平成24年度新人サポート研修会
一般部門
宿日直時に役立つ
髄液検査の
基礎・ポイント
平成24年6月30日(土)
碧南市民病院
包原 久志
本日の内容
・ はじめに
・ 基本的な事
・ 取扱い上の注意点
・ 検査項目(生化学など)
・ 細胞の観察
・ Q&A
【はじめに】
・脳脊髄液(髄液)は、中枢神経系の病態に直接アプローチできる 数少ない検査材料であり、特に髄液の一般検査は髄膜炎・脳炎の 診断や治療経過の観察のために欠くことのできない検査法である。 ・髄液検査は、ルチンのなかでも緊急を要することが多く、また夜間 や休日には 担当者以外(宿日直者)も携わらなければならず、苦 慮しているのも現実である。 ・また、各施設においても件数や方法においても大きな差がみられる ほか、検査項目についても大きな相違がみられている。 ・最近では髄液の細胞数の算定と分類を、自動機器で測定でされて いる施設もあるが、従来からの用手法で実施される施設も多いの が現状である。 ・髄液検査に苦慮する所は、もともと検体量が少ないうえに検査項目 が多く、生化学的な検査から鏡検検査による細胞数や細胞の判断 による形態的な分野まで幅広い知識が必要とされる。脳脊髄液(髄液)とは?
・ 脳室の脈絡叢で産生され、脳室、脊椎管内
ならびにくも膜下腔を満たして循環し、中枢
神経系の保護、恒常性の維持、老廃物の処
理などの役割をになっている。
・ 髄液は中枢神経系に直接接して存在するの
で、さまざまな病態を反映し、画像診断検査
が進歩する現在でも、髄液検査は、中枢神
経疾患診断において欠くことのできない検査
のひとつとされている。
髄液の循環
髄液の採取方法
① 腰椎穿刺
② 後頭下穿刺(大槽穿刺)
③ 脳室穿刺(脳室ドレナージ)
【基本的な考え方・何のための検査か】
緊急 検査で依頼される髄液検査のほとんどは、頭痛の精査、つまり 中枢神経系の感染症である髄膜炎を起こしているか、その原因 は何で あるかを迅速・正確に求められることが多いのが現状。【髄液検査で判断される疾患】
① 神経系感染症 ③ 腫瘍性疾患 ウィルス性髄膜炎 原発性脳腫瘍 細菌性髄膜炎 転移性(腺癌、白血病など) 結核性髄膜炎 悪性リンパ腫、ATLA 真菌性髄膜炎 ④ その他 好酸球性(寄生虫性)髄膜炎 ギラン・バレー症候群 アメーバ性髄膜炎 多発性硬化症 脳炎、神経梅毒 脳ヘルニア 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症) ② 無菌性髄膜反応(炎) 髄液性鼻漏(鼻内髄液漏) 出血性疾患髄膜炎とはどこ?
・ 脳や脊髄は軟膜・くも膜・硬膜の三重に重なる
髄膜で覆われている。
・ 脳の髄膜下腔のうち、
主に軟膜
に炎症を生じた
状態で、
脳炎、脳膜炎、脳脊髄膜炎
とも言う。
(中枢神経系感染症)
↓
細菌性(化膿性)
ウィルス性
その他
皮膚 頭蓋骨 硬膜 クモ膜 クモ膜下腔 軟膜
脳
髄液
骨膜特に髄膜炎について
・
髄膜炎の発生機序:
原因菌が鼻腔に感染、その後、上気道・血液中を介し血液脳関 門を破壊して髄液腔内に侵入、髄膜炎を引き起こす。 ・髄膜炎の約8割はウィルス性髄膜炎が占め、判断が可能であれば 対症療法が開始される。 ・細菌性髄膜炎は、的確な治療(抗生剤の投与)をしなければ治療 が困難な疾患である。その症状は重く、強い頭痛、髄膜刺激症状、 意識障害など重篤な症状を呈し、重症化すると後遺症が残ったり、 死に至る可能性が高い。(特に成人の致死率20~30%程) ・ウィルス性髄膜炎の中でも、単純ヘルペス感染が疑われる場合、 細菌性髄膜炎に似た強い症状を呈するため注意が必要とされる。 ・真菌性髄膜炎など・・・・。原因となるもの
① 細菌性髄膜炎・・多核球(好中球)、蛋白の増加 新生児:B群溶連菌(80%)、大腸菌、その他の腸内細菌 小児(5歳くらい):肺炎球菌、インフエンザ菌(b) 成人:肺炎球菌(80%)、腸内細菌、リステリア菌、緑膿菌 黄色ブドウ球菌など ② ウィルス性髄膜炎・・単核球(リンパ球)の増加 異型リンパ球の出現(病初期) 病初期は好中球優位 エンテロウィルス(85%):エコー、コクサッキーなど ムンプス、風疹、麻疹、単純ヘルペス、サイトメガロ 日本脳炎など ③ 真菌性髄膜炎・・単核球(リンパ球)の増加 クリプトコッカス、カンジダ、アスペルギルスなど
無菌性髄膜反応(炎)とは?
