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神経障害性疼痛の保存的治療

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Academic year: 2021

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51:939

<シンポジウム 08―3>痛みの最新の病態と治療

神経障害性疼痛の保存的治療

牛田 享宏

西原 真理

新井 健一

井上 真輔

(臨床神経 2011;51:939) Key words:慢性疼痛,バイオメカニクス,リハビリテーション 神経障害性の痛みは,神経系におこる様々な要因(機械的圧 迫,虚血,糖尿病,ウイルスなど)によって引き起こされ,難 治性の経過をたどる事もしばしばである. 運動器である四肢に症状をひきおこすものとしては,脊 椎・脊髄疾患や絞扼性神経障害などの頻度が高く,症状はア ロデニアや自発痛を特徴とするが,多くはしびれや筋痛をと もなう. 運動器の神経障害性疼痛の治療にあたっては,1)神経生理 学的観点,2)バイオメカニクス的・リハビリテーション医学 的観点,3)精神・心理学的観点などから治療を考えていく必 要がある. 1)神経障害性疼痛では末梢神経や脊髄などの中枢神経系 の感作や可塑的変化が少なからずみとめられており,“神経障 害性疼痛の治療ガイドライン”では三環系抗うつ剤,Ca チャ ネルをターゲットとした薬物療法をおこない無効例には Na チャネルブロッカーや麻薬系鎮痛剤の使用が勧められてい る.神経系に対する薬物療法の多くはフラつきや傾眠傾向な どが出現する事がある.とくに脊椎・脊髄疾患に起因する神 経障害性疼痛患者では,原疾患によりフラつきなどが出やす いため,投薬に関しては注意を要する. 2)運動器にひきおこされる神経障害性疼痛は薬物療法だ けで治癒することは少なく,神経系へのバイオメカニクス的 負荷を改善することが必要となる.たとえば,頸部神経根症に よる上肢痛患者においては,カラーなどによる局所の制動あ るいは頸椎の持続牽引が必要で,薬物療法だけで症状の緩和 がえられるケースは少ない.また,症状がこれらで改善しない 場合には神経ブロックや外科的治療を要するケースも存在す る.更に,長期の局所の制動は筋萎縮にともなう頸部・肩甲帯 の痛みを引き起こすことが多く,これらをおこなう際にはリ ハビリテーション的治療は必須と考えられる. 3)神経障害性疼痛にかぎらず,慢性疼痛状態においては精 神・心理学的な要素が症状の遷延に繋がっている.したがっ て,患者の症状の遷延に繋がっている背景について,留意しつ つ治療に取り組まなければ,投薬などの器質的な病態に対す る治療が奏功しないことがある事を常に念頭においておく必 要がある. 神経障害性疼痛を含めた慢性痛においては,薬物療法だけ ですべての症状が改善することはむしろまれであり,症状は 多くの場合残存する.したがって,痛みの改善よりも ADL, QOL の改善が患者にとって重要な目標であることを念頭に おいた指導・治療戦略を立てることが重要であると考えられ る. Abstract

Conservative therapy for Neuropathic Pain

Takahiro Ushida, M.D., Makoto Nishihara, M.D., Kenichi Arai, M.D. and Shinsuke Inoue, M.D.

Multidisciplinary Pain Center, Aichi Medical University

(Clin Neurol 2011;51:939)

Key words: Chronic pain, Biomechanics, Rehabilitation, Allodynia

愛知医科大学学際的痛みセンター〔〒480―1195 愛知県愛知郡長久手町大字岩作字雁又 21〕 (受付日:2011 年 5 月 19 日)

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