的人材の知見等を活かし、店頭で の情報提供機能の強化等を図る必要があると考えられる。 図表 セルフメディケーションの推進に関連する各種政策の動き 資料:(公財)流通経済研究所作成27 ②食品の新たな機能性表示制度 食品の新たな機能性表示制度については、平成25 年 12 月から平成 26 年 7 月にかけて検討会 を開催し、最終報告書をとりまとめている。これに基づき、平成27 年 4 月から新制度が施行され る予定である。 図表 食品の新たな機能性表示制度に関する検討会報告書概要 資料:消費者庁
28 ③新しい介護食品(スマイルケア食) 農林水産省では、介護食品のあり方に関する検討会議を平成25 年 10 月から開催している。平 成26 年 11 月には「新しい介護食品」の愛称(スマイルケア食)を公表するとともに、噛むこと、 飲み込むことなどに問題を抱えた生活者を対象に、その人に合った食品を選びやすくするための 基準として「新しい介護食品(スマイルケア食)の選び方」を策定した。 また、平成27 年 3 月には「新しい介護食品(スマイルケア食)」の提供方法に関する基本的考 え方(事業者等向けガイドライン)等を作成する予定である。この中ではドラッグストアについ ての記述もあり、ドラッグストアが先行してスマイルケア食の普及に積極的に取り組んで行くこ とが期待されている。 図表 新しい介護食品(スマイルケア食)の選び方 資料:農林水産省
29 ④他の小売業との協業 ・他の小売業との協業等 セルフメディケーションの普及促進には、ドラッグストア以外の小売業態との協業が効果を持 つ可能性がある。中でもコンビニは、24 時間 365 日営業している利便性から、ドラッグストアと の連携による効果が期待できる。 また、食品スーパーは日常的な食の提供を通じた健康機能増進が期待でき、ドラッグストアと の連携による消費者の健康維持への貢献が期待できる。 医薬品の販売等、従来はドラッグストアが得意としていた領域に他業種が参入し、業態間の競 争が激化していること等を踏まえ、他の業態との差別化を図っていくためにはドラッグストアが 有する専門的知見を有する人材の活用が重要になっている。 図表 ドラッグストアと他の小売業との協業の可能性 業態 基本的な小売機能 新たな小売機能の拡張と協働の可能性 利用顧客の特徴 食品スーパー 食生活への提案機能(食卓提案、総菜提供など) 宅配などの付加サービス 「食の信頼」を核とした機能 消費者の日常的な利用「食料品の倉庫」 ・「ワンストップショッピング」による利便性提供 ・健康に応じた商品情報の提供・相互送客 (ドラッグストアで相談し、スーパーでメニュー提案等) ヘルスケア専門業態として、消費者ニーズに対応 近隣商圏にアプローチする「身近な専門家」 ・コンビニエンスストアにおける医薬品販売 ・調剤機能を伴うコンビニエンスストア 24時間365日営業し、消費者の生活に密着 消費者の日常的な利用「便利さ」を核とした機能 ドラッグストア 「情報提供」を核とした機能 コンビニエンスストア 「便利さ」を核とした機能
30 ・ドラッグストア等を含む小売業間の協働の事例
1)コンビニエンスストア
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(3)課題解決のためにドラッグストアに期待される役割
①少子化への対応 ・子連れの消費者をサポートする環境構築への貢献 ドラッグストアでは、管理栄養士等と連携しながら子育て世代のサポートのために離乳食の進 め方を指導するなどの取組が行われている。また、ドラッグストアはおむつ等の新生児が使用す るための日用品・衛生用品等を多数品揃えている。ドラッグストアの持つ販売チャネルを通じて 子供連れの方も外出先で簡単におむつ等を購入できる環境を整備することで子育て環境の整備に 貢献できるのではないか、との指摘もあり、ドラッグストアでの取組が期待される。 ・新規OTC 医薬品の導入 「日本再興戦略」改訂2014(平成 26 年 6 月閣議決定)の中で、スイッチ OTC の促進が掲げ られており、重要な取組課題となっている。関連して、日本OTC 医薬品協会から、現在処方箋が 必要とされている排卵日検査薬をOTC 化すること、またドラッグストアを通じて一般消費者も利 用しやすい環境を整備することが提案されており、今後関係者の間で議論が進むことが期待され る。