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難治性うつ病に対する反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)および磁気けいれん療法(MST)の臨床応用

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Copyright ⓒ 2016 by The Japanese Society of General Hospital Psychiatry Printed in Japan

特集● ECT の適応についての展望と rTMS の現況

総  説

Overview

難治性うつ病に対する反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)

および磁気けいれん療法(MST)の臨床応用

野田 賀大

Clinical application of repetitive transcranial magnetic stimulation

and magnetic seizure therapy to patients with treatment-resistant depression

Yoshihiro Noda

Temerty Centre for Therapeutic Brain Intervention, Centre for Addiction and Mental Health, Department of Psychiatry, University of Toronto, 1001 Queen Street. West. Unit 4, 1st Floor, Toronto, ON M6J 1H4, Canada

Abstract:In this article, I aim to outline the present state and findings on the clinical efficacy and safety of repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS) and magnetic seizure therapy (MST). In addition, I introduce foreign guidelines for the treatment of patients with major depressive disorder and treatment-resistant depression (TRD). Although rTMS treatment for TRD in the acute phase is not usually superior to electroconvulsive therapy (ECT) in terms of its antidepressant effect, it is suggested that rTMS has an effect comparable to that of ECT in relapse prevention during the continuation and/ or maintenance phase of treatment. On the other hand, MST has characteristics comparable to those of ECT even in the acute phase of treatment and results in faster recovery of orientation after treat-ment. Furthermore, it is assumed that rTMS and MST have no specific “social stigma”, or the adverse cognitive effect that ECT usually has. It is also estimated that the cost-effectiveness of rTMS is almost equivalent to that of ECT. Moreover, neurostimulation therapy has the potential to reduce the adverse effects of medication as well as overall healthcare costs in the long term. For optimization of treatment parameters and protocols, further research is needed for a more detailed understanding of the thera-peutic mechanism of the neurostimulation represented by rTMS. In the future, through such efforts, it would be possible to implement personalized neurostimulation therapy tailored to the condition of the individual patient with TRD.

Key words: Treatment-resistant depression (TRD), Repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS), Magnetic seizure therapy (MST)

はじめに─うつ病の疫学・社会経済的

負担について

うつ病は世界人口の約 1 億 2 千万人が罹患して おり,その生涯有病率は 10 〜 15%といわれてい る1)。うつ病の 15 〜 35%が薬物治療抵抗性であ り2),薬物治療抵抗性うつ病は治療反応性うつ病

ト ロ ン ト 大 学 精 神 科・Centre for Addiction and Mental Health(1001 Queen Street. West. Unit 4, 1st Floor, Toronto, ON M6J 1H4, Canada)

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と比べ,社会経済的損失が約 6 倍($42,344 vs. $6,512)もあると推計されている3)。従来のうつ 病治療が奏効しないことによるうつ病の遷延化 は,本邦を含め世界中で大きな社会問題になって いる。そこで近年,薬物治療抵抗性うつ病に対す る新たな治療法として,反復性経頭蓋磁気刺激療 法(repetitive transcranial magnetic stimula-tion;rTMS) や 磁 気 け い れ ん 療 法(magnetic seizure therapy;MST)などの神経刺激治療が 開発され4-7),現在,北米を中心として積極的に 臨床応用されてきており,その役割が大いに期待 されている8, 9)

薬物治療抵抗性うつ病について

薬 物 治 療 抵 抗 性 う つ 病(treatment-resistant depression;TRD)の定義に関して,現時点では 世界共通の明確なコンセンサスやグローバルスタ ンダードは存在していない10)。しかし,一般的 には「2 種類以上の抗うつ薬を十分量・十分期間 用いても十分な治療反応性が得られないケース」 と考えられている11-13)。ただし,国によってうつ 病に対して使用可能な抗うつ薬の種類や用量が異 なり,さらにうつ病の重症度に関する考え方の差 異が存在するため,一概に各国の状況を比較する ことはできないが,うつ病そのものに対する基本 的な治療戦略は,アメリカ(APA,ICSI),カナ ダ(CANMAT),イギリス(NICE),本邦(日 本うつ病学会治療ガイドライン)において概ね同 様である。

TRD に対する rTMS 治療

rTMS はうつ病,特に TRD に対する有効な神 経刺激治療として積極的に臨床応用されてきてお り8, 9),これまでの複数の大規模臨床試験から, TRD に対する rTMS 治療の有効性はすでに示さ れてきている8, 14-16)。特に,2008 年にアメリカ FDA から TRD に対する rTMS の臨床使用が認 可されて以降,rTMS は北米を中心とした臨床 現場で,TRD に対する治療オプションとして 徐々に普及してきている。実際,the Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression (STAR*D)trial において,抗うつ薬 2 剤に反応 しなかったうつ病患者群の,その後の抗うつ薬に 対する治療反応率と寛解率はそれぞれ 13.7%と 16.8 % で あ っ た の に 対 し て17), 同 条 件 下 で の rTMS 治療の成績は,それぞれ 53.4%と 31.5%と 相対的に高い改善率を示しており,TRD に対す る rTMS の有効性が示されている9)