髄腔内に病原微生物の存在がないにもかかわらず、
細胞増多をもたらす病態であり、あくまでも非感染性
の反応性の病変である。いわゆる脳出血などの中枢
神経系の出血などを原因とする髄膜反応である。
・ 単核球主体の細胞増多は軽度(50/μl)。
・ しばしば大型の組織球を認める。
・ 特に、くも膜下出血ではヘモジデリン顆粒や赤血球
を貪食した単球やマクロファージが出現し、髄腔内
での出血を反映する重要な所見となる。
・
キサントクロミーの確認
。
髄膜炎の感染症法上の取り扱い(厚労省)
2003年11月施行の感染症法改正により、髄膜炎は5類感染症全数把握 疾患に定められており、全国500ヶ所の機関定点からの週次報告がなされ ている。報告のための基準は以下のとおり。 1,届出の為に必要な臨床症状 ・発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする。 ・項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状。 2,届出の為に必要な検査所見 髄液細胞数の増加 髄液蛋白 髄液糖 細菌性髄膜炎 多核球優位 増加 低下 ウィルス性髄膜炎 単核球優位 正常 正常 ※ 上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や 所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当 該疾患と診断されたもの。この場合病原体の名称についても併せて報告する こと。細菌性髄膜炎の疫学
疫学 ・発症年齢:5歳未満が半数以上を占め、ついで70歳以上が 多い。 ・男女比は6:4で男性に多い。 ・季節的変動はない。 原因菌 新生児〜生後3ヶ月 B郡レンサ球菌,大腸菌,黄色ブドウ球菌,リステリア菌 生後3ヶ月〜幼児 インフルエンザ菌(Hib),肺炎球菌,黄色ブドウ球菌 年長児〜青年期 肺炎球菌,インフルエンザ菌,髄膜炎菌 成人 肺炎球菌,髄膜炎菌 高齢者(65歳以上) 肺炎球菌,グラム陰性桿菌,リステリア菌細菌性髄膜炎
臨床症状 ・発熱、頭痛、嘔吐(進行すると意識障害、痙攣)。 ・敗血症型、電撃型は、予後不良のことあり。 ・年齢が低いほど症状は非特異的で髄膜刺激症状は不明瞭。 不機嫌、哺乳力低下、新生児では大泉門の膨隆が診断の補助。 検査所見 ・血算にて核の左方移動を伴う白血球増加、血中CRP高値。 ・髄液検査では、髄液庄の上昇、好中球主体の髄液細胞数の増加。 髄液蛋白の増加、髄液糖の減少、髄液LDの上昇。 治療・予後・予防 ・抗菌薬療法、ステロイド剤併用療法(早期の診断・治療が重要) ・治療の遅れ、電撃型は死に至る可能性あり。救命出来ても、学習能力障害、 てんかん、難聴などの後遺症を残す事有り。 ・肺炎球菌、インフルエンザ菌(B)については、我が国でも任意のワクチン 接種が開発された。ウィルス性髄膜炎の疫学
疫学 ・発症年齢:以前は0~9歳が約7割を占めていたが、2006年 以降、10歳以上の割合が増加し、2008年には過半数を占め るようになった。 ・発生の男女の差はほとんどない。 ・夏季に流行を認める。 原因ウィルス ・エコー、コクサッキーなどのエンテロウィルスが70~80%を占める。 エコーウィルス 6,7,9,11,13,18,25,33 コクサッキーウィルス B1,B,B3,B4,B5,A9 ポリオウィルス 1,2,3 ムンプスウイルス B1,B,B3,B4,B5,A9ウィルス性髄膜炎
