組織培養 によ るサ トイモ種苗生産技術 の確立 と
その栽培 に関す る生理生態学 的研究
Physiological and Ecological Studies on
Development of in vitrQ Corm Propagation
System of Taro (Co10Casia esculenta L。
)and the Growing Bchaviour。
山
本
雄
慈
結 論 第
I tt ln vitrO
に お け る球 茎 の 形 成 第 Ⅱ章 培 養 苗 の 順 化 ・ 土 壊 へ の 移 植 第1節
培 養 苗 の 形 状 が 移 植 後 の 生 育 に お よ ぼ す 影 響 … … … 16 第2節
培 養 球 茎 の 予 措 法 … … … 22 第 Ⅲ 章 培 養 球 茎 株 の生 育 特 性 第1節
培 養 球 茎 株 に認 め られ る特 性 … … … 25 第2節
生 育 特 性 の 品 種 間 差 ― … … … 35 第3節
早 熟 栽 培 へ の 利 用… … … 42 第
4節
早 熟 栽 培 に お け る乾 物 生 産 特 性 な ら び に 13C同 化 産 物 の 転 流 ・ 分 配 … … … 48 第5節
培 養 球 茎 株 を 用 い た 場 合 の栽 植 密 度 … … … 57 第 Ⅳ 章 培 養 球 茎 株 の 生 育 に お よ ぼ す 土 壊 水 分 の 影 響 … … … 60 第V草
培 養 球 茎 株 の 生 理 的 特 性 第1節
球 茎 の 内 生 生 長 物 質 ― … … … 67 第2節
生 長 調 節 物 質 に よ る生 育 調 節 … … … 75 第 Ⅵ 章 培 養 球 茎 を 用 い た 種 苗 生 産 シ ス テ ム の 開 発 第1節
変 異 株 の 早 期 検 出 法 一 … … … 80 第2節
球 茎 の 簡 易 大 量 培 養 技 術 の確 立 … … … 87第
3節
培 養 球 茎 の 保 存 法 … … … 98 第4節
培 養 球 茎 の 育 苗 法 … … … 102 第 Ⅶ 章 総 合 考 察 … … … 側7 ―・ ― 。一 。一・ ―・ ―・ …・ ―・ ―・ ― …・ ―・ … …・ ―・ … ◆…・ ―・ ―・ …・115 引 用 文 献 … … … …120Summary
・・・・ 。・・・ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●0● ●●●●●●●●●●●●●●●131サ トイ モ は サ トイ モ科
(Araceae)サ
トイ モ 属(Colocasia)に
属 し原 産 地 は イ ン ド,
ア ッサ ム ま た は マ レ ー シア と され て い る (星 川,
側87)。 原 産 地 以 外 に も沖 縄 以 南 の 台 湾,東
南 ア ジ ア,
イ ン ド東 部 に様 ざ ま な 形 態 を 示 す 野 生 種 が 分 布 して い る (中 尾,側
81:谷
本,1990)。
サ トイ モ 科 は107属
2000種 も あ る と さ れ る が,
こ の う ち5属
側 種 が 食 用 に さ れ て い る (高 柳,側
86)。 栽 培 種 に つ い て はx=14を 基 本 と した2倍
体 と3倍
体 の 品 種 が 成 立 して お り (中 尾,1981)
現 在 で は 熱 帯,亜
熱 帯,温
帯 に お い て 広 く栽 培 され て い る。FAO(世
界 食 料 農 業 機 構)の
統 計 に よ れ ば,側
91年 の 世 界 の 作 付 面 積 は 98.7 万ha,生
産 量 は572,4万 tで あ る。 こ れ を 地 域 別 に み る と ア フ リカ で の 生 産 が 多 く,世
界 の80%を
占 め,
ナ イ ジ ェ リア,
ガ ー ナ な ど が 側 0万tを 超 す 主 産 国 と な って い る。 ま た,
ア ジ ア,オ
セ ア ニ ア地 域 で の栽 培 も多 く 日本 で の 作 付 面 積 は 約3万
ha,生
産 量 は 40万 tで ア ジ ア で は 中 国 に次 ぐ生 産 国 で あ る。 世 界 各 地 へ の 伝 播 に つ い て は,ア
ジ ア・ 太 平 洋 地 域 で は 原 始 マ ラ イ族 の 移 動 と と も に東 南 ア ジ ア か ら オ セ ア ニ ア,
ミク ロ ネ シ ア,ポ
リ ネ シ ア な ど に2000年 以 上 前 に広 が った と され,中
国 で も紀 元 前 に 栽 培 の 記 録 が あ る。 一 方,
イ ン ド か ら西 方 へ も伝 わ り1世
紀 に は エ ジ プ トに も そ の 栽 培 の 記 録 が あ り,
さ ら に は ア フ リ カ各 地 か ら,
ス ペ イ ン に も達 した 。Colocasiaの
語 源 は ギ リ シ ャ語 のkolokasと
さ れ る。 ま た 新 大 陸 へ も 16世 紀 以 降 伝 え られ 栽 培 面 積 も増 加 して い る (星 川,側
85)。 我 国 へ は 古 代 に 南 方 か ら太 平 洋 諸 民 族 の 渡 来 に 伴 って 伝 え られ た と推 定 さ れ て い る。 栽 培 の歴 史 は 古 く,稲
作 以 前 に 日本 に渡 来 した と も考 え られ て お り ( 坪 井,1979;佐
々 木,側
82)奈
良 時 代 や 平 安 時 代 に は す で に 栽 培 の 記 録 が あ る。 サ トイ モ は 農 耕 の 儀 式 や 神 事,祖
先 を 祭 る儀 式 の 中 で は,後
世 に な っ て 伝 わ っ た サ ツ マ イ モ や ジ ャ ガ イ モ と は 異 な り,格
式 高 い 供 物 と し て 扱 わ れ て お り,米
と と も に重 要 な作 物 と して 位 置 付 け られ て い た こ と が 何 え る。 江 戸 時 代 に な ると各 地 で 多 く の 品 種 に つ い て の 記 載 が あ り (杉 山
,側
98)広
く栽 培 さ れ て い た と考 え られ て い る。 品 種 の 分 化 に つ い て み る と熱 帯 地 域 か ら温 帯 地 域 に伝 わ る 間 に 変 異 と選 抜 が く り返 さ れ 多 くの 品 種 が 成 立 して い っ た と考 え られ,中
国 の「 斉 民 要 術 」(AD
650)に
は す で に 15品 種 が 挙 げ られ て い る (星 川,側
87)o生
態 的 に は 熱 帯 諸 地 域 に は 晩 生 の親 芋 用 品 種 が 多 く,高
温 期 の 短 い 温 帯 で は 早 生 の 子 芋 用 品 種 が 広 く普 及 して い る。 サ トイ モ 属 で は お も にC.esculentaお
よ びC.giganteaの
2 種 が 栽 培 化 さ れ て い る (中 尾,側
81)。 品 種 の分 類 は形 態 的 形 質,生
態 的 特 性, 球 茎 の 食 味 等 で 行 わ れ,我
国 で 栽 培 さ れ て い る サ トイ モ に つ い て 熊 沢 ら (1956) は15品 種 群 35品 種 に 分 類 して い る。 ま た,花
器 の 形 態 と染 色 体 数 か らC.escu―lentaは
親 芋 型(Q.esculenta var esculcnta)お
よ び 子 芋 型(C.esculenta
var antiquorum)の
2つ
の 変 種 に分 類 す る試 み もあ る。 ア メ リカ を 中 心 と した 地 域 で は そ れ ぞ れdasheen,eddoeと
よ ば れ (Shan¶ugavelu,1985),親
芋 型 は 親 芋 が 大 き く子 芋 の 着 生 は 少 な く,子
芋 型 で は逆 に 親 芋 が 小 さ く,子
芋 が 多 く 着 生 す る (中 尾,
側81;高
柳,側
86)。 染 色 体 数 で はvar esculentaは
2■=28
で2倍
体 で あ り,var antiquormは
2R=42で
3倍
体 と され,我
国 で は 両 方 の 品 種 が 栽 培 さ れ る。3倍
体 型 は 子 芋 利 用 品 種 で あ る が 親 子 兼 用 種 も あ り連 続 的 に 変 異 が あ る (中 尾,1981)。
3倍
体 型 の サ トイ モ は 中 国 と 日本 で 古 くか ら栽 培 さ れ て お り中 国 起 源 と推 定 さ れ て い る。3倍
体 の 起 源 に つ い て は4倍
体 と2倍
体 と の 交 雑 に よ る と す る 説 (飛 高,側
71)も
あ る が 現 在 ま で 野 生 種,栽
培 種 を 通 じて4倍
体 サ トイ モ に 関 す る報 告 は な く,3倍
体 で は そ の 野 生 種 も存 在 す る こ と が 判 明 して い る た め,3倍
体 は 非 還 元 配 偶 子 の 授 精 に よ り2倍
体 か ら直 接 生 じた もの と推 測 さ れ て い る。 品 種 分 類 で は 新 た に 花 序 に 関 す る 形 質 を 特 性 値 と して 主 成 分 分 析 や ク ラ ス タ ー分 析 が 行 わ れ て い る(Tanimoto,1983〉
。 ま た, 最 近 で は形 態 に基 づ い た 分 類 以 外 に ア イ ソ ザ イ ム や タ ン パ ク質 を 用 い た 生 化 学 的 手 法 に よ る 分 類 も行 わ れ,