世界の主なうつ病ガイドラインにおけ

る rTMS 治療の位置付け

さてここで,世界の代表的なうつ病ガイドライ ンにおける rTMS 治療の位置付けや考え方につ いて,筆者の意見や経験も交えながら以下に紹介 してみたいと思う。うつ病治療に対する考え方は 各種ガイドラインとも概ね同様であるが,rTMS に関する説明内容や評価はガイドラインによって やや異なる。APA ガイドライン(2010)では, rTMS に関する記述はその臨床効果を中心に総論 的内容にとどまっている。同ガイドラインでは, うつ病の急性期治療として,薬物療法,精神療 法,それらの併用,ECT・TMS・光線療法など の身体療法を推奨しており,それらの選択は,患 者のうつ症状の重症度,併存疾患および心理社会 的ストレス要因などの臨床的特徴,そして患者の 好みやそれまでの治療歴などによって影響される と記している[Level 1]注1。さらにどのような治 療法も精神科的管理の下で実施されるべきである と明記されている[Level 1]。rTMS は,うつ病 急性期の初期治療としてはまだ十分なエビデンス が確立されていない状況ではあるが,アメリカで は TRD に対する治療オプションの一つとして位 置付けられている。 CANMAT ガイドライン(2009)や NICE ガイ ドライン(2009)においても,うつ病治療に関す 注1 Level 1:十分なサンプルサイズをもった 2 つ以上の RCT 研究によって,その有効性が証明されているもの。プラセボ・ コントロールを含んでおり,メタ解析にて臨床アウトカムの信頼区間が狭いほうが望ましい。

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る考え方は基本的に同様である。しかし NICE ガ イドラインでは,うつ病に対する rTMS 治療に 関して安全性の問題は特にないとしているが,よ り良い臨床効果を引き出すための最適な治療プロ トコルがまだ明確になっていないため,現段階で は研究目的のみで使用されるべきだとしている。 したがって,イギリスでは北米と比べ,rTMS の 臨床応用に関してはやや慎重な姿勢を取っている ものと考えられる。さらに同ガイドラインでは, 今後の rTMS 臨床研究で,患者選択基準,他の 治療法と関連付けた rTMS パラメータの最適化, 治療効果の持続期間を明らかにしていくことを目 指すべきだ提言している。 以上より,NICE ガイドライン以外の主なガイ ドラインにおいて,rTMS は TRD に対する有用 な治療オプションとして概ね推奨されていること がわかる。現在イギリスでは,rTMS の臨床応用 は積極的には推奨されていないものの,従来の治 療に反応しない難治性うつ病患者に対しては, rTMS に関する十分な知識・経験・技能を有した 精神科医療スタッフの管理下において,rTMS は 治療オプションの一つになり得ると,NICE ガイ ドラインではその可能性について言及している。 日本では rTMS 治療の位置付けがまだ明確にさ れていない状況にあるため,本邦のうつ病治療ガ イドラインには rTMS に関する記載はない。本 邦においても,早急に rTMS をはじめとした神 経刺激治療の役割や位置付けについて,前向きに 検討していく必要があるのではないかと考えられ る。

rTMS の基本原理と主なパラメータお

よびプロトコル

TMS は,特別な磁気コイルを用いることで, コイルから発生する磁場(1.5 〜 2.5T 相当)由来 の微弱な誘導電流を大脳皮質表層に局所的に流す 電気刺激技術である18)。TMS コイルに関しては, 通常,円形コイルあるいは 8 の字コイル(バタフ ライコイル)が使用されることが多い。8 の字コ イルでは,円形コイルと比べより強力で,より局 所的な刺激ができるという特徴があり,反復刺激 用(治療用)として幅広く応用されている。ただ し近年,8 の字コイル以外にも,ダブルコーンコ イルや H コイルなど,さまざまな形状のコイル が開発されてきており,特に臨床研究の場では, これらの特殊コイルが刺激部位や疾患の種類に応 じて使い分けられるようになってきている。 また,TMS の刺激周波数は主に 2 つのタイプ に分類され,① 5 Hz 未満(実際上は 1 Hz 以下 とされることが多い)の一過性に皮質の興奮性を 抑える低頻度刺激と,② 5 Hz 以上(実際上は 5 〜 20Hz の範囲が多い)の一過性に皮質の興奮性 を促進する高頻度刺激とがある19)。さらに近年 では,従来型の低頻度・高頻度刺激のみならず, シーターバースト刺激をはじめとした patterned stimulation も臨床応用されてきている20-23) 大部分の先行研究において,短母指外転筋に対 応した運動野部位の hot spot から傍矢状線上 5 cm 前方の前頭部位を治療刺激部位とする方法が 用いられている。一方,別の方法としては,MRI 情報に基づいたニューロナビゲーション法もあ り,左背外側前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex:DLPFC)に相当する BA9 と BA46 の境 界部位を標的として刺激する方法もある24)。た だし,最近ではニューロナビゲーションを用いた 臨床研究が増えてきており,5 cm ルール(ある いは 6 cm ルール)による従来法よりも,MRI ガ イド下ニューロナビゲーション法のほうが解剖学 的な個体差を考慮できるため,刺激精度がより高 く治療効果もより高いことが知られている24) TMS の刺激強度は,個々人の安静運動閾値 (resting motor threshold;RMT)に基づいて決 定され,通常 90% RMT から 120% RMT の強度 で刺激される。うつ病に対する治療標的部位は左 および右 DLPFC とされており,特に左 DLPFC に対する高頻度 rTMS の有効性を支持するエビ デンスは多い。ただし,右 DLPFC に対する低頻 度 rTMS の有効性を示した報告25)や,左 DLPFC に対する高頻度 rTMS 後に右 DLPFC に対する 低頻度 rTMS を連続投与する方法(連続両側 DLPFC 刺激)の有効性を示した報告25)もある。 rTMS プロトコルは,1 回のセッションあたり, 数秒間続く刺激トレインを一定間隔で数十回与え