32 ②高齢化に伴う諸課題への対応 ・「買物弱者3」への対応 高齢化社会の進行は、流通機能や交通網等の社会的インフラの弱体化とともに、食料品等の日 常の買物が困難な状況に置かれている人々「買物弱者」の発生・増加につながっている。 経済産業省は買物弱者の数を600 万人と推計している。 「買物弱者」は、過疎化が進んだ農村部や都市郊外の団地やかつてのニュータウン等で深刻度 を増しつつあり、社会的な課題として対応していくことが必要になってきている。 ドラッグストアは、医薬品や生活必需品等を取り揃えており、その特性から積極的な対応が期 待されている。すでに、ドラッグストアや生活協同組合の一部では、買物代行や在宅介護等に関 連したサービスを展開する取組が始まっている。更にドラッグストアの特性を生かして、外出が 困難な方を対象にした在宅調剤や、介護に関する情報提供等、通信販売等を行っていくことが期 待されている。 図表 買物弱者対応に向けた3 つの視点 (①身近な場所に店を作る) 商業機能を維持できる小規模小売店を展開する。 既存の小売店では出店できない過疎地域等において、品揃えを厳選する などの効率化に向けた工夫や、仕入れ・店舗運営のノウハウを有する事 業者との連携等を図ることで、持続的に営業可能な店舗展開を図る。 (②店まで連れてくる) 過疎地域の中間に所在する拠点を活用し、そこまでの交通手段を確保 ・複数の集落の中間に所在する拠点に商業機能を始めとする生活サービ ス(行政出張所、診療所等)を整備。併せて観光施設等も集約すること で、観光客の利用等により交通機関を効率化し、持続可能性を高める。 (③商品を届ける) 商品宅配とサービスを複合的に提供(ワンビジット・サービス) ・外出ができない高齢者等に対して、定期的に訪問する事業者を核に、 生活に必要不可欠なサービスを複合的に組み合わせることで、物流コス ト削減を図るほか、副次的な収入により採算性を確保し、持続可能性を 高める。 実態調査によると、ドラッグストア企業が行う買物弱者に対する支援策は、都市部・地方とも に「日常生活に必要な品揃えをしている」と応える割合が高い。「健康維持に必要な情報提供」は 都市部では回答者の過半数であるが、地方部では同じく 24%と、地域による差が見られる。「移 動販売者での販売」と回答した企業は都市部に1 社あるだけである。 3 経済産業省「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会報告書」(平成 22 年 5 月) ③商品を届ける ①身近な場所に店を作る ②店まで連れてくる
33 ・政府としての取組 また、政府としても買物弱者への対応を行う事業者をサポートするために平成26 年度補正予算 にて支援措置を実施。特に、様々なサービスと組み合わせる等の持続可能性が高いモデル事業を 支援し、その成果を多地域へ横展開していくことを通じて買物環境を整備している。ドラッグス トアとしても、これらの政策を活用しながら買物弱者対策についても更なる役割を担っていくこ とが期待されている。 ③リアル店舗を核とした通信販売 薬事法改正により、平成25 年 6 月から一般用医薬品のインターネット販売が認められた。店舗 を有するドラッグストアとしては、店舗による情報提供を基盤としつつ、インターネット販売を 消費者に対する商品提供の幅を広げ利便性を与えるといった、店舗の補完機能として利用するこ とが求められる。 図表 平成25 年の薬事法改正による、一般用医薬品のインターネット販売区分 1.高齢化の進展に伴う課題への対応(買い物弱者問題への役割) 1)都市部の買い物弱者に対して、取り組んでいることは何ですか(複数回答可) N= 70 ① 日常生活に必要な商品(食品、日用消耗品等)を品揃えしている 51 73% ② 医療サービスとして、店頭で利用できる医療機器(血圧計、体脂肪計、骨密度計など)を置いている 40 57% ③ 買い物サービスとして、医薬品をはじめ、店内にある商品を配達している 27 39% ④ 生活に必要な情報(食生活、レシピや日常生活等の情報)を提供している 21 30% ⑤ 健康維持に必要な情報(健康関連、栄養等の情報)を提供している 37 53% ⑥ 移動販売車での販売を行っている 1 1% ⑦ 特に行っていない 5 7% ⑧ 