第47図
エアー リフ ト型培 養 における球茎 重量 の分布
第48図
ロー ラーボ トル型培養 におけ る光条件 が培養 苗 の形態 に お よぼす影響
左 :暗 条件
.右
:明 条件.30 (9て)
…93‑
(mg)
1000‑
900‑999 800‑899 700‑799 600‑699 500‑599 100‑499 800‑399 200‑299 100‑199 0‑ 99
頻
度
第49図
暗条 件下 で の ロー ラーボ トル型培 養 にお け る球茎重量 の分布
第27表
通 気孔 の大 き さがサ トイモ培養 苗 の生育 お よび溶存酸素濃 度 に お よぼす影響
球
茎
重
量
(%)
培養苗 の生育 溶存 酸素
通 気 孔 の
大 き さ
シュ ー ト 数
車
丈 (mm)
葉
数
(枚)
根
長
(mfn)
苗重量
濃 度
(冊g) (ppm) な し
9 mm 181nm
4,7 aZ
4.9a 5,3a
32,9 35,2 33.9
5.3 42.2 27.1
24.Oa 41,9b 96.9b
a a a
2.4 4.0 4.0
2.4 6,7 6.9
a b
b a
b
b a
h
︶ kυ
Zダ
ンカ ンの多重検定5%水
準.‑94‑
第50図
ロー ラーポ トル型培養 における通気条件 が球茎切片 か らの シュー トの生育 におよばす影響
上
:通
気 孔18mm.中 :通
気孔9mm.下 :通
気孔 な し.‑95‑
量 増 殖 の 研 究 が 行 わ れ て い る。 サ トイ モ で も同 様 な 方 法 で 培 養 が 可 能 で あ るこ とが 報 告 さ れ て い る (高 山 ら
,1989)。
しか し,
ジ ヤ フ ァ ー メ ン タ ー で は 一 度 に大 量 の種 苗 を培 養 す る こ と は 可 能 で あ る が 装 置 は 高 価 で あ り,操
作 も複 雑 であ る。 これ に 比 べ
,本
実 験 で 検 討 した ロ ー ラ ー ボ トル 型 培 養 法 は 取 扱 い の 容 易 な 簡 単 な 装 置 で 1食 以 下 〜20史規 模 ま で の ス ケ ー ル で 培 養 が 可 能 で あ る。 ジ ャ ー フ ァ ー メ ン タ ーで は 大 容 量 で の 培 養 が 可 能 で あ る が 雑 菌 の 混 入 に は細 心 の 注 意 を 払 う必 要 が あ る。 ロ ー ラ ー ポ トル 型 培 養 法 で は 中 小 規 模 の培 養 槽 を 多 く用い て 培 養 す る た め,雑
菌 の 混 入 に つ い て 危 険 分 散 が 可 能 で あ る。 山 本 ら(側
90) は培 養 ラ ッ ク と大 型 の 培 養 箱 を 用 い た ジ ヤ ガ イ モ の 大 量 増 殖 法 に つ い て 報 告 し て い る。 大 型 の 培 養 箱 を 用 い,多
数 の ロ ッ トに分 け て 培 養 さ れ る が 滅 菌,
エ アレ ー シ ョ ン の た め シ ス テ ム は か な り複 雑 と な って い る。 ジ ャ ー フ ァ ー メ ン タ ー や 培 養 箱 を 用 い た 培 養 で は培 地 の 溶 存 酸 素 濃 度 を 保 つ た め スパ ジ ャ ー な ど を 用 い た 積 極 的 な エ ア レ ー シ ョ ン が 必 要 と され る。 しか し
,
ロ ー ラ ー ボ トル 型 培 養 で は 結 果 に示 す と お リ フ タ の 部 分 に 無 菌 フ イ ル タ ー を は りつ け る 方 法 で 培 地の 溶 存 酸 素 濃 度 は ほ ぼ 飽 和 濃 度 近 くに 維 持 す る こ と が で き た 。 こ れ は 容 器の 回 転 に 伴 い 空 気 と培 地 の 接 触 面 が 大 き くな る た め と考 え られ る。 こ の 結 果,苗
条 はエ ア ー リフ ト型 培 養 器 で の培 養 と ほ ぼ 同 程 度 の 生 育 を示 した。
サ トイ モ で は第
I章
で 述 べ た と お り 明 条 件 下 で の 培 養 が 球 茎 の 形 成 に 適 す る。ロ ー ラ ー ボ トル型 培 養 で は培 養 容 器 は ガ ラ ス製 で 透 明 で あ る た め 培 養 中 光 を 利 用 す る こ と が で き
,苗