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る方法が一般的であり,通常週 5 回の治療を行 う。初期の臨床研究では,2 週間計 10 回を 1 クー ルとした rTMS 治療プロトコルが多かったが, 近年では治療効果の観点から,4 週間計 20 回か ら 6 週間計 30 回を 1 クールとしたプロトコルの ほうがより一般的になってきている8)。さらに CANMAT ガイドラインでは,左 DLPFC に対す る高頻度刺激から rTMS 治療を開始することが 推奨されており[Level 1],rTMS セッション数 に関しては,計 10 回よりも計 20 回のほうが,治 療効果が高いということが示されている[Level 2]注2。なお,rTMS によるうつ病の寛解維持およ び再発予防効果に関するエビデンスレベルは Level 3注3とされている。ただし NICE ガイドラ インでは,TRD に対する rTMS 治療の最適なプ ロトコルを確立するために,さらなる研究が必要 であると強調している。

急性期うつ病に対する rTMS の治療

効果

まず,APA ガイドラインでは次のように説明 している。rTMS 治療に関しては,多施設共同ラ ンダム化シャム・コントロール臨床試験の結果, 「1 剤以上の抗うつ薬に十分反応しないうつ病エ ピソード患者に対して,左 DLPFC に対する高頻 度 rTMS を使用する」という治療プロトコルが, アメリカ FDA によって 2008 年に認可された8) し か し な が ら, 抗 う つ 薬 治 療 に add-on し た rTMS 治療の大規模ランダム化シャム・コント ロール試験では,左 DLPFC に対する rTMS は 有意な臨床効果を認めなかったという報告もあ る26)。rTMS のシャム・コントロール研究を対 象にしたメタ解析では,大部分の研究が抗うつ効 果に関して small から moderate レベルの effect size を示しており,全体としての有効性が確認さ れている14, 27, 28)。なお,先行研究では,急性期う つ病のなかでも,「治療抵抗性がより軽度」な症 例や「不安障害を合併していない」症例において, より良い治療効果を発揮する可能性が高いと報告 している29) 一方,急性期うつ病に対する rTMS 治療は, ECT と比べた場合,抗うつ効果がより弱いか30) あるいは同等であると報告されている31-33)。認知 機能に関しては,小規模のオープンラベル研究に おいて,ECT は治療直後に重大な記憶障害をも たらすが,rTMS ではそのような影響はなく,む しろ改善傾向を示す場合があると報告されてい る34)。rTMS の刺激強度に関しては,運動閾値 の 90%以下で刺激した場合には,治療効果が低 くなると報告されている28)。さらに高齢者である ことや治療抵抗性であることは,rTMS に対する 治療反応性を下げる要因になり得ると指摘されて いる35) rTMS の治療効果の持続期間については十分に 研究されていないが,メタ解析によると,治療終 了後 2 週間時点でのフォローアップでは,アク ティブ刺激群ではシャム刺激群と比べ,より高い 治療反応率が維持されていたが,両群の間に統計 学的な有意差は検出されなかったと報告されてい る36)。さらに,すべての rTMS 研究においてい えることとして,rTMS 治療は忍容性が高く,治 療に伴う脱落率も低いという特徴があげられ る27)。rTMS の最もありふれた副作用は,刺激 に伴う一過性の頭皮不快感や頭痛であり37),ま た rTMS 治療は数週間ほぼ毎日実施しなければ ならないため,そのことが実臨床上の障壁になり 得るという実施上の問題が指摘されている。 次に,CANMAT ガイドライン(2009)では以 下のように説明している。うつ病の急性期治療に 関して,抗うつ効果,再発予防,安全性・忍容性 の観点から,ECT はファーストライン治療注4 注2 Level 2:十分なサンプルサイズをもった 1 つ以上の RCT 研究によって,その有効性が示されているもの。メタ解析 にて臨床アウトカムの信頼区間が狭いほうが望ましい。 注3 Level 3:非ランダム化・プラセボ対照前向き試験,ケースシリーズ研究,あるいはハイクオリティな後ろ向き研究によっ て,その有効性が示されているもの。 注4 ファーストライン治療:Level 1 あるいは Level の 2 エビデンスがあり,さらにエキスパートオピニオンにより支持さ れている治療法。