さ ら に リボ ゾ ー ム や ミ トコ ン ド リア のDNAの
変 異 に よ る 分 類(Mathew,側
92)も
行 わ れ る よ う に な り品 種 の 類 縁 関 係 が よ り詳 し 2く明 らか に さ れ よ う と して い る。 サ トイ モ は 熱 帯 で 同 様 に主 食 と さ れ る キ ャ ッサ バ や ヤ ム 芋 に 比 べ 栄 養 学 的 に も優 れ て お り
,熱
帯 で は 主 食 あ る い は 準 主 食 と な る 重 要 な 作 物 と な っ て い る地 域 が あ る (久 木 村 ・ 高 柳,側
85;久
木 村 ・ 高 柳,1992)。
球 茎 は 収 穫 後 の 貯 蔵 が 容 易 で 主 食 あ る い は副 食 と して の 用 途 は 広 い。 主 食 と して の 利 用 は主 に 熱 帯 地 域 で 行 わ れ,焼
食 や蒸 食 の 他,発
酵 した ノ リ状 の 食 物 と して も用 い られ る。 我 国 や 中 国 で は副 食 と して 利 用 さ れ,多
様 な 方 法 で 調 理 さ れ る。 ま た,地
上 部 も若 い 葉,葉
柄 等 が 食 用 に さ れ る。 サ トイ モ は 湿 潤 な 気 候 に適 し,湿
地 で 良 く生 育 し,台
湾 や ポ リ ネ シ ア 等 の 太 平 洋 の 島 し ょ部 で は 湛 水 栽 培 も行 わ れ て い る (黄,1991)。
しか し,潅
漑 に よ り畑 地 で も良 く生 育 す る。 上 壌 も火 山 灰 土 に も ま た 乾 燥 を 防 止 す れ ば 砂 上 で も 良 く生 育 す る。 さ ら に 多 くの 野 生 の サ トイ モ が 半 日 陰 に 群 生 して い る よ う に 日 陰 で も良 く生 育 す る 耐 陰 性 植 物 で あ る。 気 温 と上 壊 水 分 さ え 確 保 さ れ れ ば 環 境 に対 す る適 応 性 は 広 く栽 培 の 適 地 は 広 い。 我 国 で は 伝 統 的 野 菜 に 属 す る サ トイ モ の 栽 培 面 積 は戦 後 食 事 の洋 風 化 に 伴 い減 少 して い るが,多
湿 を 好 む こ と か ら 近 年 で は重 要 な 水 田 の 転 作 作 物 と して 生 産 が 振 興 さ れ,各
地 で 産 地 が 形 成 さ れ て い る。 サ トイ モ は 栄 養 繁 殖 性 の 作 物 で あ リー 般 に は栄 養 繁 殖 体 で あ る 球 茎 を種 芋 と して 植 え る こ と に よ り栽 培 さ れ る。 我 国 で の 収 量 は 早 熟 栽 培 で70∼
側Okg/a,
普 通 栽 培 で 100∼300kg/aで
あ る。 こ れ に 対 して 種 芋 は 30∼40kg/a必
要 と さ れ る。 した が って 一 般 の 栽 培 に お け る増 殖 率 は非 常 に低 く収 穫 物 の う ち次 国 の 栽 培 用 の 種 芋 とす る 割 合 も高 い。 こ の た め 増 殖 率 は 同 じ芋 類 で あ る ジ ャ ガ イ モ の1/21こ も満 た な い。 ま た,1991年
度 の 農 産 物 生 産 費 調 査 に よ れ ば 生 産 費 に 占 め る種 苗 費 の 割 合 は 穀 類 で あ る水 稲 の 約4%,小
麦 の7.7%に
比 べ は る か に 大 き く,35%に
も達 す る。 特 に 熱 帯 で 栽 培 さ れ る親 芋 用 品 種 で は 分 け つ が 少 な く 増 殖 率 や 生 産 性 は 非 常 に 低 く な って い る (久 木 村 ・ 高 柳,1985)。
増 殖 率 を 上 げ る た め 球 茎 の分 割,育
苗 に よ る増 殖 法 (松 本,側
88)も
考 え ら れ て い る が 飛 3躍 的 向 上 は 望 め な い 。 我 国 に お け る サ トイ モ の作 型 分 化 は 他 の 野 菜 に 比 べ て 少 な く
,農
林 水 産 省 野 菜 ・ 茶 業 試 験 場 の 調 査 試 料 (側88)に
よ れ ば ハ ウ ス を 利 用 した 促 成 栽 培 は ご く 一 部 の 地 域 で 見 られ る に す ぎ な い 。 サ トイ モ は大 型 の 葉 を 着 生 し,草
丈 が 側0 ∼150 cmに 達 す る こ とか ら施 設 で の 高 密 度 の 栽 培 に は不 適 で あ る。 さ ら に,品
種 に は 早 晩 が あ り,
ま た,同
一 品 種 で も収 穫 期 の 幅 が 広 く,貯
蔵 も容 易 で あ る た め プ ラ ス テ ッ ク ト ン ネ ル に よ る早 熟 栽 培 を 取 り入 れ る だ け で ほ ぼ 周 年 に 近 い 供 給 が 可 能 で あ る こ と も作 型 の 分 化,作
期 の 前 進 化 を 妨 げ て い る。 しか し,貯
蔵 も の が 品 薄 と な り ま た 発 芽 して 品 質 が 不 良 に な る 春 以 降 は価 格 が 高 くな る た め こ の 時 期 に 単 位 面 積 当 た り の 生 産 性 の高 い 作 型 が 開 発 で きれ ば 収 益 性 は 向 上 し新 た な作 型 と して 定 着 す る は ず で あ る。 早 熟 栽 培 は生 育 を早 め る た め 催 芽 し た 種 芋 を プ ラ ス テ ッ ク トン ネ ル 内 に 移 植 す る方 法 が と られ,ハ
ウ ス で の 栽 培 に 比 べ 生 産 費 を 低 く抑 え る こ と が で き る た め 西 南 暖 地 で 行 わ れ て い る。 しか し, サ トイ モ は 発 根 初 期 の 水 分 の 多 い主 根 が 切 断 され る と側 根 の 生 育 が 弱 い た め 催 芽 後 す み や か に本 国 に定 植 す る必 要 が あ る (飛 高,1977)。
こ の た め 従 来 の 催 芽 植 え に よ る 前 進 化 に も限 界 が あ る。 近 年,園
芸 作 物 の 産 地 育 成 や 施 設 化 に伴 い 優 良 種 苗 に 対 す る需 要 が 増 加 して い る。 一 方 バ イ オ ナ ー サ リー (Bio―nursary:植
物 組 織 培 養 に よ る種 苗 生 産 シ ス テ ム)に
関 す る研 究 の 進 展 に よ り栄 養 繁 殖 性 作 物 を 中 心 に培 養 系 を 利 用 した 種 苗 の 大 量 増 殖 が 可 能 と な り つ つ あ る。 す で に栄 養 繁 殖 性 の 花 き,野
菜 類 で は 培 養 苗 が 商 業 ベ ー ス で 供 給 さ れ 始 め て い る。 サ トイ モ で も ウ イ ル ス フ リー 種 苗 の 配 布 が 一 部 で 開 始 され る な ど実 用 に近 い 技 術 と な って い る。 しか し,従
来 の 方 法 で は サ トイ モ 培 養 苗 は他 の 作 物 と 同 様 に 外 部 環 境 に 適 応 さ せ る た め,
ミス ト装 置 等 の 環 境 制 御 が 可 能 な 施 設 を 用 い た 順 化 が 必 要 と さ れ,一
般 の 生 産 者 が 培 養 苗 を 直 接 栽 培 に 利 用 す る こ と は で き な い。 ま た,作
業 が 煩 雑 で 大 量 の 種 苗 を 一 時 に植 え 出 す こ と は 困 難 で あ る。 この た め ウ イ ル ス フ リー種 苗 は 網 室 で 二 次 増 殖 後,生
産 者 に 配 布 され て い る。 しか し,網
室 の 面 積 は 限 ら れ,
ま た,栽
培 で の 球 茎 の 増 殖 率 が 低 い た め 供 給 で き る 種 苗 の 数 は少 な い。 こ の た め
,大
面 積 で の 栽 培 に 対 応 す る に は 大 量 増 殖 した 培 養 苗 を 直 接 生 産 に用 い る技 術 を 確 立 す る必 要 が あ る。 培 養 系 の 利 用 に よ り優 良 種 苗 の 増 殖 を 行 い 種 苗 を 大 量 に 供 給 す る こ と が 可 能 に な れ ば 生 産 物 を す べ て 消 費 で き る た め 種 苗 の 増 殖 率 や 生 産 性 は飛 躍 的 に 向 上 す る。 ま た,種
芋 を 介 して 伝 播 す る 病 害 虫 の 被 害 も減 少 す る と 考 え ら れ る。 伝 統 的 な 野 菜 で あ る サ トイ モ に つ い て も こ の よ う な 技 術 を 利 用 し た 生 産 性 の 向 上 が 望 ま れ る。 サ トイ モ は 球 茎 を 種 芋 と して 用 い た 栽 培 を 行 うた め組 織 培 養 に よ り大 量 増 殖 され た 種 苗 の 栽 培 へ の利 用 で は 従 来 の 栽 培 技 術 を そ の ま ま 利 用 す る こ と は 困 難 で あ る。 培 養 苗 の 生 育 に つ い て は サ トイ モ で は網 室 で2次
増 殖 し た ウ イ ル ス フ リー種 芋 株 の 生 育 に つ い て は 詳 しい 報 告 が あ る (森 下 ・ 山 田,1984;Mori―
shita,側
88;長
田 ・ 後 藤,側
89)も
の の,培
養 苗 を 直 接 栽 培 し た 例 は 少 な く そ の 生 育 特 性 に つ い て 詳 しい 調 査 は 行 わ れ て い な い。 ま た,培
