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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 佐 々 木 拓 郎      学位論文題名

IVIagnetic Nanoparticles for Improving Cell Invasion in      ●

    Tissue Engineerlng

     (細胞浸潤性の向上を目指した細胞接着性磁性体ビーズの開発)

学位論文内容の要旨

導入: Ti88ue engineeringは一般的にvitroで増殖させた細胞を足場となる担体(scaffold) に播穏し細胞外マトリックス形成を促すというステップを踏む。この際播稀された細胞が scaffold深屑にまで到達しにくいため深鴈・中心部では細胞が粗になりやすく、その結果 十分な細胞増殖までに時間を要しマトリックス産生効率が低下するという問題が生じる。

そこで8caffold深周部への低い細胞浸潤能を改藩させる効率的な細胞播輒法のI娟発が繰 題となっている。

近年ナノテクノロジーの進歩により開発きれた磁性体ビーズが様々な分野に応用されて いる。今回我々は磁性体ビーズのTissue engineering  ‑の応用として、キトサンでコート した磁性体ビーズを開発し、これを付蔚させた細胞に磁カを与えることによりscaffolrl深 周部への低い細胞浸潤能の改醇を試みた。

本研究の目的はこのシステムによる細胞浸潤能の変化を検討すること、磁性体ビーズ付蔚 に よ る 細 胞 の 反 応 お よ び 細 胞 浸 潤 に 関 わ る 因 子 を 検 討 す る こ と で あ る 。 実験方法および結果:キトサンでコートした直径約200nmの磁性体ビーズを開発しヒト 線維芽細胞ヘ導入した。細胞増殖性による磁性体ビーズの毒性評価、mvasion assayによ る細胞浸潤能の評価、real‑time PCRによるMMPおよぴ細胞接着分子発現を評価した。

統計学的評価には分散分析(ANOVA)を用いた。

細胞への導入により電顕像において細胞表面に多数の磁性体ビーズが付着していること が確認された。また磁性体ビーズ付着細胞をキチナーゼ/キトサナーゼで48nや間処理す る こ と に よ り ほ と ん ど の 磁 性 体 ビ ー ズ が 除 去 さ れ て い る こ と が 確 認 さ れ た 。 細胞増殖性は吸光度で12、24、48時間後の細胞数を測定しi!F価した。細胞対磁性体ビー ズが1: l05のhigh denslty醫roup、1:104のmiddleden8itygroup、1:  103のlowden8ity groupの3群 でcontrol群と 比較 した 。highden8itygroupでは24、48時1粥後において control群に対して有意な低下がみられた。middleおよびlowdeI18ityがoupではcontrol 群に対して有意差は認められなかった。

Invasiona88ayとmRNA発 現測 定 に は 以 下 の5つ のexperimentalgroupを 設定 した 。 磁性体ビーズを付符させ巌も強い磁カを与えたgroup(MN8.MF100%)、50%の磁カを与 えたgroup(MN8.MF50%)、25%の磁カを与えたgでoup(MNs・MF25%)、磁性体ビーズを 付着させただけで磁カを与えないgroup(MN8)、そして磁性体ビーズも磁カもないcontrol group(C)。

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invasion assayは8pmの ポ ア をI型 コ ラ ー ゲ ン で塞 い だ イン サ ー ト内 に 、 蛍光 標 識 した 細 胞を 播 穏 し、 下 方 から 磁 カ を 与え て イ ンサ ー ト 底面側 に浸潤 した細胞 を6、12、24時間 後 に プ レ ー ト リ ー ダ ー でbottom readingし た(Fig.1)。MNs‑MFl00%groupで 測 定 し た す べ て の 時 間 に お い て 細 胞 浸 潤 能 の 有 意 な 上 昇を 認 め た(control比:124% 、133% 、 138% ) (Fig.2) 。

mRNAはMMP‑1、8、13お よ び 細 胞 接 着 分 子 と し てintegrin a5、fibronectinの24時 間 後 の 発 現 を 測 定 し た 。磁 性 体 ビー ズ を 付着 さ せ たgroupでMMP‑1、13、integrin a5の 発 現 が上 昇 し 、か つ 磁 カと 正 の 相 関を 示 し た。

ま たMMPの 細 胞 浸 潤 能 へ の 関 与 を み る た め にMMP inhibitor(GM6001)を 加 え て mvasion assayを 再 検 し た 。MNs‑MFl00%groupに み ら れ た 細 胞 浸 潤 性 の 有 意 な 上 昇は 消 失し た 。

考 察

キ ト サ ン で コ ー ト し た 磁 性 体 ビ ー ズ を 細 胞 に 導入 し 磁 カを 与 え る こと に よ り細 胞 浸 潤 能 は 上 昇 し た 。 こ の 傾 向 は 最 も 強 い 磁 カ を 与 え たgroupに み ら れ 、 高 い 細 胞 浸 潤能 の 獲 得の た め には 十 分 な磁 カ が 必 要で あ る こと が 示 唆さ れ た 。