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されており,エビデンスレベルも Level 1 となっ ている。一方,rTMS はセカンドライン治療注5 に位置付けられており,急性期治療における抗う つ効果および安全性・忍容性に関してはエビデン スレベルが Level 1 だが,再発予防効果について は Level 3 にとどまっている。rTMS は 2002 年 にカナダ Health Canada によって他の先進国に 先駆けてその臨床使用が認可され,その後 2008 年にアメリカ FDA においても「薬物治療抵抗性 うつ病」に対する臨床使用が承認された(筆者注: それぞれの国の医療・保険制度の差異により,本 邦では rTMS の臨床使用に関する考え方や捉え 方にやや誤解がある印象があるが,北米では rTMS 装置の一部が医療機器として承認されてい るということであって,rTMS 治療がすべて保険 でカバーされているという意味ではない。カナダ においても 2015 年現在,rTMS 治療はまだ保険 適応にはなっていない。カナダでは州により保険 適応の範囲が異なり,アメリカでは個々人が加入 している保険の種類によってカバーされる内容や 程度が異なる)。 1993 年に世界で初めてうつ病に対する rTMS 治療に関するケースレポートが報告されて以 来38),うつ病に対する rTMS の治療効果を評価 した数多くのオープンラベルおよび RCT 研究が 実施されてきている8)。2007 年に報告されたメ タ解析では,2005 年以降に報告された rTMS 臨 床研究のほうが,それ以前のものと比べ治療効果 がより高いと結論付けており39),301 例の薬物フ リーのうつ病患者を対象としたシャム・コント ロール RCT 試験では,アクティブ rTMS 群のほ うが,シャム rTMS 刺激群よりも治療効果が有 意に高かったと報告している8)。さらに,うつ病 患者約 900 例を対象としたメタ解析においても, アクティブ rTMS の有意な有効性が示されてい る40)。治療刺激部位に関しては,MRI ガイド下 ニューロナビゲーション法を用いたほうが,より 正確に DLPFC 標的部位を刺激することができ, より高い治療効果が得られることが示されてい る24) rTMS と ECT との比較では,費用対効果は両 者ともほぼ同等であると考えられているが41) 急性期の治療効果は ECT のほうが高いことがわ かっている30, 31)。NICE ガイドラインにはこれら の研究の詳細が記載されており,具体的には 46 例を対象とした RCT 研究において,ECT 治療群 では 59%の患者が寛解に達したのに対し,rTMS 治療群では 17%の患者が寛解に至ったと報告し ている。ただし急性期治療においては,両群の寛 解率に有意差は認められたものの,6 カ月後の フォローアップ評価では HAM-D スコア上,両 群のうつ症状に有意差はみられなかった30)。さ らに 35 例の患者を対象とした別の RCT 研究で は,rTMS 治療群では患者の 50%が治療反応を 示し,10%が寛解に至ったのに対し,ECT 治療 群では患者の 40%が治療反応を示し,20%が寛 解に達したと報告している31)。なお,ECT ない し rTMS 治療に反応した 41 例の患者を対象とし た RCT 研究では,治療終了後 6 カ月間のフォ ローアップ期間中の再発率は,ECT 群が 20%で あったのに対し rTMS 群が 19%であり,両群と もに同等であったと報告している42) NICE ガイドライン(2009)では,rTMS の臨 床効果に関して以下の研究を紹介している。まず 初 期 の シ ャ ム・ コ ン ト ロ ー ル rTMS 研 究(16 studies,n=394)をまとめたシステマティック レビューでは,左 DLPFC に対する高頻度アク ティブ rTMS は,シャム刺激と比べ治療 2 週後 の HAM-D スコアを有意に改善させた(11 stud-ies,n=197,p=0.03)と報告している。ただし, 治療終了 2 週間後のフォローアップ評価を行った 研究(3 studies)からは,両群の HAM-D スコア に有意な差はみられなかったと報告している。さ らに BDI にて臨床評価を行った研究(7 studies, n=145)では,アクティブ rTMS 群とシャム群に おける抗うつ効果に有意差はなかったとしてい る43)。ただし注意点として,これらの研究はす べて 2001 年以前に実施された rTMS 第一世代に 注5 セカンドライン治療:少なくとも Level 3 のエビデンスがあり,さらにエキスパートオピニオンにより支持されてい る治療法。