養 苗 は 圃 場 へ の 移 植 後 も培 養 中 に 受 け た 環 境 や 培 地 の 影 響 が 引 き続 い て 現 わ れ,慣
行 の 種 苗 に 比 べ 生 育 の 様 相 が 異 な る こ と が イ テ ゴ,ユ
リ等 で 知 られ て い る。 (新 美,側
84;Takayamaら
,1982)。
した が って,培
養 苗 を 利 用 した 栽 培 を 成 立 さ せ る た め に は 慣 行 の 株 と異 な る と考 え られ る培 養 苗 の 生 理 や 生 態 的 な 解 析 が 必 要 で,培
養 苗 の 生 育 特 性 を う ま く利 用 した 栽 培 方 法 の 確 立 が 望 ま れ る。 さ ら に,実
用 的 技 術 と す る た め に は 均 ― な 種 苗 を 低 価 格 で 大 量 に 供 給 す る 種 苗 生 産 技 術 体 系 の 確 立 が 必 要 で あ る。 本 研 究 はin vitroで
の 球 茎 形 成 に よ り培 養 系 を 利 用 した 球 茎 の 大 量 増 殖 法 を 確 立 し,
さ ら に 培 養 球 茎 の順 化 ・ 育 苗 法 を 確 立 して 種 苗 生 産 シ ス テ ム と して 発 展 さ せ よ う と した も の で あ る。 ま た,培
養 球 茎 株 の 生 育 を 生 態 的 側 面 か ら解 析 し,特
性 を 明 らか に す る と と も に そ の 特 性 を 生 か した 栽 培 方 法,作
型 を 樹 立 す る こ と に よ り組 織 培 養 と栽 培 の 分 野 を 結 び 付 け,生
産 性 の 向 上 に 貢 献 し よ う と した 。 本 研 究 を 遂 行 す る に あ た り御 懇 篤 な 御 指 導 を 賜 っ た 鳥 取 大 学 教 授 田 辺 賢 二 博士
,山
口大 学 教 授 加 古 舜 治 博 士,鳥
取 大 学 教 授 山 根 幹 世 博 士,鳥
取 大 学 田 村 文 男 講 師 に衷 心 よ り御 礼 申 し上 げ ます。 また,研
究 の実 施 に つ き適 切 な御 助 言 と 御 協 力 を戴 い た山 口 県 農 業 試 験 場 園 芸 部 長 加 藤 勉 博 士,生
物 工 学 班 班 長 松 本 理 博 士,野
菜 研 究 室 片 川 聖 室 長 に厚 くお礼 申 し上 げ ます。 さ らに,成
分 分 析 に御 協 力 い ただ い た 鳥 取 大 学 農 学 部 園 芸 学 研 究 室 の方 々,栽
培 に御 協 力 い た だ い た 山 口県 農 業 試 験 場 野 菜 研 究 室 の 関 係 各 位,現
地 で の実 証 栽 培 に御 協 力 いた だ い た農 業 改 良 普 及 所 お よび,多
くの生 産 者 各 位 に対 し深 く感 謝 の 意 を表 します。-6-第
I章
In vitro
に お け る 球 茎 の 形 成
サ トイ モ で は これ ま で に茎 頂 培 養 系 が 確 立 され,茎
頂 か ら再 生 され た 培 養 苗 の 順 化 ・ 土 壌 へ の 移 植 も行 わ れ て い る。 しか し,い
ず れ も培 養 し た 幼 植 物 を 順 化 す る 方 法 が と られ て い る (森 下,側
78:松
本 側81;長
田,1989)。
我 国 で 栽 培 さ れ る サ トイ モ の 殆 ど の 品 種 は3倍
体 で あ り,種
子 を 形 成 せ ず (飛 高,1977)
増 殖 は 栄 養 繁 殖 体 で あ る球 茎 に よ り行 わ れ る。 一 般 に 栄 養 繁 殖 体 は生 育 中 の 植 物 体 に 比 べ 低 温 や 乾 燥 等,不
良 環 境 に 対 す る耐 性 が 強 い 。 した が っ て,サ
トイ モ で もin vitroで
培 養 苗 に球 茎 を 形 成 で き れ ば,培
養 苗 を そ の ま ま用 い る 場 合 に 比 べ て 土 壊 へ の 移 植 や 順 化 が 容 易 に な る と考 え られ る。 同 様 に 栄 養 繁 殖 性 作 物 で あ る ユ リ,
ジ ャ ガ イ モ で はin Vitroで の 球 形 や 塊 茎 の 形 成 条 件 が 明 らか に され て い る (Koda・Okazawa,1983;玉
,側
85;新
美,側
90)。
ま た,培
養 苗 を 外 部 環 境 へ 移 す 手 段 と して 栄 養 繁 殖 体 を 利 用 す る 方 法 が 試 み ら れ て い る (Takayamaら
,側
82;秋
田 ・ 高 山,19開
)。 本 章 で はin vitroで
の 球 茎 形 成 条 件 を 明 らか に す るた め 品 種 `石 川 早 生'を
用 い 培 地 組 成 お よ び 培 養 条 件 が 培 養 苗 の 形 態 に お よ ば す 影 響 に つ い て 検 討 した 。 ま た,品
種 間 差 に つ い て も検 討 した 。 材 料 お よ び 方 法 実 験1.
シ ョ糖 濃 度 お よ び光 条 件 が 培 養 苗 の 形 態 に 及 ぼ す 影 響品 種 `石川 早 生
'の
茎 頂 部 分 約0.2mmを 摘 出 してBA O.02mg/史
,NAA O.02mg
/史
を 添 加 した シ ョ糖 濃 度8%MS液
体 培 地 で 40日 間 培 養 して 苗 条 を 誘 導 した 。 こ れ ら の苗 条 を シ ョ糖 濃 度8%の
MS液体 培 地 に移 し,基
部 に球 茎 を 形 成 し た 苗 条 を 得 た。 次 に球 茎 部 分 を3∼ 4個
に 分 割 し シ ョ糖 濃 度3%の
MS培地 に 移 して 分 割 球 茎 か ら 多 数 の シ ュ ー トを 伸 長 させ た 。 シ ュ ー トを 個 々 に 分 割 し,再
び 同 様 の 培 地 で 10日 間 培 養 し発 根 した 苗 条 を 得 て 試 験 に 用 い た 。In vitroに お け る 効 率 的 な 球 茎 の 形 成 条 件 を 明 らか に す る た め 光 条 件 を 明 条 件 (培 養 棚 面 に お け る光 量 子 束 密 度;30μ
mo卜m e,s t,16hr日
長)お
よ び 暗 条 件,培
地 の シ ョ糖 7濃 度 を
3, 5,8, 10%と
して 25℃ で 40日 間 培 養 した 後,培
養 苗 の形 態 を 調 査 した 。 実 験2.浸
透 圧 が 培 養 苗 の 生 長 と形 状 に お よ ぼ す 影 響 実 験1と
同 様 の 方 法 で 得 た 発 根 した 苗 条 を 材 料 と した 。 シ ョ糖 濃 度2%MS液
体 培 地 に マ ニ トー ル を 濃 度 が0%か
ら1%お
き に7%ま
で 添 加 し,浸
透 圧 を 変 え た 培 地 に よ り培 養 を 行 った 。200m史
フ ラ ス コ に 培 地 を50m観入 れ,苗
条 を 10個 体 ず つ 置 床 し た。 培 養 条 件 は 実 験1の
明 条 件 と同 様 と し,30日
間 培 養 した 後, 培 養 苗 の 形 状 を 調 査 した 。 実 験3.生
長 調 節 物 質 が 培 養 苗 の 形 態 に お よ ぼ す 影 響 実 験1と
同 様 の 方 法 で 得 た 発 根 した 苗 条 を 材 料 と した 。 MSの 固 形 培 地 (ゲ ル ラ イ ト濃 度0.2%)に
第3表
に 示 す よ うに3種
類 の 生 長 調 節 物 質 す な わ ちPP―333 (Paclobutrazol), S07 (Uniconazol)
お よ こドBA (6-Benzylalninopurine )
を 添 加 し
,'9×
9×
9 cmの 大 き さ の 培 養 容 器 に50m史ず つ 分 注 して 用 い た 。 苗 条 を 各 容 器 に 10個 体 植 え 付 け培 養 した 。 培 養 条 件 は 実 験1の
明 条 件 と同 様 と し40 日間 培 養 を 行 った 後,培
養 苗 の 形 態 を 調 査 した 。 実 験4.In vitroに
お け る球 茎 形 成 の 品 種 間 差 サ トイ モ は 球 茎 の 利 用 部 位 や 着 生 形 態 に よ り親 芋 利 用 型 品 種,子
芋 利 用 型 品 種 お よ び こ れ らの 中 間 の 親 子 兼 用 品 種 に分 類 され る。 我 国 で 多 く栽 培 さ れ る子 芋 利 用 型 に 属 す る品 種 群 (林,側
73;飛
高,側
71;熊
沢 ら,側
56)を
代 表 して い る と思 わ れ る `烏 播', `土
垂', `早
生 小 蓮 葉 芋', `石
川 早 生'の
4品
種 に 加 え 変 異 系 統1系
統 (親 芋 利 用 型)を
用 い た 。 こ の う ち変 異 系 統 は `石川 早 生'の
培 養 中 に 誘 発 さ れ た 変 異 個 体 を 栽 培 に移 し増 殖 した 系 統 で 子 芋,孫
芋 の 着 生 が 極 め て 少 な く親 芋 が 肥 大 す る系 統 で あ る。 これ ら の 品 種 ・ 系 統 のinvitrOで
の 球 茎 形 成 に つ い て 比 較 した。 実 験1と
同 様 な 方 法 で 得 た 各 品 種 系 統 の 苗 条 を用 い,
シ ョ糖 濃 度8%MS液
体 培 地50m史を 入 れ た200m史
フ ラ ス コ に10個 体 ず つ 置 床 した。 実 験1の
明 条 件 と 同 様 の 培 養 条 件 で 40日 間 培 養 後,培
養 苗 の 生 育 を 調 査 した。果 結 実 験
1.