臨床症状 ・発熱、頭痛、嘔吐 ・一般的に良好な経過をとり、あきらかな髄膜刺激症状を認め ないこともある。 ・発疹を伴うウィルス感染症の場合、皮膚症状の発症から1週間 以内に頭痛、吐き気などを生じる。 検査所見 ・血算では白血球の減少傾向、血中CRPは軽度上昇にとどまる。 ・髄液検査では随液圧の軽度上昇、蛋白の軽度上昇、糖は正常。 ・髄液細胞数は軽度〜中等度増加で、一般にリンパ球・単球主体 だが、病初期(特に小児)では好中球優位例が少なくない。 治療・予後 ・一般的に良好な経過をたどり、発熱、頭痛などに対する対症療 法が主体。細菌性髄膜炎とウイルス性髄膜炎の比較①
細菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎 好発年齢 5歳未満、高齢者 10歳未満 主訴 発熱、頭痛、嘔吐 発熱、頭痛、嘔吐 臨床症状 髄膜刺激徴候(意識障害、 痙攣) 髄膜刺激徴候 病原 肺炎球菌、インフルエンザ菌 (b)、他 エコー・コクサッキー等 のエンテロウイルス、他 治療 抗菌薬・ステロイド療法(要早 期治療) 安静・対症療法 予後 不良例有り 一般に良好細菌性髄膜炎とウイルス性髄膜炎の比較②
細菌性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎 血算 白血球増多(左方 移動) 白血球減少傾向 血中CRP 高度上昇 軽度上昇 髄液圧 高度上昇 軽度上昇 髄液細胞数 高度上昇 軽度〜中等度上昇 髄液細胞組成 好中球優位 リンパ球優位(病初期は好 中球優位に注意) 髄液蛋白 高度上昇 正常〜軽度上昇 髄液糖 低下 正常 髄液LD 上昇 正常〜軽度上昇髄液の取り扱い
① 腰椎穿刺では、最初に流出する髄液に多く細胞が含ま れるので、一般検査では最初の部分を検体とする。 ② 微生物学的検査がある場合は、一般検査と検体処理法が 異なるので、容器を別にして摂取する。(別に2本ほど採取)③ 細胞の検査は少なくとも摂取後1時間以内に行う。また髄液 摂取時間ならびに検査実施時間を記録することが望ましい
。
④ 採取容器は管壁への細胞付着を少なくするためプラスチック (ポリプロピレン)を製を用いる。 ⑤ ヘパリン添加による弊害 髄液は原則として抗凝固剤を使用しない。これはヘパリンの 成分のアミノ酸(セリン、グリシン)がサムソン液中の酢酸に 反応し、凝集、結晶化するためと考えられる。保存における細胞の変化
髄液の保存法
細胞検査 保存不可 臨床化学検査(タンパク, 唐, 酵素系) 遠心後の上清を凍結保存 ウィルス抗体価,特殊タンパク検査 遠心後の上清を凍結保存 微生物学的検査 TGC培地ならびに減菌スピッツ採取し,37℃保存髄液の化学検査法
測定意義のある検査
・蛋白
・糖
・LD
・CK
・その他
測定意義の乏しい検査
・クロール(CL)
・ノンネ・アペルト反応
パンディー反応
・トリプトファン反応
・その他
蛋白
・髄液中の蛋白の大部分は血液由来であり、血液脳関門
により一定に維持され、その約0.2〜0.6が髄液に移行する。
・基準値:健常成人15〜45mg/dl(腰椎穿刺)
概ね50mg/dl以上が病的増加
・新生児,乳児,小児は基準値が高く、35〜180mg/dl、年齢
により変動する。
・脳室では髄液が直接生産されるので、髄液の入れ替わり
が早いため、脳室穿刺の蛋白濃度は腰椎穿刺に比べると
低く、約30%程度である。
・検出法:ピロガロールレッド法、スルホサリチル酸法などが
あり、分光光度計や自動分析法を用いて測定する。
・蛋白の上昇は髄膜炎のみならず脱髄疾患や髄腔内
の閉塞などに臨床的意義がある。蛋白の増加は髄腔
内での障害・炎症を生じていると考える。