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よる治療結果をまとめたものであるため,現在実 施されている rTMS 第三世代の治療成績と比べ, 刺激精度や治療効果の面で大分劣っている可能性 が十分考えられる40) 130 例の患者を対象とした右 DLPFC に対する 低 頻 度 rTMS に よ る RCT 研 究 で は, 患 者 の 51%が治療反応を示し,27%が寛解に達したと報 告している。因みに,低頻度 rTMS における 1 Hz 刺激群と 2 Hz 刺激群との間で治療反応率に 有意差はみられなかった25)。また,54 例の患者 を対象にした RCT 研究では,100% MT を用い た rTMS 治療群では,61%の患者が治療に反応 したが,80% MT を用いた rTMS 治療群では, 28%の患者しか治療に反応しなかった。両群の治 療反応率には有意差も認められた。なお,シャム 刺激群では 6%の患者が反応を示した44) NICE ガイドラインにおいて,2009 年以降に更 新された内容としては以下の研究がある。31 本 の rTMS シャム・コントロール研究をまとめた システマティックレビュー45)では,統合オッズ 比が 4.1(95%信頼区間 2.9−5.9)であり,中等度 の治療効果があるというエビデンスが示された。 しかしながら,方法論上の限界から,最適な rTMS 治療プロトコルを決定付けることはできな かったと報告している。解析対象の 9 つの研究か らは,治療効果が 12 週間以上持続するというエ ビデンスは得られなかった。rTMS に対する患者 の忍容性は非常に高く,rTMS に関連した有害事 象もきわめて稀であった。また,低頻度 rTMS の治療効果を評価したシステマティックレビュー において,252 例の患者を含んだ 9 つの二重盲検 シャム・コントロール・パラレル治療企図(inten-tion-to-treat;ITT)解析を抽出した結果,低頻 度 rTMS は中等度の治療効果(d=0.63;95%信 頼区間 0.03−1.24)を示し,その結果は高頻度 rTMS と同等の治療効果であると考えられた46) しかしながら,同研究からは rTMS 治療の最適 な刺激部位に関する一致した見解は得られなかっ た。 さらに,1,092 例の TRD 患者を対象に 24 個の rTMS 研究を含めた Lam らのメタ解析では,シャ ム群と比べ,アクティブ rTMS 群は有意に高い 反応率を示し,両群のリスク差は 17%であるこ とが示された。しかしながら,アクティブ rTMS 群全体の反応率と寛解率はそれぞれ 25%,17% とやや低く,シャム群全体ではそれぞれ 9%と 6% であった。NICE ガイドラインの専門アドバイ ザーは,rTMS 治療を TRD に対するファースト ライン治療に採用するためには,最適な rTMS 治療パラメータを確立することが重要であると考 えており,さらなる研究が必要であると結論付け ている。 最後に,ICSI ヘルスケアガイドライン(2013) では次のように述べている。これまで数多くの rTMS 研究が実施されてきているが,大部分の研 究においてサンプルサイズが小さく,研究によっ て刺激部位の解剖学的位置や刺激強度,および刺 激パラメータが大きく異なっているため,一貫し た結果が得られ難いという問題を指摘している。 同ガイドラインでは,以下の研究を紹介してい る。 190 例の患者を対象に左 DLPFC に対するアク ティブ / シャム rTMS を,3 週間にわたって週 5 日連日刺激した臨床研究を ITT 解析した結果, アクティブ rTMS 治療群はシャム群と比べ有意 に高い寛解率を示し(14.1% versus 5.1%,p = 0.02), シ ャ ム rTMS 群 に 対 す る ア ク テ ィ ブ rTMS 群の寛解率のオッズ比は 4.2 であったと報 告している。また,アクティブ rTMS 治療によ るオープンラベルのフォローアップ研究では,約 30%の患者が寛解を示したと報告している47) 301 例を対象とした O’Reardon らの多施設共同 RCT 研究では,rTMS 治療 4 週時点ではアクティ ブ群とシャム群との間で治療成績に有意差はみら れなかったが,治療 6 週時点ではアクティブ群の 寛解率はシャム群の約 2 倍の成績(MADRS: 14.2 % vs. 5.2 %;HAM-D17:15.5 % vs. 7.1 %, HAM-D24:17.4% vs. 8.2%)を示したと報告し ている。また 41 例を対象とした小規模の前向き RCT 研究では,シャム群では 10%の患者が寛解 を示したのに対して,アクティブ群では 75%が 寛解したと報告している48)。なお,この研究で は精神病性うつ病患者も含まれていた。 rTMS 初期治療終了 24 週間後の治療成績に関

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する探索的フォローアップ研究では,先行研究で 報告されていた「治療抵抗性が低い患者ほど,急 性期 rTMS 治療により良好に反応する」という 結果は検出されず,特定の有意な臨床的予測因子 は同定されなかった29, 49)。ただし同研究におい て,急性期 rTMS 治療に十分反応した患者ほど, うつ病エピソードを再発し難く,初期 rTMS 治 療終了後,追加的 rTMS 治療を行う必要性が低 いという傾向は示された49)。ICSI ヘルスケアガ イドラインにおいても,他のガイドラインと同 様,rTMS の治療方法やプロトコルのバリエー ションが多いため,現時点では最適な治療プロト コルおよび患者特性を同定することはできないと 結論付けている45)