シ ョ糖 濃 度 お よ び光 条 件 が 培 養 苗 の 形 態 に お よ ば す 影 響 培 地 の シ ョ糖 濃 度 と光 条 件 に よ る 培 養 苗 の 形 態 の 変 化 を 第1表
に示 した 。 茎 葉 部 の 生 育 量 は シ ョ糖 濃 度 が 高 くな る程 小 さ くな っ た。 球 茎 の 大 き さ,球
茎 重 は シ ョ糖5∼
8%で
大 き く,10%で
最 も小 さ か っ た 。 根 重 は シ ョ糖5%で
最 大 と な っ た。 光 条 件 に つ い て み る と,暗
条 件 下 で は 明 条 件 下 に 比 べ て 茎 葉 部 の 生 育 量 は シ ョ糖10%を
除 く3∼
8%区
で 明 らか に大 き か っ た 。 球 茎 の大 き さ,重
さ に つ い て は 光 条 件 に よ る差 は ほ と ん どみ られ な か った 。 実 験2.浸
透 圧 が 培 養 苗 の 生 長 と形 状 に お よ ぼ す 影 響 培 地 浸 透 圧 が 培 養 苗 の 生 長 に お よ ぼ す 影 響 を 調 べ た 結 果 は第2表
に 示 す と お りで あ っ た 。 培 地 へ の マ ニ トー ル 添 加 量 が 多 くな り浸 透 圧 が 上 昇 す る に した が い 地 上 部 の 生 育 は 抑 制 さ れ,根
の 生 育 も不 良 とな っ た。 しか し,球
茎 の 肥 大 は マ ニ トー ル1∼
4%添
加 で 無 添 加 に 比 べ 促 進 され た 。 マ ニ トー ル の 添 加 量 が6%以
上 で は 球 茎 は 無 添 加 に比 べ 小 さ くな っ た 。 培 地 浸 透 圧 は シ ョ糖2%+マ
ニ トー ル2%が
シ ョ糖5%単
独 添 加 培 地 に近 く,
シ ョ糖2%+マ
ニ トー ル4%が
シ ョ糖8%単
独 添 加 培 地 に近 か った 。 これ ら浸 透 圧 が 同 程 度 の 培 地 で の 苗 条 の 生 育 を 比 較 す る と,地
上 部 は ほ ぼ 同 程 度 の 生 育 を 示 す が 球 茎 の 肥 大 は マ ニ トー ル で 浸 透 圧 を 調 整 した 培 地 で は シ ョ糖 単 独 の 培 地 で の肥 大 に お よ ば な か っ た。 実 験3.生
長 調 節 物 質 が 培 養 苗 の 形 態 に お よ ば す 影 響PP-333や
S07を
培 地 に 添 加 した 場 合,培
養 苗 の 車 丈 は 無 添 加 の 培 地 に 比 べ 低 くな っ た (第3表
)。 同 濃 度 の 場 合,PP-333に
比 べS07の
方 が よ り車 丈 の 抑 制 効 果 が 高 か っ た。 地 上 部 の 重 量 はS07で
は 無 添 加 に 比 べ 低 くな っ た がPP-333で
は 無 添 加 と差 が 認 め られ な か った 。 地 下 部 の 生 育 で は根 の 生 育 はPP-333お よ びS07の
添 加 で 促 進 さ れ た が 球 茎 の肥 大 に は む しろ抑 制 的 で あ った 。 培 地 に BAを 添 加 した 場 合 は地 上 部,地
下 部 と も に 無 添 加 に比 べ 生 育 が 劣 り,球
茎 の 肥 大 も 小 さ か った 。 実 験4.In vitroに
お け る球 茎 形 成 の 品 種 間 差ショ糖濃度
葉重
球茎重
球茎直径
根重 ,D ・b a a 明 d c ・b a 日音
第
2表
培 地浸 透 圧 が 培 養 苗 の生 育 に お よ ばす 影 響 ︲いいI 0 1 2 3 4 5 6 7 0 0 0。 161 0。 219 0.279 0。 349 0.407 0.480 0,551 0。 613 0。 276 0,409103.2 f
75.Oe
50,Od
37.7c
31.5 bc24.lb
14.2a
B。
9a
53.7d
26.5b
609 g 312 f 185 e 135 cde 107 bcd 77 abc 53 ab 21 a 165 de 81 abc 6.2 cd 6,7 de
7.le
7.Oe
6.8e
6.lc
5。5b
4.4a
8.2f
8.lf
281 cd 321 de 346 e 324 de 315 0e 241 bc 217 b l15 a 474 f 466 f 210 f 163 e l12 d 91 c 52 b 43 b 22 a 21 a93c
40 bZダ
ン カ ン の多 重 検 定5%水
準 .第
3表
生 長調節物質 が培養苗 の形態 におよぼす影響 添加生 長調節草 丈 地上部
球 茎 直径 球茎重量 根 長
根童量 宅殉婆肇 (mln) 逼巨匿藍 (mg) (mm) (mg) (mm) (mg) PP-338 1mg/史 32 bZ 256 c 8。 2 b 557 b 66 b 822 d S07 1mg/食 19 a 140 b 7.9 b 543 b 53 a 684 c BA 2mg/史 17 a 75 a 5。
9 a 362 a 50 a 139 a
策К潟ヽカロ 58 c 258 c 8.6 c 658 c 78 c 498 bZダ
ンカ ンの多重検定5%水
準. 第4表
品種・ 系統 の培養 球茎 の大 き さ 品 種・ 系 統球 径
(mm)
球 重 (mg) 烏 播10,9 dZ 1291 d
土 垂8,8c 653b
早生小蓮 葉芋7.7b 612b
変異 系統6.8a 438a
石川早生9.2c 756c
Zダ
ンカ ンの多重検定5%水
準 .-12-IR VitrOで の球 茎 の形 成
,肥
大 は 第4表
に 示 す と お り品 種 ・ 系 統 間 で 差 が 認 め られ た。 子 芋 利 用 型 品 種 で 個 々 の 球 茎 重 が と りわ け大 きい 特 性 を 持 つ `烏 播'は
in vitroで
も大 き い 球 茎 を 形 成 した 。 親 芋 利 用 型 の 変 異 系 統 の 球 茎 童は 他 の 品 種 に 比 べ て 小 さ か った 。 考察 培 養 苗 の 地 上 部 の 形 態 に つ い て 本 條 ・ 高 倉
(1987)は
シ ン ピ ジ ュ ウ ム で,Takayamaら
(1982)は
ユ リで,山
本 ・ 松 本 (側90)は
ハ ス で,
い ず れ も培 地 シ ョ糖 濃 度 を 高 め る に した が い 地 上 部 の 生 育 が 抑 制 さ れ るこ と を 報 告 して い る。 サ トイ モ で も 同 様 に シ ョ糖 濃 度 が 高 くな る と草 丈,地
上 部 の 生 育 量 と も に 小 さ くな っ た 。 培 地 シ ョ糖 濃 度 がin vitroで の 栄 養 繁 殖 体 形 成 に お よ ぼ す 影 響 に つ い て は 種 々 検 討 され て い る。 ジ ャ ガ イ モ で は6∼
8%の
シ ョ糖 濃 度 が 塊 茎 の 形 成 に 必 要 で あ る と さ れ て い る (高 山,側
85;Hu,Wang,側
82)。 ハ ス で は 培 地 シ ョ糖 濃 度 が 高 くな る に 従 い 節 間 が 短 縮 した 肥 大 根 茎 を 形 成 す る (山 本・ 松 本, 側90)。 ま た,他
の 栄 養 繁 殖 性 作 物 に つ い て サ サ ユ リ子 球 の肥 大 に つ い て はシ ョ糖 濃 度8∼
10%(河
原 林,1991)が ,ナ
ガ イ モ 塊 茎 の 形 成 に は8%(在
原 ・ 原 田, 1990)が
,
さ ら に シ ョ ウ ガ で は 根 茎 の 形 成 に8%(藤
岡, 1992)が
そ れ ぞ れ 適 す る こ とが 明 らか に さ れ て い る。 こ れ らの 結 果 はい ず れ も高 濃 度 の シ ョ 糖 を 含 む 培 地 に お い て 貯 蔵 器 官 で あ る栄 養 繁 殖 体の 形 成,肥
大 が 促 進 され る こ と を 示 して い る。 サ トイ モ も他 の 栄 養 繁 殖 性 作 物 と 同 様の 傾 向 を 示 し,培
地 シ ョ糖 濃 度 が 高 くな る に した が い 貯 蔵 器 官 で あ る球 茎 の 肥 大 が 認め られ た 。 光 条 件 に 対 す る反 応 は 作 物 の 種 類 に よ り異 な る が,培
養 時 の 光 条 件 も栄 養 繁 殖 体 の 形 成 に 影 響 す る こ とが 明 らか に な っ て い る。 ス イ セ ン (SteiniZ・ Yahel,1982),
イ ー ス タ ー リ リ ー(Stimart,Asher,1978)で
は そ れ ぞ れ 暗 黒 条 件 下 が 適 す る と さ れ て い る。 しか し,サ
トイ モ `石川 早 生'で
は 球 茎 の 肥 大 に つ い て は 光 条 件 の 違 い に よ る差 は わ ず か で あ っ た。 暗 黒 条 件 下 で は 地 上 部が 徒 長 し て 葉 の 重 量 が 大 き く な る こ と か ら光 条 件 は 明 条 件 が 適 す る と考 え られ る。 こ れ ら の 結 果 か ら ホ ル モ ン フ リー MS液 体 培 地 を 用 い た 静 置 培 養 条 件 と して は-13-明 条 件
,
シ ョ糖 濃 度8%が
球 茎 の 肥 大 を 良 く し,茎
葉 お よ び 根 の 生 育 を 抑 制 す る と い う 目 標 に最 も適 合 した 。 培 養 苗 の 地 上 部 は 実 験2の
結 果 に 見 られ る よ う に 培 地 に マ ニ トー ル を 添 加 し, 浸 透 圧 を 高 め た 場 合 に も シ ョ糖 濃 度 を 上 げ た 場 合 と類 似 し た 生 育 を 示 した 。 し か し,球
茎 の 肥 大 に つ い て は マ ニ トー ル で 培 地 浸 透 圧 を シ ョ糖 濃 度 を 上 げ た 場 合 に 相 当 す る 値 に して も シ ョ糖 の 場 合 と同 程 度 の 効 果 は 認 め られ な か っ た 。 浸 透 圧 の 影 響 に つ い て は ジ ャ ガ イ モ の 塊 茎 形 成 に つ い て も同 様 の 結 果 が 得 ら れ て い る (高 山,1985)。