の 徒 長 を 防 止 す る こ と が で き るた め 球 茎 の 肥 大 も優 れ た 。ロ ー ラ ー ボ トル型 培 養 は サ トイ モ 以 外 の作 物 の培 養 に も利 用 可 能 で あ る と考 え られ る。 栄 養 繁 殖 体 を 形 成 し な い 作 物 で は ス ケ ー ル ア ッ プ した 場 合 ジ ャー フ ァ ー メ ン タ ー等
,暗
条 件 で の 培 養 で は 苗 が 徒 長 し,外
部 環 境 へ の 適 応 が 困 難 に な る と思 わ れ る。 しか し,
ロ ー ラ ー ボ トル型 培 養 で は 培 養 中 光 が 利 用 で き培 養 菌 も正 常 に生 育 す る た め 順 化 が 容 易 に な る と考 え られ る。20良 程 度 ま で の 培 養 器 で は 実 験 室 で 通 常 使 用 さ れ る小 型 の 装 置 で 滅 菌 が 可 能 で あ る。 ま た
,培
地 の 交 換 も ア ス ピ レ ー タ ー で 容 器 内 部 の 培 地 を 吸 引 す る 方 法‑96‑
第
3節
培 養 球 茎 の 保 存 法培 養 苗 の 保 存 に つ い て は
,培
地 浸 透 圧 の 調 整 や 低 温 に よ り培 養 中 の 苗 条 の 生 育 を 抑 制 す る 方 法 が これ ま で に 報 告 さ れ て い る (山 本 ら,
側89;岡
。新 野,側 89)。 培 養 後 培 養 器 外 で 長 期 の 保 存 を 行 う こ と は 培 養 苗 の 生 理 上 困 難 で あ る。
しか し
,栄
養 繁 殖 体 で あ り栄 養 貯 蔵 器 官 で あ る サ トイ モ 球 茎 は 第 Ⅱ章 で 述 べ た よ う に 生 育 中 の培 養 苗 に比 べ 環 境 ス トレ ス耐 性 が あ る た め 保 存 に 適 して い る と 考 え ら れ る。 培 養 球 茎 の 植 え 付 け 時 期 は3〜 5月
で あ る が 培 養 は 年 間 を通 じ行 え る た め,培
養 した 球 茎 を 利 用 時 期 ま で 保 存 す る こ と が で きれ ば 中 小 規 模 培 養 施 設 の 効 率 的 利 用 で,
よ り多 くの種 苗 が 供 給 で き る。 ま た,種
苗 の 出 荷 調 整 も 可 能 に な る。 本 節 で は培 養 球 茎 の 保 存 法 に つ い て 検 討 した 。材 料 お よ び 方 法
シ ョ糖 濃 度
8%MS液
体 培 地 で40日 間 回 転 培 養 して 得 た 培 養 苗 の 球 茎 部 分 を 試 験 に 用 い た 。 苗 を 培 養 器 か ら取 り出 し,苗
の 葉 お よ び根 を 切 除 した 球 茎 部 分 を 水 で 洗 浄 し付 着 した 培 地 を 除 い た 。 次 い で,
ク リー ン ベ ン チ 内 で 重 量 が 培 養 直 後 の90%に
な る ま で 球 茎 の 水 分 を減 少 させ た。 保 存 用 容 器 と して 容 量100m史 の ガ ラ ス 製 容 器,同
様 の 容 器 で フ タ に 径 9 mmの 通 気 孔 を 開 け フ ロ ロ カ ー ボ ン製 メ ン プ ラ ン フ ィ ル タ ー を 貼 り付 け た も の,ポ
リエ チ レ ン製 袋 お よ び 紙 製 の 袋 を 用 い た 。 各 容 器 に球 茎 を 50個 体 ず つ 入 れ,
ガ ラ ス製 容 器 は プ ラ ス チ ック製 の フ タ で 密 栓 した 。 ポ リエ テ レ ン製 袋 は シ ー ラ ー で 密 封 し,紙
製 の 袋 で は接 着 剤 で 封 を した 。 15℃ 暗 黒 条 件 下 で 90日 間 保 存 した 。そ れ ぞ れ の 方 法 に よ る保 存 状 態 を 評 価 す る た め
,保
存 後 ベ ノ ミル水 和 剤 1000 倍 液 に12hr浸
漬 し,
プ ラ グ ト レ イ (60m良/セ
ル;88穴 )へ
植 え 込 ん だ 。 25℃ ファ イ ト トロ ン 内 に 置 き側 日後 に 出 芽 率 を調 査 した 。
次 に
,
よ り長 期 の 保 存 を 目 的 と して ポ リエ テ レ ン製 袋 を 用 い て 同 様 の 方 法 で6ヶ
月 間 保 存 した 後,25℃
温 室 内 で 育 苗 し30日 後 の 苗 の 生 育 を 調 査 した 。結 果 お よ び 考 察
第 28表 に 示 す よ う に通 気 孔 に 無 菌 フ ィル タ ー を 貼 り付 け フ タ を した ガ ラ ス 製