rTMS の再発予防効果について

現時点では rTMS の再発予防効果に関する臨 床研究は少ないものの,rTMS 治療成功後の維持 rTMS に関するオープンラベル・ケースシリーズ が 1 報50)と,ECT 治療成功後の維持 rTMS に関 するオープンラベル・ケースシリーズが 2 報51, 52) ある。O’Reardon らは,rTMS 治療により寛解に 至った 10 例に対して,週に平均 1 〜 2 回のメン テ ナ ン ス rTMS を 左 DLPFC に 対 し て 100 % RMT で施行し,10 例中 7 例において 6 カ月から 6 年にわたる有効な再発予防効果を認めたと報告 している。さらに,メンテナンス rTMS による 有害事象は認められず,安全性も確認された50) Cristancho らは,メンテナンス ECT 治療で寛解 および臨床反応を維持していた 6 例に対してメン テナンス rTMS への切り替えを行い,メンテナ ンス rTMS の再発予防効果を前向きに評価した。 その結果,6 例中 4 例が 7 カ月から 23 カ月にわ たり臨床症状の維持・改善を示し,残り 2 例が 8 カ月後と 9 カ月後に再発を示したと報告してい る51) 筆者らも薬物治療抵抗性うつ病に対する ECT 治療成功後の再発予防策としてのメンテナンス rTMS の有効性に関する臨床研究を行っており, 急性期 ECT および継続 ECT 後,寛解および臨 床反応を示した 6 例に対して,左 DLPFC に対す る高頻度刺激と右 DLPFC に対する低頻度刺激を 組み合わせた連続両側刺激によるメンテナンス rTMS を行い,その再発予防効果を前向きに評価 した。その結果,6 例中 5 例が 6 カ月から 13 カ 月にわたり臨床症状を維持し,残り 1 例が再発に は至らなかったものの症状の軽度悪化を示した (Fig. 1)。本研究では 6 例中 2 例において治療中 の一時的な軽度の頭痛と頭皮不快感がみられた Fig. 1.難治性うつ病に対する ECT 治療成功後のメンテナンス rTMS による再発予防効果 52) Start of acute ECT course Case 1 Case 2 Case 3 Case 4 Case 5 Case 6 QIDS score 0 5 10 15 20 25 Start of the maintenance rTMS

Last treatment of the maintenance rTMS

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が,重大な有害事象は認められなかった52) TRD に対する治療戦略として,現行の治療ガ イドラインでは麻酔薬投与による ECT がファー ストライン治療となっているが,ECT は強力で 即効性がある反面,過剰な電気刺激による一過性 の認知機能障害も発現しやすいという問題があ る。さらに ECT の場合,寛解が得られてもすぐ にうつ病が再燃・再発しやすいという問題もよく 知られており,ECT 治療成功後も,一般的には 維持療法として,定期的なメンテナンス ECT と ノリトレン・リチウムによる薬物治療を組み合わ せた併用療法が推奨されている。しかしながら, ECT には認知機能障害をはじめとした副作用の 問題や,『社会的スティグマ』による心理社会的 問題が依然として残存しているため,ECT 以外 の,効果的でかつ副作用の少ない再発予防策が求 められているという現状がある。そこで筆者ら は,ECT 治療成功後の難治性うつ病患者に対し て rTMS による維持治療を行い,ケーススタディ という限界はあるものの,メンテナンス rTMS がメンテナンス ECT に代わる新たなうつ病再発 予防策になる可能性を示した52)。CANMAT ガ イドライン 2009 では,メンテナンス rTMS によ る再発予防効果は,エビデンスが少ないことから Level 3 となっているが,今後さらなる臨床研究 によって,メンテナンス rTMS がメンテナンス ECT に代わる有効な再発予防策になる可能性は 十分考えられる。

rTMS 治療反応の臨床的予測因子

現時点では,rTMS に反応する患者プロトタイ プを特徴付けるようなエビデンスは十分集まって いない。左 DLPFC に対する高頻度 rTMS にお ける臨床的な治療反応予測因子は,①より短期間 の現在うつ病エピソード,②不安障害を合併して いないことがあげられる29)。さらに,精神病症 状を有するうつ病では,ECT のほうが rTMS よ りも有効であることが知られている53)。予備的 な研究では,セロトニン遺伝子多型の差異が rTMS に対する治療反応性と相関すると報告され ている54)

rTMS に関連した有害事象

rTMS は安全で忍容性の高い治療法であるが, 最も一般的な副作用は刺激に伴う一時的な頭痛・ 頸部痛55),頭皮不快感・歯痛8)などである。TMS コイルから発生するクリック音による聴力障害を 心配する場合には,治療中は患者と治療スタッフ の双方が耳栓を使用することが推奨されている。 ただし通常の rTMS 治療では,コイルクリック 音はそれほど大きいものではないため,必ずしも 耳栓を使用する必要はないかもしれない。実際, rTMS 治療で不可逆的な聴力障害を生じたという 報告は今のところない。 一方,H コイルによる Deep rTMS や MST を 実施する場合にはかなりの騒音が発生するため, 耳栓を使用したほうがよいと考えられる。rTMS は ECT や MST と異なり全身麻酔やけいれん誘 発の必要がなく,認知機能低下などの有害事象と も関連がない45, 47)。実際,シャム・コントロール rTMS 臨床研究では,アクティブ rTMS を受け た患者は実行機能の改善を示し56),さらに rTMS と ECT の比較では,rTMS 治療群では認知機能 は維持あるいは改善されたと報告されている34) rTMS 治療に伴う重篤な有害事象としてけいれん 発作の誘発があるが,今までに rTMS 治療中の けいれん誘発は 12 例報告されている57)。ただし, それらのケースの多くにおいて,rTMS 治療前に すでに何らかの神経学的障害や断眠などがあった ことが報告されている。したがって,rTMS 治療 施行前に,患者にこれらの状況や障害があるかど うかを適切にスクリーニング精査するべきであ る58) rTMS の胎児に対する影響は現段階ではわかっ ていないため,妊娠中の女性への rTMS 施行は 原則推奨されていない。またメンテナンス rTMS に関しては,オープンラベル・ケースシリーズで はその長期的な安全性が示唆されているが50-52) 現時点ではまだシステマティックな評価はなされ ていない状況である。なお,rTMS 施行の絶対禁 忌は,けいれんの既往,頭部内における人工内耳 や脳刺激装置,脳内電極,脳動脈瘤クリップ,プ