ま た,
テ ッポ ウ ユ リで は 山 形 ら( 1990)が
ソ ル ビ トー ル を 用 い て 培 地 浸 透 圧 を 変 え て 試 験 を 行 い,球
根 の 形 成 に 関 し培 地 の 初 期 浸 透 圧 が0∼
8 atmの
範 囲 で は殆 ど変 化 が な く,浸
透 圧 の 影 響 が 小 さ い こ と を 報 告 して い る。 サ トイ モ 球 茎 の 肥 大 に つ い て も培 地 の 浸 透 圧 は 地 上 部 の 生 育 抑 制 を 通 して 関 与 す る が,浸
透 圧 の 効 果 だ け で は 説 明 で き な か っ た。 球 茎 の 肥 大 は 培 地 浸 透 圧 と シ ョ糖 自 体 の 栄 養 と して の 利 用 に よ る効 果 と考 え られ る。 培 地 に 添 加 す る生 長 調 節 物 質 も栄 養 繁 殖 体 の 形 成 に 影 響 す る。 ジ ャ ガ イ モ で は サ イ トカ イ エ ン の 影 響 が 大 き く,暗
黒 条 件 下 で は 高 濃 度 の サ イ トカ イ ニ ンが 塊 茎 の 形 成 に 必 要 と され る (高 山,1985)。
ま た,作
物 に よ り栄 養 繁 殖 体 の 形 成 を 促 進 す る 生 長 調 節 物 質 の 種 類 と濃 度 は 異 な り,
タ マ ネ ギ で はNAAと
BA(
Matsubara, 1991),
カ ン ラ ンで はNAAと
Kinetin(Hasegawa,
側87),
ユ リで はNAAと
ご く低 濃 度(0.001mg/父
)の
BAが 子 球 や 根 茎 の 肥 大 を 促 進 す る こ と が 報 告 さ れ て い る。 こ れ に 対 して 地 上 部 の 生 育 を 促 進 す るGAに つ い て は ジ ャ ガ イ モ (高 山,側
85)や
タ マ ネ ギ(Matsubara,側
91)で
そ れ ぞ れ 塊 茎 お よ び 球 茎 の 肥 大 に抑 制 的 に働 く こ とが 明 か に され て い る。 サ トイ モ で は BAお よ び生 長 抑 制 物 質 で あ るPP-333(上
野,1989),S07(泉
ら,1989)を
培 地 に添 加 した 結 果 は い ず れ も球 茎 の 肥 大 を 促 進 す る効 果 は 認 め られ て い な い。 しか し,S07で
は 地 上 部 の 生 育 を 大 き く抑 制 す る作 用 が あ る こ とか ら培 養 器 当 た りの 置 床 数 や 培 地 当 た り培 養 個 体 数 を 増 や せ る可 能 性 が あ り,今
後 大 量 増 殖 で の 利 用 に つ い て さ ら に検 討 す る必 要 が あ る。 サ トイ モ で は茎 頂 か らの 苗 条 誘 導 に はNAAや
BA-14-等 の ホ ル モ ン の 培 地 へ の 添 加 が 必 要 で あ る
(Morishita,側
88)。
しか し,球
茎 形 成 は生 長 調 節 物 質 無 添 加 で も培 地 の シ ョ糖 濃 度 を 上 げ る こ と で 容 易 に 促 進さ れ る こ と が 明 らか に な った 。
-15-第 Ⅱ章
培 養 苗 の 順 化・ 土 壊 へ の 移 植
第1節
培 養 苗 の 形 状 が 移 植 後 の 生 育 に お よ ば す 影 響 組 織 培 養 に よ っ て 生 産 され る種 苗 は 培 養 器 内 の 高 湿 度,富
栄 養 条 件 下 で 生 育 す る た め,環
境 ス ト レ ス に弱 く,培
養 器 か ら外 部 へ の 移 植 時 の 環 境 の 急 激 な 変 化 に 順 応 す る こ と が 困 難 で あ る。 培 養 苗 を そ の ま ま 植 え 出 した 場 合 は 活 着 率の 低 さ や 移 植 後 の 生 育 の 不 良 が 問 題 に な る。 こ の た め 徐 々 に 外 部 環 境 に 慣 ら して い く順 化 の 過 程 で は 培 養 苗 の 生 理 機 能 に応 じた き め 細 か い 環 境 調 節 が 必 要 で あ る。 した が っ て,順
化 に は 湿 度 制 御 の た め ミス トな ど の 装 置 を 必 要 と し,
北 お よ び 気 温 等 も必 要 に 応 じ制 御 さ れ る。 一 方,培
養 に 用 い た 培 地 や 培 養 環 境,順
化 前 の 前 培 養,苗
の 形 態 等 に よ り順 化 が 容 易 に な り活 着 率 も高 く な る こ と が 報 告 さ れ て い る (Wardelら,側
83;山
本B松
本,1990)サ
トイ モ で は第1草
で 述 べ た よ う に培 地 の シ ョ糖 濃 度 や 培 地 に添 加 す る ホ ル モ ンの 組 成,濃
度 の 違 い に よ り葉 や 球 茎 の生 育 が 異 な る様 々 な 形 状 を 持 つ 培 養 苗 を 得 る こ と が で き る。 こ れ ら形 状 の 異 な る培 養 苗 は環 境 ス トレ ス に 対 す る耐 性 に も差 が あ る こ とが 予想 さ れ る。 従 来 の 培 養,順
化 方 法 で は サ トイ モ は他 の 作 物 と 同 様 に 外 部 環 境 に 適 応 さ せ る た め,
ミ ス ト装 置 等 の 環 境 制 御 が 可 能 な 施 設 を 用 い た 順 化 が 必 要 と され,
し た が っ て 作 業 が 煩 雑 で 大 量 の 種 苗 を 一 時 に 植 え 出 す こ と は 困 難 で あ る。 こ の た め 現 在,サ
トイ モ の ウ イ ル ス フ リー 種 苗 は 網 室 で の 栽 培 に よ り二 次 増 殖 し た後, 種 芋 を 生 産 者 に配 布 す る方 法 が 取 ら れ て い る。 本 章 で は 大 量 の 培 養 苗 を 直 接 栽 培 用 に供 給 す る 目 的 で 培 養 苗 の 簡 易 な 順 化 法 に つ い て 検 討 を加 え た。 材 料 お よ び方 法 実 験1.培
養 中 の 矮 化 剤 処 理 が 移 植 後 の 生 育 に お よ ぼ す 影 響 実 験 には シ ョ糖 濃 度8%MS固
形培 地 へS07,PP-333を
l mg/史
添加 して 培 養 した苗 お よ び生 長 調 節物 質無 添 加 で培 養 した苗 を用 いた。 培養 終 了後,培
地 を-16-水 で 洗 い 流 し
,1990年 5月
10日 に プ ラ グ ト レ イ(40X40×
57mm i 88穴)へ
移 植 し,25℃
温 室 内 で 順 化 した 。 寒 冷 紗 に よ る 遮 光 や ミ ス トに よ る加 湿 は 行 わ ず, 一 般 の 育 苗 と 同 様 の 環 境 で 管 理 した 。20日 後 に苗 の 活 着,生
育 状 況 を 調/1Sし た 。 実 験2.球
茎 部 分 の 移 植 と移 植 後 の 生 育 シ ョ糖 濃 度8%MS液
体 培 地 で 得 ら れ た 培 養 苗 か ら葉 お よ び 根 を 切 除 し た 重 き 約18の
球 茎 部 分 (培 養 球 茎:第
2図
)を
側 90年5月
側 日 に 実 験1と
同 様 の プ ラ グ ト レ イ ヘ 植 え 込 ん だ 。 プ ラ グ ト レ イ は 25℃ 温 室 内 に 置 き実 験1と
同 様 に 管 理 し,30日
後 に苗 の 生 育 を 調 査 した 。 結 果 お よ び 考 察 実 験1で
は 第5表
に 示 す よ う に移 植 した 苗 はす べ て 活 着 し,枯
死 個 体 は 見 ら れ な か った 。 しか し,移
植 後 の 培 養 苗 の 状 態 を 比 較 す る と,S07,PP-333添
加 培 地 で 培 養 し た 苗 は 土 壊 へ 移 植 後 枯 死 した 葉 は少 な く,葉
の 展 開 も順 調 に 進 ん だ 。 こ れ に対 し,生
長 調 節 物 質 無 添 加 の 培 地 で 得 ら れ た 苗 は移 植 後 の 葉 の 枯 込 み が 大 き く,新
葉 の 展 開 が 遅 れ た 。 こ れ ら生 長 調 節 物 質 添 加 培 地 間 の 差 を 調 査 比 較 した と こ ろS07添
加 培 地 で 得 ら れ た 苗 はPP-333添
加 培 地 で 得 られ た 簡 に 比 べ 移 植 後 の 枯 死 葉 数 が 少 な か った 。 生 長 調 節 物 質 を 含 ん だ 培 地 で 培 養 し,葉
面 積 が 小 さ い 培 養 苗 で も土 壌 へ の 移 植 後 枯 死 す る葉 が 見 られ た 。 こ の こ と は移 植 後 の 生 育 の 遅 延,不
揃 い を 来す こ と に な り効 率 良 く苗 を生 産 す る上 で 好 ま し くな い 。 この た め,実
験2で
は 葉 を 持 た な い 培 養 球 茎 を 用 い て 土 壊 へ の 移 植 を 試 み た 。 そ の 結 果 培 養 球 茎 の 上 壊へ の 移 植 で は移 植 した す べ て の 球 茎 が 出 芽 して 生 育 を 開 始 した。 30日 間 の育 苗 で 第6表
お よ び 第3図
に示 す 葉 令4.2枚
,車
丈6,3 cmの,生
育 の 前 った 苗 が 得 ら れ た 。 これ ら は 圃 場 へ の 定 植 に 十 分 の 大 き さで あ る と考 え られ た 。 培 養 苗 の 植 え 出 し,土
壌 へ の 移 植 時 の 活 着 率 を 高 め,移
植 後 の 生 育 を 進 め る た め の 方 法 と して,従
来,生
育 環 境 を 培 養 苗 の 生 理 状 態 に 合 わ せ る順 化 が 行 わ れ て き た。 一 般 に培 養 苗 は外 部 環 境 で 生 育 す る植 物 に比 ベ ク チ ク ラ ワ ッ ク ス (cuticule wax)の