‑98‑
容 器 お よ び 紙 製 の 袋 で 保 存 し た 球 茎 は保 存 中 に乾 燥 し重 量 が 著 し く減 少 し た 。 ガ ラ ス 製 容 器 で 密 栓 tプ た もの お よ び ポ リエ チ レ ン製 袋 で 密 封 した 球 茎 も保 存 前 に比 べ 球 茎 の 重 量 が 減 少 した が 通 気 の あ る状 態 で 保 存 した もの に 比 べ 減 少 量 は 少 な か った 。 ポ リエ チ レ ン製 袋 で は 保 存 中 に フ ィ ル ム が 球 茎 に 密 着 す る状 態 に な っ た 。 ま た
,
ガ ラ ス製 容 器 で 密 栓 した も の で は 容 器 内 面 に水 滴 が 付 着 した 。保 存 球 茎 を 上 壊 へ 移 植 した 結 果 は 第 29表 に 示 す と お りで あ っ た 。 通 気 の あ る 状 態 で 保 存 し た 球 茎 で は 全 く 出 芽 が 見 られ ず
,
これ らは 乾 燥 に よ り枯 死 した も の と考 え られ る。 湿 度 が 保 て る ガ ラ ス製 容 器 お よ び ポ リエ チ レ ン製 袋 で 保 存 し た 球 茎 は土 壌 へ 移 植 後 出 芽,生
育 した 。 出 芽 の 状 態 は ポ リエ テ レ ン製 の 袋 で 保 存 した 球 茎 が ガ ラ ス 製 容 器 で 保 存 した 球 茎 に 比 べ や や 早 か った 。 慣 行 の 栽 培 で 用 い ら れ る種 芋 は 冬 季 間,上
中 や 温 度 の 保 て る室 内 で 保 存 さ れ る。 嘉 儀(1898)
は サ トイ モ の 慣 行 球 茎 を 10℃ あ る い は室 温 で 保 存 す る場 合 は紙 製 の袋 が 保 存 状 態 が 優 れ
,
ポ リエ テ レ ン製 の 袋 で は 多 湿 で あ るた め 保 存 中 に腐 敗 しや す い こ とを 報 告 して い る。 慣 行 球 茎 で は通 気 が 保 て る状 態 で の保 存 が 適 す るが 培 養 球 茎 で は 通 気 の あ る状 態 で 保 存 す る と乾 燥 枯 死 す る こ と が 明 らか に な っ た。 増 養 器 内 の 環 境 で 形 成 さ れ た 培 養 球 茎 は乾 燥 に対 す る耐 性 が 外 部 環 境 で 形 成 され′た 慣 行 球 茎 に 比 べ 小 さ く
,
ま た,球
茎 の 大 き さ も非 常 に 小 さ い こ と か ら水 分 を 失 い 易 い た め,多
湿 状 態 で 保 存 す る方 法 が 適 す る もの と考 え られ る。 通 気 の あ る状 態 で 保 存 す る 場 合 は 湿 度 の 調 整 が 必 要 と考 え られ 今 後 検 討 の 余 地 が あ る。 湿 度 を 保 っ た 状 態 の ガ ラ ス製 容 器 お よ び ポ リエ テ レ ン製 袋 で は 保 存 終 了 時 に は い ず れ も芽 が5〜 10mm伸
長 した 状 態 で あ っ た 。ポ リ エ チ レ ン製 袋 で
6ヶ
月 間 保 存 した 培 養 球 茎 を 用 い て 育 苗 した 結 果,腐
敗球 は 無 くす べ て 出 芽 した 。 培 養 後 す ぐ に育 苗 した 第 Ⅱ章 の 場 合 に 比 べ 草 丈
,葉
令 の 変 動 が や や 大 き い傾 向 が 見 られ た が 苗 の 生 育 は 正 常 で あ っ た (第 30表 )。
以 上 の と お リサ トイ モ 培 養 苗 は球 茎 部 分 を ポ リエ テ レ ン製 の 袋 を 用 い て 密 封 し低 温 に 置 く こ と に よ り
6ヶ
月 以 上 保 存 で き る こ と が 明 ら か に な っ た 。 今 後 保 存 中 の 芽 の 伸 長 を 抑 制 す る た め よ り低 温 で の 保 存 等,保
存 の た め の 適 温 に つ い‑99‑
第28表
保存方法 によ る保存前後 の球茎重量 の変化Z
計 測時期
ガ ラス製
ガ ラス製容器
ポ リエテ レン
紙
製 容器
(無
菌 フ ィル ター)
製袋袋
培 養 終 了 時
27.14 27.27 25,11 27.60
風 乾 後
24.43 24.82 22,35 24.82
(90,0%)り
(91.0%)ソ (89.0%)り (91.0%)ν