上記エリアへは出店していない 7 10% ⑨ その他(在宅調剤、コンビニとの提携) 2 3% 2)限界集落地区や山間僻地、農村部等の買い物弱者に対して、取り組んでいることは何ですか(複数回答可) N= 70 ① 日常生活に必要な商品(食品、日用消耗品等)を品揃えしている 29 41% ② 医療サービスとして、店頭で利用できる医療機器(血圧計、体脂肪計、骨密度計など)を置いている 18 26% ③ 買い物サービスとして、医薬品をはじめ、店内にある商品を配達している 12 17% ④ 生活に必要な情報(食生活、レシピや日常生活等の情報)を提供している 13 19% ⑤ 健康維持に必要な情報(健康関連、栄養等の情報)を提供している 17 24% ⑥ 移動販売車での販売を行っている 0 0% ⑦ 特に行っていない 7 10% ⑧ 上記エリアへは出店していない 35 50% ⑨ その他(コンビニとの提携) 2 3%
34 出典:厚生労働省HP をもとに事務局作成 実態調査によるとネット販売は、回答している企業の多くで実施されている。取扱商品は、第 一類医薬品を除いた全てのカテゴリーで回答率が高い。ネット販売の位置づけとしては、「リアル のサポート」を挙げる企業が多い。 3.リアル店舗を核とした通信販売(融合)について 1)自社で行っている通信販売は次のどれですか(複数回答可) N= 43 ① ネット販売 35 81% ② 通信販売(カタログ販売) 2 5% ③ その他 (※詳細は下記) 8 19% 電話による受付での販売 電話による配達 実施していない 5件 2)ネット販売で取り扱っている商品をお答え下さい(複数回答可) ※1)でネット販売と答えた方に回答をお願いします。 N= 33 ① 医薬品(第一類医薬品) 10 30% ② 医薬品(第二類・第三類医薬品) 27 82% ③ 医薬部外品 30 91% ④ 化粧品 30 91% ⑤ 日用雑貨 29 88% ⑥ 食品 22 67% ⑦ その他 (※詳細は下記) 1 3% 家電製品、衣料品、インテリア、カー用品、文具、玩具など 3)ネットの活用の目的は次のどれですか。主なものを一つ選んで下さい。 ※1)でネット販売と答えた方に回答をお願いします。 N= 34 ① リアル店舗をサポートするため 20 59% ② リアル店舗を強化するため 5 15% ③ リアル店舗の不備を補足するため 9 26% ④ その他 (※詳細は下記) 4 12% 都市部の買い物弱者のための営業 リアル店舗に来店できない方(ご高齢のかたで重い荷物を持って帰れないなど) 上記理由には当てはまらない 4)販売促進として自社で活用しているものは何ですか(複数回答可) N= 49 ① SNS(フェイスブック、ツイッター、ラインなど)の活用 23 47% ② ホームページを活用した店舗、商品、販促情報の提供 46 94% ③ 端末(ディスプレイ)やスマホを活用して、店内で在庫情報を提供している 2 4% ④ 端末(ディスプレイ)やスマホを活用して、店内で価格情報を提供している 3 6% ⑤ 端末(ディスプレイ)やスマホを活用して、店内でシーズン情報を提供している 8 16% ⑥ その他 (※詳細は下記) 1 2% デジタルサイネージでの商品紹介 5)その他 ※インターネットの利用等について、行政等に要望やご意見 行政がインターネット情報があれば教えて欲しい。 利用している内容を教えて欲しい
35 ④製・配・販連携 ドラッグストアにおいては、現在、季節商品等を中心に返品が発生するなど、多くのムダが存 在するとも言われている。製(メーカー)・配(卸)・販(小売)の連携により、返品削減等のサ プライチェーン効率化を実現していく上で、どのような取組が有効かについても検討する必要が ある。 なお、経済産業省も事務局として参加する製・配・販連携協議会において、ドラッグストアが 中心となって限定商品(秋限定ビール等)や季節商品(カイロ等)が終売期に売れ残ることによ る過剰な返品、廃棄の削減を目的とした商品入れ替えプロセスの見直しを行うパイロットプロジ ェクトを実施したところ、一定程度の成果が見られた。こうした取組をドラッグストア業界のよ り広い範囲で進めていくことが重要である。 図表 限定商品や季節商品の返品・廃棄プロセス なお、実態調査によると、現状の返品率は、回答社の平均では3.2%。