形 成 が 不 良 で あ り(Meira a Halevy,側 82;Suttcr・
Lang―-17-四 〇8︲ ︲︲0 田
100
B 第2図
培養球茎 第5表
培地 に添加 した生長調節物質 が移 植後 の生育 におよぼす影響 添加生長調 節展 開葉数 生存葉数
枯 死葉数
活着個体 率 物 質 (枚) (lk) (lk) ('て ) S07 PP-338 無 添加
2,2a
3.1 3.22.5b
2.Ob
O.6a
0,6a
l.2b
l.6c
100 100 100 b bZダ
ンカ ンの多重検定5%水
準 。 一生8-第
6表
培養球茎 の30日 間育苗 によ り得 た苗 の生育状況 ― 草 丈葉 令
葉 長
葉 幅
地上部生体 重 (cm) (cm) (cm) (g) 6.3±0.5Z 4.0± 0。 2 4.1±0。 3 4.0± 0.2 2.7± 0,2
Z平
均 値 ±標準偏 差 。 第3図
培養球 茎 の30日間育苗 によ り得 た苗-19-hans,1973)ま
た,気
孔 の 機 能 も十 分 発 達 して い な い (Brainerd・ Fuchigami,1981;Donnelly・
Skel竹
on,1989)。
こ の た め 培 養 器 外 へ の 移 植 時 に は水 ス ト レ ス を 受 け る こ と に な る。 近 年 大 量 増 殖 に 対 応 した 順 化 装 置 の 開 発 も進 め られ′ て い る (古 在 ら。 1987)。 最 近 で は 移 植 時 の 水 ス トレ ス耐 性 付 与 と と も に 培 養 苗 の 栄 養 相 (従 属 栄 養 か ら独 立 栄 養 へ)の
転 換 を ス ム ー ズ に 進 め る 目 的 で,通
気 膜 の 利 用 や 培 養 器 内 の 強 制 的 な 換 気,C02施
用 に つ い て も研 究 が 行 な わ れ て い る。 荒 井 ら (側89)は
イ テ ゴ で 培 養 中 にC02を
施 用 す る こ と に よ り乾 物 率 が 高 く,I旧化 率 も高 い 生 育 の 良 好 な素 質 の苗 が 得 られ た こ とを 報 告 して い る。 古 在 ら (側87)は
シ ン ピ ジ ュ ゥ ム を用 い た 試 験 の 結 果 か ら,培
養 器 内 環 境 の う ち特 にCO?,光
,湿
度 お よ び 無 機 養 分 環 境 を 光 合 成 に適 す る よ う に制 御 す れ ば,光
独 立 栄 養 が 可 能 で あ る と して い る。 ま た,JungRikel(1988)は
イ テ ゴ培 養 苗 の 植 え 出 し前 の最 終 段 階 の 培 養 に は サ イ トカ イ エ ン と ア ン モ ニ ウ ム イ オ ン を 除 き,
シ ョ糖 濃 度 の 低 い 培 地 が 適 す る と し,
こ の よ う な培 地 で は シ ョ糖 が 完 全 に 消 費 さ れ る と植 物 は 光 独 立 栄 養 に 移 行 す る と して い る。 こ れ ら は 培 養 器 内 で の 順 化 と い え る。 一 方, 培 養 苗 の 形 態 は培 地 組 成 や 植 物 ホ ル モ ンの 組 成 ・ 濃 度 等 に よ り変 化 す る こ と が 知 られ て い る (Meira・Halevy,側
82,新
美,
側84,TakayaЛ
aら
,1982)。
培 養 苗 の 形 態 を 変 え る こ と に よ り蒸 散 を 抑 制 し,水
ス トレ ス耐 性 の 苗 を 作 出 す る 方 法 も移 植 時 の 生 存 率 を 高 め る の に 有 効 で あ る と考 え られ る。 サ トイ モ で は 培 地 に 矮 化 剤 で あ るS07,PP-333を
添 加 して 培 養 した 苗 は 矮 化 剤 無 添 加 の 培 地 で 培 養 した 苗 に 比 べ 移 植 後 の 植 え 傷 み が 少 な か った 。 第 二章 実 験3の
結 果 に 示 す よ う に 矮 化 剤 添 加 培 地 で 培 養 した 苗 は地 上 部 の生 育 が 抑 制 され,葉
も小 さ い。 した が って,移
植 時 に葉 か ら失 わ れ る水 の 量 が わ ず か で あ り,水
分 環 境 の 急 変 に よ る 水 ス トレ ス を 回 避 で き る こ と が 移 植 後 の生 育 が 順 調 に進 む 原 因 の 一 つ で あ る と考 え られ る。 さ ら に サ トイ モ で は球 茎 部 分 の み を 利 用 す る こ と に よ り移 植 時 の 水 分 の 損 失 を よ り少 な くす る こ とが で き た 。 培 養 球 茎 の 温 室 内 育JFで は 生 育 の 揃 った 苗 が 得 られ た 。 こ れ ら の こ と か らサ トイ モ で は シ ョ糖 濃 度 を 高 め-20-る こ と に よ つ て 形 成 した 球 茎 を 移 植 す れ ば 特 別 な 施 設 や 装 置 を 用 い -20-る こ 上 な く 効 率 的 で 簡 易 に順 化 培 養 苗 の 養 成 が 可 能 と判 断 さ れ る。 ウ イ ル ス フ リー株 は生 産 性 が 優 れ る こ と が 報 告 さ れ (森 下 ・ 山 田
,1984;長
田・ 後 藤,側
89)一
部 で 種 芋 の 配 布 が 行 わ れ て い る。 しか し,従
来 の 方 法 で は ゥ イ ル ス フ リ ー化 した培 養 苗 を 順 化 後 原 種 と して 網 室 で 栽 培 し増 殖 す る必 要 が あ る た め 増 殖 の 能 率 が き わ め て 低 く,
しか も種 芋 と して 生 産 者 が 利 用 す る ま で に は 少 な く と も2∼ 3年
を 要 して い る。 ま た,
こ の よ う な シ ス テ ム で は 一 度 に 多 量 の 種 芋 を 供 給 す る こ と は 困 難 で あ る。 こ れ に 対 し,培
養 球 茎 は小 規 模 な 施 設 で も大 量 に 増 殖 す る こ とが 可 能 で あ る。 ま た,培
養 球 茎 を 種 芋 と して 利 用 す る こ と に よ り生 産 さ れ た ウ イ ル ス フ リー苗 を 生 産 者 が 直 接 栽 培 で き る よ う に な る。-21-第
2節
培 養 球 茎 の 予 播 法種 子 で は
,発
芽 率 を 高 め 初 期 生 育 を 進 め る た め,播
種 前 の 予 措 が 行 わ れ る こ とが あ る。 水 稲 や ホ ウ レ ン ソ ウ の 種 子 で は 発 芽 を 揃 え る た め 播 種 前 に 浸 植 が 行 わ れ,高
温 期 に播 種 す る レ タ ス で は 発 芽 適 温 付 近 の 温 度 で 催 芽 を 行 う。 栄 養 繁 殖 性 作 物 に お い て も ジ ャ ガ イ モ で はGA(GibberelHc acid; GA3)で
塊 茎 を 処 理 した 場 合,発
芽 が 促 進 され そ の 後 の 生 育 も旺 盛 と な り増 収 に な る こ とが 認 め られ て い る (斉 藤,1973)。
バ イ オ ナ ー サ リー シ ス テ ム の 開 発 に 関 す る研 究 で は育 苗 中 の 生 長 調 節 物 質 処 理 に よ る トマ ト苗 の小 型 化 や ア スパ ラ ガ ス の 花 芽 分 化 制 御 に つ い て 成 果 が 得 られ て い る (山 崎 ・ 斉 藤 。 1992)。 サ トイ モ の 増 養 球 茎 に つ い て も,予
措 処 理 に よ り移 植 後 の 生 育 を 促 進 で き れ ば 育 苗 期 間 の 短 縮 に よ り育 苗 施 設 の効 率 的 利 用 を 図 る こ とが 可 能 と な る。 材 料 お よ び 方 法 第I章
実 験3に
よ り得 られ た 培 養 苗 の球 茎 部 分 を 用 い て 実 験 を 行 っ た 。 移 植 前 の 予 措 処 理 が 移 植 後 の 生 育 に お よ ぼ す 影 響 を 調 査 す る た め,土
壌 へ の 移 植 前 の 予 措 と して 第7表
に示 す よ う に純 水,CA 2 mg/史
,エ
ス レ ル 100 mgノ /史 に 球 茎 を 浸 漬 処 理 した 。 い ず れ も25℃ で48hr処理 した 後,
プ ラ グ ト レ イ (JOmm× 40mm× 57mm i 88穴)へ
移 植 した 。 対 照 と して 無 処 理 の 球 茎 を そ の ま ま 移 植 した 。 25℃ 温 室 内 で 30日 間 育 苗 後,苗
の 地 上 部,地
下 部 の 生 育 を 調 査 した。 結 果 お よ び 考 察 通 常 の 栽 培 で 得 ら れ た ユ リ子 球 や ジ ャ ガ イ モ の 塊 茎 な ど の 栄 養 繁 殖 体 に は 休 眠 が あ り, in vitroで
形 成 した もの に も休 眠 が 認 め られ て い る (高山,側
85,Takayamaら
,
側82)。 こ の た め これ ら の 球 茎 や 塊 茎 で は 低 温 で の 休 眠 打 破 が 必 要 で あ る。 ヒ メ サ ユ リ培 養 子 球 で は 低 温 処 理 とGAに よ る浸 漬 処 理 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ り短 期 間 に休 眠 打 破 が で き る こ と が 報 告 され て い る (新美,側
88)。 サ トイ モ で も通 常 の 栽 培 に よ り得 られ た 球 茎 は収 穫 直 後 に は発 芽 しな い が 本 実 験 で 得 た 培 養 球 茎 は 適 当 な 温 度 と水 分 が あ れ ば 移 植 後 た だ ち に 生 育 を 開 始 す る こ と か ら培 養 球 茎 に は休 眠 は な い と考 え ら れ た 。 した が っ て 低 温 や ホ ル モ ンを …22-用 い た 休 眠 打 破 の た め の 処 理 は 行 う必 要 が な い。 生 長 調 節 剤 無 添 加 で 培 養 した 球 茎 で はGAお よ び 純 水 で 処 理 した 区 は第