MMP‑1、8、18のmRNAの 発 現 上 昇 お よ びMMP inhibitorの 添 加 に よ り 細 胞 浸 潤 性 の 上 昇 が消 失 し た結 果 か ら本 シス テムの細 胞浸潤 性の上昇 には磁カ と共に 磁性体ビ ーズ付 着細 胞 か ら の MMPの 発 現 ・ 分 泌 増 加 が 大 き く 関 与 し て い る と 考 え ら れ た 。 キ トサ ン は 自然 界 に 存在 す るbiocompatibility、biodegradability、antimicrobialな ど の 性 質 を 有 す る 物 質 で 毒 性 が 低 い た め 様 々 な 分野 に 利 用さ れ て い る。 今 回 細胞 に 付 着 し た磁 性 体 ビー ズ の ほと ん ど を キチ ナ ー ゼ/ キ ト サナ ー ゼ 処理 に よ り除 去 で きたこ とも 臨 床 へ の 応 用 を 考 慮 し た 場 合 、 新 た な 細 胞 播 種法 の 有 用な 候 補 と なり 得 る 可能 性 を 示 し てい る 。

本 研究 で 開 発さ れ た シス テ ム をtissue engineering^ 応 用す る こ と によ り 、scaffold深 層 部へ の 低 い細 胞 浸 潤能 を改 善させ、 より効 率的な細 胞播種法 を実現 させるこ とが期 待さ れ る。

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Fig.1

6b       12 h      24h    Tlme In culture

   Fig. 2

‑ 24 ‑

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学位 論文審査の要旨

     学位論文題名

rvIagnetic Nanoparticles for Improving Cell Invasion in     Tissue Engineering

( 細胞浸 潤性の向上 を目指し た細胞接 着性磁性 体ビーズ の開発)

  Tissue engineeringにおいて細胞播種時に細胞がscaffold深層にまで到達しないため深 層・中心部で細胞が粗になり、その結果十分な細胞増殖までに時間を要しマトリックス産 生効率が低下するという問題が生じる。そこでscaffold深層部への低い細胞浸潤能を改善 させる効率的な播種法の開発が課題となっている。本研究ではキトサンでコートした磁性 体ビーズを付着させた細胞に磁カを与えることにより低い細胞浸潤能の改善を試みた。本 研究の目的はこのシステムによる細胞浸潤能の変化を検討すること、磁性体ビーズ付着に よ る細胞の 反応およ び細胞浸潤に関わる因子を検討することである。直径約200nmの磁 性体ビーズをヒト線維芽細胞ヘ導入し、細胞増殖性による磁性体ピーズの毒性評価と、

1nvasion assayに よる細胞 浸潤能の 評価と、real‑time PCRによるMMPおよび細胞接着 分子発現の評価を行った。電顕像により細胞表面への多数の磁性体ビーズの付着が、さら にキチナーゼ/キトサナーゼ処理によりほとんどの磁性体ピーズの除去が確認された。細 胞増殖性は吸光度で12、24、48時間後の生細胞数を測定し評価した。細胞対磁性体ビー ズ が1: 105のhigh density groupで24、48時間後においてcontrol群に対して有意な低 下がみられた、1: 104のmiddle density group、1: 103のlow density groupではcontrol 群 に対して 有意差は 認められ なかった 。Invasion assayは底面膜の8pmのポアをI型コ ラーゲンでコートし塞いだインサート内に螢光標識した細胞を播種し、下方から磁カを与 え て6、12、24時 間後に膜 底面側に浸潤した細胞をプレー卜リーダーでbottom reading した。磁性体ビーズを付着させ最も強い磁カを与えたグループですべての時間における細 胞 浸潤能の 有意な上 昇を認め た。mRNAは磁 性体ビー ズを付着させたグループにおいて MMP‑1、13、integrin a5の発現が上昇し、かつその発現上昇は磁カと正の相関を示した。

ま たMMP inhibitorを加え た1nvasion assayの再検では最も強い磁カを与えたグループ にみられた細胞浸潤能の有意な上昇は消失した。本研究の結果により高い細胞浸潤能の獲 得のためには磁性体ビーズの細胞への付着と同時に十分な磁カの存在が必要であることが 示唆された。また本システムの細胞浸潤能の上昇には磁カと共に磁性体ビーズ付着細胞か ら のMMPの発現 ・分泌増 加が大きく関与していると考えられた。審査にあたり副査藤堂 教 授よりtissueengineeringにおいて問題となる02供給に関連して具体的に考えている scaffoldの形態(長さ、厚さ)について質問があり、現在はインサートの厚さ1Hm未満の底 面膜を浸潤した細胞に有意差が出たという段階であり,応用にあたってはさらなる基礎研

25 ‑

則 省

和  

  明

田 堂

安 藤

授 授

教 教

査 査

主 副

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究が必要であると回答した。副査三浪教授より磁性体ピーズの除去後の細胞増殖性への影 響について質問があり、ビーズ除去後も細胞増殖に影響がみられなかったため問題はない と考えられると回答した。また、主査安田教授より磁場を与えることによるMMPsの発現 上昇の理由について質問があり、印象としてではあるが、磁性体ビーズ付着という物理的 な現象の他にI型コラーゲンで塞いだポアを塞いだインサート底面膜に圧着させられるこ とによるにカ学的な要因も影響していると思われると回答した。

  こ の論 文は 新しい細胞播種法における細胞浸潤能を評価し、それに関わる因子の検 討まで行った独創的な研究であり、この新しい細胞播種システムによりscaffold深層部 への低い細胞浸潤能を改善させ、より効率的な細胞播種法を実現させることが期待される。

  審査員一同はこれらの成果を評価し、大学院過程における研鑽や取得単位なども併せ申 請者が博士(医学)の学位を受ける資格を有すると判定した。

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