・特に細菌性髄膜炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎の
憎悪期、ギラン・バレー症候群で高値を示す。
・多発性硬化症ではオリゴクローナルバンドIgG、ミエリン
塩基性蛋白の証明が診断に有効とされている。
糖
・基準値:50〜80mg/dl、血糖値の60〜80%
・髄液糖の低下は細菌性髄膜炎や悪性腫瘍の疑いがある。
いずれも糖の消費により低値示す。
LD
・基準値 25 IU/l以下、細菌性髄膜炎では優位に上昇。
更に予後推定や治療効果の判定に役立つことから、
臨床的に意義にのある髄液マーカーとされている。
・細菌性髄膜炎では好中球由来のLD4・5、ウイルス性
髄膜炎ではLD2・3が増加。
・測定は、血清LDと同様に生化学自動分析装置で行う。
CK
・CK:基準値 6 IU/l以下、髄液中で検出されるのはほとん
どがCK-BBである。
・脳細胞の破壊や重症化した髄膜炎、膿瘍などで上昇す
る。髄膜炎の予後の確認にも有用である。
・測定法は生化学自動分析装置で行う。
・グラム染色・ギムザ染色
・細菌培養検査、細菌抗原検査
・ウイルスの抗原検査、抗体価
・CRP、電解質(Na、K、CI)
・比重:1.005~1.007、ほぼ水に近い状態
・その他
細胞の観察
髄液の観察
肉眼的検査
① 出血の有無や細胞の増加の程度をおおむね
把握するため色調や混濁を観察する。
② 病的変化としては、
(1)混濁
(2)血性髄液
(3)キサントクロミー(黄色調髄液)
(4)日光微塵所見
髄液外観の鑑別
日光微塵 → 光にかざして振ると微細な粒子が観察される 血性髄液 → 遠心上清でキサントクロミーを確認!
細胞数算定
・希釈方法はサムソン液を用いたマイクロピペット
法で行う。(メランジュール法)
サムソン液:髄液=20:180μlあるいは20:200μl
(1:9)
・細胞数が著しく増加した髄液では、あらかじめ
髄液を生理塩水で適度に希釈する。
・算定方法はフックス・ローゼンタール計算盤法を
推奨する。
・鏡検は200倍にて行うことを基本とする。
・細胞数算定の対象は白血球とする。(単核球、多核球)
・髄液細胞数の参考基準値は、5/μl以下とする。
フックス・ローゼンタール計算盤
※ 全区画面積 16mm 深さ 0.2mm 2 容積3.2(mm ) 2 細胞数の報告 ① 結果値は整数とし、単位は 細胞数表示の標準単位である /μl を用いることが望ましい。 ②最小値は1とし、算定した数 値が1に満たない場合は1 /μl 以下と報告する。 ③髄液細胞数の参考基準値 新 生 児 : 25/μl以下 乳 児 : 20/μ以下 乳児以降 : 5/μl以下細胞数が著しく増加する場合
算定時の細胞分類と報告
① 単核球と多核球の2種類に分類する。
② 結果値は細胞数が多い場合は各々の%、
少ないときは実数で示す。
・多い場合の例 細胞数385/μl
単核球:多核球=83:17(%)
・少ない場合の例 細胞数12/μl
単核球:多核球=11:1(個)
※ 計算盤上に100箇以上の細胞を認める場合に%表示し
100に満たない場合は実数表示するのが一般的である。
③ 結果値は整数、単位は/μlを用いることがのぞましい。
④ 最小値は1とし、算定した値が1に満たない場合は1/μl
以下と表現する。
計算盤(サムソン染色)の白血球形態(×40)
リンパ球 単球 組織球
単核 リンパ球
多核 好中球
単核 単球 多核 好中球
医原的細胞所見
医原的細胞所見
細胞数補正(赤血球の補正)について
・ まずは病的な出血なのか、医原的(採取時の混入)かを