7表
お よ び 第8表
に 示 す よ うに 無 処 理 区 に 比 べ 地 上 部 お よ び地 下 部 の 生 育 が 優 れ た。 しか し,
エ ス レル 処 理 の 効 果 は認 め られ な か った 。S07,PP-333を
添 加 して 培 養 した 球 茎 で は純 水 に比 べGAで処 理 した 区 が 地 上 部,地
下 部 と も に生 育 が 優 れ た 。S07,PP-333は
い ず れ もGAの 生 合 成 阻 害 剤 で あ るがGA活性 を 抑 え る 作 用 は な い (上野,1989)た
めGA処 理 に よ り生 長 抑 制 作 用 は打 ち 消 す こ とが で き た。 第I章
で 述 べ た と お り,矮
化 剤 添 加 培 地 で 培 養 す る と地 上 部 の 生 育 が 抑 制 さ れ 培 養 器 当 た り の 培 養 個 体 数 を 増 や す こ とが 可 能 に な る。 し た が っ て,GAで
の 予 措 と組 み 合 わ せ る こ と に よ り定 植 用 培 養 苗 の 効 率 的 な 生 産 を 行 う こ と が で き る と考 え られ る。 しか し,GAは
サ トイ モ に花 成 を 誘 導 した り(Wilson,1981;
Katsura,1986;宮
崎 ら,側
86)球
茎 の 形 状 に影 響 す る (桂 ら,1989)た
め, GAの 予 措 へ の 利 用 に は 注 意 が 必 要 で 慎 重 に な ら ぎ る を得 な い。 BAを 添 加 して 培 養 した 区 で は 得 られ る球 茎 が 小 さ く,地
上 部,地
下 部 の 生 育 と も に 他 の 区 に 比 べ 劣 っ た。 ま た,GAに
よ る処 理 の効 果 も認 め られ な か った 。 以 上 の こ と か ら順 化 前 の 予 措 と して 生 長 調 節 物 質 無 添 加 で 培 養 した 球 主 で は 純 水 とGAの 処 理 間 の 差 が 小 さ い こ と か ら純 水 の み の 処 理 で 十 分 で あ る と み な さ れ た 。 ま た,培
養 の 効 率 を 高 め る た め 培 地 に矮 化 剤 を 添 加 して 培 養 した 球 茎 の 場 合 は 順 化 前 の 処 理 (予 措)に
GAを 用 い る こ と に よ り育 苗 期 間 を 短 縮 で き,施
設 の 効 率 的 運 用 が 可 能 に な る と考 え られ た 。-23-第
7表
順化前処 理 が地上 部 の生育 にお よぼす影響 培地 生長 調節順化前処理 物 質 草 丈
葉 長
葉 令
地上部 重 (cm) (cm) (mg) d e e c e d c c e d f b a b c c b b c c d a a 無 S07 1mg/史 PP…333 1mg/史 BA 2mg/史 無処理 純水 GA 2mg/史 エスレル100mg/史 純水 GA 2mg/曳 純 水 GA 2mg/良 純水 GA 2mg/■ 4.O c 2771 4.2 cd 3282 4.3 cd 3089 4.2 cd 2497 4.5 d 2623
4,O c 3164
3,7 b 3032 4.O c 8692 3.6 b 1572 3.2 a 1048 6.2 6。 9 7.2 6.2 6.0 7.4 7.3 8.3 4.1 3.8 4.l cd 4,l cd 4.3 de3.8c
4,l cd 4.3 de 4.3 de4.6e
2.3b
2.3a
Zダ
ンカ ンの多重検定5%水
準 . 第8表
順化前処理 が地下部 の生育 にお よぼす影響 培 地生長 調節 物 質 順 化前 処理 茎基部直径 (mm) 第1次
分 けつ数 根 重 (mg) 無 S07 1mg/史 PP-333 1mg/史 BA 2mg/史 無処理 純水 GA 2mg/史 エス レル100mg/史 純水 GA 2mg/史 純 水 GA 2mg/史 純水 GA 2mg/史 7.7 8.6 7.9 6。 9 7.4 8.1 8,4 9,0 4.9 4.4 Z ^ υ 月 u 一 B ・ d C e f c f c b b d e g a a 1321 c 2044 e 2023 e ll18 c 1732 d 2089 e 2147 e 2760 f 665 b 341 a 0,9 bcl.8e
l.5d
O.la
O.4a
O.5 ab l.l cd l.l cdO.2a
O。 laZダ
ンカ ンの多重検定5%水
準 .-24-第 Ⅲ 章
培 養 球 茎 株 の 生 育 特 性
第1節
培 養 球 茎 株 に認 め ら れ る特 性 培 養 球 茎 は 大 き さ が 約lg程
度 で あ り,一
般 の 栽 培 で 種 芋 と して 用 い ら れ る 球 茎 (50∼60g)に
比 べ 非 常 に 小 さ い。 ヤ マ ユ リで は培 養 球 茎 を 種 球 と して 栽 培 した 場 合,開
花 に 至 る ま で に3作
を 要 す る こ とが 報 告 さ れ て い る(Takayama
・Ohkawa,1990)。
ま た,培
養 中 に 受 け た 環 境 や 培 地 の 影 響 も順 化 後 ま で 残 り, 生 育 に 影 響 す る こ と が 予 想 さ れ る。 こ の た め 培 養 球 茎 を 実 際 の 栽 培 に用 い る た め に は まず,培
養 球 茎 の 生 育 特 性 を 明 らか に して お く必 要 が あ る。 本 節 で は 培 養 球 茎 か ら生 育 した 株 (以 下,培
養 球 茎 株 と呼 ぶ)と
慣 行 の 栽 培 に使 用 す る 球 茎 か ら生 育 した 株 (以下,慣
行 球 茎 株 と呼 ぶ)の
生 育 を 比 較 した 。 材 料 お よ び 方 法 実 験1.培
養 球 茎 株 の 生 育 特 性 シ ョ糖 濃 度8%の
MS液 体 培 地 で 培 養 して 得 られ た 直 径10mm,重
さ約 1日 の 培 養 球 茎 を 栽 培 試 験 用 の 種 芋 と して 用 い た 。 側 88年4月
14日 に 培 養 球 茎 を 露 地 圃 場 へ 重 さ60gの
慣 行 球 茎 と と も に定 植 した 。 栽 植 密 度 は120 cmX 30cmと
し,生
育 に 応 じて3回
土 寄 せ を 行 っ た。 肥 料 はN,P205,K20を
そ れ ぞ れ 定 植 前 に2kg/a,2回
目 の 上 寄 せ 時 に0。5 kg/a施
用 した 。 生 育 期 間 中 は 地 上 部 の 生 育 に つ い て 調 査 し,H月
上 旬 に 掘 り上 げ て 球 茎 の 着 生 数,収
量 お よ び 形 状 等 を 調 査 した 。 実 験2.種
芋 の 大 き さが 生 育 特 性 に お よ ぼ す 影 響 種 芋 とtッ て は培 養 球 茎,培
養 球 茎 の 生 育 初 期 に 乾 燥 処 理 を 施 し て 形 成 した 小 球 茎 (順化 球 茎),慣
行 球 茎 株 に着 生 した 小 球 茎 (慣行 小 球 茎;2.Og)お
よ び 慣 行 球 茎 の4種
の 球 茎 を用 い て 栽 培 し,生
育 を 調 査 した 。 こ の う ち 順 化 球 茎 は 培 養 球 茎 を 上 壊 へ 移 植 後 温 室 内 25℃ で 育 苗 し,葉
数 が6枚
時 に 灌 水 を 」Lめ て 上 壌 を 乾 燥 さ せ,地
上 部 が 枯 死 して 基 部 に 形 成 した 約1,6gの大 き き の 球 茎 を 用 い た 。 い ず れ も1989年4月
25日 に 直 接 圃 場 へ 定 植 して 栽 培 した 。 施 肥,上
寄 せ-25-等 の 栽 培 管 理
,生
育,球
茎 の 調 査 は 実 験1と
同 様 に 行 っ た 。 結 果 お よ び 考 察 地 上 部 の 生 育 は第4図
に 示 す よ う に培 養 球 茎 株 が 小 さ く8月
26日 の 草 丈 は慣 行 球 茎 株 の 約1/2で
あ つ た 。 培 養 球 茎 株 の 地 上 部 へ の 出 芽 は慣 行 球 茎 株 に 比 べ て 不 揃 い で あ り個 体 間 の 生 育 の 変 動 は慣 行 球 茎 株 よ り大 き か った 。 第9表
に 示 す よ う に球 茎 収 量 は 全 芋 重 量 で は培 養 球 茎 株 が 小 さ か っ た 。 しか し,培
養 球 茎 株 の 親 芋 重 量 は慣 行 球 茎 株 の 約1/4で
,収
穫 対 象 部 分 の 収 量 (子 芋 重 量 ― 孫 芋 重 量 十 ひ 孫 芋 重 量)で
は 両 者 の 間 に 有 意 な 差 は認 め られ な か っ た 。 第9表
お よ び第5図
に 示 す よ う に培 養 球 茎 株 は 慣 行 球 茎 株 に比 べ て 子 芋,孫
芋 で は重 量 の 差 は 無 い が 着 生 数 が 多 くな り個 々 の 芋 が 小 さ くな る傾 向 が あ っ た 。 孫 芋 の 重 量 別 分 布 は 第6図
に 示 す よ う に 両 者 は 良 く似 た 分 布 を 示 した が,子
芋 の 重 量 別 分 布 で は 第7図
に示 す よ う に慣 行 球 茎 株 で は 小 さ い も の か ら100gを
超 え る 大 き い も の ま で 一 様 に分 布 す る の に 対 し,培
養 球 茎 株 で は慣 行 球 茎 株 の 孫 芋 に 似 た 分 布 を 示 した 。 な お,慣
行 球 茎 株 で は 子 芋 よ り も孫 芋 の 方 が 品 質 が 良 い と さ れ て い る。 子 芋 の形 状 は第8図
に 示 す よ うに 慣 行 球 茎 株 に は 縦 径/横