保 存 後
20,86 7.02 19,50 5,44
(85.5%)X (23.3%)X (87.2%)K (22.1%)X Z培
養 球茎50個体ソ風乾燥後 の球茎重量
/培
養終 了時 の球茎重量X保
存 後 の球茎重量/保
存前 の球 茎 重量第29表
保存球 茎 の発 芽率
(%)
保 存方法 発 芽 率
(%)
ガ ラス製容器
84
ガ ラス製容器 (無菌 フ ィル ター
) 0
ポ リエチ レン製袋
100
紙製袋
0
第30表
保存培養球茎 の生 育Z
草
丈
葉
令
葉
長
葉
幅
出芽率
(cm) (cln) (cm) (夕
̀) 7.1±
0.7 3.5± 0.4 5.0± 013 4.0±
0。2 100
Z6ヶ
月保存 後30日 間育苗‑100‑
て さ ら に 詳 し く検 討 す れ ば よ り長 期 の 保 存 も可 能 に な る と考え ら れ る。
‑101‑
第
4節
培 養 球 茎 の 育 苗 法第 Ⅱ章 で サ トイ モ 培 養 苗 の 上 壌 へ の 移 植 は 培 養 苗 か ら葉 お よ び 根 を 除 去 した 球 茎 部 分 を 用 い る と 容 易 に 行 え る こ と を 示 した 。 しか し
,培
養 球 茎 は 慣 行 球 茎 に 比 べ 非 常 に 小 さ く,生
育 初 期 は植 物 体 も小 さ い た め,
こ の ま ま 種 芋 と して 圃 場 に 植 え た 場 合 に は 雑 草 と の 競 合 が 問 題 に な る。 ま た,害
虫 に よ る被 害 が 慣 行 株 に 比 べ 大 き くな る と予 想 さ れ る。 さ らに,第
Ⅲ 章 の 実 験 で は培 養 球E名を 直 接 圃 場 に 播 種 す る と 出 芽 お よ び 初 期 生 育 が 不 揃 い に な る こ と が 観 察 され た こ と から
,圃
場 へ 移 す 前 に 均 ― に生 育 を 進 め て お く必 要 が あ る と考 え ら れ るc近 年
,野
菜 や 花 き 類 で プ ラ グ トレ イ を 利 用 した 育 苗 が 行 わ れ る よ う に な っ た 。 プ ラ グ トレ イ を 使 用 す る と育 苗 に関 す る一 連 の 作 業 の機 械 化 ・ シ ス テ ム化 が 可 能 で 生 育 が 揃 い 規 格 化 さ れ た 苗 を 大 量 に供 給 す る こ とが で き る。 ま た,生
産 され た 苗 の 輸 送 性 も高 く
,定
植 作 業 も機 械 で の 対 応 が 可 能 と な る(塚
田 。1990)。
本 節 で は サ トイ モ 培 養 苗 の 効 率 的 な 育 苗 方 法 に つ い て 検 討 した 。 材 料 お よ び 方 法
88穴 (60m寅
/セ
ル)お
よ び209穴
(20m史/セ
ル)の 2種
類 の 大 き さ の プ ラ グ トレ イ を 用 い て 育 苗 し,苗
の 生 育 を 調 査 した。 同 時 に ペ ー パ ー ポ ッ ト(HO.5
m史
/セ
ル)お
よ び フ ェ ノ ー ル 樹 脂 製 培 地 に つ い て も検 討 した。 フ ェ ノ ー ル 樹 脂 製 培 地 は キ ュ ー ブ 型 (33m■/セ
ル:135セ
ル)お
よ び ク サ ビ型(20.5m2/セ
ル:216セ
ル)の 2種
類 を 用 い た 。 プ ラ グ ト レ イ お よ び ペ ー パ ー ポ ッ トで は バ ー ミキ ュ ラ イ ト,
ピ ー トモ ス,お
よ び 木 炭 を 成 分 とす る市 販 の 育 苗 用 上 を 培 地 と して 充 填 した 。 い ず れ も約 lgの 培 養 球 茎 を 水 で2日
間 予 措 後 植 え 込 み,25℃
温室 内 で 育 苗 した 。 育 苗 開 始 20日 後 に 液 肥
400倍
の 追 肥 を 行 い,30日
後 に 地 上 部 お よ び 地 下 部 の生 育 を 調 査 した。 次 に,そ
れ ぞ れ の 方 法 で 育 苗 した 苗 を1993年 4月
26日 に 第 Ⅲ章 第3節
の 方 法 に従 い 圃 場 へ 定 植 した。ト ン ネ ル は 幅
30cmの
小 型 トン ネ ル と し,有
孔 プ ラ ス チ ッ ク フ ィル ム を 被 覆 した 。5月
26日 に 定 植 後 の 生 育 状 況 を 調 査 した 。結 果 お よ び考 察
‑102‑