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改 訂 版 の ま え が き

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Academic year: 2021

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(1)

" 1 1 •I  

改 訂 版 の ま え が き

本書「数学通論」の初版が発行されたのほ,昭和

3 7

年のことであった.

数学という学問ほ,かつては,将来科学技術方面へ進む人たちにとっては必 要欠くべからざるものであっても,その他の人たちにとってほ,必ずしも必要 なものとは考えられていなかった.

しかし,数学が進歩し,その応用面が開拓されていくにしたがって,数学 は,科学技術方面の人たちばかりでなく,その他の方面の人たちにとっても,

是非必要なものとなりつつある.

以上の情勢を考慮して,高等学校の数学に続いて,さらに数学一般を,ー通 り学んでおこうという学生諸君のために書かれたのが, この「数学通論」で あった.

それから十数年がたっているわけであるが,その間に以上の情勢はますます 迎み,たとえば,現在の高等学校では,科学技術方面へ進む人にとっても,そ の他の方面へ進む人にとっても必要になってきた行列を, 2X2行列に限って 教えることになっている.

この改訂版は, この情勢の変化に即応して,初版の意図にそって,高等学校 の数学を学んだのち,さらに数学一般を一通り学習しておこうとする諸君のた めに初版を書き改めたものである. この改訂版の作成に当っては,裳華房の遠 藤恭平氏,真喜屋実孜氏,植田圭子さんに大変お世話になった.ここに記して 著者の心からの惑謝の気持を表わしたい.

この改訂版が,以上の情勢の変化に正しく即応し,学生諸君のお役に立つこ とを心から祈るものである.

昭 和 53年 1月

矢 野 健 太 郎

(2)

iv 

初 版 の ま え が き

わが国の在来の教育制度では,高等学校の初年級で, まず, 1次函数, 1次方程式,

2次函数, 2次方程式などを中心とする代数学の初歩と,三角形, 円などの性質を主と して論じる初等幾何学,それに,放物線,楕円, 双曲線などを中心とする解析幾何学の 初歩とが教授されていた.

これほ,たとえ高等学校をおえてすぐ社会へ出る人, また大学の文科方向へ進む人た ちにとっても,上記の程度の数学の知識は不可欠のものと考えられていたからである.

しかし,機械文明がますます進み, また人間関係もますます複雑になった今日の状勢 では,ただ一個の社会人としても, もっともっと多くの数学的知識が要求されている したがって,最近改正された文部省の指導要領も, 高等学校をおえてすぐ社会へ出る人 に対しても,大学の文科方向へ進む人に対しても, 以上の程度をさらに一歩すすめて,

微分学と積分学の初歩を教授することを要求している.

このような状勢のもとでは,大学の教養部における一般の数学の講義も, それに応じ た改良を加えていくべきものであろうと思われる.

本書はその改良への一試案のつもりで, 高等学校で上記のような数学をすでに学ば れた学生諸君に対して, それらの知識をなるぺく新しい見地から見直し, それを土台と して,ベクトル,行列式などの代数的概念, それを可能な限り利用した平面および立体 解析幾何学,そして微分学,積分学, さらにはそれらの応用としての微分方程式の解法 を説明したものである.

ペクトル,行列式の概念ほ, 読者諸君にとっておそらく新しい概念であろうと思われ るので,その説明に十分の頁をさいた積りである. それに続く平面および立体の解析幾 何学は,読者諸君がその初歩はすでに学んでおられることであるから, 重複をさけるた めに,できる限り, ペクトル,そして行列式の概念を活用して展開することを試みた.

微分学,積分学の初歩も読者諸君はすでに知っておられるわけであるが, これに対し ては,読者諸君の理解を一そう深め, さらに新しい, 応用の広い事実をつけ加えること に重点をおいた.

そしてその応用として,微分方程式の解法をのべてみたわげである.

(3)

大学教養部における,古典的な数学の知識は本書の程度で十分であると筆者ほ思うが,

もし本書を教科書として使用していただいた教授諸氏の助言がいただけるならば, それ に沿って将来十分の改良を加えていきたいものと思っている.

なお,本書にもれた, 命題, 集合, 線形計画法, 確率論, ゲームの理論などの話題 については, 同じ裳華房から出されている拙著「教養の数学」を参照されるよう望み し・

昭 和372

矢 野 健 太 郎

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