径 の 値 が 大 き い 長 形 や エ ビ形 の 芋 も見 られ た が 培 養 球 茎 株 で は この 値 が 小 さ く球 形 で 形 の 優 れ た 芋 が 多 く得 ら れ た 。 実 験2で
は 大 き さ の 異 な る種 芋 や 球 茎 の 生 育 条 件 と培 養 球 茎 株 の 特 性 に つ い て 調 査 した 。 地 上 部 の 生 育 は 第9図
に 示 す よ うに生 育 初 期 は種 芋 の 大 きい 慣 行 球 茎 株 が 大 き く他 の 株 は い ず れ も劣 っ た 。 しか し,順
化 球 茎 株,慣
行 小 球 茎 で は7月
24日 以 降 生 育 が 旺 盛 と な り,9月
13日 に は 慣 行 球 茎 株 に 近 くな った 。 ま た,培
養 球 茎 株 は 他 に比 べ 地 上部 の 枯 れ 込 み が 早 くか ら進 み 第 側 表 お よ び 第 側 図 に 示 す よ う に収 穫 時 (側月 25日)の
地 上 部 重 は非 常 に小 さ くな っ た。 球 茎 収 量 で は 親 芋 の 大 き さ は第 10表 に示 す よ うに 培 養 球 茎 株 は他 の株 よ り小 さ く順 化 球 茎 株 お よ び 慣 行 小 球 茎 株 は 慣 行 球 茎 株 と培 養 球 茎 株 の 中 間 程 度 の 肥 大 で あ っ た 。 子 芋,孫
芋 の 着 生 数 は慣 行 球 茎 株 で は 少 な く,他
の 株 で は こ れ よ り多 くな った 。 子 芋,孫
芋 の 重 量 に つ い て は 種 芋 の 種 類 に よ る有 意 な 差 は 認 め られ な か-26-(cm) 150 慣行球茎株 培 養球茎株 草 丈 4.25 5.25 6。 23 7.27 第
4図
培 養球 茎株 および慣行球 茎株 の地上 部 の生育 第9表
培 養球茎株 と慣 行球 茎株 の収量構成 8.26 (月 。日) 球 茎 の球 茎重 親芋重
_王
_主
_
種 類重量
量
個 数 重量 (g) (8) (布]) (g) 聖
_孫
ど主収 量Z 個数 重量 (1ヨ) (g) (g) 培養 球茎
1030.6 113.1
慣行球 茎1302.6 487,0
‡ **5.5 49.4 917.5
1,3 9,8 866.0
NS NS NS 14.4 895.0 9。 1 532.9 * NS 25.5 473.1 17,2 325.9 * NSZ子
芋 重 十孫芋重+ひ
孫 芋重**:P<0.01,*;0.01<P<0.05,NS,有
意差 な し 値 はす べ て株 当た りの数量-27-∼組O i r7D II ''巧Wi・ ドⅢ… ▼r‐T ・ ‐‐ 「―▼▼ '……∼●― …十 一 ● ・ ― ( 第
5図
収穫時 にお け る球 茎 の着生状況 左 :慣 行球茎株,中
央 が親芋。右 :培 養球茎株,親
芋 は中心部 に あ るが外部 か らは見 えない。 重 量 (g) 86 81 76 71 66 61 56 51 46 41 86 31 26 21 16 11 6 1 - 90 ヘツ 85 ^ツ 80 へψ 75 - 70 - 65 `ウ 60 ∼ 55 ^ヤ 50 - 45 - 40 - 35 - 30 - 25 - 20 - 15 ‐- 10 ∼ 5 30 20 10 0 割 合(%)
第6図
培養球 茎 株 お よび慣行球 茎株 にお 0 10 20 割 合(%)
け る孫芋重量 の分布 培養球 茎株 慣行球茎 株-28-重 量 (g) 11生― 101∼110
91-100
81- 90
71- 80
61- 70
51- 60
41- 50
31- 40
21- 30
11∼ 201- 10
30 20 10 割 合(%)
o lo 20 割 合(%)
第7図
培養球茎 株 お よび慣行球茎株 にお け る子 芋重量 の分布 縦 径/横
径 2.61-2 41-2.61-2 6 2.21∼ 2_4 201-22 131∼2.0 161∼18 1.41-1.6 1,21-14 1.01∼ 1.2 001-10 40 第8図
80 20 10 0 割 合(%)
培養球 茎株 お よび慣行球 茎株 に着生10 20
割 合(%)
した子 芋 の形 状 の差 培 養球茎株 慣行球茎株 培養球 茎株 慣行球茎 株-29-T I I I 上 5。
22 6.12 7,3
第9図
前歴お よび大 きさの異 なる種芋 を用 いた株の生育 ●:培養球茎株.▲
:順化球茎株.△
:慣行小球茎株.O:慣
行球茎株. 第10図 種芋 の種類 によ る地上部 の生育 の差 異A:慣
行小球 茎株.B:慣
行球茎株.C:順
化球茎 株.D:培
養球 茎株. 7.248.21 9.1
( 3 月. 日) ヒ-30-第 10表 種 芋 の種 類 に よ る地 上 部 お よ び地 下 部 の生 育 特 性 (1989年 ) の類 芋 種種 地 上 部 重 量 (g) 親 芋 重 量 (g) ひ 孫 芋 個 数 重 量 (4固
) (g)
収 量 リ (g) 子 芋 個 数重 量 (4固
) (g)
孫 芋 個 数重 量 (4固
) (g)
培 養 球 茎 順 化 球 茎 慣 行 小 球 茎 慣 行 球 茎 96.9 aZ592.4b
579。 6 b 625.3 b 971.0 1005.3 945,2 009.0 147.3 267,0 275。 4 321.1 6.6 10.7 0.0 1.7 a a a a C a h︶hv c 448.7 540.1 474.6 470.8 518。 7 454.5 470,6 486.511.8a
13.la
12.2a
9.9a
a 22,8b
a 21.4b
a 22,lb
a 15.5a
0。
7a
l.2a
O,Oa
O.2a
a a a a a a a a ,いい1
Zダ
ン カ ンの 多 重 検 定,同
文 字 間 に有 意 差 な し . り子 芋 重 十孫 芋 重+ひ
孫 芋 重 . 値 はす べ て株 当 た り の数 量 .っ た 。 順 化 球 茎 株 お よ び 慣 行 小 球 茎 株 の子 芋 の形 状 は第 11図 に 示 す よ う に 細 長 い も の
,す
な わ ち 数 値 の 高 い もの が 多 く,慣
行 球 茎 株 と比 べ て も不 良 で あ っ た 。 長 田,後
藤(1980)は
ウ イ ル ス フ リ ー株 と在 来 株 の 生 育 を 同 程 度 の 大 き さ の 種 芋 を 用 い て 比 較 し,
ウ イ ル ス フ リー 株 は地 上 部 の 生 育 が 良 く草 丈 も高 い こ と を 報 告 し て い る。 ま た,着
生 す る球 茎 の 形 も長 くな る 傾 向 が あ る と して い る。 し か し,本
実 験 で 培 養 球 茎 を 直 接 栽 培 に 用 い た 場 合 は 逆 に 地 上 部 の 生 育 は小 さ く, 地 上 部 の 枯 れ 込 み も早 くか ら進 ん だ 。 ま た,地
上 部 の 生 育 に比 べ 地 下 部 の 割 合 は 大 き くな っ た。 実 験 に用 い た 培 養 球 茎,順
化 球 茎 は い ず れ も ウ イ ル ス フ リー で あ る が こ れ ら の 間 で は地 上 部 の生 育 が 明 らか に異 な り,培
養 球 茎 株 の 特 性 の 変 化 が ウ イ ル ス フ リ ー化 単 独 の 影 響 と は考 え 難 い 。 種 芋 が 小 さ い と子 芋,孫
芋 の 着 生 数 が 増 加 し,親
芋 が 小 さ くな る傾 向 が あ る こ とが 明 らか に な り培 養 球 茎 株 の 子 芋,孫
芋 数 の 増 加 は種 芋 の 大 き さ が 影 響 して い る こ とが 明 らか に な っ た 。 しか し,培
養 球 茎 株 の 地 上 部 生 育 量 は 種 芋 の 大 き さ が ほ ぼ 同 じで あ る の に 対 し て 順 化 球 茎 株,慣
行 小 球 茎 株 に 比 べ 明 らか に 小 さ か った 。 順 化 球 茎 株,慣
行 小 球 茎 株 で は と も に 慣 行 球 茎 株 に 似 て い た 。 さ らに,子
芋 の 形 は 第 11図 に示 す よ う に 順 化 球 茎 株,慣
行 小 球 茎 株 で は 最 も長 く,次
い で 慣 行 球 茎 株,培
養 球 茎 株 の 順 と な り,培
養 球 茎 株 の 子 芋 の 形 状 は他 と異 な っ た。 こ れ ら の 結 果 は 種 芋 の 大 き さ だ け で は説 明 で き な い 。 球 茎 の 形 状 で は土 寄 せ 等 に よ る地 下 部 の 環 境 条 件 が 影 響 す る こ と が 知 られ て い る (小 河 原.1944)。
しか し,本
実 験 で は 同 程 度 の 大 き さ の 種 芋 を 用 い 同 様 に 上 寄 を 行 っ た の で 現 れ た 子 芋 の 形 の 差 は上 寄 が 原 因 と は 考 え 難 い 。 培 養 苗 の 生 育 特 性 に つ い てSwartzら(1981)は
イ チ ゴ で ウ イ ル ス フ リー 株 か ら の ラ ンナ ー苗 と培 養 苗 を比 較 し,培
養 苗 は 腋 芽 の 生 育 が 良 い と して お り,そ
の 原 因 を 培 養 に使 用 した ホ ル モ ン に よ る の で は な い か と推 定 して い る。 ま た,大
西 ら (側90)は
パ レ イ シ ョ培 養 塊 茎 株 は慣 行 の塊 茎 を 種 芋 に用 い た 株 に 比 べ て 萌 芽 ま で の 日数 が 短 く,や
ゝ小 さめ の 品 質 の 良 い 芋 を 多 く 形 成 す る と して い る。 サ トイ モ 培 養 球 茎 株 に つ い て も ウ イ ル ス フ リー 化 の 効 果 や 種 芋 の 大 き さ と と もに 何 等 か の培 養 の 影 響 が 要 因 と して 考 え られ る。 順 化 球-32-慣 行球茎 株 慣行 小球茎 株 順 化球茎株 培 養球茎株 o 25 50 構 成 比