判断しなければならない。
・ 補正するかしないかについては、いまだ多くの論議 が な
されてい る。多数の血液の混入が認められる 検体 は、
細胞数の算定は不正確となり、また血清の混入は 明らか
に蛋白の異常高値をしめす。多数の赤血球がみ られ赤血
球補正を実施した場合は、補正前 ・後それぞ れの細胞数
を報告することが望ましい。
赤血球補正後、 誤差により細胞数がマイナスになってしま
す場合がある。当然「細胞数マイナス」の報告はありえなく、
また白血球が観察されていない訳ではないので、この場合
は成人の基準値を参考に「補正後、5個以下/μl」と報告する
と良い。
髄液検査法2002では、以下のように補正
を紹介している。
補正1 : 補正細胞数
=補正前細胞数ー末梢血WBC×髄液WBC
補正2:概略法。
髄液RBC480〜1,100個につきWBC1個減らす。
サムソン液染色の組成・調整法
(超生体染色)
・ 10%フクシン水溶液(フクシン200mg+精製水2
ml)2ml、酢酸30ml、飽和フェノール2ml を加え、
精製水で100mlにする。原法ではフクシンアルコ
ール溶液を用いるようになっているが、水溶液でも
染色性に差はない。
・ サムソン液調整後、経日的に細胞核の染色性が
低下した場合は適時調整し直す。サムソン液は市
販品もあるが、自家製、市販品を問わず常に一定
した染色性を保つことが精度管理上重要であり、
少なくとも2年に1度は染色液を新しくする。
塗抹標本の作製について
・計算盤で細胞を観察し、詳細な白血球の分類や異型細胞の同定 が必要と思われる場合は、ギムザ染色やパパニコウロ染色によ る細胞検査が必要になる。採取後の髄液細胞の変色や崩壊は早 いため、迅速な標本作製が必須となる。 1.染色方法:髄液中の細胞は基本的に血液由来であるため、ギム ザ染色を第一選択とする。 計算盤上で異型細胞が疑われる場合は、パパニコロウ 染色を選択する。 サムソン染色での鏡検で明らかに細菌類が観察される 時はグラム染色を優先する。 2.集細胞:集細胞装置や、または800rpm・5分程度の弱遠心後、 できるだけ上清を除去する。 3.蛋白の添加:細胞の変性・崩壊を防ぐため患者本人の血清または、 AB型血清などの蛋白を沈渣に加える。ただし、髄液蛋白が高い場合は、添加するとかえって細胞収縮を 引き起こす。 4.塗抹:引きガラスなどでスライドグラスに塗抹する。引きガラスは引 ききらず寸止めする。 5.固定:ギムザ染色は乾燥固定、パパニコロウ染色はアルコール湿 固定、グラム染色は火炎固定またはアルコール湿固定する。 染色を施す時間がない場合は固定のみで充分である。 染色はその後実施すれば良い。 6.染色:染色においての注意点は特にないが、塗抹された細胞量に より染色時間の増減は多少考慮する。
まとめ
髄液検査は、限られた検体量を用い迅速で正確さを求め
られる検査のひとつである。しかし、いまだ用手法で行う検
査項目が多く、一つの検体で細胞の鏡検、生化学検査、細
胞検査、時には外注検査としての検体保存など多岐にわ
たる作業が必要とされる。
最近では細胞数の算定や分類を自動機器で実施する施設
もみられるがまだまだ一般的な施設で難しい状況であり、
我々検査技師がスムーズに検査を進めるためには、①検
査依頼の目的 ②肉眼的所見の確認と細胞の増加や出血
の有無の判断 ③安全で簡便な操作 ④ルーチンでの検
査担当者のマニュアル作り。以上の4点を改善することによ
り、緊急時においても安心で安全な検査を行うことができる
と考える。
多核球 多核球 多核球 単核球 多核球 単核球