最大は 11.5%である。 回答社のうち86%の企業が返品率の改善を意識している。返品率改善の目的としては、円滑な 商取引に次いで、社会的なコストの削減を挙げる企業が多い。改善に向けた取組としては、発注 精度の向上を挙げる企業が多い。 4.製配販の連携を通じた更なる効率化の促進(高い返品率の改善策) 1)定性的認識(各連携すべき項目) (1)返品率の改善を意識していますか N= 69 ① はい 59 86% ② いいえ 1 1% ③ どちらともいえない 9 13% (2)返品率の改善の目的は何ですか(複数回答可) N= 67 ① 利益の拡大 36 54% ② 社会的コストの削減 44 66% ③ 円滑な商取引の実現 55 82% ④ その他 (※詳細は下記) 4 6% 人件費の削減 店舗作業コストの削減 目利き力向上 無駄な費用の削減より製配販の利益向上を目指している
36 ⑤インバウンド対応/海外展開 ・外国人旅行者の増加 訪日外国人旅行者数は10 年間で倍増し、1,300 万人を突破している(前年比 29.4%増)。平成 26 年度(2014 年度)における免税制度の緩和もあり、インバウンド需要として新たな消費需要 を喚起している。特にドラッグストアで販売される化粧品等は人気の商品となっており、ドラッ グストアとしても、訪日外国人によるインバウンド需要の高まりに応えるための取組が求められ ている。 図表 訪日外国人旅行者数の推移 ・インバウンド需要の取り込み 訪日外国人の消費額は、平成26 年(2014 年)に約 2 兆円に達し(前年比約 1.4 倍)、今後、平 成32 年(2020 年)の東京オリンピックに向けた外国人旅行者の増加とともに、インバウンド需 要も増大するものと考えられる。こうした新規市場に積極的に対応していく必要がある。 (3)次のうち、自社で行っている返品率の改善に向けた取組みは何ですか(複数回答可) N= 67 ① 発注精度の向上 60 90% ② 取引条件の見直し(返品のルール化) 38 57% ③ 納品期限の見直し 9 13% ④ その他 (※詳細は下記) 5 7% ①在庫(消化状況)の進捗確認、②店舗間転送による消化促進 事前商談⇒中間商談⇒発注止め提案 処分情報を早めに知らせて最小限の値下げで対応している 出来るだけ安くするなどして売り切る 処分特価による販売でなるべく返品をなくす (4)取引先と一緒に、返品率の改善に取り組んでいますか。 N= 65 ① はい 47 72% ② いいえ 2 3% ③ どちらともいえない 14 22% ④ その他 (※詳細は下記) 2 3% 実態はまだまだ、取り組み始めたところ
37 実態調査によると、外国人旅行者に対応している店舗は、企業数(回答社中10 社)、店舗数(回 答社全体のうち235 店舗)と、限られているのが現状である。ただし、実施店舗では売上前年比 が120%と回答する企業が存在する。 対応している企業(10 社)では、特に注力するカテゴリーとしては医薬品と化粧品を挙げる企 業が、他の商品よりも多くなっている。 ・政府としての取組 また、政府としても外国人の需要を喚起する、外国人旅行者向け消費税免税店制度の改正を行 うなど、インバウンド需要の獲得に向けて積極的に支援を実施している。ドラッグストアとして は、この制度を活用し更に需要を獲得していくことが期待される。
38 ・インバウンド需要取り込みに向けた対策イメージ
政府において、外国人旅行者の買物利便性向上を目指し、外国語による商品情報提供サービス を検討している。外国人旅行者は、国内で商品の購入を検討しても、アレルギーや薬の効能等が
39 わからないと購入・利用を躊躇してしまうケースが想定される。特に外国人旅行者に人気がある 医薬品・化粧品等の用法についての関心は高いため商品情報を外国語により提供することにより 更に需要を喚起する。そのためには、メーカー・卸・小売が協力し、政府との十分な連携の下共 通フォーマットを作成し、店頭での情報提供することが効果的である。 図表 外国人旅行者等の需要獲得のためのデータベースイメージ ・ドラッグストアの国際展開 いくつかの企業では、海外出店や自社開発商品の展開など、積極的な取組が実施されている。 出典:製・配・販連携協議会資料
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