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レートなどの強磁性体の存在(ただし口腔領域は 除く),そして心臓ペースメーカーの存在などで ある。さらに,頭蓋内圧亢進状態,重篤な心臓循 環器疾患,てんかん,およびその他の重篤な身体 状態なども禁忌事項となっている59) その他,130 例の患者を対象とした RCT 研究 では,治療終了直後に軽躁エピソードに発展した ケースが 1 例報告されている25)。さらに rTMS 治療に関連して,混合状態(1 例)60)や躁状態(2 例)61)を呈したというケースレポートがそれぞれ 1 報ある。また,高頻度 rTMS 治療後に自己終息 性複雑部分発作を引き起こしたという報告が 1 例 ある62)

rTMS と他のうつ病治療との併用の是

非について

治療初期の効果が必ずしも持続するとは限らな いが63, 64),複数のシャム・コントロール研究の結果 からは,rTMS と抗うつ薬の併用が治療反応性を 高めるというエビデンスが増えてきている64-66) ただし,今後,治療反応性を最大化させるために は,rTMS 治療のパラメータと抗うつ薬の種類・ 用量の最適な組み合わせに関して,より詳細な検 討が必要であると考えられる。

難治性うつ病に対する MST 治療

ICSI ガイドラインでは唯一,磁気けいれん療 法(MST)についても言及している。MST は, 麻酔投与下にて限局的なけいれんを引き起こすた めに,強力な磁気エネルギーを介して限局的な電 気刺激を行う新しい治療法である。刺激部位に関 しては,初期の研究では右前頭部刺激が多かった が,最近ではツインコイルによる正中前頭部刺激 も実施されるようになってきている。MST は ECT でみられるような明らかな認知機能障害を 引き起こすことが非常に少なく,ECT とほぼ同 等の治療効果が得られるということが最大の特長 で あ る。 初 期 の MST 研 究 で は,ECT と 比 べ, ECT 施術後にしばしばみられるような健忘症状 発現の明らかな低下と見当識のより迅速な回復が 認められ,一定の抗うつ効果もみられたと報告し ている4) 筆者らは,難治性うつ病に対するツインコイル を用いた MST 治療の抗うつ効果および有害作用 に関する臨床研究を行っており,注目すべき症例 として,難治性双極性思春期うつ病に対する MST 治療成功例を経験したので報告した67)。本 症例は高校在学中に双極性障害を発症し,その後 直ちに精神科専門医による各種 antidepressants, mood stabilizer,augmentation therapy などの薬 物療法が開始されたが,症状が一向に改善せず, 1 年以上うつ症状が遷延していた。その後,高頻 度 両 側 DMPFC 刺 激 に よ る rTMS 集 中 治 療 に よって,うつ症状は重度から軽症にまで改善した が,依然として寛解には至らず,就学困難な状況 にあった。そこで,遷延したうつ症状に対する治 療オプションとして,従来の ECT 治療と新たな MST 治療が考えられたが,本人・家族と慎重に 相談した結果,本人の早期復学とその後の大学進 学を強く希望していたため,治療後の認知機能障 害がより少ない MST 治療を選択し,MST 臨床 研究に参加した。MST 治療期間中に明らかな認 知機能障害は認められず,MST 治療 6 回目には 遷延していたうつ病エピソードが初めて寛解に達 した。さらに MST 治療 15 回目以降は寛解状態 を安定的に維持するようになった(Fig. 2)。MST 治療終了後には本来の元気な状態にまで回復し, 高校に復学し,その後,無事大学にも進学するこ とができた。本症例は,難治性双極性障害に対す る MST 治療が,思春期症例においても有効であ る可能性を初めて示した貴重な症例であった67) 一方,MST に関する有害事象として,筆者ら は MST 治療が劇的に奏効したものの,治療直後 に軽度の躁状態を示した 2 症例を経験した。抗う つ薬や ECT によるうつ病の躁転はしばしばみら れる有害事象であるが,MST による躁転は今ま で報告されていなかったため,これらの 2 症例を ケースレポートとして報告した68)。同レポート では,難治性うつ病に対する MST 治療の有効性 を示すとともに,躁転リスクの可能性にも十分注 意していく必要があることを示した。

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TRD に対する rTMS の治療メカニズム

うつ病に対する rTMS の治療メカニズムの詳 細はまだ十分解明されていない。その主な理由に は,①ヒトを対象とした非侵襲的な臨床研究によ る原理的限界と,②先行研究における rTMS 治 療プロトコルや刺激パラメータの不均一性,アウ トカム評価のアプローチの差異,不十分なサンプ ルサイズなどの方法論上の限界が考えられる。前 提としてそのような限界はあるが,筆者らは「う つ病における DLPFC を対象とした rTMS 治療 の神経生物学的メカニズム」に関するシステマ ティックレビューを行った69)。本レビューでは, 筆者らが設定した検索用語から 1,647 本の論文を 同定し,そこから組み入れ基準と除外基準を満た した原著論文 66 本を抽出した。 近年の機能的神経画像研究から,うつ病に関連 した脳の病態部位やネットワークが徐々に解明さ れつつあるが,実際,DLPFC に対する rTMS 治 療によって,前頭前野領域,前帯状皮質,眼窩前 頭皮質,扁桃体,海馬傍回,島,楔前部などのう つ病に関連した領域の活動性が変化することがわ かってきている70-74)。rTMS 治療成功例において, ネットワークレベルでは,安静時 fMRI における 帯状膝下野(BA25)と左上前頭前皮質との間の 機能的コネクティビティが有意に変化することが 報告されており75),分子レベルでは,神経可塑 性に影響を与える脳由来神経栄養因子(brain-de-rived neurotrophic factor;BDNF)76)やグルタミ

ン酸77, 78)などの神経化学因子が,rTMS 治療に

よって有意に変化することも報告されている。さ らに同治療によって,cortical silent period 79)

増加や,前頭前野領域のシータ・コーダンス80) およびデルタ・シータ・アルファパワー81)が増 加することも報告されており,うつ病の DLPFC に対する rTMS 治療は,GABAB 受容体介在型 の抑制性神経機能や前頭前野領域の脳代謝/血流 を改善させることによって,その治療効果を発揮 させている可能性が示唆された。 現時点では,うつ病の DLPFC に対する rTMS の治療メカニズムはまだその一端しか解明されて いないが,今後,マルチモーダルな生物学的マー カーを含めたより包括的な臨床研究を進めていく ことで,その全貌が徐々に明らかにされていくこ とが期待される。さらに,うつ病に対する rTMS の治療反応性を予測する生物学的因子の同定も, 臨床上非常に重要であると考えられる82) Fig. 2.難治性思春期双極性障害ケースに対する MST 治療による臨床経過 67) Weeks Score on the HDR S₂₄

Longitudinal HDRS₂₄ score changes following MST

0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44

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おわりに─今後の展望

本邦においてもうつ病で苦しんでいる人々を一 人でも減らすためにも,またうつ病が引き起こす 深刻な社会問題を解決する一つの手段としても, rTMS や MST をはじめとした神経刺激治療を, より積極的に臨床応用していくことは非常に重要 であると考えられる。そのためには,TRD に対 する rTMS 治療に関するエビデンスをさらに構 築していくことが不可欠であるが,それと同時に 本邦でもさまざまな神経刺激治療が臨床の現場で 実践できるよう,厚労省による各種医療機器の適 性かつ迅速な承認に加え,それに合わせた専門学 会でのうつ病治療ガイドラインの作成が必要であ る。さらに将来的には,rTMS 治療の生物学的メ カニズムや治療反応予測因子をより詳細に明らか にしていくことで,治療効果を最大限に引き出す ための刺激条件の最適化を図り,そのことによっ て,それぞれのうつ病患者の病態に合わせた個別 化治療が実現できるようさらに努力していく必要 がある。 文  献

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受理日:2015 年 8 月 31 日 【要約】 rTMS や MST の現況について,主に海外のガイドラインを紹介しながらそれらの知見を概 説した。薬物治療抵抗性うつ病(TRD)に対する rTMS は,急性期治療としては ECT には及ばない ものの,再発予防目的の維持療法としては ECT と同等である可能性が示唆されている。MST に関 しては,急性期治療においても ECT と同等の治療効果が期待できる治療法であり,施術後の回復も ECT と比べ非常に早いという特徴がある。さらに rTMS や MST は,ECT が抱えているような社会 的スティグマや認知機能障害などの副作用が非常に少なく,費用対効果も ECT とほぼ同等であると 考えられている。神経刺激治療は,薬物による副作用を軽減し,長期的には全体の医療費を抑制でき る可能性も十分秘めている。今後は,rTMS をはじめとした神経刺激の治療メカニズムをさらに詳細 に解明していくことで,治療パラメータやプロトコルの最適化を図り,将来的には患者個人の病態に 合わせた個別化医療が実現する日がくるかもしれない。 キーワード:治療抵抗性うつ病,反復性経頭蓋磁気刺激療法,磁気けいれん療法

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